JP3597392B2 - 二次元画像検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線などの放射線、可視光、赤外光などの画像を検出できる二次元画像検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、放射線の二次元画像検出器として、X線を感知して電荷(電子−正孔)を発生する半導体センサーを二次元状に配置し、これらのセンサーにそれぞれ電気スイッチを設けて、各行毎に電気スイッチを順次オンにして各列毎にセンサーの電荷を読み出すものが知られている。このような二次元画像検出器は、例えば、文献「D.L.Lee,et al.,”A New Digital Detector for Projection Radiography”,SPIE,2432,pp.237−249,1995」、「L.S.Jeromin,et al.,”Application of a−Si Active−Matrix Technology in a X−Ray Detector Panel”,SID 97 DIGEST,pp.91−94,1997」、および特開平6−342098号公報などに具体的な構造や原理が記載されている。
【0003】
以下、前記従来の放射線二次元画像検出器の構成と原理について説明する。
【0004】
図7は、前記従来の放射線二次元画像検出器の構造を模式的に示した図である。また、図8は、1画素当たりの構成断面を模式的に示した図である。
【0005】
前記放射線二次元画像検出器は、図7および図8に示すように、ガラス基板51上にXYマトリクス状の電極配線(ゲート電極52とソース電極53)、薄膜トランジスタ(TFT)54、電荷蓄積容量(Cs)55などが形成されたアクティブマトリクス基板を備えている。また、このアクティブマトリクス基板上には、そのほぼ全面に、光導電膜56、誘電体層57および上部電極58が形成されている。
【0006】
前記電荷蓄積容量55は、Cs電極59と、前記薄膜トランジスタ54のドレイン電極に接続された画素電極60とが、絶縁層61を介して対向している構成である。
【0007】
前記光導電膜56は、X線などの放射線が照射されることで電荷(電子−正孔)が発生する半導体材料が用いられるが、前記文献によれば、暗抵抗が高く、X線照射に対して良好な光導電特性を示すアモルファスセレニウム(a−Se)が用いられている。この光導電膜(a−Se)56は、真空蒸着法によって300〜600μmの厚みで形成されている。
【0008】
また、前記アクティブマトリクス基板は、液晶表示装置を製造する過程で形成されるアクティブマトリクス基板を流用することが可能である。例えば、アクティブマトリクス型液晶表示装置(AMLCD)に用いられるアクティブマトリクス基板は、アモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(p−Si)によって形成された薄膜トランジスタ(TFT)や、XYマトリクス電極、電荷蓄積容量(Cs)を備えた構造になっている。したがって、若干の設計変更を行うだけで、放射線二次元検出器用のアクティブマトリクス基板として利用することが容易である。
【0009】
次に、前記構造の放射線二次元画像検出器の動作原理について説明する。
【0010】
前記a−Se膜などの光導電膜56に放射線が照射されると、光導電膜56内に電荷(電子−正孔)が発生する。図7および図8に示すように、光導電膜56と電荷蓄積容量(Cs)55は電気的に直列に接続された構造になっているので、上部電極58とCs電極59間との間に電圧を印加しておくと、光導電膜56で発生した電荷(電子−正孔)がそれぞれ+電極側と−電極側に移動し、その結果、電荷蓄積容量(Cs)55に電荷が蓄積される仕組みになっている。なお、光導電膜56と電荷蓄積容量(Cs)55との間には、薄い絶縁層からなるキャリア阻止層62が形成されており、これが一方側からの電荷の注入を阻止する阻止型フォトダイオードの役割を果たしている。
【0011】
前記の作用で、電荷蓄積容量(Cs)55に蓄積された電荷は、ゲート電極G1、G2、G3、…、Gnの入力信号によって薄膜トランジスタ(TFT)54をオープン状態にすることでソース電極S1、S2、S3、…、Snより外部に取り出すことが可能である。電極配線(ゲート電極52とソース電極53)、薄膜トランジスタ(TFT)54、および電荷蓄積容量(Cs)55などは、すべてXYマトリクス状に設けられているため、ゲート電極G1、G2、G3、…、Gnに入力する信号を線順次に走査することで、二次元的にX線の画像情報を得ることが可能となる。
【0012】
