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JP3603062B2 - 磁気抵抗効果素子とその製造方法、およびこれを用いた磁気デバイス - Google Patents
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JP3603062B2 - 磁気抵抗効果素子とその製造方法、およびこれを用いた磁気デバイス - Google Patents

磁気抵抗効果素子とその製造方法、およびこれを用いた磁気デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果素子(以下、「MR素子」と記す)とその製造方法に関する。本発明は、さらに、MR素子を用いた磁気デバイス、例えば、磁気抵抗効果型ヘッド(以下、「MRヘッド」と記す)、磁気記録再生装置(例えばハードディスク装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録の高密度化に対応するべく、GMR素子を用いた再生磁気ヘッドが開発された。また、更なる高密度化に対応するために、抵抗変化が大きく、抵抗自体も大幅に大きいTMR(Tunnel Magnetoresisance)素子も盛んに研究されている。TMR素子では、非磁性層として絶縁層が用いられ、この絶縁層を通過するトンネル電流が利用される。通常、GMR素子は膜面に平行に電流を流して使用されるが(CIP−GMR;Current in Plane−GMR)、TMR素子と同様、膜面に垂直に電流を流す素子(CPP−GMR;Current Perpendicular to the Plane−GMR)も提案されている。CPP−GMR素子は、Co/Cu、Co/Ag系等においては、CIP−GMR素子に比べ、MR比が5倍程度高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
CPP−GMR素子では、非磁性層に金属層が用いられ、しかも膜面に垂直に電流が流れるため、デバイスに利用するには抵抗が低くなり過ぎる。素子を小型化すれば、CPP−GMR素子においても、ある程度の高抵抗化は実現できる。しかし、リソグラフィー技術を適用して小型化するだけでは、十分に高い抵抗を有するCPP−GMR素子が得られない。
【0004】
磁気記録の高密度化が進展するにつれて、記録媒体におけるトラック幅は小さくなる。このため、再生磁気ヘッドにおいても、媒体からの磁気を感知して情報を読み取る領域の幅(以下、「トラック対応幅」と記す)を狭小化する必要が生じる。例えば、100Gbit/inを越える程度の高密度磁気記録では、0.1μm以下のトラック対応幅が要求される。しかし、トラック幅の狭小化が進行するにつれ、リソグラフィー技術のみでは、技術の進歩を考慮に入れたとしても、いずれ対応できなくなることが予想される。
【0005】
本発明は、CPP−GMR素子の電気抵抗値を実用的な範囲にまで高くすることを目的とする。また、本発明は、トラック幅の狭小化に対応しうるMR素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、非磁性層と、この非磁性層を挟持する第1磁性層および第2磁性層とを含み、第1磁性層の磁化方向と第2磁性層の磁化方向との相対角度の変化に基づく電気抵抗の変化をセンシングするための電流を、各層の膜面に垂直に流すMR素子に改良を加えることとした。本発明のMR素子は、非磁性層の面積が1μm2以下であり、 前記第1または第2の磁性層の側面に、前記磁性層の構成材料の酸化膜、窒化膜または酸窒化膜を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明のMR素子の製造方法は、上記MR素子を製造するに際し、非磁性層の面積が1μm以下となるように、第1磁性層、非磁性層および第2磁性層を形成する工程と、第1磁性層、非磁性層および第2磁性層から選ばれる少なくとも1層の側面から、上記少なくとも1層の一部を酸化、窒化または酸窒化する工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明をCPP−GMR素子に適用すると、抵抗を十分に高くした素子が得られる。また、この素子を用いる磁気ヘッドのトラック対応幅を制限することもできる。本発明は、TMR素子を用いる磁気ヘッドのトラック対応幅の狭小化にも有効である。本発明は、さらに、上記MR素子を用いた磁気ヘッド(MRヘッド)およびこの磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明によれば、酸化膜、窒化膜または酸窒化膜からなる第2領域により、抵抗値が上昇し、あるいはトラック対応幅が狭小化する。第2領域の面積は、非磁性層の面積の10%以上、特に40%以上とするとよい。第2領域は、非磁性層の面積が1μm以下である程度に小型化したMR素子を構成する少なくとも1つの層に形成される。本発明を非磁性層の面積が0.1μm以下、特に0.01μm以下である程度にさらに小型化したMR素子に適用すると、より良好な結果が得られる。
