JP3598396B2 - 温熱治療用アプリケータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温熱治療用アプリケータに関し、詳しくは、主として、先端を生体における病巣部に刺入し、当該先端から誘導電流を流すことにより病巣部の温度を上昇させ、これにより前記病巣部の組織を熱凝固させ壊死せしめるための熱凝固治療用アプリケータに関する。
【0002】
なお、本発明のアプリケータは、管腔臓器(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)あるいは実質臓器(肝臓、膵臓、胆道系)の潰瘍部や腫瘍部等に適用されるが、どちらかといえば、本発明のアプリケータにより病巣部の組織が熱凝固することから、肝臓などの実質臓器に存在する病巣部に適用することが好適である。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、悪性腫瘍や前立腺肥大症の治療として、生体の一部又は全体を加温する温熱治療法の有用性が明らかにされ、多くの疾患に有効な治療法として基礎医学的な確認がなされている。
【0004】
説明を加えると、近年、悪性腫瘍、例えば肝臓癌に対してマイクロ波を照射し、これにより組織を熱凝固せしめるといった治療がなされている。すなわち、肝臓癌における経皮的治療において、癌組織に針状のマイクロ波電極を刺入し、この電極の先端から癌組織に向けてマイクロ波(2450MHz)を照射する。これによって2450MHzで荷電体である電子、原子核、イオン等の特に水分子間の摩擦熱で周辺組織が過熱され、延いては当該癌組織の熱凝固をもたらし壊死させるといった治療がなされていた。
【0005】
しかしながら、一般に使われる1.6mm径の経皮用マイクロ波電極では凝固径が1cm前後しか確保できず、しかも円柱状あるいは紡錘形状であり(図25参照)、通常発見される肝腫瘍2cm前後の球状の腫瘍を凝固しようとすると、腫瘍に対し、数本の電極刺入での凝固または複数日にわたる複数回の凝固が必要となり、また複数回にわたって腫瘍を穿刺することによる出血と腫瘍細胞の播種(ばらまき)と生体に及ぼす侵襲、そして手技の煩雑さが問題であった。
【0006】
マイクロ波の照射の他にRF波を照射するといった治療もある。癌組織に対しRF波電極からRF波を照射するわけであるが、当初、RF波照射用の電極は、マイクロ波電極と同様、針状の電極が用いられていた。しかし、高周波の特性により組織内の熱発生効率が悪く、電極部周辺部のみの熱凝固しか起こらないため、この問題を解消すべくRF波電極の改良がなされた。すなわち、針状の形状から、傘状に拡開可能な、詳細には、RF波電極の先端が多数本に分割され、かつその各々がU字状に湾曲した電極が円周方向の所定間隔ごとに並設された形状に拡開可能なRF波電極が開発された。つまり、RF波電極を針状の状態で癌組織内に刺入し、刺入後、先端を傘状(放射状)に拡開して広い範囲にRF波を照射することができるようにしたRF波電極が開発された。これにより、癌組織に対する熱凝固域をより広く確保することが可能となった(図26参照、この図によれば、RF波照射による熱凝固領域が三つ葉のクローバー状(平面視)であることがわかる)。
【0007】
しかしながら、例えば肝細胞癌では比較的に腫瘍自体の硬度が低いため、刺入後のRF波電極の拡開操作が容易であるが、例えば、胆管細胞癌や転移性肝臓癌は硬度が高いため、刺入後のRF波電極の拡開操作が困難な場合があった。また前述したように、RF波照射による方がマイクロ波照射よりも広い範囲の熱凝固領域が得られるといっても、RF波照射による熱凝固は電極周辺部のみの凝固にとどまる傾向にあり、まだまだ十分に満足のいくものではなかった。
【0008】
なお、腫瘍中心部を熱凝固させることにより組織破壊が起こり、これに伴って腫瘍の硬度が低下するので、この硬度低下作用を利用して、最初、腫瘍部にマイクロ波電極を刺入してマイクロ波を照射し、これによって腫瘍硬度を低下させたのち、マイクロ波電極をいったん抜き取り、つぎに別途新たにRF波電極を刺入して当該RF波電極の先端を拡開せしめ、そしてRF波を照射して広範囲な熱凝固を得ようとする方法が提案された。
