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JP3596966B2 - ポリエステルエラストマ組成物 - Google Patents
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JP3596966B2 - ポリエステルエラストマ組成物 - Google Patents

ポリエステルエラストマ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟性、押出機生産性、精密成形性、高温物性、表面外観に優れたポリエステルエラストマ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位またはポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体は成形加工性、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などの機械的性質、高温特性、接着性等多くの点が優れており、これら(成形加工性、機械的性質、耐熱性の)バランスが高いため、その用途は、シート、フィルム、繊維などの産業資材や自動車および電気・電子部品に拡大してきた。しかし、柔軟なものは急激にこのバランスを失うため用途が制限される場合がある。
【0003】
ポリエステルブロック共重合体は理論的にはソフトセグメントの重量比を増やしていくと柔軟化が可能だが、特徴である良成形加工性(固化速度、離型性)や耐熱性が急激に低下する。実質、表面ショアD硬度30°が限界であり、柔軟性はエンプラ系エラストマーおよび汎用エラストマー中、最も硬質のエラストマーとして位置づけられている。
【0004】
これを改良する試みとして特公昭52−31216号公報では、ポリエステルブロック共重合体にポリスチレンブロック共重合体を配合した組成物が提案され、特開平2−43251号公報では、ポリエステルブロック共重合体に可塑剤を配合することが提案され、特開平3−109458号公報では、ポリエステルブロック共重合体にオレフィン共重合体および可塑剤を配合することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリエステルブロック共重合体とポリスチレンブロック共重合体との組成物は後者の溶融粗大相分離が発生し、汎用の単軸、二軸押出機で生産するとバラス効果が大きかったり、吐出量不安定によって量産が困難で、さらに構造粘性によって流動性が低下するため成形加工性が不満足である。
【0006】
また、ポリエステルブロック共重合体に可塑剤を配合するのでは、PVCに可塑剤を配合したときの様な水素結合等による分子相互作用は少ないため、可塑剤配合量が特定量を越えると急激にブリードアウトしやすくなったり、高温耐熱性が低下する。また十分柔軟化するには可塑剤量を多くする必要があり、その結果、ブリードや耐熱性(高温物性)、成形性(固化速度)が急激に低下する。
【0007】
また、ポリエステルブロック共重合体、変性オレフィン共重合体および可塑剤からなる組成物では、(もともとオレフィン共重合体はポリエステルブロック共重合体と分子相溶性が低く、それを改善するためオレフィン共重合体の変性物を用いるが、)変性の程度を高める必要があり、その結果、成形性(流動性)が低下し、分散粒径が大きいため変性オレフィン共重合体配合量と柔軟化の相関係数が小さいため、十分柔軟化できない。そして、多量配合すると箔肉精密成形、ハイサイクル成形では層状剥離による物性低下や外観不良が起こり、不満足である。さらに、ポリエステルブロック共重合体と変性オレフィン共重合体との相溶化パラメータがかけ離れており、ポリエステルブロック共重合体/変性オレフィン共重合体/可塑剤3者の相乗効果が少ない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、柔軟領域で、成形加工性、機械的性質、耐久性のバランスが優れたポリエステルエラストマ組成物を得るため、ポリエステルブロック共重合体/可塑剤/他ポリマー組成物について種々検討した結果、この3成分系の「他ポリマー」が特定のポリスチレンブロック共重合体のとき目的が達成されることを見いだし、さらに、中程度の弾性率の領域においてもポリエステルブロック共重合体純品と本発明組成物が同じ弾性率のとき、前者より後者の方が優れた、成形加工性、機械的性質、耐熱老化性のバランスを持ち、さらに耐屈曲疲労性、耐候性、表面外観にも優れていることを見いだし本発明に到達した。
【0009】
即ち本発明は次の発明を提供するものである。
(1)主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(B)0.2〜250重量部、前記(A)と(B)の合計100重量部に対し、ベンゾエート系可塑剤(C)0.2〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
【0010】
(2)主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(B)’0.2〜250重量部、前記(A)と(B)’の合計100重量部に対し、ベンゾエート系可塑剤(C)0〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
【0011】
(3)主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(B) ’および変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(B)0.2〜250重量部、前記(A),(B), (C) ’の合計100重量部に対し、可塑剤(C)0〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’ −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’ −ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’ −ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。もちろんジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等も同等に用い得る。