【0010】
本発明をCPP−GMR素子に適用する場合は、少なくとも非磁性層に、第1領域および第2領域を形成するとよい。この場合、非磁性層の第1領域は、金属膜、好ましくはCu、Ag、Au、Ir、Ru、RhおよびCrから選ばれる少なくとも1種を主成分とする膜である。なお、本明細書において、主成分とは、50重量%以上を占める成分をいう。
【0011】
第2領域は、第1領域を構成する金属の酸化膜、窒化膜または酸窒化膜である。この第2領域により、非磁性層の導電領域(第1領域)が制限されるため、素子の抵抗値が上昇する。単に素子を微細加工するのみでは、抵抗値の上昇には限界がある。例えば、100nm×100nmに加工した素子(0.01μmの素子面積)では、素子の膜厚を50nm、比抵抗を30μΩcmとしたとしても、素子抵抗は1.5Ω程度である。一方、上記素子面積を有するCPP−GMR素子に本発明を適用すると、3Ω以上の素子抵抗を得ることも可能である。
【0012】
CPP−GMR素子における非磁性層の膜厚は、0.8nm〜10nm、特に1.8nm〜5nmが好適である。非磁性層が薄すぎると磁性層間の相互作用が強くなりすぎる。逆に非磁性層が厚すぎると大きなMR比が得られない。
【0013】
本発明をTMR素子に適用する場合は、少なくとも一方の磁性層、即ち第1磁性層または第2磁性層に、第1領域および第2領域を形成するとよい。この素子における非磁性層は、絶縁層(トンネル絶縁層)、好ましくは酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびチタン酸ストロンチウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする層であるため、元来、十分に高い素子抵抗を有する。しかし、この素子においても、第2領域による導電領域の制限は、これを用いる磁気ヘッドのトラック対応幅の狭小化に有効である。少なくとも一方の磁性層を酸化等して第2領域を形成すると、絶縁層にトンネル電流を供給する領域が制限される。このため、素子として機能する部分、即ち媒体からの磁気を感知する領域が実質的に制限される。
【0014】
TMR素子における非磁性層の膜厚は、トンネル電流を流すために、0.4nm〜2nm、特に0.4nm〜1nmが好適である。
【0015】
本発明のMR素子は、第1磁性層および第2磁性層から選ばれる少なくとも1層に磁気的に結合する磁化回転制御層をさらに含んでいてもよい。磁化回転制御層は、この層が磁気的に結合する磁性層の磁化回転を容易または困難にする層であれば特に制限はないが、例えば反強磁性層を用いることができる。
【0016】
磁化回転制御層等を用いることにより、本発明の素子を、いわゆるスピンバルブ型のMR素子としてもよい。この素子では、例えば、反強磁性層との交換バイアス磁界により一方の磁性層(固定磁性層)の磁化回転を固定しながら、他方の磁性層(自由磁性層)の磁化を外部磁界により回転させて抵抗の変化を検出する。
【0017】
第2領域は、例えば、層の側面に、酸素および/または窒素を導入することにより形成できる。この工程は、層を100℃以上に加熱した状態で、酸素原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1種を含有する気体を、上記層の側面に導入して行うとよい。また、酸素イオンおよび窒素イオンから選ばれる少なくとも1種を層の側面に注入して実施してもよい。イオン注入の方法自体に制限はなく、公知の方法を適用すれば足りる。
【0018】
酸化等の工程では、電極、特に非磁性層よりも前に形成した電極の酸化等が問題になることがある。この場合は、予め形成した電極の少なくとも一部を覆う保護膜を、好ましくは酸化等すべき側面を覆わない程度に形成してから、上記酸化等を行えばよい。
【0019】
酸化等の工程は、CPP−GMR素子については、少なくとも非磁性層の側面に対して行うとよい。一方、TMR素子では、第1磁性層および/または第2磁性層に対して行われる。いずれの素子においても、素子の動作に支障を来さない限り、酸化、窒化または酸窒化する層に制限はなく、第1および第2磁性層、非磁性層のすべての層を酸化等しても構わない。なお、酸化、窒化または酸窒化のいずれを適用してもよいが、高い抵抗値を得るためには酸化が好適である。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を適用したMR素子の一例について説明する。図1に示したMR素子100では、基板1上に、下部電極2、MR素子部10、上部電極3,4がこの順に積層されている。また、両電極間には絶縁膜5が介在している。MR素子部10の周縁部は酸化され、酸化領域(酸化膜)20となっている。図示したように、電極としての機能が維持される限り、電極2,3の一部2a,3aにまで酸化領域が広がっていても構わない。