【0009】
しかしながら、上記の方法によれば、マイクロ波照射作業とRF波照射作業の間に(両治療間に)、電極の刺入およびこれに伴う諸々の操作といった準備のための余計な時間を必要とし、1分1秒を争うこのような経皮的又は生体肝への穿刺治療において十分な治療効果を得ることが困難となるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明者は、マイクロ波とRF波の双方を1つの病巣部に対して1回ずつ、あるいは繰り返して照射することにより、予想以上の大きさを持つ熱凝固領域が得られることを見い出し、またさらには、マイクロ波の照射作業とRF波の照射作業とを速やかに切り換え得る(マイクロ波の照射作業とRF波の照射作業との間の無駄な時間を最大限に少なくするかあるいは皆無にして速やかに治療を終わらせることができる)温熱治療用アプリケータを見い出し、そして本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1記載の温熱治療用アプリケーター(以下、単に「アプリケータ」ともいう)は、先端を生体における病巣部に刺入し、当該先端から誘導電流を流すことにより病巣部の温度を上昇させ、これにより前記病巣部の組織を壊死せしめる温熱治療用アプリケータであって、マイクロ波照射用電極と、先端が放射状に拡開可能なRF波照射用電極とが、1本の筒状をなす外套針の内部に挿通され、前記外套針の一度の刺入によって、マイクロ波の照射とRF波の照射との双方を行なうことができ、前記RF波照射用電極が円筒状をなし、当該RF波照射用電極の径方向内側にマイクロ波照射用電極が同軸状に挿通され、前記マイクロ波照射用電極、RF波照射用電極および外套針により3重針を構成してなり、前記RF波照射用電極は、その外周面上に、径方向外方に延びる凸片を備え、 前記外套針は、前記凸片が突出する穴を備えるとともに、該外套針の内部に水を注入することができる注水口が前記穴より先端側に設けられ、これにより、前記注水口から外套針の内部に入った水は、前記外套針の先端開口部から排出され、また、前記外套針は、前記穴より先端側において、外套針の内面から前記RF波照射用電極の外周面にまで達する円環状突起物を備え、これにより、注水口から外套針の内部に入った水が逆流して穴から漏れないように阻止できるようにしたものである。
【0013】
請求項2記載のアプリケータは、請求項1記載のアプリケータにおいて、先端に温度センサー部を備えた少なくとも1本のリード線が前記外套針の内部に挿入されてなり、当該外套針の刺入後において、前記リード線の押し込みにより病巣部の外周縁近傍に位置する非病巣部に前記温度センサー部を配置させることができるようにしたものである。
【0015】
[作用]
請求項1記載のアプリケータは、マイクロ波照射用電極と、RF波照射用電極とが、1本の筒状をなす外套針の内部に挿通されているので、外套針を病巣部に対して刺入しマイクロ波照射作業を行なった後、当該外套針を前記病巣部から抜き取ることなく、次のRF波照射作業に入ることができる。これにより、マイクロ波の照射作業とRF波の照射作業との間の無駄な時間を少なくすることができ、優れた治療効果を得ることができる。
【0016】
請求項2記載のアプリケータにあっては、マイクロ波照射用電極、RF波照射用電極および外套針によって内外3重構造を形成しているので、当該外套針内部の無駄なスペースが少なくなり、これによって外套針の径を小さくすることができる。
【0017】
請求項3記載のアプリケータにあっては、外套針の刺入後において、温度センサー部を病巣部の外周縁近傍に位置する非病巣部に配置(位置)させることができるので、当該非病巣部の温度変化を外部モニターにより監視することにより、マイクロ波の照射およびRF波の照射による病巣部の熱凝固域の確認が容易となる。つまり、病巣部の外周縁近傍に位置する非病巣部の熱凝固が確認されれば、当然のことながら、その内側の病巣部は十分に熱凝固され壊死していることが容易に推察される。したがって、従来なら施術後、患者を別途CT室に移動させ、造影CTスキャンによって熱凝固領域を確認しなければならなかったが、温度センサーを設けることによりその必要が無くなり、病巣部の熱凝固状態がリアルタイムで把握でき、患者の負担も軽くなる。
