JP3593898B2 - 操舵制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転舵輪を転舵駆動するアクチュエータの駆動制御を行うことで、操舵ハンドルの操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操舵ハンドルに連結された操舵軸と、転舵輪を転舵させる転舵機構とを機械的に分離し、これらの連動制御を電気的に行う操舵制御装置が提案されている。例えば、特開平4−133860号では、図7に示す制御システムが開示されており、操舵ハンドル101の操作量をポテンショメータ102で検出し、その検出結果をもとに、転舵装置103によってロッド104を変位させて車輪105を転舵させる機構となっている。また、操舵ハンドル101はステアリングシャフト106を介してアクチュエータ107に連結されており、アクチュエータ107の駆動力により操舵反力が与えられる。この際、アクチュエータ107によって発生する操舵反力Tは、下記の(A)式に基づいて決定している。なお、下記式中、θは操舵角、M2、M1、M0は定数、Mcは操舵方向により符号の変化する定数である。
【0003】
T=M2・(d2θ/dt2)+M1・(dθ/dt)+M0・θ±Mc …(A)
この(A)式中、変化する状態量は操舵角θのみであり、操舵反力Tは操舵角θに応じて決定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際の走行中、操舵ハンドルが操舵角の中立位置を通過する際には、横加速度やヨーレートなどのタイヤに作用する外力が操舵に対して遅れて現れるため、この分、操舵後も操舵反力Tは残ることになる。しかし、(A)式では、このような車両挙動による影響を考慮しておらず操舵反力Tに反映されないため、運転者に操舵違和感を与えてしまう。
【0005】
本発明はこのような課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、車両挙動を反映させた操舵反力の制御を行うことができる操舵制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる操舵制御装置は、操舵ハンドルの操作に応じて、転舵軸を駆動するアクチュエータの駆動制御を行うことで、転舵軸に連結された転舵輪の転舵制御を行う操舵制御装置であって、操舵ハンドルの操舵角を検知する操舵角検知手段と、車両の挙動状態を示す状態量である車両のヨーレート、横加速度、転舵軸に加わる軸力、又はアクチュエータの負荷電流のいずれかを検知する挙動状態検知手段と、操舵ハンドルに操舵反力を付与する反力付与手段と、操舵角検知手段で検知された操舵角と、挙動状態検出手段で検出された車両の挙動状態を示すいずれかの状態量とから、(I)式〜(IV)式のうち検出された状態量に対応する式に基づいて、反力付与手段に対する制御量を設定する制御量設定手段と、を備え、
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Ky・γ ・・・(I)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Kg・Gy ・・・(II)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Kf・F ・・・(III)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Ki・I ・・・(IV)
[ただし、Thは制御量、θは操舵角、γはヨーレート、Gyは横加速度、Fは軸力、Iは負荷電流、Kp,Kd,Kdd,Ky,Kg,Kf,Kiそれぞれはゲイン係数である]
上記(I)式〜(IV)式における右辺第4項のゲイン係数は、車速の増加に伴って増加されることを特徴とする。
【0007】
車両の挙動状態が変化すると、車両に作用するヨーレートや横加速度が変化するとともに、ハンドル操舵トルク及び車体のロール角やロールレートも変化する。また、車両の挙動状態が変化すると転舵輪に作用する外力が変化するため、転舵軸に加わる軸力、転舵軸を駆動するアクチュエータの負荷状態なども変化する。従って、これらの検知結果は、いずれも車両の挙動状態を示す状態量となるため、挙動状態検知手段ではこのようなヨーレート、横加速度、軸力、負荷状態、操舵トルク、ロール角、ロールレートなどを検知する。また、制御量設定手段で設定される制御量には、このような車両の挙動状態に基づく制御量が含まれているため、車両の挙動変化により転舵輪に作用する外力の影響を、反力付与手段で付与される操舵反力に反映させることができる。
【0009】
