JP3594774B2 - フィルターユニット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設の排水管等に簡易に装着して使用するフィルターユニットに関し、これによって、既設の管状物を使用した優れた水質浄化機能を実現し得るフィルターユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境復元の一環として、河川、湖沼、又は海などの水質を浄化することが強く求められている。浄化が求められている対象として、例えば、水田の代掻きは、田植えに先立って水、肥料を加え、田の土をすき起こした後、土表面を平らに均す作業であり、地力を回復させる目的で古来から行われてきた手法である。この代掻きを行うと、農業排水路から比較的短時間に多量の泥水が河川に流れ込む。このような多量の泥水が河川に排出されることは、土木工事の際に発生する地下水や雨水などの排出と同様に、自然環境への悪影響が問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の泥水浄化は、主として汚濁が拡がった状態で実施することが主流であった。このため、必要となる浄化技術は極めて難易度が高く、結果として設置規模が大きくなり、イニシャルコストや維持に必要なコストが高くなると共に、人的労力も大きくなるという問題点があった。
本出願に係る発明者らは、泥水の発生源となる場所で、既存の導水設備を利用して、簡易かつ効果的な浄化を実現すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑み為されたものであり、既設の排水管等に簡易に装着することによって、汚泥の発生源での効果的な泥水浄化を行うことができるフィルターユニットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、排水管内に設置されこの排水管内を流れる排水を浄化するフィルターユニットであって、フィルターユニットは、円筒形状のフィルターと、このフィルターを内部に収納し、かつ排水管とフィルターとを離間して流路を形成する透水性のスペーサと、スペーサの上流側端部に設けられ、フィルターの上流側端面を露出すると共に、スペーサと排水管との間隙に排水が流入するのを防止するカバーと、フィルターの下流側端面を封止する封止部材とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、排水管を流れる排水は全てフィルターを通過してスペーサを介して排出されるので、泥水等を確実に除去して排水の浄化を行うことができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、フィルターの上流側端面から下流側端面に通じる開口部がフィルターの中心に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、排水が低抵抗でフィルターの下流側まで行き渡るので、フィルターのいずれかの部分で目詰まりを起こしても他の箇所から浄化された水を排出することができる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、フィルターが不織布から成ることを特徴とする。
この発明によれば、作製が容易で、同心円状にフィルターの開孔径を調節することができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、フィルターの開孔径がその円周方向最内層で最も大きく、最外層で最も小さいことを特徴とする。
この発明によれば、排水中の粒子径の大きな泥成分等から順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長く維持することができる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、スペーサがフィルターの延在方向に螺旋状及び/又は直線状に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、スペーサと排水管との間隙が確保され、この間隙から浄化された水を排出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、重複する記載は省略する。
図1は、本発明の一実施形態によるフィルターユニットが排水管に装着された状態を示す概略側断面図であり、一部その端面を示している。図2は、図1に示したフィルターユニットを流れ方向上流側から見た正面図である。
【0010】
これらの図において、フィルターユニット1Aは、既設の排水管例えば土管100中に装着されて使用できるものであり、順次積層巻回された不織布からなる円筒形状のフィルター2を備えている。フィルター2は、その円周方向最内層の開孔径を最も大きくし、最外層の開孔径を最も小さくする。また、フィルターユニット1Aの中心部には開口部3が形成されており、フィルターユニット1Aに流入した泥水を土管100の延在方向に行き渡らせる役目を果たしている。