【0018】
請求項4記載のアプリケータにあっては、外套針が注水口あるいは注水チューブを備え、外套針の内部に注入した水を外套針の先端から排出することができるように構成されているので、熱凝固領域の拡大を図ることができる。
【0019】
すなわち、RF波照射の熱凝固は、組織での高周波の放射に伴う発熱作用によるものであるため、組織が炭化して抵抗が増すと電流が流れにくくなり、その周辺部のみの熱凝固にとどまる傾向がある。一方、マイクロ波照射の熱凝固は、水分子の超高速振動による摩擦熱によるものであるため(熱伝導体は水分子であるため)、水分不足によって熱凝固の進行が滞ってしまう。
【0020】
しかしながら、上述したように請求項4に記載のアプリケータは注水口あるいは注水チューブを備え、外套針の内部に注入した水を外套針の先端から排出することができるように構成されているので、一度凝固した部分に水を注入することでRF波の抵抗の上昇を防ぐことができ、またマイクロ波の熱伝導が良好となり、カラ焼けも防止でき、熱凝固領域の拡大を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
外套針(シース)
外套針(シース)は、例えば円筒形状をなし、その直径(外径)は、およそのところ1〜5mmであり、3mm以下であることが好ましい。また、外套針の内径については、当該外套針の内部に、後述するマイクロ波電極とRF波電極とが収まり、かつ両電極の動きに支障がないスペースを保持した程度の大きさを有する必要がある。
【0022】
マイクロ波の照射
マイクロ波組織凝固法(MCT)とは、マイクロ波を水分量の多い生体組織に集束的に照射し、これにより発生する熱によって病巣部が熱変性による代謝障害を起こして凝固壊死することに基づいて腫瘍を治療(除去)する方法である。
【0023】
本発明においてマイクロ波とは、電磁波における周波数0.3GHz〜30GHz、波長30〜1cmのものをいう。なお、2450MHzのマイクロ波は、特に工業、科学、医学用などに使用できる特定電波(ISMバンド)として国際的に認められている。
【0024】
マイクロ波の照射出力や照射時間としては、少なくとも組織の炭化を起こさない範囲で以て選択する必要がある。具体的には、マイクロ波電極の先端部を構成する針の長さや太さ、腫瘍の種類や大きさ等により変わるので一概に言えないが、およそのところ、照射出力10〜100W、照射時間10〜600秒である。
【0025】
通常、マイクロ波電極の直径は1.6mm〜2.0mmのものが使用されるが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、マイクロ波は同軸ケーブルを介してマイクロ波発振器(マイクロ波発生装置)からマイクロ波電極に伝送される。
【0026】
RF波の照射
一方RF波(ラジオ波)は、電磁波における周波数0.5KHz〜20MHz、波長1m〜100kmのものをいう。
【0027】
RF波の照射出力や照射時間としては、マイクロ波の場合と同様、電極の先端部を構成する針の長さや太さ、腫瘍の種類や大きさなどにより変わるので一概に言えないが、およそのところ照射出力10〜100W、照射時間10〜600秒である。RF波は同軸ケーブルを介してRF波発振器(RF波発生装置)からRF波電極に伝送される。
【0028】
RF波電極は、その先端が形状記憶金属よりなり、(その先端が)常に放射状に拡開する方向に形状記憶している。また、RF波電極は、その先端が分割されて複数本(およそのところ3本〜12本)の先細片によって構成され、当該先端部が外套針の内部に収納されている状態においては、各先細片は、外套針の長手方向に延びた形状をとっており(つまり、外套針の内面によってRF波電極の先端が拡開するのを阻止され、RF波電極の先端は筒状を形成しており)、またこの先端部が外套針の先端開口部から突出した状態にあっては、前記先細片は、もはや拡開を阻止するものがなくなって外側に湾曲したりあるいは逆U字状に反り返った形状を呈し、RF波電極の先端部が放射状に(傘状に)拡開する。
【0029】
【実施例】