ジオールとしては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4, 4’ −ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’ −ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールもエステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩等の形でも用い得る。
【0013】
これらのジカルボン酸およびその誘導体またはジオール成分を2種以上併用してもよい。
そして、最も好ましい高融点結晶性重合体セグメント(a)の例はテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートである。
【0014】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルであり、脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペートなどが好ましく、これらの中でも特にポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
【0015】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは、10〜90重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。特に10重量%以下では柔軟性やゴム弾性が不足し、90重量%以上では、結晶性が低く成形性が悪くなる。
【0016】
本発明で使用する前記変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(B)とは、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体を不飽和カルボン酸又はその無水物、あるいはエポキシ基含有モノマーにより変性したものである。その水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体とは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を水添したものであり、そのスチレン−ブタジエンブロック共重合体とは、スチレンブロックとブタジエンブロックからなるジブロック共重合体、トリブロック共重合体、ラジアルブロック共重合体などである。具体的には変性スチレン−水添ブタジエンジブロック共重合体や変性スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:変性SEBS)などが挙げられる。
【0017】
本発明で使用する水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(B) ’とは、スチレンブロックとイソプレンブロックからなるジブロック共重合体、トリブロック共重合体、ラジアルブロック共重合体などであるスチレン−イソプレンブロック共重合体を水添したものであり、具体的には、スチレン−水添イソプレンジブロック共重合体やスチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体:SEPS)が挙げられる。
【0018】
これら(B), (B) ’成分の配合量はポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して0.2〜250重量部であり、1〜100重量部が好ましい。
なお,成分(B)は変性されていることが必須であり、(B) ’成分は変性されていないことが必須である。また(B), (B) ’成分の水添率は80%以上が好ましい。
【0019】
本発明に用いる可塑剤(C)としては特に限定されないが、具体例としてはジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸エステル類、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(例えばエポキシ脂肪酸オクチルエステル)などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルなどのポリエーテル系可塑剤などを挙げることができる。これらの可塑剤は単独でまたは2種以上組み合せて用いることができる。
【0020】
そして好ましくは、ベンゾエート系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、ペンタエリスリット系、オキシ安息香酸エステル系、低分子量ポリブタジエン系、低分子量ポリイソプレン系の可塑剤である。
これらの可塑剤の沸点は200℃以上のものが好ましく、更に好ましくは300℃以上である。
【0021】
本発明において可塑剤(C)は成分(A)と(B)の合計または成分(A)と(B) ’の合計100重量部に対して0.2〜100重量部用いられる。しかし、成分(B)と(B) ’を併用する際には可塑剤(C)は0〜100重量部であり、必ずしも用いなくてもよい。
上記(B),(C)の化合物をポリエステルブロック共重合体(A)に配合する方法は特に限定されるものではなく、ポリエステルブロック共重合体に重合反応終了直後の溶融状態で混合する方法、生成したポリエステルブロック共重合体チップに配合し、加熱溶融混合する方法などが挙げられる。生成したポリエステルブロック共重合体に溶融混合する場合その温度は、該ポリエステルブロック共重合体の融点より5℃高い温度から280℃までが望ましい。またその場合混合時間は、15秒から120分で、混合する温度や混合に使用する方法によって異なる。
【0022】
また本発明組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、公知のヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、アミン系などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系などの耐候剤、エポキシ化合物やイソシアネート化合物などの増粘剤、含フッ素系ポリマ、シリコーンオイル、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステルワックス、などの成形離型剤、染料や顔料などの着色剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの紫外線遮断剤、ガラス繊維やカーボンファイバー、チタン酸カリファイバーなどの強化剤、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ガラスビーズなどの充填剤、タクルなどの核剤、難燃剤、発泡剤、接着剤、接着助剤、蛍光剤、架橋剤、界面活性剤などを任意に含有せしめることができる。