なお、前記二次元画像検出器は、使用する光導電膜56がX線などの放射線に対する光導電性だけでなく、可視光や赤外光に対しても光導電性を示す場合は、可視光や赤外光の二次元画像検出器としても作用する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の放射線二次元検出器では、光導電膜56としてa−Seを用いており、このa−Seは、アモルファス材料特有の光電流の分散型伝導特性を有していることから応答性が悪く、また、a−SeのX線に対する感度(S/N比)が十分でないため、長時間X線を照射して電荷蓄積容量(Cs)55を十分に充電してからでないと情報を読み出すことができないといった欠点を持ち合わせている。
【0014】
また、X線の照射時に漏れ電流が原因で電荷が電荷蓄積容量に蓄積することの防止、およびリーク電流(暗電流)の低減や高電圧保護の目的で、光導電膜(a−Se)56と上部電極58との間に誘電体層57が設けられているが、この誘電体層57に残留する電荷を1フレーム毎に除去するシーケンスを付加する必要があるため、前記放射線二次元検出器は静止画の撮影にしか利用することができないといった問題を生じていた。
【0015】
これに対し、動画に対応した画像データを得るためには、a−Seの代わりに、結晶(もしくは多結晶)材料で、かつX線に対する感度(S/N比)の優れた光導電膜56を利用する必要がある。光導電膜56の感度が向上すれば、短時間のX線照射でも電荷蓄積容量(Cs)55を十分に充電できるようになり、また、光導電膜56に高電圧を印加する必要がなくなるため、誘電体層57自身も不要となる。
【0016】
このような、X線に対する感度が優れた光導電材料としては、CaTeやCdZnTeなどが知られている。一般に、X線の光電吸収は吸収物質の実効原子番号の5乗に比例するため、例えば、Seの原子番号が34、CdTeの実効原子番号が50とすると、約6.9倍の感度の向上が期待できる。ところが、前記放射線二次元検出器の光導電膜として、a−Seの代わりにCaTeやCdZnTeを利用しようとすると、以下のような問題が生じる。
【0017】
従来のa−Seの場合、成膜方法としては真空蒸着法を用いることができ、この時の成膜温度は常温で可能なため、上述のアクティブマトリクス基板上への成膜が容易であった。これに対して、CdTeやCdZnTeの場合は、MBE法やMOCVD法による成膜法が知られており、特に大面積基板への成膜を考慮するとMOCVDが適した方法と考えられる。
【0018】
しかしながら、MOCVD法でCdTeやCdZnTeを成膜する場合、原料である有機カドミウム(DMCd)の熱分解温度が約300℃、有機テルル(DETeやDiPTe)の熱分解温度が各々約400℃、約350℃であるため、成膜には約400℃の高温が要求される。
【0019】
一般に、アクティブマトリクス基板に形成されている前述の薄膜トランジスタ(TFT)54は、半導体層としてa−Si膜やp−Si膜を用いているが、半導体特性を向上させるために300〜350℃程度の成膜温度で水素(H2)を付加しながら成膜されている。このようにして形成されるTFT素子の耐熱温度は約300℃であり、TFT素子をこれ以上の高温に曝すとa−Si膜やp−Si膜から水素が抜け出し半導体特性が劣化してしまう。
【0020】
したがって、上述のアクティブマトリクス基板上に、MOCVD法を用いてCdTeやCdZnTeを成膜することは、成膜温度の観点から事実上困難であった。
【0021】
本発明は、上述したような問題点に臨みてなされたものであって、その目的とするところは、アクティブマトリクス基板上に300℃以下の低温でCdTeやCdZnTeなどの半導体材料を形成することで、応答性がよく、動画像にも対応できる二次元画像検出器の上部電極に容易に電圧印加を行うことができるような構造を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の二次元画像検出器は、格子状に配列された電極配線と、各格子点毎に設けられた複数のスイッチング素子と、該スイッチング素子を介して前記電極配線に接続される画素電極を含む電荷蓄積容量とからなる画素配列層と、前記画素配列層のほぼ全面に対向して形成される第1の電極部と、前記画素配列層および第1の電極部の間に形成され、光導電性を有する半導体層とを備えてなる二次元画像検出器において、前記画素配列層を含むアクティブマトリクス基板と、前記第1の電極部および半導体層を含む対向基板とを備えており、前記アクティブマトリクス基板の画素配列層と、前記対向基板の半導体層とが対向するように両基板が配置されるとともに、該両基板は導電接着材料によって相互に接続されてなり、前記アクティブマトリクス基板上には、前記対向基板に含まれる第1の電極部に信号を入力するための第2の電極部が形成されるとともに、該第1の電極部および第2の電極部は電極転移手段によって電気的に接続されていることを特徴としており、そのことによって、上記目的は達成される。
