JP3592192B2 - タイヤ空気圧判定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置に係り、特に、車輪に動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着された場合であっても、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することのないタイヤ空気圧判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置は、例えば、特開平9−286213号公報に記載されているように、各車輪の回転に応じてパルスを発生する車輪速センサを備え、所定の時間内における前方右側車輪の車輪速パルス数(積算値)PFRと後方左側車輪の車輪速パルス数(積算値)PRLの和(PFR+PRL)と前方左側車輪の車輪速パルス数(積算値)PFLと後方右側車輪の車輪速パルス数(積算値)PRRの和(PFL+PRR)との偏差β(動荷重半径偏差β=(PFR+PRL)−(PFL+PRR))を求め、同偏差βの絶対値が所定値より大きい場合に何れかの車輪の空気圧が正常でないと判定し、この判定結果をランプ等の警報装置により乗員に知らせるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置においては、車両速度(以下、「車速」という。)の変化に応じてタイヤの動荷重半径が大きく変化する車速依存性の強いタイヤと、車速の変化があっても動荷重半径の変化が小さい車速依存性の弱いタイヤとが混在した状態にて車両に装着された場合、総ての車輪のタイヤ空気圧が正常であるにも拘らず上記動荷重半径偏差(動荷重半径相対比較値)βの絶対値が大きくなる場合があり、タイヤ空気圧が異常であると誤判定するという問題がある。従って、本発明の目的は、車速依存性の強いタイヤと弱いタイヤとが装着された場合であっても、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することのないタイヤ空気圧判定装置を提供することにある。
【0004】
【発明の概要】
本発明のタイヤ空気圧判定装置は、上記課題に対処するためになされたものであって、車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、前記車両の速度を検出する車速検出手段と、所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、前記演算された変数値を基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、前記基準変数値を演算したときの前記車両の速度を同基準変数値に関連付けられた基準車速として記憶する基準車速記憶手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあるか否かを判定する車速条件判定手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段とを具備している。
【0005】
上記構成によれば、所定条件が成立したときに前記各車輪毎に備えられた車輪速パルス発生手段の発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値が演算され、前記演算された変数値が基準変数値として記憶されるとともに、前記基準変数値を演算したときの前記車両の速度が同基準変数値に関連付けられた基準車速として記憶される。そして、前記変数値が新たに演算されたとき、その時点の車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあるか否かが判定され、同所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かが判定される。
【0006】
即ち、上記構成においては、前記変数値が新たに演算されたときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かが判定されるので、タイヤ空気圧判定用の変数値が動荷重半径の車速依存性の影響を受けていない場合に、同変数値に基づくタイヤ空気圧の判定が行われることとなり、動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによりタイヤ空気圧が異常であると誤判定することが回避される。
【0007】
この場合において、前記各車輪速パルス発生手段の発生するパルスの数を各車輪毎に積算する積算手段を設け、前記変数値演算手段は、前記タイヤ空気圧判定用の変数値を前記各車輪毎に積算されたパルス数から演算するように構成することができる。また、前記変数値としては、上記動荷重半径偏差βの他、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、それぞれ各車輪速パルス発生手段が発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。
【0008】
本発明のタイヤ空気圧判定装置は、更に、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段を備えている。
【0009】
この構成によれば、タイヤ空気圧判定用の変数値を新たに演算したときの車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたとき、即ち、現時点の車速が記憶されている基準車速から所定値以上異なっていてタイヤ空気圧判定用の変数値が動荷重半径の車速依存性の影響を受けている可能性が高いとき、車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判定される。従って、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を精度よく判定することができる。
【0010】
本発明の他の特徴は、上記構成のタイヤ空気圧判定装置において、前記タイヤ判定手段が、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求めるとともに前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差を車速差として求め、前記変数値差と前記車速差との比に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されたことにある。
【0011】
この構成によれば、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差」である変数値差と「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差」である車速差との比に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判断される。この比は車速依存性の程度をよく表す値であるので、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を精度よく判定することが可能となる。
【0012】
この場合において、前記タイヤ判定手段は、前記車速差が所定値より大きい場合に前記車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行うように構成されることが好適である。
【0013】
上記構成のタイヤ判定手段は、タイヤ空気圧判定用の変数値を新たに演算したときの車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたときに、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差である変数値差」と「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差である車速差」との比に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無を判定するが、車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にない場合であっても、同車速範囲を画定する車速の前後で同車速が変化した場合には、「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差である車速差」が小さく、前記比が車速依存性の程度を十分表さない可能性がある。従って、このような場合には、上記構成のように、前記比に基づく車速依存性の異なるタイヤ装着有無の判定を行わないようにする。
【0014】
また、前記基準変数値記憶手段は前記車速差が所定値より小さい場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されることが好適である。
【0015】
このように構成すれば、「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との車速差」が所定値より小さく、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無の判定を行うことが好ましくない状況にある場合には、同判定を行う代わりに、新たに演算した変数値を新たな基準変数値として記憶するとともに、その時点の車速を基準車速として記憶しておく。これにより、以降におけるタイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0016】
また、上記空気圧判定手段とタイヤ判定手段とを備えたタイヤ空気圧判定装置において、前記空気圧判定手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記タイヤ空気圧が正常であるか否かの判定を行うように構成されることが好適である。
【0017】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたときには、タイヤ空気圧が正常であるか否かの判定が行われるので、同タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する機会が増大される。
【0018】
また、上記空気圧判定手段とタイヤ判定手段とを備えたタイヤ空気圧判定装置において、前記基準変数値記憶手段は前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されることが好適である。
【0019】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に、前記新たに演算した変数値を基準変数値として新たに記憶するとともに、その変数値を新たに演算したときの車速が同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶される。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されている場合であっても、タイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の他のタイヤ空気圧判定装置は、車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、前記車両の速度を検出する車速検出手段と、所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、前記変数値を演算したときの車速が複数に区分された領域の何れに属するかを特定する車速領域特定手段と、前記演算された変数値を同変数値が演算されたときの車速が属する領域の基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と同一であるとき、同新たに演算した変数値と同記憶されている基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段とを具備している。
【0021】
上記構成によれば、所定条件が成立したときに前記各車輪毎に発生されるパルスからタイヤ空気圧判定用の変数値が演算されるとともに、その変数値が演算されたときの車速が予め定められた何れの領域(車速領域)に属するかが特定され、前記演算された変数値が前記特定された領域の基準変数値として記憶される。そして、変数値が新たに演算された場合であって、その時点の車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と同一であるときには、同新たに演算した変数値と同記憶されている基準変数値との差に基づいてタイヤ空気圧の判定がなされる。
【0022】
即ち、上記構成においては、車速について同一の領域に属する新たな変数値と基準変数値との差によりタイヤ空気圧の判定がなされるので、タイヤの車速依存性の影響を排除したタイヤ空気圧の判定ができ、同タイヤの車速依存性によるタイヤ空気圧についての誤判定を回避することができる。
【0023】
なお、この場合においても、前記各車輪速パルス発生手段の発生するパルスの数を各車輪毎に積算する積算手段を設け、前記変数値演算手段は、前記タイヤ空気圧判定用の変数値を前記各車輪毎に積算されたパルス数から演算するように構成することができる。また、前記変数値としては、上記動荷重半径偏差βの他、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、それぞれ各車輪速パルス発生手段が発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。
【0024】
更に、このタイヤ空気圧判定装置は、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段を備えている。
【0025】
この構成によれば、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、即ち、車速の領域が異なっていてタイヤ空気圧判定用の変数値がタイヤの動荷重半径の車速依存性の影響を受けている可能性があるとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かが判定される。これにより、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を判定することが可能となる。
【0026】
また、上記(車速を領域に分けてタイヤ空気圧の判定を行う)タイヤ空気圧判定装置において、前記タイヤ判定手段は、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求め、同変数値差に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されることが好適である。
【0027】
これによれば、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差」である変数値差に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判断される。
【0028】
また、上記構成のタイヤ空気圧判定装置において、前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記基準変数値として最初に記憶された変数値を、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されることが好適である。
【0029】
上記構成においては、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無が判定されるのであるが、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたときには、新たに演算された変数値でなく、基準変数値として最初に記憶された変数値を基準変数値として記憶する。これは、新たに演算された変数値には、タイヤ空気圧が変化した影響が含まれている可能性があるから、以降のタイヤ空気圧の精度良い判定のためには、タイヤ空気圧が正常であった蓋然性がより高い時点の変数値、即ち、基準変数値として最初に記憶された変数値を基準変数値として記憶する方が有利だからである。
【0030】
この場合において、前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定されたとき、前記新たに演算した変数値を、同変数値を演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されることが好適である。
【0031】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に、前記新たに演算した変数値が、同変数値を演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶される。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されている場合であっても、タイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるタイヤ空気圧判定装置の第1実施形態について図面を参照しつつ説明すると、図1は4輪車両に適用された同タイヤ空気圧判定装置の概略を示している。このタイヤ空気圧判定装置は、前方左側車輪FL,前方右側車輪FR,後方左側車輪RL,後方右側車輪RRの各車輪の近傍に配設された車輪速センサ11〜14と、電気制御回路20と、インストルメントパネル内に配設された警報ランプからなる警報器30とを備えている。
【0033】
車輪速センサ11〜14は、各車輪が一回転する毎に48個のパルス(車輪速パルス)を出力するように構成されている。即ち、車輪速センサ11〜14は、車輪速パルス発生手段を構成していて、各対応する車輪が7.5°回転する毎に1つの矩形パルスを出力する。車輪速センサ11〜14の各々は、電気制御回路20に接続されていて、同電気制御回路20に対し各車輪速パルスを出力するようになっている。
【0034】
