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JP3597538B2 - 高感度写真乳剤 - Google Patents
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JP3597538B2 - 高感度写真乳剤 - Google Patents

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本発明は、写真乳剤及びそれらの製造方法に関する。
米国特許第4,439,520号(Kofron等)は、平板状粒子乳剤により、写真感度及び感度−粒状度関係の向上を含む種々の写真上の利点が得られることを最初に示した。
米国特許第4,433,048号(Solberg等)は、平板状粒子の周囲のエッジに隣接してヨウ化物濃度が高い平板状粒子乳剤は、同じ総ヨウ化物濃度を有するが均一に分布している匹敵する平板状粒子乳剤よりも写真感度が高いことを最初に示した。続いて、以下に示すように、他の者が、最高ヨウ化物レベルが表面位置で生じる非均一ヨウ化物分布を有する平板状粒子乳剤を調査した:米国特許第4,883,748号(早川)、米国特許第5,061,609号及び第5,061,616号(Piggin等)、米国特許第5,132,203号(Bell等)、米国特許第5,206,133号(Bando)並びに米国特許第5,314,798号(Brust等)。
米国特許第4,210,450号(Corben)は、交互に塩ヨウ臭化銀をアンモニアで析出させるのとヨウ化アンモニウムを導入するのを行った後、これを反復することによりシェルド転化ハロゲン化物乳剤が調製されることを開示している。得られた乳剤は、カラー拡散転写に有用であると述べられているが、性能上の利点については、述べられていないし、明らかにされてもいない。
米国特許第4,937,180号(Marchetti等)は、臭化物及び任意にヨウ化物を含有するハロゲン化銀粒子が、レニウム、ルテニウム又はオスミウムと少なくとも4つのシアン化物リガンドとの六配位錯体の存在下で形成された乳剤を開示している。
米国特許第5,268,264号(Marchetti等)は、臭化物と任意にヨウ化物を含有する{111}結晶面を有するハロゲン化銀粒子が、鉄と少なくとも3つのシアン化物リガンドの六配位錯体の存在下で形成された埋め込みシェルを含有している乳剤を開示している。
米国特許第5,132,203号(Bell等)は、平板状ハロゲン化銀粒子が、ヨウ化物を少なくとも4モル%含有するホスト層と、ヨウ化物を2モル%未満含有する複数の薄層とから形成されている乳剤を開示している。複数の薄層の各々は、主面の一つを形成している表層と、第VIII族第4又は5周期金属と少なくとも3つのシアン化物リガンドとの六配位錯体を含有する表層のすぐ下の内層面とを含んでなる。
Research Disclosure、第367巻、1994年11月、アイテム36736は、浅い電子トラップ(SET)部位を形成するドーパントを開示している。Research Disclosureは、イギリス国、ハンプシャーP010 7DQエムスワース12ノースストリート ダッドリーハウスにあるKenneth Mason Publications社により発行されている。
本発明の一態様によれば、分散媒とハロゲン化銀平板状粒子とを含んでなり、前記ハロゲン化銀粒子が岩塩型構造の面心立方結晶格子を有し且つ前記平板状粒子のエッジとコーナーを形成している表面に隣接してヨウ化物を含有する、写真感度の高い乳剤であって、前記平板状粒子が、それらのエッジに沿って最大表面ヨウ化物濃度を有し、コーナー内の表面ヨウ化物濃度がエッジに沿った他の場所よりも低く、銀基準で500mppm以下の総濃度で存在し且つ表面濃度が最後に析出した5%の銀基準で100mppm未満に限定された、浅い電子トラップ部位を提供することができるドーパントを含有することを特徴とする乳剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は、各々平板状粒子の、エッジ−エッジ間(以下の線E−E参照)又はコーナー−コーナー間(以下の線C−C参照)についての、ヨウ化物濃度分布を示しており、
第1図は、本発明の要件を満たす平板状粒子乳剤から得たヨウ化物分布であり、
第2図は、通常の平板状粒子から得たヨウ化物分布である。
Figure 0003597538
全く予想外なことに、ハロゲン化銀平板状粒子乳剤における表面(特にエッジ及びコーナー)ヨウ化物の配置を、従来認識もされず、試みもされなかった方法で制御することにより、粒状度の劣化を生じることなく写真感度のレベルを高めることができることを見出した。具体的には、平板状粒子は、最大表面ヨウ化物濃度をエッジに沿って有し、コーナー内の表面ヨウ化物濃度がエッジに沿った他の場所よりも低い。「表面ヨウ化物濃度」とは、平板状粒子表面から0.02μm以内にあるヨウ化物濃度を意味する。
本発明の要件を満足する乳剤を調製する開始の時点では、平板状粒子が、(1)岩塩型構造の面心立方結晶格子を示し、(2)表面ヨウ化物濃度が2モル%未満であるいずれかの通常の平板状粒子乳剤であることができる。
臭化銀と塩化銀の両方は、岩塩型構造の面心立方結晶格子を示す(スペースグループの名称(Fm3m)によっても確認できる)。したがって、出発平板状粒子は、臭化銀、塩化銀、塩臭化銀及び臭塩化銀から選択できる。ヨウ化銀は、岩塩型構造の面心立方結晶格子を形成しない(写真に関係のない条件下を除いて)が、少量のヨウ化物は、塩化及び/又は臭化銀により形成される面心立方結晶格子岩塩型構造では許容できる。即ち、表面ヨウ化物濃度が上記基準(2)を満足するよう限定される限りは、出発平板状粒子には、さらに、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ臭塩化銀、塩ヨウ臭化銀及び臭ヨウ塩化銀組成物などがある。
二種以上のハロゲン化物を含有するハロゲン化銀粒子又は乳剤では、ハロゲン化物は、濃度が上昇する順番で示される。
出発乳剤として使用するのに適当な、即ち、基準(1)及び(2)を満足する通常の平板状粒子乳剤は、{111}又は{100}主面を有するものから選択できる。{111}主面平板状粒子を含有する適当な平板状粒子乳剤は、米国特許第4,399,215号(Wey)、米国特許第4,400,463号、第4,684,607号、第4,713,320号、第4,713,323号、第5,061,617号、第5,178,997号、第5,178,998号、第5,183,732号、第5,185,239号、第5,217,875号及び第5,221,602号(Maskasky)、米国特許第4,414,306号(Wey等)、米国特許第4,414,310号、第4,672,027号、第4,693,964号及び第4,914,014号(Daubendiek等)、米国特許第4,425,426号(Abbott等)、米国特許第4,434,226号(Wilgus等)、米国特許第4,439,520号(Kofron等)、米国特許第4,665,012号(Sugimoto等)、米国特許第4,686,176号(Yagi等)、米国特許第4,748,106号(林)、米国特許第4,775,617号(Goda)、米国特許第4,783,398号(Takeda等)、米国特許第4,797,354号及び第4,977,074号(斉藤等)、米国特許第4,801,523号(Tufano)、米国特許第4,804,621号(Tufano等)、米国特許第4,806,461号及びEPO0485946(池田等)、米国特許第4,853,322号(牧野等)、米国特許第4,952,491号(西川等)、米国特許第5,035,992号(Houle等)、米国特許第5,068,173号(竹原等)、米国特許第5,096,806号(中村等)、米国特許第5,147,771号、第5,147,772号、第5,147,773号、第5,171,659号、第5,210,013号及び第5,252,453号(Tsaur等)、米国特許第5,176,991号(Jones等)、米国特許第5,176,992号(Maskasky等)、米国特許第5,219,720号(Black等)、米国特許第5,238,796号(丸山等)、米国特許第5,250,403号(Antoniades等)、EPO 0362699(Zola等)、EPO0460656(浦部)、EPO0481133、EPO0503700及びEPO0532801(Verbeek)、EPO0515894(Jagannathan等)並びにEPO0547912(関谷等)に説明されている。出発乳剤として有用な{100}主面平板状粒子を含有する乳剤は、米国特許第4,063,951号(Bogg)、米国特許第4,386,156号(Mignot)、米国特許第5,264,337号及び第5,275,930号(Maskasky)、米国特許第5,314,798号(Brust等)、米国特許第5,320,938号(House等)、EPO0569971(斉藤等)並びに特願平4−77261に説明されている。
最も単純な形態では、出発平板状粒子は、全体を通じてヨウ化物を2モル%未満含有している。しかしながら、平板状粒子の内部にヨウ化物がより高いレベルで存在しても、出発平板状粒子を基準(2)に一致させるより低いヨウ化物レベルのシェルが存在するならば、本発明の実施に使用できる。
出発平板状粒子乳剤の表面ヨウ化物を変性して感度を高めることは、いずれかの都合の良い通常の乳剤析出条件で開始する。例えば、ヨウ化物の導入は、出発平板状粒子乳剤の析出の完了直後に開始できる。出発平板状粒子乳剤を予め調製し、あとで反応容器に導入するときには、反応容器内の状態を、上記した出発平板状粒子乳剤の引用特許において教示されている通常の平板状粒子乳剤調製パラメータ内で、出発平板状粒子乳剤析出の終わりに存在するものに調整する。平板状粒子が{111}主面を有する出発平板状粒子乳剤の場合、上記したKofron等の教示が一般的に適用でき且つ好ましい。
ヨウ化物は、溶質として、出発平板状粒子乳剤を含有する反応容器に導入される。ヨウ化物溶質を供給するために、いずれの水溶性ヨウ化物塩を用いてもよい。例えば、ヨウ化物を、アンモニウム、アルカリ又はアルカリ土類ヨウ化物の水溶液の形態で導入できる。
