JP3593224B2 - 水性印刷インキ組成物およびそれを用いた印刷物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性印刷インキ組成物に関する。さらに詳しくは、紙またはプラスチックフィルムに印刷されたときに、乾燥性やレベリング性が良好で、しかも細線再現性、網点再現性に優れる水性印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題、省資源、労働安全性、防災等の見地から、極力有機溶剤を使用しない水性タイプの印刷インキが求められている。
【0003】
食品や電気製品などの包装容器に使用する紙やプラスチックフィルムに印刷するインキにおいても同様であるが、紙用インキでは既に水性化がなされ、プラスチックフィルム用インキでは開発が急がれているというのが実状である。
【0004】
一般に、水性タイプのインキは有機溶剤系インキと比較して、レベリング性や蒸発乾燥性が劣る傾向があり、使用できるバインダー樹脂の自由度も低い。
【0005】
紙等の浸透性を有する被着体では、インキの流動成分の浸透によってレベリングと乾燥が速やかに起こるため、水性インキが適用されやすい。それに対して、はじきやすく蒸発乾燥しか望めない非浸透性の被着体には水性インキの適用が困難であるというのが、プラスチックフィルム用インキの水性化の遅れている理由である。
【0006】
しかしながら、紙印刷の場合でも印刷の効率化から、最近はより速い乾燥性が求められるようになり、インキ流動成分の浸透性向上がその対応策として検討されているが、浸透性の向上とともにインキの網点が紙の繊維に沿って広がり、網点や細線の太りなどを引き起こす要因となる。
【0007】
従って、現状の水性インキの技術レベルでは、紙印刷では網点や細線の太り、プラスチックフィルムではレベリング性の不良により、美粧印刷物をより効率よく製造することが困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を解決し、紙またはプラスチックフィルムに印刷したときに、水性インキでありながら乾燥性やレベリング性が良好で、しかも細線再現性や網点再現性の良好な水性印刷インキ組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を、乳化剤および/または塩基性化合物の存在下に水に溶解または分散させて得られる水性バインダー樹脂ワニス、ならびに顔料を主たる成分とした水性印刷インキ組成物において、さらにフルオロアルキル(メタ)アクリレート単量体と、他の重合性単量体を共重合して得られるフッ素含有アクリル系共重合体樹脂を固形分として、インキ組成物中に0.01〜5重量%含有することを特徴とする水性印刷インキ組成物に関する。
【0010】
さらに本発明は、(2)前記アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を含有する水性バインダー樹脂ワニスを、固形分としてインキ組成物中に1〜40重量%含有し、さらに前記フッ素含有共重合体樹脂を固形分として0.05〜3重量%含有することを特徴とする前記(1)項記載の水性印刷インキ組成物に関する。
【0011】
さらに本発明は、(3)前記ポリウレタン樹脂およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を含有する水性バインダー樹脂ワニスを、固形分としてインキ組成物中に1〜40重量%含有し、さらに前記フッ素含有共重合体樹脂を固形分として0.05〜2重量%含有することを特徴とする前記(1)項記載の水性印刷インキ組成物に関する。
【0012】
さらに本発明は、(4)前記(2)記載の水性印刷インキ組成物を紙にフレキソまたはグラビア印刷方式で印刷することを特徴とする印刷物の製造方法に関する。
【0013】
さらに本発明は、(5)前記(3)項記載の水性印刷インキ組成物をプラスチックフィルムにフレキソまたはグラビア印刷方式で印刷することを特徴とする印刷物の製造方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
被着体の浸透性の有無によって、インキのレベリングや乾燥の機構は異なる。
【0015】
被着体が紙等の繊維が絡み合った多孔質材料である場合、毛細管圧によってインキ−被着体表面の界面張力より大きな吸引力がかかると、水などの流動成分が紙中に浸透してインキが乾燥すると共に、色剤や樹脂などの固形分も強制的に被着体表面に拡散させられてレベリングする。
【0016】
従って、インキ−被着体表面の界面張力、すなわち、インキの表面張力が低いほど流動成分の浸透性が高くなり、乾燥を速くするのに有利となるが、被着体の繊維のより細かい隙間にまで浸透し、網点や細線の太りが発生しやすくなる。
【0017】
