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JP3595734B2 - 非水電解液二次電池用正極活物質、その正極活物質の製法、及びその正極活物質を用いた二次電池 - Google Patents
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JP3595734B2 - 非水電解液二次電池用正極活物質、その正極活物質の製法、及びその正極活物質を用いた二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用正極活物質、その正極活物質の製法、及びその正極活物質を用いた二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池用正極活物質、その正極活物質の製法、及びその正極活物質を用いた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラや携帯型電話機等のコードレス電子機器の発達はめざましく、これらの電源用として電池電圧が高く(4V級)、高エネルギー密度を有した非水電解液二次電池であるリチウム二次電池が注目されている。この電池に使用される正極活物質に関しては、4V級の電池電圧を示すLiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのリチウム遷移金属複合酸化物が検討されている。LiCoO2に関してはCo原料が高いこと、LiNiO2に関しては合成が難しい、またNi原料が高いという問題がある。それに対してLiMn24は合成が容易で、しかも資源が豊富で非常に安価であることから注目されている。
【0003】
しかし、LiMn24を正極活物質として使用した場合、Liイオンが放出(ディインターカレーション)された充電状態において正極の結晶構造が不安定になり、正極活物質中から組成の一部であるMn3価がMn4価とMn2価に不均化し、室温下において充放電を繰り返し行ったときに充放電容量が著しく劣化するという問題、つまり室温下でのサイクル特性が良くないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、LiMn24におけるMnの一部をFe、Co、Ni、Al等で置換する方法(例えば特開平4−282560、特開平4−160769、特開平5−28991、特開平9−213333、特開平9−270259等)や、Liで置換する方法(例えば特開平2−270268、特開平4−123769、特開平7−282798等)により、正極の結晶構造を強化する手法が試みられている。室温下でのサイクル特性は、この手法により置換量を増加していけば、ある程度の改善効果が見られた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各公報に開示されている組成のリチウムマンガン酸化物では、例えば60℃という高温下において充放電を繰り返し行った場合には依然として充放電容量の劣化が大きくなる、つまり高温サイクル特性が良くないという問題があった。また、高温下で保存した後の残存容量やそのように保存した後に充放電したときの回復容量も十分ではない、つまり高温保存特性が良くないという問題もあった。このような問題を解決すべく、種々の研究機関において様々な研究が進められているものの、リチウムマンガン酸化物のどのパラメータをどのように制御すればよいかは未だ解明されていない。
【0006】
ところで、LiMn24を正極とした非水電解液二次電池で4V級電池電圧での理想的な正極の充電反応は、次の[化1]式で示される。
【0007】
【化1】
Figure 0003595734
【0008】
すなわちLiMn24は充電時、結晶中のLiイオン(Li+)が引き抜かれ、理想的にはMn24(λ−MnO2)となる。LiMn24の結晶中のMnの価数は3価または4価であり、Mnの平均酸化価数が3.5(放電状態)から4価(充電状態)に変わる。尚、放電時は逆の過程となる。従って、LiMn24の理論容量(Liイオンの引き抜き量に相当)は148mAh/gとなる。但し、現実には上記[化1]式においてXが大きくなると、結晶内部のイオン伝導性が低下するのでLiイオンを完全に引きぬくことはできない。
【0009】
ここで、高温サイクル特性や高温保存特性が不良となる要因につき、その主要因として、正極活物質からのMnの不均化が挙げられ、その他の要因として、活性な正極活物質表面と電解液(溶媒+溶質)との反応や、電池反応の不均一性が挙げられる。
【0010】
第1の要因、つまりMnの不均化に関し詳述すると、正極活物質は結晶格子が収縮した充電に近い状態(LiMn24でLiがある程度抜けた状態)、特に高温下で結晶が歪み、不安定化し正極活物質中のMn3+は、2Mn3+→Mn4++Mn2+のように不均化する。この不均化により、Mn3+が減少するのに伴ってMn4+が増加すると共に本来存在しないMn2+が新たに生成し、このMn2+由来の化合物が正極活物質表面等に付着したり電解液中へ溶け出したりする。この結果、高温下で充放電を繰り返すうちに正極活物質自身の組成が変化しMnの平均酸化価数が増加して充放電容量の低下を招いたり、Mn2+に起因するMn酸化物等が正極活物質表面・粒界・欠陥部分に移動、成長していきLiの移動の抵抗となったりして、高温サイクル特性や高温保存特性が不良となる。
【0011】
また第2の要因、つまり活性な正極活物質表面と電解液との反応に関しては、特に高温下・高電位下で起こりやすく、この反応が進むと電解液のリチウムイオン伝導性の低下及び正極活物質表面に抵抗被膜成長を招き、結果的に高温サイクル特性や高温保存特性が不良となる。
【0012】
更に第3の要因、つまり電池反応の不均一性に関しては、通常、正極活物質単独ではその電子伝導性が低いため、カーボンブラック等の導電助材を混合・ペースト化・塗布という流れで電極化しているのであるが、一般に正極活物質は二次凝集しているため、導電助材が電極作製工程にて均質にいきわたらず、電極内部で抵抗の分布を生じ、局所的に電池電位がばらつき、上記Mnの不均化や電解液との反応を加速するため、結果的にサイクル特性や保存特性が不良となる。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、非水電解液二次電池用正極活物質又は非水電解液二次電池において、高温サイクル特性や高温保存特性に優れたものを提供することを目的とする。合わせて、そのような正極活物質の製法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態、及び発明の効果】
上述の第1の要因を抑制する手法としては、既に述べた通り、LiMn24におけるMnの一部をLi又は他元素で置換することが知られている。即ち、Mnの一部を他元素で置換することにより結晶中の電子軌道を変化させ、結晶の骨格を形成しているMn−O間の結合力を高めることで、結晶構造を強化するのである。このような構造強化効果は、置換する元素種により大きく変わり、Li(1価)が大きく、その次にNi(2価),Al(3価),Co(2価又は3価),Fe(2価又は3価),Mg(2価),Ca(2価)などが続く。一方、これらの置換元素の価数は3価以下のため、これにより放電状態におけるMnの平均酸化価数は3.5より大きくなり、可動Li量が減少するため、充放電容量が小さくなる。元素種別に考えると、置換元素種としてLiは構造強化効果は高いものの価数が1価であるため、放電状態におけるMnの平均酸化価数が大きくなり、充放電容量は顕著に小さくなる。これに対して、Ni,Al,Co,Fe,Mg,Caは、Liより構造強化効果は若干劣るものの、価数が2〜3価であるためLiに比べると充放電容量は小さくならない。このような事情を踏まえると、結晶構造を強化し且つ十分な充放電容量を確保するには、Mnの一部をLiと置換すると共にNi,Al,Co,Fe,Mg,Caのいずれかの金属とも置換すること、つまり非水電解液二次電池の正極活物質としてLi1+xMn2-x-yy4(MはNi,Al,Co,Fe,Mg,Caのいずれか)を用いることが必要となる。
【0015】
しかし、本発明者らは、これだけでは高温サイクル特性や高温保存特性を十分に向上させるには不十分と考え、更に優れた性能を持つ正極活物質を探求した。そして、Mn不均化の起こりやすい箇所は、結晶転位・組成ずれによる欠陥部等、結晶性の低下している箇所に集中していると予測されることから、結晶の状態によって変化するパラメータである格子定数に着目し、格子定数と充放電容量との関連につき鋭意研究を行った。その結果、格子定数の数値を精密にコントロールすることで、高温下でのMnの不均化を顕著に抑制し、優れた高温サイクル特性及び高温保存特性が得られることを見い出した。合わせて、この格子定数は置換する元素種による結晶強化の度合いやイオン半径の違い等で変化することから、格子定数を規定する場合は置換元素種毎に規定する必要があることも見い出した。
【0016】
具体的には、本発明の非水電解液二次電池用正極活物質は、スピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であって、
一般式(1)即ちLi1+xMn2-x-yNiy4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.230Åのもの、
一般式(2)即ちLi1+xMn2-x-yAly4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.220Åのもの、
一般式(3)即ちLi1+xMn2-x-yCoy4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.220Åのもの、
一般式(4)即ちLi1+xMn2-x-yFey4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.250Åのもの、
一般式(5)即ちLi1+xMn2-x-yMgy4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.240Åのもの、
一般式(6)即ちLi1+xMn2-x-yCay4(x≧0、y>0)で格子定数a≦8.220Åのもの、である。
【0017】
一般式(1)〜(6)について個別に規定した格子定数は、実験データに基づいて定めた値であり、この格子定数を超えると、Mnの不均化が起こりやすい箇所つまり結晶性の低下している箇所が多くなり、優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保できなくなる。なお、上記各一般式においてx+y≦0.30であることが十分な充放電容量を確保するうえで好ましい。
【0018】