ヨウ化物溶質をヨウ化物塩の形態で提供する代わりに、有機ヨウ化物化合物の形態で提供できる。この種の化合物は、下式で表すことができる:
(I)
R−I
(式中、Rは炭素をヨウ化物結合に付与する一価の有機成分を表す)。少なくとも多少は水溶性を示す化合物が選択される。したがって、炭素原子数は、好ましくは10以下に限定され、炭素数3以上である場合には、好ましくは水溶性を促進する極性置換基を含有する。広範なこのような化合物は、EPO0561415(Kikuchi等)に記載されている。しかしながら、Kikuchi等はR−I化合物を特別に基準された他の添加物と反応させてヨウ化物の極めて急速な放出を出現しているが、本発明の実施においては、ヨウ化物がゆっくりと放出されることを意図している。これは、R−1化合物と乳剤に含有されるゼラチン又はゼラチン誘導体とをゆっくりと反応させることにより達成できる。偶発的に、放出される有機成分は、ゼラチンと反応する。したがって、ヨウ化物は、あとで乳剤から除去しなければならない副生成物を生成することなく放出される。R−I化合物とゼラチン及びゼラチン誘導体との反応は、米国特許第4,942,120号(King等)に開示されているが、King等は、ゼラチンの変性のみに関し、ヨウ化物の放出には関していない。
ハロゲン化銀析出中にヨウ化物を導入するための当該技術分野における一般的な別法は、ヨウ化物イオンをヨウ化銀リップマン乳剤の形態で導入することである。銀塩形態でのヨウ化物の導入では、本発明の要件は満足されない。
本発明の平板状粒子乳剤の調製では、銀を同時に導入することなく、ヨウ化物イオンを導入する。これにより、乳剤内に、ヨウ化物イオンを平板状粒子の面心立方結晶格子中に取り込ませる条件ができる。平板状粒子結晶格子構造にヨウ化物を導入するための駆動力は、以下の平衡関係を考えることにより理解できる:
Figure 0003597538
(式中、Xはハロゲン化物を表す)。関係式(II)から、平衡では、銀とハロゲン化物イオンのほとんどは不溶形態にあり、可溶性銀イオン(Ag+)とハロゲン化物イオン(X-)の濃度は限定される。しかしながら、平衡は動的平衡にある、即ち、特定のヨウ化物が関係式(II)における右側又は左側の位置に固定されないことを認識することが重要である。むしろ、ヨウ化物イオンが左側の位置と右側の位置との間で絶え間無く入れ替わる。
いずれかの一定温度で、Ag+とX-の活量積は、平衡状態で一定であり、関係式を満足する:
(III)
Ksp=〔Ag+〕〔X-
(式中、Kspはハロゲン化銀の溶解度積定数である)。小部分での影響を回避するために、以下の関係式も広く用いられる:
(IV)
−log Ksp=pAg+pX
(式中、pAgは平衡銀イオン活量の負の対数を表し、
pXは平衡ハロゲン化物イオン活量の負の対数を表す)。
関係式(IV)から、一定のハロゲン化物に関して、−log Kspの値が大きいほどその溶解度が低いことが明らかである。写真ハロゲン化物(Cl、Br及びI)の相対溶解度は、表Iを参照することにより理解できる:
Figure 0003597538
表Iから、40℃で、AgClの溶解度はヨウ化銀の溶解度よりも百万倍大きく、一方、表Iに示されている温度範囲では、AgBrの溶解度は、AgIの溶解度の約1000倍〜10000倍の範囲である。したがって、ヨウ化イオンを、銀イオンを同時に導入することなく出発平板状粒子乳剤に導入すると、強い平衡力が働いて、ヨウ化物イオンを結晶格子構造中に取り込ませて既に存在しているより可溶性のハロゲン化物イオンに置き代わる。
もし出発平板状粒子の結晶格子構造におけるより可溶性のハロゲン化物イオンの全てがヨウ化物により置換されると、本発明の利点は実現しない。もしこれが生じると、ヨウ化物は限定された程度にしか格子構造に収容されないので、面心立方結晶格子岩塩構造が破壊され、結局は粒子の平板形状が破壊されるであろう。したがって、導入されるヨウ化物イオンを出発平板状粒子乳剤を形成している総銀の10モル%以下、好ましくは5モル%以下に限定することがとりわけ意図される。意図される最小ヨウ化物導入量は、出発銀基準で少なくとも0.5モル%、好ましくは少なくとも1.0モル%である。
ヨウ化物イオンを、通常のダブルジェット流入塩添加に用いられる速度に匹敵する速度で出発平板状粒子乳剤に注ぐと、ハロゲン化物置換により平板状粒子に入るヨウ化物イオンは、均一又はランダムに分布しない。明らかに、平板状粒子の表面は、ハロゲン化物置換されやすい。さらに、平板状粒子の表面では、ヨウ化物によるハロゲン化物置換が優先的に生じる。出発平板状粒子における表面ハロゲン化物組成が均一であるとすると、平板状粒子のコーナーでの結晶格子構造が最もハロゲン化物イオンの置換を受けやすく、それから平板状粒子のエッジが置換される。平板状粒子の主面は、ハロゲン化物イオン置換を最も受けにくい。ハロゲン化物イオン導入工程(ヨウ化物放出剤の必要な導入を含む)の終わりに、平板状粒子における最高ヨウ化物濃度が平板状粒子のコーナーを形成している結晶格子構造の部分に生じると考えられる。
製造方法の次の工程は、平板状粒子のコーナーからヨウ化物イオンを選択的に除去することである。これは、溶質として銀を導入することにより達成される。即ち、銀を、ヨウ化物導入に関して上記したのと類似の可溶な形態で導入する。好ましい態様では、銀溶質を、通常のシングルジェット又はダブルジェット析出と同様な水溶液の形態で導入する。例えば、銀を、好ましくは硝酸銀水溶液として導入する。銀の導入中にはさらなるヨウ化物イオンの導入は行わない。
銀の導入量は、ヨウ化物導入工程中に出発平板状粒子乳剤に導入されるヨウ化物よりも多い。銀の導入量は、モル基準で、ヨウ化物導入工程で導入されるヨウ化物の2〜20倍が好ましい(最も好ましくは、2〜10倍)。
銀イオンを高コーナーヨウ化物平板状粒子乳剤に導入するとき、ハロゲン化物イオンは、銀イオンと反応するのに利用できる分散媒に存在する。ハロゲン化物イオンの一つの源は、関係式(II)に由来する。しかしながら、ハロゲン化物イオンの主要な源は、写真乳剤が、化学量論的過剰量のハロゲン化物イオンの存在下で調製及び維持して不注意でAg+がAg゜に還元するのを回避することにより、写真処理に続いて観察される最小光学濃度が上昇するのを回避することによるものである。
導入した銀イオンが析出するときに、銀イオンが分散媒からヨウ化物イオンを除去する。溶液においてヨウ化物イオンとの平衡関係を回復するために、粒子のコーナーでのヨウ化銀(上記関係式II参照)がヨウ化物イオンを粒子のコーナーから溶液中に搬送し、そこで、さらに添加された銀イオンと反応する。次に、銀及びヨウ化物イオンだけでなく、ハロゲン化物イオンを化学量論的過剰にするために存在していた塩化物及び/又は臭化物イオンが、再堆積する。
平板状粒子のエッジに直接堆積させ、それにより銀イオンが還元されるのを避けるだけでなく、平板状粒子が厚くなるのを避けるために、ハロゲン化物イオンを化学量論的過剰に維持し、且つ分散媒中のハロゲン化物イオン濃度を平板状粒子の成長に好ましいとして知られている範囲に維持する。例えば、高(>50モル%)臭化物乳剤の場合には、分散媒のpBrを、少なくとも1.0のレベルに維持する。高(>50モル%)塩化物乳剤の場合には、分散媒中の塩化物イオンのモル濃度は、0.5Mを超えて維持される。銀の導入量及び分散媒中の初期ハロゲン化物イオン過剰量に応じて、銀イオンを導入中に、臭化物及び/又は塩化物イオンの添加がさらに必要なことがある。しかしながら、臭化銀及び/又は塩化銀と比較して、ヨウ化銀が溶解度がはるかに低いことにより、臭化物及び/又は塩化物イオンの導入によっては影響されない上記した銀とヨウ化物イオンの相互作用が生じる。
上記したように、銀イオンの導入により、最終的には、銀イオンが平板状粒子のエッジに堆積する。同時に、ヨウ化物イオンが平板状粒子のコーナーからそれらのエッジに移動する。ヨウ化物イオンが平板状粒子コーナーから置換されるにつれて、平板状粒子のコーナーが凸凹となり、潜像形成効率が増加する。平板状粒子において、コーナー表面ヨウ化物濃度が、粒子において見られる最高表面ヨウ化物濃度、即ち、粒子のエッジに見られる最高表面ヨウ化物濃度よりも少なくとも0.5モル%、好ましくは少なくとも1.0モル%低いことが好ましい。以下に示す実施例で明らかなように、最初に粒子のコーナーに隣接して位置したヨウ化物の一部分は、結晶格子構造にとどまる。典型的には、粒子のコーナーに隣接してとどまる表面ヨウ化物の濃度は、平板状粒子の主面に隣接する最終表面ヨウ化物濃度に近づく。
もし出発平板状粒子乳剤がヨウ化物を含有せず、ヨウ化物導入工程中に最小量のヨウ化物を導入し、続いての銀イオン導入工程中に最高量の銀を導入するならば、得られた乳剤のヨウ化物最小レベルは、0.4モル%と低レベルとすることができる。ヨウ化物の導入レベルが高いほど、続いての銀イオン導入レベルが低いほど、及び/又は出発平板状粒子に最初に存在するヨウ化物レベルが低いほど、はるかに高レベルのヨウ化物が本発明の平板状粒子乳剤に存在できる。本発明による好ましい乳剤は、総ヨウ化物レベルが、20モル%以下であり、最も好ましくは15モル%以下である。好ましい最小総ヨウ化物濃度は1.0モル%であり、写真用途では、ネイティブブルー感度を増加するためにヨウ化物を利用したり、インターイメージ効果のために現像でヨウ化物イオンを放出させたりする等の写真上の利点のために、ヨウ化物放出に応じてより高い総ヨウ化物濃度が好ましい。典型的にはメディカルラジオグラフィーにおいて実施される等の迅速アクセス処理の場合には、総濃度を、好ましくは5モル%未満、最適には3モル%未満に維持する。
本発明による好ましい乳剤では、平板状粒子は、総粒子投影面積の50%を超える割合を占める。平板状粒子は、総粒子投影面積の最も好ましくは少なくとも70%、最適には少なくとも90%を占める。識別できる程度に写真感度を高めることができる上記したヨウ化物分布要件を満足する平板状粒子は、いずれの割合で存在してもよい。平板状粒子の全てが同じ乳剤析出により得られるときには、平板状粒子の少なくとも25%が、上記したヨウ化物分布を示す。好ましくは、総粒子投影面積の少なくとも50%を占める平板状粒子が、本発明により必要とされるヨウ化物分布を示す。