一方、被着体がプラスチックフィルムなどの非浸透性表面を有する場合は、乾燥は蒸発によって起こり、レベリングもインキ液滴の自重と表面張力とのバランスに依存する。ここで、インキの表面張力を低下させるとレベリング性はよくなるが、やはり網点太りが発生しやすくなる。
【0018】
本発明の特徴であるフッ素含有アクリル系共重合体樹脂を添加した水性インキは、理由は定かではないが、紙に印刷したときの浸透乾燥性を向上させることができるにもかかわらず、網点の太り、はじきが発生せず、また、プラスチックフィルムでもインキの転移はなめらかな上に、網点の太りがないという特異な性能を有することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0019】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
【0020】
本発明の水性印刷インキ組成物は、顔料、水性バインダー樹脂ワニスおよびフッ素含有アクリル系共重合体樹脂を必須成分として含有するものである。
【0021】
本発明で使用する顔料としては、一般に水性インキで使用できる無機、有機の着色顔料あるいは体質顔料が使用できる。
【0022】
ここで使用可能な無機顔料としては、たとえば酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛など、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
【0023】
さらに使用可能な体質顔料としては、たとえば炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどを挙げることができる
これらの顏料の含有量は、水性インキ組成物中に、通常1〜50重量%の範囲である。
【0024】
次に本発明で使用する水性バインダー樹脂ワニスとしては、インキ組成物に利用される既知のポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水性化して得られる水性バインダー樹脂ワニスが使用できる。
【0025】
<水性ポリウレタン樹脂ワニス>
本発明で水性バインダー樹脂として使用するポリウレタン樹脂は、有機ジイソシアネー卜化合物と高分子ジオール化合物を反応させて、ウレタンプレポリマーを合成した後、鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるものであり、必要に応じて分子内に遊離のカルボキシル基を導入し、乳化剤および/または塩基性化合物の存在下で水性化することができる。
【0026】
ここで使用可能な有機ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートに代表される脂肪族ジイソシアネー卜化合物、イソホロンジイソシアネー卜に代表される脂環族ジイソシアネー卜化合物、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネー卜に代表される芳香脂環族ジイソシアネー卜化合物、トリレンジイソシアネー卜に代表される芳香族ジイソシアネー卜化合物等が挙げられ、その中でも脂環族および芳香脂環族ジイソシアネー卜化合物が好ましい。
【0027】
次に、使用可能な高分子ジオール化合物としては、炭素数が2〜8程度のグリコール類等の低分子ジオール化合物と二塩基酸を重縮合させた重縮合物、あるいはラクトン類などの環状エステル化合物を開環反応させて得られるポリエステルジオール類、また、酸化エチレン、酸化プロピレン等を重合もしくは共重合させて得られるポリエーテルジオール類、さらに、前記低分子ジオール化合物をカーボネート成分あるいはホスゲンと反応させて得られるポリカーボネートジオール類、ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。
【0028】
なお、ポリウレタン樹脂の水性化を目的として、分子内にカルボキシル基を導入するためには、遊離のカルボキシル基を有する高分子ジオール化合物が利用でき、例えば、前記高分子ジオール成分と無水ピロメリット酸などの四塩基酸無水物を反応させるか、あるいは、ジメチロールプロピオン酸等を開始剤として、ラクトン類を開環重合して得られる高分子ジオール化合物を使用することができる。
【0029】
これらの高分子ジオール化合物としては分子量(数平均分子量、以下同様)が500ないし4000のものが好適に使用できる。また、プラスチックフィルムとの接着性やラミネート適性等の面から、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類が好適に使用できる。
【0030】
