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JP3582407B2 - アービタ回路及びアービタシステム - Google Patents
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アービタ回路及びアービタシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジョセフソン接合を用いたアービタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータシステム等においては、複数の互いに独立なシステムが複数個のリソースを共有する構成が採用される場合がある。このような構成としては、例えば、マルチプロセッサシステム等が挙げられる。
【0003】
このような構成が採用されている場合において、リソースの使用を各システムが非同期的に要求したときに、その要求を調停する必要がある。すなわち、時間差をもって到来する2個の要求信号に対しては、最初に到着した信号に応答して許可信号を返却し、同時に2個の要求信号が到来した場合には、そのいずれか一方のみに許可信号を返信するのである。このような動作をすることによって、リソースの使用状況の調停を行うアービタ回路が広く使用されている。
【0004】
しかしながら、超伝導パルス回路においては、現在までのところアービタ回路は存在しない。したがって、従来はあるリソース(例えばメモリなど)に対してそれを利用する回路はただ一つに限られていた。
【0005】
したがって、超伝導パルス回路において、リソースを共有しようとする場合には、同時要求が発生したときに、外部からの制御信号を用いて調停を行う方式がとられていた。そのため、以下の説明においては、超伝導パルス回路ではなく通常の半導体回路を用いたアービタ回路の従来の技術について説明する。
【0006】
図10には、従来のアービタ回路の回路図が示されている。この図に示すようにアービタ回路は入出力が互いに交差結合した2個のNORゲート1、2及びインバータ3、4より構成されている。図において、入力RXはシステムXからの要求信号を示し、入力RYはシステムYからの要求信号を示す。また出力AXはシステムXへの許可信号、出力AYはシステムYへの許可信号である。
【0007】
各システムX、Yからの要求は要求信号のレベルをローにすることで表現される。また、システムへの許可は許可信号をローレベルにすることで表現される。例えば、もし(RX,RY)=(L,H)ならば、(ここでLはローレベル、Hはハイレベルを示す)システムXが要求信号を発信していることを表す。この状態に対するアービタ回路の状態は、出力(AX,AY)=(L,H)となって、システムXへの許可信号が出力されることになる。
【0008】
また、(RX,RY)=(L,H)、(AX,AY)=(L,H)の状態から、システムYも要求信号を出力して(RX,RY)=(L,L)となった場合には、以下のようにアービタ回路は動作する。この場合は、システムXに遅れてシステムYも要求信号を発した場合であり、このときアービタ回路はNORゲートの交差結合がラッチ動作をするので、出力に変化は起こらずに(AX,AY)=(L,H)の状態を保持する。そして、次にXからの要求信号が解除され(RX,RY)=(H,L)となった場合にはじめてシステムYへの許可信号が出力され(AX,AY)=(H,L)となる。以上の動作により調停が行われる。
【0009】
このように、従来の通常の半導体回路におけるアービタ回路は存在したが、超伝導パルス回路においてはアービタ回路は存在しない。
【0010】
なお、特開昭58−148521号公報には、ジョセフソン接合ラッチ回路が示されている。
また、特開昭58−209220号公報には、ジョセフソンパルス発生回路が示されている。
また、特開昭59−189723号公報には、ジョセフソン素子を用いたタイミングパルス発生回路が示されている。
また、特開昭62−181478号公報には、ジョセフソン線路を用いてソリトンパルスを発生する回路が示されている。
また、特開昭63−86613号公報には、ジョセフソン素子を用いた遅延回路が示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
さて、超伝導パルス論理回路を用いて上記従来例のような回路を再現しようとすると、回路規模の増大、動作時間の増大、消費電力の増大、動作安定性の低下をもたらす問題が生じる。これは磁束量子を論理情報単位として用いた超伝導パルス論理回路においては、パルス信号の有、無をもって論理1、論理0とするためである。
【0012】
つまり、従来例のような電圧レベルの変化を情報とする組み合わせ論理回路を用いる場合でも1と0とを区別するためのタイミング信号が必要となってしまう。特に、超伝導パルス論理回路においては、規模の小さな動作マージンの広いインバータ動作を構成するのは難しい。したがってNORゲートを構成することも難しい。このため、超伝導パルス論理回路を用いたアービタ回路は実現が困難であった。
【0013】
次に、超伝導パルス論理回路は数十ギガヘルツ以上の高速動作が可能であるため、グローバルクロックを前提とした回路を構成することがきわめて困難である。したがって、アービタ回路も外部からのクロック供給なしの直流バイアスのみで動作する回路が必要となる。
【0014】