【0021】
図2に拡大して示すように、このMR素子部10は、基板側から、自由磁性層6、非磁性層7、固定磁性層8、反強磁性層9がこの順に積層されている。これら各層は、側面から酸化を受けているため、各層の膜面に垂直に流れる電流は、酸化領域20ではなく、実質的には中央の非酸化領域30を通過する。なお、TMR素子では、磁性層が元来絶縁層であるが、磁性層6,8が酸化されているため、トンネル電流はやはり非酸化領域30を通過することになる。
【0022】
このMR素子は、図3に示した多層膜の側面を酸化して形成することができる。酸化により、素子として動作する部分の面積は、面積Sから面積Sにまで低下している。素子として動作する領域は、厳密には、非磁性層と磁性層との界面において定められる。上記のように、本発明の好ましい形態では、予めリソグラフィー技術により、非磁性層の面積Sを0.01μm以下に制限し、さらに酸化等によってこの面積をSにまで低下させる。面積Sに対する面積(S−S)の好ましい比率((S−S)/S)は、0.1以上、特に0.4以上である。
【0023】
以下、各層の材料等を例示する。自由磁性層6には、良好な軟磁気特性を得るために、Fe、Ni−Fe、Ni−Co−FeまたはCo−Fe合金が適している。Ni−Co−Feの組成(原子組成比;以下同様)は、NiCoFeにより表示して、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0≦z≦0.3のNiリッチの組成、または0≦x≦0.4、0.2≦y≦0.95、0≦z≦0.5のCoリッチの組成が適している。これらの組成からなる膜は、磁気センサーやMRヘッド用として要求される低磁歪特性(磁歪定数:1×10−5以下)を有する。自由磁性層には、Co−Mn−B、Co−Fe−B、Co−Nb−Zr、Co−Nb−B等の組成を有するアモルファス膜を用いてもよい。
【0024】
自由磁性層6の膜厚は、1nm〜10nmとするとよい。膜厚が厚すぎるとMRに寄与しない抵抗が増加するためにMR比が低下するが、薄すぎると軟磁気特性が劣化する。
【0025】
CPP−GMR素子の非磁性層7には、非磁性金属材料が用いられる。TMR素子の非磁性層7には、絶縁材料が用いられる。好ましい材料および膜厚は、それぞれ上記に例示したとおりである。
【0026】
固定磁性層8の材料としては、自由磁性層の材料にもよるが、Fe、Co、Co−Fe合金(特にCo1−xFeにより表示して0<x≦0.5)、Co−Ni−Fe合金が適している。大きなMR比を得るためである。非磁性層としてCrを用いる場合には、Feが好ましい。この場合は、自由磁性層にもFeを用いるとよい。Co1−xFe合金は、非磁性膜としてCuを併用すると、スピンに依存した散乱が大きくなり、大きなMR比が得られる。
【0027】
固定磁性層8の膜厚は、薄すぎるとMR比が低下し、厚すぎると交換バイアス磁界が低下するため、1nm〜10nmとするとよい。
【0028】
反強磁性層9の材料としては、Fe−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pt−Mn、Ir−Mn、Cr−Al、Cr−Mn−Pt、Fe−Mn−Rh、Pd−Pt−Mn、Ru−Rh−Mn、Mn−RuおよびCr−Alから選ばれる少なくとも1種が好適である。耐食性や熱安定性の観点からは、Mn系反強磁性体、具体的にはNi−Mn、Ir−Mn、Pt−Mn、特にPt−Mnが優れている。PtMn1−zの組成としては、0.45≦z≦0.55の範囲がよい。反強磁性層の膜厚は、バイアス効果を大きくするために、5nm以上、特に10nm以上が好ましい。
【0029】
非磁性層としてCuを用いる場合には、強磁性膜(自由層6、固定層8)と非磁性層7との間の界面に、界面磁性層として、CoまたはCo−Fe合金を挿入することが好ましい。MR比がより大きくなるからである。界面磁性層の膜厚は、厚すぎるとMR比の磁界感度が低下するため、2nm以下、特に1nm以下とするとよく、薄すぎるとMR比が向上しないため、0.4nm以上とよい。
【0030】
固定磁性層8(ピン層)に与えるバイアス磁界を大きくする、換言すると固定層の磁化方向をより安定にするために、固定磁性層として、強磁性層/非磁性層/強磁性層の三層からなる間接交換結合膜を用いてもよい。間接交換結合膜では、強磁性層および非磁性層に適当な材料と膜厚とを選択すると、強磁性層間に大きな反強磁性的な結合が生じ、固定磁性層の磁化がより安定化する。