【0011】
フィルター2の外周には、フィルター2の形態を保持する保持部材4が配置されており、この保持部材4の外周には、フィルター2を内部に収納し、土管100とフィルター2とを離間して流路を形成するスペーサ5が、フィルター2の延在方向に螺旋状に設けられている。なお、保持部材4は、スペーサ5によってフィルター2の形態が維持できれば、使用しなくても良い。
【0012】
フィルターユニット1Aの流れ方向上流側の端面には、フィルターユニット1Aと土管100との間隙に泥水が直接流入しないようにするために、カバー6を備えている。一方、フィルターユニット1Aの流れ方向下流側には、開口部3から泥水が直接漏水するのを防止する封止部材7が装着されている。
【0013】
フィルターユニット1Aを土管100に装着する場合には、封止部材7が設けられたフィルターユニット1Aの端部を排水管等の下流側に向け、フィルターユニット1Aのカバー6が設けられた端部を上流側に向けて土管100内に挿入する。その際、フィルターユニット1Aと土管100との間隙に泥水が流入しないように、カバー6を土管100の端部に装着する。このカバー6によって、泥水を含む排水は、全てフィルター2内に導入される。
【0014】
フィルター2内に導入された泥水は、フィルター2の外周方向に浸み出し泥水の浄化が行われ、スペーサ5と土管100内壁との間に画成された間隙から浄化された被処理水が排出される。ここで、フィルター2の中心部には開口部3が形成されているので、この開口部3を通って泥水は土管100の流れ方向下流側に行き渡る。従って、フィルター2のいずれかの箇所で目詰まりを起こしたとしても、下流側のフィルター2も有効に利用することができる。また、フィルターユニット1Aの流れ方向下流側の端部には、開口部3から泥水が直接漏水するのを防止する封止部材7が設けられているので、泥水は必ずフィルター2を通過して排出されることになる。
【0015】
前述したように、フィルター2は、最内層の開孔径を最も大きくし、最外層の開孔径を最も小さくする。フィルター2最内層の開孔径は、150μm〜500μm、さらに好適には、150μm〜300μmとするのが望ましい。フィルター2の開孔径が150μm未満であると、泥水中の砂粒などが目詰まりを起こしフィルター2の寿命が短くなり望ましくなく、フィルター2の開孔径が500μmを越えると、泥水成分の捕捉が十分に行えないからである。
【0016】
一方、フィルター2最外層の開孔径は、泥水のSS(懸濁物質、浮遊固形物)のうち、粒子の細かいものを捕捉できるようにするために、20μm〜60μmの範囲とするのが好適である。
以上の開孔径は、種々の異なる開孔径を有する複数の不織布シートを多層に巻回することにより、所望の開孔径を達成することができる。
さらに、フィルター2の最内層の開孔径を大きくして高空隙率とするのは、主にSSの捕捉量を確保するためであり、泥水を土管100の延在方向に行き渡らせることも達成できる。
【0017】
スペーサ5の円周方向の高さは、例えば5mm〜50mm程度が好適であり、フィルター2の直径の1%〜15%とするのが望ましい。スペーサ5の高さが5mm未満であると、排出量が小さくなり、50mmを越えると限られた土管100内でフィルター2を小さくしなければならず、フィルター2の使用量を効率的に確保することが困難となるためである。
また、開口部3の直径は、フィルター2の直径の20%〜50%の範囲とするのが望ましい。開口部3の直径は、あまり小さいとフィルター2内への均一な排水の導入が図れず、逆に大き過ぎるとフィルター2の使用量を確保できなくなるので、このような不都合が生じない範囲で適宜所望な値を採用することが望ましい。
【0018】
フィルター2としては、不織布を積層巻回することにより作製することができ、例えば、シール手段(例えば、熱シール、超音波シール又は高周波シール)、接着手段(例えば、接着剤による接着)又は縫合手段(例えば、ミシンなどによる繊製)により、複数枚の不織布を積層することができる。あるいは、不織布を巻回した後に、紐などで縛ることにより作製しても良い。
図3は、図1に示したものと同様なフィルターユニットのカバーを取り付ける前の不織布を巻回した状態を示す概略部分斜視図である。なお、図3のスペーサ5は、図1のように螺旋状ではなく、所定間隔でリブ状に設けられている(後述する図4〜図7においても同様である)。
図において、フィルター2は、不織布を巻回した後に紐8で縛ることにより、複数箇所を固定することができる。次いで、フィルター2を保持部材4を備えたスペーサ5内に挿入することによりフィルターユニット1Aとする。
【0019】
不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂からなる繊維、又はこれらの熱可塑性樹脂を含む複合繊維等を使用することができる。また、フィルターユニット1Aを使用した後の廃棄を考慮して、セルロース系繊維、綿繊維、籾殻、藁等の生分解性素材も好適に使用できる。