【0023】
これらの添加剤や充填剤は、あらかじめポリエステルブロック共重合体に配合しておいても良いし、本発明組成物と共にポリエステルブロック共重合体に配合しても良いし、あるいは本発明組成物形成後に添加してもよい。
本発明の組成物は各種成形品に好適であるが、射出成形品が特に好ましく、とりわけ1mm以下の薄肉部を有する射出成形品に好適であり、その用途としてスイッチ部品、キーパッドスイッチ部品、紙ローラー部品等が好ましい。
【0024】
【実施例】
以下に実施例によって本発明の効果を説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。
参考例
ポリエステルブロック共重合体(A−1)の重合
ジメチルテレフタレート155.2部、ジメチルイソフタレート38.8部、エチレンオキサイドで末端をキャッピングしたポリ(プロピレンオキサイド)グリコール(数平均分子量約2200,EO含量26.8%)290部およびテトラメチレングリコール82.2部をチタンテトラブトキシド0.10部およびトリメリット酸無水物2部と共にヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出した。反応混合物に“イルガノックス”1010(ヒンダードフェノール系耐熱剤CIBA−GEIGY社製)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。このポリマをA−1とする。
表1にA−1の組成と物性を示す。
【0025】
ポリエステルブロック共重合体(A−2),(A−3)の重合
ジメチルテレフタレート194部、数平均分子量1000のポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール265.4部およびテトラメチレングリコール69.6部をチタンテトラブトキシ0.10部と共にヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で2時間加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出した。反応混合物に“イルガノックス”1010(ヒンダードフェノール系耐熱剤CIBA−GEIGY社製)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。このポリマをA−2とする。同様に重合し、表1に示す組成のポリマA−3を得た。
表1にA−2、A−3の組成と物性を示す。
【0026】
ポリエステルブロック共重合体(A−4)の重合
テレフタル酸45.3部、数平均分子量1400のポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール20.0部および1,4−ブタンジオール49.0部をチタンテトラブトキシド0.01部と共にヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱してエステル化反応を行なった。ついで245℃に昇温し、50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間35分重合せしめた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。これを攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、180〜190℃で72時間加熱して固相重合を行った。このポリマをA−4とする。
表1にA−4の組成と物性を示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003596966
【0028】
【表2】
Figure 0003596966
【0029】
実施例、比較例中に示される物性は次のように測定した。
融点、結晶化温度:DSC法
硬度(ショアD、ショアAスケール):
ASTM K−7215に従って測定した。
溶融粘度指数(MFR値):
ASTM D−1238に従って、荷重2160g、(A−1),(A−2)は温度200℃、(A−3)は170℃、(A−4)は240℃で測定した。
引張物性:
JIS−2号射出試験片を用い、JIS K7113に準じ測定した。
押出機吐出安定性、溶融張力:
池貝社製45mmφ二軸押出機で生産試験を実施した。吐出量40kg/hを基準に配合ポリマ間の粘度がほぼ一致する温度を押出機シリンダー設定温度試験を実施し、吐出量の脈動変化の様子、ストランドガットの引き取り性から判定した。判定基準を表3に示す。
【0030】
高温弾性率:
高温保形性を調べるため80℃の動的弾性率を23℃の動的弾性率で除し100倍し、室温と80℃の弾性変化を100分率で示した。サンプルはプレス成形打抜き片を用い、動的弾性率はデュポン・インスツルメンツ社製 Dynamic Mecanical Analyzer を使用した。
耐屈曲疲労性試験:
JIS K3601−15に準じ、恒温槽付きデマチャ屈曲試験機(東洋精機製作所製)を用い、サンプル幅20mm、厚み2mmの短冊型試験片をプレス成形シートから打ち抜き、恒温槽温度100℃、屈曲回数300回/min 、サンプル取り付けチャック間距離は25mm、サンプルストローク距離は20mmとし、サンプルが破断するまでの回数を測定した。
流動性:
0.5mm厚、10mm幅の樹脂流路をもつスパイラルフロー金型にて射出圧350kg/cmで樹脂流動長を測定した。比較例8は165℃、実施例と比較例1〜5は温度180℃、比較例6と7は温度200℃で測定した。
成形離型性、固化性:
前記成形流動長試験、0.5mm厚薄肉部を持つキーパッド型においてスプールの折れ不良、成形品の金型粘着不良から判定した。判定基準を表3に示す。
成形品外観、層状剥離:
JIS−2号射出成形試験片の表面状態、パール状光沢の有無、層状剥離の有無から目視で5段階で測定した。判定基準を表3に示す。
ブリード性:
