JP3585804B2 - 方向判別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統を事故などから保護する保護継電器に利用されるものであり、特に電力方向や短絡方向などを判別する方向継電器に利用される方向判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は例えば「保護継電工学」(電気学会編、オーム社、1980年発行、129頁)に示された従来の短絡方向継電器の位相特性を示す説明図である。電力方向や短絡方向の判別では、相電流と線間電圧とで方向判別が行われる。組み合わせ方は、電流が電圧に対して90°進みの関係となる90°進み接続方式(Ia〜Vab)と30°進み関係になる30°進み接続方式(Ia〜Vac)とが多用されている。短絡方向継電器としては、三相短絡、二相短絡を全て検出できるように位相特性を決定しており、90°進み接続では電圧基準で30°進みを最大感度角に、30°進み接続では電圧基準で30°遅れを最大感度角に選んでいる。また、電力方向継電器では、最大感度角は、力率1のとき最大感度がとれるように設定される。また、地絡方向継電器では、零相電流と零相電圧とで方向判別が行われ、最大感度角は中性点接地方式に合わせて選ばれる。
【0003】
次に、電流と電圧との位相差を求め、位相差から方向を判別する方法を説明する。
例えば、電流と電圧の組み合わせは90°進み接続、最大感度角は電圧基準で30°進みを選択した場合、電流と電圧との位相差β−αについて、VIcos(β−α−30°)の符号で短絡方向が判別できる。VIcos(β−α−30°)は式1で表されるので、VIsin(β−α),VIcos(β−α)を求めれば良いことがわかる。
VIcos(β−α−30°)=VIcos(β−α)cos(30°)+VIsin(β−α)sin(30°) (式1)
【0004】
「電気共同研究、第41巻 第4号 ディジタルリレー、昭和61年1月発行」の45頁、第4−1−3表に位相差演算方式の代表例が記載されており、図8は上記代表例の一つである積形C方式の位相差演算方式を示す説明図である。
電流波形、電圧波形が電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定して、電圧の振幅をV、位相をα、電流の振幅をI、位相をβとすると式2となる。但し、サンプリング周期は電気角30°の場合である。
よって、式3のように、vm ,vm−3 ,im ,im−3 からVIcos(β−α),VIsin(β−α)を求めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方向判別方法は以上のように構成されているので、図1に示すように自家用発電機2と商用系統1とを連系して使用しているような状況下で、商用系統1側での落雷などによる事故などが原因で、電圧低下が生じた場合、自家用発電機2側の重要負荷を保護するために高速に連系点を解列する必要がある。
一方、自家用発電機2側の回線で事故が発生した場合には、高速に連系点および事故回線を遮断すると、電圧が不安定となり、最悪の場合には自家用発電機2がダウンしてしまう可能性がある。したがって、自家用発電機2を継続して安定運転するためには連系点を解列すべきではない。また、事故の影響を受けて自家用発電機2がダウンする可能性もあり、自家用発電機2がダウンしても健全回線の重要負荷を継続運転するために、連系点を解列すべきではない。
そこで、事故発生時などで商用系統1で電圧低下が生じた場合には、連系点において高速に短絡方向や電力方向を判別する必要がある。重要負荷を継続運転するためには、事故発生後の1サイクル以内に連系点を解列する必要があるので、遮断器の動作時間などを考慮すると1/4サイクル以内に方向判別する必要がある。
しかしながら、従来の方向判別方法では電流波形および電圧波形が電源周波数と同じ周波数の正弦波形のみであることを前提として演算を行うので、フィルタを使用して電流波形や電圧波形に含まれる高調波成分や直流成分を取り除いている。このため、フィルタの過渡特性による遅れを考慮する必要があり、1/4サイクル以下の短い時間において正確な判別はできないなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、短い時間において正確に方向判別する方向判別方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る方向判別方法は、電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電圧波形、計測したサンプリング電圧値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電圧波形を推定する電圧波形推定工程と、電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電流波形、計測したサンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電流波形とサンプリング電流値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電流波形を推定する電流波形推定工程と、推定された電流波形と推定された電圧波形との位相差を算出する位相差算出工程と、算出された位相差に応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えたものである。
【0008】
この発明に係る方向判別方法は、電流波形推定工程において、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と一定値との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するようにしたものである。
【0009】
この発明に係る方向判別方法は、電流波形推定工程において、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と1次関数との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するようにしたものである。
【0010】
この発明に係る方向判別方法は、オームの法則に基づいたインピーダンスを含む理論式、計測したサンプリング電圧値、サンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により理論式にサンプリング電流値を代入して算出した電圧値とサンプリング電圧値との誤差が最小となるインピーダンスを推定するインピーダンス推定工程と、推定されたインピーダンスに応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による方向判別方法を利用した事故検出装置を示す電力系統図であり、図において、1は商用系統、2は自家用発電機、3は自家用発電機2と商用系統1との連系点に設けられ、事故の発生方向に応じてその連系点を高速解列する事故検出装置である。