【0031】
間接交換結合膜を構成する強磁性層の適当な材料は、Co、Co−Fe、Co−Fe−Ni合金等であり、Co、Co−Fe合金が優れている。中間の非磁性層の材料としてはRu、Ir、Rh等が適当であり、Ruが優れている。強磁性層の膜厚は1nm〜4nmが好ましい。非磁性層の膜厚は、0.3nm〜1.2nm、特に0.4nm〜0.9nmが適当である。
【0032】
下部電極2、上部電極3,4としては、種々の非磁性金属材料、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Ta、Cr等を用いればよい。
【0033】
MR素子部10の構成は、図2、図3の例示に制限されない。例えば、非磁性層と磁性層とをさらに交互に重ねてもよい。この場合は、少なくとも一組の磁性層/非磁性層/磁性層が上記で説明した構成であればよい。
【0034】
次に、本発明のMR素子の製造方法の一例を図面を参照して説明する。
まず、図4に示すように、基板1上に、下部電極2、MR素子部10、上部電極3を順次積層する。次いで、図5に示すように、フォトレジスト41を塗布して露光し、イオンミリングして下部電極2を所定の形状とする。さらに、図6に示すように、再度フォトレジスト42を塗布して露光し、イオンミリングしてMR素子部10中の非磁性層の面積が1μm以下となるように成形する。なお、このイオンミリングは下部電極2の一部がミリングされるまで行うとよい。
【0035】
引き続き、図7に示すように、保護膜として、絶縁膜45を蒸着等により形成した後、酸素イオン43を注入する。素子10の側面が酸化されるように、酸素イオンは、膜面に対して斜め方向から行うとよい。必要に応じて、さらに真空中で加熱しながら酸素ガスを素子側面に導入してもよい。イオン注入により素子の側面はアモルファス化しているため、この側面に酸素を導入すると、酸化膜20が容易に形成される。
【0036】
酸化膜20の形成方法は、イオン注入に限らず、100℃以上に加熱した素子の側面に酸素ガスを導入することにより行ってもよい。また、本発明の目的が達成される限り、プラズマ酸化法、自然酸化法を用いても構わない。酸化膜に代えて窒化膜または酸窒化膜を形成してもよい。
【0037】
酸化の後、図8に示すように、蒸着等によりさらに絶縁膜5を形成する。図示したように、先に形成した保護用絶縁膜45を絶縁膜5の一部としてもよい。図9に示したように、余分な絶縁膜5をリフトオフしてから、追加の上部電極4を蒸着等により形成する。こうして、MR素子100が完成する。なお、上記各層の成膜は、従来から用いられてきた方法を用いればよく、例えば、MR素子部10の各層は、各種のスパッタリング法、蒸着法等を用いて成膜すればよい。
【0038】
図10に、上記MR素子100を用いたMRヘッドの一例を示す。図12に示したように、CIP−GMR素子を用いたMRヘッド220では、電極19a,19b間を、MR素子120の膜面に平行方向に電流が流れるが、図10のMRヘッド200では、MR素子100の膜面に垂直方向に電流が流れる。図11に示すように、素子の膜面に垂直に電流を流すMRヘッド210自体は、従来から知られていたが、図10のMRヘッドは、ヘッドのトラック対応幅Wが従来のトラック対応幅Wよりも狭小化している。トラック対応幅Wは、0.1μm以下、特に0.01〜0.1μmが好ましい。
【0039】
図12のMRヘッド220では、磁気シールド13,16との間の絶縁を確保するための絶縁領域17(通常、絶縁膜が用いられる)が必要となる。これに対し、図10の磁気ヘッドでは、上部磁気シールド13および下部磁気シールド16を電極として用いれば、電極2,3を省くことも可能である。このように、信号磁界以外の余分な磁界のMR素子への流入を抑制する磁気シールドを電極として利用すれば、記録の高密度化に伴う挟ギャップ化にも対応しやすい。
【0040】
これらの磁気ヘッドでは、再生ヘッドに接して、磁気シールドの一つを再生ヘッドと共有する記録ヘッドが配置されている。記録ヘッドは、記録磁極(上部シールド)12、共通シールド13、両シールドの間に介在する絶縁膜14、および巻き線11から構成されている。
【0041】
上部、共通、下部の各磁気シールド12,13,16には、Ni−Fe、Fe−Al−Si、Co−Nb−Zr合金等の軟磁性膜を用いればよい。絶縁膜14,15には、Al、AlN、SiO等が適している。
【0042】
なお、バルクハウゼンノイズの発生を抑制するために、磁気抵抗効果素子10の両側にCo−Pt等からなる強磁性バイアス層(図示せず)を設けてもよい。
【0043】