【0020】
図4は、本発明の他の実施形態によるフィルターユニット1Bを示す概略部分斜視図である。図において、籾殻8を開孔径の大きい低密度不織布2a内に充填し、これらの籾殻8及び低密度不織布2aによりフィルターを構成し、フィルターユニット1Bとしたものである。フィルターの中心部に籾殻8を使用することにより、泥水が容易に通り抜けることができるので、フィルターユニット1Bの終端まで泥水を行き渡らせることができ、泥水の十分な浄化を行うことができる。
【0021】
図5は、本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニット1Cを示す概略部分斜視図である。このフィルターユニット1Cは、図4におけるものと基本的に同様であるが、フィルターを、籾殻8並びに開孔径の大きい低密度不織布2a及び開孔径の小さい高密度不織布2bで構成したものである。これにより、最外層に比べて最内層の開孔径を大きくすることができるので、泥水のうち粒子径の大きなものから順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長くすることとができるという利点がある。
【0022】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニット1Dを示す概略部分斜視図である。図において、藁9を開孔径の小さい高密度不織布2bで覆うことによりフィルターとし、フィルターユニット1Dとしたものである。
このような構成により、開孔径を最外層から最内層に向かって大きくすることができるので、図5と同様な効果が得られる。なお、藁9を使用したフィルターユニット1Dの場合も図5と同様に、低密度不織布及び高密度不織布を併せて使用することも可能である。
【0023】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
まず、中心の開口部を形成するために、直径30mmのメッシュ状の中空円筒部材10を用い、これに以下の4種類の不織布を順次巻いて紐で縛り、長さ2mのフィルターとした。中空円筒部材10を備えたフィルターユニット1Eを図7に分解して概略的に示す。この図では、以下の複数層の不織布層:第1層2c、第2層2d、第3層2e、第4層2fが、中空円筒部材10に順次巻回されている。
【0024】
第1層:繊度4デニール(d)のポリエチレンテレフタレート(PET)50%と、繊度5デニールのポリエチレンテレフタレート50%とからなり、面密度250g/m2、厚さ9mmの不織布を作製した。この不織布をメッシュ状の円筒部材10に厚さ21mmとなるように3回巻回した。
第2層:面密度160g/m2の繊度3デニールのポリエチレンテレフタレート100%と面密度10g/m2のアクリルバインダとからなる厚さ1.5mmの不織布を、前記第1層上に厚さ4.5mmとなるように3回巻回した。
【0025】
第3層:(1)繊度3デニールのポリエチレンテレフタレート50%と繊度6デニールのポリエチレンテレフタレート50%との不織布;
(2)繊度2デニールのポリエチレンテレフタレート90%と繊度2デニールのレーヨン繊維10%との不織布;
(3)繊度1.4デニールのレーヨン繊維30%、繊度3デニールのレーヨン繊維40%、及び繊度5デニールのビニロン繊維30%からなる不織布。
これらの(1)〜(3)の3層を重ねて、面密度240g/m2、厚さ2.8mmとした不織布を厚さ8.4mmとなるように、3回巻回した。
第4層:厚さ0.4mm、面密度60g/m2の綿100%からなる不織布を厚さ0.8mmとなるように2回巻回した。
【0026】
第1層の開孔径は250μm(張力によっては300μm程度の実質開孔径となる)、第2層の開孔径は100μm、第3層の開孔径は90μm、第4層の開孔径は40μmであった。
なお、開孔径の測定は、ポロメーター(Coulter社製)により、窒素を用いたバブルポイント法(窒素ガス圧入法)で測定した。
【0027】
このようにして作製したフィルターの流れ方向下流側の端部に封止部材7を装着した後、保持部材4を備えたスペーサ5内に挿入した。次いで、フィルターの流れ方向上流側の端面にカバー6を設けて、フィルターユニットとした。
このフィルターユニットを、水田の一筆(水田の一区画)について2時間代掻きを行った後、図1に示すように、土管100内に挿入し、土管100の端面にカバー6を密着させた。フィルターユニットに流入する泥水の平均流速は、17.5リットル/分であり、ろ過試験時間は約4時間であった。
【0028】
この試験時間内にフィルターユニット上流から流れ込んだ泥水のSSは、約2811.5gであり、フィルターユニットが捕捉したSSの量は1068.4gであった。なお、この捕捉量は、試験後乾燥重量の増分で示したものであり、フィルターユニットの除去率は38%であった。従って、SSを高い効率で除去することができることが明らかとなった。