電気制御回路20は、互いにバスで接続されたCPU21,ROM22,RAM23,EEPROM24と、インターフェース25,26等とを備えたマイクロコンピュータとして構成されている。CPU21は、ROM22に記憶されている後述のタイヤ空気圧判定用のプログラム(ルーチン)をRAM23の一時記憶機能を利用しながら実行するようになっている。EEPROM24は、CPU21から供給されるデータを格納し、同データを図示しない電源からの電力供給を受けない状態においても記憶・保持するようになっている。インターフェース25は、車輪速センサ11〜14と接続されていて、同車輪速センサ11〜14の発生する車輪速パルスを受け、これをCPU21に送出するようになっている。インターフェース26は、警報器30と接続されていて、CPU21からの指示に応じて同警報器30に警報動作を行わせる(即ち、警報ランプを点灯させる)ようになっている。
【0035】
次に、上記タイヤ空気圧判定装置におけるタイヤ空気圧判定の原理について、図2を参照しつつ説明する。本装置においては、従来技術と同様に動荷重半径偏差βをタイヤ空気圧判定用の変数値として利用することにより、タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する。動荷重半径偏差βとは、車両の進行方向に対して一つの対角線上にある車輪速センサ11,14が所定の時間内に発生する車輪速パルス数の各積算値PFL,PRRの和(PFL+PRR)と、他の対角線上にある車輪速センサ12,13に基づく同所定時間内に発生する車輪速パルス数の各積算値PFR,PRLの和(PFR+PRL)との差、即ち、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)のことである。なお、このように対角線上にある車輪速センサの車輪速パルス数の積算値の和をそれぞれ求めるとともに、それらの差を求めるのは、車両旋回時における車輪速の差を補償し、タイヤ空気圧の正常・異常判定の精度を高めるためである。
【0036】
また、この装置においては、車速(車両の速度)の変化に伴って動荷重半径の変動が大きい車速依存性(以下、単に「車速依存性」ということがある。)の強いものと、動荷重半径の変動が小さい車速依存性の弱いものとが、一つの車両に混在した形で装着され得ることを前提としてタイヤ空気圧の判定を行う。
【0037】
具体的には、先ず、車両出荷直後、或いは車両整備終了後等において、始めてタイヤ空気圧の判定をすべき所定の条件(例えば、車速が60km/h以上の状態で車輪速パルスが所定数以上発生した場合)が成立したときに動荷重半径偏差βを計算し、この動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)としてEEPROM24に記憶する。また、上記動荷重半径偏差βを計算した時点での車速(車速の平均値VS0AVE)を上記動荷重半径偏差基準値β0(0)に関連づけて基準車速V0(0)としてEEPROM24に記憶する。このようにするのは、車両出荷後、或いは車両整備終了後等においては、タイヤ空気圧が正常である蓋然性が極めて高いと考えられるため、その時点での動荷重半径偏差βを以降のタイヤ空気圧判定の基準とし得るためである。
【0038】
その後、前記タイヤ空気圧の判定をすべき所定の条件が再び成立したときに、動荷重半径偏差βを新たに演算するとともに、その時点での車速の平均値VS0AVEを求める。そして、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差を求め、この差に基づいてタイヤ空気圧が正常か否かを判定する。即ち、前記差が所定値より小さいときにはタイヤ空気圧が正常であると判定し、所定値より大きいときには異常と判定する。
【0039】
このように、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差に基づいてタイヤ空気圧を判定するのは、動荷重半径偏差基準値β0(0)はタイヤ空気圧が正常であるか、又はその蓋然性が高いときに得られた値であるから、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響や、タイヤの製造誤差による車輪径の影響等が含まれた値となっており、新たに演算された動荷重半径偏差βにこれらの影響が現れていたとしても、同新たに演算された動荷重半径偏差βから動荷重半径偏差基準値β0(0)を減ずれば、これらの影響を除去(補償)でき、結果として精度良くタイヤ空気圧の正常・異常判定を行うことができるためである。
【0040】
また、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるときに、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差に基づいてタイヤ空気圧の正常・異常判定するようにしたのは、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差には車速依存性が異なるタイヤが装着されていることによる影響がでない(無視しうる程度に小さい)と判断できるためである。
【0041】
一方、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合には、動荷重半径偏差βの値が車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響を大きく受けている可能性があると考えられる。このため、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βLとの差Δβ、及び新たに動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVを求めるとともに、差Δβの差ΔVに対する比である車速依存性判定値(Δβ/ΔV)を求め、この車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1以上のとき、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判定する。
【0042】
また、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合であって、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より小さいときには、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定して、新たに求めた動荷重半径偏差β、及びその動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを、新たな動荷重半径偏差基準値β0(1)、及び新たな基準車速V0(1)としてEEPROM24内に格納する。
【0043】
この結果、更に新たな動荷重半径偏差βが演算されたとき、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にある場合には動荷重半径偏差基準値β0(0)により、上述のタイヤ空気圧の正常・異常判定を行う。また、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合には、同平均値VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にあるか否かを判定し、同範囲内にある場合には動荷重半径偏差基準値β0(1)を基準として上述のタイヤ空気圧の正常・異常判定を行う。更に、平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±α、又はV0(1)±αの範囲内にない場合には、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)に基づいて車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を判定し、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定した場合には、新たに求めた動荷重半径偏差β、及びその動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを、新たな動荷重半径偏差基準値β0(2)、及び新たな基準車速V0(2)としてEEPROM24に格納する。
【0044】
本装置は、以降においても同様な処理を行い、動荷重半径偏差基準値β0(i)及び基準車速V0(i)を順次格納し、これにより、タイヤ空気圧を判定し得る車速領域を拡大して、タイヤ空気圧の判定精度を一層向上する。以上が、本装置によるタイヤ空気圧及び車速依存性の異なるタイヤ装着有無についての判定原理である。
【0045】
次に、上記判定原理に基づいて行われるタイヤ空気圧判定装置の実際の作動について、CPU21が実行するルーチンをフローチャートにて示した図3及び図4を参照しつつ場合分けしながら説明する。
【0046】
(1)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が正常である場合
【0047】
先ず、車両が工場から出荷された直後、或いは車両整備によりEEPROM24内の内容が消去された場合等であって、動荷重半径偏差基準値β0(0)がEEPROM24内に格納されていない(得られていない)状態から説明を開始する。図示しないイグニッションスイッチが「オフ」から「オン」に変更され、車両の走行が開始されると、CPU21は、各車輪速センサ11〜14の発生する各車輪速パルスの立下りエッヂにより、図3(A)〜(D)に示した割込みルーチンをそれぞれ実行するようになっている。即ち、CPU21は、車輪速センサ11の発生するパルスの立下りエッヂにより図3(A)のPFLパルス割込みルーチンをステップ40から開始し、続くステップ42にてパルス数をカウントするパルスカウンタCPFLの値を「1」だけ増大し、ステップ44に進んで本割込みルーチンを終了する。CPU21は、他の車輪速センサ12〜14の発生する車輪速パルスについても、図3(B),(C),(D)に示したルーチンをそれぞれ実行し、車輪速センサ12〜14のパルスの立下りエッヂ毎に各対応するパルスカウンタCPFR,CPRL,CPRRの値を「1」だけ増大する。
【0048】
CPU21は、また図4に示したタイヤ空気圧判定ルーチンの実行を所定時間(例えば、5msec)の経過毎にステップ70から開始する。そして、ステップ72に進んでパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの中から最大値を有するものを選択し、その最大値をパルス最大値CPMAXに設定する。次いで、CPU21は、ステップ74に進んでパルス最大値CPMAXから車速VS0を演算する。具体的には、パルス最大値CPMAXを本ルーチンを前回実行してから今回実行するまでの時間(例えば、5msec)で除すことにより、車速VS0を得る。なお、上記図3及び図4のステップ72,74は車速演算手段を構成している。
【0049】
次に、CPU21はステップ76に進み、車速VS0が所定車速V1(例えば、60km/h)以上か否かを判定し、判定結果が「No」の場合にはタイヤ空気圧の判定をする条件の一つが不成立であるとしてステップ150に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ76にて「Yes」と判定される場合、CPU21はステップ78に進み、現在の車速積算値VS0Iに上記ステップ74にて演算した車速VS0を加算したものを新たな車速積算値VS0Iとして格納し、続くステップ80にてカウンタNの値を「1」だけ増大する。これらのステップ78,80は、後述するステップ96にて車速平均値VS0AVEを演算するために必要な値を得る処理である。
【0050】
次いで、CPU21はステップ82に進み、同ステップ82にて現在のパルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの各々の値に対し、対応するパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの値をそれぞれ加算してパルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの値を更新する。
【0051】
次に、CPU21はステップ84に進み、パルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの中から最大値を選択し、その最大値を積算パルス数最大値PMAXに設定し、続くステップ86にてパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの値を「0」にクリアする。
【0052】
次いで、CPU21はステップ88に進み、積算パルス数最大値PMAXが所定値A(例えば、9万パルス)以上であるか否かを判定する。そして、CPU21はステップ88にて「No」と判定した場合には、タイヤ空気圧の判定に必要な十分な数の車輪速パルスが発生していない(タイヤ空気圧の判定条件の一つが不成立)としてステップ150に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、CPU21はステップ88にて「Yes」と判定した場合には、タイヤ空気圧の判定、及び装着タイヤに車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行うため、ステップ90以降に進む。
【0053】
CPU21は、ステップ90にて現時点で保持している動荷重半径偏差βの値を前回演算された動荷重半径偏差βLとして格納する。但し、現時点では保持している動荷重半径偏差βが存在しないため、同ステップ90では予め定められた固定値が動荷重半径偏差βLとして格納され、又は無視される(前回値無しとされる)。次いで、CPU21はステップ92に進み、同ステップ92にて新たに動荷重半径偏差βの演算を行う。即ち、今回の動荷重半径偏差βを演算する。具体的には、CPU21は、上記ステップ82にて求めた車輪速パルス数の各積算値PFL,PRRの和(PFL+PRR)と、車輪速パルス数の各積算値PFR,PRLの和(PFR+PRL)との差を動荷重半径偏差βとして求める。即ち、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)である。
【0054】
次いで、CPU21はステップ94に進み、その時点で記憶(保持)している平均車速VS0AVEを前回の平均車速VS0AVELとして格納する。但し、現時点では、平均車速VS0AVEが得られていないので、予め定められた固定値が前回の平均車速VS0AVELとして格納され、又は無視される(前回値無しとされる)。その後、CPU21はステップ96に進み、先のステップ78にて計算した車速積算値VS0Iをステップ80にて計算したカウンタNの値で除し、その結果を新たな平均車速(今回の平均車速)VS0AVEとして格納し、続くステップ98にてパルス数積算値PFL,PFR,PRL,PRR、車速積算値VS0I、及びカウンタNの値を「0」にクリアする。
【0055】
次に、CPU21はステップ100に進み、フラグFの値が「0」か否かを判定する。フラグFは、EEPROM24内に動荷重半径偏差βの基準値β0(0)が格納されていない場合に値「0」が設定され、動荷重半径偏差基準値β0(0)が格納されるとき値「1」が設定されるフラグである。
【0056】
現時点では、EEPROM24内に動荷重半径偏差基準値β0(0)が格納されていないので、フラグFの値は「0」である。このため、CPU21はステップ100にて「Yes」と判定してステップ102に進み、同ステップ102にてステップ92で求めた動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)として格納する。次いで、CPU21は、ステップ104に進んで基準車速V0(0)にステップ96にて計算した平均車速VS0AVEを格納し、ステップ106にて動荷重半径偏差基準値β0(0)、及び基準車速V0(0)をEEPROM24又はRAM23に格納する。
【0057】
以上により、後述するタイヤ空気圧の判定、及び車速依存性タイヤの装着有無の判定を行うための基準となる動荷重半径偏差βの基準値β0(0)と、その基準値β0(0)が如何なる車速にて得られた値であるのかを示す基準車速V0(0)が設定される。その後、CPU21はステップ108に進んでフラグFの値を「1」に設定し、続くステップ110にて変数jの値を「0」に設定し、ステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ92は変数値演算手段、ステップ96は平均車速演算手段、ステップ106は基準変数値記憶手段及び基準車速記憶手段として機能する。また、上記ステップ108では、EEPROM24内にもフラグFの値を格納しておき、イグニッションスイッチが「オフ」とされた後も、フラグFの値が失われないようにしておく。
【0058】
以降においても、CPU21は所定の時間(例えば、5msec)が経過する毎に図4のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、パルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRのうちの最大値である積算パルス数最大値PMAXが所定値A以上となり、CPU21はステップ88にて「Yes」と判定してステップ90〜98を実行する。この結果、前回の動荷重半径偏差βL、今回(現時点)の動荷重半径偏差β、前回の平均車速VS0AVEL、及び今回(現時点)の平均車速VS0AVEが更新される。
【0059】
次いで、CPU21はステップ100に進むが、この段階ではフラグFの値は先のステップ108にて「1」とされている。このため、CPU21はステップ100にて「No」と判定してステップ112に進み、同ステップ112にて変数iに「0」を設定する。次いで、CPU21はステップ114に進み、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)−αより大きく、且つ、基準車速V0(i)+αより小さいか否かを判定する。この段階においては、変数iは「0」であるから、実際には平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるか否かが判定される。なお、このステップ114は車速条件判定手段を構成している。
【0060】
現時点において、平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるとすると、CPU21はステップ114にて「Yes」と判定してステップ116以降に進み、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0(0)との差の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。