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、超伝導パルス論理回路を用いたアービタ回路を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1記載のアービタ回路は、要求信号の調停機能を有する回路において、前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、前記データ保持回路は、超伝導ループを備え、前記超伝導ループは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなる構成としてある。
このような構成によって、データの出力タイミングがタイミングパルスによって規定されるため、要求信号の調停を行うことができる。また、データ保持回路は、超伝導パルスの論理信号を保持することが可能である。
【0016】
請求項2記載のアービタ回路は、要求信号の調停機能を有する回路において、
前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、前記ローカルオシレータが抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなる構成としてある。
このような構成によって、データの出力タイミングがタイミングパルスによって規定されるため、要求信号の調停を行うことができる。また、ローカルオシレータは、超伝導パルスを伝達し、発振動作を行うことができる。
【0017】
請求項3記載のアービタ回路は、要求信号の調停機能を有する回路において、
前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、前記データ保持回路は、超伝導ループを備え、前記超伝導ループは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなり、前記ローカルオシレータは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなる構成としてある。
このような構成によって、データの出力タイミングがタイミングパルスによって規定されるため、要求信号の調停を行うことができる。また、データ保持回路は、超伝導パルスの論理信号を保持することが可能である。また、ローカルオシレータは、超伝導パルスを伝達し、発振動作を行うことができる。
【0018】
請求項4記載のアービタ回路は、前記ローカルオシレータは外部から供給されるクロック信号を用いずに自励式でパルス信号を生成する構成としてある。このような構成によって、外部からのクロック信号を用いていないため、グローバルクロック(統一同期)システムの制約を受けないアービタ回路が得られる。
【0019】
請求項5記載のアービタ回路は、前記ループ状に接続された回路に電流を供給する電流源を含み、この電流源は分流のための抵抗素子を備える構成としてある。
このような構成によって、電流源を調整することによって、データ保持・発振動作を行うことができる。
【0020】
請求項6記載のアービタ回路は、前記インダクタンス素子が超伝導素子で構成されている構成としてある。
このような構成によって、超伝導パルスの信号を取り扱うことができる。
【0021】
請求項7記載のアービタシステムは、調停される前記要求信号を発生する要求回路と、上述したいずれかのアービタ回路と、を備え、前記要求回路は超伝導回路である構成としてある。
このようなシステムによれば、要求回路からの要求を効率よく調停することができる。
【0022】
請求項8記載のアービタシステムは、前記超伝導回路である要求回路がパルス回路である構成としてある。
このようなシステムによれば、超伝導回路である要求回路からの要求を効率よく調停することができる。
【0023】
請求項9記載のアービタシステムは、調停される前記要求信号を発生する要求回路と、前記要求信号を、超伝導パルス回路の論理信号に合致する信号に変換するインターフェース回路と、上述したいずれかのアービタ回路と、を備える構成としてある。
このようなシステムによれば、インターフェース回路を備えているため、超伝導回路だけでなく、通常の半導体回路である要求回路からの要求も効率よく調停することができる。
【0024】
以上述べたように、本発明によれば、超伝導パルス回路に適した、簡素性、高速性、低消費電力性、動作安定性などに優れ、グローバルクロック(統一同期)システムの制約を受けない、アービタ回路・システムが実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態では、データ保持回路に調停の必要な入力信号を保持しておき、ローカルオシレータより生成されたタイミング信号を受けてデータ保持回路がデータを出力する。ローカルオシレータは一度に一つの出力端子にのみ出力信号を出すように構成されているので、データ保持回路からの出力は一度に一つとなり調停が行われる。
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。
[第一実施形態]
図1は本第一実施形態のアービタ回路の構成を示すブロック図である。
複数のパルス保持回路群101とローカルオシレータ102からなっているアービタ回路である。パルス保持回路は3つの入出力端子(I,O,T)を持つ。Iは要求信号入力端子、Oは許可信号端子、Tはタイミング端子である。ローカルオシレータ102は複数の出力端子を持つ。一つのパルス保持回路のタイミング端子Tはローカルオシレータ102の出力端子の一つと接続している。
【0027】