【0029】
なお、前述した実施形態では、フィルター2を内部に収納し、排水管とフィルター2とを離間して流路を形成する透水性のスペーサとして、螺旋状及びリブ状のスペーサについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、枠材11にフィルターの延在方向に複数の棒状部材12を円筒外周面が形成されるように直線状に設けてスペーサとしても良い。さらに、このような棒状のスペーサの場合、各棒状部材12の土管100当接面に凹凸を設け、フィルター2の外周面に均一に浄化された水が行き渡るように設計することもできる。
【0030】
また、前述した実施形態では、代掻きに際しての浄化を例示したが、本発明によるフィルターユニットはこれに限定されることはなく、土木、建築に伴う排水浄化、果樹園、水耕栽培などの農業用途、ゴルフ場の雨水処理、並びに動物畜舎、工場用水や生活雑排水の処理など、土管等の排水管を使用する排水形態を持つものであれば、いかなる用途にも適用することができる。
さらに、リンを吸着する鉄粉、窒素その他を吸着するゼオライトなどの化学吸着剤を添加して不織布を巻回形成することにより、化学的な浄化をも併せて行うこともできる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、フィルターユニットは、フィルターと、このフィルターを内部に収納し、排水管とフィルターとを離間して流路を形成する透水性のスペーサと、スペーサの上流側端部に設けられ、フィルターの上流側端面を露出すると共に、スペーサと排水管との間隙に排水が流入するのを防止するカバーと、フィルターの下流側端面を封止する封止部材とを備えたので、排水管を流れる排水は全てフィルターを通過してスペーサを介して排出され、泥水等を確実に除去して排水の浄化を行うことができるという効果を奏する。
【0032】
また、フィルターの中心に開口部が形成されているので、排水が低抵抗でフィルターの下流側まで行き渡ることができ、フィルターのいずれかの部分で目詰まりを起こしても他の箇所から浄化された水を排出することができる。
さらに、フィルターは不織布から作製されるので、容易に作製でき、同心円状にフィルターの開孔径を調節することができる。
さらに、フィルターの開孔径は、最内層で最も大きく、最外層で最も小さいので、排水中の粒子径の大きな泥成分等から順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長く維持することができる。
さらに、スペーサはフィルターの延在方向に螺旋状及び/又は直線状に形成されているので、スペーサを容易に作成できると共に、フィルター外周面に均一に浄化された水を行き渡らせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるフィルターユニットが土管に装着された状態を示す概略側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるフィルターユニットを流れ方向上流側から見た正面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図7】本発明の実施例によるフィルターユニットを示す概略分解斜視図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態によるスペーサを示す斜視図である。
【符号の説明】
1A〜1E…フィルターユニット、2…フィルター、2a…低密度不織布、2b…高密度不織布、2c…第1層、2d…第2層、2e…第3層、2f…第4層、3…開口部、4…保持部材、5…スペーサ、6…カバー、7…封止部材、8…籾殻、9…藁、10…中空円筒部材、100…土管。
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設の排水管等に簡易に装着して使用するフィルターユニットに関し、これによって、既設の管状物を使用した優れた水質浄化機能を実現し得るフィルターユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境復元の一環として、河川、湖沼、又は海などの水質を浄化することが強く求められている。浄化が求められている対象として、例えば、水田の代掻きは、田植えに先立って水、肥料を加え、田の土をすき起こした後、土表面を平らに均す作業であり、地力を回復させる目的で古来から行われてきた手法である。この代掻きを行うと、農業排水路から比較的短時間に多量の泥水が河川に流れ込む。このような多量の泥水が河川に排出されることは、土木工事の際に発生する地下水や雨水などの排出と同様に、自然環境への悪影響が問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の泥水浄化は、主として汚濁が拡がった状態で実施することが主流であった。このため、必要となる浄化技術は極めて難易度が高く、結果として設置規模が大きくなり、イニシャルコストや維持に必要なコストが高くなると共に、人的労力も大きくなるという問題点があった。