【0023】
また、このときの前記電極転移手段は、複数箇所に設けられていることが望ましい。
【0024】
また、このときの前記対向基板に含まれる第1の電極部のうち、前記電極転移手段が設けられる領域は、前記半導体層から露出していることが望ましい。
【0025】
さらに、このときの前記電極転移手段は、前記両基板の貼り合わせ接続時に必要とされる処理温度によって硬化する導電材により形成されていることが望ましい。
【0026】
以下、本発明の二次元画像検出器による作用について説明する。
【0027】
本発明の二次元画像検出器によれば、アクティブマトリクス基板上に、対向基板上に形成される第1の電極部に信号を入力するための第2の電極部が形成されるとともに、該第1の電極部および第2の電極部が電極転移手段によって電気的に接続されている。つまり、前記第2の電極部に電気信号を入力することにより、前記電極転移手段を介して前記第1の電極部に電気信号を入力することが可能となっている。
【0028】
なお、通常の二次元画像検出器の場合、アクティブマトリクス基板の周辺部分にはバスライン用の信号入出力端子が形成されており、そこで外部の駆動用LSIやデータ読み出し用LSIなどを接続する必要性から、対向基板と比較してアクティブマトリクス基板の方が大きいというのが一般的である。従って、アクティブマトリクス基板上に形成された第2の電極部は、容易に外部の信号入力手段と接続することが可能な構成となっており、よって、電極転移手段を介して容易に第1の電極部に電気信号を入力することが可能となっている。
【0029】
また、このときの電極転移手段を複数箇所に設けた構成としていることにより、複数の電極転移手段の内の幾つかに接続不良が生じた場合であっても、残りの電極転移手段によって、第1の電極に電気信号を入力することが可能となっている。さらに、二次元画像検出器の面積が大型化した場合であっても、第1の電極への信号入力を周辺の複数の箇所から行っていることにより、第1の電極の電気抵抗の影響による信号遅延や電圧降下などの影響を最小限にすることが可能であり、第1の電極の内面での電圧印加条件を均一に保つことが可能となっている。
【0030】
また、このときの対向基板に含まれる第1の電極部のうちの電極転移手段が設けられる領域を半導体層から露出した構成としていることにより、第2の電極部から電極転移手段を介して容易に第1の電極部に電気信号を入力する電気的接続を行うことが可能となっている。
【0031】
さらに、このときの電極転移手段を両基板の貼り合わせ接続時に必要とされる処理温度によって硬化する導電材によって形成した構成としていることにより、電極転移手段として用いる導電材の硬化プロセスを新たに追加する必要がないため、従来の基板貼り合わせプロセスにより同時に電極転移手段を形成することが可能となっている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について 図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の全体構成の概略を示す断面図であり、図2は、その二次元画像検出器の1画素当たりの構成を示す断面図である。
【0034】
本実施の形態における二次元画像検出器は、図1に示すように、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)5と画素電極14とが形成されたアクティブマトリクス基板1と、接続電極6が形成された対向基板2とが、導電性および接着性を有する導電接続材料3により貼り合わされた構成となっている。
【0035】
このアクティブマトリクス基板1は、液晶表示装置を製造する過程で形成されるアクティブマトリクス基板と同じプロセスで形成することが可能である。具体的に説明すれば、図2に示すように、ガラス基板7上に、XYマトリクス状の電極配線(ゲート電極8とソース電極9)、薄膜トランジスタ(TFT)5、蓄積容量電極(Cs電極)4などにより画素配列層が構成されている。
【0036】
前記ガラス基板7には、無アルカリガラス基板(例えばコーニング社製#7059や#1737)を用い、その上にTaなどの金属膜からなるゲート電極8を形成する。このゲート電極8は、Taなどをスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングして得られる。この際、同時に蓄積容量電極(Cs電極)4も形成する。次に、SiNxやSiOxからなる絶縁膜11を、CVD法で約3500Å成膜して形成する。この絶縁膜11は、前記薄膜トランジスタ(TFT)5のゲート絶縁膜および電荷蓄積容量(Cs)4の電極間の誘電層として作用する。なお、絶縁膜11として、SiNxやSiOxだけでなく、ゲート電極8とCs電極4とを陽極酸化した陽極酸化膜を併用してもよい。
【0037】
