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JP3584615B2 - スタータ - Google Patents
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JP3584615B2 - スタータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエンジンを電動機の力で回転駆動して始動するスタータの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車のエンジンスタータでは、エンジンルーム内への装備にあたって他の機器との空間上の干渉問題(いわゆる場所の取り合い)が、いよいよ深刻になってきている。それゆえ、通常どおりスタータのモータと並行にマグネットスイッチを配設したのでは、設計段階でエンジンルーム内の機器配置がうまくいかない場合も生じる。また、エンジンルーム内への組付けや、整備または修理のための取り付け取り外しに、モータと並行に配設されたマグネットスイッチが邪魔になることもあり得る。そこで、マグネットスイッチの配置を通常と変えて、これらの問題を解決するスタータの実用化が期待される。
【0003】
かかるスタータの従来技術としては、オーストラリア公開特許第94−80486号公報(EP0702149A1と同一)に、マグネットスイッチがモータを挟んでハウジングとは反対側に配設されているスタータが開示されている。
このスタータでは、マグネットスイッチに通電されると、そのプランジャの動作は紐状部材を介してピニオン回転規制部材に伝達される。すると、紐状部材に引っ張られたピニオン回転規制部材がピニオン移動体の回転を規制するので、ピニオン移動体はピニオン駆動軸のスプラインに沿って突出して、ピニオンがエンジンのリングギヤと噛み合う。
【0004】
逆に、マグネットスイッチへの通電がなくなると、プランジャが復帰して紐状部材が弛むことにより、ピニオン移動体を突出させる作用は失われ、ピニオン移動体は後退してもとの位置に復帰し、リングギヤはピニオンから解放される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術によるスタータでは、マグネットスイッチへの通電がなくなりプランジャが復帰して紐状部材が弛んだ状態で、何らかの理由でピニオンがリングギヤと噛み合ったまま復帰しないと不具合を生じる。すなわち、紐状部材が弛んだままの状態に置かれるので、紐状部材を保持している滑車から紐状部材が外れ、滑車と滑車保持部材との間の隙間に落ち込んでしまいかねない。すると、紐状部材が上記隙間に引っ掛かったまま動かなくなり、スタータの作動不良につながる。
【0006】
一方、マグネットスイッチをモータの後蓋内に装備しており、ヨークの外周面に沿っているレバーの回転によって、ピニオン規制手段を操作するスタータが、先願として特願平8−26549号で出願されている。この先願技術は、紐状部材の脱落による不具合が防止されている点で優れたものであるが、ヨークの外周面に沿ってレバーが露出しているので、ハウジングおよび後蓋にレバーを導入する貫通孔が形成されている。それゆえ、運用中にこのスタータにかかる水、泥、塵埃等が、両貫通孔からハウジング内や後蓋内に浸入する恐れがあり、信頼性の点で完全に十分であるとは言えなかった。
【0007】
そこで本発明は、マグネットスイッチの配置を通常と変更し設計上の不都合を解消していながら、次の2点が解決されているスタータを提供することを解決すべき課題とする。すなわち、第1点は、マグネットスイッチのプランジャによるピニオン移動体の移動機構の作動不良が少なく、高い信頼性が確保されている事である。第2点は、水、泥、塵埃等がハウジング内や後蓋内に浸入することが防止されていることである。
【0008】
以上を要約すると、本発明は、マグネットスイッチの配置による設計上の不都合を解消し、かつ、ピニオン移動体の作動不良が少なく、泥水や塵埃等の浸入が防止されているスタータを提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載のスタータである。
本手段では、マグネットスイッチはモータの他端に隣接して配設されている。本手段は、ピニオン移動体に当接する作動部と、棒状の中間部と、マグネットスイッチのプランジャと係合する被作動部とからなる連動ロッドを有し、この連動ロッドは、その中間部をヨークの内周面に沿った状態で、ヨーク内に収容されている。連動ロッドは、ヨークに対して所定の範囲で移動可能に保持されており、連動ロッドを介してマグネットスイッチのプランジャの駆動力が伝達され、ピニオン移動体を移動する。
【0010】
それゆえ本手段では、マグネットスイッチがモータの後端部(ハウジングとは反対の端)または後蓋に保持されているので、正面面積(ピニオン駆動軸と直交する平面への投影面積)が、モータの断面積程度に抑制されている。そのうえ、プランジャの駆動力をピニオン移動体に伝達する手段(移動機構)に連動ロッドを採用しており、従来技術と異なって紐状部材を使用しないので、紐状部材の脱落などによる作動不良は防止されている。
【0011】
したがって本手段によれば、スタータの正面面積を小さく抑制しながら、マグネットスイッチのプランジャによるピニオン移動体の移動機構の作動不良が防止されているので、スタータの信頼性が高まるという効果がある。
また、本手段では、連動ロッドがヨーク、ハウジングおよび後蓋に内蔵されているので、連動ロッドが外部に露出しておらず、連動ロッドを外部に案内する貫通孔も形成されていない。それゆえ、外部からの泥水や塵埃のスタータ内部への浸入は防止されるという効果もある。
【0012】
以上を要約すると、本発明は、マグネットスイッチの配置による設計上の不都合を解消し、かつ、ピニオン移動体の作動不良が少なく、泥水や塵埃等の浸入が防止されているスタータを提供することができるという効果がある。
なお、前述の従来技術と同様に、ピニオン移動体の回転を係止する回転規制部材を配し、ピニオン駆動軸のスプラインでピニオン移動体を押し出す構成も可能である。本構成によれば、小型軽量のマグネットスイッチによっても、強力にピニオン移動体を押し出してリングギヤと嵌合させることができるので、より好ましい。
【0013】
さらに本手段では、モータのヨーク内周面に溝が軸長方向に形成されており、この溝に、連動ロッドの中間部の少なくとも一部が収容されている。この溝は、互いに隣り合う界磁磁極の間に通常は形成されており、連動ロッドが互いに隣り合う界磁磁極の間の空間を塞ぐことがない。
したがって本手段によればさらに、連動ロッドが隣り合う界磁磁極の冷却を妨げたり、界磁に磁気的な影響をあまり与えたりすることがないという効果がある。
【0014】
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載のスタータである。
本手段では、ヨーク内周面の溝が、ヨークだけではなくヨークに接合しているハウジングおよび後蓋にも形成されており、同溝が対応している(溝筋が合致している)。そして、ハウジングの溝および後蓋の溝には、連動ロッドの作動部の一部と被作動部の一部とがそれぞれ収容されている。それゆえ、連動ロッドはヨークの全長を超えて棒状の直線部を形成することができ、ハウジングや後蓋に軸支される構造を取る場合に有利である。
【0015】
そればかりではなく、被作動部および作動部を斜めに長いアームで中間部と連結している必要がなく、中間部から直角に被作動部および作動部を形成して最短のモーメントアームに抑えることができる。それゆえ、中間部の回転軸線から半径方向に距離がある作動部や被作動部にかかる曲げモーメントや捩じりモーメントが軽減され、連動ロッドに生じる応力や歪みが減るので、連動ロッドの軽量化も図れる。