本出願に係る発明者らは、泥水の発生源となる場所で、既存の導水設備を利用して、簡易かつ効果的な浄化を実現すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑み為されたものであり、既設の排水管等に簡易に装着することによって、汚泥の発生源での効果的な泥水浄化を行うことができるフィルターユニットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、排水管内に設置されこの排水管内を流れる排水を浄化するフィルターユニットであって、フィルターユニットは、円筒形状のフィルターと、このフィルターを内部に収納し、かつ排水管とフィルターとを離間して流路を形成する透水性のスペーサと、スペーサの上流側端部に設けられ、フィルターの上流側端面を露出すると共に、スペーサと排水管との間隙に排水が流入するのを防止するカバーと、フィルターの下流側端面を封止する封止部材とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、排水管を流れる排水は全てフィルターを通過してスペーサを介して排出されるので、泥水等を確実に除去して排水の浄化を行うことができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、フィルターの上流側端面から下流側端面に通じる開口部がフィルターの中心に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、排水が低抵抗でフィルターの下流側まで行き渡るので、フィルターのいずれかの部分で目詰まりを起こしても他の箇所から浄化された水を排出することができる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、フィルターが不織布から成ることを特徴とする。
この発明によれば、作製が容易で、同心円状にフィルターの開孔径を調節することができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、フィルターの開孔径がその円周方向最内層で最も大きく、最外層で最も小さいことを特徴とする。
この発明によれば、排水中の粒子径の大きな泥成分等から順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長く維持することができる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、スペーサがフィルターの延在方向に螺旋状及び/又は直線状に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、スペーサと排水管との間隙が確保され、この間隙から浄化された水を排出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、重複する記載は省略する。
図1は、本発明の一実施形態によるフィルターユニットが排水管に装着された状態を示す概略側断面図であり、一部その端面を示している。図2は、図1に示したフィルターユニットを流れ方向上流側から見た正面図である。
【0010】
これらの図において、フィルターユニット1Aは、既設の排水管例えば土管100中に装着されて使用できるものであり、順次積層巻回された不織布からなる円筒形状のフィルター2を備えている。フィルター2は、その円周方向最内層の開孔径を最も大きくし、最外層の開孔径を最も小さくする。また、フィルターユニット1Aの中心部には開口部3が形成されており、フィルターユニット1Aに流入した泥水を土管100の延在方向に行き渡らせる役目を果たしている。
【0011】
フィルター2の外周には、フィルター2の形態を保持する保持部材4が配置されており、この保持部材4の外周には、フィルター2を内部に収納し、土管100とフィルター2とを離間して流路を形成するスペーサ5が、フィルター2の延在方向に螺旋状に設けられている。なお、保持部材4は、スペーサ5によってフィルター2の形態が維持できれば、使用しなくても良い。
【0012】
フィルターユニット1Aの流れ方向上流側の端面には、フィルターユニット1Aと土管100との間隙に泥水が直接流入しないようにするために、カバー6を備えている。一方、フィルターユニット1Aの流れ方向下流側には、開口部3から泥水が直接漏水するのを防止する封止部材7が装着されている。
【0013】
フィルターユニット1Aを土管100に装着する場合には、封止部材7が設けられたフィルターユニット1Aの端部を排水管等の下流側に向け、フィルターユニット1Aのカバー6が設けられた端部を上流側に向けて土管100内に挿入する。その際、フィルターユニット1Aと土管100との間隙に泥水が流入しないように、カバー6を土管100の端部に装着する。このカバー6によって、泥水を含む排水は、全てフィルター2内に導入される。