反力付与手段では、制御量設定手段で設定された制御量に応じて操舵反力を発生するが、このとき発生される操舵反力と操舵角との関係は、例えば図1に示すようになる。この操舵角−操舵反力特性において、操舵角の中立位置付近(操舵角=0付近)における操舵反力のヒステリシス幅は、車速が高くなると小さくなる傾向にある。特に、高速走行中は、操舵角=0付近でのハンドル操作が大部分となり、この領域でのヒステリシス幅の減少を抑制して、好適な操舵の安定感を与えることで、高速走行中の操縦安定性、ハンドル操作性を向上させることができる。
【0010】
そこで、例えば、車速が高くなるに連れ、車両の挙動状態に基づく制御量のゲインを増加させることで、反力付与手段に対する制御量の設定に際し、高車速ほど、車両の挙動変化の影響をより強く反映させることができる。これにより、高速走行時における、このようなヒステリシス幅の減少を抑制することも可能であり、高速走行時にも好適な操舵反力を発生して、高速走行中の操縦安定性、ハンドル操作性を向上させることも可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図2に実施形態にかかる操舵制御装置の構成を示す。この操舵制御装置は、運転者が操作する操舵機構10、車輪21を転舵させる転舵機構20、これら操舵機構10と転舵機構20との連動制御を電気的に行う制御装置30を備えて構成する。
【0013】
操舵機構10は、操舵反力を発生する反力モータ11を備えており、この反力モータ11の出力軸に操舵軸12を連結し、操舵軸12に対して操舵ハンドル13を連結している。また、操舵軸12には、操舵ハンドル13の操舵角を検出する操舵角センサ14を設けている。さらに、後述する制御装置30から出力された制御量Thが与えられる駆動回路15を備えており、駆動回路15は与えられた制御量Thに応じて反力モータ11を駆動させる。
【0014】
転舵機構20は、車輪21を転舵させる駆動源となる転舵モータ22を備えており、転舵モータ22によって、ラックハウジング23h内のラック軸23をその軸線方向に沿って変位駆動させる。また、ラック軸23の両側には、それぞれタイロッド24、ナックルアーム25を介して車輪21が連結されており、ラック軸23の変位量及び変位方向に応じて車輪21の転舵がなされる機構となっている。また、ラック軸23のストローク位置を検出する位置センサ26の本体をラックハウジング23hに対して固定し、位置センサ26の検出ロッド26aをラック軸23に接続しており、ラックハウジング23hに対するラック軸23の変位量からラック軸23のストローク位置を検出する。そして、ラック軸23のストローク位置が車輪21の転舵角に対応するため、位置センサ26によってラック軸23のストローク位置を検出することで、車輪21の転舵角を検知している。また、ラック軸23には軸力センサ29を設けており、ラック軸23に加わる軸力を検出している。さらに、後述する制御装置30から出力された制御量Twが与えられる駆動回路27を備えており、駆動回路27は与えられた制御量Twに応じて転舵モータ22を駆動させる。そして、駆動回路27から転舵モータ22に供給される、転舵モータ22の負荷電流を電流センサ28によって検出している。
【0015】
制御装置30には、操舵角センサ14、位置センサ26、電流センサ28、軸力センサ29の検出結果の他、車速を検出する車速センサ41、車両の横方向の運動状態としてのヨーレートを検出するヨーレートセンサ42、車両に作用する横方向の加速度を検出する横加速度センサ43の検出結果が与えられ、これらの検出結果をもとに、反力モータ11及び転舵モータ22の駆動制御を実施している。
【0016】
ここで制御装置30で実施する転舵モータ22の制御処理について、図3のフローチャートに沿って説明する。
【0017】
このフローチャートは、イグニションスイッチのオン操作によって起動する。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と記す)102に進んで、操舵角センサ14で検出された操舵角θ、車速センサ41で検出された車速V及び位置センサ26で検出されたラック軸23の実ストローク位置Xrをそれぞれ読み込む。
【0018】
続く104では、S102で読み込んだ操舵角θと車速Vをもとに、車輪21の転舵制御の目標となる、ラック軸23の目標ストローク位置Xtを設定する。この際、制御装置30には、図4に示すように、操舵ハンドル13の操舵角θを車輪21の転舵角θwとして伝達する伝達比G(G=操舵角θ/転舵角θw)の値を、操舵角θと車速Vとに応じて規定した3次元マップを備えており、S102で読み込まれた操舵角θと車速Vから、図4のマップをもとに検索し、操舵角θ及び車速Vに応じた伝達比Gを設定する。そして、設定された伝達比Gと操舵角θとをもとに、(1/G)*θを演算し、その演算結果をラック軸23の目標ストローク位置Xtとして設定する。