【0061】
この場合においては、動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が正常であるので、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0の絶対値は所定値Kより小さい。従って、CPU21は、ステップ116にて「No」と判定してステップ150に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0062】
また、上記ステップ114にて平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にないとすると、CPU21はステップ114にて「No」と判定してステップ120に進み、同ステップ120にて変数iを「1」だけ増大する。この結果、現時点においては、変数iの値は「1」となる。次いで、CPU21はステップ122に進み、変数iが変数jより大きいか否かを判定する。現時点においては、変数jの値は先のステップ110により「0」に設定されている。従って、変数i(=1)は変数j(=0)より大きいため、CPU21はステップ122にて「Yes」と判定してステップ124以降に進む。即ち、現時点の平均車速VS0AVEは、基準車速V0(0)と大きく異なっていて、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れると考えられるので、タイヤ空気圧の判定を直ちには行わず、先に車速依存性の大きいタイヤの装着有無を判定する。
【0063】
具体的には、CPU21は、ステップ124にて前記新たな動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVE(今回の平均車速)と前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVEL(前回の平均車速)との差ΔVの絶対値(|今回の平均車速VS0AVE−前回の平均車速VS0AVEL|)が所定値Lより大きいか否かを判定する。そして、差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合には、ステップ126に進んで今回求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βLとの差Δβ、及び前記動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前記動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVを求め、その商(それらの比)である車速依存性判定値(Δβ/ΔV)を求める。
【0064】
次いで、CPU21は、ステップ128にて車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1以下か否かを判定する。この場合においては、車速依存性の異なるタイヤは装着されていないので、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)は所定値M1以下となる。そのため、CPU21はステップ128にて「Yes」と判定してステップ132に進み、今回新たに求めた動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。この場合においては、タイヤ空気圧は正常であるので、ステップ132での判定結果は「No」となり、直ちにステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
また、上記ステップ124にて、動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVの絶対値が所定値Lより小さい場合には、車速依存性の判定を行うと誤判定する恐れがあるため、CPU21は同ステップ124にて「No」と判定してステップ136に進み、今回新たに求めた動荷重半径偏差βを新たな動荷重半径偏差基準値β0(1)(β0(j+1);j=0)としてEEPROM24に格納するとともに、ステップ138にて同動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを新たな基準車速V0(1)(V0(j+1);j=0)としてEEPROM24に格納する。そして、CPU21は、ステップ140にて変数jを「1」だけ増大し、ステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、上記のステップ124〜128はタイヤ判定手段を構成している。
【0066】
以降においても、CPU21は所定の時間の経過毎に図4のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、CPU21はステップ114に至る。ステップ114は、前述したように、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内にあるか否かを判定するステップであり、変数iはステップ112にて「0」に設定されている。従って、その時点の平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるとすると、CPU21はステップ114にて「Yes」と判定して上述のステップ116以降に進む。
【0067】
一方、その時点の平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にないとすると、CPU21はステップ114にて「No」と判定し、ステップ120にて変数iの値を「1」だけ増大する。この結果、変数iの値は「1」となる。次いで、CPU21はステップ122に進み、変数iが変数jより大きいか否かを判定する。
【0068】
この時点において、先のステップ140が実行されているとすると、変数jの値は「1」に設定されている。従って、変数i(=1)は変数j(=1)と等しいため、CPU21はステップ122にて「No」と判定してステップ114に戻り、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±α=V0(1)±αの範囲内にあるか否かを判定する。
【0069】
そして、平均車速VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にある場合には、ステップ114にて「Yes」と判定してステップ116以降に進み、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0(1)との差の絶対値にてタイヤ空気圧の判定を行う。また、平均車速VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にない場合には、CPU21はステップ114にて「No」と判定し、ステップ120にて変数iの値を「1」だけ増大して変数iの値を「2」とする。この結果、変数iの値(=2)は変数j(=1)よりも大きくなるので、CPU21はステップ122にて「Yes」と判定して、上述したステップ124以降の処理に移行する。
【0070】
更に、CPU21は、ステップ124にて、前記新たな動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVE(今回の平均車速)と前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVEL(前回の平均車速)との差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きいか否かを判定し、所定値Lより小さい場合にはステップ136〜140を実施し、動荷重半径偏差基準値β0(j+1)=β0(2),基準車速V0(j+1)=V0(2)をEEPROM24に格納する。このようにして、動荷重半径偏差基準値β0(i),基準車速V0(i)が増やされ、これによりタイヤ空気圧の判定を行う車速領域が拡大されて行く。
【0071】
(2)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が異常である場合
【0072】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより大きくなる。このため、CPU21は、ステップ116で「Yes」と判定してステップ118にみ、タイヤ空気圧が異常であることを示すためのフラグFIJOの値に「1」を設定する。
【0073】
また、CPU21は、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合にステップ128に進むが、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より小さいので、同ステップ128にて「Yes」と判定してステップ132に進む。そして、タイヤ空気圧が異常であることから、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差の絶対値は所定値Kより大きくなっているため、ステップ132にて「Yes」と判定してステップ134に進み、同ステップ134にて上記フラグFIJOの値を「1」に設定する。その他の作動は、上記(1)の場合と同様である。
【0074】
(3)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着されており、且つ、タイヤ空気圧は正常である場合
【0075】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより小さくなる。このため、CPU21は、ステップ116にて「No」と判定して、ステップ150に直接すすむ。従って、ステップ118にてフラグFIJOが「1」とされることはなく、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することはない。
【0076】
また、この場合には、ステップ126にて求められる車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より大きくなる。このため、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合、CPU21はステップ128に進み、同ステップ128にて「No」と判定してタイヤ空気圧の判定を行うことなくステップ130に進む。そして、同ステップ130にて車速依存性の異なるタイヤが装着されていることを示すフラグFIZONに値「1」を設定し、その後は上述のステップ136〜140へと進む。この結果、動荷重半径偏差基準値β0(i),基準車速V0(i)が順次増やされ、タイヤ空気圧の判定を行う車速領域が拡大されて行く。
【0077】
更に、上記ステップ128に進んだ場合に、同ステップ128にて「Yes」と判定されることはないので、ステップ132,134が実行されてフラグFIJOが「1」とされることはなく、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することはない。
【0078】
(4)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着されており、且つ、タイヤ空気圧が異常である場合
【0079】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより大きくなる。このため、CPU21は、ステップ116で「Yes」と判定してステップ118にみ、タイヤ空気圧が異常であることを示すためのフラグFIJOの値に「1」を設定する。
【0080】
また、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合、ステップ128に進むが、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)は所定値M1より大きくなるため、同ステップ128にて「No」と判定してステップ130に進み、フラグFIZONの値を「1」とする。その他の作動は、上記(1)の場合と同様である。以上が第1実施形態の作動である。
【0081】
このように、第1実施形態においては、動荷重半径偏差基準値β0(i)とそれに対応した(関連付けられた)基準車速V0(i)が順次記憶され、新たに動荷重半径偏差βが演算されたときの平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内にある場合、及び、基準車速V0(i)±αの範囲外であって車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定された場合に、新たな動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)と又はβ0(0)とのそれぞれに基づいてタイヤ空気圧の判定がなされる。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が正常の場合に異常と誤判定する事態が回避される。
【0082】
次に、本発明によるタイヤ空気圧判定装置の第2実施形態について、先ず、タイヤ空気圧の判定原理から説明する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)が求められ、この動荷重半径偏差βがタイヤ空気圧判定に利用される。また、車速依存性の異なるタイヤが装着され得ることを前提としてタイヤ空気圧の判定が行われる。
【0083】
本実施形態では、タイヤ空気圧判定のために車速領域が複数の車速領域i(iは自然数)に分割されている。本例においては、車速領域が車速領域1(車速V1〜V2)、車速領域2(車速V2〜V3)、及び車速領域3(車速V3〜V4、V1<V2<V3<V4)の3領域に分割されている。この場合、各車速領域の車速幅(V2−V1、V3−V2、V4−V3)は同一でもよく、車速領域毎に異なっていてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、車両出荷直後、或いは車両整備終了後等において、始めて動荷重半径偏差βが求められたとき、この動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(i)としてEEPROM24に記憶する。変数iは、上記動荷重半径偏差βを計算した時点での車速(車速の平均値)が上記車速領域iの何れに属するかに応じて決定される。例えば、動荷重半径偏差βを求めたときの車速が車速V1より大きく車速V2より小さければ、変数iは「1」である。この動荷重半径偏差基準値β0(i)は、更に動荷重半径偏差基準初期値β0として記憶される。
【0085】
そして、新たな動荷重半径偏差βが得られた場合に、その時点の車速が上記EEPROM24に格納された動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iに属するときは、新たな動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1を求め、この差Δβ1に基づいてタイヤ空気圧が正常か否かを判定する。即ち、前記差Δβ1が所定値より小さいときにはタイヤ空気圧が正常であると判定し、所定値より大きいときには異常であると判定する。
【0086】
このように、新たに求められた動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1に基づいてタイヤ空気圧を判定するのは、第1実施形態と同様の理由による。また、新たな動荷重半径偏差βが得られたときの車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を得たときの車速の属する車速領域iと同じ車速領域に属するときに、タイヤ空気圧の正常・異常を判定するようにしたのは、車速が同じ領域内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1には車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響がでない(無視しうる程度に小さい)と判断できるためである。
【0087】
一方、その時点での車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を求めたときの車速の属する車速領域iと異なる領域に属する場合には、動荷重半径偏差βの値(又は、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1)が、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響を大きく受けている可能性があると考えられる。従って、この場合においては、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βOLDとの差(車速依存性判定値)Δβ2を求め、この差Δβ2が所定値M2以上のとき、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判定する。また、この場合には、新たに求めた動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(j)(jはi以外の自然数)としてEEPROMに格納する。例えば、変数iが「1」のとき、変数jは「2」又は「3」である。
【0088】
他方、その時点での車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を求めたときの車速の属する車速領域iと異なる領域に属する場合であって、車速依存性判定値Δβ2が所定値M2より小さいときには、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定して、動荷重半径偏差基準初期値β0を新たな動荷重半径偏差基準値β0(j)としてEEPROM24内に格納する。これは、動荷重半径偏差基準初期値β0の方が新たに求めた動荷重半径偏差βよりも、タイヤ空気圧が正常である場合に得られた値である蓋然性が高いと考えられるためである。
【0089】