【0016】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、連動ロッドの配設が容易になるばかりでなく、連動ロッドの軽量化できるという効果がある。
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載のスタータである。
本手段では、マグネットスイッチはモータ回転軸と略垂直(必ずしも交差とは限らず、ねじれの位置関係でもよい)に配設されている。そして、マグネットスイッチが作動してプランジャが直線移動すると、連動ロッドは、その回転軸から偏心している被作動部でプランジャと係合しているので、中間部の軸心回りに回動する。すると、連動ロッドの作動部も一体に回動し、中間部の軸心回りに軸方向にリードを有してらせん状に形成されている作動部の前端部で、ピニオン移動体を押圧して移動させ、エンジンのリングギヤと噛み合う位置に突出させる。
【0017】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、マグネットスイッチ(通常は直径よりも全長が長い)がモータ回転軸と略垂直に配設されているので、スタータの全長をあまり増大させることがなく、スタータがよりコンパクトになるという効果がある。なお、マグネットスイッチがモータ後蓋の中に収容されていれば、マグネットスイッチの保護にもなるという効果がある。
【0018】
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載のスタータである。
本手段では、連動ロッドの中間部に小径部分が少なくとも二箇所あり、同小径部分に軸受けが嵌合して連動ロッドを軸支されている。各軸受けは、ヨーク、ハウジングおよび後蓋のうち、それぞれいずれかの溝に固定されている。
【0019】
したがって本手段によれば、前述の第3手段の効果に加えて、連動ロッドの中間部が軸受けで軸支されているので、連動ロッドの回転運動に伴う摩擦が少なく、連動ロッドの回転動作が滑らかになる。また、連動ロッドの中間部がヨーク等の内周面(溝の表面など)と所定の距離をおいていて接触していないので、連動ロッドがヨークやハウジングまたは後蓋の内周面に触れて動作が阻害されることがない。それゆえ、連動ロッドの動作が滑らかで、そのピニオン移動体の移動作用の信頼性が高くなるという効果がある。
【0020】
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載のスタータである。
本手段では、前述の第5手段と同様に、連動ロッドの前記中間部は少なくとも二箇所でそれぞれ軸受けにより軸支されている。しかし、連動ロッドは中間部に小径部分を必要とせず、軸受けに対し軸長方向に隣接して抜け止めリングが連動ロッドの中間部に固定されている点が、第4手段と異なっている。すなわち、抜け止めリングの作用により、連動ロッドの長手方向の移動が規制されている。
【0021】
したがって本手段によれば、前述の第4手段の効果に加えて、連動ロッドに小径部分が形成されていることを必要としないので、連動ロッドをより軽量かつ強靱にすることができるという効果がある。
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載のスタータである。
【0022】
本手段では、前述の第3手段と異なり、マグネットスイッチはモータの回転軸と略平行に配設されている。そして、連動ロッドはモータ回転軸と平行に移動可能に保持されていて、連動ロッドの被作動部はプランジャと係合しており、作動部はピニオン移動体に当接している。それゆえ、マグネットスイッチが作動してプランジャがピニオンの方向に突出すると、プランジャと被作動部で係合している連動ロッドもモータ回転軸と平行にピニオンの方向に移動し、ピニオン移動体を作動部で押し出す。その結果、ピニオン移動体は連動ロッドに押されて移動し、ピニオンは突出してエンジンのリングギヤと噛み合って、モータの回転力によりリングギヤを回転駆動してエンジンを始動する。
【0023】
すなわち本手段では、マグネットスイッチがモータ回転軸と略平行に配設されているので、連動ロッドは平行移動によってピニオン移動体を押し出す。
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、連動ロッドの構成が単純となり、いっそうの簡素化とコスト低減とが可能になるという効果がある。
【0024】
(第7手段)
本発明の第7手段は、請求項7記載のスタータである。
本手段では、連動ロッドの中間部の少なくとも二箇所でそれぞれ保持部材により長手方向に摺動可能に保持されている。
したがって本手段によれば、前述の第6手段の効果に加えて、連動ロッドの中間部が保持部材で支持されているので、連動ロッドの摺動に際して摩擦が少なく、連動ロッドの直線摺動動作が滑らかになる。また、連動ロッドの中間部がヨーク等の内周面(溝の表面等)と所定の距離をおいていて接触していないので、連動ロッドがヨークやハウジングまたは後蓋の内周面に触れて動作が阻害されることがない。それゆえ、連動ロッドの動作が滑らかで信頼性が高くなるという効果がある。
【0025】
(第8手段)
本発明の第8手段は、請求項8記載のスタータである。
本手段では、連動ロッドが非磁性材料からなるので、交番に急激に変動する界磁磁場による磁気力を受けることがなく、界磁により加振されることがない。
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、連動ロッドが界磁によって振動したり、その振動によって周囲に衝突したりして不具合を起こすすることがないので、信頼性が向上するという効果がある。
【0026】
(第9手段)
本発明の第9手段は、請求項9記載のスタータである。
本手段では、マグネットスイッチが作動してプランジャが吸引されると、その変位は連動ロッドを介してピニオン回転規制部材に伝達され、ピニオン移動体の回転が規制される。すると、回転駆動される出力軸とピニオン移動体との間に回転速度の差が生じ、スプラインの作用でピニオン移動体は強力に押され、リングギヤと噛み合う位置へと移動する。
【0027】
本手段の構成では、ピニオン移動体を連動ロッドで直接押して移動させる構成に比較して、ピニオン回転規制部材を作動させるのに必要な力は小さく、連動ロッドにかかる荷重も小さくて済む。それゆえ、連動ロッドを駆動するマグネットスイッチの電磁吸引力も小さくて済み、連動ロッドおよびマグネットスイッチの小型軽量化が図れる。
【0028】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、スタータをよりいっそう小型軽量化し、かつ、コストダウンすることが可能であるという効果がある。また、マグネットスイッチの電磁吸引力が小さくて済む分、始動電力のピークを抑えることができ、始動回路の容量への要求が緩和されるという効果もあり、ひいては始動回路の軽量化およびコストダウンにもつながる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明のスタータの実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例等で明確かつ充分に説明する。
〔実施例1〕
(実施例1の全体構成)
