JP3592882B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、積み重ねられた複数のセラミックグリーンシートをプレスする工程における改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造しようとするとき、複数のセラミックグリーンシートを用意し、これらセラミックグリーンシートを積み重ねることによって積層体を得、次いで、この積層体をプレスすることが行なわれる。また、上述のように積み重ねられる特定のセラミックグリーンシート上には、得ようとする積層セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、抵抗、インダクタ、バリスタ、フィルタ等を構成するための内部電極のような内部回路要素が予め形成されている。
【0003】
上述したプレス工程においては、プレスしようとする積層体の表面に剛体を作用させる剛体プレスが適用されたり、あるいは、プレスしようとする積層体の表面に静水圧を作用させる静水圧プレスが適用されたりしている。
また、このような積層セラミック電子部品において、その小型化および高性能化を実現するため、セラミックグリーンシートの薄膜化および多層化が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
積層体をプレスする工程において、剛体プレスを適用するとき、その内部に形成されている内部回路要素自身の厚みが起因して、内部回路要素が存在する部分とそうでない部分とで、プレス圧力のかかり具合が異なり、内部回路要素が形成されていない部分では、十分なプレス圧力がかからず、圧下不足となることがある。このことは、前述のように、積層体を構成するセラミックグリーンシートの薄膜化および多層化が進むほど、より顕著に生じる。
【0005】
そして、このようにプレスしたにも関わらず部分的に圧下不足が生じている積層体ブロックを切り出して複数のチップを得たとき、セラミック層間で剥がれが生じやすいという不都合を引き起こす。
なお、上述した問題を解決するため、最終的な剛体プレス工程を実施する前に、セラミックグリーンシートを積み重ねる毎に、剛体プレスによる第1段階の仮プレスを実施するとともに、一定積層数に到達したとき、再び剛体プレスによる第2段階の仮プレスを実施することが提案されている。しかしながら、この方法では、製造時間が長くかかるという問題があるばかりでなく、第2段階の仮プレスの実施界面に剥がれが生じやすいという問題に遭遇する。
【0006】
他方、プレス工程において、静水圧プレスを適用するとき、あるいは、ラバーのような弾性体を介しての剛体プレスを適用するときには、上述したような剥がれの問題は改善される。
しかしながら、図3に示すように、プレス後の積層体ブロック1の表面において、段差2で示される凹凸が発生することがあり、そのため、積層体ブロック1から切り出されたチップは、直方体状とはならず、直方体の少なくとも一面が膨らんだ「かまぼこ」状となってしまう。その結果、積層セラミック電子部品の製造途中におけるチップの姿勢の安定を欠き、製造の能率を低下させるとともに、得られた積層セラミック電子部品の実装時の姿勢の安定を欠き、実装の信頼性をも低下させることになる。
【0007】
そして、上述した変形が大きく生じたときには、内部回路要素としてのたとえば内部電極3においても不所望な変形が生じ、得られた積層セラミック電子部品自身の信頼性を低下させるという問題にまで発展する。
そこで、この発明の目的は、上述した問題を解決し得る、積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセラミックグリーンシートを用意し、これら複数のセラミックグリーンシートの特定のものの上に内部回路要素を形成し、これら複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックをプレスし、積層体ブロックをカットして複数のチップを得る、各工程を備える、積層セラミック電子部品の製造方法に向けられるものであって、上述の技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0009】
すなわち、上述したプレス工程は、上述の複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックを予め圧下させるための剛体プレスによる予備プレス工程と、この予備プレス工程の後、静水圧プレスまたは弾性体を介しての剛体プレスを上述の複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックに対して付与する最終プレス工程とを含み、予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜75%に選ばれることを特徴とするとともに、積層体ブロックをカットする工程は、上述の最終プレス工程の後に実施されることを特徴としている。
上述の予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、より好ましくは、最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜30%に選ばれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を説明するためのもので、この製造方法に含まれる主要な工程が(1)〜(4)に示されている。この実施形態では、積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサが製造される。
【0011】
