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JP3589569B2 - 導電性ペースト - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、速硬化性および耐湿性に優れ、半導体装置の製造におけるチップマウントや各種電子部品類等の接着に好適に使用できる導電性ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造に際し、金属薄板(リードフレーム)上の所定部分に、IC、LSI等の半導体チップを接続する工程は、素子の長期信頼性に大きな影響を与える重要な工程の一つである。従来からこの接続方法として、低融点の合金(半田)を用いてろう付けをする方法や、銀粉末を配合したエポキシ樹脂からなる導電性ペーストを使用して接続する方法がとられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、半田等の低融点合金を用いたろう付けによる接続方法は、一部で実用化されているが半田や半田ボールが飛散して電極等に付着し、腐食断線の原因となる可能性が指摘されている。
【0004】
一方、導電性ペーストを使用して接続する方法は、シリコンチップにおけるAu−Siの共晶合金を生成させる共晶法に比較して信頼性に欠けるという問題があった。即ち、導電性ペーストを用いて接続すると、半田等の低融点合金を用いたろう付けによる接続方法と比較して耐熱性には優れるが、反面、導電性ペーストが熱硬化性樹脂であるため、その硬化に時間を要するという問題があった。
【0005】
また、上記導電性ペーストを短時間で硬化させた場合には、導電性ペーストを用いて形成された接着層に空隙が発生するという問題があった。
【0006】
さらに、ICやLSI等の半導体素子の大型化に伴って、アッセンブリ工程や実装工程中の熱履歴により、チップクラックやパッケージクラックが発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、速硬化性を示すとともに、接着性、耐湿性に優れ、硬化後の空隙の発生と熱収縮がほぼ防止された導電性ペーストを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、後述する組成物が、上記の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、
(A)(a)次の一般式に示されるグリシジルエステルと
【0010】
【化3】
Figure 0003589569
(但、式中、Rは2 価以上の有機基を、nは0 〜15の整数を、mは2 〜4 の整数をそれぞれ表す)
(b)脂環式エポキシ樹脂と
(c)ビスフェノール型エポキシ樹脂
とを、[(a)+(b)]100 重量部に対し(c)10〜50重量部の割合に配合した樹脂成分、
(B)次の一般式(1)又は(2)で示されるスルフォニウム塩および
【0011】
【化4】
Figure 0003589569
(C)導電性粉末
を必須成分としてなることを特徴とする導電性ペーストである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いる(A)樹脂成分は、(a)のグリシジルエステルと、(b)の脂環式エポキシ樹脂と、(c)のビスフェノール型エポキシ樹脂との配合物である。
【0014】
ここで、(a)グリシジルエステルとしては、例えば、ダイマー酸グリシジルエステルを好適に用いることができる。(b)脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデセンオキシド基あるいはシクロペンテンオキシド基等を有する化合物を挙げることができる。また、(c)ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂や、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、(a)に示されるグリシジルエステルと(b)の脂環式エポキシ樹脂との配合比は、(a)/(b)=10/90〜90/10(重量部)の範囲とすることが望ましい。グリシジルエステルが100 重量部あたり10%未満であると、硬化後の低応力化が損なわれるため、例えば、大型の半導体素子り金属板へのマウントに用いた場合にチップクラックやパッケージクラックが発生しやすくなる。さらに、脂環式エポキシ樹脂が100 重量部あたり10%未満であると、速硬化性を得ることが困難となる。さらに、グリシジルエステルと脂環式エポキシ樹脂との合計の100 重量部に対してビスフェノール型エポキシ樹脂を10〜50重量部添加することにより接着性を向上できる。
【0016】
本発明に用いる(B)スルフォニウム塩は、前記化4で示されるものである。このスルフォニウム塩は、加熱すると活性化され、カチオン種或いはルイス酸を生成し、カチオノイド重合(陽イオン重合)によってエポキシ樹脂どうしを開環重合させる。スルホニウム塩の配合割合は、(A)樹脂成分 100重量部に対して 0.5〜20重量部配合することが望ましい。スルフォニウム塩が(A)樹脂成分100 重量部に対し 0.5未満の場合には、速硬化性の効果を発揮することが困難となり硬化速度が低下するので実用性に乏しくなる。また、スルフォニウム塩が(A)樹脂成分100 重量部に対し 20 重量部を超えた場合には、導電性ペーストの硬化により生成した生成物中にルイス酸が残留するため、例えば、半導体素子の金属薄板へのマウントに用いた場合に、高湿条件下での半導体素子の電気特性が劣化したり、金属薄板やアルミ等からなる配線を腐食(電食)したりして信頼性に欠け好ましくない。