本発明の実施例1としてのスタータは、図1に示すように、ピニオン移動体1と出力軸11とハウジング2とモータ3とマグネットスイッチ4とを備えている。同図中では、図中左方を前方、図中右方を後方とし、図中上方を上方、図中下方を下方として説明の便宜を図るものとする。
【0030】
ピニオン移動体1は、ピニオンギヤ12とワンウェイクラッチ(オーバランニングクラッチ)13とリテーナワッシャ14から構成されている。ピニオンギヤ12は、エンジン(図略)のクランク軸(図略)に固定されているフライホイールFの外周に形成されているリングギヤと噛み合い、フライホイールFをモータ3の軸出力で回転駆動する。ピニオン移動体1は、出力軸11の外周面に形成されているスプラインに係合しており、出力軸11に沿ってその軸長方向に移動可能に支持されている。リテーナワッシャ14は、中央に貫通孔をもつ円盤部材である。リテーナワッシャ14は、クラッチ13の内周部は、アウタ部材13aの円筒状部の外周に形成されている円周状の溝に嵌合して、アウタ部材13aに固定されている(もしくは、アウタ部材13aの溝に回転自在に係合していてもよよい)。
【0031】
ハウジング2は、本スタータの前部の外形を形成している鋳造アルミニウム合金からなる構造部材であり、前端部21で軸受け27を介し、出力軸11の前端部を回動自在に軸支している。ハウジング2は、前方に面して形成されている当接部22で、フライホイールFを収容しているケーシング(図略)等に当接嵌合して固定される。前述のピニオン移動体1は、ハウジング2の内部空間に収容されている。
【0032】
モータ3は、図2(a)に示すように、軟磁性体(軟鉄)からなる略パイプ状のヨーク(継鉄)34とその内周に配設されている複数の界磁磁極37と、中心に回転軸31が挿通している回転子(アーマチュア)32と、後蓋としてのエンドフレーム5とから構成されている。モータ3は、再び図1に示すように、ヨーク34の前端部でハウジング2の後端部24と嵌合しており、ヨーク34の後端部ではエンドフレーム5の前端部51と嵌合している。ハウジング2とエンドフレーム5とは、ヨーク34の外側を通るスルーボルト7により、軸方向に互いに圧縮されて締結されている。
【0033】
エンドフレーム5は、鋳造アルミニウム合金からなる構造部材で、前端部51でヨーク34の後端部に嵌合固定されており、円筒部52と円筒部52の後端面を覆うエンドプレート53とで内部空間を形成している。エンドフレーム5の内部空間には、通電時に磁気コイル44に吸引されるプランジャ41を有するマグネットスイッチ4が、エンドフレーム5のエンドプレート53等に対して固定保持されている。
【0034】
マグネットスイッチ4は、モータ3の回転軸31とプランジャ41の移動方向とが直交する方向に配設されている。マグネットスイッチ4は、ボビンに巻線された磁気コイル44と、磁気コイル44の周囲を囲む中空円筒体の磁気回路部材45とを有し、磁気回路部材45はエンドプレート53に固定されている。マグネットスイッチ4は、磁気コイル44の中心に形成されている貫通孔に嵌合して貫通孔の軸方向に摺動可能に保持されているプランジャ41とを有し、プランジャ41は磁気コイル44に通電されると磁気コイル44の貫通孔内に吸引され、通電が無くなるとリターンスプリング46のバネ弾性力で突出した位置に復帰する。
【0035】
プランジャ41は、図3に示すように、下端部に突出しているプランジャロッド42を保持しており、プランジャロッド42の先端部分には前後方向に貫通している係合孔43が形成されている。係合孔43には、後述の連動ロッド6のクランク状の被作動部64の後端部が挿入され、係合している。
マグネットスイッチ4の上端部には、メインスイッチ(図3参照)が備わっている。メインスイッチは、磁気回路部材45から突出しているプランジャ41の上端部に保持されている可動接点金具48と、エンドフレーム5の円筒部52の斜め上方の貫通孔を覆って固定されている端子ケース54に固定されている固定接点金具49とからなる。固定接点金具49は、再び図1に示すように、端子金具47を介して外部回路(バッテリ正極と導通する始動用回路)と導通しており、一方、可動接点金具48は導線(図略)を介してモータ3のプラスブラシ(図略)に導通している。
【0036】
なお、マグネットスイッチ4のプランジャ41の軸線は、重力方向に対して回転軸31回りに45°程度傾いてむいて配設されている。それゆえ、端子金具47および端子ケース54は、図1に便宜的に示すようにスタータの直上には配置されることはなく、図3および図9に示すように傾いた位置に配設される。
(実施例1の連動ロッドの配設および構成)
マグネットスイッチ4は、モータ3の後端を形成しているエンドフレーム5内に配設されており、プランジャ41の駆動力を連動ロッド6を介して、ピニオン移動体1を出力軸11に沿って移動させる。その結果、通常のスタータと同様に、ピニオンギヤ12は突出してリングギヤRに噛み合い、ピニオンギヤ12を出力軸11を介してモータ3で駆動することにより、リングギヤRを回転駆動してエンジンを始動する。
【0037】
ここで、本実施例では減速ギヤを装備していないので、モータ3の回転軸31と出力軸11とは一体の同一部材である。しかし、例えば遊星減速機等をモータ3の回転軸31と出力軸11との間に装備している構成のリダクション型スタータでは、モータ3の回転軸31と出力軸11とは別部材であり、減速比の比率で異なる回転速度で回転する。
【0038】
さて、連動ロッド6は、図1および図5(a)〜(d)に示すように、非磁性ステンレス鋼からなる丸棒を曲げ加工した部材である。すなわち連動ロッド6は、ピニオン移動体1に当接する作動部62と、真っ直ぐな丸棒状の中間部63と、マグネットスイッチ4のプランジャロッド42と係合する被作動部64との三部分から構成されている。連動ロッド6は、ヨーク34の内周面に沿って中間部63が収容されており、所定の範囲で回転移動可能に保持されている。
【0039】
より詳しくは図2(a)〜(b)に示すように、ヨーク34には、互いに隣り合う界磁磁極37の間で外周面および内周面が外側へ突出している突出部35が、回転軸31の軸長方向に形成されている。連動ロッド6は、ヨーク34の突出部35の内周面が形成している溝36に中間部63が収容され、所定の範囲で回動可能に保持されている。
【0040】
再び図5(a)〜(b)に示すように、連動ロッド6の中間部63には、隣接する部分より直径が小さい小径部60が前後に二箇所形成されている。図6と再び図2(a)〜(b)とに示すように、連動ロッド6は、中間部63の各小径部60に嵌合するそれぞれの軸受け65により回動自在に軸支されている。そして各軸受け65は、ヨーク34の前端部分および後端部分の溝36の内周面に接して、ビス66により固定されている。なお、ビス66による固定の他にも、溝36の縁をかしめて各軸受け65を固定したり、溶接で各軸受け65を溝36に固定したりしてもよい。
【0041】
また、図3および図4に示すように、エンドフレーム5とハウジング2とにも、ヨーク34の突出部35の内周面の溝36と連続している溝56,26を形成している突出部55,25がそれぞれ形成されている。突出部55,25が形成している溝56,26には、連動ロッド6の作動部62の一部と被作動部64の一部とがそれぞれ収容されている。なお、図3の軸受け65は、ヨーク34に接合されているものであり、同図の端面から通して見えるように描かれている。
【0042】
前述のように、連動ロッド6は中間部63の軸心回りに回動可能に軸支されており、連動ロッド6のクランク状の被作動部64は、中間部63の軸心から所定距離離れた後端部分でプランジャロッド42の係合孔43に挿置されて係合している。それゆえ、再び図3に示すように、プランジャ41の直線移動Lは、中間部63の軸心回りの回転移動Iに変換されて、連動ロッド6が回転変位する。