本発明の一実施例を以下に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0030】
アプリケータの構造
図1に本発明の一実施例であるアプリケータ(10)の斜視図を示し、その要部分解図を図2に示す。図示されているように、本実施例のアプリケータ(10)は、大きく分けて、外套針(12)と、RF波電極(14)と、マイクロ波電極(16)とにより構成する(図2参照)。
【0031】
図1に示すように、例えば直径2〜4mm、長さ10〜30cmの円筒状の外套針(12)の径方向内方に、円筒状をなすステンレス製のRF波電極(14)が同軸状に挿通されている。また、細長棒状をなすマイクロ波電極(16)が、前記RF波電極(14)の径方向内方に同軸状に挿通されている。外套針(12)の内部に収納されたマイクロ波電極(16)およびRF波電極(14)は、それぞれ別々に、長手方向(前後方向)に移動できるように構成されている。すなわち、例えばマイクロ波電極(16)は、図4に示すようにこれと連結された円柱状をなす取手部(17)の操作により、外套針(12)の内部を長手方向に移動できるようになっている。
【0032】
またRF波電極(14)は、操作側(図1、図2にあっては右側)における外周面上に、径方向外方に延びる凸片(18)を備えており、この凸片(18)が、外套針(12)に設けられた長穴(20)から突出している(図5参照)。この長穴(20)は外套針(12)の周壁を貫通し、かつ長手方向に延びる穴である。凸片(18)における長穴(20)から突出した部分を手で持って前後させることにより、これに伴ってRF波電極(14)が前後する仕組みになっている。
【0033】
図1における符号(22)はマイクロ波コネクタであり、マイクロ波発振器(後述する)から延びる同軸ケーブル(24)とマイクロ波電極(16)とがこのマイクロ波コネクタ(22)によって電気的に連結されている。
【0034】
また、符号(26)はRF波コネクタであり、RF波発振器(後述する)から延びる同軸ケーブル(28)とRF波電極(14)から延びる同軸ケーブル(30)とがこのRF波コネクタ(26)によって電気的に連結されている。
【0035】
マイクロ波電極(16)は、例えば長さ25cm、太さ1.0mm〜2.0mmの大きさを有し、先端(16a)から操作側1cmのところに絶縁部(16b)を有している。病巣部に対してマイクロ波を照射することにより、この絶縁部(16b)を中心にして円柱状又は紡錘形状に熱凝固が起こる。なお、外套針(12)は、病巣部への刺入が容易となるように、図3に示すようにその先端(12a)が斜めにカットされ鋭く尖った外套針(12’)を使用することもできる。
【0036】
RF波電極(14)は、その先端(14a)が、例えば8本の先細片(15)により構成されている。これら8本の先細片(15)は、円周方向所定間隔ごとに並設されてなるものであり、その各々は形状記憶金属によって構成され、放射状(傘状、ラッパ状)に拡開可能となっている。すなわち、RF波電極(14)の先端(14a)は、図5(a)に示すように外套針(12)の内部に収納されている状態では、ほぼ円筒状を保持しているが、前述したように凸片(18)の操作によってRF波電極(14)を長手方向に移動させ、その先端(14a)を外套針(12)の先端(12a)から突出させた状態にあっては、RF波電極(14)の先端(14a)を構成する先細片(15)の各々は、図5(b)に示すようにその基部より先端側にかけて逆U字状に湾曲し、先端(14a)の全体としては放射状(傘状)に拡開する。また、前記凸片(18)の操作によってRF波電極(14)を長手方向操作側(手前側)に引けば、RF波電極(14)の先端(14a)は外套針(12)の内部に入り込むわけであるが、この際、RF波電極(14)の先端は(14a)再度、図5(a)に示したように、円筒状を保持した状態で外套針(12)の内部に収納されることになる。
【0037】