本発明による好ましい乳剤は、比較的単分散のものである。定量的な面では、好ましくは析出した乳剤の総粒子集団基準で、等価円直径(ECD)の変動係数(COV)は、約30%未満、好ましくは20%未満である。ECDのCOVは、COVECDとも称される。COVECDが10%未満である乳剤(例えば、米国特許第5,210,013号(Tsaur等)により開示されている)等の高単分散出発平板状粒子乳剤を用いることにより、最終乳剤のCOVECDも10未満である本発明による乳剤を調製することが可能である。米国特許第5,147,771号、第5,147,772号、第5,147,773及び第5,171,659号(Tsaur等)の臭化銀及びヨウ臭化銀平板状粒子乳剤は、好ましい種類の出発平板状粒子乳剤である。米国特許第5,334,469号(Sutton等)は、平板状粒子厚さ(COVt)のCOVが15%未満であるこれらの乳剤の改良を開示している。
本発明の乳剤の平均平板状粒子厚さ(t)、ECD、アスペクト比(ECD/t)及び平板状度(ECD/t2(式中、ECD及びtの測定単位はμm))は、いずれかの都合の良い通常の範囲内で選択できる。平板状粒子は、好ましくは平均厚さが0.3μm未満である。極薄(平均厚さ<0.07μm)平板状粒子乳剤が、とりわけ意図される。写真学的に有用な乳剤は、平均ECDが10μm以下のことがあるが、実際には、平均ECDが6μmを超えることはまれである。比較的低感度の写真用途の場合には、平均アスペクト比要件と適合する本発明の乳剤のいずれの最小平均ECDをも用いることができる。平板状であるとみなすために、個々の粒子が平行主面を有し且つ平均アスペクト比が少なくとも2であることを必要とすることが好ましい。したがって、乳剤の平均アスペクト比は、常に2を超え、好ましくは5を超え、最も好ましくは8を超える。典型的に、平板状粒子乳剤の平均アスペクト比は75未満であるが、100以上の極めて高い平均アスペクト比が意図される。
上記した粒子構造により、予想外に高レベルの写真効率が得られる。即ち、感度−粒状度関係(上記したKofron等を参照)が優れている。本発明の具体的な目的は、浅い電子トラップ部位を形成できるドーパント(以下、「SETドーパント」とも称する)を特定の濃度及び位置に含めることにより粒状度の増加なしに乳剤の感度をさらに増加(それにより総効率を向上させる)ことである。
最近、SETドーパントの構造的要件の広範な説明が、上記したResearch Disclosure、アイテム36736において最初になされた。光子がハロゲン化銀粒子に吸収されると、電子(以下、「光電子」と称する)がハロゲン化銀結晶格子の価電子帯からその伝導帯に上がり、価電子帯に正孔(以下、「ホトホール」と称する)を形成する。粒子内に潜像部位を形成するためには、単一の像様露光で生成する複数の光電子が、結晶格子中のいくつかの銀イオンを還元してAg゜原子の小さなクラスターを形成しなければならない。潜像が形成できる前に機構を競争させることにより光電子が散逸される程度に、ハロゲン化銀粒子の写真感度が減少する。例えば、もし光電子がホトホールに戻るならば、そのエネルギーは、潜像形成に寄与することなく散逸される。
ハロゲン化銀をドープして、光電子を潜像形成により効率的に利用するのに寄与する浅い電子トラップを内部に生じさせることが意図される。これは、面心立方結晶格子に、結晶格子において置換するイオン(単一又は複数)の正味原子価よりもより正である正味原子価を示すドーパントを組み込むことにより達成される。例えば、可能な最も単純な形態では、ドーパントは、結晶格子構造において銀イオン(Ag+)と置換する多価(+2〜+5)金属イオンであることができる。例えば一価Ag+カチオンが二価カチオンで置換されると、局部正味陽電荷を有する結晶格子が残る。これにより、伝導帯のエネルギーが局部的に低下する。伝導帯の局部エネルギーが低下する量は、J.F.Hamilton、Advances in Physics、第37巻(1988年)、第395頁及びExcitonic Processes in Solids、M.Ueta、H.Kanazaki、K.Kobayasi、Y.Toyozawa及びE.Hanamura、(1986年)、ベルリンにあるSpringer−Verlag社発行、第359頁に記載されているような有効質量近似を適用することにより推測できる。もし塩化銀結晶格子構造がドーピングにより+1の正味陽電荷を受け取るならば、その伝導帯のエネルギーは、ドーパント付近において約0.048電子ボルト(eV)低下する。正味陽電荷が+2の場合、シフトは約0.192eVである。臭化銀結晶格子構造の場合、ドーピングにより付与される+1の正味陽電荷により、伝導帯エネルギーが局部的に約0.026eV低下される。+2の正味陽電荷の場合には、エネルギーは、約0.104eV低下される。
光の吸収により光電子を発生させる時、光電子は、ドーパント部位で正味陽電荷によって引き寄せられ、ドーパント部位に伝導帯エネルギーの局部減少に等しい結合エネルギーで一時的に保持(即ち、結合又は捕捉)される。より低エネルギーへの伝導帯の局部屈曲を生じさせるドーパントは、光電子をドーパント部位に保持(トラップ)する結合エネルギーは電子をドーパント部位に永久的に保持するには不十分であるので、「浅い電子トラップ」と称される。それにもかかわらず、浅い電子トラップ部位は有用である。例えば、高強度露光により発生させた非常に多くの光電子は、一定時間にわたって潜像形成部位に効率的に移動できるようにしたままで、簡単に浅い電子トラップに保持されて直ぐに散逸しないようにすることができる。
ドーパントが浅い電子トラップを形成するのに有用であるためには、単に結晶格子において置換するイオン(単一又は複数)の正味原子価よりもより正である正味原子価を提供すること以上のさらなる基準を満足しなければならない。ドーパントをハロゲン化銀結晶格子に組み込むと、ハロゲン化銀価電子と伝導帯を含んでなるエネルギーレベル又は軌道の他に、ドーパントの付近に新規な電子エネルギーレベル(軌道)が形成される。ドーパントが浅い電子トラップとして有用であるためには、これらのさらなる基準を満足しなければならない:(1)その最高エネルギー電子被占軌道(HOMO;一般的に「フロンティア軌道」とも呼ばれる)が、満たされていなければならない。例えば、軌道が2つの電子(最高可能数)を保持するならば、1つではなく2つの電子を含有しなければならない。(2)その最低エネルギー非被占軌道(LUMO)は、ハロゲン化銀結晶格子の最低エネルギーレベル伝導帯よりも高いエネルギーレベルでなければならない。もし条件(1)及び/又は(2)が満足されないならば、局部ドーパント誘発伝導帯最小エネルギーよりも低いエネルギーで、結晶格子(未充満HOMO又はLUMO)に局部ドーパント由来軌道があり、光電子が優先的にこの低エネルギー部位で保持されることにより光電子の潜像形成部位への効率的な移動が妨げられる。
基準(1)及び(2)を満足する金属イオンは以下の通りである:原子価+2の第2族金属イオン、原子価+3の第3族金属イオン(但し、基準(1)を満足しない希土類元素58〜71を除く)、原子価+2の第12族金属イオン(Hg+1に自然に戻るためと思われる強力な減感剤であるHgを除く)、原子価+3の第13族金属イオン、原子価+2又は+4である第14族金属イオン及び原子価+3又は+5である第15族金属イオン。基準(1)及び(2)を満足する金属イオンのうち、ドーパントとして組み込むのに実用的に都合のよい面から好ましいものには、以下の第4、5及び6周期元素が含まれる:ランタン、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、錫、鉛及びビスマス。浅い電子トラップの形成に使用される基準(1)及び(2)を満足するとりわけ好ましい金属イオンドーパントは、亜鉛、カドミウム、インジウム、鉛及びビスマスである。これらの種類の浅い電子トラップドーパントの具体例は、上記したDeWitt、Gilman等、Atwell等、Weyde等並びにEPO 0 590 674及び0 563 946(Murakima等)に記載されている。
フロンティア軌道を充満し、それにより基準(1)を満足する第8族、9族及び10族の金属イオン(以下、一緒に「第VIII族金属イオン」と称する)についても検討を行った。これらは、原子価+2の第8族金属イオン、原子価+3の第9族金属イオン及び原子価+4の第10族金属イオンである。これらの金属イオンは、裸金属イオンドーパントとして組み込んだ時、有効な浅い電子トラップを形成できないことが分かった。これは、LUMOがハロゲン化銀結晶格子の最低エネルギーレベル伝導帯より低いエネルギーレベルあることに起因している。
しかしながら、これらの第VIII族金属イオンだけでなくGa+3及びIn+3の配位錯体も、ドーパントとして用いた時、有効な浅い電子トラップを形成できる。金属イオンのフロンティア軌道が充満されている要件は、基準(1)を満足する。満足すべき基準(2)については、配位錯体を形成するリガンドの少なくとも一つが、ハロゲン化物よりも電子求引性が強くなければならない(即ち、最も電子求引性が高いハロゲンイオンであるフッ素イオンよりもより電子求引性でなければならない)。
電子求引特性を評価する一つの一般的な方法は、Inorganic Chemistry:Principles of Structure and Reactivity、James E.Huheey、1972年、Harper及びRow、ニューヨーク及びAbsorption Spectra and Chemical Bonding in Complexes、C.K.Jorgensen、1962年、Pergamon Press、ロンドンにおいて言及されている溶液での金属イオン錯体の吸収スペクトルから得たリガンドの分光化学系列を参照することである。これらの文献から明らかなように、分光化学系列におけるリガンドの順序は、以下の通りである:
I-<Br-<S-2CN-<Cl-<NO3<F-
<OX-2<H2 CS-<CH3C H3<en<dipy