図13、図14は、それぞれ、上記MRヘッド200を用いたハードディスク装置300の平面図および側面図である。このハードディスク装置300は、MRヘッド(図示せず)を有するスライダ120と、スライダを支持するヘッド支持機構130と、ヘッド支持機構130を介してMRヘッドをトラッキングするアクチュエータ114と、ヘッドにより情報を記録/再生するための磁気ディスク116を回転駆動するディスク駆動モータ112とを備えている。ヘッド支持機構130には、アーム122とサスペンジョン124とが備えられている。
【0044】
ディスク駆動モータ112は、ディスク116を所定速度で回転させる。アクチュエータ114は、MRヘッドがディスクの所定のデータトラックにアクセスできるように、このヘッドを保持するスライダ120をディスク116の半径方向に移動させる。アクチュエータ114は、例えば直線式または回転式のボイスコイルモータである。スライダ120は、例えば空気ベアリングスライダである。この場合、スライダ120は、ハードディスク装置300の起動/停止動作時にはディスク116の表面と接触する。一方、情報の記録再生動作時には、スライダ120は、回転するディスク116とスライダ120との間に形成される空気ベアリングによりディスクの表面から浮上した状態となる。この状態で、MRヘッド200により、磁気ディスク116に情報が記録および/または再生される。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
多元スパッタリング装置を用いてMR素子部を形成した。MR素子部は、自由層の両側に非磁性層を介して固定層を配置したいわゆるデュアルスピンバルブ構造とした。この素子の積層構成を、基板、電極とともに以下に示す。
【0046】
基板/Au(500)/Pt0.5Mn0.5(30)/CoFe(3)/Ru(0.7)/CoFe(3)/Cu(3)/CoFe(2)/NiFe(5)/CoFe(2)/Cu(3)/CoFe(3)/Ru(0.7)/CoFe(3)/Pt0.5Mn0.5(30)/Au(500)
ただし、カッコ内の数値は、膜厚である(単位:nm;以下、同様)。
【0047】
Cuは非磁性層であり、PtMnは反強磁性層であり、Auは電極である。なお、基板としては、表面を熱酸化したSiを用いた。
【0048】
こうして得たCPP−GMR素子部を、図4〜図9を参照して上記で説明した方法により、MR素子へと加工した。フォトレジストを用いたパターニングの大きさは100nm×100nmとした。なお、絶縁膜(図7,8における符合5、45)にはSiO膜を用いた。酸化膜20は、30keVの酸素イオンを膜面に対して約45度傾いた方向から打ち込んで形成した。酸素イオンの注入量は1×1015ions/cmとした。イオン注入により十分に酸化できない場合は、さらに真空中200〜300℃に加熱した状態で酸素ガスを導入してもよい。こうして、素子の片側の側面から酸化を行ったところ、非磁性層には、側面から45nmの深さまでCuの酸化膜が形成された。図示したように、酸化は、両面から行っても構わない。
【0049】
こうして得たMR素子(素子A)とともに、側面酸化工程を省いた以外は上記と同様にしてMR素子(素子B)を作製した。両素子の磁気抵抗特性を、室温で500Oe(約39.8kA/m)の磁界を印加し、4端子法を用いて評価した。側面を酸化した素子Aでは、抵抗が3Ω、抵抗変化が0.9Ω、MR比が30%であったのに対し、従来型の素子Bでは、抵抗が1.5Ω、抵抗変化が0.45Ω、MR比が30%であった。側面を酸化することにより、抵抗変化量が2倍になることが確認された。
【0050】
さらに、上記と同様にして、図10、図11に示したようなMRヘッド200,210を作製した。磁気シールドにはNi0.8Fe0.2合金を、絶縁膜にはAlをそれぞれ用いた。電極は磁気シールドで代用した。また、各層を形成するための基板としてAl−TiC基板を用いた。こうして得た両ヘッドに、センス電流として直流電流を流し、約4kA/mの交流信号磁界を印加して両ヘッドの出力を評価した。図10に対応するMRヘッドの出力は、図11に対応するMRヘッド出力の約2倍となった。
【0051】
(実施例2)
多元スパッタリング装置を用いてMR素子部を形成した。この素子の積層構成を、基板、電極とともに以下に示す。
【0052】
基板/Au(500)/Pt0.5Mn0.5(30)/CoFe(3)/Ru(0.7)/CoFe(3)/Al(0.8)/CoFe(2)/NiFe(5)/Au(500)
【0053】
なお、非磁性層Al膜は、成膜したAlを自然酸化法で酸化して形成した。こうして得たTMR素子部を、実施例1と同様にしてMR素子へと加工し、側面を酸化したMR素子(素子C)とともに、側面酸化工程を省いて作製したMR素子(素子D)を得た。
【0054】