次に、薄膜トランジスタ(TFT)5のチャネル部となるa−Si膜(i層)12と、ソース・ドレイン電極とのコンタクトを図るa−Si膜(n+層)13とを、CVD法で各々約1000Å、約400Å成膜した後、所望の形状にパターニングする。次に、TaやAlなどの金属膜からなるソース電極9とドレイン電極(画素電極14にも兼用)とを形成する。このソース電極9と画素電極14とは、前記金属膜をスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングすることで得られる。なお、このドレイン電極は、画素電極14と別々に形成してもよく、画素電極14としては、ITOなどの透明電極を使用することも可能である。
【0038】
その後、画素電極14の開口部以外の領域を絶縁保護する目的で、絶縁保護膜15を形成する。この絶縁保護膜15は、SiNxやSiOxからなる絶縁膜をCVD法で約6000Å成膜した後、所望の形状にパターニングすることで得られる。なお、この絶縁保護膜15には、無機の絶縁膜の他に、アクリルやポリイミドなどの有機膜を使用することも可能である。このようにして、アクティブマトリクス基板1が形成される。
【0039】
なお、ここでは、前記アクティブマトリクス基板1のTFT素子として、a−Siを用いた逆スタガ構造のTFT5を用いたが、これに限定されるものではなく、p−Siを用いても良いし、スタガ構造にしても良い。
【0040】
一方、対向基板2は、X線や可視光に対して透過性を有する基板を支持基板10としており、ガラス、セラミック、シリコン基板などを用いることができる。なお、ここでは、X線と可視光の両者に対して透過性の優れた、厚みが0.7〜1.1mmのガラス基板を用いている。このような基板であれば、10〜100keVのX線をほとんど透過する。
【0041】
まず、支持基板10の一方の面のほぼ全面に、Ti、Agなどの金属によって上部電極17を形成する。但し、この二次元画像検出器を可視光による像の検出に用いる場合には、前記上部電極17として可視光に対して透明なITO電極を用いる必要がある。
【0042】
次に、この上部電極17上に半導体膜16として、MOCVD法を用いてCdTeやCdZnTeの多結晶膜を約0.5mmの厚みで形成する。MOCVD法は、大面積基板への成膜に適しており、原料である有機カドミウム(ジメチルカドミウム[DMCd]など)、有機テルル(ジエチルテルル[DETe]やジイソプロピルテルル[DiPTe]など)、有機亜鉛(ジエチル亜鉛[DEZn]やジイソプロピル亜鉛[DiPZn]やジメチル亜鉛[DMZn]など)を用いて、400〜500℃の成膜温度で成膜が可能である。
【0043】
更にその上に、AlOxの薄い絶縁層からなるキャリア阻止層18を、ほぼ全面に形成した後、Cr、Au、ITOなどの導電膜を約2000Å成膜し所望の形状にパターニングすることで接続電極6を形成する。この接続電極6は、アクティブマトリクス基板1に形成された画素電極14と対応する位置に形成するとよい。
【0044】
次に、上述したようなプロセスによって形成された両基板(アクティブマトリクス基板1および対向基板2)のうちの少なくともどちらか一方の基板上に、導電性および接着性を有する導電接続材3をスクリーン印刷を用いたパターン塗布、もしくはフォトリソグラフィ技術を用いたパターニングによって、前記画素電極14に対応させてパターニングする。その後、両基板を画素電極14と接続電極6とが各々対向するように向かい合わせ、圧着することにより、該両基板が電気的および物理的に接続され、本実施の形態における二次元画像検出器が形成される。
【0045】
ここで、上述したスクリーン印刷によるパターン塗布が可能な導電接続材としては、スクリーン印刷用に粘度やチキソ性を最適化したカーボンが含有された導電接着剤を用いることが可能であり、また、フォトリソグラフィ技術によるパターニングが可能な導電接続材としては、カーボンが含有された感光性樹脂などを用いることが可能である。
【0046】
なお、上述したものの他に、パターニングしなくても上下方向にのみに限定した導通が可能な異方導電性接着剤(接着剤中に導電粒子を分散させたもの)を用いることも可能であり、このような異方導電性接着剤を用いれば、略全面に塗布または転写するだけで、パターニングを行うことなく隣接画素同士のクロストークを無くして画素毎の導通接続を行うことが可能である。
【0047】
ここで、図2および図3を用いて、上述した二次元画像検出器の動作原理について説明する。図3は、本実施の形態における二次元画像検出器の1画素当たりの等価回路を示す回路図である。
【0048】