図2はこの発明の実施の形態1による方向判別方法を利用した方向判別装置を示す構成図であり、図において、11は電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電圧波形、計測したサンプリング電圧値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電圧波形を推定する電圧波形推定部(電圧波形推定工程)、12は電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電流波形、計測したサンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電流波形とサンプリング電流値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電流波形を推定する電流波形推定部(電流波形推定工程)、13は電流波形推定部12によって推定された電流波形と電圧波形推定部11によって推定された電圧波形との位相差を算出する位相差算出部(位相差算出工程)、14は位相差算出部13によって算出された位相差に応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別部(方向判別工程)である。
【0012】
次に動作について説明する。
まず、電圧波形推定部11および電流波形推定部12に関して詳細に説明する。図3は電流波形推定方法および電圧波形推定方法を示す説明図である。図において、×は所定のサンプリング時刻に計測されたサンプリング電圧値、・は所定のサンプリング時刻に計測されたサンプリング電流値であり、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値には、高調波成分が含まれており、それら計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値からそのまま電流と電圧との位相差を算出するのでは、その位相差に大きな誤差を含んでしまう。そこで、まず、電圧波形を高調波成分が含まれていない電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形(v(t)=Vsin(ω0 t+α))であると仮定する。この仮定した電圧波形では、振幅Vおよび位相αが不特定であるが、計測したサンプリング電圧値およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により、仮定した電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅Vおよび位相αの関数(Vcosα,Vsinα)を特定し、それら特定された関数から電圧波形を推定する。
電流波形についても同様に、電流波形を高調波成分が含まれていない電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形(i(t)=Isin(ω0 t+β))であると仮定し、計測したサンプリング電流値およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により、仮定した電流波形とサンプリング電流値との誤差が最小となる振幅Iおよび位相βの関数(Icosβ,Isinβ)を特定し、それら特定された関数から電流波形を推定する。
【0013】
以下、電圧波形推定部11について具体的に説明する。
電圧波形を電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形で近似するために式4のようにおく。
v(t)=Vsin(ω0 t+α) (式4)
式を簡単にするため、c=Vcosα,d=Vsinαとし、式4を式5とおきなおす。
k=1,・・・,nとして、計算値vtkと実測値v(tk )の誤差s2 を式6のようにおく。
【数1】
誤差s2 を最小とするc,dは連立方程式7より得られる。
【数2】
【0014】
連立方程式7をc,dについて解くと、式8のようにサンプリング時刻およびサンプリング電圧値からc(=Vcosα),d(=Vsinα)を求める関数f,gを得ることができる。よって、電圧波形推定部11では式8の計算を実施する。
Vcosα=f(t1 ,・・・,tn ,vt1,・・・,vtn)
Vsinα=g(t1 ,・・・,tn ,vt1,・・・,vtn) (式8)
実際に関数f,gを求めた結果は式9である。
【数3】
以上の結果、求められたc(=Vcosα),d(=Vsinα)を式5に代入することにより、式4に示した高調波成分が含まれていない電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形であり、振幅Vおよび位相αが特定された電圧波形を推定することができる。
一方、電流波形推定部12に関しても、電圧波形推定部11と同様の計算が行われる。
【0015】
次に、電圧と電流との位相差算出部13について説明する。
電圧と電流との位相差算出部13では、電流と電圧との位相差β−αに関して、電圧波形推定部11と電流波形推定部12とで得られたVsinα,Vcosα,Isinβ,Icosβを用いて、式10を実行してVIsin(β−α),VIcos(β−α)を算出する。
方向判別部14では従来方式と同様に、図4の位相特性などを利用して、VIsin(β−α),VIcos(β−α)の算出値より短絡方向や電力方向を判別する。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、電圧波形を電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定し、計測したサンプリング電圧値およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により、仮定した電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電圧波形を推定し、電流波形についても同様に推定して、推定された電流波形と電圧波形との位相差により短絡方向や電力方向を判別するようにしたので、電圧波形や電流波形に高調波成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値から、高調波成分が含まれていない電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電圧波形および電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる。
【0017】
実施の形態2.