【0043】
再び図4に示すように、連動ロッド6の作動部62には中間部63の軸心回りにらせん状の前端部分61が形成されているので、連動ロッド6が回転変位すると中間部63の軸心回りに前端部分61も回動する。すると、前端部分61はピニオン移動体1のリテーナワッシャ14に後方から当接しているので、リテーナワッシャ14は前方に押され、連動ロッド6はピニオン移動体1は前方に移動させる。
【0044】
(実施例1の組み立て手順)
本実施例のスタータの組み立て手順を、連動ロッド6関連の組み立てを中心に説明する。
先ず、連動ロッド6の材料である真っ直ぐなステンレス鋼の丸棒の中間部63に、旋盤等による切削加工で二箇所の小径部60を形成する。そして、二つの軸受け65の貫通孔に通して、中間部63で軸受け65を全周から押圧力を与えて締め加工し、縮径させて中間部63の小径部60に嵌合させる。そして、各小径部60にそれぞれ軸受け65を保持したままの状態で、同丸棒を中間部63を残して曲げ加工し、前述の作動部62および被作動部64を成形する。そののち、各軸受け65をヨーク34の突出部35にビス66で締結固定する。なお、軸受け65が半割の二分割部材からなる構成も可能であり、この構成では軸受け65を締め加工する必要はなくなる。
【0045】
次に、マグネットスイッチ4が予め組み込まれているエンドフレーム5を、プランジャ41と連動ロッド6とが係合している状態で、ヨーク34の後端部に接合する。すなわち、マグネットスイッチ4のプランジャロッド42の係合孔43に、連動ロッド6の被作動部64の後端部分を挿入して係合させ、その係合状態を保ったままエンドフレーム5の前端部51をヨーク34の後端部に接合する。また、ヨーク34の前端部をハウジング2の後端部24に接合し、エンドフレーム5とハウジング2とを対角にある二本のスルーボルト7により、ヨーク34を挟んで締結する。すると、連動ロッド6の作動部62の前端部分61が、後方からピニオン移動体1のリテーナワッシャ14に当接した状態になり、組み立てが完了する。
【0046】
(実施例1の作用効果)
本実施例のスタータは、以上のように構成されているので、次に列挙する作用があり優れた効果を発揮する。
第1に、マグネットスイッチ4がモータ3の後蓋であるエンドフレーム5内に配設されており、プランジャロッド42に係合しピニオン移動体1と連動している連動ロッド6がエンドフレーム5からハウジング2まで配設されている。連動ロッド6のうち、作動部62はハウジング2内に、中間部63はヨーク34内に、被作動部64はエンドフレーム5内にそれぞれ内蔵されており、外部に露出している部分はない。そして連動ロッド6は、軸受け65により中間部63の軸心を中心に回動可能に保持されており、連動ロッド6の回転移動を介してマグネットスイッチ4のプランジャ41からの駆動力が伝達され、ピニオン移動体1を移動させる。
【0047】
それゆえ、マグネットスイッチ4がエンドフレーム5内に保持されているので、正面面積(出力軸11と直交する平面への投影面積)が、モータ3の断面積程度に抑制されている。さらに、プランジャ41からの駆動力をピニオン移動体1に伝達する手段に連動ロッド6を採用しており、従来技術と異なって紐状部材を使用しないので、紐状部材の脱落などによる作動不良は防止されている。
【0048】
したがって、本実施例のスタータによれば、スタータの正面面積を小さく抑制しながら、マグネットスイッチ4のプランジャ41によるピニオン移動体1の移動機構(本実施例では連動ロッド6)の作動不良が防止されているので、スタータの信頼性が高まるという効果がある。
また、連動ロッド6が外部に露出せず、連動ロッド6を外部に案内する貫通孔はスタータの外形を形成する部材(ハウジング2、ヨーク34、エンドフレーム5)に形成されていない。それゆえ、外部からの泥水や塵埃のスタータ内部への浸入は防止されるという効果もある。
【0049】
以上を要約すると、本実施例のスタータによれば、マグネットスイッチ4の配置による設計上の不都合を解消し、かつ、ピニオン移動体1の作動不良が少なく、泥水や塵埃等の浸入が防止されるという効果がある。
第2に、モータ3のヨーク34に、互いに隣り合う界磁磁極37の間で突出部35突出部が軸長方向に形成されている。そして、連動ロッド6の中間部63の大半は、ヨーク34の突出部35の溝36溝に収容されており、中間部63が互いに隣り合う界磁磁極37の間の空間を塞ぐことがない。したがって、連動ロッド6の中間部63が界磁磁極37の冷却を妨げたり、界磁に磁気的な影響を与えたりすることがないという効果がある。
【0050】
第3に、ヨーク34が突出部35を形成しているだけではなく、ヨーク34の前後にそれぞれ接合しているハウジング2およびエンドフレーム5も、それぞれ突出部25,55を形成しておる。すなわち、溝25,35,55は互いに直線的に連続しており、ハウジング2の突出部25の溝26とエンドフレーム5の突出部55の溝56とには、連動ロッド6の作動部62の一部と被作動部64の一部とがそれぞれ収容されている。
【0051】
それゆえ、連動ロッド6はヨーク34の全長を超えて棒状の直線部を形成することができ、本実施例とは異なってハウジング2やエンドフレーム5に軸受け65が固定される構造を取る場合には有利である。そればかりではなく、中間部63の回転軸線から半径方向に距離がある作動部62や被作動部64にかかる曲げモーメントや捩じりモーメントが軽減され、連動ロッド6に生じる応力や歪みが減るので、連動ロッド6の軽量化も図れる。
【0052】
したがって、本実施例のスタータによれば、連動ロッド6の配設が容易になるばかりでなく、連動ロッド6の軽量化できるという効果がある。
第4に、マグネットスイッチ4は回転軸11,31と垂直に交差して配設されている。再び図3に示すように、マグネットスイッチ4が作動してプランジャ41が直線移動すると、プランジャロッド42と係合している被作動部64は、中間部63の軸心から偏心しているので、中間部63の軸心回りに回動する。すると、再び図4に示すように、連動ロッド6の作動部62も一体に回動し、中間部63の軸心回りにらせん状に形成されている前端部分61で、ピニオン移動体1を押圧して前方に移動させる。その結果、ピニオンギヤ12がエンジン(図略)のリングギヤRと噛み合う位置に突出させられる。
【0053】
したがって、本実施例によれば、マグネットスイッチ4がモータ回転軸31と垂直に配設されているので、スタータの全長をあまり増大させることがなく、スタータがよりコンパクトになるという効果がある。また、マグネットスイッチ4がエンドフレーム5の中に収容されているので、マグネットスイッチ4の保護にもなるという効果がある。
【0054】
第5に、連動ロッド6の中間部63に小径部60が二箇所あり、各小径部60にそれぞれ軸受け65が連動ロッド6を軸支しており、各軸受け65はヨーク34の突出部35の溝36に固定されている。
したがって、本実施例のスタータによれば、連動ロッド6の中間部63が二つの軸受け65で軸支されているので、連動ロッド6の回転運動に伴う摩擦が少なく、連動ロッド6の回転動作が滑らかになる。また、ハウジング2、ヨーク34およびエンドフレーム5の溝26,36,56の内周面と連動ロッド6との間には所定の距離があり、互いに接触しないので、連動ロッド6の動作が阻害されることがない。それゆえ、連動ロッド6の動作が滑らかで、連動ロッド6がもつピニオン移動体1の移動作用の信頼性が高くなるという効果がある。
【0055】
第6に、連動ロッド6の材料が非磁性ステンレス鋼であるので、交番にかつ急激に変動する界磁磁場による磁気力を連動ロッド6は受けることがなく、界磁により加振されることもない。