【0019】
なお、前述したようにラック軸23のストローク位置は車輪21の転舵角に対応するため、「目標ストローク位置」は車輪21の「目標転舵角」と同義である。
【0020】
続くS106では、S102で読み込んだラック軸23の実ストローク位置Xrと、S104で設定したラック軸23の目標ストローク位置Xtとをもとに、転舵モータ22に対する制御量Twを、下記の(1)式に基づいて設定する。なお、(1)式中、Cp、Cd、Ciは、該当する制御量のゲインを示すゲイン係数である。
【0021】
S106において、転舵モータ22に対する制御量Twが設定された後、S108に進み、S106で設定された制御量Twを駆動回路27に対して出力し、駆動回路27は制御量Twをもとに転舵モータ22を駆動する。
【0022】
このような処理を繰り返し実行することで、操舵ハンドル13の操舵角θ、車速Vに応じた車輪21の転舵制御が継続して実行される。
【0023】
次に制御装置30で実施する反力モータ11の制御処理について、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0024】
このフローチャートは、イグニションスイッチのオン操作によって起動する。まず、S202に進んで、操舵角センサ14で検出された操舵角θ、ヨーレートセンサ42で検出されたヨーレートγをそれぞれ読み込む。
【0025】
続くS204では、S202で読み込まれた操舵角θ及びヨーレートγをもとに、反力モータ11に対する制御量Thを設定する。この際、下記(2)式をもとに、反力モータ11に対する制御量Thを設定する。なお、(2)式中、Kp、Kd、Kdd、Kyは、該当する制御量のゲインを示すゲイン係数である。
【0026】
(2)式における右辺第1項、第2項及び第3項にかかる演算により、操舵角θに基づく操舵反力の制御量が設定される。第1項は操舵角θに応じた操舵反力を付与する項として作用し、第2項は操舵ハンドル13の振動を抑制する粘性項として作用し、第3項は反力モータ11の慣性モーメントの影響を抑制し、操舵ハンドル13の切り始めの操舵感を調節する慣性項として作用する。また、右辺第4項は、ヨーレートセンサ42で検出されたヨーレートγに基づく項となっており、操舵角θに基づく第1項〜第3項で設定される制御量に対し、車両の挙動状態としてのヨーレートγに基づく第4項で規定される制御量を加算することにより、反力モータ11に対する制御量Thを設定している。
【0027】
このようにしてS204で反力モータ11に対する制御量Thを設定した後、S206に進み、設定した制御量Thを駆動回路15に対して出力し、駆動回路15は制御量Thをもとに反力モータ11を駆動する。
【0028】
このような処理を繰り返し実行することで、操舵角θの変化に関連した操舵反力を付与することができると共に、ヨーレートγが車両に作用した場合には、この際に車輪21に加わる外力に応じた操舵反力を作用させることができるため、車両の挙動状態を反映させた操舵反力の制御を実施することができる。
【0029】
また、このように操舵反力に影響する、車両の挙動状態を示す検出値としては、ヨーレートγの他に横加速度センサ43で検出される横加速度Gyがある。また、このような車両の挙動状態が変化すると、車輪21を介してラック軸23に作用する軸力Fが変化し、軸力Fの変化により転舵モータ22の負荷電流Iが変化する。さらに、車両の挙動状態が変化すると、ハンドル操舵トルク及び車体のロール角やロールレートも変化する。従って、(2)式におけるヨーレートγに代えて、これらの検出結果を採用して操舵反力の制御量Thを設定することもできる。そこで、代表として、横加速度Gy、軸力F、負荷電流Iの各検出結果を用いた演算式を(3)式、(4)式、(5)式として示す。なお、(3)、(4)、(5)式中、Kg、Kf、Kiはゲイン係数であり、S202では、ヨーレートγに代えて、それぞれが該当する検出結果を読み込む。
【0030】
さらに、他の実施形態としては、(2)式〜(5)式における右辺第4項のゲイン係数を、車速Vに応じて設定しても良い。一例として、図6に、ヨーレートγのゲイン係数Kyと車速Vとの関係を示す。図6では、車速Vが高いほど、ヨーレートγのゲイン係数Kyが大きな値となるように規定しており、他のゲイン係数Kt、Kg、Kf、Kiでも同様に、車速Vが高いほど、ゲイン係数の値を増加させて設定する。このようにゲイン係数を設定することで、車速Vが高いほど、車両の挙動変化の影響をより強く反映させることができる。
【0031】