この結果、更に新たな動荷重半径偏差βが演算されたときには、その時点での車速が、車速領域i、又は車速領域jに属するか否かを判定し、何れかの車速領域に属する場合には、新たな動荷重半径偏差βとその属している車速領域の動荷重半径偏差基準値β0(i)又はβ0(j)との差Δβ1に基づいて上記タイヤ空気圧の判定が行われる。また、動荷重半径偏差βが演算されたときの車速が、車速領域i、又は車速領域jの何れにも属しない場合には、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2により車速依存性の異なるタイヤ装着有無が判定され、車速依存性の異なるタイヤが装着されいると判定されるときは、新たに求めた動荷重半径偏差βがその車速の動荷重半径偏差基準値β0(k)(kはi,j以外の自然数)として記憶され、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定されるときは、新たに動荷重半径偏差βを求めた時点の車速の属する領域kの動荷重半径偏差基準値β0(k)として動荷重半径偏差基準初期値β0が記憶される。
【0090】
このようにして、予め区分された車速領域iに動荷重半径偏差基準値β0(i)が格納されて行き、新たに動荷重半径偏差βが得られる毎に、その時点での車速が属する車速領域iに動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているか否かが判定され、この判定結果に応じて差Δβ1に基づくタイヤ空気圧の判定、及び差Δβ2に基づく車速依存性の異なるタイヤ装着の有無の判定が行われる。
【0091】
次に、第2実施形態の具体的作動について説明すると、第2実施形態はCPU21が、図4に示したルーチンに代え図5に示したルーチンを実行する点においてのみ第1実施形態と異なっている。従って、以下、図5を参照しながら説明を進める。なお、図5において、図4に示したステップと同一のステップについては、図4と同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
第2実施形態においては、CPU21は、車両走行状態に応じて第1実施形態と同一のステップ72〜88,92,96、及び98を適宜実行し、その後ステップ172に進んで車速平均値VS0AVEが車速領域1に属しているか否かを判定する。即ち、車速平均値VS0AVEが車速領域1を画定する所定車速V1(この値はステップ76での所定値VIと等しく設定されている。)以上であって所定車速V2より小さいか否かを判定する。そして、車速平均値VS0AVEが車速領域1に属している場合には、ステップ174にて変数iに値「1」を設定してステップ176に進み、車速領域1に属していない場合には、そのままステップ176に進む。
【0093】
ステップ176においては、CPU21は車速平均値VS0AVEが車速領域2を画定する所定車速V2以上であって所定車速V3より小さいか否かを判定する。そして、ステップ176にて「Yes」と判定されるときは車速平均値VS0AVEが車速領域2に属しているため、ステップ178にて変数iに値「2」を設定し、一方、ステップ176にて「No」と判定されるときは車速平均値VS0AVEが車速領域3に属すると判定できるため、ステップ180にて変数iに値「3」を設定する。なお、ステップ172〜176は、動荷重半径偏差β(変数値)を演算したときの車速平均値VS0AVE(車速)が複数に区分された領域(車速領域)iの何れに属するかを特定する車速領域特定手段を構成している。
【0094】
CPU21は、次のステップ182にてフラグFの値が「0」か否かを判定する。フラグFは、EEPROM24内に動荷重半径偏差βの基準値β0(i)(i;1〜3の自然数)の何れもが格納されていない場合に値「0」が設定され、動荷重半径偏差基準値β0(i)の何れかが格納されるとき値「1」が設定されるフラグである。
【0095】
現時点においては、動荷重半径偏差基準値β0(i)は何れもEEPROM24内に格納されていないので、フラグFの値は「0」である。このため、CPU21はステップ182にて「Yes」と判定し、ステップ184に進んで動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、続くステップ186にて同動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準初期値β0として記憶する。次いで、CPU21はステップ190に進み、同ステップ190にてフラグFに値「1」を設定し、続くステップ192にて動荷重半径偏差βを前回の動荷重半径偏差βOLDとして格納し、その後ステップ250に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ190では、EEPROM24内にもフラグFの値を格納しておき、イグニッションスイッチが「オフ」とされた後も、フラグFの値が失われないようにしておく。
【0096】
以降においても、CPU21は所定の時間(例えば、5msec)が経過する毎に図5のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、ステップ92,96が実行され、今回(現時点)の動荷重半径偏差βと今回(現時点)の平均車速VS0AVEが新たに演算される。
【0097】
次いで、CPU21はステップ172〜180を実行し、現時点の平均車速VS0AVEが何れの車速領域iに属しているかを特定し、変数iの値を決定する。そして、続くステップ182では、先のステップ190にてフラグFの値が「1」に設定されていることから、「No」と判定してステップ194に進む。
【0098】
CPU21は、ステップ194にて動荷重半径偏差基準値β0(i)の値が「0」であるか否かを判定する。このとき、現時点の車速VS0AVEが、先のステップ184において格納した動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iと同じ車速領域iに属するとすると、動荷重半径偏差基準値β0(i)の値は「0」ではないため、CPU21はステップ194にて「No」と判定し、ステップ196に進んで現時点の(新たに演算された)動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。即ち、この場合においては、現時点の平均車速VS0AVEは、動荷重半径偏差基準値β0(i)が演算された時点の平均車速が属していた車速領域iと同一領域に属していることから、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れることはないものと考えられるので、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値によりタイヤ空気圧の判定を行う。
【0099】
そして、同ステップ196での判定結果が「Yes」であるときは、タイヤ空気圧が異常であると判定して、ステップ198にてフラグFIJOに値「1」を設定した後、ステップ250に進んで本ルーチンを一旦終了する。また、上記ステップ196での判定結果が「No」であるときには、ステップ250に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
一方、現時点の車速VS0AVEが、先のステップ184において格納した動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iと同じ車速領域iに属さない場合には、動荷重半径偏差基準値β0(i)の値は「0」であるため、CPU21はステップ194にて「Yes」と判定し、ステップ200に進んで新たに演算された動荷重半径偏差βと先のステップ192にて格納された前回の動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2の絶対値が所定値M2より大きいか否かを判定する。ここで、現時点の動荷重半径偏差βと前回の動荷重半径偏差βOLDとの差β2をとるのは、前回の動荷重半径偏差βOLDが得られてからの経過時間が短いので、差Δβ2はタイヤ空気圧の変動の影響を受け難いからである。
【0101】
即ち、この場合においては、現時点の平均車速VS0AVEは、動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iとは異なる車速領域に属していることから、現時点の動荷重半径偏差β(又は、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1)の値に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れている可能性があるので、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値によるタイヤ空気圧の判定に先だって、差Δβ2により車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行う。
【0102】
そして、上記ステップ200にて「Yes」と判定される場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判断し、ステップ202にてフラグFIZONに値「1」を設定する。次いで、CPU21は、ステップ204にて動荷重半径偏差βを新たな動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、続くステップ206にて動荷重半径偏差βを前回の動荷重半径偏差βOLDとして格納した後、ステップ250にて本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
また、上記ステップ200にて「No」と判定される場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないものと判断できるため、CPU21は、ステップ208に進み、先のステップ186にて格納しておいた動荷重半径偏差基準初期値β0(動荷重半径偏差基準値β0(i)として最初に記憶された動荷重半径偏差β)を動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、前述のステップ196以降に進んで差β1によるタイヤ空気圧の判定を行う。上記ステップ208にて動荷重半径偏差基準値β0(i)に新たに演算された動荷重半径偏差βではなく動荷重半径偏差基準初期値β0を記憶することとしたのは、動荷重半径偏差基準初期値β0の方が新たに演算された動荷重半径偏差βよりもタイヤ空気圧が正常であった時点の値である蓋然性が高いためであり、これにより以降のタイヤ空気圧の判定の精度が高まるからである。
【0104】
以降においても、CPU21は図5のルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行する。この結果、ステップ92,96にて新たな動荷重半径偏差β、及びその時点の平均車速VS0AVEがそれぞれ求められ、ステップ172〜180により平均車速VS0AVEの属する車速領域を示す変数iの値が決定される。
【0105】
そして、決定された変数iに対する動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているときは、ステップ194にて「No」と判定してステップ196に進み、同ステップ196により動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)の差Δβ1に基づいたタイヤ空気圧の判定を行う。
【0106】
一方、決定された変数iに対する動荷重半径偏差基準値β0(i)が格納されていないときは、ステップ194にて「Yes」と判定してステップ200に進み、現時点の動荷重半径偏差βと前回の動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2に基づいた車速依存性の異なるタイヤ装着有無の判定を行うとともに、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定される場合には、ステップ208にて動荷重半径偏差基準初期値β0を動荷重半径偏差基準値β0(i)として新たに格納した後、ステップ196にて動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0の差Δβ1によるタイヤ空気圧の判定を行う。また、ステップ196にて車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定される場合には、ステップ202にてフラグFIZONに「1」を設定し、ステップ204にて現時点の動荷重半径偏差βをβ0(i)として格納し、更に、ステップ206にて前回の動荷重半径偏差βOLDを更新する。
【0107】
このように、第2実施形態においては、新たに動荷重半径偏差βが演算されたときの平均車速VS0AVEが予め区分された何れの車速領域iに属するかが特定され、その車速領域に動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているか否かに応じて、タイヤ空気圧の判定又は車速依存性の異なるタイヤの装着有無の判定がなされる。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が正常の場合に異常と誤判定する事態が回避される。
【0108】
以上に説明したように、本発明の各実施形態によれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が異常であると誤判定する可能性がある場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定をタイヤ空気圧の正常・異常の判定に先だって行うため、同タイヤ空気圧についての誤判定を回避することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の態様により実施することができる。例えば、上記第1,第2実施形態においては、タイヤ空気圧判定、及び車速依存性違いタイヤ装着判定を、動荷重半径偏差βを基に行っていたが、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、車輪速センサ11〜12がそれぞれ発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。また、EEPROM24に動荷重半径偏差基準値β0(0)等を格納しておくことは必ずしも必要ではなく、EEPROM24に動荷重半径偏差基準値β0(0)等を格納しない場合には、イグニッションスイッチが「オフ」から「オン」へと変更されてから初めて動荷重半径偏差βが求められたとき、その動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)として格納するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施形態に係るタイヤ空気圧判定装置の概略図である。
【図2】図1に示したタイヤ空気圧判定装置の作動を説明するための図である。
【図3】図1に示したCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【図4】図1に示したCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【図5】本発明による第2実施形態に係るタイヤ空気圧判定装置のCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【符号の説明】
11〜14…車輪速センサ、20…電気制御回路、30…警報器、β…動荷重半径偏差、β0(i)…動荷重半径偏差基準値、V0(i)…基準車速。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置に係り、特に、車輪に動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着された場合であっても、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することのないタイヤ空気圧判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置は、例えば、特開平9−286213号公報に記載されているように、各車輪の回転に応じてパルスを発生する車輪速センサを備え、所定の時間内における前方右側車輪の車輪速パルス数(積算値)PFRと後方左側車輪の車輪速パルス数(積算値)PRLの和(PFR+PRL)と前方左側車輪の車輪速パルス数(積算値)PFLと後方右側車輪の車輪速パルス数(積算値)PRRの和(PFL+PRR)との偏差β(動荷重半径偏差β=(PFR+PRL)−(PFL+PRR))を求め、同偏差βの絶対値が所定値より大きい場合に何れかの車輪の空気圧が正常でないと判定し、この判定結果をランプ等の警報装置により乗員に知らせるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置においては、車両速度(以下、「車速」という。)の変化に応じてタイヤの動荷重半径が大きく変化する車速依存性の強いタイヤと、車速の変化があっても動荷重半径の変化が小さい車速依存性の弱いタイヤとが混在した状態にて車両に装着された場合、総ての車輪のタイヤ空気圧が正常であるにも拘らず上記動荷重半径偏差(動荷重半径相対比較値)βの絶対値が大きくなる場合があり、タイヤ空気圧が異常であると誤判定するという問題がある。従って、本発明の目的は、車速依存性の強いタイヤと弱いタイヤとが装着された場合であっても、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することのないタイヤ空気圧判定装置を提供することにある。
【0004】
【発明の概要】
本発明のタイヤ空気圧判定装置は、上記課題に対処するためになされたものであって、車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、前記車両の速度を検出する車速検出手段と、所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、前記演算された変数値を基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、前記基準変数値を演算したときの前記車両の速度を同基準変数値に関連付けられた基準車速として記憶する基準車速記憶手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあるか否かを判定する車速条件判定手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段とを具備している。