【0014】
フィルター2内に導入された泥水は、フィルター2の外周方向に浸み出し泥水の浄化が行われ、スペーサ5と土管100内壁との間に画成された間隙から浄化された被処理水が排出される。ここで、フィルター2の中心部には開口部3が形成されているので、この開口部3を通って泥水は土管100の流れ方向下流側に行き渡る。従って、フィルター2のいずれかの箇所で目詰まりを起こしたとしても、下流側のフィルター2も有効に利用することができる。また、フィルターユニット1Aの流れ方向下流側の端部には、開口部3から泥水が直接漏水するのを防止する封止部材7が設けられているので、泥水は必ずフィルター2を通過して排出されることになる。
【0015】
前述したように、フィルター2は、最内層の開孔径を最も大きくし、最外層の開孔径を最も小さくする。フィルター2最内層の開孔径は、150μm〜500μm、さらに好適には、150μm〜300μmとするのが望ましい。フィルター2の開孔径が150μm未満であると、泥水中の砂粒などが目詰まりを起こしフィルター2の寿命が短くなり望ましくなく、フィルター2の開孔径が500μmを越えると、泥水成分の捕捉が十分に行えないからである。
【0016】
一方、フィルター2最外層の開孔径は、泥水のSS(懸濁物質、浮遊固形物)のうち、粒子の細かいものを捕捉できるようにするために、20μm〜60μmの範囲とするのが好適である。
以上の開孔径は、種々の異なる開孔径を有する複数の不織布シートを多層に巻回することにより、所望の開孔径を達成することができる。
さらに、フィルター2の最内層の開孔径を大きくして高空隙率とするのは、主にSSの捕捉量を確保するためであり、泥水を土管100の延在方向に行き渡らせることも達成できる。
【0017】
スペーサ5の円周方向の高さは、例えば5mm〜50mm程度が好適であり、フィルター2の直径の1%〜15%とするのが望ましい。スペーサ5の高さが5mm未満であると、排出量が小さくなり、50mmを越えると限られた土管100内でフィルター2を小さくしなければならず、フィルター2の使用量を効率的に確保することが困難となるためである。
また、開口部3の直径は、フィルター2の直径の20%〜50%の範囲とするのが望ましい。開口部3の直径は、あまり小さいとフィルター2内への均一な排水の導入が図れず、逆に大き過ぎるとフィルター2の使用量を確保できなくなるので、このような不都合が生じない範囲で適宜所望な値を採用することが望ましい。
【0018】
フィルター2としては、不織布を積層巻回することにより作製することができ、例えば、シール手段(例えば、熱シール、超音波シール又は高周波シール)、接着手段(例えば、接着剤による接着)又は縫合手段(例えば、ミシンなどによる繊製)により、複数枚の不織布を積層することができる。あるいは、不織布を巻回した後に、紐などで縛ることにより作製しても良い。
図3は、図1に示したものと同様なフィルターユニットのカバーを取り付ける前の不織布を巻回した状態を示す概略部分斜視図である。なお、図3のスペーサ5は、図1のように螺旋状ではなく、所定間隔でリブ状に設けられている(後述する図4〜図7においても同様である)。
図において、フィルター2は、不織布を巻回した後に紐8で縛ることにより、複数箇所を固定することができる。次いで、フィルター2を保持部材4を備えたスペーサ5内に挿入することによりフィルターユニット1Aとする。
【0019】
不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂からなる繊維、又はこれらの熱可塑性樹脂を含む複合繊維等を使用することができる。また、フィルターユニット1Aを使用した後の廃棄を考慮して、セルロース系繊維、綿繊維、籾殻、藁等の生分解性素材も好適に使用できる。
【0020】
図4は、本発明の他の実施形態によるフィルターユニット1Bを示す概略部分斜視図である。図において、籾殻8を開孔径の大きい低密度不織布2a内に充填し、これらの籾殻8及び低密度不織布2aによりフィルターを構成し、フィルターユニット1Bとしたものである。フィルターの中心部に籾殻8を使用することにより、泥水が容易に通り抜けることができるので、フィルターユニット1Bの終端まで泥水を行き渡らせることができ、泥水の十分な浄化を行うことができる。
【0021】
図5は、本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニット1Cを示す概略部分斜視図である。このフィルターユニット1Cは、図4におけるものと基本的に同様であるが、フィルターを、籾殻8並びに開孔径の大きい低密度不織布2a及び開孔径の小さい高密度不織布2bで構成したものである。これにより、最外層に比べて最内層の開孔径を大きくすることができるので、泥水のうち粒子径の大きなものから順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長くすることとができるという利点がある。