<phen<O2 -<phosph<<N-
使用されている略字は以下の通りである:ox=オキサレート、dipy=ジピリジン、phen=o−フェナトロリン及びphosph=4−メチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ〔2.2.2〕オクタン。
分光化学系列では、リガンドが電子求引性の順序となっており、系列における最初(I-)のリガンドは最も電子求引性が小さく、最後(CO)のリガンドは最も電子求引性が大きい。下線は、多価金属イオンへのリガンドの結合部位を示している。ドーパント錯体のLUMO値を上昇するリガンドの能力は、金属に結合するリガンド原子がClから、S、O、N、Cの順序で変化するにつれて増加する。したがって、リガンドN-及びOがとりわけ好ましい。他の好ましいリガンドは、チオシアネート(CS-)、セレノシアネート(CSe-)、シアネート(CO-)、テルロシアネート(CTe-)及びアジド(N3 -)である。
ちょうど分光化学系列が配位錯体のリガンドに適用できるようにして、金属イオンにも適用できる。以下の金属イオンの分光化学系列が、Absorption Spectra and Chemical Bonding、C.K.Jorgensen、1962年、Pergamon Press、ロンドンに報告されている:
Mn+2<Ni+2<Co+2Fe +2 <Cr+3
>>V+3Co +3 <Mn+4<Mo+3Rh +3
>>Ru+3Pd +4 Ir +3 Pt +4
下線をつけた金属イオンは、上記のフロンティア軌道要件(1)を満足する。これにはドーパントとして配位錯体に使用することを具体的に意図する全ての金属イオンは含まれていないが、分光化学系列における残りの金属の位置は、元素の周期表におけるイオンの位置が、第4周期から、第5周期、第6周期へと増加するにつれて、系列におけるイオンの位置が最も電気陰性が小さい金属Mn+2から最も電気陰性が大きい金属Pt+4の方向にシフトしていることから確認できる。陽電荷が増加する時、系列位置も同じ方向にシフトする。即ち、第6周期イオンであるOs+3は、第5周期で最も電気陽性であるイオンPd+4よりも電気陰性であるが、第6周期で最も電気陰性であるイオンPt+4よりも電気陰性が小さい。
上記説明から、Rh+3、Ru+3、Pd+4、Ir+3、Os+3及びPt+4は、明らかに上記フロンティア軌道要件(1)を満足する最も電気陰性が大きい金属イオンであり、したがって、具体的に好ましい金属イオンである。
上記基準(2)のLUMO要件を満足するために、第VIII族の充満フロンティア軌道多価金属イオンを、リガンド含有配位錯体に取り込む。これらのうち少なくとも一つ、最も好ましくは少なくとも3つ、最適には少なくとも4つがハロゲン化物よりも電気陰性であり、残りのリガンド(単一又は複数)がハロゲン化物リガンドである。Os+3等金属イオンが自体非常に電気陰性である時には、例えばカルボニル等の単一の電気陰性の大きいリガンドのみがLUMO要件を満足することが要求される。もし金属イオンが自体Fe+2等の比較的電気陰性度が低いならば、リガンドの全てが非常に電気陰性であるものを選択することが、LUMO要件を満足するために必要である。例えば、Fe(II)(CN)は、具体的に好ましい浅い電子トラップドーパントである。実際に、シアノリガンド6個を含有する配位錯体は、一般的に都合のよい好ましい種類の浅い電子トラップドーパントの代表例である。
Ga+3及びIn+3は裸金属イオンとしてHOMO及びLUMO要件を満足することができるので、配位錯体に取り込むとき、電気陰性度がハロゲンイオンから第VIII族金属イオン配位錯体について有用であるもっと電気陰性であるリガンドにわたる範囲のリガンドを含有できる。
第VIII族金属イオンと電気陰性度が中間レベルであるリガンドの場合、特定の金属配位錯体がLUMO要件を満足し、したがって、浅い電子トラップとしての役割を果たす金属とリガンド電気陰性度の適切な組み合わせを含有しているかどうかを容易に決定できる。これは、電子常磁性共鳴(EPR)分光分析を用いることにより行うことができる。この分析技術は、分析法として広く使用され、Electron Spin Resonance:A Comprehensive Treatise on Experimental Techniques、第2版、Charles P.Poole、Jr.(1983)、John Wiley & Sons社、ニューヨークに記載されている。
浅い電子トラップにおいて光電子は、ハロゲン化銀結晶格子の伝導帯エネルギーレベルにおける光電子について観察されるのと極めて類似したEPR信号を生じる。浅く捕捉された電子又は伝導帯電子からのEPR信号は、電子EPR信号と称される。電子EPR信号は、一般的にg因子と呼ばれるパラメータにより特徴づけられる。EPR信号のg因子を計算するための方法は、上記C.P.Pooleに記載されている。ハロゲン化銀結晶格子における電子EPR信号のg因子は、電子の付近のハロゲンイオン(単一又は複数)の種類に依存する。即ち、R.S.Eachus、M.T.Olm、R.Janes及びM.C.R.Symons、Physica Status Solidi(b)、第152巻(1989年)、第583〜592頁により報告されているように、AgCl結晶において電子EPR信号のg因子は1.88±0.001であり、AgBrにおいて電子EPR信号のg因子は1.49±0.02である。
配位錯体ドーパントは、もし下記で説明する試験乳剤において対応の未ドープ対照乳剤と比較して電子EPR信号の大きさを少なくとも20%高くするならば、本発明の実施において浅い電子トラップを形成するのに有用であると認められる。未ドープ対照乳剤は、米国特許第4,937,180号(Marchetti等)の対照1Aについて記載されているような、析出したが続いての増感を行わないエッジ長さが0.45±0.05μmのAgBr八面体乳剤である。試験乳剤は、本発明の乳剤で使用することを意図する濃度の金属配位錯体をMarchetti等の実施例1BにおけるOs(CN64-の代わりに使用する。
析出後、試験及び対照乳剤を、各々まず液体乳剤を遠心分離し、上澄み液を除去し、上澄み液を同量の温蒸留水で置換し、乳剤を再懸濁することにより電子EPR信号測定の準備をする。この操作を3回反復し、最終遠心工程後、得られた粉末を空気乾燥する。これらの操作を安全光条件下で行う。
EPR試験を、各乳剤の3種の試料をそれぞれ20、40及び60゜Kに冷却し、各試料を波長365nmの200WHgランプからの濾過光に露光し、露光中にEPR電子信号を測定することにより実施する。もし選択された観察温度のいずれかで、電子EPR信号の強度が、未ドープ対照乳剤に対してドープ試験乳剤試料において顕著に増加(即ち、信号ノイズよりも高く測定可能な程度に増加)するならば、このドーパントは浅い電子トラップである。
上記したようにして行った試験の具体例として、一般的に使用される浅い電子トラップドーパントFe(CN)6 4-を析出中に上記したようにモル濃度銀1モル当たり50x10-6ドーパントで添加した時、電子EPR信号強度は、20゜Kで試験した時の未ドープ対照乳剤に対して8倍増加した。
ヘキサ配位錯体は、本発明の実施に使用するのに好ましい配位錯体である。これらの錯体は、結晶格子において銀イオンと6個の隣接するハロゲンイオンを置換する金属イオンと6個のリガンドを含有している。配位部位の1個又は2個は、カルボニル、アコ又はアミンリガンド等の中性リガンドにより占有されることができるが、リガンドの残りは、結晶格子構造に配位錯体を効率的に取り込むのを容易にするためにアニオンでなければならない。プロトルージョンで含有させるのに具体的に意図されるヘキサ配位錯体の実例が、米国特許第5,037,732号(McDugle等)、米国特許第4,937,180号、第5,264,336号及び第5,268,264号(Marchetti等)、米国特許第4,945,035号(Keevert等)及び特願平2−249588号(村上等)に記載されている。ヘキサ配位錯体用の有用な中性及びアニオン有機リガンドが、米国特許第5,360,712号(Olm等)に開示されている。R.S.Eachus、R.E.Graves及びM.T.Olm、J.Chem.Phys.、第69巻、第4580〜7頁(1978)並びにPhysica Status Solidi A、第57巻、第429〜37頁(1980)に示されているように、入念な科学的調査により、第VIII族ヘキサハロ配位錯体が深い(減感)電子トラップを形成することが明らかとなった。
具体的な好ましい態様では、ドーパントとして下式を満足するヘキサ配位錯体を使用することが意図される:
(V)
〔ML6
(式中、Mは充満フロンティア軌道多価金属イオン(好ましくはFe+2、Ru+2又はOs+2)であり;
L6は独立して選択することができる6個の配位錯体リガンドを表すが、但し、リガンドの少なくとも4個はアニオンリガンドであり、リガンドの少なくとも1個(好ましくは少なくとも3個及び最適には少なくとも4個)はいずれのハロゲン化物リガンドよりも電気陰性が高く(即ち、最も電気陰性なハロゲン化物イオンであるフッ化物イオンよりも電子吸引性である);そして
nは絶対値が5より小さい負の整数(好ましくは、−2、−3又は−4)である。
浅い電子トラップを提供することができるドーパントの具体例を以下に示す:
SET−1 〔Fe(CN)-4
SET−2 〔Ru(CN)-4
SET−3 〔Os(CN)-4
SET−4 〔Rh(CN)-3
SET−5 〔Ir(CN)-3
SET−6 〔Fe(ピラジン)(CN)-4
SET−7 〔RuCl(CN)-4
SET−8 〔OsBr(CN)-4
SET−9 〔RhF(CN)-3
SET−10 〔IrBr(CN)-3
SET−11 〔FeCO(CN)-3
SET−12 〔RuF2(CN)-4
SET−13 〔OsCl2(CN)-4
SET−14 〔RhI2(CN)-3
SET−15 〔IrBr2(CN)-3
SET−16 〔Ru(CN)(OCN)〕-4
SET−17 〔Ru(CN)(N3)〕-4
SET−18 〔Os(CN)(SCN)〕-4
SET−19 〔Rh(CN)(SeCN)〕-3