本発明者らは、Mn不均化の起こりやすい箇所として、結晶性の低い箇所のほかに正極活物質表面部も挙げられることから、正極活物質表面部を表すパラメータとして比表面積に着目し、比表面積と充放電容量との関連についても鋭意研究を行った。その結果、格子定数に加えて比表面積の数値を精密にコントロールすることで、一層優れた高温サイクル特性及び高温保存特性が得られることを見い出した。具体的には比表面積につき、一般式(1)、(3)〜(6)では0.6m2/g以下のもの(特に0.4m2/g以下のもの)、一般式(2)では0.9m2/g以下のもの(特に0.6m2/g以下のもの)が好ましい。ここで、比表面積の数値をコントロールする方法としては、特に制限されるものではないが、比表面積は原料であるマンガン化合物の比表面積に大きく影響を受けるため、マンガン化合物を粉砕し所定粒径に分級したうえで用いることによりコントロール可能である。なお、マンガン化合物をどの程度の粒径に分級するかは、経験則(例えばどの程度分級したらどの程度の比表面積が得られるかの相関関係を予め経験的に求めておく)による。
【0019】
既に述べたように、結晶構造を強化し且つ十分な充放電容量を確保するには、正極活物質としてLi1+xMn2-x-yy4(MはNi,Al,Co,Fe,Mg,Caのいずれか)を用いることが必要となるが、特に十分な充放電容量を確保することを重視すれば、置換量x,yが適切な数値範囲内に収まるように規定することが好ましい。具体的には、一般式(1)、(5)、(6)ではx,yがx/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.26)を満たすことが好ましく、一般式(2)、(3)、(4)ではx,yがx/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.40)を満たすことが好ましい。
【0020】
一方、本発明者らは、充放電容量を確保しながら高温サイクル特性・高温保存特性を確保するため、置換する元素の価数及び結晶構造強化の度合いを考慮し、効果的に置換元素種を複数組み合わせて最適化することにつき鋭意研究した。その研究の過程で、Li1+xMn2-x-yy4(MはAl、Co、Fe、Mg)につき充放電容量がほぼ同量となる組成としたうえで、高温サイクル特性・高温保存特性を比較した。そうしたところ、高温サイクル特性の効果の順序はAl≒Co>Fe≒Mgとなったが、高温保存特性の効果の順序は逆転してFe≒Mg>Al≒Coとなった(図7参照)。
【0021】
この原因の詳細は解明されていないが、以下のように考察される。即ち、高温サイクル特性の評価試験においては、充放電による膨張・収縮が繰り返し行われるため、正極活物質全体(主な箇所は正極活物質表面部や結晶転移・組成ズレによる欠陥部等で結晶性の低下している箇所)からMnが不均化するが、高温保存特性の評価試験においては、充放電による膨張・収縮が繰り返し行われないため、主に正極活物質表面部からのみMnが不均化する。ここで、リチウムマンガン酸化物におけるMnの一部をAlやCoで置換した場合、イオン半径が比較的小さく格子定数の低減効果が大きいため、正極活物質合成時に正極活物質全体が均一に置換されやすく、正極活物質全体が強化されるので、高温サイクル特性が非常に向上すると考えられる。それに対し、MgやFeで置換した場合、イオン半径が比較的大きいため、正極活物質の表面層が置換されやすく、正極活物質表面部の結晶構造が強化され、高温保存特性が向上すると考えられる。
【0022】
このような考えのもとに、本発明者らは、結晶構造強化効果の高い置換元素種つまりAlやCoのようなイオン半径の比較的小さい元素種で置換することをベースとして、更にMgやFeのようなイオン半径の比較的大きい元素種を微量に置換すれば、高温サイクル特性ばかりでなく高温保存特性も非常に良好になると結論づけ、これに基づいて検討を続けたところ、両特性が非常に良好な下記のリチウムマンガン酸化物を見い出すに至った。
【0023】
具体的には、本発明の非水電解液二次電池用正極物質は、スピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であって、一般式(7)即ちLi1+xMn2-x-y-z1 y2 z4(x≧0、y、z>0、M1はMg、Fe、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ti、Zr、Ni、Cu、Ag及びZnからなる群から選ばれた金属(=イオン半径の比較的大きい元素種)、M2はAl、Co、V、Cr及びGaからなる群から選ばれた金属(=イオン半径の比較的小さい元素種)で表されるものである。なお、この一般式においてx+y+z≦0.30であることが十分な充放電容量を確保するうえで好ましい。
【0024】
上記一般式(7)において、M1がMgでM2がAl又はCoであるかM1がFeでM2がAl又はCoであることが好ましい。前者の場合、0.05≧y≧0.01であることが優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保するうえで好ましい。yが0.01未満であるとMgの置換量が少なすぎて高温保存特性を格段に向上させることが難しくなり、また、yが0.05を越えるとMnをMgに置換する効果がMnをAlやCoに置換する効果を上回り、高温サイクル特性がやや低下する傾向が見られるようになる。また、前出の一般式(5)(置換元素種がMg)における格子定数の条件即ち格子定数a≦8.240Åを満たすことが優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保するうえで好ましい。一方、後者の場合、0.09≧y≧0.01であることが優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保するうえで好ましい。yが0.01未満であるとFeの置換量が少なすぎて高温保存特性を格段に向上させることが難しくなり、また、yが0.09を越えるとMnをFeに置換する効果がMnをAlやCoに置換する効果を上回り、高温サイクル特性がやや低下する傾向が見られるようになる。また、前出の一般式(4)(置換元素種がFe)における格子定数の条件即ち格子定数a≦8.250Åを満たすことが優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保するうえで好ましい。
【0025】
更に、上記一般式(7)において、M2がAlのときには前出の一般式(2)(置換元素種Al)におけるBET比表面積の条件即ち0.9m2/g以下を満たすこと、また、M2がCoのときには前出の一般式(3)(置換元素種Co)におけるBET比表面積の条件即ち0.6m2/g以下を満たすことが優れた高温サイクル特性及び高温保存特性を確保するうえで好ましい。
【0026】
更にまた、上記一般式(7)において、M1がMgでM2がAl又はCoであるかM1がFeでM2がAl又はCoの場合、x,zが、x/p+z/q≦1(p=0.18、q=0.40)を満たすことが好ましい。x、zがこの範囲を外れると、他元素置換量が多くなり合成が難しくなるとともに、充放電容量の確保も充分でなくなるからである。このx、zにつき、x/p+z/q≦1(p=0.16、q=0.40)且つx/p+z/q≧1(p=0.09、q=0.13)であれば、充放電容量、高温サイクル特性、高温保存特性において非常に良好な結果が得られるため、特に好ましい。
【0027】
これらの非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法は、特に限定されないが、例えばリチウム化合物と、マンガン化合物と、Ni、Al、Co、Fe、Mg、Caからなる群より選ばれる1種の金属又は金属化合物とを混合し、これを焼成した後、室温にすることにより製造できる。ここで、リチウム化合物としては、例えば炭酸リチウム、リチウム酸化物、硝酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム等が挙げられ、この中で炭酸リチウムがハンドリングが容易であり焼成時に有害ガスを発生しない点で好ましい。また、マンガン化合物としては、例えば電解二酸化マンガン(EMD)、化学合成二酸化マンガン(CMD)、Mn23やMn34等のマンガン酸化物、炭酸マンガンや蓚酸マンガン等のマンガン塩等が挙げられ、この中でEMDが充填性がよく安価である点で好ましい。更に、Ni、Al、Co、Fe、Mg、Caからなる群より選ばれる1種の金属又は金属化合物としては、例えば金属そのもの、金属の水酸化物、金属の酸化物、金属塩(炭酸塩や硝酸塩等)、有機金属錯体等が挙げられる。原料の混合方法としては、例えば各原料の所定量を固相又は液相で混合することが挙げられる。また、混合品の焼成方法としては、例えば大気中、酸素中あるいは窒素と酸素の共存雰囲気中で700〜1000℃で15〜25時間熱処理することが挙げられる。更に、焼成後室温になるまで冷却する方法としては、放冷(例室温になるまで自然放置する方法)と急冷(室温になるまで水浴等により強制的に冷却する方法)が挙げられるが、同じ組成であれば前者の方がより小さな格子定数となるため好ましい。
【0028】
次に、[発明が解決しようとする課題」の欄で述べた第2の要因を抑制するには、上述の非水電解液二次電池用正極活物質につき、リチウムマンガン酸化物の表面をシュウ酸、マロン酸、コハク酸に代表されるジカルボン酸で処理することにより得られたもの、あるいは、リチウムマンガン酸化物の表面をTi,V,Mo,Wの群から選ばれる少なくとも一つの金属種を含むリチウム複合酸化物の被膜で覆ったものが好ましい。これらの場合、高温サイクル特性や高温保存特性が一段と良好になる。その理由としては、ジカルボン酸の処理あるいはリチウム複合酸化物の被膜形成により、正極活物質表面の活性点が減少し、高温下における正極活物質表面と電解液との反応が抑制され、電解液のリチウムイオン伝導性が低下したり正極活物質表面に抵抗被膜が成長したりするのを防止していることによると考えられる。なお、前者としてはマロン酸で処理することにより得られたもの、後者としては被覆前のリチウムマンガン酸化物に対するリチウム複合酸化物の重量比が0.1〜1.0wt%のものが、特に高い効果が得られるので好ましい。リチウム複合酸化物の重量比がこの範囲より大きいと被膜抵抗が大きくなり十分な初期容量が得られにくくなり、この範囲より小さいと第2の要因の抑制効果が十分でなくなる。
【0029】
ここで、ジカルボン酸で処理する方法としては、特に制限されるものではないが、例えばリチウムマンガン酸化物とジカルボン酸水溶液とを混合した後、100〜150℃で乾燥する方法が挙げられる。また、リチウムマンガン酸化物をリチウム複合酸化物で覆う方法としては、特に制限されるものではないが、リチウムマンガン酸化物と、リチウム化合物(例えば炭酸リチウム、リチウム酸化物、硝酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム等)と、Ti、V、W、Moからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属又は金属材料とを混合し焼成する方法が挙げられる。金属又は金属材料としては、特に制限されないが、例えば、金属そのもの、金属の水酸化物、金属の酸化物、金属塩(炭酸塩や硝酸塩等)、有機金属錯体等が挙げられる。
【0030】