図1に示されている例においては、パルス保持回路群101には、3個のパルス保持回路101a、101b、101cが含まれている。また、それに対応してローカルオシレータ102は、3本の出力端子を有している。各出力端子は、それぞれ対応する3個のパルス保持回路101a、101b、101cのタイミング端子Tに接続されている。
【0028】
図2には、よりシンプルな構成として、パルス保持回路が2個の場合のブロック図が示されている。また、図3には、図2に示された回路の動作を表すタイミングチャートが示されている。
【0029】
以下、本第1実施形態のアービタ回路の動作を、これら図2、図3を用いて説明する。
ローカルオシレータ203は、一度に一つの出力端子にのみタイミングパルス212、222を発生する機能を持つ。図2のような2個のパルス保持回路201、202を持つアービタ回路の場合、タイミングパルス211、222は、図3のタイミングチャートに示すように現れる。
【0030】
パルス保持回路201、202は次のように動作する。
入力パルス301が要求信号入力端子221から入力されると、この入力パルス301はタイミング端子Tにパルス入力があるまで回路中に保持される。
【0031】
図3においては、パルス301はパルス302がタイミング端子Tに到来するまで保持される。パルス302が入力された後のパルス保持回路201の処理時間314を経て許可信号端子231に現れる。
【0032】
要求信号入力端子222に入力されるパルス304についても同様に、図3に示すように、タイミングパルス305がタイミング端子Tに入力されるまで保持され、タイミングパルス305が入力されてからさらに処理時間314を経た後に許可信号端子232にパルス306として現れる。
【0033】
このようなアービタ回路を用いることにより次のような調停動作が行われる。入力パルス(すなわち各システムからの要求信号)の到着時間差312がローカルオシレータの発振周期311より長い場合(312>311)は、要求信号入力端子221、222に対する要求信号の入力のシーケンスが、要求信号入力端子221側が先で要求信号入力端子222側が後であるとき、許可信号の出力は許可信号端子231側に先に行われ、その後、許可信号端子231側に出力される。
なお、要求信号の入力のシーケンスが逆順で入力されても同様の動作を行う。
【0034】
また、逆に入力パルス(すなわち各システムからの要求信号)の到着時間差312がローカルオシレータの発振周期311より短い(312<311)の場合(同時入力の場合も含む)は、要求信号の入力の順序と、許可信号の出力の順序は必ずしも一致しない。しかし、許可信号の出力タイミングは、必ず時間差315をもって現れる。
【0035】
ローカルオシレータをシンプルに構成すればローカルオシレータの発振周期311の長さは非常に短く抑えることができる。したがって、312<311の場合は同時又はほぼ同時の入力状態であるということができる。一般的に、同時もしくはほぼ同時と見なされる入力に対して、調停回路の出力順は問題になることは少ない。
【0036】
このようにしていかなる要求信号の入力があっても、外部からのタイミング信号を必要とすることなしに出力信号に時間差を付ける、すなわち調停を行う回路が実現できる。
【0037】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態のアービタ回路の回路図が図4に示されている。この回路は入力が二つの場合、すなわち2個のシステムが共有リソースを利用する場合に、調停を行う回路である。
【0038】
要求信号入力端子は471、473の二つである。図4において、破線で囲ってある部分の回路490、492がデータ保持回路に、491がローカルオシレータ回路にそれぞれ相当する。まずデータ保持回路490、492について説明を行う。2個のデータ保持回路490、492は同様の動作をする回路であるので、以下動作の説明はデータ保持回路490についてのみ行う。
【0039】
まず、データ保持回路490の回路パラメータは次の関係式を満たすように設計がなされている。インダクタンス402の値をL(402)、ジョセフソン接合432の臨界電流値をJ(432)と表記する。以下同様な表記方法とする。
【0040】
L(402)×J(432)<Φ0 (1)
L(405)×J(434)<Φ0 (2)
(L(403)+L(404))×J(433)>Φ0 (3)
ここでΦ0は磁束量子定数である。
なお、本文におけるジョセフソン接合は、すべて抵抗素子を含むものである。
【0041】
要求信号入力端子471から入力された1磁束量子相当の電圧パルス信号は、ジョセフソン接合432を超伝導状態から電圧状態へ変化させ電流の流れを切り替える。
ここで、式(1)の関係があるために磁束はトラップされず、電流は次段のジョセフソン接合433とインダクタンス403、インダクタンス404、ジョセフソン接合432からなる超伝導ループ485に流れ込む。このループにおいては403,404と433の値を式(3)を満たすようなパラメータとすると、このループに入ってきた磁束量子はループにトラップされ永久周回電流が流れる。つまり“1”のデータ入力があると超伝導ループ485に1磁束量子がトラップされる回路を構成しているのである。
【0042】
さらにジョセフソン接合433と直列にジョセフソン接合436を配置する。ジョセフソン接合436とジョセフソン接合433との大小関係は次のように設計する。超伝導ループ485に1磁束量子がトラップされている場合にタイミング端子480から“1”のパルスが入力された場合、ジョセフソン接合433が先に超伝導状態から電圧状態に遷移する。もし、超伝導ループ485に磁束量子がトラップされていない場合は、ジョセフソン接合436が先に遷移する。