SET−20 〔Ir(CN)(HOH)〕-2
SET−21 〔Fe(CN)3Cl3-3
SET−22 〔Ru(CO)(CN)-1
SET−23 〔Os(CN)Cl5-4
SET−24 〔Co(CN)-3
SET−25 〔Ir(CN)(オキサレート)〕-3
SET−26 〔In(NCS)-3
SET−27 〔Ga(NCS)-3
SETドーパントは、総濃度が1×10-6〜5×10-4モル/Agモルの範囲であるか、別の表しかたをすれば、銀の1〜500mppm(molar parts per million)の範囲で効果がある。好ましい総SETドーパント濃度は、銀の10〜300mppm(1×10-5〜3×10-4モル/Agモル)である。
以下のデータに示されているように、SETドーパントが粒子の表面に近すぎると、最適には及ばない結果が得られる。したがって、SETドーパントの表面濃度を粒子構造の外側(最後に析出した)5%を形成している銀の100mppm未満に限定することが意図される。好ましくは、粒子構造の外側(最後に析出した)30%は、SETドーパント濃度が100mppm未満である。平板状粒子の表面部におけるSETドーパントの濃度を限定する教示は、粒子の表面領域からSETドーパントを完全に排除することを含むことは勿論である。即ち、平板状粒子の最終表面部が形成される間、SETドーパントの添加を停止することがとりわけ意図され且つ好ましい。SETドーパントは、狭い帯域に制限するか、粒子内にいずれかの望ましい方法で分布させてもよい。
SETドーパントは、分光増感しない本発明の乳剤に効果的に使用できるが、全く予想外にも、SETドーパントは、一種以上のシアニン分光増感色素であって、酸化電位(Eox)が+0.87ボルトよりも小さい正の値を示し且つ色素の酸化還元電位差(Eox−Ered)が2.10ボルト未満であるものと組み合わせて使用したときに、写真感度が比較的大きく増加することが分かった。分光増感色素を組み合わせて使用するとき、本発明の利点を実現するには、一種のシアニン色素のみが上記したEox及びEox−Eredを満足することが必要とされる。
シアニン色素の酸化還元電位は、広範に研究されており、したがって、これらの好ましい要件Eox及びEox−Eredを満足する特定のシアニン色素は、十分当業者により選択できる。シアニン色素の酸化還元電位は、Photographic Science and Engineering、第18巻、1974年、第49〜53頁(Sturmer等)、第175〜185頁(Leubner)及び第475〜485頁(Gilman)並びにGilman、第19巻、1975年、第333頁において広範に説明されている。酸化還元電位は、R.J.Cox、Photographic Sensitivity、Academic Press、1973年、第15章で説明されているようにして測定できる。分光増感色素の性質が、広範の例とともに、上記したResearch Disclosure、アイテム36544、セクションV."Spectral sensitization and desensitization,A.Sensitizing dyes"に記載されている。セクションVだけでなく、Hamer The Cyanine Dyes and Related Compounds、Jhon Wiley & Sons、1964年には、単純(モノメチン)シアニン、カルボシアニン(トリメチンシアニン)、ジカルボシアニン(ペンタメチンシアニン)、トリカルボシアニン(ヘプタメチンシアニン)及び複雑な(多核)シアニンを含む種々の形態のシアニン色素が示されている。
I.H.Leubner、Photogr.Sci.Eng.22:271(1978)は、Eox−Eredが減少するにつれて、溶液におけるシアニンのピーク吸収の波長が長くなること示した。これは、下記の関係式で示される:
(VI)
Eox−Ered=1.145(hv−2.225)+1.858
(式中、hはプランク定数であり、vは光の周波数(波長の逆数)である)。
Leubnerは、さらに、下記の関係式により、溶液におけるピーク吸収(nmSol)をJ−凝集ピーク吸収(nmJ)と関連させている:
(VII)
nmJ=1.44(nmSol−500)+555
即ち、Eox−Ered1.10ボルトは、溶液ピーク吸収(nmSol)793nm又はもし凝集の場合にJ−凝集ピーク吸収(nmJ)977nmを示すシアニン色素により示される。Eox−Eredが1.20ボルトの場合、相当するnmSol及びnmJは、それぞれ751nm及び917nmである。Eox−Eredが1.40ボルトの場合、対応するnmSol及びnmJは、それぞれ679nm及び813nmである。実用的な用途の大多数の場合、用いられるシアニン分光増感色素のEox−Eredは少なくとも1.10ボルトであり、シアニン色素を用いるほとんどの用途ではEox−Eredが少なくとも1.20ボルトであり、最も一般的には少なくとも1.40ボルトであることが意図される。
以下に、酸化電位が+0.87ボルトよりも小さい正の値を示し、そのために本発明の乳剤に使用するのに好ましい分光増感色素の具体例を示す:
SS−1:アンヒドロ−5,5'−ジクロロ−9−エチル−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
(Eox=+0.85V、Ered=−1.16V、
Eox−Ered=2.01V)
SS−2:アンヒドロ−9−エチル−5,5'−ジメチル−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
(Eox=+0.76V、Ered=−1.22V、
Eox−Ered=1.98V)
SS−3:アンヒドロ−5,5'−ジクロロ−3,9−ジエチル−3'−(3−スルホブチル)チアカルボシアニンヒドロキシド
(Eox=+0.86V、Ered=−1.15V
Eox−Ered=2.01V)
SS−4:アンヒドロ−5,5'−ジメトキシ−9−メチル−3,3'−ビス(3−ヒドロキシプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、ブロミド塩
(Eox=+0.75V、Ered=−1.15V、
Eox−Ered=1.90V)
SS−5:アンヒドロ−3,9−ジエチル−5,5'−ジメトキシ−3'−(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド
(Eox=+0.73V、Ered=−1.20V、
Eox−Ered=1.93V)
SS−6:アンヒドロ−5,5'−ジメトキシ−9−メチル−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、ナトリウム塩
(Eox=+0.72V、Ered=−1.22V、
Eox−Ered=1.94V)
SS−7:アンヒドロ−9−エチル−5',6'−ジメトキシ−5−フェニル−3'−(3−スルホブチル)−3−(3−スルホプロピル)オキサチアカルボシアニンヒドロキシド
(Eox=+0.69V、Ered=−1.34V、
Eox−Ered=2.03V)
SS−8:アンヒドロ−5,6−ジクロロ−1−エチル−3−(3−スルホブチル)−3'−(3−スルホプロピル)−4',5'−ベンゾ−ベンゾイミダゾロチアカルボシアニンヒドロキシド
(Eox=+0.68V、Ered=−1.34V、
Eox−Ered=2.02V)
SS−9:アンヒドロ−9−エチル−5,6−ジメトキシ−5'−フェニル−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、カリウム塩
(Eox=+0.64V、Ered=−1.24V、
Eox−Ered=1.88V)
SS−10:アンヒドロ−9−エチル−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)−4,5;4',5'−ジベンゾチアカルボシアニンヒドロキシド、ナトリウム塩
(Eox=+0.60V、Ered=−1.33V、
Eox−Ered=1.98V)
SETドーパントの他に、本発明の乳剤は、任意に他のドーパントを含有することができる。他の通常のドーパントは、上記したResearch Disclosure、アイテム36544、"I.Emulsion grains and their preparation,D.Grain modifying conditions and adjustment、パラグラフ(3)に記載されている。
例えば、セレンをドーパント(以下、「Seドーパント」とも称する)として導入すると、乳剤のセレン増感が高まることが分かった。セレンドーパントは、米国特許第5,166,045号(Wu)に開示されている種類のものである。セレンドーパントが位置されるべき粒子の部分の析出中には、セレン供与物質が存在する。セレンは、元素の形態(即ち、Se゜)で配合してもよいし、有機又は無機化合物における二価の形態で配合してもよい。具体的に好ましい無機化合物は、以下の形態をとることができる:
(VIII)
M−Se−L
(式中、Mはアルカリ金属等の一価金属であり、
Lはハロゲン又はプソイドハロゲンである)。
ハロゲンは、フッ化物、塩化物及び臭化物から選択できる。「プソイドハロゲン」とは、当該技術分野では、反応的にハロゲンに類似しており、少なくとも電気陰性度がハロゲン化と同じであるリガンドを示すのに用いられる。好ましくは、LはSeとともに、セレノシアネート又はイソセレノシアネート成分を完成する。
好ましい有機セレン源化合物では、−Se−又はSe=結合パターンが存在することができ、セレン原子は典型的には炭素、窒素又はリンに結合している。セレンによって満足されない炭素、窒素又はリン結合は、水素又は炭素数約10以下の置換若しくは非置換アルキル若しくはアリール成分等の有機成分により満足させることができる。低級アルキル(炭素数<6、最適には炭素数<4)が好ましいが、好ましいアリール成分はフェニル低級アルキル置換フェニル成分等の炭素数6〜10のものである。
析出中に含有させるためのセレンドーパント源材料の具体例として、以下のものが挙げられる:
Se−1:コロイド状セレン