したがって、本実施例のスタータによれば、連動ロッド6が界磁によって振動したり、その振動によって連動ロッド6が周囲の部材に衝突したりして不具合を起こすことがないので、信頼性が向上するという効果がある。
【0056】
(実施例1の変形態様1)
軸受け65を突出部35に固定する手段として、ビス66(図2(b)参照)に替わり、図7に示すように溶接を採用した変形態様も可能である。本変形態様では、軸受け65に雌ねじを切る必要がなく、軸受け65の孔の位置合わせも必要ないので、より安価に本スタータを製造することができる。
【0057】
(実施例1の変形態様2)
実施例1では、連動ロッド6の中間部63を突出部35の溝36に保持する手段として軸受け65を用いていたが、図8に示すように直接溝36’で連動ロッド6’を保持する構成の変形態様も可能である。
本変形態様では、溝36’の内径が実施例1の溝36に比べて小さくなっており、溝36’の内周面は連動ロッド6’の中間部63’に隙間嵌めで直接当接する。溝36’の縁はやや狭くなって締まり嵌めになっており、連動ロッド6’の中間部63’が溝36’から脱落しない構造になっている。また、溝36’の開口を塞いで二箇所程度に留め具67を溶接すれば、連動ロッド6’の保持はより確実になる。
【0058】
また、本変形態様では連動ロッド6’は、図10(a)〜(c)に示すように中間部63’に小径部60を形成していないので、連動ロッド6’の強度および剛性は向上し、軽量化を図ることも可能になる。
(実施例1の変形態様3)
実施例1の軸受け65を用いる構成に替わり、小径部60が形成されていない連動ロッド6”を採用した構成の変形態様も可能である。
【0059】
本変形態様では、図9(a)に示すように、連動ロッド6”の中間部63”は二箇所でそれぞれ軸受け65”軸受けにより軸支されており、各軸受け65”はそれぞれ、ヨーク34の突出部35の溝36の前端部および後端部の内周面に溶接で固定されている。中間部63”には、各軸受け65”の互いに背向する側に、抜け止めリングとしてのスラストワッシャ65aおよびサークリップ65bが配設されている。
【0060】
本変形態様では、連動ロッド6”の中間部63”に小径部分を必要とせず、軸受け65”に対し、軸長方向に隣接して抜け止めリング65a,65bが連動ロッド6”の中間部63”に固定されている。すなわち、抜け止めリング65a,65bの作用により、連動ロッド6”の長手方向の移動が規制されており、連動ロッド6”の位置が安定しているという効果がある。また本変形態様によれば、連動ロッド6”に小径部分が形成されていないので、連動ロッド6”をより軽量かつ強靱に形成することができるという効果がある。
【0061】
(実施例1の変形態様4)
実施例1の突出部35とは別に、スルーボルト7を収容する突出部が、ヨークとハウジングおよびエンドフレームの一部とに形成されている変形態様も可能である。本変形態様では、スルーボルト7が外部に露出していないので、錆止めなどの表面処理や作業員による取扱いなどが容易になるという効果がある。
【0062】
あるいは、スルーボルト7用の突出部を設けることなく、互いに隣り合う界磁磁極37の間にスルーボルト7を通す変形態様によっても、同様の作用効果が得られる。
(実施例1の変形態様5)
実施例1のヨーク34から突出部35をなくし、パイプ状のヨークの内周面に固定されている互いに隣り合う界磁磁極37の間に、連動ロッド6の中間部63を通す変形態様も可能である。本変形態様においては、互いに隣り合う界磁磁極37の間のヨーク内周面には、切削等によりやや浅く凹設された溝が回転軸と平行に延設されている。
【0063】
(実施例1の変形態様6)
前述の変形態様5においてさらに、連動ロッド6を通す溝の他に、パイプ状のヨークの内周面に固定されている互いに隣り合う界磁磁極37の間にスルーボルト7を通す溝も凹設されている変形態様も可能である。
この溝も、切削加工等により形成されており、ヨーク外周面には突出部35が生じない。この溝には、スルーボルト7の対称面を境に半分が収納され、スルーボルト7の首下部分の容量の半分はこの溝に埋設される。スルーボルト7は、ヨーク34と同様に軟磁性材料からなり、溝によりヨークの円筒壁の厚みが減少した分を補うので、ヨークの磁力線流路としての作用は損なわれない。また、スルーボルト7がヨーク内周面に半分埋設されているので、互いに隣り合う界磁磁極37の間の空間をあまり塞がず、モータ内部空間での空冷作用も損なわれることがない。
【0064】
さらに本変形態様では、スルーボルト7もヨークの外部に露出しない。本変形態様によれば、ヨークの外周面はほぼ完全に円筒面で形成され、スタータはよりいっそうコンパクトになるという効果がある。
(実施例1の変形態様7)
遊星減速機等をモータ3の回転軸31と出力軸11との間に装備している構成のリダクション型スタータの変形態様(図略)も可能である。
【0065】
本変形態様では、モータ3の回転軸31と出力軸11とは別部材であり、減速比の比率で異なる回転速度で回転する。それゆえ、高速回転する小型高出力のモータ3を装備し、スタータをよりいっそう小型軽量化することができるという効果がある。
〔実施例2〕
(実施例2の構成)
本発明の実施例2としてのスタータは、図11に示すように、マグネットスイッチ4’は、モータ3の回転軸31とプランジャ41’の移動方向とが平行である方向に配設されている。マグネットスイッチ4’は、プランジャ41’を駆動する磁気コイル44および磁気回路部材45’と、直線的に駆動されるプランジャ41およびプランジャロッド42’とを有する。
【0066】
また、プランジャ41の後端部には可動接点金具48’が固定されており、マグネットスイッチ4の円筒状の側面部を形成している外筒部材40に固定されている固定接点金具49’とで、メインスイッチを構成している。固定接点金具49は、マグネットスイッチ4から突出している端子金具47’に導通している。なお、端子金具47’は、スタータの配置上いずれの方向を向けて配設することも可能である。
【0067】
外筒部材40は頭部の外周面に雄ねじが切ってあり、エンドフレーム5’のエンドプレート53’から後方に突出して形成されている円筒状の取付部57の内周面に切られている雌ねじに螺合する。こうして、マグネットスイッチ4’はエンドフレーム5に固定される。取付部57はモータ3の外周面からはみ出さない位置に形成されているので、マグネットスイッチ4’の故にスタータの正面面積が増大することはない。
【0068】
一方、連動ロッド6Aは所定の長さの直線状の丸棒(非磁性ステンレス鋼製)であり、実施例1と同様にハウジング2とヨーク34とエンドフレーム5とに連続して形成されている溝26,36,56に収容されている。連動ロッド6Aは、四個の保持部材68により、作動部62’の一箇所と中間部63の二箇所と被作動部64’の一箇所とで、ハウジング2の溝26の内周面とエンドフレーム5の溝56の内周面とにそれぞれ溶接されている。各保持部材68は中空円筒状の摺動部材であり、その貫通孔に通されている連動ロッド6Aは、各保持部材68により長手方向に摺動可能に保持されており、その摺動面にはグリスが塗られている。
【0069】
連動ロッド6Aの被作動部64は、台形の平板部材である連結部材82を介し、プランジャロッド42’の先端部分と互いに溶接されているので、連動ロッド6Aはプランジャロッド42’の直線移動に連動して平行移動する。