この実施の形態2は、実施の形態1における電流波形推定部12において、電流の直流分を考慮して、電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形と一定値との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するようにしたものである。電流波形推定部12以外は実施の形態1と同様である。
電流波形を電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形と一定値aの和として近似するために式11のようにおく。
i(t)=Isin(ω0 t+β)+a (式11)
式を簡単にするため、c=Icosβ、d=Isinβとし、式11を式12とおきなおす。
k=1,・・・,nとして、計算値itkと実測値i(tk )の誤差s2 を式13のようにおく。
【数4】
誤差s2 を最小とするc,d,aは連立方程式14より得られる。
【数5】
【0018】
連立方程式14をc,d,aについて解くと、式15のようにサンプリング時刻およびサンプリング電流値からc(=Icosβ),d(=Isinβ)を求める関数f,gを得ることができる。よって、電流波形推定部12では式15の計算を実施する。
Icosβ=f(t1 ,・・・,tn ,it1,・・・,itn)
Isinβ=g(t1 ,・・・,tn ,it1,・・・,itn) (式15)
実際に連立方程式14から関数f,gを求めた結果については、複雑な式となるので省略するが、3次連立方程式を解くだけなので計算は容易である。
【0019】
以上のように、この実施の形態2によれば、実施の形態1に加えて、電流の直流分を考慮して、電流波形を電源周波数と同じ周波数の正弦波形と一定値との和であると仮定して推定するようにしたので、電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電流値から、高調波成分が含まれておらず、直流成分が加味された電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる。
【0020】
実施の形態3.
この実施の形態3は、実施の形態1における電流波形推定部12において、電流の直流分を考慮して、電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形と1次関数との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するようにしたものである。電流波形推定部12以外は実施の形態1と同様である。
電流波形を電源周波数ω0 と同じ周波数の正弦波形と1次関数(at+b)の和として近似するために式16のようにおく。
i(t)=Isin(ω0 t+β)+at+b (式16)
式を簡単にするため、c=Icosβ、d=Isinβとし、式16を式17とおきなおす。
k=1,・・・,nとして、計算値itkと実測値i(tk )の誤差s2 を式18のようにおく。
【数6】
誤差s2 を最小とするc,d,a,bは連立方程式19より得られる。
【数7】
【0021】
連立方程式14をc,d,a,bについて解くと、式20のようにサンプリング時刻およびサンプリング電流値からc(=Icosβ)、d(=Isinβ)を求める関数f,gを得ることができる。よって、電流波形推定部12では式20の計算を実施する。
Icosβ=f(t1 ,・・・,tn ,it1,・・・,itn)
Isinβ=g(t1 ,・・・,tn ,it1,・・・,itn) (式20)
実際に連立方程式19から関数f,gを求めた結果については、複雑な式となるので省略するが、4次連立方程式を解くだけなので計算は容易である。
【0022】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1に加えて、電流の直流分を考慮して、電流波形を電源周波数と同じ周波数の正弦波形と1次関数との和であると仮定して推定するようにしたので、電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電流値から、高調波成分が含まれておらず、直流成分が加味された電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる。
【0023】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による方向判別方法を利用した方向判別装置を示す構成図であり、図において、21はオームの法則に基づいたインピーダンスを含む理論式、計測したサンプリング電圧値、サンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により理論式にサンプリング電流値を代入して算出した電圧値とサンプリング電圧値との誤差が最小となるインピーダンスを推定するインピーダンス推定部(インピーダンス推定工程)、22はインピーダンス推定部21によって推定されたインピーダンスに応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別部(方向判別工程)である。
【0024】
次に動作について説明する。
まず、インピーダンス推定部21について具体的に説明する。
電流、電圧に対して、オームの法則に基づいた式21を満たすR,Lを求める。
【数8】
式21の両辺を積分し、式22のようにおき、式21を式23に書きなおす。
【数9】
式24におけるR・xi +L・yi は、式23における右辺にサンプリング電流値を代入して算出した電圧積分値の計算値であり、また、式24におけるZi は、サンプリング電圧値を積分した電圧積分値の実測値であり、それら計算値と実測値の誤差s2 を式24のようにおく。
【数10】
誤差s2 が最小となるようなR,Lは連立方程式25より得られる。
【数11】
【0025】
連立方程式25よりR,Lを求めると式26が得られる。よって、インピーダンス推定部21では式26の計算を実施する。
上記では、式21を積分して、電圧積分値の計算値と実測値との誤差が最小となるようにR,Lを求める方法について説明したが、式21をそのまま利用して、電圧の計算値と実測値との誤差が最小となるようにR,Lを求めてもよい。
【数12】
【0026】
方向判別部22では、インピーダンス推定部21で得られたR,Lの算出値から、短絡方向や電力方向を判別する。
例えば、電圧を線間電圧、電流を相電流の差とした場合、算出インピーダンスは距離継電器の測距インピーダンスとなり、図6のような位相特性が得られる。従って、(Ia−Ib〜Vab),(Ib−Ic〜Vbc),(Ic−Ia〜Vca)の関係より求めた3つのR,Lの組み合わせに関して、R,Lが共に負となる組み合わせが1つでも存在した場合には逆方向、R,Lが共に負となる組み合わせが存在しなかった場合には順方向と判別するような方法が考えられる。
【0027】