図1(1)および(2)には、セラミックグリーンシート4が示されている。複数のセラミックグリーンシート4が用意され、これら複数のセラミックグリーンシート4の特定のものの上には、図1(1)に示すように、内部回路要素としての内部電極3が形成される。
次いで、図1(2)に示すように、複数のセラミックグリーンシート4が積み重ねられる。このとき、内部電極3が形成された複数のセラミックグリーンシート4を中間に位置させながら、両端には内部電極が形成されない複数のセラミックグリーンシート4をそれぞれ位置させる。
【0012】
次いで、上述のようにして得られた積層体ブロック1は、プレス工程に付される。このプレス工程は、図1(3)に示す予備プレス工程と、図1(4)に示す最終プレス工程とに分けて順次実施される。
まず、図1(3)に示す予備プレス工程では、剛体プレスが適用される。すなわち、凹部5を有する剛体からなるダイ6と、凹部5に嵌合しながら動作する剛体からなるポンチ7とを備える、剛体プレス装置が用意される。ダイ6の凹部5内には、図1(2)に示した工程を経て得られた積層体ブロック1が配置され、ポンチ7を矢印8方向へ動作させることにより、積層体ブロック1に剛体プレスによるプレス圧力が付与される。
【0013】
次に、このような予備プレス工程を終えた後、積層体ブロック1は、ダイ6から取り出され、図1(4)に示すように、剛体からなるベース9上に置かれた状態でバッグ10内に入れられて真空パックされる。この状態で、最終プレス工程としての静水圧プレス工程が実施される。すなわち、真空パックされた積層体ブロック1は、静水圧プレス装置内のたとえば水中に浸漬され、この水を加圧することにより、矢印11で示すように、積層体ブロック1は、静水圧プレスに基づき、その周囲から均等に加圧される。
【0014】
図1(3)に示した予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、図1(4)に示した最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜75%に選ばれる。
上述のプレス圧力に関して、より好ましくは、予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜30%に選ばれる。
【0015】
なお、このようなプレス圧力の最適条件は、積層体ブロック1を構成するセラミックグリーンシート4中に含まれるバインダ等の有機ビヒクル成分の種類、量、あるいはセラミックの粒径、等のファクタに左右されるもので、これらのファクタを考慮しながら、適宜選ばれる。
図1(4)に示した最終プレス工程を終え、積層体ブロック1を水中から引き上げた後、バッグ10が破られ、中の積層体ブロック1が取り出される。次いで、この積層体ブロック1はカットされ、この積層体ブロック1から切り出された複数のチップは焼成され、これら焼成されたチップの表面に外部電極が付与されることにより、目的とする積層セラミックコンデンサが得られる。
【0016】
図2は、この発明の他の実施形態を説明するためのものである。図1に示した実施形態では、最終プレス工程において、図1(4)に示すように、静水圧プレスが適用されたが、この静水圧プレスに代えて、図2に示すような弾性体12を介しての剛体プレスが適用されてもよい。
図2を参照して、図1(3)に示した剛体プレス装置の場合と同様、凹部13を有する剛体からなるダイ14と、凹部13に嵌合しながら動作する剛体からなるポンチ15とを備える、剛体プレス装置が用意される。ダイ14の凹部13内には、図1(3)に示した予備プレス工程を終えた積層体ブロック1が配置され、その上に、たとえばラバーからなる弾性体12が配置される。この状態で、ポンチ15を矢印16方向へ動作させることにより、積層体ブロック1に対して、弾性体12を介しての剛体プレスによるプレス圧力が付与される。
【0017】
この実施形態においても、図1(3)に示した予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、図2に示した最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜75%、より好ましくは、10〜30%に選ばれる。
以上、この発明を図示した実施形態による積層セラミックコンデンサの製造方法に関連して主として説明したが、この発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、抵抗、インダクタ、バリスタ、フィルタ等として機能する積層セラミック電子部品にも、あるいはこれら機能素子が複合された積層セラミック電子部品にも適用することができる。
【0018】
また、図示の実施形態では、積層体の内部に形成される内部回路要素が、内部電極であったが、上述したように、この発明は、任意の機能を有する種々の積層セラミック電子部品に適用可能であるので、内部回路要素としては、種々の態様が考えられる。たとえば、内部回路要素は、内部電極のような良好な導電性を有する回路要素である以外に、たとえば比較的大きな電気抵抗性あるいは他の電気的特性を有する回路要素であることもある。
【0019】
また、図示の実施形態では、プレス工程を予備プレス工程と最終プレス工程との2段階に分けたが、さらに他のプレス工程を実施するようにしてもよい。
【0020】
【実施例】
この発明の効果を確認するため、以下に説明するように、図1に示した工程に従って、積層体ブロック1を得た。
すなわち、まず、図1(1)を参照して、バインダおよび可塑剤を含むセラミックスラリーから、厚み5μmのセラミックグリーンシート4を成形し、また、特定のセラミックグリーンシート4上には、塗布厚3μmの内部電極3を印刷により形成した。
【0021】