また、[発明が解決しようとする課題」の欄で述べた第3の要因を抑制するには、上述の非水電解液二次電池用正極活物質において、リチウムマンガン酸化物の硫酸根含有量が0.05wt%以下であることが好ましい。この場合、高温サイクル特性や高温保存特性が一段と良好になる。その理由は次のように考えられる。即ち、通常、マンガン原料には硫酸根が存在するが、この硫酸根により正極活物質の二次凝集が生じやすくなることから、この硫酸根を0.05wt%以下にすることにより二次凝集を抑制し、カーボンブラック等の導電助材を正極活物質内に均等に分散させて電池反応を均一化させることにより、高温サイクル特性や高温保存特性が一段と良好になると考えられる。なお、硫酸根含有量が0.05wt%を越えると第3の要因の抑制効果が十分でなくなる。
【0031】
ここで、硫酸根の除去方法としては、特に制限されるものではないが、例えば原材料であるマンガン化合物につき硫酸根含有量が0.05wt%以下のものを使用する方法、あるいは、リチウムマンガン酸化物を水に分散させた後ろ過・乾燥する方法が挙げられる。
【0032】
本発明の非水電解液二次電池は、コイン型電池、円筒型電池及び角型電池等の公知の電池構造をとることができる。具体的には、例えば図8に示すコイン型電池では、金属ケース1及び封口板2からなるセル容器3内に正極4と負極5をセパレータ6を介して対向させ、両極4、5間の空間部に非水電解液を注入し、ポリプロピレン製のガスケット8で密閉した構造が挙げられる。正極活物質としては、上述した本発明の非水電解液二次電池用正極活物質を用いることが必須であり、正極4としては、例えばこの非水電解液二次電池用正極活物質と導電材とバインダとを混合して得られた合材(例えばペースト)を集電体に塗布したものを用いることが好ましい。負極活物質としては、通常用いられるものであればよく、例えばリチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料(例えばグラファイト又は非晶質炭素などの炭素材料)を用いることが好ましく、負極5としては、例えばこのような負極活物質と、導電材とバインダとを混合して得られた合材(例えばペースト)を集電体に塗布したものが好ましい。また、セパレータ6としては、通常用いられるものであればよく、例えば多孔性合成樹脂膜、例えばポリオレフィン系の多孔膜が挙げられる。このうち、ポリエチレン又はポリプロピレンの多孔膜が好ましい。非水電解液の有機溶媒としては、通常用いられるものであればよく、例えばカーボネート類、塩素化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類が挙げられる。このうち、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等及びそれらの混合溶媒が好ましい。電解質としては、通常用いられるものであればよく、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6等の無機塩及びこれらの無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO249)等の有機塩及びこれらの有機塩の誘導体の少なくとも一種であることが好ましい。電解質の濃度や電解液量は特に限定されるものでなく、用途に応じ支持塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。尚、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態で実施できることはいうまでもない。
【0034】
[実施例1]Li1+xMn2-x-yNiy4系について
A.正極活物質の作製について
実施例1−1〜16、実験例1−17〜18、比較例1−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表1に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と水酸化ニッケル(Ni(OH)2)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実施例1−1,2,4,6〜16、実験例1−17〜18、及び比較例1−1,2,5,6については室温まで放冷し、実施例1−3,5及び比較例1−3,4については室温まで急冷し、表1の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した。即ち、予め電解二酸化マンガンの粒子径と正極活物質の比表面積との相関データを作成した上で、正極活物質の比表面積が所定の目標値となるような電解二酸化マンガンの粒子径を上述の相関データに基づいて選定した。
【0035】
実施例1−19では、実施例1−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。なお、このようにリチウムマンガン酸化物を水に分散し攪拌する工程は、硫酸根含有量の低減化を目的とするものである(以下同じ)。
【0036】
実施例1−20では、実施例1−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実施例1−21では、実施例1−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0037】
実施例1−22では、 実施例1−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例1−23では、実施例1−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0038】
実施例1−24では、実施例1−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例1−25では、実施例1−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0039】
実施例1−26では、実施例1−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例1−27では、実施例1−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0040】
実施例1−28では、実施例1−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例1−29では、実施例1−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0041】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
正極は次のようにして作製した。即ち、上記実施例1−1〜16、19〜29、実験例1−17〜18、比較例1−1〜6で作製した正極活物質を86wt%、導電材のグラファイトを10wt%、バインダのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を4wt%の配合で溶剤のN−メチル−2−ピロリドン中に混合してペーストを作製し、このペーストをAl箔集電体上に塗布し、乾燥後直径14mmの円板状に打ち抜き、加圧成形した後、真空乾燥することで正極を製作した。また、負極は次のようにして作製した。即ち、メソフェーズ系カーボンを90wt%、バインダーのPVDFを10wt%の配合でN−メチル−2−ピロリドン中に混合してペーストを作製し、このペーストをCu箔集電体上に塗布し、乾燥後直径15mmの円板状に打ち抜き、加圧成形した後、真空乾燥することで負極を製作した。更に、非水電解液は次のようにして作製した。即ち、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比3:7の混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解させた。このように作製した正極、負極及び電解液を使用して、直径20mm、厚み3mmの扁平形の本発明電池を組み立てた。尚、セパレータにはポリエチレン製の微多孔膜を使用した。
【0042】
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1−1〜16、19〜29、実験例1−17〜18、及び比較例1−1〜6にて得られた正極活物質の格子定数、比表面積、硫酸根含有量を評価した。格子定数はX線回折により求めた(使用した機種名:RINT2200V(理学電機社製))。X線回折パターンからは、いずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。表1に格子定数の結果を示す。比表面積はN2吸着によるBET法を用いて測定した。表1にBET比表面積の測定結果を示す。硫酸根含有量に関してはICP発光分析によりS含有量を求め、硫酸根含有量として換算した。表1に測定結果を示す。
【0043】
実施例1−1〜16、19〜29、実験例1−17〜18、及び比較例1−1〜6のリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量を評価した。条件としては、室温にて充電を1.1mA/cm2の一定電流で4.2Vまで行い、その後、4.2Vの定電圧で合計4時間行った。そして放電は0.5mA/cm2の一定電流で3Vまで行い、これを5サイクル繰り返した。表1の「充放電容量」の欄には5サイクル目の放電容量を示した。また、各二次電池につき最も容量低下の激しい高温サイクル特性の評価を行った。条件としては、充放電容量の評価をした後の二次電池を60℃一定の恒温槽の中で、1.1mA/cm2の一定電流とし、電池極間電圧が4.2Vから3Vの間で充放電を繰り返した。表1の「サイクル後容量維持率」の欄には1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合を示した。尚、高温保存特性は高温サイクル特性と相関が強いため、高温サイクル特性が良好なものは高温保存特性も良好であると評価し得る。
【0044】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yNiy4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実施例1−1〜16、実験例1−17〜18、比較例1−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.230Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.225Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実施例1−3,4、実施例1−5,6)。