【0022】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニット1Dを示す概略部分斜視図である。図において、藁9を開孔径の小さい高密度不織布2bで覆うことによりフィルターとし、フィルターユニット1Dとしたものである。
このような構成により、開孔径を最外層から最内層に向かって大きくすることができるので、図5と同様な効果が得られる。なお、藁9を使用したフィルターユニット1Dの場合も図5と同様に、低密度不織布及び高密度不織布を併せて使用することも可能である。
【0023】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
まず、中心の開口部を形成するために、直径30mmのメッシュ状の中空円筒部材10を用い、これに以下の4種類の不織布を順次巻いて紐で縛り、長さ2mのフィルターとした。中空円筒部材10を備えたフィルターユニット1Eを図7に分解して概略的に示す。この図では、以下の複数層の不織布層:第1層2c、第2層2d、第3層2e、第4層2fが、中空円筒部材10に順次巻回されている。
【0024】
第1層:繊度4デニール(d)のポリエチレンテレフタレート(PET)50%と、繊度5デニールのポリエチレンテレフタレート50%とからなり、面密度250g/m2、厚さ9mmの不織布を作製した。この不織布をメッシュ状の円筒部材10に厚さ21mmとなるように3回巻回した。
第2層:面密度160g/m2の繊度3デニールのポリエチレンテレフタレート100%と面密度10g/m2のアクリルバインダとからなる厚さ1.5mmの不織布を、前記第1層上に厚さ4.5mmとなるように3回巻回した。
【0025】
第3層:(1)繊度3デニールのポリエチレンテレフタレート50%と繊度6デニールのポリエチレンテレフタレート50%との不織布;
(2)繊度2デニールのポリエチレンテレフタレート90%と繊度2デニールのレーヨン繊維10%との不織布;
(3)繊度1.4デニールのレーヨン繊維30%、繊度3デニールのレーヨン繊維40%、及び繊度5デニールのビニロン繊維30%からなる不織布。
これらの(1)〜(3)の3層を重ねて、面密度240g/m2、厚さ2.8mmとした不織布を厚さ8.4mmとなるように、3回巻回した。
第4層:厚さ0.4mm、面密度60g/m2の綿100%からなる不織布を厚さ0.8mmとなるように2回巻回した。
【0026】
第1層の開孔径は250μm(張力によっては300μm程度の実質開孔径となる)、第2層の開孔径は100μm、第3層の開孔径は90μm、第4層の開孔径は40μmであった。
なお、開孔径の測定は、ポロメーター(Coulter社製)により、窒素を用いたバブルポイント法(窒素ガス圧入法)で測定した。
【0027】
このようにして作製したフィルターの流れ方向下流側の端部に封止部材7を装着した後、保持部材4を備えたスペーサ5内に挿入した。次いで、フィルターの流れ方向上流側の端面にカバー6を設けて、フィルターユニットとした。
このフィルターユニットを、水田の一筆(水田の一区画)について2時間代掻きを行った後、図1に示すように、土管100内に挿入し、土管100の端面にカバー6を密着させた。フィルターユニットに流入する泥水の平均流速は、17.5リットル/分であり、ろ過試験時間は約4時間であった。
【0028】
この試験時間内にフィルターユニット上流から流れ込んだ泥水のSSは、約2811.5gであり、フィルターユニットが捕捉したSSの量は1068.4gであった。なお、この捕捉量は、試験後乾燥重量の増分で示したものであり、フィルターユニットの除去率は38%であった。従って、SSを高い効率で除去することができることが明らかとなった。
【0029】
なお、前述した実施形態では、フィルター2を内部に収納し、排水管とフィルター2とを離間して流路を形成する透水性のスペーサとして、螺旋状及びリブ状のスペーサについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、枠材11にフィルターの延在方向に複数の棒状部材12を円筒外周面が形成されるように直線状に設けてスペーサとしても良い。さらに、このような棒状のスペーサの場合、各棒状部材12の土管100当接面に凹凸を設け、フィルター2の外周面に均一に浄化された水が行き渡るように設計することもできる。
【0030】
また、前述した実施形態では、代掻きに際しての浄化を例示したが、本発明によるフィルターユニットはこれに限定されることはなく、土木、建築に伴う排水浄化、果樹園、水耕栽培などの農業用途、ゴルフ場の雨水処理、並びに動物畜舎、工場用水や生活雑排水の処理など、土管等の排水管を使用する排水形態を持つものであれば、いかなる用途にも適用することができる。
