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JP3581011B2 - 電気化学反応装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原料及び製品の反応物質を内部に流通する形式の固体電解質を利用した電気化学反応装置に関するものである。即ち、本発明は、電解反応の起こる陽極、陰極を同一室内に置くことによって酸化反応、還元反応の両方の生成物を同時に得ることを目的とするものであって、この反応を少ない電力消費で、又高い効率で行うことを目的としてなしたものである。
【0002】
【従来の技術】
電解質膜が固定される固体電解質電解法においては、電解質が反応物質と分離されているため、原料物質を流体として電解槽に供給し、電極で酸化又は還元した後、製品として電解槽出口より流出させる流通式の電解槽を構成することができる。
【0003】
従来法による反応物質流通式の電解槽の例を図1に示す。原料は、入口1より供給され、電極4で反応した後、出口2より製品と未反応の原料の混合流体として流出する。反応に必要な電力は電解質膜6の両側に取り付けられた電極4及び5間に供給される。この場合、利用できる反応は電解質の性質によって酸化反応又は還元反応の一方である。
【0004】
例えば、図1の電気化学反応装置は、酸素イオン導電性の固体電解質膜6を使用しており、反応物質である水蒸気を還元して副生成物の酸素を電解質膜の反対側の反応副生成物出口5から取り出す還元化反応器として作用する。この電気化学反応装置は、全く逆に使用して水素の酸化反応を行ってエネルギーを取り出す燃料電池として使用することもでき、この場合、酸化反応器として使用される。いずれにしても酸化と還元を同時に利用することはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電気化学反応においては酸化と還元が常に同時に生起することに着目し、これらを一つの反応装置内において反応物質流路を工夫することによって達成し、更にはそれらの反応において消費する電力を低減し、又反応効率を向上せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この目的達成のために鋭意研究の結果、反応物質を流通する形式の固体電解質電解槽において、電解反応の行われる陽極及び陰極を両側に備えた電解質膜を単一の容器室内に設置し、反応物質を含む流れを陰極及び陽極に相次いで流通し、反応物を酸化及び還元処理してこれらの複数の反応の生成物を同時に得ることを着想したものである。この過程において、一方の反応によって得られた電荷担体は、他方の反応に利用することにより、両反応を円滑に進行せしめんとするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
(本発明の一実施形態)
本発明による電気化学反応装置を用いたメタンの酸化と水蒸気の還元の一例を図2に基づいて説明する。メタン及び水蒸気を原料とし、製品として水素ガスを得る反応について説明する。メタンから水素を得るためには、メタンの酸化と、それによって生成した水蒸気の還元反応が必要である。
【0008】
メタン及び水蒸気からなる原料ガスは入口1より供給され、陽極室6を流動ししつ陽極4で酸化された後、陰極室7を流通しつつ陰極5で還元されて出口2より水素及び二酸化炭素からなる製品流体として流出する。この反応に必要な電力は電解質膜3の両側に取り付けられた電極4及び5に供給される。陰極5における還元反応の結果として電解質膜3内に発生する酸素イオンは、陰極から陽極へ電界にしたがって移動し、陽極において酸化反応に使用される。以上の反応の結果として、原料ガスとしてメタンと水蒸気を供給し、本発明にの電気化学反応装置による反応で目的とする水素ガスと二酸化炭素を得る。
【0009】
この一連の電気化学反応において、水の還元(HO→H┼1/2O)では電力を必要とするが、一方、発生した酸素イオンはメタンの酸化においては自発的に反応が進む方向であることから、結果として本発明の装置による反応では、エネルギーの消費は理論的に殆ど要しない。実際には電極の化学活性などにより反応に要するエネルギーは一概には予測することができないが、電気化学的反応の特徴として自発的に進行しない反応に対しては、電力を供給することによって反応の進行を制御することができる。かくして本発明の装置においては、必要とされるエネルギーを電気的に供給することによってメタンの分解を完全に行うことが可能である。
【0010】
(本発明の他の実施形態)
本発明による電気化学反応装置の他の例として、前記のような酸化還元を同時に行う反応装置では、酸化剤と還元剤として作用する原料中の化合物が理想的には適当な比率でなければ反応を完了することができない。例えば、前記のメタンと水蒸気の反応系では、CH┼2HO→4H┼COの反応となるため、原料ガス組成がメタン:水蒸気=1:2で丁度酸素の過不足なく反応が完了し、それによりメタンが多い場合には酸素が不足してメタンを完全に酸化できず、一方、水(水蒸気)が多い条件では水(水蒸気)の分解により生ずる酸素が蓄積して反応を継続することができなくなる。