【0043】
超伝導ループ485に磁束がトラップされている場合、ジョセフソン接合433はその永久周回電流分のバイアスがかかったことに相当しており、このような状態での動作に広い動作マージンを持たせるように設計することは容易である。このような設計の元で、タイミング端子480は上述したようにデータ保持回路490のタイミング端子Tの働きをする。すなわちタイミング端子480にデータ“1”が入力されたときに、既に要求信号入力端子471からデータ“1”が入力されていた場合は、そのデータ“1”が超伝導ループ485からインダクタンス405、ジョセフソン接合434へ出力され、ジョセフソン接合434を電圧状態へ遷移させる。
上記(2)式によって磁束量子は保持されず電流はインダクタンス406に流れて許可信号端子472に出力が現れることになる。
【0044】
次に、ローカルオシレータ491の動作について説明する。
このローカルオシレータ491の回路はジョセフソントランスミッションラインの両端をつなげたリング状をしている。ジョセフソン接合の臨界電流値とインダクタンスの値との関係は次の式を満たしている。
【0045】
L(415)×J(443)<Φ0 (4)
L(414)×J(441)<Φ0 (5)
(L(411)+L(410))×J(439)<Φ0 (6)
L(408)×J(438)<Φ0 (7)
L(409)×J(440)<Φ0 (8)
(L(412)+L(413))×J(442)>Φ0 (9)
L(413)<<L(412) (10)
電流源464から適当な電流を注入すると、まずジョセフソン接合442が電圧状態に遷移しパルスが発生する。また超伝導ループ486には式(9)により磁束量子が一つ保持される。その後電流源464より供給する電流値をジョセフソン接合442のおよそ70%程度まで下げる。この際、超伝導ループ486に流れる周回電流は、ジョセフソン接合442の直流バイアスに対して反対方向に流れるため、直流バイアスの上げ下げをすることにより磁束量子パルスを一つだけ発生するという動作が広いマージンを持って実現できる。
【0046】
上記式(4)から式(8)までによって、パルスはジョセフソン接合443、ジョセフソン接合441、ジョセフソン接合439、ジョセフソン接合438、ジョセフソン接合440を電圧状態へと遷移させ、電流の通り道を切り替えながらダイナミックに伝搬してゆく。パルスがジョセフソン接合440からループ486に入っていくと、ジョセフソン接合440は電圧状態に遷移する。このため磁束が打ち消されて、再びジョセフソン接合442を通り新たに磁束が一つ発生する。その際再び超伝導ループ486には磁束がトラップされ周回電流が流れる。すなわちこの回路では外部からのバイアスのみで動作し、リング中をただ一つの磁束量子が廻っているような動作を行う。
【0047】
この磁束量子は、ジョセフソン接合437もしくはジョセフソン接合443をスイッチさせるとき、タイミング端子480、481からのタイミングを表す信号を、パルス保持回路490や492に入れたことと等価となり、データ保持ループからデータを出力させる働きをする。タイミング端子480及び481に信号が与えられるタイミングは同時であってはならないが、この回路を用いれば回路内を一つのパルスのみが伝搬しているために、480、481へのタイミングの時間差が確実に保証される。
【0048】
このローカルオシレータ491の発振周期311は、並列におかれたジョセフソン接合(439、440、411、412)のスイッチング時間と直流バイアスの電流源463、464に依存し、一般に5×10のマイナス12乗秒以下に抑えることができる。このようにしてこの回路はアービタ回路として動作する。
【0049】
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態のアービタ回路の例として、ジョセフソントランスミッションラインを構成するインダクタンス410,インダクタンス411,ジョセフソン接合439,電流源463のグループを、超伝導ループに所定個数加えて発振周期311を遅らせたもの、を挙げる。
【0050】
調停を要求する回路によっては、図3におけるパルスの出力の時間差315をある時間以上にしなければならない場合がある。これは上記のような構成のジョセフソントランスミッションラインを長くすることで実現可能である。さらにこのような構成によって、最も小規模で動作マージンを広く保って実現することができるという効果を奏する。
【0051】
[第四実施形態]
本発明の第四実施形態のアービタ回路の回路図が図5に示されている。ローカルオシレータ591は上述したローカルオシレータ491のジョセフソン接合2個と、バイアス電流1個と、を取り除いたものである。これにより、ローカルオシレータの発振周期311をさらに小さくし、高速調停動作性能を上げる効果がある。
【0052】
[第五実施形態]
本発明の第五実施形態のアービタ回路の回路図が図6に示されている。これは第一実施形態のアービタ回路を3個以上の複数の要求入力に拡張したものであり、3個以上のパルス保持回路600と、複数のタイミング出力を供給するローカルオシレータ691を備える構成である。
【0053】
このような構成によって、3個以上のシステムが1個の共有リソースを共有している場合において、調停を行うことができるアービタ回路が得られる。
【0054】
[第六実施形態]
本発明の第六実施形態のアービタ回路の回路図が図7に示されている。これは第一実施形態におけるローカルオシレータ491を変形し、ローカルオシレータ791としたものである。