【0045】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.4、0.6、1.0m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性が良好になった(例えば実施例1−14,6,実験例1−17、実施例1−16,9,実験例1−18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.6m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.4m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0046】
更に、格子定数a≦8.230Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量に関しては、x,yがx/p10+y/q10>1(p10=0.18、q10=0.26)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図1から明らかなように実施例1−11,12がこれに該当する。これに対して、x,yがx/p10+y/q10≦1(p10、q10は前出)であると、つまり図1における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保できることがわかった。具体的には実施例1−1〜10、13〜16、19〜29、実験例1−17〜18がこれに該当する。特に、x,yがx/p11+y/q11≦1(p11=0.16、q11=0.23)且つx/p12+y/q12≧1(p12=0.09、q12=0.13)であると、つまり図1における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実施例1−2〜6、8、9、14〜16、19〜30、実験例1−17〜18がこれに該当する。
【0047】
一方、格子定数a≦8.230Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実施例1−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実施例1−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実施例1−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実施例1−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実施例1−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実施例1−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0048】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表1の実施例1−1と比較例1−3(放冷と急冷)、実施例1−2と比較例1−4(同)、実施例1−4と実施例1−3(同)、実施例1−6と実施例1−5(同)に示す通りである。
【0049】
[実施例2]Li1+xMn2-x-yAly4系について
A.正極活物質の作製について
実施例2−1〜16、実験例2−17〜18、比較例2−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表2に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と水酸化アルミニウム(Al(OH)3)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実施例2−1,2,4,6〜16、実験例2−17〜18及び比較例2−1,2,5,6については室温まで放冷し、実施例2−3,5及び比較例2−3,4については室温まで急冷し、表2の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。
【0050】
実施例2−19では、実施例2−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
実施例2−20では、実施例2−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実施例2−21では、実施例2−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0051】
実施例2−22では、 実施例2−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例2−23では、実施例2−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0052】
実施例2−24では、実施例2−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例2−25では、実施例2−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0053】
実施例2−26では、実施例2−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例2−27では、実施例2−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0054】
実施例2−28では、実施例2−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例2−29では、実施例2−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0055】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして評価した。各測定結果を表2に示す。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。
【0056】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yAly4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実施例2−1〜16、実験例2−17〜18、比較例2−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.220Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.215Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実施例2−3,4、実施例2−5,6)。
【0057】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.6、0.9、1.3m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性が良好になった(例えば実施例2−14,7,実験例2−17、実施例2−16,9,実験例2−18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.9m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.6m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0058】
更に、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量に関しては、x,yがx/p20+y/q20>1(p20=0.18、q20=0.40)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図2から明らかなように実施例2−11,12がこれに該当する。これに対して、x,yがx/p20+y/q20≦1(p20、q20は前出)であると、つまり図2における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保できることがわかった。特に、x,yがx/p21+y/q21≦1(p21=0.16、q21=0.40)且つx/p22+y/q22≧1(p22=0.09、q22=0.13)であると、つまり図2における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実施例2−1〜10、13〜16、19〜29、実験例2−17〜18がこれに該当する。
【0059】
一方、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実施例2−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実施例2−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実施例2−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実施例2−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実施例2−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実施例2−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0060】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表2の実施例2−1と比較例2−3(放冷と急冷)、実施例2−2と比較例2−4(同)、実施例2−4と実施例2−3(同)、実施例2−6と実施例2−5(同)に示す通りである。
【0061】
実験例]Li1+xMn2-x-yCoy4系について
A.正極活物質の作製について
実験例3−1〜18、比較例3−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表3に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化コバルト(Co34)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実験例3−1,2,4,6〜18、及び比較例3−1,2,5,6については室温まで放冷し、実験例3−3,5及び比較例3−3,4については室温まで急冷し、表3の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実験例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。
【0062】
実験例3−19、では、実験例3−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