【0005】
上記構成によれば、所定条件が成立したときに前記各車輪毎に備えられた車輪速パルス発生手段の発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値が演算され、前記演算された変数値が基準変数値として記憶されるとともに、前記基準変数値を演算したときの前記車両の速度が同基準変数値に関連付けられた基準車速として記憶される。そして、前記変数値が新たに演算されたとき、その時点の車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあるか否かが判定され、同所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かが判定される。
【0006】
即ち、上記構成においては、前記変数値が新たに演算されたときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かが判定されるので、タイヤ空気圧判定用の変数値が動荷重半径の車速依存性の影響を受けていない場合に、同変数値に基づくタイヤ空気圧の判定が行われることとなり、動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによりタイヤ空気圧が異常であると誤判定することが回避される。
【0007】
この場合において、前記各車輪速パルス発生手段の発生するパルスの数を各車輪毎に積算する積算手段を設け、前記変数値演算手段は、前記タイヤ空気圧判定用の変数値を前記各車輪毎に積算されたパルス数から演算するように構成することができる。また、前記変数値としては、上記動荷重半径偏差βの他、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、それぞれ各車輪速パルス発生手段が発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。
【0008】
本発明のタイヤ空気圧判定装置は、更に、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段を備えている。
【0009】
この構成によれば、タイヤ空気圧判定用の変数値を新たに演算したときの車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたとき、即ち、現時点の車速が記憶されている基準車速から所定値以上異なっていてタイヤ空気圧判定用の変数値が動荷重半径の車速依存性の影響を受けている可能性が高いとき、車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判定される。従って、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を精度よく判定することができる。
【0010】
本発明の他の特徴は、上記構成のタイヤ空気圧判定装置において、前記タイヤ判定手段が、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求めるとともに前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差を車速差として求め、前記変数値差と前記車速差との比に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されたことにある。
【0011】
この構成によれば、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差」である変数値差と「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差」である車速差との比に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判断される。この比は車速依存性の程度をよく表す値であるので、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を精度よく判定することが可能となる。
【0012】
この場合において、前記タイヤ判定手段は、前記車速差が所定値より大きい場合に前記車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行うように構成されることが好適である。
【0013】
上記構成のタイヤ判定手段は、タイヤ空気圧判定用の変数値を新たに演算したときの車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたときに、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差である変数値差」と「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差である車速差」との比に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無を判定するが、車速が前記基準変数値に関連付けられて記憶されている基準車速により定まる所定車速範囲内にない場合であっても、同車速範囲を画定する車速の前後で同車速が変化した場合には、「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差である車速差」が小さく、前記比が車速依存性の程度を十分表さない可能性がある。従って、このような場合には、上記構成のように、前記比に基づく車速依存性の異なるタイヤ装着有無の判定を行わないようにする。
【0014】
また、前記基準変数値記憶手段は前記車速差が所定値より小さい場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されることが好適である。
【0015】
このように構成すれば、「前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との車速差」が所定値より小さく、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無の判定を行うことが好ましくない状況にある場合には、同判定を行う代わりに、新たに演算した変数値を新たな基準変数値として記憶するとともに、その時点の車速を基準車速として記憶しておく。これにより、以降におけるタイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0016】
また、上記空気圧判定手段とタイヤ判定手段とを備えたタイヤ空気圧判定装置において、前記空気圧判定手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記タイヤ空気圧が正常であるか否かの判定を行うように構成されることが好適である。
【0017】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたときには、タイヤ空気圧が正常であるか否かの判定が行われるので、同タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する機会が増大される。
【0018】
また、上記空気圧判定手段とタイヤ判定手段とを備えたタイヤ空気圧判定装置において、前記基準変数値記憶手段は前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されることが好適である。
【0019】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に、前記新たに演算した変数値を基準変数値として新たに記憶するとともに、その変数値を新たに演算したときの車速が同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶される。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されている場合であっても、タイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の他のタイヤ空気圧判定装置は、車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、前記車両の速度を検出する車速検出手段と、所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、前記変数値を演算したときの車速が複数に区分された領域の何れに属するかを特定する車速領域特定手段と、前記演算された変数値を同変数値が演算されたときの車速が属する領域の基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と同一であるとき、同新たに演算した変数値と同記憶されている基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段とを具備している。
【0021】
上記構成によれば、所定条件が成立したときに前記各車輪毎に発生されるパルスからタイヤ空気圧判定用の変数値が演算されるとともに、その変数値が演算されたときの車速が予め定められた何れの領域(車速領域)に属するかが特定され、前記演算された変数値が前記特定された領域の基準変数値として記憶される。そして、変数値が新たに演算された場合であって、その時点の車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と同一であるときには、同新たに演算した変数値と同記憶されている基準変数値との差に基づいてタイヤ空気圧の判定がなされる。
【0022】
即ち、上記構成においては、車速について同一の領域に属する新たな変数値と基準変数値との差によりタイヤ空気圧の判定がなされるので、タイヤの車速依存性の影響を排除したタイヤ空気圧の判定ができ、同タイヤの車速依存性によるタイヤ空気圧についての誤判定を回避することができる。
【0023】
なお、この場合においても、前記各車輪速パルス発生手段の発生するパルスの数を各車輪毎に積算する積算手段を設け、前記変数値演算手段は、前記タイヤ空気圧判定用の変数値を前記各車輪毎に積算されたパルス数から演算するように構成することができる。また、前記変数値としては、上記動荷重半径偏差βの他、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、それぞれ各車輪速パルス発生手段が発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。
【0024】
更に、このタイヤ空気圧判定装置は、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段を備えている。
【0025】
この構成によれば、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、即ち、車速の領域が異なっていてタイヤ空気圧判定用の変数値がタイヤの動荷重半径の車速依存性の影響を受けている可能性があるとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かが判定される。これにより、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を判定することが可能となる。
【0026】
また、上記(車速を領域に分けてタイヤ空気圧の判定を行う)タイヤ空気圧判定装置において、前記タイヤ判定手段は、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求め、同変数値差に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されることが好適である。
【0027】
これによれば、「新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差」である変数値差に基づいて車速依存性の異なるタイヤの装着有無が判断される。
【0028】
また、上記構成のタイヤ空気圧判定装置において、前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記基準変数値として最初に記憶された変数値を、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されることが好適である。
【0029】
上記構成においては、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、車速依存性の異なるタイヤ装着の有無が判定されるのであるが、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたときには、新たに演算された変数値でなく、基準変数値として最初に記憶された変数値を基準変数値として記憶する。これは、新たに演算された変数値には、タイヤ空気圧が変化した影響が含まれている可能性があるから、以降のタイヤ空気圧の精度良い判定のためには、タイヤ空気圧が正常であった蓋然性がより高い時点の変数値、即ち、基準変数値として最初に記憶された変数値を基準変数値として記憶する方が有利だからである。
【0030】
この場合において、前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定されたとき、前記新たに演算した変数値を、同変数値を演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されることが好適である。
【0031】
このように構成すれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に、前記新たに演算した変数値が、同変数値を演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶される。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されている場合であっても、タイヤ空気圧の判定を行いうる車速幅が広がるため、より精度よくタイヤ空気圧の判定を行うことが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるタイヤ空気圧判定装置の第1実施形態について図面を参照しつつ説明すると、図1は4輪車両に適用された同タイヤ空気圧判定装置の概略を示している。このタイヤ空気圧判定装置は、前方左側車輪FL,前方右側車輪FR,後方左側車輪RL,後方右側車輪RRの各車輪の近傍に配設された車輪速センサ11〜14と、電気制御回路20と、インストルメントパネル内に配設された警報ランプからなる警報器30とを備えている。
【0033】
車輪速センサ11〜14は、各車輪が一回転する毎に48個のパルス(車輪速パルス)を出力するように構成されている。即ち、車輪速センサ11〜14は、車輪速パルス発生手段を構成していて、各対応する車輪が7.5°回転する毎に1つの矩形パルスを出力する。車輪速センサ11〜14の各々は、電気制御回路20に接続されていて、同電気制御回路20に対し各車輪速パルスを出力するようになっている。
【0034】
電気制御回路20は、互いにバスで接続されたCPU21,ROM22,RAM23,EEPROM24と、インターフェース25,26等とを備えたマイクロコンピュータとして構成されている。CPU21は、ROM22に記憶されている後述のタイヤ空気圧判定用のプログラム(ルーチン)をRAM23の一時記憶機能を利用しながら実行するようになっている。EEPROM24は、CPU21から供給されるデータを格納し、同データを図示しない電源からの電力供給を受けない状態においても記憶・保持するようになっている。インターフェース25は、車輪速センサ11〜14と接続されていて、同車輪速センサ11〜14の発生する車輪速パルスを受け、これをCPU21に送出するようになっている。インターフェース26は、警報器30と接続されていて、CPU21からの指示に応じて同警報器30に警報動作を行わせる(即ち、警報ランプを点灯させる)ようになっている。
【0035】
次に、上記タイヤ空気圧判定装置におけるタイヤ空気圧判定の原理について、図2を参照しつつ説明する。本装置においては、従来技術と同様に動荷重半径偏差βをタイヤ空気圧判定用の変数値として利用することにより、タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する。動荷重半径偏差βとは、車両の進行方向に対して一つの対角線上にある車輪速センサ11,14が所定の時間内に発生する車輪速パルス数の各積算値PFL,PRRの和(PFL+PRR)と、他の対角線上にある車輪速センサ12,13に基づく同所定時間内に発生する車輪速パルス数の各積算値PFR,PRLの和(PFR+PRL)との差、即ち、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)のことである。なお、このように対角線上にある車輪速センサの車輪速パルス数の積算値の和をそれぞれ求めるとともに、それらの差を求めるのは、車両旋回時における車輪速の差を補償し、タイヤ空気圧の正常・異常判定の精度を高めるためである。
【0036】
また、この装置においては、車速(車両の速度)の変化に伴って動荷重半径の変動が大きい車速依存性(以下、単に「車速依存性」ということがある。)の強いものと、動荷重半径の変動が小さい車速依存性の弱いものとが、一つの車両に混在した形で装着され得ることを前提としてタイヤ空気圧の判定を行う。
【0037】
具体的には、先ず、車両出荷直後、或いは車両整備終了後等において、始めてタイヤ空気圧の判定をすべき所定の条件(例えば、車速が60km/h以上の状態で車輪速パルスが所定数以上発生した場合)が成立したときに動荷重半径偏差βを計算し、この動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)としてEEPROM24に記憶する。また、上記動荷重半径偏差βを計算した時点での車速(車速の平均値VS0AVE)を上記動荷重半径偏差基準値β0(0)に関連づけて基準車速V0(0)としてEEPROM24に記憶する。このようにするのは、車両出荷後、或いは車両整備終了後等においては、タイヤ空気圧が正常である蓋然性が極めて高いと考えられるため、その時点での動荷重半径偏差βを以降のタイヤ空気圧判定の基準とし得るためである。
【0038】