Se−2:ポタジウムセレノシアネート
Se−3:セレノアセトン
Se−4:セレノアセトフェノン
Se−5:セレノウレア
Se−6:テトラメチルセレノウレア
Se−7:N−(β−カルボキシエチル)−N',N'−ジメチルセレノウレア
Se−8:N,N−ジメチルセレノウレア
Se−9:セレノアセトアミド
Se−10:セレン化ジエチル
Se−11:セレン化ジフェニル
Se−12:ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)セレニド
Se−13:トリフェニルホスフィンセレニド
Se−14:トリ−p−トリルセレノホスフェイト
Se−15:トリ−n−ブチルセレノホスフェイト
Se−16:2−セレノプロピオン酸
Se−17:3−セレノブチル酸
Se−18:メチル−3−セレノブチラート
Se−19:アリルイソセレノシアネート
Se−20:N,N'−ジオクチルセレノウレア
好ましいセレンドーパント濃度は、1×10-6〜7×10-5モル/Agモルの範囲か、別の表しかたでは、1〜70mppmの範囲である。セレン濃度は、たとえSeドーパントを粒子の一部分のみの析出中に導入するときでさえ、総銀基準である。Seドーパントは粒子形成のいずれかの都合のよい部分中又は粒子形成全体を通じて導入できるが、好ましくはハロゲン化物転化の前に導入して上記したエッジ及びコーナーヨウ化物分布を得るのが好ましい。
SET及びSeドーパントの性能を最大とするために、これらのドーパントを平板状粒子の別個の部分に導入することが好ましい。好ましくは、総銀の少なくとも10モル%を、ドーパントの一方の導入の完了と残りのドーパントの導入の開始との間に析出させる。ドーパントはどの順序で導入してもよいが、SETドーパントの導入をSeドーパントの導入前に完了することが好ましい。
低照度相反則不軌を減少することのできるイリジウムドーパントを、好ましくは本発明の乳剤の平板状粒子に組み込む。低照度相反則不軌を減少させるのに用いられるイリジウムドーパントの具体例が、米国特許第4,449,751号(Kim)及び米国特許第5,164,292号(Johnson)に記載されている。不軌を減少させるのに用いたり、他の目的に用いられるイリジウムドーパントのより一般的な概説が、B.H.Carroll、Iridium Sensitization:A Literature Review、Photographic Science and Engineering、第24巻、第6号、1980年11月及び12月、第265〜267頁になされている。また、不軌を減少させることを意図するイリジウムドーパントを含むさらにより一般的な概説が、Research Disclosure、アイテム36544、セクションI."Emulsion grains and their preparation,D.Grain modifying conditions and adjustments,パラグラフ(3)及び(4)になされている。低照度相反則不軌を減少することが知られている通常のイリジウムドーパントのいずれも、本発明の実施においてこの目的に有用であることが知られているいずれの量でも用いることができる。
具体的に好ましい態様では、イリジウムドーパントを、下式を満足するヘキサ配位錯体の形態で粒子の結晶格子構造に組み込む:
(IX)
〔Ir+3X5L'〕
(式中、Xはハロゲン化物リガンドであり、
L'はいずれかの架橋リガンドであり、そして
mは−2又は−3である)。
イリジウムを析出中に添加するときに、アンモニウム又はアルカリ金属等の都合のよい対イオンをヘキサ配位錯体と関連させるが、式IXのアニオン部のみが実際に結晶格子構造内に組み込まれる。また、例えば、米国特許第4、902,611号(Leubner等)により示されているように、導入するときに、イリジウムは、+4の原子価状態であることができる。しかしながら、+4のイリジウムは、組み込まれると+3の原子価状態に戻る。塩化物と臭化物は、好ましいハロゲン化物リガンドである。架橋リガンドL'も、ハロゲン化物リガンドであってもよいし、また、米国特許第4,933,272号、第4,981,781号及び5,037,732号(McDugle等)、米国特許第4,937,180号(Marchetti等)、米国特許第4,945,035号(Keevert等)並びに米国特許第5,360,712号(Olm等)に開示されている種々の個々のリガンド形態のいずれを含むいずれかの都合のよい通常の形態をとることもできる。塩化物リガンド及び臭化物リガンド以外の典型的なリガンドには、H2O、F-、NCS-、SCN-、CN-、NCO-、I-、N3 -、NO3 -、NO2 -並びに置換又は非置換ピラジン、ピリミジン、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、アセトニトリル及びピリダジンリガンド等の有機リガンドなどがある。
イリジウムドーパントは、好ましくは平板状粒子を形成する銀の少なくとも20(最も好ましくは60)%の析出後であって且つ平板状粒子を形成する銀の90(最も好ましくは80)%が析出する前に導入する。イリジウムドーパントの理想的な位置は、イリジウムを排除する平板状粒子の表面部の析出直前に形成される帯内である。好ましくは、総銀の少なくとも20%(最適には、少なくとも60%)を、イリジウムを導入する前に析出させる。
イリジウムドーパントの好ましい濃度は、総銀基準で約800(最も好ましくは140)mppb(molar parts per billion)以下であるか、別の表しかたをすれば、8x10-7モル/Agモル以下である。最小有効イリジウム濃度は2.8mppbであると報告されているが、少なくとも約15mppbの濃度が、使用するにはより都合がよい。
SETドーパントとイリジウムドーパントとの間の望ましくない相互作用を最小限とするために、SETドーパント導入の完了とイリジウムドーピング開始との間に介在帯を析出させることが好ましい。介在帯は、好ましくは総銀の少なくとも10%、最適には総銀の少なくとも20%を占める。セレン及びイリジウムドーパントは、望ましくない相互作用を示さないので、完全に同時に導入してもよいし、完全に順次に導入してもよいし、これらの間の所望の方法で導入してもよい。
上記した特徴とは別に、本発明の平板状粒子乳剤は、都合の良い通常のいずれの形態をとってもよい。具体的に本発明と適合することを意図する通常の乳剤調製法の中には、Research Disclosure、第365巻、1994年9月、アイテム36544、I."Emulsion grains and their preparation"、"A.Grain halide composition"、パラグラフ(5);"C.Precipitation procedures";及びD.Grain modifying conditions and ajustments"、パラグラフ(1)及び(6)に開示されているものがある。
析出に続いて、本発明の乳剤は、上記したResearch Disclosure、アイテム36544、"I.Emulsion grains and their preparation"、"E.Blends,layers and performance categories";"II.Vehicles,vehicle extenders,vehicle−like addenda and vehicle related addenda";"III.Emulsion washing";"IV.Chemical sensitization";及び"V.Spectral sensitization and desensitization,A.Spectral sensitizing dyes"に記載されているようにして、写真用途のために調製できる。
乳剤又は写真要素には、さらに、上記Research Disclosure、アイテム36544:"VII.Antifoggants and stabilizers";"VIII.Absorbing and scattering materials";"IX.Coating physical property modifying addenda";"X.Dye image formers and modifiers";"XI.Layers and layer arrangements";"XII.Features applicable only to color negative";"XIII.Features applicable only to color positive";"XIV.Scan Facilitating features";及び"XV.Supports"に示されているものの一つ以上を含めることができる。
本発明の乳剤を組み込んだ写真要素の露光及び処理は、上記Research Disclosure、アイテム36544、"XVI.Exposure";"XVIII.Chemical development systems";"XIX.Development";及び"XX.Desilvering,washing,rinsing and stabilizing"に示されいる都合の良い通常の形態をとってもよい。
実施例
本発明は、以下の具体的な実施例を参照することにより、よりよく理解できる。
実施例1
本実施例の目的は、平板状粒子内にヨウ化物を配置することにより、ドーパントの添加とは無関係に写真感度の向上が実現されることを示すことにある。
乳剤A
この乳剤は、本発明の乳剤と全体的に類似しているが、本発明の特徴である特異的なヨウ化物の配置がない点で異なる。
4リットルの反応容器に、ゼラチン水溶液(水1リットル、アルカリ処理低メチオニンゼラチン0.56g、4N硝酸溶液3.5ml、臭化ナトリウム1.12gからなり、pAg9.38)と、核形成に使用される総銀重量基準で14.4重量%のPLURONIC−31R1(商標)(式:
Figure 0003597538