【0011】
この問題を解決するため、図3に示されるように、本発明による電気化学反応装置内においては、酸素の供給量を制御するために新たに酸素イオン透過性の固体電解質管8を設置し、電解質管の一方の9側部に反応物質を通じ、その他方の10側部に既知の酸素濃度のガスを通じ、酸素透過によって酸素を供給又は除去することによって酸素濃度を制御することを発想した。
【0012】
この酸素濃度制御の原理を図3に示す。陽極4での酸化によって、もしもメタンが完全に酸化されて二酸化炭素と水にしようとする場合、容器内の9側部の地点では常に少量の酸素が存在する状態が望ましい酸素濃度である。ここで、酸素イオン導電性の固体電解質管8の内側に低濃度の酸素を含むガスを流通すると、酸素はこの管を透過して電解質膜の両側で酸素濃度が同一になるため、このメタンの完全燃焼のための酸素を供給することができる。わずかな余剰の酸素は、ガス流によって陰極に運ばれ、そこから陽極に透過してメタンを燃焼する。
【0013】
一方、原料ガスに水蒸気が過剰である場合は、メタンは完全燃焼するものの陰極における水の還元によって発生した酸素が反応装置内の9側部に次第に蓄積し、これを取り除かない場合は、最終的に容器内を酸素で充満して水(水蒸気)の還元を不可能とする結果となる。ここで固体電解質管8では、9側部における酸素濃度が10側部における酸素濃度より高い場合、酸素は逆に9側部より10側部に透過し、結果として反応装置内より取り除かれる。
【0014】
即ち、固体電解質管8は、9側部における酸素濃度を、10側部の濃度より低いときには10側部のガスより酸素を9側部に透過させ、又9側部の酸素濃度が高い時には10側部に透過することにより常に一定とする作用を持つ。この作用により、入口1から供給される原料ガスの成分が酸化される成分(メタン)と還元される成分(水又は水蒸気)のいずれ側に偏っていても、常に酸化、還元の両反応が完全に行われるように制御することができる。又、成分の変動に対しても自動的に対応して酸素の供給又は除去を行い、常にこの反応を完全に行うことができる。
【0015】
(酸素濃度制御の他の形態)
前記の酸素濃度の制御は、受動的且つ自発的な原理によっているものであるが、更に、この固体電解質管8に2ケ所乃至3ケ所の電極を設け、電気化学的な方法によって酸素の移動を能動的に制御することができる。
【0016】
図4に、電極11、12、13の設置による酸素濃度の制御機構の例を図示する。参照電極13は、装置内の9側部の反応物質流体と常に接触する位置におかれるが、電力が供給されず、反応に関与しない。参照電極13と対極12との間には、参照電極上での原料ガスの酸化比率に応じた酸素濃度による酸素濃淡電位と、対極上での酸素含有ガスの酸化比率に応じた酸素濃度による酸素濃淡電位との差が起電力として現れ、これは高い入力抵抗を有する起電力計によって検出することができる。この起電力は、開路電圧と呼ばれ、もし原料ガスのメタンの燃焼が不完全であった場合には、起電力として燃料電池起電力相当の1V前後の値が検出される。一方、原料ガスが完全に燃焼していた場合、9側部においてわずかに残留する酸素のため起電力は数10mVになる。
【0017】
このように、本発明にかかる参照電極の第一の効用は反応率の監視ができることである。即ち、流通式の電気化学反応装置において、槽内に設置した参照電極13によって、酸化反応が完全に行われるか否かが検出される。
【0018】
次に、適当な制御電源を用いて、この参照電極における起電力を数10mVで一定とすべく、電極11と対極12の間に適正な電解電圧を印加することができる。このために電極4と5との間には、電極13と12との間に原料ガスの不完全燃焼を示す電圧が検出された場合は、それを打ち消すように印加される。
【0019】
逆に9側部の酸素濃度が10側部よりも高くなった場合は、酸素が過剰であるので、酸素を除去すべく電極11に負、電極12に正の電圧をかけ、9側部の酸素を除去する。かくして、自動的な帰還制御によって、9側部の酸素濃度は常に10側部と同程度に能動的に維持され、入口1に供給される原料ガスの組成に関わらず丁度完全なメタンの燃焼が行われる。
【0020】
【実施例】
図5に、図4に示す本発明における構造の電気化学反応装置についての実際の運転結果をしめす。電解質膜として高温で作動する安定化ジルコニウムセラミックスを使用し、電極として白金を使用し、反応物質として水蒸気とメタンとを供給して水素と二酸化炭素とを得る電解反応を行った。
【0021】