【0055】
この回路の動作を説明する。直流の電流源764で供給する電流の値を大きくしてゆくと、ジョセフソン接合739の臨界電流値を超えた時点で、ジョセフソン接合739が電圧状態に遷移し、電圧の値に応じた磁束量子が連続的に発生する。発生する磁束量子の周期fとジョセフソン接合739の両端の電圧vとの間には次のような関係式が成立する。
【0056】
v=f×Φ0 (11)
ジョセフソン接合738、ジョセフソン接合743、インダクタンス710で構成される超伝導ループ785は、この連続発振している磁束量子列を2分周する働きを有する。初期状態において、電流源763から供給されるバイアス電流はジョセフソン接合743に流れ、ジョセフソン接合743を電圧状態に遷移しやすいようにバイアスしている状態にある。
ここへ上述の磁束量子が一つ入力されると、ジョセフソン接合743は電圧状態に遷移する。すると、永久周回電流がループを流れるので、ジョセフソン接合738がバイアスされた状態になる。そこへ上述のパルス列の第2の磁束が入力されると、ジョセフソン接合738が電圧状態に遷移し初期状態に戻る。
【0057】
このような動作をパルス列について行うので結果的に発生したパルス列は2分周され、別々のタイミングでパルス保持回路790及びパルス保持回路792にタイミング信号を生成することができる。このアービタ回路においては、発振周期(図3の311)は、電流源763が供給する直流電流の値で決定され、ジョセフソン素子の持つ高速動作の限界近くでの高速発振が可能となるという効果がある。
【0058】
[第七実施形態]
本発明の第七実施形態のアービタシステムの構成ブロック図が図8に示されている。この図において、アービタ回路800は、これまでに述べた種々のアービタ回路である。また、要求回路802a、802bは、超伝導パルス回路であって、共有リソースに対する要求信号を出力する。これらの要求回路802a、802bが出力した要求信号はアービタ回路800において調停され、要求回路802a、802bのいずれか一方に対して許可信号が出力される。
【0059】
このようにして本第七実施形態によれば、複数の要求回路802a、802bを含むアービタシステムが実現できる。
【0060】
[第八実施形態]
上記第七実施形態においては、要求回路802a、802bは超伝導パルス回路であった。しかし、本発明は、超伝導回路以外の要求回路に対しても調停を行うようにシステムを構成することもできる。このようなアービタシステムの構成ブロック図が図9に示されている。
図9に示されているアービタシステムが、図8のシステムと異なる点は、要求回路902a、902bと、アービタ回路900との間にインターフェース回路904a、904bとを設けたことである。このインターフェース回路904a、904bは、超伝導回路以外の回路の信号を、超伝導パルス回路の論理信号に合致した信号に変換する。そのため、本実施形態では、要求回路は超伝導回路ではなく、通常の半導体回路を用いることができる。
【0061】
このような構成によって、本第八実施形態では、通常の半導体回路である要求回路902a、902bとからの要求信号に対して、今まで述べたアービタ回路と同様に調停を行うことが可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように本願発明によれば、以下のような効果を奏する。
第1に、本発明によれば、超伝導パルスを用いた回路において、複数のパルス入力に対する調停動作が実現できるアービタ回路を提供できるという効果を奏する。
【0063】
第2に、本発明のアービタ回路によれば、調停が外部からのタイミング信号なしに実現できるという効果を奏する。その理由はローカルオシレータをアービタ回路内部の内部に持つためである。
【0064】
第3に、小規模で動作マージンが広い回路が実現できるという効果を奏する。その理由は、従来例のように電圧レベル論理を用いるのではなく、超伝導パルス論理を用いるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な第一実施形態のアービタ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態のアービタ回路であって、パルス保持回路が2個の場合の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の回路の動作を表すタイミングチャートである。
【図4】本発明の好適な第二実施形態のアービタ回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の好適な第四実施形態のアービタ回路の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の好適な第五実施形態のアービタ回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の好適な第六実施形態のアービタ回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の好適な第七実施形態のアービタシステムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の好適な第八実施形態のアービタシステムの構成を示すブロック図である。
【図10】従来のアービタ回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1、2 NORゲート