次に、使用可能な鎖伸長剤としては、前記低分子ジオール化合物およびジアミン化合物を挙げることができ、さらにこれらと併用できるものとして、水酸基が3つ以上の脂肪族ポリオール類、脂環族ポリオール類、アミノ基が3つ以上の脂肪族ポリアミン類を挙げることができる。
【0031】
また、ポリウレタン樹脂の分子内に遊離のカルボキシル基を導入するために、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤、さらに、プラスチックフィルムに対するより高い接着性を付与させることを目的として、分子内にヒドラジン残基を有する鎖伸長剤、例えばポリアミノヒドラジドを使用することができる。
【0032】
次に、使用可能な反応停止剤としては、アルキルモノアミン類、アルカノールアミン類、モノアルコール等を挙げることができる。
【0033】
さらに、ポリウレタン分子内にヒドラジン残基を導入するために、前記ポリアミノヒドラジドが好適に使用できる他、ヒドラジン、アルキレンジヒドラジン、あるいは、飽和二塩基酸のジヒドラジド化合物等も使用できる。
【0034】
これらの各反応成分を用いて、既知の製造方法でポリウレタン樹脂を製造でき、また既知の乳化剤を用いる方法や、分子内にカルボキシル基を導入して塩基性化合物で中和する方法により水性化することができる。
【0035】
本発明で好適に使用されるポリウレタン樹脂の分子量は、5,000〜200,000であり、より好適には10,000〜l00,000である。
【0036】
ポリウレタン樹脂の分子量が前記範囲未満では、えられる樹脂皮膜が弾性に乏しく、脆弱なものとなり、一方分子量が前記範囲を超えると、水中での分散あるいは溶解安定性が低下する傾向がある。
【0037】
なお、分子内にカルボキシル基を導入し塩基性化合物で中和して本発明のポリウレタン樹脂を水性化する場合、当該ポリウレタン樹脂の酸価としては、5〜100の範囲が好適である。酸価が前記の範囲より小さくなると、水性化が困難となり、一方酸価が前記の範囲より大きくなると、耐水性、乾燥性などが低下して好ましくない。
【0038】
この水性ポリウレタン樹脂ワニスをバインダーとするインキ組成物は、特にプラスチックフィルム用途として好適に利用される。
【0039】
<水性アクリル系樹脂ワニス>
本発明で水性バインダー樹脂ワニスとして使用するアクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを必須成分として、スチレン系モノマー、マレイン酸系モノマーなどを共重合して得られる共重合体樹脂であり、必要に応じて、分子内に遊離のカルボキシル基を導入して、乳化剤および/または塩基性化合物の存在下で水性化することができる。
【0040】
まず、アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸および、その炭素数が1〜l8のアルキルエステル、炭素数がl〜18のアルキルアミド、炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルエステル等を挙げることができる。
【0041】
ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
【0042】
また、スチレン系モノマーとしては、スチレンおよびその誘導体、マレイン酸系モノマーとしては、無水マレイン酸やマレイン酸、その炭素数が1〜18のアルキルエステル、炭素数が1〜18のアルキルアミド、炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルエステル等を挙げることができる。
【0043】
さらに、本発明で使用するアクリル系樹脂は、反応成分として前記以外の一般に水性アクリル系樹脂の反応成分として使用される既知のモノマーをさらに使用して製造したものであっても何等差し支えない。
【0044】
これらの各反応成分を用いて、既知の製造方法でアクリル系樹脂を製造でき、また、既知の乳化剤および/または高分子の保護コロイドを用いる方法や、分子内にカルボキシル基を導入し、塩基性化合物で中和する方法により水性化することができる。
【0045】
なお、分子内にカルボキシル基を導入し塩基性化合物で中和して本発明のアクリル系樹脂を水性化する場合、当該アクリル系樹脂の酸価としては、10〜350、より好ましくは30〜250の範囲が好適である。酸価が前記の範囲より小さくなると、水性化が困難となり、一方酸価が前記の範囲より大きくなると耐水性、乾燥性などが低下して好ましくない。
【0046】
この水性アクリル系樹脂ワニスをバインダーとするインキ組成物は、特に紙用途および一部のプラスチックフィルム用途として好適に利用される。
【0047】
<水性スチレン−マレイン酸系樹脂ワニス>
本発明の水性バインダー樹脂ワニスとして使用するスチレン−マレイン酸樹脂は、前記スチレン系モノマーとマレイン酸系モノマーとを共重合して得ることができ、必要に応じて、分子内に遊離のカルボキシル基を導入して水性化することができる。