また、連動ロッド6Aの作動部62’は、台形の平板部材である連結部材82に溶接で接合されている。同様に、連結部材82および円筒部材83は互いに溶接で一体に固定されている。円筒部材83の内周面は、クラッチ13のアウタ部材13a後部の円筒部分の外周に隙間嵌めで嵌合しており、円筒部材83の前端面は、クラッチ13のアウタ部材13aの円盤部分の背面に当接している。円筒部材83とクラッチ13のアウタ部材13aとの摺動面には、グリスが塗られている。
【0070】
(実施例2の組立手順)
連動ロッド6Aは、中間部63の中程に固定されているコネクタ69を境に、前後に分割されて製造されている。コネクタ69は、突き合わせると自然に嵌合して結合し、引っ張り力を加えただけでは分離しなくなる作用をもっている。
本実施例のスタータの組み立ては、連動ロッド6Aの前半部が組み込まれたハウジング2と、連動ロッド6Aの後半部およびマグネットスイッチ4が組み込まれたハウジング2と、モータ3とを別個に組み立てることから始まる。
【0071】
先ず、ハウジング2の組み立てについて説明する。ハウジング2の組み立てに先立ち、連動ロッド6Aの作動部62’と連結部材82と円筒部材83とを溶接しておく。併せて、連結部材82の後ろの連動ロッド6Aの中間部63’を、保持部材68に通した後、コネクタ69の一方を連動ロッド6Aの前半部の後端に接合固定しておく。しかるのち、ハウジング2にピニオン移動体1と出力軸11とを組み込む際に、円筒部材83をアウタ部材13aに被せ、二つの保持部材68を溝26の前部と後部とにそれぞれ溶接して固定する。
【0072】
これと並行して、エンドフレーム5の組立が行われるが、エンドフレーム5の組立に先立って、連動ロッド6Aの被作動部64’と連結板81とを互いに溶接しておく。また、連結板81の前方の連動ロッド6Aを保持部材68に通したのち、連動ロッド6Aの後半部の前端にコネクタ69の他方を接合固定しておく。エンドフレーム5後端の取付部57にマグネットスイッチ4が固定された後、エンドプレート53’から内部空間に突出しているプランジャロッド42の先端部に、連結部材82の上辺を溶接する。すると、連結部材82および連動ロッド6Aの後半部とプランジャロッド42とは互いに固定され、プランジャ41に連動して連動ロッド6Aの後半部が前後に移動するようになる。
【0073】
最後に、モータ3を挟んでハウジング2とエンドフレーム5とを接合するにあたり、前述のコネクタ69の一方と他方とを突き合わせて嵌合させ、連動ロッド6Aの前半部と後半部とを連結して連動ロッド6Aを一体に結合する。この状態で、ハウジング2とエンドフレーム5とをスルーボルト7(図略)で締結して、本実施例のスタータの組立は概ね完了する。
【0074】
(実施例2の作用効果)
本実施例のスタータは、以上のように構成されているので、次に列挙する作用があり優れた効果を発揮する。
第1に、マグネットスイッチ4のプランジャ41の軸線は、モータ3の回転軸31と平行に配設されている。そして、連動ロッド6Aはモータ3の回転軸31と平行に移動できるように、保持部材68により摺動可能に保持されている。連動ロッド6Aの被作動部64はプランジャロッド42と係合しており、作動部62は連結部材82および円筒部材83を介してピニオン移動体1に当接している。それゆえ、マグネットスイッチ4が作動してプランジャ41が前方に突出すると、プランジャロッド42と連結板81を介して被作動部64で接合している連動ロッド6Aも、モータ3の回転軸31と並行して前方に移動し、ピニオン移動体1を作動部62で前方に押し出す。その結果、ピニオン移動体1は連動ロッド6Aに押されて前方に移動し、ピニオンギヤ12は突出してエンジン(図略)のリングギヤR(図1参照)と噛み合い、モータ3の回転力によりリングギヤRを回転駆動してエンジンを始動する。
【0075】
すなわち、本実施例のスタータでは、マグネットスイッチ4がモータ3の回転軸31と平行に配設されているので、連動ロッド6Aは平行移動によってピニオン移動体1を押し出してエンジンを始動する。それゆえ、連動ロッド6の回動を介してピニオン移動体1を押し出す実施例1と比較して、作動がより単純で信頼性が増すという効果がある。また、前述の実施例1と異なって連動ロッド6Aが直線状の丸棒部材であり、単純であるから簡素化とコスト低減とが可能になるという効果もある。
【0076】
第2に、連動ロッド6Aは、中間部63の前後二箇所と連動ロッド6Aの前後両端部の二箇所との合計四箇所で、それぞれ保持部材68により長手方向に摺動可能に保持されている。
したがって、連動ロッド6Aが四箇所で保持部材68により支持されているので、直線移動する連動ロッド6Aの摺動に際して保持部材68との摩擦が少なく、連動ロッド6Aの直線摺動動作が滑らかになる。また、連動ロッド6Aのいずれの部分も溝26,36,56の内周面と所定の距離をおいていて接触していないので、連動ロッド6Aの動作が阻害されることがない。それゆえ、連動ロッド6Aの動作が滑らかであり、いっそう信頼性が高くなるという効果がある。
【0077】
第3に、ピニオン移動体1およびプランジャロッド42と連動ロッド6Aとのそれぞれの連結に、剛性が高い連結部材82および連結板81を使用しており、また、連動ロッド6Aも四箇所で支持されていて挫屈しにくい。それゆえ、スタータ使用時に、後方へ向かってピニオン移動体1に過大な力がかかった場合にも、剛性強度が高く破損しにくいという効果がある。
【0078】
(実施例2の変形態様1)
前述の実施例2では、連動ロッド6Aとピニオン移動体1およびプランジャロッド42との連結に、連結板81、連結部材82および円筒部材83を備えているが、これらを採用しない簡便な構成の変形態様が可能である。
本変形態様では、連動ロッド6Bは丸棒部材(非磁性ステンレス鋼製)であり、その中間部63”は小径部60(図5参照)もコネクタ69もない直線状に 成されている。中間部63”は、ヨーク34の溝36の内周面に溶接されている保持部材68により、ヨーク34の前端部と後端部とで保持されている。
【0079】
連動ロッド6Bの作動部62”は途中で上方に屈曲されており、作動部62”の前端部分61”は、所定の曲率で円弧状に形成されていて、アウタ部材13aの円盤部と円筒部との境目に巻きついている。いっぽう、連動ロッド6Bの被作動部64”は途中から直上方向に曲げられており、その上端には有底円筒部材84が溶接されていて、同部材にプランジャロッド42の先端が挿入されて接合固定されている。
【0080】
本変形態様のスタータの組立手順は、先ず、二つの保持部材68にまだ直線状の丸棒部材を通したのち、上記形状に屈曲成形するとともに被作動部64”の端面に有底円筒部材84を溶接して連動ロッド6Bとする。そして、保持部材68をヨーク34の溝36の前端部および後端部の各内周面に溶接し、ヨーク34に連動ロッド6Bを前後に摺動可能に保持させる。しかるのち、エンドフレーム5をモータ3に接合するが、その際、有底円筒部材84の後方に開口している孔にプランジャロッド42の先端を挿入して接合する。併せて、ピニオン移動体1および出力軸11が挿置されているハウジング2をモータ3に接合するが、その際、ピニオン移動体1のアウタ部材13aに連動ロッド6Bの前端部分61を係合させれば、組立は完了する。
【0081】
本変形態様では、連動ロッド6Bを屈曲成形する工数はかかるが、ピニオン移動体1およびプランジャロッド42との連結に、有底円筒部材84以外の部材を採用していない。それゆえ、連動ロッド6Bおよびその周辺の構成が極めて簡素であり、部品コストが安く組立工数も少ないので、実施例1や実施例2と同様の効果をもつスタータをより安価に提供することができるという効果がある。また、屈曲した連動ロッド6Bはバネ弾性により剛性が低く、過大な負荷には柔軟に変形して破壊を回避できるうえに、溶接等の接合部が少ないので故障しにくいという効果もある。