実験例3−20では、実験例3−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実験例3−21では、実験例3−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0063】
実験例3−22では、実験例3−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実験例3−23では、実験例3−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0064】
実験例3−24では、実験例3−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実験例3−25では、実験例3−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0065】
実験例3−26では、実験例3−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実験例3−27では、実験例3−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0066】
実験例3−28では、実験例3−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実験例3−29では、実験例3−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0067】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして評価した。各測定結果を表2に示す。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。
【0068】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yCoy4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実験例3−1〜18、比較例3−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.220Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.215Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実験例3−3、4、実験例3−5、6)。
【0069】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.4、0.6、1.0m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性は良好
になった(例えば実験例3−14、7、17実験例3−16、9、18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.6m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.4m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0070】
更に、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量に関しては、x、yがx/p30+y/q30>1(p30=0.18、q30=0.40)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図3から明らかなように実験例3−11,12がこれに該当する。これに対して、x、yがx/p30+y/q30≦1(p30、q30は前出)であると、つまり図3における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保でき、特に、x、yがx/p31+y/q31≦1(p31=0.16、q31=0.40)且つx/p32+y/q32≧1(p32=0.09、q32=0.13)であると、つまり図3における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実験例3−1〜10、13〜29がこれに該当する。
【0071】
一方、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実験例3−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実験例3−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実験例3−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実験例3−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実験例3−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実験例3−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0072】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表3の実験例3−1と比較例3−3(放冷と急冷)、実験例3−2と比較例3−4(同)、実験例3−4と実験例3−3(同)、実験例3−6と実験例3−5(同)に示す通りである。
【0073】
[実施例4]Li1+xMn2-x-yFey4系について
A.正極活物質の作製について
実施例4−1〜16、実験例4−17〜18、比較例4−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表4に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化鉄(Fe23)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実施例4−1,2,4,6〜16、実験例4−17〜18及び比較例4−1,2,5,6については室温まで放冷し、実施例4−3,5及び比較例4−3,4については室温まで急冷し、表4の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。
【0074】
実施例4−19では、実施例4−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
実施例4−20では、実施例4−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実施例4−21では、実施例4−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0075】
実施例4−22では、 実施例4−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例4−23では、実施例4−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0076】
実施例4−24では、実施例4−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例4−25では、実施例4−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0077】
実施例4−26では、実施例4−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例4−27では、実施例4−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0078】
実施例4−28では、実施例4−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例4−29では、実施例4−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0079】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして評価した。各測定結果を表2に示す。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。
【0080】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yFey4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実施例4−1〜16、実験例4−17〜18、比較例4−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.250Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.245Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実施例4−3,4、実施例4−5,6)。
【0081】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.4、0.6、1.0m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性は良好になった(例えば実施例4−14,7,実験例4−17、実施例4−16,9,実験例4−18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.6m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.4m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0082】
更に、格子定数a≦8.250Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いたに次電池の充放電容量に関しては、x,yがx/p40+y/q40>1(p40=0.18、q40=0.40)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図4から明らかなように実施例4−11,12がこれに該当する。これに対して、x,yがx/p40+y/q40≦1(p40、q40は前出)であると、つまり図4における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保でき、特に、x,yがx/p41+y/q41≦1(p41=0.16、q41=0.40)且つx/p42+y/q42≧1(p42=0.09、q42=0.13)であると、つまり図4における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実施例4−1〜10、13〜16、19〜29、実験例4−17〜18がこれに該当する。