【0048】
これらの各反応成分を用いて、既知の製造方法でスチレン−マレイン酸系樹脂を製造でき、また、既知の乳化剤および/または高分子の保護コロイドを用いる方法、分子内にカルボキシル基を導入し塩基性化合物で中和する方法により水性化することができる。
【0049】
なお、分子内にカルボキシル基を導入し塩基性化合物で中和して本発明のスチレン−マレイン酸系樹脂を水性化する場合、当該スチレン−マレイン酸系樹脂の酸価としては、10〜350、より好ましくは30〜250の範囲が好適である。酸価が前記の範囲より小さくなると、水性化が困難となり、一方酸価が前記の範囲より大きくなると耐水性、乾燥性などが低下して好ましくない。
【0050】
この水性スチレン−マレイン酸系樹脂ワニスをバインダーとするインキ組成物は、特に紙用途として好適に利用される。
【0051】
<水性エチレン−アクリル酸系樹脂ワニス>
本発明の水性バインダー樹脂ワニスとして使用するエチレンーアクリル酸系共重合体は、エチレン60〜90重量%、アクリル酸またはメタクリル酸10〜30重量%、その他の共重合可能なビニル基含有化合物0〜30重量%の組成で共重合させてなる共重合体が好適であり、塩基性化合物および必要に応じて乳化剤の存在下で、水中に分散させて水性ワニス化することができる。
【0052】
ここで、その他の共重合可能なビニル基含有化合物としては、前記のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、アルキルアミド、スチレン系モノマー、およびビニルクロライド、ビニルアセテート等が使用できる。
【0053】
ここで、(メタ)アクリル酸の含有量として10〜30重量%が好適である理由は、(メ夕)アクリル酸の含有量が10重量%より少なくなると、共重合体の水に対する乳化能が低下して使用が限定され、一方30重量%を超えると、乾燥性が低下するためである。
【0054】
また、本発明で使用するエチレンーアクリル酸系共重合体のメルトインデックスは好適には100〜2000g/10分、より好適には300〜1000g/l0分の範囲である。共重合体のメルトインデックスが前記範囲より小さくなると、樹脂の水中での分散安定性が低くなり、一方前記範囲を超えると、樹脂が柔軟になり過ぎて、得られる水性インキの印刷面と被着体との間でブロッキングを起こしやすくなる。
【0055】
これらの各反応成分を用いて、既知の製造方法でエチレン−アクリル酸樹脂を製造でき、また既知の塩基性化合物や必要に応じて既知の乳化剤を用いる方法により水性化することができる。
【0056】
なお、エチレン−アクリル酸樹脂は固形樹脂および水性樹脂ワニスとして市販されており、例えば、ペレット状の固体樹脂としては、エチレン―アクリル酸共重合体A−200W(三菱化学(株)製)、塩基性化合物の存在下で水中に分散した樹脂ワニスとしては、ザイクセンAC(住友精化(株)製)が入手可能である。
【0057】
この水性エチレン−アクリル酸系樹脂ワニスをバインダーとするインキ組成物は、紙用途およびプラスチックフィルム用途として好適に利用される。
【0058】
以上の水性バインダー樹脂ワニスの本発明における使用割合は、固形分として本発明の水性インキ組成物中の1〜40重量%程度である。
【0059】
本発明においては、さらにその他の補助的な水性バインダー樹脂として、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ハードレジン等の他の各種樹脂を水性化して得られる水性バインダー樹脂ワニスを添加することは何らさしつかえない。
【0060】
本発明の水性印刷インキ組成物はさらに、フルオロアルキル(メタ)アクリレート単量体と、他の重合性単量体を共重合して得られるフッ素含有アクリル系共重合体を含有することを特徴とするものである。
【0061】
ここで、フッ素含有アクリル系共重合体としては、炭素数が2〜15のフルオロアルキル(メタ)アクリレート、ラジカル重合性不飽和カルボン酸および必要に応じてその他の重合性単量体を共重合して得られる共重合体であり、塩基性化合物または必要に応じて乳化剤の存在下、水中に分散または溶解させて利用することができる。
【0062】
さらに具体的に、炭素数が2〜15のフルオロアルキル(メタ)アクリレートとしては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0063】
本発明のフッ素含有アクリル系共重合体における上記フルオロアルキル(メタ)アクリレートの使用量は、好ましくは3〜30重量%であり、この範囲より少なくなると、フッ素含有量の少ない単量体を用いる場合では本発明の効果が得られにくくなり、また上記の範囲より多くなると、フッ素含有量の多い単量体を用いる場合では網点の太りなどが発生しやすくなる。