さらに、リンを吸着する鉄粉、窒素その他を吸着するゼオライトなどの化学吸着剤を添加して不織布を巻回形成することにより、化学的な浄化をも併せて行うこともできる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、フィルターユニットは、フィルターと、このフィルターを内部に収納し、排水管とフィルターとを離間して流路を形成する透水性のスペーサと、スペーサの上流側端部に設けられ、フィルターの上流側端面を露出すると共に、スペーサと排水管との間隙に排水が流入するのを防止するカバーと、フィルターの下流側端面を封止する封止部材とを備えたので、排水管を流れる排水は全てフィルターを通過してスペーサを介して排出され、泥水等を確実に除去して排水の浄化を行うことができるという効果を奏する。
【0032】
また、フィルターの中心に開口部が形成されているので、排水が低抵抗でフィルターの下流側まで行き渡ることができ、フィルターのいずれかの部分で目詰まりを起こしても他の箇所から浄化された水を排出することができる。
さらに、フィルターは不織布から作製されるので、容易に作製でき、同心円状にフィルターの開孔径を調節することができる。
さらに、フィルターの開孔径は、最内層で最も大きく、最外層で最も小さいので、排水中の粒子径の大きな泥成分等から順次捕捉されながら浄化が進むので、フィルターの寿命を長く維持することができる。
さらに、スペーサはフィルターの延在方向に螺旋状及び/又は直線状に形成されているので、スペーサを容易に作成できると共に、フィルター外周面に均一に浄化された水を行き渡らせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるフィルターユニットが土管に装着された状態を示す概略側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるフィルターユニットを流れ方向上流側から見た正面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態によるフィルターユニットを示す概略部分斜視図である。
【図7】本発明の実施例によるフィルターユニットを示す概略分解斜視図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態によるスペーサを示す斜視図である。
【符号の説明】
1A〜1E…フィルターユニット、2…フィルター、2a…低密度不織布、2b…高密度不織布、2c…第1層、2d…第2層、2e…第3層、2f…第4層、3…開口部、4…保持部材、5…スペーサ、6…カバー、7…封止部材、8…籾殻、9…藁、10…中空円筒部材、100…土管。
Claims (5)
- 排水管内に設置されこの排水管内を流れる排水を浄化するフィルターユニットであって、前記フィルターユニットは、
円筒形状のフィルターと、
このフィルターを内部に収納し、かつ前記排水管と前記フィルターとを離間して流路を形成する透水性のスペーサと、
前記スペーサの上流側端部に設けられ、前記フィルターの上流側端面を露出すると共に、前記スペーサと前記排水管との間隙に排水が流入するのを防止するカバーと、
前記フィルターの下流側端面を封止する封止部材と
を備えたことを特徴とするフィルターユニット。 - 前記フィルターの前記上流側端面から前記下流側端面に通じる開口部が前記フィルターの中心に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルターユニット。
- 前記フィルターは、不織布から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルターユニット。
- 前記フィルターの開孔径は、その円周方向最内層で最も大きく、最外層で最も小さいことを特徴とする請求項3記載のフィルターユニット。
- 前記スペーサは、前記フィルターの延在方向に螺旋状及び/又は直線状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルターユニット。
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| JP24689397A JP3594774B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | フィルターユニット |
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1997
- 1997-09-11 JP JP24689397A patent/JP3594774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH1176717A (ja) | 1999-03-23 |
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