次いで、図1(2)に示すように、内部電極3を形成したセラミックグリーンシート4を200層積み重ねるとともに、この両側に、内部電極を形成しないセラミックグリーンシート4をそれぞれ30層積み重ねた。ここで、内部電極3を形成した部分とそうでない部分との厚みの差は、3μm×200=600μmである。
【0022】
次いで、図1(3)に示すように、剛体プレスによる予備プレス工程を実施した。ここで、予備プレス工程で付与するプレス圧力を、後の表1に記載したように、次に実施する静水圧プレスによる最終プレス工程でのプレス圧力の0%〜90%の範囲で変更した。
次いで、図1(4)に示すように、静水圧プレスによる最終プレス工程を実施した。
【0023】
このようにして得られた積層体ブロック1の表面における図3に示した段差2を測定するとともに、積層体ブロック1から複数のチップを切り出して、チップにおける剥がれの発生の有無を観察し、剥がれ発生率を求めた。これらの結果が、以下の表1に示されている。
【0024】
【表1】
表1からわかるように、予備プレス圧力が、10〜75%の範囲にあるとき、表面段差および剥がれ発生率の双方において、好ましい結果を示している。
【0025】
これに対して、予備プレス圧力が0%および5%のとき、すなわち、予備プレス工程を適用しないときおよび予備プレス圧力が10%に達しないときには、表面段差が150μmおよび100μmというように大きく現れている。また、予備プレス圧力を90%というように大きくしたときには、その後の最終プレス工程によるプレス効果があまり発揮されず、剥がれが5%の率で発生している。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、プレス工程を、予備プレス工程と最終プレス工程との2段階で実施し、かつ、予備プレス工程では剛体プレスを適用し、最終プレス工程では静水圧プレスまたは弾性体を介しての剛体プレスを適用するようにしている。
【0027】
したがって、予備プレス工程において、積層体ブロックが予め圧下される。このとき、剛体プレスが適用されるので、積層体ブロック中の内部回路要素の部分的な存在に起因して、積層体ブロックの表面に凹凸が生じることはない。次いで、最終プレス工程は、予備プレス工程で予め圧下された積層体ブロックに対して実施されるので、この最終プレス工程では、積層体ブロックをあまり圧下させないようにすることができ、また、静水圧プレスまたは弾性体を介しての剛体プレスが適用されても、積層体ブロック中の内部回路要素の部分的な存在に起因する、積層体ブロックの表面の凹凸をあまり生じさせないようにすることができる。
【0028】
しかも、この発明では、予備プレス工程で付与されるプレス圧力を、最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜75%に選んでいるので、予備プレス工程を実施した後においても、積層体には最終プレス工程によるプレス効果を受ける余地が残されている。そのため、内部回路要素が存在しない部分においても、最終プレス工程での静水圧プレスまたは弾性体を介しての剛体プレスによる、セラミック層間の密着性を高める作用が十分に及ぼされるようになる。
【0029】
このようなことから、この発明によれば、積層体を構成するセラミックグリーンシートの薄膜化および多層化がたとえ進んでも、積層体ブロックを切り出して複数のチップを得たときに、セラミック層間で剥がれが生じるという不都合は解消され、また、このような積層体ブロックから切り出されたチップが「かまぼこ」状となってしまうという問題も解消される。また、内部回路要素において不所望な変形が生じ、得られた積層セラミック電子部品の信頼性を低下させるという問題も解消される。
【0030】
また、この発明によれば、プレス工程を予備プレス工程と最終プレス工程とに分けて実施するだけであるので、このことにより製造能率を大きく低下させることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサの製造方法に含まれる主要な工程を順次示す断面図である。
【図2】この発明の他の実施形態による積層セラミックコンデンサの製造方法に含まれる、図1(4)に示した工程に代わる工程を示す断面図である。
【図3】この発明にとって興味ある積層体ブロック1の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層体ブロック
3 内部電極
4 セラミックグリーンシート
6,14 ダイ
7,15 ポンチ
10 バッグ
12 弾性体
Claims (1)
- 複数のセラミックグリーンシートを用意し、前記複数のセラミックグリーンシートの特定のものの上に内部回路要素を形成し、前記複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、前記複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックをプレスし、前記積層体ブロックをカットして複数のチップを得る、各工程を備える、積層セラミック電子部品の製造方法において、
前記プレス工程は、前記複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックを予め圧下させるための剛体プレスによる予備プレス工程と、前記予備プレス工程の後、静水圧プレスまたは弾性体を介しての剛体プレスを前記複数のセラミックグリーンシートを積み重ねることによって得られた積層体ブロックに対して付与する最終プレス工程とを含み、
前記予備プレス工程で付与されるプレス圧力は、前記最終プレス工程で付与されるプレス圧力の10〜75%に選ばれ、かつ
前記積層体ブロックをカットする工程は、前記最終プレス工程の後に実施される
ことを特徴とする、積層セラミック電子部品の製造方法。
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