【0064】
また、ラジカル重合性不飽和カルボン酸として、具体的には(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、および、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0065】
本発明のフッ素含有アクリル系共重合体における、これらラジカル重合性不飽和カルボン酸の使用量は、好ましくは共重合体の酸価を5〜350、より好ましくは30〜250とする量である。
【0066】
さらにその他の単量体としては、前記のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、アルキルアミド、スチレン系モノマー、およびビニルクロライド、ビニルアセテート等が使用できる。
【0067】
以上のモノマーを共重合して得られるフッ素含有アクリル系共重合体樹脂としては、例えば、EFKA−LP7070(エフカ社製)等が市販されている。
【0068】
さらに、前記フッ素含有アクリル系共重合体は、既知の塩基性化合物または必要に応じて既知の乳化剤を用いて水性化して添加する。
【0069】
本発明において、これらのフッ素含有アクリル系共重合体の添加量は、インキ組成物中に、固形分として0.01〜5重量%であり、好ましくは、被着体として紙を対象とする場合は0.05〜3重量%、また、プラスチックフィルムを対象とする場合は0.05〜2重量%である。
【0070】
ここで、フッ素含有アクリル系共重合体の添加量が上記の範囲より少なくなると、本発明の目的とする効果が得られず、また多くなると網点の太り等が発生して好ましくない。
【0071】
さらに本発明の水性インキ組成物は、以上の必須成分に加えて、メタノール、エタノール、プロパノール、メトキシプロパノール、N−メチルピロリドン等の水混和性溶剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、架橋剤等の各種添加剤を添加することも任意である。
【0072】
次に、これら各種材料を使用して、水性印刷インキ組成物を製造する方法としては、顔料、水性バインダー樹脂ワニス、フッ素含有アクリル系共重合体樹脂および必要に応じて顔料分散用樹脂または顔料分散剤を混合して混練し、さらに所定の材料の残りを添加、混合する方法が一般的である。
【0073】
なお、水性バインダー樹脂ワニスの中でも、特に顔料分散性を良好とするためには、分子内にカルボキシル基を有し、塩基性化合物で中和して水中に溶解させたものを用いるのが有利である。
【0074】
以上のごとくして得られる印刷インキ組成物は、紙またはプラスチックフィルムを被着体として、フレキソあるいはグラビア印刷方式によって印刷することができる。
【0075】
本発明の水性印刷インキ組成物が印刷される紙は、ジュート紙、クラフト紙、撥水ライナー、各種コート紙を挙げることができる。また、プラスチックフィルムとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンなどの各種プラスチックフィルムを挙げることができ、特にコロナ放電処理などの表面処理されたものがより好適である。
【0076】
本発明によって得られる印刷物は、細線や細字が非常に鮮明であり、色彩の再現性にも優れるものである。
【0077】
【実施例】
以下、実施例でもって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特にことわりのない限り、「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0078】
<水性アクリル系樹脂ワニスの製造>
製造例1
温度計、攪拌機、冷却管、および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、酢酸エチル600部を仕込み、75〜78℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながらアクリル酸38.4部、ブチルアクリレート180部、メチルメタクリレート181.6部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド4部の混合物を3時間かけて滴下した。さらに滴下終了後、環流温度で3時間重合させて反応を完結し、酢酸エチルを留去して酸価75のアクリル系共重合体1を得た。
【0079】
撹拌機を備えた容器にアクリル共重合体1の破砕物300部、その中和量に対して1.2当量のアンモニアを含むアンモニア水700部を仕込み、撹拌しながら80℃で加熱溶解し、固形分30%の水性アクリル樹脂ワニスNo.1を得た。
【0080】
製造例2