その後、前記タイヤ空気圧の判定をすべき所定の条件が再び成立したときに、動荷重半径偏差βを新たに演算するとともに、その時点での車速の平均値VS0AVEを求める。そして、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差を求め、この差に基づいてタイヤ空気圧が正常か否かを判定する。即ち、前記差が所定値より小さいときにはタイヤ空気圧が正常であると判定し、所定値より大きいときには異常と判定する。
【0039】
このように、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差に基づいてタイヤ空気圧を判定するのは、動荷重半径偏差基準値β0(0)はタイヤ空気圧が正常であるか、又はその蓋然性が高いときに得られた値であるから、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響や、タイヤの製造誤差による車輪径の影響等が含まれた値となっており、新たに演算された動荷重半径偏差βにこれらの影響が現れていたとしても、同新たに演算された動荷重半径偏差βから動荷重半径偏差基準値β0(0)を減ずれば、これらの影響を除去(補償)でき、結果として精度良くタイヤ空気圧の正常・異常判定を行うことができるためである。
【0040】
また、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるときに、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差に基づいてタイヤ空気圧の正常・異常判定するようにしたのは、車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差には車速依存性が異なるタイヤが装着されていることによる影響がでない(無視しうる程度に小さい)と判断できるためである。
【0041】
一方、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合には、動荷重半径偏差βの値が車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響を大きく受けている可能性があると考えられる。このため、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βLとの差Δβ、及び新たに動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVを求めるとともに、差Δβの差ΔVに対する比である車速依存性判定値(Δβ/ΔV)を求め、この車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1以上のとき、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判定する。
【0042】
また、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合であって、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より小さいときには、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定して、新たに求めた動荷重半径偏差β、及びその動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを、新たな動荷重半径偏差基準値β0(1)、及び新たな基準車速V0(1)としてEEPROM24内に格納する。
【0043】
この結果、更に新たな動荷重半径偏差βが演算されたとき、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にある場合には動荷重半径偏差基準値β0(0)により、上述のタイヤ空気圧の正常・異常判定を行う。また、その時点での車速平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にない場合には、同平均値VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にあるか否かを判定し、同範囲内にある場合には動荷重半径偏差基準値β0(1)を基準として上述のタイヤ空気圧の正常・異常判定を行う。更に、平均値VS0AVEが基準車速V0(0)±α、又はV0(1)±αの範囲内にない場合には、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)に基づいて車速依存性の異なるタイヤ装着の有無を判定し、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定した場合には、新たに求めた動荷重半径偏差β、及びその動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを、新たな動荷重半径偏差基準値β0(2)、及び新たな基準車速V0(2)としてEEPROM24に格納する。
【0044】
本装置は、以降においても同様な処理を行い、動荷重半径偏差基準値β0(i)及び基準車速V0(i)を順次格納し、これにより、タイヤ空気圧を判定し得る車速領域を拡大して、タイヤ空気圧の判定精度を一層向上する。以上が、本装置によるタイヤ空気圧及び車速依存性の異なるタイヤ装着有無についての判定原理である。
【0045】
次に、上記判定原理に基づいて行われるタイヤ空気圧判定装置の実際の作動について、CPU21が実行するルーチンをフローチャートにて示した図3及び図4を参照しつつ場合分けしながら説明する。
【0046】
(1)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が正常である場合
【0047】
先ず、車両が工場から出荷された直後、或いは車両整備によりEEPROM24内の内容が消去された場合等であって、動荷重半径偏差基準値β0(0)がEEPROM24内に格納されていない(得られていない)状態から説明を開始する。図示しないイグニッションスイッチが「オフ」から「オン」に変更され、車両の走行が開始されると、CPU21は、各車輪速センサ11〜14の発生する各車輪速パルスの立下りエッヂにより、図3(A)〜(D)に示した割込みルーチンをそれぞれ実行するようになっている。即ち、CPU21は、車輪速センサ11の発生するパルスの立下りエッヂにより図3(A)のPFLパルス割込みルーチンをステップ40から開始し、続くステップ42にてパルス数をカウントするパルスカウンタCPFLの値を「1」だけ増大し、ステップ44に進んで本割込みルーチンを終了する。CPU21は、他の車輪速センサ12〜14の発生する車輪速パルスについても、図3(B),(C),(D)に示したルーチンをそれぞれ実行し、車輪速センサ12〜14のパルスの立下りエッヂ毎に各対応するパルスカウンタCPFR,CPRL,CPRRの値を「1」だけ増大する。
【0048】
CPU21は、また図4に示したタイヤ空気圧判定ルーチンの実行を所定時間(例えば、5msec)の経過毎にステップ70から開始する。そして、ステップ72に進んでパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの中から最大値を有するものを選択し、その最大値をパルス最大値CPMAXに設定する。次いで、CPU21は、ステップ74に進んでパルス最大値CPMAXから車速VS0を演算する。具体的には、パルス最大値CPMAXを本ルーチンを前回実行してから今回実行するまでの時間(例えば、5msec)で除すことにより、車速VS0を得る。なお、上記図3及び図4のステップ72,74は車速演算手段を構成している。
【0049】
次に、CPU21はステップ76に進み、車速VS0が所定車速V1(例えば、60km/h)以上か否かを判定し、判定結果が「No」の場合にはタイヤ空気圧の判定をする条件の一つが不成立であるとしてステップ150に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ76にて「Yes」と判定される場合、CPU21はステップ78に進み、現在の車速積算値VS0Iに上記ステップ74にて演算した車速VS0を加算したものを新たな車速積算値VS0Iとして格納し、続くステップ80にてカウンタNの値を「1」だけ増大する。これらのステップ78,80は、後述するステップ96にて車速平均値VS0AVEを演算するために必要な値を得る処理である。
【0050】
次いで、CPU21はステップ82に進み、同ステップ82にて現在のパルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの各々の値に対し、対応するパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの値をそれぞれ加算してパルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの値を更新する。
【0051】
次に、CPU21はステップ84に進み、パルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRの中から最大値を選択し、その最大値を積算パルス数最大値PMAXに設定し、続くステップ86にてパルスカウンタCPFL,CPFR,CPRL,及びCPRRの値を「0」にクリアする。
【0052】
次いで、CPU21はステップ88に進み、積算パルス数最大値PMAXが所定値A(例えば、9万パルス)以上であるか否かを判定する。そして、CPU21はステップ88にて「No」と判定した場合には、タイヤ空気圧の判定に必要な十分な数の車輪速パルスが発生していない(タイヤ空気圧の判定条件の一つが不成立)としてステップ150に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、CPU21はステップ88にて「Yes」と判定した場合には、タイヤ空気圧の判定、及び装着タイヤに車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行うため、ステップ90以降に進む。
【0053】
CPU21は、ステップ90にて現時点で保持している動荷重半径偏差βの値を前回演算された動荷重半径偏差βLとして格納する。但し、現時点では保持している動荷重半径偏差βが存在しないため、同ステップ90では予め定められた固定値が動荷重半径偏差βLとして格納され、又は無視される(前回値無しとされる)。次いで、CPU21はステップ92に進み、同ステップ92にて新たに動荷重半径偏差βの演算を行う。即ち、今回の動荷重半径偏差βを演算する。具体的には、CPU21は、上記ステップ82にて求めた車輪速パルス数の各積算値PFL,PRRの和(PFL+PRR)と、車輪速パルス数の各積算値PFR,PRLの和(PFR+PRL)との差を動荷重半径偏差βとして求める。即ち、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)である。
【0054】
次いで、CPU21はステップ94に進み、その時点で記憶(保持)している平均車速VS0AVEを前回の平均車速VS0AVELとして格納する。但し、現時点では、平均車速VS0AVEが得られていないので、予め定められた固定値が前回の平均車速VS0AVELとして格納され、又は無視される(前回値無しとされる)。その後、CPU21はステップ96に進み、先のステップ78にて計算した車速積算値VS0Iをステップ80にて計算したカウンタNの値で除し、その結果を新たな平均車速(今回の平均車速)VS0AVEとして格納し、続くステップ98にてパルス数積算値PFL,PFR,PRL,PRR、車速積算値VS0I、及びカウンタNの値を「0」にクリアする。
【0055】
次に、CPU21はステップ100に進み、フラグFの値が「0」か否かを判定する。フラグFは、EEPROM24内に動荷重半径偏差βの基準値β0(0)が格納されていない場合に値「0」が設定され、動荷重半径偏差基準値β0(0)が格納されるとき値「1」が設定されるフラグである。
【0056】
現時点では、EEPROM24内に動荷重半径偏差基準値β0(0)が格納されていないので、フラグFの値は「0」である。このため、CPU21はステップ100にて「Yes」と判定してステップ102に進み、同ステップ102にてステップ92で求めた動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)として格納する。次いで、CPU21は、ステップ104に進んで基準車速V0(0)にステップ96にて計算した平均車速VS0AVEを格納し、ステップ106にて動荷重半径偏差基準値β0(0)、及び基準車速V0(0)をEEPROM24又はRAM23に格納する。
【0057】
以上により、後述するタイヤ空気圧の判定、及び車速依存性タイヤの装着有無の判定を行うための基準となる動荷重半径偏差βの基準値β0(0)と、その基準値β0(0)が如何なる車速にて得られた値であるのかを示す基準車速V0(0)が設定される。その後、CPU21はステップ108に進んでフラグFの値を「1」に設定し、続くステップ110にて変数jの値を「0」に設定し、ステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ92は変数値演算手段、ステップ96は平均車速演算手段、ステップ106は基準変数値記憶手段及び基準車速記憶手段として機能する。また、上記ステップ108では、EEPROM24内にもフラグFの値を格納しておき、イグニッションスイッチが「オフ」とされた後も、フラグFの値が失われないようにしておく。
【0058】
以降においても、CPU21は所定の時間(例えば、5msec)が経過する毎に図4のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、パルス数積算値PFL,PFR,PRL,及びPRRのうちの最大値である積算パルス数最大値PMAXが所定値A以上となり、CPU21はステップ88にて「Yes」と判定してステップ90〜98を実行する。この結果、前回の動荷重半径偏差βL、今回(現時点)の動荷重半径偏差β、前回の平均車速VS0AVEL、及び今回(現時点)の平均車速VS0AVEが更新される。
【0059】
次いで、CPU21はステップ100に進むが、この段階ではフラグFの値は先のステップ108にて「1」とされている。このため、CPU21はステップ100にて「No」と判定してステップ112に進み、同ステップ112にて変数iに「0」を設定する。次いで、CPU21はステップ114に進み、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)−αより大きく、且つ、基準車速V0(i)+αより小さいか否かを判定する。この段階においては、変数iは「0」であるから、実際には平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるか否かが判定される。なお、このステップ114は車速条件判定手段を構成している。
【0060】
現時点において、平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるとすると、CPU21はステップ114にて「Yes」と判定してステップ116以降に進み、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0(0)との差の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。
【0061】
この場合においては、動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が正常であるので、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0の絶対値は所定値Kより小さい。従って、CPU21は、ステップ116にて「No」と判定してステップ150に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0062】
また、上記ステップ114にて平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にないとすると、CPU21はステップ114にて「No」と判定してステップ120に進み、同ステップ120にて変数iを「1」だけ増大する。この結果、現時点においては、変数iの値は「1」となる。次いで、CPU21はステップ122に進み、変数iが変数jより大きいか否かを判定する。現時点においては、変数jの値は先のステップ110により「0」に設定されている。従って、変数i(=1)は変数j(=0)より大きいため、CPU21はステップ122にて「Yes」と判定してステップ124以降に進む。即ち、現時点の平均車速VS0AVEは、基準車速V0(0)と大きく異なっていて、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れると考えられるので、タイヤ空気圧の判定を直ちには行わず、先に車速依存性の大きいタイヤの装着有無を判定する。
【0063】
具体的には、CPU21は、ステップ124にて前記新たな動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVE(今回の平均車速)と前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVEL(前回の平均車速)との差ΔVの絶対値(|今回の平均車速VS0AVE−前回の平均車速VS0AVEL|)が所定値Lより大きいか否かを判定する。そして、差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合には、ステップ126に進んで今回求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βLとの差Δβ、及び前記動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前記動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVを求め、その商(それらの比)である車速依存性判定値(Δβ/ΔV)を求める。
【0064】