CdTeやCdZnTeからなる半導体層(光導電膜)16にX線が入射すると、光導電効果によりこの半導体層16に電荷(電子−正孔)が発生する。この時、蓄積容量電極(Cs電極)4と半導体層16とは、画素電極14/導電接続材3/接続電極6を介して直列に接続された構造になっているので、上部電極17とCs電極4との間に電圧を印加しておくと、半導体層16内で発生した電荷(電子−正孔)がそれぞれ+電極側と−電極側に移動し、その結果、電荷蓄積容量(Cs電極)4に電荷が蓄積される仕組みになっている。
【0049】
なお、半導体層16と接続電極6との間には、薄い絶縁層からなるキャリア阻止層18が形成されており、これが一方側からの電荷の注入を阻止するMIS(Metal−Insulator−semiconductor)構造の阻止型フォトダイオードの役割を果たしており、X線が入射しない時の暗電流の低減に寄与している。すなわち、上部電極17側に正電圧を印加した場合、キャリア阻止層18は接続電極6から半導体層16への電子の注入を阻止する働きをする。なお、半導体層16と上部電極17との間にも絶縁層を設け、上部電極17から半導体層16への正孔の注入も阻止し、更なる暗電流低減を図る場合もある。
【0050】
この阻止型フォトダイオードの構造としては、前記MIS構造の他にも、PIN接合構造、ショットキー接合構造を用いることも、もちろん可能であり、阻止型フォトダイオードが逆バイアス状態になる極性で上部電極17に電圧を印加するとよい。
【0051】
前記の作用により、蓄積容量電極(Cs電極)4に蓄積された電荷は、ゲート電極8の入力信号によって薄膜トランジスタ(TFT)5をオープン状態にすることでソース電極9より外部に取り出すことが可能である。電極配線(ゲート電極8とソース電極9)、薄膜トランジスタ(TFT)5、蓄積容量電極(Cs電極)4などは、従来例の図7にも示すように、すべてXYマトリクス状に設けられているため、ゲート電極G1、G2、G3、…、Gnに入力する信号を線順次に走査することで、二次元的にX線の画像情報を得ることが可能となる。このように、基本的な動作原理は、従来例に示した画像検出器と同様である。
【0052】
本実施の形態に係る二次元画像検出器は、上述したような構造を採用することにより、CdTeやCdZnTeといった光導電膜を使用することが可能となっており、この結果リアルタイムでの動画撮影が可能となっている。
【0053】
ここで、通常、二次元画像検出器の上部電極17には、X線吸収により半導体層(光導電膜)16で発生した電子や正孔を移動させるために、所定の電圧を印加する必要がある。例えば、図7および図8に示すような従来構造の二次元画像検出器の場合には、アクティブマトリクス基板上に、半導体層と上部電極とがこの順に直接積層形成された構造を有しており、上部電極が最上面に位置していることから、この上部電極に対して外部から電圧を印加することは容易なことであった。しかしながら、上述したような本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の場合には、アクティブマトリクス基板とは別の支持基板上に、上部電極と半導体層とをこの順に積層した後、対向基板とアクティブマトリクス基板とを貼り合わせた構造を有しており、従って、最上面には上部電極が露出されていない構造となっている。
【0054】
ここで、このような上部電極に簡便に電気信号を入力することができるような本実施の形態における特徴構成について、以下に説明する。
【0055】
図4は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の全体構成の概略を示す平面図であり、また、図5は、図4の二次元画像検出器の領域Aの構成を示す拡大断面図および拡大平面図である。なお、ここでは図面の構成を明確にするため、キャリア阻止層やスイッチング素子、蓄積容量電極などの構成については省略する。
【0056】
本実施の形態における二次元画像検出器を構成するアクティブマトリクス基板1と対向基板2との大きさの関係は、図4に示すように、アクティブマトリクス基板1の方が対向基板2に比べて多少大きく構成されている。これは、アクティブマトリクス基板1上の周辺部には、格子状の電極配線(バスライン)用の信号入出力端子20が形成されており、この信号入出力端子20と外部の駆動用LSIやデータ読み出し用LSIなどとを接続する必要があるからである。
【0057】
ここで、図4および図5に示すように、本実施の形態に係る二次元画像検出器には、格子状の電極配線(バスライン)用の信号入出力端子20群の間に、第2の電極(入力端子)21が形成されている。なお、上述した信号入出力端子20は、外部LSIとの接続の際にその接続を容易にするため、接続するLSI単位の群になるように配置されており、この信号入出力端子20群同士の間にスペースが生じるため、このスペースを利用して上述した第2の電極21は配置されている。
【0058】