(式中、x=7、y=25及びy=25)を満足する界面活性剤とを、温度を45℃に保持しながら入れ、硝酸銀水溶液(硝酸銀0.48g含有)11.13mlと、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム0.29g含有)11.13mlとを、1分間かけて一定速度で同時に添加した。混合物を、1分間保持・攪拌し、その間に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム1.44g含有)14mlを、50秒間保持した時点で添加した。その後、1分間保持後、混合物の温度を、9分間かけて60℃に上昇させた。次に、硫酸アンモニウム水溶液(硫酸アンモニウム1.68g含有)16.7mlを添加し、混合物のpHを、水酸化ナトリウム水溶液(1N)により9.5に調整した。このように調製した混合物を、9分間攪拌した。次に、ゼラチン水溶液(アルカリ処理ゼラチン16.7g含有)83mlを添加し、混合物を1分間攪拌した後、硝酸水溶液(1N)を用いてpHを5.85に調整した。この混合物を、1分間攪拌した。その後、硝酸銀水溶液(硝酸銀1.27g含有)30mlと、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム0.66g含有)32mlとを、15分間かけて同時に添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀13.3g含有)49mlと、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム8.68g含有)48.2mlとを、それぞれ初期速度0.67ml/分及び0.72ml/分から、24.5分間直線的に加速して同時添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀191g含有)468mlと、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム119.4g含有)464mlとを、それぞれ初期速度1.67ml/分及び1.70ml/分から、82.4分間直線的に加速して同時添加した。次に、攪拌しながら、1分間保持した。
次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀32.6g含有)80mlと、ハロゲン化物水溶液(臭化ナトリウム13.2g及びヨウ化カリウム10.4g含有)69.6mlとを、9.6分間かけて一定速度で同時に添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀57.5g含有)141mlと、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム38.0g含有)147.6mlとを、16.9分間かけて一定速度で同時に添加した。このようにして得られたヨウ臭化銀乳剤は、ヨウ化物3.6モル%を含有していた。次に、乳剤を洗浄した。この乳剤の粒子特性を、表IIに示す。
乳剤B
本乳剤は、本発明の要件であるヨウ化物配置による感度上の利点を有する。
ヨウ化物を導入する工程までは、乳剤Aの調整に用いた方法で行った。そこから、析出を以下のようにして行った:
次に、ヨウ化カリウム水溶液(ヨウ化カリウム10.45g含有)16.6mlを、3分間かけて一定流量で添加した。この溶液は、混合が最もよくなされるような反応容器の位置に排出した。10分間保持した後、硝酸銀水溶液(硝酸銀90.1g含有)220.8mlを、26.5分間かけて一定流量で添加した。次に、硝酸銀添加開始6.5分後に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム42.2g含有)164.2mlを、20.0分間かけて一定流量で添加した。このようにして得られたヨウ臭化銀乳剤は、ヨウ化物3.6モル%を含有していた。次に、乳剤を洗浄した。この乳剤の粒子特性を、表IIに示す。
Figure 0003597538
写真比較
表IIに挙げた乳剤を、最適イオウ及び金増感並びに最後に存在する増感色素としてアンヒドロ−5−クロロ−9−エチル−5'−フェニル−3'−(3−スルホブチル)−3−(3−スルホプロピル)−オキサカルボシアニンヒドロキシド、ナトリウム塩(Eox=1.05ボルト、Ered=−1.31ボルト、Eox−Ered=2.36ボルト)(SS−11)とアンヒドロ−3,9−ジエチル−3'−〔N−(メチルスルホニル)カルバモイルメチル〕−5−フェニルベンゾチアゾロ−オキサカルボシアニンヒドロキシド、分子内塩(Eox=0.80ボルト、Erde=−1.30ボルト、Eox−Ered=2.10ボルト)(SS−12)とを重量比8.2:1で組み合わせて使用して、マイナスブルー増感した。
透明フィルム支持体上の単一層塗膜には、シアン色素形成カプラー(CC−1)(塗布量1.6mg/dm2)と銀塗膜(塗布量8.1mg/dm2)とを用いた。
Figure 0003597538
各塗膜試料を、目盛付濃度試験物体と、480nmより長い波長を顕著に透過するWratten9(商標)フィルターとを介してタングステン光源により露光した。処理は、Eastman Flexicolor(商標)カラーネガ処理化学薬品及び方法を用いて行った。
センシトメトリー感度比較を、表IIIに示す。感度は、最小濃度よりも0.15高い最適濃度で測定した。乳剤Aの相対感度を100とし、示した相対感度における各単位差は0.01log E(式中、Eは露光量(単位:ルクス・秒)を表す)に等しい。
Figure 0003597538
基準として、写真において、相対感度が30(0.30log E)増加すると、露光量を1絞り減少できる。したがって、本発明の乳剤により、写真をとる人は、露光量を2分の1絞り減少できることが明らかである。
形態の比較
乳剤Aと乳剤Bの両方の粒子を顕微鏡で調査したところ、異なる平板状粒子構造を有することが分かった。
平板状粒子の代表的な試料のヨウ化物濃度を、それらの主面を横断(エッジ−エッジ間又はコーナー−コーナー間)(「図面の簡単な説明」における線E−E及びC−C参照)する種々の点で調査した。分析電子鏡検法(AEM)を用いた。調査した各平板状粒子の主面は、連続点でアドレスし、アドレスした各点での平板状粒子の全厚についての平均ヨウ化物濃度を読み取り、プロットした。
第2図に、乳剤Aから採取した代表的な平板状粒子についてのエッジ−エッジプロットE2及びコーナー−コーナープロットC2を示す。両方のプロットにおいて、最高ヨウ化物濃度は、平板状粒子の周囲に見られることが分かる。粒子のコーナーでのヨウ化物濃度とコーナー間隔の周囲位置でのヨウ化物濃度との間に顕著な差がない。乳剤Aから採取して試験した平板状粒子の全ては、これらのエッジ及びコーナーヨウ化物分布特性を示した。
乳剤Bから採取した平板状粒子合計60個を調査した。これらのうち、17個は、乳剤Aの平板状粒子に類似したエッジ−エッジ及びコーナー−コーナーヨウ化物分布を示した。しかしながら、平板状粒子のうちの43個は、独特且つ驚くべきヨウ化物分布を示した。独特の構造を有する43個の平板状粒子の代表的な平板状粒子についてのエッジ−エッジヨウ化物分布E1とコーナー−コーナーヨウ化物分布C1を、第1図に示す。注目すべきことに、最高ヨウ化物濃度は、エッジ−エッジプロットE1の平板状粒子周囲エッジに観察される。一方、コーナー−コーナープロットC1は、平板状粒子周囲でヨウ化物含量は顕著には変化しない。明らかに、これらの独特の平板状粒子における最高ヨウ化物濃度は、平板状粒子のエッジに位置しているが、平板状粒子のコーナー内のヨウ化物濃度は、平板状粒子の周囲エッジに沿って観察されるいずれの場所よりも明らかに顕著に低い。
実施例2
本実施例では、実施例1で示した本発明の要件であるヨウ化物の配置に加えて、SETドーパントを添加し且つ+0.87ボルトより正の値が小さい酸化電位を示す分光増感色素を選択することにより、さらに感度が増加することを示す。
乳剤C
この乳剤は、本発明の要件であるヨウ化物の配置を満足するが、SETは含有しなかった。
攪拌機を備えた容器に、酸化骨ゼラチン3.4gと、臭化ナトリウム6.7gと、界面活性剤Pluronic 31R1(商標)(上記式X参照)0.5gと、45℃でpHを1.85とするに十分な量の硝酸とを含有する水6リットルを入れた。温度を45℃に保持しながら、硝酸銀水溶液(硝酸銀2.88g含有)68mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム1.75g含有)68mlとを、1分間かけて一定速度で同時に添加した。混合物を1分間保持・攪拌し、その間に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム8.64g含有)84mlを添加した。その後、混合物の温度を、9分間かけて60℃に上昇させた。次に、硫酸アンモニウム水溶液(硫酸アンモニウム10g含有)100mlを添加し、混合物のpHを水酸化ナトリウムにより9.5に調整した。このようにして調製した混合物を、9分間攪拌した。ゼラチン水溶液(酸化骨ゼラチン100g含有)500mlを添加し、混合物を1分間攪拌後、硝酸を用いてpHを5.85に調整した。混合物を、1分間攪拌した。その後、硝酸銀水溶液(硝酸銀7.65g含有)180mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム3.96g含有)192mlとを、15分間かけて同時に添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀79.8g含有)294mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム52g含有)288mlとを、それぞれ初期速度4ml/分及び4.3ml/分から、24.5分間直線的に加速して同時添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀1146g含有)2802mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム716.9g含有)2784mlとを、それぞれ初期速度10ml/分及び10.2ml/分から、82.4分間直線的に加速して同時添加した。続いて、攪拌しながら、1分間保持した。