以上のように、この実施の形態4によれば、オームの法則に基づいたインピーダンスを含む理論式、計測したサンプリング電圧値、サンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により、理論式にサンプリング電流値を代入して算出した電圧値とサンプリング電圧値との誤差が最小となるインピーダンスを推定し、推定されたインピーダンスにより短絡方向や電力方向を判別するようにしたので、電圧波形や電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値から、インピーダンスを推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる。また、周波数に依存しないので、電圧波形や電流波形に周波数変動がある場合においても適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電圧波形、計測したサンプリング電圧値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電圧波形を推定する電圧波形推定工程と、電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電流波形、計測したサンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電流波形とサンプリング電流値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電流波形を推定する電流波形推定工程と、推定された電流波形と推定された電圧波形との位相差を算出する位相差算出工程と、算出された位相差に応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えるように構成したので、電圧波形や電流波形に高調波成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値から、高調波成分が含まれていない電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電圧波形および電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる効果が得られる。
【0029】
この発明によれば、電流波形推定工程において、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と一定値との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するように構成したので、電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電流値から、高調波成分が含まれておらず、直流成分が加味された電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる効果が得られる。
【0030】
この発明によれば、電流波形推定工程において、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と1次関数との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定するように構成したので、電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電流値から、高調波成分が含まれておらず、直流成分が加味された電源周波数と同じ周波数の正弦波形であり、振幅および位相が特定された電流波形を推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる効果が得られる。
【0031】
この発明によれば、オームの法則に基づいたインピーダンスを含む理論式、計測したサンプリング電圧値、サンプリング電流値、およびサンプリング周期に応じて、最小二乗法により理論式にサンプリング電流値を代入して算出した電圧値とサンプリング電圧値との誤差が最小となるインピーダンスを推定するインピーダンス推定工程と、推定されたインピーダンスに応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えるように構成したので、電圧波形や電流波形に高調波成分や直流成分が含まれていても、フィルタを使用せずに計測されたサンプリング電圧値およびサンプリング電流値から、インピーダンスを推定することができ、フィルタによる過渡特性による遅れを考慮する必要がなく、短い時間で正確な方向判別をすることができる。また、周波数に依存しないので、電圧波形や電流波形に周波数変動がある場合においても適用することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による方向判別方法を利用した事故検出装置を示す電力系統図である。
【図2】この発明の実施の形態1による方向判別方法を利用した方向判別装置を示す構成図である。
【図3】電流波形推定方法および電圧波形推定方法を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による方向判別部を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態4による方向判別方法を利用した方向判別装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4による方向判別部を示す説明図である。
【図7】従来の短絡方向継電器の位相特性を示す説明図である。
【図8】積形C方式の位相差演算方式を示す説明図である。
【符号の説明】
1 商用系統、2 自家用発電機、3 事故検出装置、11 電圧波形推定部(電圧波形推定工程)、12 電流波形推定部(電流波形推定工程)、13 位相差算出部(位相差算出工程)、14,22 方向判別部(方向判別工程)、21 インピーダンス推定部(インピーダンス推定工程)。
Claims (4)
- 電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電圧波形、計測したサンプリング電圧値、およびそのサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電圧波形とサンプリング電圧値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電圧波形を推定する電圧波形推定工程と、電源周波数と同じ周波数の正弦波形であると仮定した電流波形、計測したサンプリング電流値、およびそのサンプリング周期に応じて、最小二乗法により電流波形とサンプリング電流値との誤差が最小となる振幅および位相からなる電流波形を推定する電流波形推定工程と、上記電流波形推定工程によって推定された電流波形と上記電圧波形推定工程によって推定された電圧波形との位相差を算出する位相差算出工程と、上記位相差算出工程によって算出された位相差に応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えた方向判別方法。
- 電流波形推定工程は、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と一定値との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定することを特徴とする請求項1記載の方向判別方法。
- 電流波形推定工程は、電流の直流分を考慮して、電源周波数と同じ周波数の正弦波形と1次関数との和であると仮定した電流波形に応じて、電流波形を推定することを特徴とする請求項1記載の方向判別方法。
- オームの法則に基づいたインピーダンスを含む理論式、計測したサンプリング電圧値、サンプリング電流値、およびそのサンプリング周期に応じて、最小二乗法により理論式にサンプリング電流値を代入して算出した電圧値とサンプリング電圧値との誤差が最小となるインピーダンスを推定するインピーダンス推定工程と、上記インピーダンス推定工程によって推定されたインピーダンスに応じて電力方向または短絡方向を判別する方向判別工程とを備えた方向判別方法。
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