【0082】
(実施例2のその他の変形態様)
実施例2の連動ロッド6Aの作動部62’と、その変形態様1の連動ロッド6Bの被作動部64”との組み合わせで、連動ロッドを構成している変形態様が可能である。また逆に、実施例2の連動ロッド6Aの被作動部64’と、その変形態様1の連動ロッド6Bの作動部62”との組み合わせで、連動ロッドを構成している変形態様も可能である。
【0083】
さらに、実施例2に対しても実施例1の変形態様4〜7に相当する変形態様が可能であり、同様の作用効果が得られる。
〔実施例3〕
(実施例3の全体構成)
実施例3としてのスタータは、図13に示すように、回転軸31の回転を減速して出力軸11に伝達する遊星減速機70を有する点と、ピニオン回転規制部材9を有する点とが、実施例1と異なっている。遊星減速機70の装備に伴い、遊星減速機70を格納するハウジング2Cは、実施例1のハウジング2とは若干形状が異なっている。また、ピニオン回転規制部材9の装備に伴い、ピニオン移動体1Cにはピニオン凹凸部15が形成されており、連動ロッド6Cの作動部62C等の形状が前述の実施例等とは異なっている。
【0084】
なお、回転子(アーマチュア)32Aも、両端で溶接により互いに接続されている上層コイルおよび下層コイルが電機子鉄芯の外周部に保持されている構成であり、実施例1,2とは異なっている。
本実施例のスタータは、以上の点の他は実施例1とほぼ同様に構成されている。
【0085】
(実施例3の遊星減速機の構成および作用)
遊星減速機70は、モータ3の回転軸31の先端部に形成されているサンギヤ71と、サンギヤ71に周囲から噛み合っている複数の遊星ギヤ72と、さらにそれらの周囲から周囲から遊星ギヤ72に噛み合っているインタナルギヤ73とを有する。インタナルギヤ73は、外周面でハウジング2Cの内周面に当接して固定されている。遊星ギヤ72は、フランジ74に固定されている遊星ギヤ軸74aに回転自在に軸支されており、フランジ74は出力軸11と一体に回転する。遊星減速機70は、ハウジング2Cに固定されているセンタケース75に前端で当接し、同様にハウジング2Cに固定されているプレート76に後端で当接しており、ハウジング2C内の所定の位置に収容されている。
【0086】
遊星減速機70において、モータ3の回転軸31が回転すると、サンギヤ71が回転して遊星ギヤ72はインタナルギヤ73内で自転および公転駆動され、遊星ギヤ72の公転運動がフランジ74を介して出力軸11を回転駆動する。
(実施例3の連動ロッドおよびピニオン回転規制部材の構成および作用)
プランジャ41、連動ロッド6Cおよびピニオン回転規制部材9は、図14に示すように、順に互いに係合している。
【0087】
すなわち、プランジャ41のプロンジャロッド42と連動ロッド6Cの被作動部64とは、実施例1と同様に、被作動部64の端部がプロンジャロッド42の係合孔43に挿入されて係合している。
連動ロッド6Cの中間部63は、二箇所で軸受け65’により回動自在に保持されている。軸受け65’は、前述の図13において、それぞれハウジング2Cの溝26とエンドフレーム5の溝56とに固定されているが、組立の手順等を考慮してヨーク34の溝35の前端部分と後端部分とに固定されていてもよい。連動ロッド6Cは、再び図13に示すように、前後の屈曲部6a,6bで直角に曲げられており、各屈曲部6a,6bは前後に微小に移動すると、溝26の端部と溝56の端部とで、ハウジング2Cの内壁面とエンドフレーム5の内壁面とにそれぞれ当接する。それゆえ、抜け止めリング等の部材を別途用意しなくても、連動ロッド6Cの前後方向の位置は所定の範囲に制限されている。
【0088】
また、連動ロッド6Cの作動部62Cには、再び図14に示すように、先端が屈曲して前端部分61Cが形成されており、前端部分61Cでピニオン回転規制部材9の当接部材91に係合している。
ピニオン回転規制部材9は、再び図13および図14に示すように、リング部材92と当接部材91と係止部材93とから構成されている。リング部材92は、ハウジング2C内で出力軸11の周囲に適正な間隔を空けて配設され、おおむね上下方向に移動可能にスプリング(図略)で保持されているリング状の部材である。当接部材91は、所定の長さの棒状の部材であり、リング部材92の下端付近に溶接されて前方に突出し、連動ロッド6Cの作動部62Cと係合している。係止部材93は、やや内側にクランク状に屈曲している棒状の部材であり、リング部材92の上端付近に溶接されて前方に突出している。
【0089】
マグネットスイッチ4が作動して、プランジャ41が矢印Iの方向に吸引されると、実施例1と同様に、プランジャロッド42と一緒に被作動部64の端部が引き上げられ、連動ロッド6Cは矢印I方向に傾動する。
すると、作動部62Cも矢印I方向に傾動するので、係合している当接部材91が作動部62Cに押圧されて移動する。作動部62Cの移動につれて、ピニオン回転規制部材9は矢印Dの方向に変位し、再び図14に示すように、係止部材93は略下方に引きつけられる。
【0090】
その結果、再び図13に示すように、係止部材93は、ピニオン移動体1のピニオン凹凸部15の凹部に嵌合し、出力軸11の回転にも係わらずピニオン移動体1の回転を規制する。すると、出力軸11の外周面に形成されているスプライン11aがピニオン移動体1の内周面と噛み合って、ピニオン移動体1を強力に前方に押し出す力が発生する。こうしてピニオン移動体1は、スプライン11aにより発生する力で前方に移動してエンジン(図略)のリングギヤR(図略)と噛み合い、リングギヤRを回転駆動してエンジンを始動する。
【0091】
(実施例3の効果)
本実施例では、マグネットスイッチ4のプランジャ41にかかる吸引力による変位が、連動ロッド6Cを介してピニオン回転規制部材9に伝達される。すると、ピニオン回転規制部材9がピニオン移動体1の回転を規制するので、回転する出力軸11に形成されているスプライン11aの作用で、ピニオン移動体1を前方へ押し出す力が生じ、その結果ピニオン移動体1は前方へ移動する。すなわち、連動ロッド6Cが当接して直接にピニオン移動体1を押し出すのではなく、ピニオン回転規制部材9に回転が規制されているピニオン移動体1は、スプライン11aの作用で出力軸11の回転力により前方へ強力に押し出される。
【0092】
したがって、プランジャ41の仕事量(吸引力×ストローク)は、ピニオン回転規制部材9を作用させるために足りるだけが必要量であって、ピニオン移動体1を直接押し出すだけの仕事量はプランジャ41に要求されない。その結果、マグネットスイッチ4の出力は実施例1,2のものに比べて小さくて済み、小型軽量なマグネットスイッチ4を装備すればよい。また、連動ロッド6Cの伝達すべき仕事量も小さくなるので、連動ロッド6Cも小型軽量化することができる。
【0093】
以上詳述したように、本実施例のスタータによれば、実施例1および実施例2と同様の効果に加えて、スタータの小型軽量化をよりいっそう進めることができるという効果がある。
(実施例3の変形態様)
前述の実施例3におけるピニオン回転規制部材9の採用と同様に、ピニオン回転規制部材(実施例3と同一形状である必要はない)を装備し、連動ロッド6Cに代えてチューブ付きフレキシブル・ワイヤを装備する構成の変形態様も可能である。
【0094】
本変形態様では、フレキシブル・ワイヤによりプランジャ41の変位がピニオン回転規制部材に伝達されるので、実施例3と同様の作用が得られる。通常、フレキシブル・ワイヤは軽量かつ安価であり、組付け作業も容易であるから、本変形態様によれば本発明のスタータをさらに軽量化でき、さらに安価に提供することができるという効果がある。
【0095】