この第2の電極21は、対向基板2側に形成されている上部電極(以下、本構成を分かり易く説明するために、第1の電極という。)17への信号の入力を行うために形成されているものであり、これら第1の電極17および第2の電極21の交差部領域Aには、電極転移手段(導電材)22が形成されている。このような第2の電極21は、Ta、Mo、ITOなどの導電膜により形成されてなり、より好ましくは、アクティブマトリクス基板1上に形成されるバスライン8、9や画素電極14を形成する過程で同時に形成するとよい。
【0059】
このような構成によれば、アクティブマトリクス基板1上に形成された第2の電極21に電気信号を入力することで、上述した電極転移手段(導電材)22を経て、第1の電極17に電気信号を入力することが可能になる。従って、アクティブマトリクス基板1側に形成された第2の電極21は、容易に外部の信号入力手段と接続することが可能になる。具体的には、ハンダ接続、ワイヤーボンディング、導電性接着剤、異方導電接着剤などにより、外部の信号ラインと接続することが可能である。
【0060】
また、上述した電極転移手段(導電材)22は、第1の電極17と第2の電極21とを電気的に接続する手段であり、具体的には、カーボンやAgなどの導電物質が含有された接着ペーストからなる導電材22を、第1の電極17および第2の電極21の交差部領域Aに配置することにより形成される。この接着ペーストは、ディスペンサー装置を用いて貼り合わせ接続前のアクティブマトリクス基板1上の第2の電極21上に適量をドット配置するとよい。本実施の形態においては、両基板貼り合わせ処理後に、約φ1mmのパターンになるように導電材22(導電性接着ペースト)の使用量を調整した。
【0061】
なお、このような導電材22の形成方法については、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、アクティブマトリクス基板1と対向基板2との貼り合わせ処理を施した後に、対向基板2のエッジ部に少量の導電材22を滴下するという方法も可能である。このような形成方法は、図6に示すように、対向基板2のエッジ部における第2の電極21と第1の電極17とが交差する部分に、粘性を調整した適量の導電材22を配置することで、その導電材22を対向基板2のエッジ部から1〜2mmの範囲に自然に浸透させることが可能である。よって、このような導電材22の形成方法であっても、図6に示すように、第1の電極17と第2の電極21との電気的接続を図ることが可能である。
【0062】
さらに、ここで用いる導電材22としては、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを貼り合わせる際に必要とされるプロセス条件で、十分に硬化し得る材料を用いることが望ましい。このような材料を用いることにより、導電材22の効果プロセスを新たに追加する必要がなく、従来の基板貼り合わせプロセスにより、同時に導電材22を形成処理することが可能である。具体的には、本実施の形態では、約120℃以上の加熱処理で硬化が促進するエポキシ系のカーボン含有接着ペーストを用いた。なお、導電材22はこのような材料以外のものを用いることも可能であり、例えば、Au、Ni、Agなどの導電粒子が含有された導電接着ペーストを用いてもよく、また、Inのような軟質の金属の小さな固まりを第2の電極21上に直接圧着したものを用いてもよい。
【0063】
一方、アクティブマトリクス基板1と対向基板2との圧着に必要とされる加熱条件は、使用する導電接続材3によっても異なるが、エポキシ系の導電性接着剤3を用いる場合には、約150℃程度の加熱が必要とされる。このため、両基板の貼り合わせ時の焼成条件(150℃)で、上述した電極転移手段に用いる導電材22の硬化を同時に行うことが可能となっている。
【0064】
また、対向基板2上に形成される第1の電極(上部電極)17は、撮像画素エリアでは半導体層16により覆われた構造になっているが、図5および図6にも示すように、本実施の形態に係る二次元画像検出器では、電極転移手段22が形成される領域では第1の電極(上部電極)17が露出した構造になっている。このため、電極転移手段22に用いる導電材を容易に第1の電極(上部電極)17に接続させることが可能となっている。
【0065】
このように、電極転移手段22が形成される領域において第1の電極(上部電極)17を半導体層16から露出させる方法としては、第1の電極(上部電極)17上の全面に半導体層16を形成した後、電極転移手段22が形成される領域のみサンドブラスト法やエッチング法によって半導体層16を除去する方法や、第1の電極(上部電極)17上の電極転移手段22が形成される領域に予めマスクを施しておき、その後第1の電極(上部電極)17上のマスク以外の領域に半導体層6を選択的に形成する方法などが考えられる。本実施の形態では、後者の方法を利用した。具体的には、第1の電極(上部電極)17上の電極転移手段22が形成される領域に予めステンレス製のメタルマスクを施しておき、その状態で第1の電極(上部電極)17上に半導体層16を形成した後、メタルマスクを取り除くことによって半導体層16のパターン形成を行った。