なお、RF波電極(14)はRF波発振器(後述する)と電気的に連結されているが、RF波電極(14)の長手方向の移動は、図6に示されているように、コイルバネ状に巻回された電極用リード線(32)を介して行われるので、前記電極用リード線(32)の引張力によってRF波電極(14)が元の位置に戻らないように、RF波電極(14)の先端(14a)を外套針(12)の先端開口部(12a)から突出させた状態を保持しておく手段を設けておくことが好適である。例えば、図7に示すように、外套針(12)に設けた長穴(20)の先端側(病巣部側、下流側)に円周方向に突出した係止穴(20a)を設け、この係止穴(20a)に凸片(18)を収納する手段を採ってもよい。また、図8に示すように、長穴(20)の先端側(病巣部側、下流側)の近傍に、外套針(12)から径方向外方に真っ直ぐ延びる係止棒(20b)を立設し、一方、RF波電極(14)の凸片(18)の上端を図示したように、回動支持軸(18a)を利用して横倒しできるように構成し、前記凸片(18)を長穴(20)の病巣部側に到達した際に、凸片(18)の上端部を横倒しにして前記係止棒(20b)に引っ掛けてRF波電極(14)が戻らないように構成することもできる。
【0038】
RF波電極(14)の先端(14a)を構成する先細片(15)の本数としては、上述したように8本(図9(c)参照)に限らず、例えば3本(図9(a)参照)、あるいは6本(図9(b)参照)でもかまわず、またこれ以外の本数でもかまわないが、いずれにしても、円周方向において偏り無く均等に(所定間隔毎に)配置させておくことが好ましい。
【0039】
上記した実施例では、RF波電極(14)の先端(複数の先細片(15))を、外套針(12)の先端開口部(12a)から突出するように構成したが、これに限らず、例えば図10および図11に示すように、外套針(12)の、先端開口部(12a)から手前側(操作側)の位置に、円周方向に延びる複数個のサイドホール(36)を並設し、1つのサイドホール(36)から1本の先細片(15)を突出できるように構成することもできる。
【0040】
外套針(12)に注水用の開口部を設け、外套針(12)の内部に注入した水を外套針(12)の先端(12a)から排出することができるように構成することもできる。これにより、熱凝固領域の拡大を図ることができる。外套針(12)の内部に水を送り込む方法として特に限定はなく、例えば、図12に示すように注水口(38)を設ける方法がある。すなわち、例えば長穴(20)より先端側(病巣側)に外套針(12)を径方向に貫通する孔をあけ、これを注水口(38)とすることができる。この場合、注入した水が逆流して長穴(20)から漏れないように、長穴(20)より先端側において、外套針(12)の内面からRF波電極(14)の外面にまで達する円環状突起物よりなる流水阻止材(40)を設けることが好適である。また、図13に示すように、注入した水をRF波電極(14)の先端に効率よく導くべく、当該RF波電極(14)の先細片(15)の外側面上に水案内溝(15a)を設けることも好適である。
【0041】
外套針(12)の内部に水を送り込む別の方法としては、上記した手段のほか、図14に示すように、複数本(あるいは1本)の極細の注水チューブ(42)を利用することもできる。
【0042】
癌組織に対する熱凝固治療
次に、本発明のアプリケータ(10)を用いて癌細胞を熱凝固せしめる方法を図面に基づいて説明する。
【0043】
まず、図18に示すように、RF波発振器(44)における対極板(46)(体外アプリケータ)を生体の外表面に貼り付ける。その後、超音波エコー検査機器における画像モニター(図示せず)を見ながら、図15に示すように経皮的にアプリケータ(10)を病巣部(C)(癌組織)に対して刺入する。その後、図16に示すようにマイクロ波電極(16)を長手方向に移動させ、その先端(16a)を外套針(12)の先端開口部(12a)から突出させる。この状態で、アプリケータ(10)に(外套針(12)に)水を注入しながら、マイクロ波発振器(50)をONにしてマイクロ波電極(16)の先端(16a)からマイクロ波(2450MHz)を所定時間照射する(例えば、照射出力:60W、照射時間180秒)。これにより、病巣部である癌組織は熱凝固を起こす。このときの組織がさらされる熱凝固温度は、およそのところ70℃であり、熱凝固の形状は円柱型あるいは紡錘形である。
【0044】