次に、ヨウ化カリウム水溶液(ヨウ化カリウム62.4g含有)200mlを、2分間かけて一定流量で添加した。この溶液は、反応容器の混合が最もよくなされるような位置に排出した。10分間保持した後、硝酸銀水溶液(硝酸銀540.6g含有)1325mlを、26.5分間かけて一定流量で添加した。次に、硝酸銀添加開始6.5分後に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム253.6g含有)985mlを、20.0分間かけて一定速度で添加した。
このようにして得られたハロゲン化銀乳剤は、ヨウ化物含量3.6モル%であった。この乳剤の粒子特性を、表IVに示す。
乳剤D
本乳剤は、SETドーパントをさらに添加した以外は乳剤Cと同様にして調製した。
ヨウ化カリウム溶液を添加する前に、ヘキサシアノルテニウム酸カリウム0.22g(総銀基準で5.1×10-5モル/モル銀)含有する水溶液を、混合物に添加した。
この乳剤の粒子の特性を、表IVに示す。
Figure 0003597538
写真比較
表IVに挙げた乳剤を、最適イオウ及び金増感並びに最後に存在する増感色素として、SS−1とSS−2とをモル比9:1で組み合わせて使用して赤色増感した。透明フィルム支持体上の単一層塗膜には、シアン色素形成カプラー(CC−1)(塗布量9.69mg/dm2)と銀塗膜(塗布量10.76mg/dm2)とを用いた。
各塗膜試料を、目盛付濃度試験物体と、560nmより長い波長を顕著に透過するWratten23A(商標)フィルターとを介してタングステン光源により露光した。処理は、Eastman Flexicolor(商標)カラーネガ処理化学薬品及び方法を用いて行った。
センシトメトリー感度比較を、表Vに示す。感度は、実施例1と同様にして測定した。
Figure 0003597538
実施例3
本実施例は、SETドーパントのレベルと配置状態の変化の影響を示す。
ヘキサシアノルテニウム酸カリウムドーパントのレベルと配置状態を変化させた以外は、全ての乳剤を実施例2と同様にして調製し評価した。
顕著に変化させたパラメータと得られた写真感度を、表VIにまとめて示す。
Figure 0003597538
ドーパント分布は、ドーパント導入の開始時と終了時に反応容器に存在する総銀の%を基準としたドーパント導入間隔を示す。
表VIから、SETドーパントにより、全ての濃度及び全てのドーパント分布で、感度が増加したことが明らかである。しかしながら、粒子表面のより近くにSETドーパントをより高濃度で用いた乳剤Lは、残りのドープした乳剤よりも感度の増加が低かった。このことは、SETドーパント濃度は、粒子の表面に隣接するところに限定されなければならないことを示している。ドーパントの導入に続いて総銀の少なくとも30%を導入したときに、最高感度が観察された。
実施例4
本実施例の目的は、スペクトルの青色及び緑色領域を分光増感すると本発明の乳剤の感度が高まることを示すことである。
乳剤M
本乳剤は、比較のために調製されるものである。以下で説明する本発明の乳剤とは異なり、SETドーパントを含有しない。
攪拌機を備えた容器に、酸化骨ゼラチン6.8gと、臭化ナトリウム6.7gと、界面活性剤PLURONIC 31R1(商標)(上記式VIII参照)2gと、45℃でpHを1.85とするに十分な量の硝酸とを含有する水6リットルを入れた。温度を45℃に保持しながら、硝酸銀水溶液(硝酸銀3.60g含有)42.4mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム2.29g含有)42.7mlとを、1分間かけて一定速度で同時に添加した。混合物を1分間保持・攪拌し、その間に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム8.82g含有)86mlを添加した。その後、混合物の温度を、9分間かけて60℃に上昇させた。次に、硫酸アンモニウム水溶液(硫酸アンモニウム10.2g含有)101mlを添加し、混合物のpHを水酸化ナトリウムにより9.5に調整した。このようにして調製した混合物を、9分間攪拌した。ゼラチン水溶液(酸化骨ゼラチン100g含有)1594mlを添加し、混合物を1分間攪拌後、硝酸を用いてpHを5.85に調整した。混合物を、1分間攪拌した。その後、硝酸銀水溶液(硝酸銀12.86g含有)151.4mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム13.7g含有)256mlとを、15分間かけて同時に添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀79.54g含有)936.2mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム56.6g含有)1058mlとを、それぞれ初期速度11.51ml/分及び12.84ml/分から、続いての32分間直線的に加速して同時添加した。次に、硝酸銀水溶液(硝酸銀1156g含有)2834mlと臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム736.8g含有)2864mlとを、それぞれ初期速度10.1ml/分及び9.66ml/分から、続いての82.4分間直線的に加速して同時添加した。
次に、セレノシアン酸カリウム水溶液(セレノシアン酸カリウム0.305g含有)265mlを、2分間かけて添加した。
次に、ヨウ化カリウム水溶液(ヨウ化カリウム65.5g含有)143.5mlを、2分間かけて一定流量で添加した。この溶液は、反応容器の混合が最もよくなされるような位置に排出した。10分間保持した後、硝酸銀水溶液(硝酸銀545.0g含有)1337mlを、26.5分間かけて一定流量で添加した。次に、硝酸銀添加開始9.0分後に、臭化ナトリウム水溶液(臭化ナトリウム218.7g)含有850mlを、17.5分間かけて一定速度で添加した。得られたハロゲン化銀乳剤は、ヨウ化物含量3.7モル%であった。次に、乳剤を洗浄した。
この乳剤の粒子特性を、表VIIに示す。
乳剤N
本乳剤は、SETドーパントを含有する本発明による乳剤である。
以下の点を除いて、乳剤Mと同様にして乳剤を調製した:セレノシアン酸カリウム溶液を省略し、ヘキサシアノルテニウム酸カリウム0.22g(総銀基準で50mppmに相当する)を含有する水溶液61mlを、混合物に、総銀の66〜68%の添加に相当する時間の間に添加した。
この乳剤の粒子特性を、表VIIに示す。
Figure 0003597538
写真比較
表VIIに挙げた乳剤を、最適分光及び化学増感した。化学増感剤は、通常のイオウ及び金増感剤であった。分光増感剤は、緑色色素か青色色素を含んでいた。
緑色増感色素は、モル比4.5〜1で使用した。より多くの量で存在する緑色増感色素はSS−11であり、より少ない量で存在する緑色増感色素はSS−12であった。
青色増感色素は、アンヒドロ−5,5'−ジクロロ−3,3'−ビス(3−スルホプロピル)チアシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩(Eox=1.39ボルト、Ered=−1.38、Eox−Ered=2.77ボルト)(SS−13)であった。
増感乳剤をシアン色素形成カプラー(CC−1)と一緒にし、写真フィルム支持体上に、銀塗布量807mg/m2(75mg/ft2)で塗布した。各塗膜試料を、タングステン光源により、50分の1秒間露光した。青色増感フィルム試料は、390nmよりも長い波長を透過するWratten2B(商標)フィルターを介して露光した。緑色増感フィルム試料は、Wratten9(商標)フィルターを介して露光した。露光フィルム試料を、Kodak Flexicolor C−41(商標)カラーネガ処理により、3分15秒間現像した。
感度を、上記したようにして測定した。
Figure 0003597538
青色又は緑色分光増感乳剤にSETドーパントが存在することにより、感度が増加することが明白である。
実施例5
本実施例の目的は、Eox−Ered<2.10ボルトのシアニン色素は、本発明のSETドープ乳剤において、この関係を満足しないシアン色素よりも予想外に大きい感度の増加を示すことである。特記のない限りは、乳剤の特徴、フィルム構成、露光及び処理の詳細については、前記の実施例で説明した通りである。
2組の乳剤を選択して比較した:
Figure 0003597538
分光増感に用いたシアニン色素の特性を、以下にまとめて示す:
Figure 0003597538
写真比較
Figure 0003597538
表XIから、本発明の乳剤において、SETドーパントは、+0.87ボルトよりも正の値が小さい酸化電位(Eox)を示し且つ酸化還元電位差(Eox−Ered)が2.10ボルト未満である一種以上の分光増感色素との組み合わせにおいて予想以上に大きく感度を高めることが明らかである。

Claims (3)

  1. 分散媒とハロゲン化銀平板状粒子とを含んでなり、ハロゲン化銀粒子が岩塩型構造の面心立方結晶格子を有し、かつ、該平板状粒子のエッジとコーナーを形成している表面に隣接してヨウ化物を含有する、写真感度の高い乳剤であって、
    平板状粒子が、
    それらのエッジに沿って最大表面ヨウ化物濃度を有し、
    それらのコーナー内の表面ヨウ化物濃度がそれらのエッジに沿った他の場所よりも低く、そして
    銀基準で500mppm以下の総濃度で存在し、かつ、表面濃度が最後に析出した5%の銀基準で100mppm未満に限定された、浅い電子トラップ部位を提供することができるドーパントを含有する
    ことを特徴とする乳剤。
  2. 前記平板状粒子のコーナーの表面ヨウ化物 濃度が最大エッジ表面ヨウ化物濃度よりも少なくとも1. 0モル%低いことをさらに特徴とする請求項1に記載の乳剤。
  3. 前記浅い電子トラップ部位を提供すること ができるドーパントが銀基準の総濃度10〜300mppmで存 することをさらに特徴とする請求項1又は2に記載の乳剤。
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