製造例1と同様の操作で、アクリル酸25.6部、ブチルアクリレート180部、メチルメタクリレート80部、スチレン114.4部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド4部の混合物を反応させ、酸価50のアクリル系共重合体2を得た後、さらに製造例1と同様の操作でアンモニア水中に加熱溶解して、固形分30%の水性アクリル樹脂ワニスNo.2を得た。
【0081】
製造例3
温度計、乳化機、窒素ガス導入管、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、水690部とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数25モル)10部を仕込み、攪拌混合しながら80℃まで加熱した。
【0082】
メチルメタアクリレート160部、スチレン160部、ブチルアクリレート80部ならびに過硫酸アンモニウム8部の混合物を3時間かけて滴下し、反応させた後、さらに2時間反応させて、固形分40%の水性アクリル樹脂ワニスNo.3を得た。
【0083】
<水性スチレン−マレイン酸系樹脂ワニスの製造>
製造例4
温度計、攪拌機、冷却管、および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、酢酸エチル600部を仕込み、75〜78℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながらスチレン150.8部、マレイン酸モノブチル249.2部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド4部の混合物を3時間かけて滴下した。さらに滴下終了後、環流温度で3時間重合させて反応を完結し、酢酸エチルを留去して酸価209のスチレン−マレイン酸系共重合体1を得た。
【0084】
撹拌機を備えた容器に、スチレン−マレイン酸系共重合体1の破砕物300部、その中和量に対して1.2当量のアンモニアを含むアンモニア水700部を仕込み、撹拌しながら80℃で加熱溶解し、固形分30%の水性スチレン−マレイン酸系樹脂ワニスNo.1を得た。
【0085】
<水性ポリウレタン樹脂ワニスの製造>
製造例5
温度計、攪拌機、冷却管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに、分子量1,000のポリネオペンチルグリコールアジペートジオール300部、イソホロンジイソシアネート133.2部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、攪拌下100〜105℃で4時問反応させ、次いで、ジメチロールプロピオン酸24.1部を仕込み、100〜110℃で2時問反応させた。
【0086】
その後、100℃まで冷却し、水1076部およびトリエチルアミン20.2部を仕込んで水性化し、さらにモノエタノールアミン12.1部で反応停止させ、固形分30%、樹脂の酸価24、樹脂の分子量5,000の水性ポリウレタン樹脂ワニスNo.1を得た。
【0087】
製造例6
製造例5と同様の装置に、分子量12,000のポリカーボネートジオール300部、およびα,α,α′,α′−テトラメチルキシレンジイソシアネー卜80.7部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、攪拌下100〜105℃で4時問反応させ、次いで、無水トリメリット酸とトリメチロールプロパンのl:lモル比の反応生成物39.l部を込み、100〜110℃で2時間反応させた。
【0088】
その後、100℃まで冷却し、水997部およびトリエチルアミン14部を仕込んで水性化し、さらにアジピン酸ジヒドラジン13.3部で反応停止させ、固形分30%、樹脂の酸価31、樹脂の分子量62,000の水性ポリウレタン樹脂ワニスNo.2を得た。
【0089】
<水性印刷インキの製造>
実施例1〜15および比較例1〜9
表1、2の配合に従い、まず顔料と前記で得られた水性バインダー樹脂ワニス(実施例10、11、比較例6においては市販の水性エチレン−アクリル酸系樹脂ワニスを使用)の混合物をレッドデビル型ペイントコンデインョナーで30分問混練し、さらに所定の材料を混合、攪拌し、実施例1〜15および比校例1〜9の水性印刷インキ組成物を得た。
【0090】
なお、顔料としてリオノールブルーFG−7330(東洋インキ製造(株)製)、水性エチレン−アクリル酸系樹脂ワニスとして、ザイクセンAC(住友精化(株)、アクリル酸の含有量20%、メルトインデックス300g/10分、固形分30%)、フッ素含有アクリル系共重合体樹脂としては、EFKA−LP7070を使用した。
【0091】
<水性印刷インキの評価>