【0017】
本発明に用いる(C)導電性粉末としては、例えば銀粉末、銅粉末およびニッケル粉末等の金属粉末を好適に用いることができ、これらは単独又は2 種以上混合して使用することができる。また、導電性を有する粉末であれば金属粉末に限定されることなく、例えば、表面にのみ金属層を備えた粉末でもよい。また、導電性粉末の形状については特に限定するものではないが、導電性粉末の粒径は、50μm以下とすることが好ましい。導電性粉末粒径が50μmを超えると導電性粉末の導電性が不安定になる。なお、粒径とは、同一の体積からなる球の直径として定義している。
【0018】
さらに、(C)導電性粉末の上記(A)樹脂成分に対する混合比は、導電性ペースト中の(A)樹脂成分および(C)導電性粉末の含有量を100 重量部とした場合、(A)/(C)=40/60〜 5/95(重量部)の範囲とすることが望ましい。(C)導電性粉末が60重量部未満である場合には、十分な導電性を得ることが困難となり、95重量部を超えた場合には作業性や密着性が低下する。
【0019】
本発明において、例えば、導電性ペーストの粘度を調整するための溶剤、エポキシ基の開環重合に対する反応性を備えた希釈剤、消泡剤、カップリング剤、その他の各種の添加剤を本発明の目的に反しない限り、必要に応じて配合することができる。具体的な溶剤としては、酢酸セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジアセトンアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合して使用することができる。さらに、希釈剤としては、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、(t−ブチルフェニル)グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合して使用することができる。さらにカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0020】
本発明の導電性ペーストは、上述した(A)樹脂成分、(B)スルフォニウム塩、(C)導電性粉末、その他添加剤を常法に従い十分混合した後、更にディスパース、ニーダーまたは三本ロールミル等により混練処理を行い、その後、減圧脱泡して製造することができる。こうして製造した導電性ペーストは、半導体装置の製造や各種電子部品類等の接着に好適に用いることができる。例えば、半導体装置の製造に用いる場合には、導電性ペーストをシリンジ等に充填した後、ディスペンサを用いて金属薄板上に吐出し、導電性ペーストを介して半導体素子を金属薄板上にマウントし、短時間の加熱により導電性ペーストを硬化させる。なお、本発明に係る導電性ペーストを硬化するにあたっては、通常、120 〜200 ℃で10sec〜120 secの間加熱することにより容易に実施される。
【0021】
【作用】
本発明の導電性ペーストは、特定の樹脂成分、スルフォニウム塩、導電性粉末およびその他の添加剤を用いることによって目的を達成したものである。即ち、樹脂成分のグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂、さらにビスフェノール型エポキシ樹脂の有するエポキシ基を、スルフォニウム塩によるカチオノイド重合(陽イオン重合)により開環結合させるので、硬化に際して速硬化性を示すとともに優れた接着性、耐湿性を発揮することが可能となる。また、重合により得られた生成物は、三次元の網目構造をもった緻密なものとなるので、溶剤に不溶で、かつ、加熱により不融な安定した性質を示すことになる。したがって、硬化後の空隙の発生と熱収縮がほぼ防止された生成物を生成することが可能となる。
さらに、本発明の導電性ペーストを半導体装置の製造に適用した場合には、上述した生成物を生成することから、信頼性の高い半導体装置を製造することが可能となる。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「部」とは特に説明のない限り「重量部」を意味する。
【0023】
実施例1
グリシジルエステルとしてPG207S(東都化成株式会社製、商品名)20部、脂環式エポキシ樹脂としてセロキサイド2081(ダイセル化学工業株式会社製、商品名)40部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてYL983U(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)40部、スルフォニウム塩としてSI−80L(三新化学工業株式会社製、商品名)2 部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1 部、銀粉末412 部を十分に混合した後、さらに、三本ロールで混練して導電性ペーストを得た。
【0024】
実施例2