(実施例3の各種変形態様)
本変形態様に対しても、実施例1,2の各変形態様の大半に対応する変形態様が可能であり、同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1としてのスタータの構成を示す側断面図
【図2】実施例1のモータと連動ロッドの軸受けの構成を示す組図
(a)モータの回転面に沿う端面図
(b)連動ロッドの軸受けの取り付け構造を示す部分断面図
【図3】実施例1のエンドフレーム内の装置構成と作用とを示す端面図
【図4】実施例1のハウジング内の装置構成と作用とを示す端面図
【図5】実施例1の連動ロッドの立体形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図
(c)正面図(矢視c) (d)背面図(矢視d)
【図6】実施例1の連動ロッドと軸受けとの嵌合構造を示す部分断面図
【図7】実施例1変形態様1の軸受けの取り付け構造を示す部分断面図
【図8】実施例1変形態様2の連動ロッドの取付構造を示す部分断面図
【図9】実施例1変形態様3のモータと連動ロッドとの構成を示す組図
(a)スタータの全体構成を示す側断面図
(b)連動ロッドと軸受けとの構成を示す部分断面図
【図10】実施例1変形態様3の連動ロッドの立体形状を示す組図
(a)斜視図 (b)平面図 (c)側面図
【図11】実施例2としてのスタータの構成を示す側断面図
【図12】実施例2変形態様1としてのスタータの構成を示す側断面図
【図13】実施例3としてのスタータの構成を示す側断面図
【図14】実施例3の要部の構成を示す斜視図
【符号の説明】
1,1A:ピニオン移動体
11:出力軸 11a:捩れスプライン 12:ピニオンギヤ
13:ワンウェイクラッチ 13a:アウタ部材
14:リテーナワッシャ 15:ピニオン凹凸部
2,2C:ハウジング
21:前端部 22:接合部 23:円筒部 24:後端部
25:突出部 26:溝
27:軸受け 28:リターンスプリング
3:モータ
31:回転軸 32:回転子(アーマチュア)
34:ヨーク(継鉄) 35,35’:突出部 36,36’:溝
37:界磁磁極
4,4’:マグネットスイッチ
41,41’:プランジャ 42,42’:プランジャロッド
43:係合孔 44:磁気コイル 45,45’:磁気回路部材
46,46’:リターンスプリング 47,47’:端子金具
48,48’:可動接点金具 49,49’:固定接点金具
40:外筒部材
5:エンドフレーム(後蓋)
51:前端部 52:円筒部 53:エンドプレート
54:端子ケース 55:突出部 56:溝 57:取付部
6,6’,6”,6A,6B,6C:連動ロッド
60:小径部 6a:前端屈曲部 6b:後端屈曲部
61,61”,61C:前端部分
62,62’,62”,62C:作動部
63,63’,63”:中間部
64,64’,64”:被作動部
65,65’,65”:軸受け
65a:スラストワッシャ 65b:サークリップ(抜け止めリング)
66:ビス 67:留め具 68:保持部材 69:コネクタ
7:スルーボルト(非磁性材料が良い場合と軟磁性材料が良い場合とがある)
70:遊星減速機
71:サンギヤ 72:遊星ギヤ 73:インタナルギヤ
74:フランジ 74a:遊星ギヤ軸 75:センタケース
81:連結板 82:連結部材 83:円筒部材 84:有底円筒部材
9:ピニオン回転規制部材
91:当接部材 92:リング部材 93:係止部材
D:変位方向(ピニオン回転規制部材の変位)
I:連動ロッドの回転運動または傾動 L:プランジャの直線運動
F:フライホイール R:リングギヤ W:溶接

Claims (9)

  1. 内周面に複数の界磁磁極が周方向に配設されているヨークと、これらの界磁磁極に囲まれて回転自在に設けられている回転子とを有するモータと、
    このモータにより回転駆動される出力軸と、
    この出力軸と軸方向に摺動自在に係合しているとともに、エンジンのリングギヤと噛み合うことができるピニオンギヤを有するピニオン移動体と、
    励磁コイルと、この励磁コイルに通電されることによりこの励磁コイルに吸引されるプランジャとを有するマグネットスイッチと、
    このプランジャと係合する被作動部と、前記ピニオン移動体を前記リングギヤ側に移動させるための作動部と、この被作動部とこの作動部とを連結している棒状の中間部とを有する連動ロッドと、
    を備えており、
    前記連動ロッドの前記中間部の少なくとも一部が、前記ヨーク内周面の軸方向に凹設されている溝に収容されていることを特徴とするスタータ。
  2. 前記出力軸を一端部で回動自在に軸支しているハウジングを有し、
    前記ハウジングおよび前記モータの後蓋に、前記ヨーク内周面の前記溝と対応している溝がそれぞれ形成されており、
    このハウジングの溝に前記連動ロッドの前記作動部の一部が収容されており、この後蓋の溝に前記被作動部の一部が収容されている請求項1記載のスタータ。
  3. 前記マグネットスイッチは、前記モータの前記回転子の回転軸と前記プランジャの移動方向とが略垂直である方向に配設されており、
    前記連動ロッドは、前記中間部の軸心回りに回動可能に軸支されていて、
    該連動ロッドの前記被作動部は、該中間部の軸心から所定距離離れた部分で該プランジャと係合しており、該プランジャの移動を該中間部の軸心回りの回転移動に変換し、
    該連動ロッドの前記作動部は、該中間部の軸心回りに軸方向にリードを有するらせん状の前端部を有し、該中間部の軸心回りに該前端部が回動することにより、該前端部が当接している前記ピニオン移動体を押圧して移動させることを特徴とする請求項1記載のスタータ。
  4. 前記連動ロッドの前記中間部には、隣接する部分より直径が小さい小径部分が少なくとも二箇所形成されており、
    該連動ロッドは、各該小径部分に嵌合するそれぞれの軸受けにより軸支されていて、
    各該軸受けは、前記ヨーク、前記ハウジングおよび前記後蓋のうち、それぞれいずれかの内周面に固定されている請求項3記載のスタータ。
  5. 前記連動ロッドの前記中間部は、少なくとも二箇所でそれぞれ軸受けにより軸支されており、
    各該軸受けはそれぞれ、前記ヨーク、前記ハウジングおよび前記後蓋のうちいずれかの内周面に固定されているとともに、
    該中間部には、該軸受けに対し軸長方向に隣接して、抜け止めリングが固定されている請求項3記載のスタータ。
  6. 前記マグネットスイッチは、前記モータの前記回転子の回転軸と前記プランジャの移動方向とが略平行になる方向に配設されており、
    前記連動ロッドは、該回転子の該回転軸と平行に移動可能に保持されていて、
    該連動ロッドの前記被作動部は該プランジャと係合しており、前記作動部は前記ピニオン移動体に当接していることを特徴とする請求項1記載のスタータ。
  7. 前記連動ロッドの前記中間部は、少なくとも二箇所でそれぞれ保持部材により長手方向に摺動可能に保持されており、
    各該保持部材はそれぞれ、前記ヨーク、前記ハウジングおよび前記後蓋のうちいずれかの内周面に固定されている請求項6記載のスタータ。
  8. 前記連動ロッドは、非磁性ステンレス鋼からなる請求項1記載のスタータ。
  9. 前記連動ロッドの前記作動部に接続しており、該作動部の変位により前記ピニオン移動体の一部と係合し、該ピニオン移動体の回転を規制するピニオン回転規制部材を有し、
    該ピニオン移動体は、前記出力軸に形成されている捩れスプラインと噛み合っている請求項1記載のスタータ。
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