【0066】
なお、上述した電極転移手段22は、一つの二次元画像検出器において複数箇所に形成しておくことが望ましい。本実施の形態では、図1の平面図における左右の辺に各々3箇所の合計6箇所に電極転移手段22を形成した。上述したような電極転移手段22は、1箇所だけ形成した構造であっても構わないが、本実施の形態のように、複数箇所に電極転移手段22を形成することにより、複数の電極転移手段22の内の幾つかに接続不良が生じた場合であっても、残りの電極転移手段22によって、第1の電極(上部電極)17に電気信号を入力することが可能となる。また、さらに二次元画像検出器の面積が45×35cm2程度に大型化した場合であっても、第1の電極(上部電極)17への信号入力を周辺の複数の箇所から行っていることにより、第1の電極(上部電極)17の電気抵抗の影響による信号遅延や電圧降下などの影響を最小限にすることが可能であり、第1の電極(上部電極)17の内面での電圧印加条件を均一に保つことが可能となっている。このような点を考慮し、図示していないが、二次元画像検出器の上下左右の4辺にわたって複数の電極転移手段22を形成するようにしてもよい。
【0067】
なお、上述したような本発明の実施の形態では、主にX線(放射線)に対する二次元画像検出器の場合について説明してきたが、使用する半導体(光導電体)がX線などの放射線に対する光導電性だけでなく、可視光や赤外光に対しても光導電性を示す場合は、可視光や赤外光の二次元画像検出器として使用することも可能である。ただし、この場合は、半導体(光導電体)からみて光入射側に配置される上部電極17の材料としては、ITOなどの可視光や赤外光を透過する透明電極を材料として用いる必要がある。また、半導体(光導電体)の厚みも、可視光、赤外光の吸収効率に応じて最適化する必要がある。
【0068】
また、本発明は上述したような半導体層やセンサー構造に限定されるものではなく、他の光導電材料やセンサー構造を用いた二次元画像検出器にも適用することが可能である。例えば、a−Seやa−Siなど他の半導体材料を光導電膜として使用することも可能であり、さらに対向基板側の構造を、X線を可視光に変換する変換層(例えば、Csl)と可視光センサーとを組み合わせた構造とすることも可能である。
【0069】
【発明の効果】
上述したような本発明の二次元画像検出器によれば、アクティブマトリクス基板上に、対向基板上に形成される第1の電極部に信号を入力するための第2の電極部が形成されるとともに、該第1の電極部および第2の電極部が電極転移手段によって電気的に接続されている。つまり、前記第2の電極部に電気信号を入力することにより、前記電極転移手段を介して前記第1の電極部に電気信号を入力することが可能となっている。
【0070】
なお、通常の二次元画像検出器の場合、アクティブマトリクス基板の周辺部分にはバスライン用の信号入出力端子が形成されており、そこで外部の駆動用LSIやデータ読み出し用LSIなどを接続する必要性から、対向基板と比較してアクティブマトリクス基板の方が大きいというのが一般的である。従って、アクティブマトリクス基板上に形成された第2の電極部は、容易に外部の信号入力手段と接続することが可能な構成となっており、よって、電極転移手段を介して容易に第1の電極部に電気信号を入力することが可能となっている。
【0071】
また、このときの電極転移手段を複数箇所に設けた構成としていることにより、複数の電極転移手段の内の幾つかに接続不良が生じた場合であっても、残りの電極転移手段によって、第1の電極に電気信号を入力することが可能となっている。さらに、二次元画像検出器の面積が大型化した場合であっても、第1の電極への信号入力を周辺の複数の箇所から行っていることにより、第1の電極の電気抵抗の影響による信号遅延や電圧降下などの影響を最小限にすることが可能であり、第1の電極の内面での電圧印加条件を均一に保つことが可能となっている。
【0072】
また、このときの対向基板に含まれる第1の電極部のうちの電極転移手段が設けられる領域を半導体層から露出した構成としていることにより、第2の電極部から電極転移手段を介して容易に第1の電極部に電気信号を入力する電気的接続を行うことが可能となっている。
【0073】