マイクロ波照射による癌組織の熱凝固がある程度進行したら、外套針(12)およびマイクロ波電極(16)をそのままの状態にして(つまり、外套針(12)およびマイクロ波電極(16)を引き抜くことなく)、RF波電極(14)を長手方向に移動させ、図17に示すように、その先端(14a)を外套針(12)の先端開口部(12a)から突出させる。RF波電極(14)の先端(14a)を外套針(12)から突出させることにより、上述したように当該電極(14)の先端(14a)は放射状(傘状)に拡開する。そして、交換スイッチ(54)により、照射しようとする電磁波を、マイクロ波発振器(50)のマイクロ波からRF波発振器(44)のRF波(ラジオ波)に切り換え、RF波電極(14)の先端(14a)からRF波(13.56MHz)を所定時間照射する(例えば、照射出力:40W、照射時間120秒)。これにより、病巣部が加熱され(このとき、組織がさらされる熱凝固温度は、およそのところ65℃である)、マイクロ波の照射によって得られた熱凝固領域(円柱状領域あるいは紡錘状領域)がさらに拡がり、最終的には球状の熱凝固領域が得られ、癌組織およびその周囲の組織を完全に壊死させることができる。
【0045】
なお、熱凝固領域のチェック(治療が完全に行われた否かのチェック)は造影CTにより確認することができるが、この造影CTは、治療後、通常いったん外套針(12)を抜き取り、患者をCT室に移してから行なわなければならない。そこで、もし仮に、十分な熱凝固領域が得られていないことがこのCTによるチェックによって判断されれば、患者を手術室に移動させ、病巣部(C)に対して再度外套針(12)を刺入し、マイクロ波の照射および/またはRF波の照射を行わなければならず、患者の負担は大きなものであった。
【0046】
温度センサーによって熱凝固領域をチェックしながら行なう治療
温度センサーを病巣部(C)およびその近傍に配置させ、外部モニターにより熱凝固領域を逐次チェックすることにより、わざわざ造影CTによって確認するといった煩わしさを解消することができる。 以下、温度センサーを具備したアプリケータ(10)について、図面に基づいて説明する。
【0047】
図19および図20は、外套針(12)の一部拡大図である。図示されているように、外套針(12)の先端開口部側にセンサー挿通孔(60)が穿設されている。符号(62)は、外套針(12)に挿入された温度センサーリード線であり、センサー挿通孔(60)の数と同じ本数が挿入されている。センサー挿通孔(60)は、本実施例の場合3個あけられている。温度センサーリード線(62)の先端を構成する温度センサー部(62a)が、前記センサー挿通孔(60)にそれぞれ位置している。
【0048】
温度センサーリード線(62)は、図23に示すようにパーソナルコンピュータ(64)とつながっており、マイクロ波の照射およびRF波の照射による熱凝固領域がこのパソコン(64)のモニター(66)で認識できるようになっている。
【0049】
すなわち、上記した実施例と同様、まずRF波発振器(44)における対極板(46)(体外アプリケータ)を身体の外表面に貼り付け、その後、超音波エコー検査機器における画像モニター(図示せず)を見ながら、経皮的にアプリケータ(10)を癌組織に対して刺入する。その後、マイクロ波電極(16)を長手方向に移動させ、その先端(16a)を外套針(12)の先端開口部(12a)から突出させる。そして、温度センサーリード線(62)を押し込んで、温度センサー部(62a)の各々をセンサー挿通孔(60)から突出させ(図21参照)、更なる押し込みによって温度センサー部(62a)を所定の位置に配する(図22参照)。温度センサーリード線(62)は、比較的強い剛性を持つ素材によって作られたものであるため、アプリケータ(10)から出ている部分(操作側の部分)を手で持って押し込むことにより、温度センサー部(62a)は容易に生体内をアプリケータ(10)から遠ざかるように進むことができる。温度センサー部(62a)が所定の位置に配されているかどうかは、例えば、超音波エコー検査機器における画像モニター(図示せず)を見ながら確認することができる。なお、温度センサー部(62a)は、少なくとも、病巣部(C)の左右両側(アプリケータ(10)の刺入方向からみた左右両側)のどちらか一方の近傍における非病巣部(C)に1ヶ所配置させることが好適であり、本実施例では、病巣部(C)(癌組織)の内部に1ヶ所、病巣部(C)の左右両側(アプリケータ(10)の刺入方向からみた左右両側)の近傍における非病巣部(C)の各々1ヶ所に温度センサー部(62a)を配置している。