以上説明した実施形態では、(2)式〜(5)式における右辺第4項の符号を「+」として例示したが、「−」とすることも可能である。これは、操舵角θと各検出結果との位相差を考慮したものである。
【0032】
例えば、右辺第4項が操舵角θに対して位相遅れを持った検出結果(操舵トルク以外の検出結果)に基づく演算項の場合には、符号を「+」とすることで、操舵角−操舵反力特性(図1参照)における操舵反力のヒステリシス幅が小さくなって、車両挙動が変化した際の操舵応答性が向上するように作用する。また、符号を「−」とすることで、このヒステリシス幅が大きくなって車両挙動が変化した際の操舵安定性が向上するように作用する。従って、符号を「−」とした場合、(2)式〜(5)式における右辺第4項のゲイン係数を、車速Vの増加に伴って増加させることで、先の図1で示したように、車速Vが高くなるに連れて、操舵反力のヒステリシス幅が小さくなる傾向を抑制することができ、高速走行中の舵角中立位置付近において、好適な操舵反力を付与することができ、おもに操舵角中立位置付近でのハンドル操作となる高速走行時の操作性を向上させることができる。
【0033】
これに対し、右辺第4項が操舵角θに対して位相が進んだ検出結果(操舵トルク)に基づく演算項の場合には、符号を「+」とすることで、このヒステリシス幅が大きくなって車両挙動が変化した際の操舵安定性が向上するように作用し、符号を「−」とすることで、このヒステリシス幅が小さくなって、車両挙動が変化した際の操舵応答性が向上するように作用する。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項にかかる操舵制御装置によれば、制御量設定手段では、操舵角検知手段で検知された操舵角に基づく制御量と挙動状態検知手段で検知された車両の挙動状態に基づく制御量とをもとに、反力付与手段に対する制御量を設定するので、車両の挙動変化により転舵輪に作用する外力の影響を操舵反力に反映させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】操舵角−操舵反力特性を示す図である。
【図2】操舵制御装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図3】転舵モータの駆動制御を示すフローチャートである。
【図4】操舵角θ及び車速Vに応じた伝達比Gを設定するマップである。
【図5】反力モータの駆動制御を示すフローチャートである。
【図6】車速Vとゲイン係数Kyとの関係を規定したマップである。
【図7】従来の操舵制御装置を示す構成図である。
【符号の説明】
10…操舵機構、11…反力モータ、14…操舵角センサ、20…転舵機構、
21…車輪(転舵輪)、22…転舵モータ(アクチュエータ)、
26…位置センサ、28…電流センサ、29…軸力センサ、30…制御装置、
41…車速センサ、42…ヨーレートセンサ、43…横加速度センサ。
Claims (1)
- 操舵ハンドルの操作に応じて、転舵軸を駆動するアクチュエータの駆動制御を行うことで、前記転舵軸に連結された転舵輪の転舵制御を行う操舵制御装置であって、
前記操舵ハンドルの操舵角を検知する操舵角検知手段と、
車両の挙動状態を示す状態量である前記車両のヨーレート、横加速度、前記転舵軸に加わる軸力、又は前記アクチュエータの負荷電流のいずれかを検知する挙動状態検知手段と、
前記操舵ハンドルに操舵反力を付与する反力付与手段と、
前記操舵角検知手段で検知された操舵角と、前記挙動状態検出手段で検出された車両の挙動状態を示すいずれかの状態量とから、(I)式〜(IV)式のうち検出された前記状態量に対応する式に基づいて、前記反力付与手段に対する制御量を設定する制御量設定手段と、を備え、
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Ky・γ ・・・(I)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Kg・Gy ・・・(II)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Kf・F ・・・(III)
Th=Kp・θ+Kd・dθ/dt+Kdd・d 2 θ/dt 2 −Ki・I ・・・(IV)
[ただし、Thは制御量、θは操舵角、γはヨーレート、Gyは横加速度、Fは軸力、Iは負荷電流、Kp,Kd,Kdd,Ky,Kg,Kf,Kiそれぞれはゲイン係数である]
上記(I)式〜(IV)式における右辺第4項のゲイン係数は、車速の増加に伴って増加されることを特徴とする操舵制御装置。
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