グリシジルエステルとしてPG207S(東都化成株式会社製、商品名)20部、脂環式エポキシ樹脂としてセロキサイド2083(ダイセル化学工業株式会社製、商品名)50部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてGL62(ダイセル化学工業株式会社製、商品名)30部、スルフォニウム塩としてSI−100L(三新化学工業株式会社製、商品名)2 部、カップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1 部、銀粉末412 部を十分に混合した後、さらに、三本ロールで混練して導電性ペーストを得た。
【0025】
比較例
市販のエポキシ樹脂ベースの無溶剤型半導体用導電性ペーストを準備した。なお、該無溶剤型導電性ペーストは、イミダゾール系の硬化剤およびイミダゾール系の促進剤を含有したものである。
【0026】
次いで、実施例1〜2および比較例により得られた導電性ペーストを用いて、半導体チップと金属薄板(リードフレーム)とを接着硬化させ、接着強度、チップの反り量、空隙の発生の有無およびポットライフについて特性試験を行った。なお、これらの特性試験は以下の条件の下で実行した。
【0027】
接着強度:Cuフレーム上に導電性ペーストを介して2 mm角のシリコンチップを配置し、180 ℃のヒートブロック上で導電性ペーストを所定の時間(15sec〜120 sec)キュアした後、即破壊(剥離)させることにより測定した。
【0028】
チップの反り量:厚さ200 μmのCuフレーム上に4 mm×12mmのシリコンチップを導電性ペーストを介して配置し、180 ℃に熱したオーブンで2 時間キュアした後、チップの表面を表面粗さ計を用いて測定した。
【0029】
空隙の発生の有無:Cuフレーム上に導電性ペーストを介して8 mm角のガラスチップを配置し、180 ℃のヒートブロック上で導電性ペーストを2 分間キュアした後、肉眼にて観察した。
【0030】
ポットライフ:得られた導電性ペーストを25℃,湿度50%の環境中に放置して6 時間毎にその一部を採取し、上記接着強度と同様の試験を行って接着強度が劣化するまでの期間を測定した。
【0031】
以上、これらの結果を表1に示したが、いずれも本発明が優れており、本発明の顕著な効果が認められた。
【0032】
【表1】
Figure 0003589569
【0033】
表1から明らかなように、実施例1、2および比較例において、キュアに要する時間を同一とした場合には、実施例1、2により得られた導電性ペーストは、比較例により得られた導電性ペーストと比べて接着強度が高くなっている。また、キュアに要する時間を120 secとした場合、比較例では接着強度が9.11Nとなっているが、この接着強度は、実施例1および実施例2において、キュアに要する時間が30secの時、すでに到達していた値である。従って、実施例1おび実施例2において得られた導電性ペーストは、比較例の導電性ペーストと比べて硬化に要する時間が短く、短時間で高い接着強度を示すことが理解できる。また、実施例1および実施例2におけるチップの反り量は、比較例におけるチップの反り量と比べ半分以下であることから、実施例1おび実施例2において得られた導電性ペーストは、熱に対して安定であり、熱履歴の影響を受けにくいことが理解された。さらに、実施例1および実施例2の導電性ペーストは、硬化に要する時間が短く容易に高い接着強度を示すが、硬化後の生成物に空隙を生じさせず、環境に対しても安定であることが空隙の発生の有無およびポットライフから理解された。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明および表1から明らかなように、本発明の導電性ペーストによれば、グリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂およびビスフェノール型エポキシ樹脂の有するエポキシ基を、スルフォニウム塩によるカチオノイド重合(陽イオン重合)により開環結合させるので、速硬化性を示すとともに耐湿性にも優れる導電性ペーストを提供することができる。また、本発明の導電性ペーストによれば、重合により得られた生成物は、三次元の網目構造をもった緻密なものとなるので、溶剤に不溶で、かつ、加熱により不融な安定した性質を示すことになる。したがって、硬化後の空隙の発生と熱収縮がほぼ防止された生成物を生成する導電性ペーストを提供することができる。そして、この導電性ペーストを用いることによって、信頼性の高い半導体装置および電子部品を製造することができる。

Claims (1)

  1. (A)(a)次の一般式に示されるグリシジルエステルと
    Figure 0003589569
    (但、式中、Rは2 価以上の有機基を、nは0 〜15の整数を、mは2 〜4 の整数をそれぞれ表す)
    (b)脂環式エポキシ樹脂と
    (c)ビスフェノール型エポキシ樹脂
    とを、[(a)+(b)]100 重量部に対し(c)10〜50重量部の割合に配合した樹脂成分、
    (B)次の一般式(1)又は(2)で示されるスルフォニウム塩および
    Figure 0003589569
    (C)導電性粉末
    を必須成分としてなることを特徴とする導電性ペースト。
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