実施例1〜10および比較例1〜6のインキのばあいは紙を被着体とし、実施例11〜15および比較例7〜9のインキのばあいはプラスチックフィルムを被着体として、インキの各評価試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0092】
なお、評価方法と評価基準は以下の通りである。
【0093】
・乾燥性
評価方法
相対湿度60%、気温15℃の環境下、コート紙(CRC230g/m2、レンゴー(株)製)にメーヤバー(0.2mm)で試験インキを展色し、20秒間放置後、指蝕にて印刷面のタックの状態から乾燥性を評価した。
【0094】
評価基準
A:表面タックが全く感じられない。
B:表面タックはわずかに感じらるが、インキが指に付着しない。
C:表面タックが強く、インキが指に付着する。
【0095】
グラビア校正機を用いて、版深度32μm、セルの直径130μmのグラビア版で、長さ50mm、太さ0.7mmの細線の図柄をコート紙(レンゴー(株)製、CRC230g/m2)およびOPPフィルム(東洋紡績(株)製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、P−2161、膜厚30μm)に印刷し、レベリング性、網点再現性、細線再現性を評価した。
【0096】
・レベリング性
評価方法
前記グラビア印刷物の網点を拡大して観察し、目視にて印刷物のレベリング性を評価した。
【0097】
評価基準
網点の中心部と周辺部との色の濃度差のないものほどレベリング性が良好
と判断し、以下のようにランク付けを行った。
A:ほとんど濃度差のないもの。
B:わずかに濃度差のあるもの。
C:網点内で三日月状のまだら模様のみられるもの。
【0098】
・網点再現性
評価方法
前記グラビア印刷によって得られた印刷物の網点の直径から網点再現性を評価した。
【0099】
評価基準
A:印刷物の網点の直径が137μm(版のセルの直径の105%)未満のもの。
B:印刷物の網点の直径が137μm以上、156μm(版のセルの直径の120%)未満のもの。
C:印刷物の網点の直径が156μm以上のもの。
【0100】
・細線再現性
評価方法
前記グラビア印刷によって得られた印刷物の細線の幅から、細線再現性を評価した。
【0101】
評価基準
A:印刷物の細線の幅が0.74mm(版の図柄の幅の105%)未満のもの。
B:印刷物の細線の幅が0.74mm以上、0.84mm(版の図柄の幅の120%)未満のもの。
C:印刷物の細線の幅が0.84mm以上のもの。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】
以上、実施例で具体的に示したように、本願発明の水性印刷インキ組成物は、紙に印刷したときの浸透乾燥性を向上させることができるにもかかわらず、網点や細線の太りが発生せず、また、プラスチックフィルムでもインキの転移性はなめらかな上に、網点の太りがないという性能を有する水性印刷インキ組成物である。
Claims (5)
- ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を、乳化剤および/または塩基性化合物の存在下に水に溶解または分散させて得られる水性バインダー樹脂ワニス、ならびに顔料を主たる成分とした水性印刷インキ組成物において、さらにフルオロアルキル(メタ)アクリレート単量体と、他の重合性単量体を共重合して得られるフッ素含有アクリル系共重合体樹脂を固形分として、インキ組成物中に0.01〜5重量%含有することを特徴とする水性印刷インキ組成物。
- 前記アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を含有する水性バインダー樹脂ワニスを、固形分としてインキ組成物中に1〜40重量%含有し、さらに前記フッ素含有共重合体樹脂を固形分として0.05〜3重量%含有することを特徴とする請求項1記載の水性印刷インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂およびエチレン−アクリル酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の水性バインダー樹脂を含有する水性バインダー樹脂ワニスを、固形分としてインキ組成物中に1〜40重量%含有し、さらに前記フッ素含有共重合体樹脂を固形分として0.05〜2重量%含有することを特徴とする請求項1記載の水性印刷インキ組成物。
- 請求項2記載の水性印刷インキ組成物を紙にフレキソまたはグラビア印刷方式で印刷することを特徴とする印刷物の製造方法。
- 請求項3記載の水性印刷インキ組成物をプラスチックフィルムにフレキソまたはグラビア印刷方式で印刷することを特徴とする印刷物の製造方法。
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