次いで、CPU21は、ステップ128にて車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1以下か否かを判定する。この場合においては、車速依存性の異なるタイヤは装着されていないので、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)は所定値M1以下となる。そのため、CPU21はステップ128にて「Yes」と判定してステップ132に進み、今回新たに求めた動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差Δβ0の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。この場合においては、タイヤ空気圧は正常であるので、ステップ132での判定結果は「No」となり、直ちにステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
また、上記ステップ124にて、動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEと前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVELとの差ΔVの絶対値が所定値Lより小さい場合には、車速依存性の判定を行うと誤判定する恐れがあるため、CPU21は同ステップ124にて「No」と判定してステップ136に進み、今回新たに求めた動荷重半径偏差βを新たな動荷重半径偏差基準値β0(1)(β0(j+1);j=0)としてEEPROM24に格納するとともに、ステップ138にて同動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVEを新たな基準車速V0(1)(V0(j+1);j=0)としてEEPROM24に格納する。そして、CPU21は、ステップ140にて変数jを「1」だけ増大し、ステップ150に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、上記のステップ124〜128はタイヤ判定手段を構成している。
【0066】
以降においても、CPU21は所定の時間の経過毎に図4のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、CPU21はステップ114に至る。ステップ114は、前述したように、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内にあるか否かを判定するステップであり、変数iはステップ112にて「0」に設定されている。従って、その時点の平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にあるとすると、CPU21はステップ114にて「Yes」と判定して上述のステップ116以降に進む。
【0067】
一方、その時点の平均車速VS0AVEが基準車速V0(0)±αの範囲内にないとすると、CPU21はステップ114にて「No」と判定し、ステップ120にて変数iの値を「1」だけ増大する。この結果、変数iの値は「1」となる。次いで、CPU21はステップ122に進み、変数iが変数jより大きいか否かを判定する。
【0068】
この時点において、先のステップ140が実行されているとすると、変数jの値は「1」に設定されている。従って、変数i(=1)は変数j(=1)と等しいため、CPU21はステップ122にて「No」と判定してステップ114に戻り、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±α=V0(1)±αの範囲内にあるか否かを判定する。
【0069】
そして、平均車速VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にある場合には、ステップ114にて「Yes」と判定してステップ116以降に進み、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0(1)との差の絶対値にてタイヤ空気圧の判定を行う。また、平均車速VS0AVEが基準車速V0(1)±αの範囲内にない場合には、CPU21はステップ114にて「No」と判定し、ステップ120にて変数iの値を「1」だけ増大して変数iの値を「2」とする。この結果、変数iの値(=2)は変数j(=1)よりも大きくなるので、CPU21はステップ122にて「Yes」と判定して、上述したステップ124以降の処理に移行する。
【0070】
更に、CPU21は、ステップ124にて、前記新たな動荷重半径偏差βを求めた時点での平均車速VS0AVE(今回の平均車速)と前回の動荷重半径偏差βLを求めた時点での平均車速VS0AVEL(前回の平均車速)との差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きいか否かを判定し、所定値Lより小さい場合にはステップ136〜140を実施し、動荷重半径偏差基準値β0(j+1)=β0(2),基準車速V0(j+1)=V0(2)をEEPROM24に格納する。このようにして、動荷重半径偏差基準値β0(i),基準車速V0(i)が増やされ、これによりタイヤ空気圧の判定を行う車速領域が拡大されて行く。
【0071】
(2)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤは装着されておらず、且つ、タイヤ空気圧が異常である場合
【0072】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより大きくなる。このため、CPU21は、ステップ116で「Yes」と判定してステップ118にみ、タイヤ空気圧が異常であることを示すためのフラグFIJOの値に「1」を設定する。
【0073】
また、CPU21は、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合にステップ128に進むが、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より小さいので、同ステップ128にて「Yes」と判定してステップ132に進む。そして、タイヤ空気圧が異常であることから、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(0)との差の絶対値は所定値Kより大きくなっているため、ステップ132にて「Yes」と判定してステップ134に進み、同ステップ134にて上記フラグFIJOの値を「1」に設定する。その他の作動は、上記(1)の場合と同様である。
【0074】
(3)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着されており、且つ、タイヤ空気圧は正常である場合
【0075】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより小さくなる。このため、CPU21は、ステップ116にて「No」と判定して、ステップ150に直接すすむ。従って、ステップ118にてフラグFIJOが「1」とされることはなく、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することはない。
【0076】
また、この場合には、ステップ126にて求められる車速依存性判定値(Δβ/ΔV)が所定値M1より大きくなる。このため、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合、CPU21はステップ128に進み、同ステップ128にて「No」と判定してタイヤ空気圧の判定を行うことなくステップ130に進む。そして、同ステップ130にて車速依存性の異なるタイヤが装着されていることを示すフラグFIZONに値「1」を設定し、その後は上述のステップ136〜140へと進む。この結果、動荷重半径偏差基準値β0(i),基準車速V0(i)が順次増やされ、タイヤ空気圧の判定を行う車速領域が拡大されて行く。
【0077】
更に、上記ステップ128に進んだ場合に、同ステップ128にて「Yes」と判定されることはないので、ステップ132,134が実行されてフラグFIJOが「1」とされることはなく、タイヤ空気圧が異常であると誤判定することはない。
【0078】
(4)動荷重半径の車速依存性が異なるタイヤが装着されており、且つ、タイヤ空気圧が異常である場合
【0079】
この場合においては、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内となったとき、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差の絶対値は所定値Kより大きくなる。このため、CPU21は、ステップ116で「Yes」と判定してステップ118にみ、タイヤ空気圧が異常であることを示すためのフラグFIJOの値に「1」を設定する。
【0080】
また、平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内になく、今回の平均車速平均車速VS0AVEと前回の平均車速VS0AVELとの差ΔV0の絶対値が所定値Lより大きい場合、ステップ128に進むが、車速依存性判定値(Δβ/ΔV)は所定値M1より大きくなるため、同ステップ128にて「No」と判定してステップ130に進み、フラグFIZONの値を「1」とする。その他の作動は、上記(1)の場合と同様である。以上が第1実施形態の作動である。
【0081】
このように、第1実施形態においては、動荷重半径偏差基準値β0(i)とそれに対応した(関連付けられた)基準車速V0(i)が順次記憶され、新たに動荷重半径偏差βが演算されたときの平均車速VS0AVEが基準車速V0(i)±αの範囲内にある場合、及び、基準車速V0(i)±αの範囲外であって車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定された場合に、新たな動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)と又はβ0(0)とのそれぞれに基づいてタイヤ空気圧の判定がなされる。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が正常の場合に異常と誤判定する事態が回避される。
【0082】
次に、本発明によるタイヤ空気圧判定装置の第2実施形態について、先ず、タイヤ空気圧の判定原理から説明する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、動荷重半径偏差β=(PFL+PRR)−(PFR+PRL)が求められ、この動荷重半径偏差βがタイヤ空気圧判定に利用される。また、車速依存性の異なるタイヤが装着され得ることを前提としてタイヤ空気圧の判定が行われる。
【0083】
本実施形態では、タイヤ空気圧判定のために車速領域が複数の車速領域i(iは自然数)に分割されている。本例においては、車速領域が車速領域1(車速V1〜V2)、車速領域2(車速V2〜V3)、及び車速領域3(車速V3〜V4、V1<V2<V3<V4)の3領域に分割されている。この場合、各車速領域の車速幅(V2−V1、V3−V2、V4−V3)は同一でもよく、車速領域毎に異なっていてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、車両出荷直後、或いは車両整備終了後等において、始めて動荷重半径偏差βが求められたとき、この動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(i)としてEEPROM24に記憶する。変数iは、上記動荷重半径偏差βを計算した時点での車速(車速の平均値)が上記車速領域iの何れに属するかに応じて決定される。例えば、動荷重半径偏差βを求めたときの車速が車速V1より大きく車速V2より小さければ、変数iは「1」である。この動荷重半径偏差基準値β0(i)は、更に動荷重半径偏差基準初期値β0として記憶される。
【0085】
そして、新たな動荷重半径偏差βが得られた場合に、その時点の車速が上記EEPROM24に格納された動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iに属するときは、新たな動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1を求め、この差Δβ1に基づいてタイヤ空気圧が正常か否かを判定する。即ち、前記差Δβ1が所定値より小さいときにはタイヤ空気圧が正常であると判定し、所定値より大きいときには異常であると判定する。
【0086】
このように、新たに求められた動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1に基づいてタイヤ空気圧を判定するのは、第1実施形態と同様の理由による。また、新たな動荷重半径偏差βが得られたときの車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を得たときの車速の属する車速領域iと同じ車速領域に属するときに、タイヤ空気圧の正常・異常を判定するようにしたのは、車速が同じ領域内にあれば、新たに演算された動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1には車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響がでない(無視しうる程度に小さい)と判断できるためである。
【0087】
一方、その時点での車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を求めたときの車速の属する車速領域iと異なる領域に属する場合には、動荷重半径偏差βの値(又は、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1)が、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることによる影響を大きく受けている可能性があると考えられる。従って、この場合においては、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βOLDとの差(車速依存性判定値)Δβ2を求め、この差Δβ2が所定値M2以上のとき、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判定する。また、この場合には、新たに求めた動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(j)(jはi以外の自然数)としてEEPROMに格納する。例えば、変数iが「1」のとき、変数jは「2」又は「3」である。
【0088】
他方、その時点での車速が、動荷重半径偏差基準値β0(i)を求めたときの車速の属する車速領域iと異なる領域に属する場合であって、車速依存性判定値Δβ2が所定値M2より小さいときには、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定して、動荷重半径偏差基準初期値β0を新たな動荷重半径偏差基準値β0(j)としてEEPROM24内に格納する。これは、動荷重半径偏差基準初期値β0の方が新たに求めた動荷重半径偏差βよりも、タイヤ空気圧が正常である場合に得られた値である蓋然性が高いと考えられるためである。
【0089】
この結果、更に新たな動荷重半径偏差βが演算されたときには、その時点での車速が、車速領域i、又は車速領域jに属するか否かを判定し、何れかの車速領域に属する場合には、新たな動荷重半径偏差βとその属している車速領域の動荷重半径偏差基準値β0(i)又はβ0(j)との差Δβ1に基づいて上記タイヤ空気圧の判定が行われる。また、動荷重半径偏差βが演算されたときの車速が、車速領域i、又は車速領域jの何れにも属しない場合には、新たに求めた動荷重半径偏差βと前回求めた動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2により車速依存性の異なるタイヤ装着有無が判定され、車速依存性の異なるタイヤが装着されいると判定されるときは、新たに求めた動荷重半径偏差βがその車速の動荷重半径偏差基準値β0(k)(kはi,j以外の自然数)として記憶され、車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定されるときは、新たに動荷重半径偏差βを求めた時点の車速の属する領域kの動荷重半径偏差基準値β0(k)として動荷重半径偏差基準初期値β0が記憶される。
【0090】
このようにして、予め区分された車速領域iに動荷重半径偏差基準値β0(i)が格納されて行き、新たに動荷重半径偏差βが得られる毎に、その時点での車速が属する車速領域iに動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているか否かが判定され、この判定結果に応じて差Δβ1に基づくタイヤ空気圧の判定、及び差Δβ2に基づく車速依存性の異なるタイヤ装着の有無の判定が行われる。
【0091】
次に、第2実施形態の具体的作動について説明すると、第2実施形態はCPU21が、図4に示したルーチンに代え図5に示したルーチンを実行する点においてのみ第1実施形態と異なっている。従って、以下、図5を参照しながら説明を進める。なお、図5において、図4に示したステップと同一のステップについては、図4と同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
第2実施形態においては、CPU21は、車両走行状態に応じて第1実施形態と同一のステップ72〜88,92,96、及び98を適宜実行し、その後ステップ172に進んで車速平均値VS0AVEが車速領域1に属しているか否かを判定する。即ち、車速平均値VS0AVEが車速領域1を画定する所定車速V1(この値はステップ76での所定値VIと等しく設定されている。)以上であって所定車速V2より小さいか否かを判定する。そして、車速平均値VS0AVEが車速領域1に属している場合には、ステップ174にて変数iに値「1」を設定してステップ176に進み、車速領域1に属していない場合には、そのままステップ176に進む。
【0093】
ステップ176においては、CPU21は車速平均値VS0AVEが車速領域2を画定する所定車速V2以上であって所定車速V3より小さいか否かを判定する。そして、ステップ176にて「Yes」と判定されるときは車速平均値VS0AVEが車速領域2に属しているため、ステップ178にて変数iに値「2」を設定し、一方、ステップ176にて「No」と判定されるときは車速平均値VS0AVEが車速領域3に属すると判定できるため、ステップ180にて変数iに値「3」を設定する。なお、ステップ172〜176は、動荷重半径偏差β(変数値)を演算したときの車速平均値VS0AVE(車速)が複数に区分された領域(車速領域)iの何れに属するかを特定する車速領域特定手段を構成している。