【0050】
この状態で、アプリケータ(10)に(外套針(12)に)水を注入しながら、マイクロ波発振器(50)をONにしてマイクロ波電極(16)の先端(16a)からマイクロ波を所定時間照射し、ついで外套針(12)およびマイクロ波電極(16)をそのままの状態にして(つまり外套針(12)およびマイクロ波電極(16)を引き抜くことなく)、RF波電極(14)を長手方向に移動させ、その先端(14a)を外套針(12)の先端開口部(12a)から突出させる。そして、交換スイッチ(54)により、照射しようとする電磁波を、マイクロ波発振器(50)のマイクロ波からRF波発振器(44)のRF波に切り換え、注水しながらRF波電極(14)の先端(14a)からRF波を所定時間照射する。この間、常にパソコン(64)のモニター(66)を監視し、該モニター(66)に映し出された各温度センサー部(62a)の感知(検知)温度によって熱凝固領域を認識しておく必要がある。そして、病巣部(C)およびその周辺組織の熱凝固が完了したと判断されれば、マイクロ波およびRF波の照射を中止する。もちろんこの場合にあっては、熱凝固領域のCTによる確認は必要が無い。
【0051】
本発明のアプリケータによって得られた病巣部の熱凝固領域を図24に示す。この図24は、実際の病巣部(肝臓癌)を本実施例のアプリケータによって熱凝固させた後に撮影したカラー写真をコピーしたものであるが、この図24で示される熱凝固領域と、従来技術のところで挙げた図25および図26の各々によって示される熱凝固領域とを比較することにより、本発明のアプリケータを使用して得た熱凝固領域が他とは異なり球状をなしており、いかに広範囲であるかがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような作用効果を奏する。
【0053】
▲1▼外套針の一度の刺入によってマイクロ波の照射とRF波の照射との双方を行なうことができる。
【0054】
▲2▼刺入した外套針を利用して、病巣部に、水、温水、アルコールあるいは抗ガン剤を注入することができる。
【0055】
▲3▼刺入した外套針を利用して、中途にて凹部を備えた組織採取棒の挿入および引き出しが可能となり、所謂“生検”が可能となる。
【0056】
▲4▼刺入した外套針を利用して、熱凝固後、出血に対する止血剤を注入することができる。
【0057】
▲5▼温度モニターにより、熱凝固領域のチェックが可能となり、治療が完全に行なわれたことを造影CTすることなく把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアプリケータの一実施例を示す一部断面斜視図である。
【図2】図1のアプリケータの分解斜視図(部分)であり、(a)はマイクロ波電極、(b)はRF波電極、(c)は外套針である。
【図3】外套針の他の形状を示す斜視図である。
【図4】外套針の内部におけるマイクロ波電極の移動状況を示す略示説明図であり、(a)はマイクロ波電極の先端が外套針の内部に収納されている状態を示す図であり、(b)はマイクロ波電極の先端が外套針の先端開口部から突出している状態を示す図である。
【図5】外套針の内部におけるRF波電極の移動状況を示す略示説明断面図であり、(a)はRF波電極の先端が外套針の内部に収納されている状態を示す図であり、(b)はRF波電極の先端が外套針の先端開口部から突出している状態を示す図である。
【図6】RF波電極がコイルバネ状に巻回された電極用リード線を介してRF波発振器とつながっている状態を示す略示説明図である。
【図7】移動させたRF波電極を保持するための手段を示す部分斜視図である。
【図8】移動させたRF波電極を保持するための他の手段を示す部分斜視図である。
【図9】RF波電極の先端を構成する先細片の本数を示す図(外套針の先端開口部から見た端面図)であり、(a)は3本、(b)は6本、(c)は8本を示す。
【図10】RF波電極の先端を構成する先細片が外套針に設けたサイドホールから出入りする状態を示す斜視図である。