【0083】
一方、格子定数a≦8.250Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実施例4−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実施例4−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実施例4−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実施例4−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実施例4−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実施例4−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0084】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表4の実施例4−1と比較例4−3(放冷と急冷)、実施例4−2と比較例4−4(同)、実施例4−4と実施例4−3(同)、実施例4−6と実施例4−5(同)に示す通りである。
【0085】
[実施例5]Li1+xMn2-x-yMgy4系について
A.正極活物質の作製について
実施例5−1〜16、実験例5−17〜18、比較例5−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表5に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化マグネシウム(MgO)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実施例5−1,2,4,6〜16、実験例5−17〜18及び比較例5−1,2,5,6については室温まで放冷し、実施例5−3,5及び比較例5−3,4については室温まで急冷し、表5の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。
【0086】
実施例5−19では、実施例5−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
実施例5−20では、実施例5−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実施例5−21では、実施例5−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、100℃で乾燥した。
【0087】
実施例5−22では、 実施例5−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例5−23では、実施例5−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0088】
実施例5−24では、実施例5−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例5−25では、実施例5−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0089】
実施例5−26では、実施例5−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例5−27では、実施例5−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0090】
実施例5−28では、実施例5−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例5−29では、実施例5−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0091】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして評価した。各測定結果を表2に示す。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。
【0092】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yMgy4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実施例5−1〜16、実験例5−17〜18、比較例5−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.240Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.235Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実施例5−3,4、実施例5−5,6)。
【0093】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.4、0.6、1.0m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性は良好になった(例えば実施例5−14,6,実験例5−17、実施例5−16,9,実験例5−18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.6m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.4m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0094】
更に、格子定数a≦8.240Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量に関しては、x,yがx/p50+y/q50>1(p50=0.18、q50=0.26)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図5から明らかなように実施例5−11,12がこれに該当する。これに対して、x,yがx/p50+y/q50≦1(p50、q50は前出)であると、つまり図5における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保できることがわかった。具体的には実施例5−1〜10、13〜29がこれに該当する。特に、x,yがx/p51+y/q51≦1(p51=0.16、q51=0.23)且つx/p52+y/q52≧1(p52=0.07、q52=0.09)であると、つまり図5における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実施例5−2〜6、8、9、14〜16、19〜30、実験例5−17〜18がこれに該当する。
【0095】
一方、格子定数a≦8.240Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実施例5−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実施例5−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実施例5−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実施例5−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実施例5−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実施例5−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0096】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表5の実施例5−1と比較例5−3(放冷と急冷)、実施例5−2と比較例5−4(同)、実施例5−4と実施例5−3(同)、実施例5−6と実施例5−5(同)に示す通りである。
【0097】
[実施例6]Li1+xMn2-x-yCay4系について
A.正極活物質の作製について
実施例6−1〜16、実験例6−17〜18、比較例6−1〜6につき、Li、Mn、Niのモル比が表6に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化カルシウム(CaO)とを混合し、900℃で20時間焼成した。その後、実施例6−1,2,4,6〜16、実験例6−17〜18及び比較例6−1,2,5,6については室温まで放冷し、実施例6−3,5及び比較例6−3,4については室温まで急冷し、表6の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例・比較例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。
【0098】
実施例6−19では、実施例6−14と同様の方法で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
実施例6−20では、実施例6−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物100gをマロン酸水溶液20cc(マロン酸濃度5wt%)と15分間混合した後、100℃で乾燥した。実施例6−21では、実施例6−20で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0099】
実施例6−22では、 実施例6−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiTi24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とTiO2とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例6−23では、実施例6−22で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0100】
実施例6−24では、実施例6−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiV24のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とV25とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例6−25では、実施例6−24で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0101】