【0094】
CPU21は、次のステップ182にてフラグFの値が「0」か否かを判定する。フラグFは、EEPROM24内に動荷重半径偏差βの基準値β0(i)(i;1〜3の自然数)の何れもが格納されていない場合に値「0」が設定され、動荷重半径偏差基準値β0(i)の何れかが格納されるとき値「1」が設定されるフラグである。
【0095】
現時点においては、動荷重半径偏差基準値β0(i)は何れもEEPROM24内に格納されていないので、フラグFの値は「0」である。このため、CPU21はステップ182にて「Yes」と判定し、ステップ184に進んで動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、続くステップ186にて同動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準初期値β0として記憶する。次いで、CPU21はステップ190に進み、同ステップ190にてフラグFに値「1」を設定し、続くステップ192にて動荷重半径偏差βを前回の動荷重半径偏差βOLDとして格納し、その後ステップ250に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ190では、EEPROM24内にもフラグFの値を格納しておき、イグニッションスイッチが「オフ」とされた後も、フラグFの値が失われないようにしておく。
【0096】
以降においても、CPU21は所定の時間(例えば、5msec)が経過する毎に図5のルーチンを繰り返し実行する。従って、所定の車両走行状態が継続すると、ステップ92,96が実行され、今回(現時点)の動荷重半径偏差βと今回(現時点)の平均車速VS0AVEが新たに演算される。
【0097】
次いで、CPU21はステップ172〜180を実行し、現時点の平均車速VS0AVEが何れの車速領域iに属しているかを特定し、変数iの値を決定する。そして、続くステップ182では、先のステップ190にてフラグFの値が「1」に設定されていることから、「No」と判定してステップ194に進む。
【0098】
CPU21は、ステップ194にて動荷重半径偏差基準値β0(i)の値が「0」であるか否かを判定する。このとき、現時点の車速VS0AVEが、先のステップ184において格納した動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iと同じ車速領域iに属するとすると、動荷重半径偏差基準値β0(i)の値は「0」ではないため、CPU21はステップ194にて「No」と判定し、ステップ196に進んで現時点の(新たに演算された)動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値が所定値Kより大きいか否かを判定する。即ち、この場合においては、現時点の平均車速VS0AVEは、動荷重半径偏差基準値β0(i)が演算された時点の平均車速が属していた車速領域iと同一領域に属していることから、現時点の動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れることはないものと考えられるので、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値によりタイヤ空気圧の判定を行う。
【0099】
そして、同ステップ196での判定結果が「Yes」であるときは、タイヤ空気圧が異常であると判定して、ステップ198にてフラグFIJOに値「1」を設定した後、ステップ250に進んで本ルーチンを一旦終了する。また、上記ステップ196での判定結果が「No」であるときには、ステップ250に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
一方、現時点の車速VS0AVEが、先のステップ184において格納した動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iと同じ車速領域iに属さない場合には、動荷重半径偏差基準値β0(i)の値は「0」であるため、CPU21はステップ194にて「Yes」と判定し、ステップ200に進んで新たに演算された動荷重半径偏差βと先のステップ192にて格納された前回の動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2の絶対値が所定値M2より大きいか否かを判定する。ここで、現時点の動荷重半径偏差βと前回の動荷重半径偏差βOLDとの差β2をとるのは、前回の動荷重半径偏差βOLDが得られてからの経過時間が短いので、差Δβ2はタイヤ空気圧の変動の影響を受け難いからである。
【0101】
即ち、この場合においては、現時点の平均車速VS0AVEは、動荷重半径偏差基準値β0(i)の車速領域iとは異なる車速領域に属していることから、現時点の動荷重半径偏差β(又は、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1)の値に車速依存性の異なるタイヤが装着されていることの影響が大きく現れている可能性があるので、動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)との差Δβ1の絶対値によるタイヤ空気圧の判定に先だって、差Δβ2により車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行う。
【0102】
そして、上記ステップ200にて「Yes」と判定される場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されているものと判断し、ステップ202にてフラグFIZONに値「1」を設定する。次いで、CPU21は、ステップ204にて動荷重半径偏差βを新たな動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、続くステップ206にて動荷重半径偏差βを前回の動荷重半径偏差βOLDとして格納した後、ステップ250にて本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
また、上記ステップ200にて「No」と判定される場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないものと判断できるため、CPU21は、ステップ208に進み、先のステップ186にて格納しておいた動荷重半径偏差基準初期値β0(動荷重半径偏差基準値β0(i)として最初に記憶された動荷重半径偏差β)を動荷重半径偏差基準値β0(i)として格納し、前述のステップ196以降に進んで差β1によるタイヤ空気圧の判定を行う。上記ステップ208にて動荷重半径偏差基準値β0(i)に新たに演算された動荷重半径偏差βではなく動荷重半径偏差基準初期値β0を記憶することとしたのは、動荷重半径偏差基準初期値β0の方が新たに演算された動荷重半径偏差βよりもタイヤ空気圧が正常であった時点の値である蓋然性が高いためであり、これにより以降のタイヤ空気圧の判定の精度が高まるからである。
【0104】
以降においても、CPU21は図5のルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行する。この結果、ステップ92,96にて新たな動荷重半径偏差β、及びその時点の平均車速VS0AVEがそれぞれ求められ、ステップ172〜180により平均車速VS0AVEの属する車速領域を示す変数iの値が決定される。
【0105】
そして、決定された変数iに対する動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているときは、ステップ194にて「No」と判定してステップ196に進み、同ステップ196により動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)の差Δβ1に基づいたタイヤ空気圧の判定を行う。
【0106】
一方、決定された変数iに対する動荷重半径偏差基準値β0(i)が格納されていないときは、ステップ194にて「Yes」と判定してステップ200に進み、現時点の動荷重半径偏差βと前回の動荷重半径偏差βOLDとの差Δβ2に基づいた車速依存性の異なるタイヤ装着有無の判定を行うとともに、車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定される場合には、ステップ208にて動荷重半径偏差基準初期値β0を動荷重半径偏差基準値β0(i)として新たに格納した後、ステップ196にて動荷重半径偏差βと動荷重半径偏差基準値β0(i)=β0の差Δβ1によるタイヤ空気圧の判定を行う。また、ステップ196にて車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定される場合には、ステップ202にてフラグFIZONに「1」を設定し、ステップ204にて現時点の動荷重半径偏差βをβ0(i)として格納し、更に、ステップ206にて前回の動荷重半径偏差βOLDを更新する。
【0107】
このように、第2実施形態においては、新たに動荷重半径偏差βが演算されたときの平均車速VS0AVEが予め区分された何れの車速領域iに属するかが特定され、その車速領域に動荷重半径偏差基準値β0(i)が既に格納されているか否かに応じて、タイヤ空気圧の判定又は車速依存性の異なるタイヤの装着有無の判定がなされる。この結果、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が正常の場合に異常と誤判定する事態が回避される。
【0108】
以上に説明したように、本発明の各実施形態によれば、車速依存性の異なるタイヤが装着されていることにより、タイヤ空気圧が異常であると誤判定する可能性がある場合には、車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定をタイヤ空気圧の正常・異常の判定に先だって行うため、同タイヤ空気圧についての誤判定を回避することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の態様により実施することができる。例えば、上記第1,第2実施形態においては、タイヤ空気圧判定、及び車速依存性違いタイヤ装着判定を、動荷重半径偏差βを基に行っていたが、動荷重半径関連比=(PFL+PRR)/(PFR+PRL)を基に行ってもよく、動荷重半径相当比=(VFR/VFL)−(VRR/VRL)を基に行ってもよい。この場合、VFL,VFR,VRL及びVRRは、車輪速センサ11〜12がそれぞれ発生するパルスの時間間隔から求められる左前輪の車輪速度、右前輪の車輪速度、左後輪の車輪速度、及び右後輪の車輪速度である。また、EEPROM24に動荷重半径偏差基準値β0(0)等を格納しておくことは必ずしも必要ではなく、EEPROM24に動荷重半径偏差基準値β0(0)等を格納しない場合には、イグニッションスイッチが「オフ」から「オン」へと変更されてから初めて動荷重半径偏差βが求められたとき、その動荷重半径偏差βを動荷重半径偏差基準値β0(0)として格納するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施形態に係るタイヤ空気圧判定装置の概略図である。
【図2】図1に示したタイヤ空気圧判定装置の作動を説明するための図である。
【図3】図1に示したCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【図4】図1に示したCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【図5】本発明による第2実施形態に係るタイヤ空気圧判定装置のCPUが実行するルーチンをフローチャートにて示した図である。
【符号の説明】
11〜14…車輪速センサ、20…電気制御回路、30…警報器、β…動荷重半径偏差、β0(i)…動荷重半径偏差基準値、V0(i)…基準車速。
Claims (10)
- 車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、
前記演算された変数値を基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、
前記基準変数値を演算したときの前記車両の速度を同基準変数値に関連付けられた基準車速として記憶する基準車速記憶手段と、
前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあるか否かを判定する車速条件判定手段と、
前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にあると判定されたとき、同新たに演算した変数値と同基準車速に関連付けられた前記基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段と、
前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速が前記基準車速により定まる所定車速範囲内にないと判定されたとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段とを備えたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項1に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記タイヤ判定手段は、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求めるとともに前記変数値を新たに演算したときの車速と前記前回の変数値を演算したときの車速との差を車速差として求め、前記変数値差と前記車速差との比に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項2に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記タイヤ判定手段は、前記車速差が所定値より大きい場合に前記車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かの判定を行うように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項2又は請求項3に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記基準変数値記憶手段は前記車速差が所定値より小さい場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記空気圧判定手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記タイヤ空気圧が正常であるか否かの判定を行うように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記基準変数値記憶手段は前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定された場合に前記新たに演算した変数値を前記基準変数値とは別の基準変数値として新たに記憶するとともに、前記基準車速記憶手段は前記変数値を新たに演算したときの車速を同変数値に関連付けられた基準車速として新たに記憶するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 車両の車輪が所定角度回転する毎にパルスを発生する車輪速パルス発生手段を各車輪毎に備えるとともに、前記各車輪毎の車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧が正常であるか否かを判定するタイヤ空気圧判定装置において、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
所定条件が成立したときに前記車輪速パルス発生手段が発生するパルスに基づいてタイヤ空気圧判定用の変数値を演算する変数値演算手段と、
前記変数値を演算したときの車速が複数に区分された領域の何れに属するかを特定する車速領域特定手段と、
前記演算された変数値を同変数値が演算されたときの車速が属する領域の基準変数値として記憶する基準変数値記憶手段と、
前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と同一であるとき、同新たに演算した変数値と同記憶されている基準変数値との差に基づいて前記タイヤ空気圧が正常であるか否かを判定する空気圧判定手段と、
前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域が前記記憶されている基準変数値の車速の属する領域と異なるとき、前記新たに演算した変数値に基づいて前記車輪にタイヤ空気圧の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するタイヤ判定手段とを備えたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項7に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記タイヤ判定手段は、前記新たに演算した変数値と前回演算した変数値との差を変数値差として求め、同変数値差に基づいて前記車輪に動荷重半径の車速依存性の異なるタイヤが装着されているか否かを判定するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項7又は請求項8の何れか一項に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていないと判定されたとき、前記基準変数値として最初に記憶された変数値を、前記変数値演算手段が前記変数値を新たに演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。 - 請求項7乃至請求項9の何れか一項に記載のタイヤ空気圧判定装置において、
前記基準変数値記憶手段は、前記タイヤ判定手段により車速依存性の異なるタイヤが装着されていると判定されたとき、前記新たに演算した変数値を、同変数値を演算したときの車速の属する領域の基準変数値として記憶するように構成されたことを特徴とするタイヤ空気圧判定装置。
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