JIS−2号射出成形試験片を成形後、室温で2ヶ月以上放置し、表面状態を目視で判定した。判定基準を表3に示す。
【0031】
【表3】
Figure 0003596966
【0032】
実施例1〜4
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)に、(B), (B) ’の例として表2に示す(B−1), (B−2), (B−3),(B−4) と(C)の例として(C−1)を表4に示す割合で溶融混合した。まず、(A)と(B), (B) ’をドライブレンドし前記二軸押出機ホッパーから投入し、表4に示す割合で溶融混合するための(C)の配合は前記二軸押出機中間部シリンダー垂直孔からギヤポンプを使用して供給し、前記二軸押出機試験により溶融混練しペレット化した。これを用い前記評価を行なった。実施例1〜4の各評価結果を表4に示す。
実施例5〜7
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−2)に、(B) の例として表2に示す(B−1) 、(C)の例として(C−1)を表4に示す割合で溶融混合する。参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−2)に、(B) ’の例として(B−3) 、(C)の例として(C−1)を表4に示す割合で溶融混合する。参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−4)に、(B) ’の例として(B−3)、(C)の例として(C−2)を表4に示す割合で溶融混合する。溶融混練は実施例1と同様に実施しペレット化した。
これを用い前記評価を行なった。実施例5〜7の各評価結果を表5に示す。
【0033】
比較例1〜5
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)に表2に示す公知の配合用共重合体である(D−1), (D−2), (D−3), (D−4), (D−5) と表2に示す(C−1)または(C−2)を表4に示す割合で溶融混合する。溶融混練は実施例1と同様に実施した。その結果、比較例1〜3はストランドガットを引き取れず、溶融混合した組成物は得られなかった。これらはブラベンダーを用い、別途溶融混合し、混合樹脂塊を粉砕し、粒状物とした。
【0034】
これを用い前記評価を行なった。比較例1〜5の各評価結果を表4に示す。
比較例6〜9
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1),(A−2)あるいは(A−3)だけで、または(A−2)と(A−1)だけを、さらに(A−2)と(B−3)だけを表4に示す割合で実施例1と同様に溶融混合したものを用い用い前記評価を行なった。
比較例6〜9の各評価結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
Figure 0003596966
【0036】
【表5】
Figure 0003596966
【0037】
表4の結果から、得られた表面硬度がショアーA硬度79°〜83°の柔軟性を持つ各組成物のうち、本発明組成物である実施例1〜4のみが顕著な押出機安定生産性、高温物性、耐久性、良成形加工性、外観、可塑剤ブリード抑制等を全て満足することができ、特に、表5に示す比較例8の同柔軟性のポリエステルエラストマと比較して著しく高温物性、成形加工性が改良され、D−1〜D−5を配合する組成物に比較して押出機生産性、耐久性、外観が顕著に優れ、特定のスチレンブロック共重合体のみがポリエステルブロック共重合体と優れた相性を持つことが明白である。また表5の結果に示す様に、本発明の配合割合が変化した場合やポリエステルブロック共重合体のソフトセグメントが異なる場合にも同様の結果が得られることが明白である。
【0038】
【発明の効果】
本発明はポリエステルブロック共重合体と特定レベルの分子相溶性が確保できる特定スチレンブロック共重合体と可塑剤とを溶融混合する事で、高弾性率領域のポリエステルエラストマが持つ優れた物性、成形加工性を従来到達できなかった低弾性率領域において達成することができる。
【0039】
したがって、従来、ポリエステルエラストマの柔軟性はエンジニアリングプラスチック系および汎用系エラストマ中、最も硬質のエラストマとして位置づけられ、柔軟性が不十分であったが、高機械物性、耐久性、良成形加工性の全て満足する熱可塑性エラストマを得ることができる。

Claims (6)

  1. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(B)0.2〜250重量部、前記(A)と(B)の合計100重量部に対し、ベンゾエート系可塑剤(C)0.2〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
  2. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(B)’0.2〜250重量部、前記(A)と(B)’の合計100重量部に対し、ベンゾエート系可塑剤(C)0.2〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
  3. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(B)’ および変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(B)0.2〜250重量部、前記(A)、(B)、(B)’の合計100重量部に対し、可塑剤(C)0〜100重量部を溶融混合してなるポリエステルエラストマ組成物。
  4. 可塑剤(C)沸点が200℃以上である請求項1からのいずれかに記載のポリエステルエラストマ組成物。
  5. 可塑剤(C)がベンゾエート系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、ペンタエリスリット系、オキシ安息香酸エステル系、低分子量ポリブタジエン系、低分子量ポリイソプレン系から選ばれる1種以上である請求項3に記載のポリエステルエラストマ組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の、1mm以下の薄肉部を有する射出成形品用ポリエステルエラストマ組成物。
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