実施例6−26では、実施例6−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiWO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物とLi2CO3とH2WO4とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例6−27では、実施例6−26で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0102】
実施例6−28では、実施例6−14と同様な方法で作製したリチウムマンガン酸化物に対してLiMoO3のコート量が0.5wt%となるように、前記リチウムマンガン酸化物活とLi2CO3とMoO3とを混合し、650℃で20時間焼成した。実施例6−29では、実施例6−28で作製したリチウムマンガン酸化物1kgを水10リットルに分散し、2時間攪拌した後、ろ過し、100℃で乾燥した。
【0103】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして評価した。各測定結果を表2に示す。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。
【0104】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-yCay4で表される各種の正極活物質につき、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(実施例6−1〜16、実験例6−17〜18、比較例6−1〜6)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は格子定数a≦8.220Åにおいて顕著に表れるようになった。また、この効果は格子定数a≦8.215Åにおいて特に顕著に表れるようになった。同一組成式(つまりx、yの値が同じ)の正極活物質についても、格子定数が小さいほど優れた高温サイクル特性が得られる傾向にあった(例えば実施例6−3,4、実施例6−5,6)。
【0105】
また、同一組成式で格子定数がほぼ等しい正極活物質につき、比表面積を変化させた結果(0.4、0.6、1.0m2/g)、比表面積が小さいほど高温サイクル特性は良好になった(例えば実施例6−14,6,実験例6−17、実施例6−16,9,実験例6−18)。即ち、高温サイクル時の容量劣化を抑制する効果は、比表面積が0.6m2/g以下において顕著に表れるようになり、比表面積が0.4m2/g以下において特に顕著に表れるようになった。
【0106】
更に、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の充放電容量に関しては、x,yがx/p60+y/q60>1(p60=0.18、q60=0.26)であると、優れた高温サイクル特性が得られるものの、充放電容量が十分確保できなくなる傾向にあった。具体的には図6から明らかなように実施例6−11,12がこれに該当する。これに対して、x,yがx/p60+y/q60≦1(p60、q60は前出)であると、つまり図6における斜線領域であると、優れた高温サイクル特性が得られるうえ、充放電容量も十分確保できることがわかった。具体的には実施例6−1〜10、13〜16、19〜29、実験例6−17〜18がこれに該当する。特に、x,yがx/p61+y/q61≦1(p61=0.16、q61=0.23)且つx/p62+y/q62≧1(p62=0.07、q62=0.09)であると、つまり図6における横線領域であると、充放電容量と高温サイクル特性の両面でより効果的となることがわかった。具体的には実施例6−2〜6、8、9、14〜16、19〜30、実験例6−17〜18がこれに該当する。
【0107】
一方、格子定数a≦8.220Åのリチウムマンガン酸化物につき、表面をマロン酸にて処理した場合(実施例6−20)には、マロン酸処理を行わない場合(実施例6−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。また、表面をTi,V,Mo,Wから選ばれる少なくともいずれか一種のリチウム複合酸化物の被膜で覆った場合(実施例6−22,24,26,28、被覆するリチウム複合酸化物の被覆前リチウムマンガン酸化物に対する重量比は0.5wt%)には、このような被膜で覆わない場合(実施例6−14)に比べて高温サイクル特性は更に向上することがわかった。更に、硫酸根含有量は通常1.4wt%程度存在しているが(実施例6−14,20,22,24,26,28)、0.05wt%以下具体的には0.01又は0.02wt%程度に低減した場合(実施例6−19,21,23,25,27,29)、高温サイクル特性は更に向上することがわかった。
【0108】
製法に関し、同じ組成式の正極活物質を製造する工程で焼成後室温まで冷却する際に放冷した場合には、急冷した場合に比べて格子定数が小さくなる傾向があった。具体的には、表6の実施例6−1と比較例6−3(放冷と急冷)、実施例6−2と比較例6−4(同)、実施例6−4と実施例6−3(同)、実施例6−6と実施例6−5(同)に示す通りである。
【0109】
[実施例7]Li1+xMn2-x-y-zMgyAlz4系について
A.正極活物質の作製について
実施例7−1〜7につき、Li、Mn、Mg、Alのモル比が表7に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化マグネシウム(MgO)と水酸化アルミニウム(Al(OH)3)とを混合し、900℃で20時間焼成した後、室温まで放冷し、表7の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。また、表7における実施例7−1〜7の置換割合つまりx、y、zの値は、初期充放電容量がほぼ同容量になるように設定した。
【0110】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして格子定数、BET比表面積、充放電容量、高温サイクル特性を評価した。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。また、実施例7−1〜7のリチウムマンガン酸化物を正極活物質として用いた二次電池の高温保存特性を評価した。条件としては、室温にて充放電容量の評価をした後の二次電池を、室温にて充電を1.1mA/cm2の一定電流で4.2Vまで行い、その後4.2Vの定電圧で合計4時間充電し、次いで60℃一定の恒温槽の中で1ヶ月放置し、その後充放電容量の評価(実施例1参照)を実施した。表7の「放置後容量維持率」の欄には、最初に行った充放電容量評価の5サイクル目の放電容量に対する、60℃放置後の充放電容量評価の5サイクル目の放電容量の割合を示した。各測定結果を表7に示す。
【0111】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-y-zMgyAlz4で表される各種の正極活物質につき、いずれの実施例も良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られたが、更に詳しく見てみると、サイクル後容量維持率はMgの置換量を増加させるにつれて徐々に低下する傾向にあり、放置後容量維持率はMnをMgで微量置換しただけで急激に向上した。表7の結果から明らかなように、Mgの置換量が0.05≧y≧0.01の範囲のとき(実施例7−2〜5)、特に良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られた。
【0112】
[実施例8]Li1+xMn2-x-y-zMgyCoz4系について
A.正極活物質の作製について
実施例8−1〜7につき、Li、Mn、Mg、Coのモル比が表8に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化マグネシウム(MgO)と酸化コバルト(Co34)とを混合し、900℃で20時間焼成した後、室温まで放冷し、表8の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。また、表8における実施例8−1〜7の置換割合つまりx、y、zの値は、初期充放電容量がほぼ同容量になるように設定した。
【0113】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして格子定数、BET比表面積、充放電容量、高温サイクル特性を評価し、実施例7のC.と同様にして高温保存特性を評価した。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。各測定結果を表8に示す。
【0114】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-y-zMgyCoz4で表される各種の正極活物質につき、いずれの実施例も良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られたが、更に詳しく見てみると、サイクル後容量維持率はMgの置換量を増加させるにつれて徐々に低下する傾向にあり、放置後容量維持率はMnをMgで微量置換しただけで急激に向上した。表8の結果から明らかなように、Mgの置換量が0.05≧y≧0.01の範囲のとき(実施例8−2〜5)、特に良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られた。
【0115】
[実施例9]Li1+xMn2-x-y-zFeyAlz4系について
A.正極活物質の作製について
実施例9−1〜8につき、Li、Mn、Fe、Alのモル比が表9に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化鉄(Fe23)と水酸化アルミニウム(Al(OH)3)とを混合し、900℃で20時間焼成した後、室温まで放冷し、表9の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。また、表9における実施例9−1〜8の置換割合つまりx、y、zの値は、初期充放電容量がほぼ同容量になるように設定した。
【0116】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして格子定数、BET比表面積、充放電容量、高温サイクル特性を評価し、実施例7のC.と同様にして高温保存特性を評価した。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。各測定結果を表9に示す。
【0117】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-y-zFeyAlz4で表される各種の正極活物質につき、いずれの実施例も良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られたが、更に詳しく見てみると、サイクル後容量維持率はFeの置換量を増加させるにつれて徐々に低下する傾向にあり、放置後容量維持率はMnをFeで微量置換しただけで急激に向上した。表9の結果から明らかなように、Feの置換量が0.09≧y≧0.01の範囲のとき(実施例9−2〜6)、特に良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られた。