さらに、このときの電極転移手段を両基板の貼り合わせ接続時に必要とされる処理温度によって硬化する導電材によって形成した構成としていることにより、電極転移手段として用いる導電材の硬化プロセスを新たに追加する必要がないため、従来の基板貼り合わせプロセスにより同時に電極転移手段を形成することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の全体構成の概略を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の1画素当たりの構成の概略を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の1画素当たりの等価回路を示す図面である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器におけるアクティブマトリクス基板と対向基板との貼り合わせを示したプロセス図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の全体構成の概略を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る二次元画像検出器の1画素当たりの構成の概略を示す断面図である。
【図7】図7は、従来の二次元画像検出器の構造の模式的に示した図面である。
【図8】図8は、従来の二次元画像検出器の1画素当たりの構成の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アクティブマトリクス基板
2 対向基板
3 導電接続材
4 蓄積容量電極
5 薄膜トランジスタ(TFT)
6 接続電極
7 ガラス基板
8 ゲート電極
9 ソース電極
10 支持基板(ガラス基板)
11 絶縁膜
12 a−Si膜(i層)
13 a−Si膜(n+層)
14 画素電極
15 絶縁保護膜
16 半導体層(光導電膜)
17 上部電極
18 キャリア阻止層
51 ガラス基板
52 ゲート電極
53 ソース電極
54 薄膜トランジスタ(TFT)
55 蓄積容量電極
56 光導電膜(Se)
57 誘電体層
58 上部電極
59 Cs電極
60 画素電極
61 絶縁膜
62 キャリア阻止層
Claims (4)
- 格子状に配列された電極配線と、各格子点毎に設けられた複数のスイッチング素子と、該スイッチング素子を介して前記電極配線に接続される画素電極を含む電荷蓄積容量とからなる画素配列層と、
前記画素配列層のほぼ全面に対向して形成される第1の電極部と、
前記画素配列層および第1の電極部の間に形成され、光導電性を有する半導体層とを備えてなる二次元画像検出器において、
前記画素配列層を含むアクティブマトリクス基板と、
前記第1の電極部および半導体層を含む対向基板とを備えており、
前記アクティブマトリクス基板の画素配列層と、前記対向基板の半導体層とが対向するように両基板が配置されるとともに、該両基板は、導電接着材料により上記画素電極と半導体層とが電気的に接続されることによって、相互に電気的に接続されてなり、
前記アクティブマトリクス基板上には、前記対向基板に含まれる第1の電極部に信号を入力するための第2の電極部が形成されるとともに、該第1の電極部および第2の電極部は電極転移手段によって電気的に接続されており、かつ、該電極転移手段は、複数箇所に設けられていることを特徴とする二次元画像検出器。 - 前記対向基板に含まれる第1の電極部のうち、前記電極転移手段が設けられる領域は、前記半導体層から露出していることを特徴とする請求項1に記載の二次元画像検出器。
- 前記電極転移手段は、前記両基板の貼り合わせ接続時に必要とされる処理温度によって硬化する導電材により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二次元画像検出器。
- 格子状に配列された電極配線と、各格子点毎に設けられた複数のスイッチング素子と、該スイッチング素子を介して前記電極配線に接続される画素電極を含む電荷蓄積容量とからなる画素配列層と、
前記画素配列層のほぼ全面に対向して形成される第1の電極部と、
前記画素配列層および第1の電極部の間に形成され、光導電性を有する半導体層とを備えてなる二次元画像検出器において、
前記画素配列層を含むアクティブマトリクス基板と、
前記第1の電極部および半導体層を含む対向基板とを備えており、
前記アクティブマトリクス基板の画素配列層と、前記対向基板の半導体層とが対向するように両基板が配置されるとともに、該両基板は、導電接着材料により上記画素電極と半導体層とが電気的に接続されることによって、相互に電気的に接続されてなり、
前記アクティブマトリクス基板上には、前記対向基板に含まれる第1の電極部に信号を入力するための第2の電極部が形成されるとともに、該第1の電極部および第2の電極部は電極転移手段によって電気的に接続されており、
前記電極転移手段は、前記両基板の貼り合わせ接続時に必要とされる処理温度によって硬化する導電材により形成されていることを特徴とする二次元画像検出器。
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