【図11】外套針の先端開口部から見た図であって、前図において先細片(15)がサイドホールから突出した状態を示す図である。
【図12】外套針に注水口を設けた状態を示す外套針の部分断面図である。
【図13】先細片に水案内溝を設けた状態を示す斜視図である。
【図14】注水チューブによって水を外套針の内部に送り込む状態を示す図であって、(a)は外套針の側断面図、(b)は正面断面図である。
【図15】アプリケータを病巣部に刺入した状態を示す説明図である。
【図16】病巣部に刺入したアプリケータからマイクロ波電極を突出した状態を示す説明図である。
【図17】病巣部に刺入したアプリケータからRF波電極を突出させた状態を示す説明図である。
【図18】熱凝固装置の全体を示したブロック図である。
【図19】外套針の内部に温度センサーリード線を挿入した状態を示す略示側断面図である。
【図20】外套針の内部に温度センサーリード線を挿入した状態を示す略示斜視図である。
【図21】病巣部に刺入したアプリケータから温度センサー部を出した状態を示す説明図である。
【図22】病巣部に刺入したアプリケータから温度センサーリード線を出し、その先端を構成する温度センサー部を所定の位置に配した状態を示す説明図である。
【図23】温度センサーを具備するアプリケータを用いた熱凝固装置の全体を示したブロック図である。
【図24】本発明のアプリケータによって得られた病巣部の熱凝固領域を示す参考図である。(a)は実際の病巣部(肝臓癌)を本実施例のアプリケータによって熱凝固させた後に撮影したカラー写真を白黒コピーしたものであり、(b)は熱凝固領域を示した説明図である。
【図25】マイクロ波のみの照射によって得られた病巣部の熱凝固領域を示す参考図である。(a)は実際の病巣部(肝臓癌)をマイクロ波のみの照射によって熱凝固させた後に撮影したカラー写真を白黒コピーしたものであり、(b)は熱凝固領域を示した説明図である。
【図26】RF波のみの照射によって得られた病巣部の熱凝固領域を示す参考図である。(a)は実際の病巣部(肝臓癌)をRF波のみの照射によって熱凝固させた後に撮影したカラー写真を白黒コピーしたものであり、(b)は熱凝固領域を示した説明図である。
【符号の説明】
C……病巣部
10……アプリケータ
12……外套針
14……RF波電極
16……マイクロ波電極
38……注水口
62……温度センサーリード線
62a……温度センサー部
Claims (2)
- 先端を生体における病巣部に刺入し、当該先端から誘導電流を流すことにより病巣部の温度を上昇させ、これにより前記病巣部の組織を壊死せしめる温熱治療用アプリケータであって、
マイクロ波照射用電極と、先端が放射状に拡開可能なRF波照射用電極とが、1本の筒状をなす外套針の内部に挿通され、前記外套針の一度の刺入によって、マイクロ波の照射とRF波の照射との双方を行なうことができ、
前記RF波照射用電極が円筒状をなし、当該RF波照射用電極の径方向内側にマイクロ波照射用電極が同軸状に挿通され、前記マイクロ波照射用電極、RF波照射用電極および外套針により3重針を構成してなり、
前記RF波照射用電極は、その外周面上に、径方向外方に延びる凸片を備え、
前記外套針は、前記凸片が突出する穴を備えるとともに、該外套針の内部に水を注入することができる注水口が前記穴より先端側に設けられ、これにより、前記注水口から外套針の内部に入った水は、前記外套針の先端開口部から排出され、
また、前記外套針は、前記穴より先端側において、外套針の内面から前記RF波照射用電極の外周面にまで達する円環状突起物を備え、これにより、注水口から外套針の内部に入った水が逆流して穴から漏れないように阻止したことを特徴とする温熱治療用アプリケータ。 - 先端に温度センサー部を備えた少なくとも1本のリード線が前記外套針の内部に挿入されてなり、当該外套針の刺入後において前記リード線の押し込みにより病巣部の外周縁近傍に位置する非病巣部に前記温度センサー部を配置させることができるようになしたことを特徴とする請求項1に記載の温熱治療用アプリケータ。
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