【0118】
[実施例10]Li1+xMn2-x-y-zFeyCoz4系について
A.正極活物質の作製について
実施例10−1〜8につき、Li、Mn、Fe、Coのモル比が表10に示す値となるように、電解二酸化マンガン(MnO2)と炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化鉄(Fe23)と酸化コバルト(Co34)とを混合し、900℃で20時間焼成した後、室温まで放冷し、表10の組成式で表されるリチウムマンガン酸化物を得た。尚、各実施例の比表面積は電解二酸化マンガン(MnO2)の粒子径を所定サイズになるように分級することにより実現した(この点は実施例1と同じ)。また、表10における実施例10−1〜8の置換割合つまりx、y、zの値は、初期充放電容量がほぼ同容量になるように設定した。
【0119】
B.非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製
実施例1のB.と同様にして作製した。
C.正極活物質の特性評価、及び非水電解液二次電池の評価
実施例1のC.と同様にして格子定数、BET比表面積、充放電容量、高温サイクル特性を評価し、実施例7のC.と同様にして高温保存特性を評価した。なお、X線回折パターンからはいずれも単相で立方晶スピネル構造であることが確認された。各測定結果を表10に示す。
【0120】
D.評価結果
Li1+xMn2-x-y-zFeyCoz4で表される各種の正極活物質につき、いずれの実施例も良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られたが、更に詳しく見てみると、サイクル後容量維持率はFeの置換量を増加させるにつれて徐々に低下する傾向にあり、放置後容量維持率はMnをFeで微量置換しただけで急激に向上した。表10の結果から明らかなように、Feの置換量が0.09≧y≧0.01の範囲のとき(実施例10−2〜6)、特に良好な高温サイクル特性・高温保存特性が得られた。
【0121】
【表1】
Figure 0003595734
【122】
【表2】
Figure 0003595734
【0123】
【表3】
Figure 0003595734
【124】
【表4】
Figure 0003595734
【0125】
【表5】
Figure 0003595734
【126】
【表6】
Figure 0003595734
【0127】
【表7】
Figure 0003595734
【128】
【表8】
Figure 0003595734
【0129】
【表9】
Figure 0003595734
【0130】
【表10】
Figure 0003595734

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−1〜29及び比較例1−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図2】実施例2−1〜29及び比較例2−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図3】実験例3−1〜29及び比較例3−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図4】実施例4−1〜29及び比較例4−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図5】実施例5−1〜29及び比較例5−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図6】実施例6−1〜29及び比較例6−1〜6についてのx、yの関係を表すグラフである。
【図7】高温サイクル特性と高温保存特性の関係を表すグラフである。
【図8】一般的なコイン型電池の断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属ケース1、2・・・封口板、3・・・セル容器、4・・・正極、5・・・負極、6・・・セパレータ、8・・・ガスケット。

Claims (23)

  1. 一般式(1)即ちLi1+xMn2-x-yNiy4(x≧0、y>0)で表され、格子定数a≦8.230Åなるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、BET比表面積が0.6m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活
    物質。
  2. x,yが、x/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.26)を満たす請求項1記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  3. 一般式(2)即ちLi1+xMn2-x-yAly4(x≧0、y>0)で表され、格子定数a≦8.220Åなるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、BET比表面積が0.9m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活
    物質。
  4. x,yが、x/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.40)を満たす請求項3記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  5. 一般式(4)即ちLi1+xMn2-x-yFey4(x≧0、y>0)で表され、格子定数a≦8.250Åなるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、BET比表面積が0.6m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活
    物質。
  6. x,yが、x/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.40)を満たす請求項5記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  7. 一般式(5)即ちLi1+xMn2-x-yMgy4(x≧0、y>0)で表され、格子定数a≦8.240Åなるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、BET比表面積が0.6m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活
    物質。
  8. x,yが、x/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.26)を満たす請求項7記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  9. 一般式(6)即ちLi1+xMn2-x-yCay4(x≧0、y>0)で表され、格子定数a≦8.220Åなるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、BET比表面積が0.6m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活
    物質。
  10. x,yが、x/p+y/q≦1(p=0.18、q=0.26)を満たす請求項9記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  11. 一般式(7)即ちLi1+xMn2-x-y-z1 y2 z4(x≧0、y、z
    >0、M1はMg、Fe、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ti、Zr、Ni、Cu、Ag
    及びZnからなる群から選ばれた金属、M2はAl及びCoらなる群から選ばれた金属)で表されるスピネル状結晶構造を持つリチウムマンガン酸化物であるとともに、一般式(7)のM2がAlの場合にはBET比表面積が0.9m2/g以下であり、Coの場合にはBET比表面積が0.6m2/g以下である非水電解液二次電池用正極活物質。
  12. 一般式(7)のM1がMgであ請求項11記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  13. 0.05≧y≧0.01である請求項12記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  14. 格子定数a≦8.240Åである請求項12又は13記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  15. 一般式(7)のM1がFeであ請求項11記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  16. 0.09≧y≧0.01である請求項15記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  17. 格子定数a≦8.250Åである請求項15又は16記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  18. x,zが、x/p+z/q≦1(p=0.18、q=0.40)を満たす請求項12〜17のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  19. リチウムマンガン酸化物の表面をシュウ酸、マロン酸又はコハク酸で処理することにより得られる請求項1〜18のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  20. リチウムマンガン酸化物の表面がTi,V,Mo,Wの群から選ばれる少なくとも一つの金属種を含むリチウム複合酸化物の被膜で覆われている請求項1〜18のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  21. 被覆前のリチウムマンガン酸化物に対するリチウム複合酸化物の重量比が0.1〜1.0wt%である請求項20記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載のリチウムマンガン酸化物の硫酸根含有量が0.05wt%以下である非水電解液二次電池の正極活物質。
  23. 請求項1〜22のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質を用いた非水電解液二次電池。
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