3、4 インバータ
101 パルス保持回路群
101a、101b、101c パルス保持回路
102 ローカルオシレータ
201、202 パルス保持回路
203 ローカルオシレータ
211、212 タイミングパルス
221、222 要求信号入力端子
231、232 許可信号端子
301、302、303、304、305、306 パルス
311 ローカルオシレータ発信周期
312 入力パルスの時間差
313 入力パルス保持期間
314 パルス出力のための処理時間
315 パルス出力の時間差
402、403、404、405、406、408 インダクタンス
409、410、411、412、413、414 インダクタンス
415、417、418、419、420、421 インダクタンス
432、433、434、436、437、438 ジョセフソン接合
439、440、441、442、443、444、ジョセフソン接合
445、447、448、449 ジョセフソン接合
461、462、463、464、465、466 電流源
471、473 要求信号入力端子
472、474 許可信号端子
480 タイミング端子
485、486 超伝導ループ
490、492 パルス保持回路
491 ローカルオシレータ
590、592 パルス保持回路
591 ローカルオシレータ
532、533、534、536、537、538 ジョセフソン接合
540、542、543、544、545、547 ジョセフソン接合
548、549 ジョセフソン接合
502、503、504、505、506、509 インダクタンス
510、512、513、515、517、518 インダクタンス
520、521 インダクタンス
561、562、564、565、566 電流源
571、573 入力端子
572、574 出力端子
691 ローカルオシレータ
790、792 パルス保持回路
791 ローカルオシレータ
732、733、734、736、737、738 ジョセフソン接合
740、742、743、744、745、747 ジョセフソン接合
748、749 ジョセフソン接合
702、703、704、705、706、710 インダクタンス
711、712、713、717、718、719 インダクタンス
720、721 インダクタンス
761、762、763、764、765、766 電流源
773、771 要求信号入力端子
772、774 許可信号端子
785 超伝導ループ
790、792 パルス保持回路
791 ローカルオシレータ
800 アービタ回路
802a、802b 要求回路
900 アービタ回路
902a、902b 要求回路
904a、904b インターフェース回路

Claims (9)

  1. 要求信号の調停機能を有する回路において、
    前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、
    前記データ保持回路は、超伝導ループを備え、前記超伝導ループは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなることを特徴とするアービタ回路。
  2. 要求信号の調停機能を有する回路において、
    前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、
    前記ローカルオシレータが抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなることを特徴とするアービタ回路。
  3. 要求信号の調停機能を有する回路において、
    前記要求信号を蓄えるデータ保持回路と、前記データ保持回路が蓄えた前記要求信号のデータを出力するタイミングを表すタイミングパルスを出力するローカルオシレータとを有し、
    前記データ保持回路は、超伝導ループを備え、前記超伝導ループは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなり、
    前記ローカルオシレータは、抵抗素子を含むジョセフソン接合と、インダクタンス素子とをループ状に接続してなることを特徴とするアービタ回路。
  4. 前記ローカルオシレータは外部から供給されるクロック信号を用いずに自励式でパルス信号を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアービタ回路。
  5. 前記ループ状に接続された回路に電流を供給する電流源を含み、この電流源は分流のための抵抗素子を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアービタ回路。
  6. 前記インダクタンス素子が超伝導素子で構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアービタ回路。
  7. 調停される前記要求信号を発生する要求回路と、請求項1〜6のいずれかに記載のアービタ回路と、を備え、前記要求回路は超伝導回路であることを特徴とするアービタシステム。
  8. 前記超伝導回路である要求回路がパルス回路であることを特徴とする請求項7記載のアービタシステム。
  9. 調停される前記要求信号を発生する要求回路と、前記要求信号を、超伝導パルス回路の論理信号に合致する信号に変換するインターフェース回路と、請求項1〜6のいずれかに記載のアービタ回路と、を備えることを特徴とするアービタシステム。
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