1%のメタンと2%の水蒸気とからなる反応物質が流量300cc/secで入口1から電気化学反応装置に供給され、反応物質の水蒸気及びメタンは酸素濃度制御用固体電解質管8であるセラミックス管の外側を流通して酸化され、その内側で還元されて二酸化炭素及び水素として出口2から得られた。酸素濃度制御は同じ装置に設置した酸素濃度制御用固体電解質管8であるジルコニアセラミックスセルで行われた。本条件において電位差を次第に増加したところ反応の進行が観測され、1.8Vで、水素化合物(HO)からの水素回収率99.9%が得られた。
【0022】
【発明の効果】
電気化学反応では酸化と還元が常に同時に生起するので、本発明においては、これらの酸化と還元とを一つの反応装置で反応物質流路を改良工夫することにより行うことで、装置の簡素化、多機能化を達成し、さらに消費電力を低減し、また反応効率を向上することができる。
【0023】
さらには、本発明においては、酸素濃度制御用固体電解質管を用いることにより、反応物質の組成変化に対応して常に高い反応効率を達成できる。この酸素濃度制御については、酸素濃度制御用固体電解質管に設置する電極を工夫することにより、受動的あるいは能動的な制御により、さらに性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来方法による、水(水蒸気)の電解を行う反応物質流通式の電気化学反応装置を示す図である。
【図2】本発明による、メタンの酸化と水(水蒸気)の還元を行う反応物質流通式の電気化学反応装置を示す図である。
【図3】本発明による反応物質流通式の電気化学反応装置において、酸素収支を制御するための機構をを示す図である。
【図4】本発明による反応物質流通式の電気化学反応装置における他の能動的な酸素収支制御として可能な帰還制御を示す図である。
【図5】本発明による電気化学反応装置を使用してメタンと水蒸気から水素を発生させた結果を示す図である。
【符号の説明】
図1(1:原料入口、2:製品出口、3:反応物室、4:作用電極、5:反応副生成物出口、6:固体電解質)
図2(1:原料入口、2:製品出口、3:固体電解質、4:作用電極、5:対極、6:作用電極側反応物室)
図3(1:原料入口、2:製品出口、3:固体電解質、4:作用電極、5:対極、6:作用電極側反応物室、7:対極側反応物室、8:酸素濃度制御用固体電解質セル、9:酸素濃度測定領域、10:酸素標準ガス)
図4(1:原料入口、2:製品出口、3:固体電解質、4:作用電極、5:対極、6:作用電極側反応物室、7:対極側反応物室、8:酸素濃度制御用固体電解質セル、9:酸素濃度測定領域、10:酸素標準ガス、11:酸素制御用極)
図5(1:原料入口、2:製品出口、3:固体電解質、4:作用電極、5:対極、6:作用電極側反応物室、7:対極側反応物室、8:酸素濃度制御用固体電解質セル、9:酸素濃度測定領域、10:酸素標準ガス、11:酸素制御用極、12:酸素制御対極、13:酸素参照極)

Claims (2)

  1. メタン及び水蒸気からなる原料ガスから水素ガスを得る固体電解質膜を用いる反応装置内に、固体電解質膜の片面に陽極、反対面に陰極を設けた反応器セルを設置し、原料ガスが陽極及び陰極に相次いで流通され、陽極で酸化され後に陰極で還元されて水素及び二酸化炭素からなる製品ガスを得、陰極での還元反応の結果電解質膜内に発生する酸素イオンを電界により陰極から陽極へ移動させて陽極での酸化反応に利用する電気化学反応装置において、
    反応装置内の原料ガス流通位置に、反応装置外部から酸素イオン透過性の固体電解質管を挿入設置し、電解質管内に外部から既知酸素濃度のガスを通じ、酸素透過性の電解質管内外の酸素濃度に応じて電解質管を通して反応装置内に酸素を供給し、又は反応装置から酸素を除去することを特徴とする電気化学反応装置。
  2. メタン及び水蒸気からなる原料ガスから水素ガスを得る固体電解質膜を用いる反応装置内に、固体電解質膜の片面に陽極、反対面に陰極を設けた反応器セルを設置し、原料ガスが陽極及び陰極に相次いで流通され、陽極で酸化され後に陰極で還元されて水素及び二酸化炭素からなる製品ガスを得、陰極での還元反応の結果電解質膜内に発生する酸素イオンを電界により陰極から陽極へ移動させて陽極での酸化反応に利用する電気化学反応装置において、
    反応装置内の原料ガス流通位置に、反応装置外部から酸素イオン透過性の固体電解質管を挿入設置し、電解質管の原料ガス流通側に参照電極及び酸素制御用電極を設け、電解質管の内面側に酸素制御対極を設け、参照電極上での原料ガスの酸化比率に応じた酸素濃度による酸素濃淡電位と、酸素制御対極上での酸素含有ガスの酸化比率に応じた酸素濃度による酸素濃淡電位との電位差により起電力を生じさせ、その起電力により原料ガスの酸化反応状態を検知し、その値に応じて酸素制御対極と酸素制御用電極とに正負の電圧を付与して反応装置内の酸素濃度を調整することを特徴とする電気化学反応装置。
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