両素子を透過電子顕微鏡を用いて観察したところ、素子Cでは、非磁性層を挟持する両磁性層が、側面から酸化されていた。非酸化領域の幅は約50nmであった。一方、素子Dでは、酸化領域が観察されず、素子として機能する領域の幅は約100nmのままであった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、膜面に垂直に電流が流れるMR素子において、電気抵抗を実用的な範囲にまで上昇させたり、リソグラフィー的な手法では困難な程度にまでトラック対応幅を狭小化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMR素子の一例を示す断面図である。
【図2】図1の素子のMR素子部の拡大図である。
【図3】図2の素子部を形成するための多層膜の例を示す断面図である。
【図4】本発明の製造方法の一例における一工程(各層の積層工程)を説明するための断面図である。
【図5】図4の積層体を加工する工程を説明するための断面図である。
【図6】図5の積層体をさらに加工する工程を説明するための断面図である。
【図7】図6の積層体を部分的に酸化する工程を説明するための断面図である。
【図8】図7の積層体にさらに絶縁膜を形成する工程を説明するための断面図である。
【図9】図8の積層体にさらに追加の上部電極を形成する工程を説明するための断面図である。
【図10】本発明のMRヘッドの一例を示す部分斜視図である。
【図11】従来のMRヘッドの部分斜視図である。
【図12】CIP−GMR素子を用いた従来のMRヘッドの部分斜視図である。
【図13】本発明の磁気記録再生装置の一例を示す平面図である。
【図14】図13の磁気記録再生装置の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部電極
3,4 上部電極
5 絶縁膜
6 自由磁性層
7 非磁性層
8 固定磁性層
9 反強磁性層
10 MR素子部
20 酸化領域
30 非酸化領域

Claims (19)

  1. 非磁性層と、前記非磁性層を挟持する第1磁性層および第2磁性層とを含み、前記第1磁性層の磁化方向と前記第2磁性層の磁化方向との相対角度の変化に基づく電気抵抗の変化をセンシングするための電流を、前記各層の膜面に垂直な方向に流す磁気抵抗効果素子であって、
    前記非磁性層の面積は、1μm2以下であり、
    前記第1または第2の磁性層の側面に、前記磁性層の構成材料の酸化膜、窒化膜または酸窒化膜を有している磁気抵抗効果素子。
  2. 前記酸化膜、窒化膜または酸窒化膜の面積が、前記磁性層と前記酸化膜、窒化膜または酸窒化膜と前記磁性層の面積の和の10%以上を占める請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 非磁性層の面積が、0.1μm2以下である請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 非磁性層が絶縁層である請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 非磁性層が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびチタン酸ストロンチウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする請求項1または4に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 非磁性層の膜厚が、0.4nm以上2nm以下である請求項1または5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 第1磁性層および第2磁性層から選ばれる少なくとも1層に磁気的に結合する磁化回転制御層をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 磁化回転制御層が、反強磁性層である請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 非磁性層と、前記非磁性層を挟持する第1磁性層および第2磁性層とを含み、前記第1磁性層の磁化方向と前記第2磁性層の磁化方向との相対角度の変化に基づく電気抵抗の変化をセンシングするための電流を、前記各層の膜面に垂直に流す磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記非磁性層の面積が1μm2以下となるように、前記第1磁性層、前記非磁性層および前記第2磁性層を形成する工程と、
    前記第1磁性層、前記非磁性層および前記第2磁性層から選ばれる少なくとも1層の側面から、前記少なくとも1層の一部を酸化、窒化または酸窒化する工程とを含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 層を100℃以上に加熱した状態で、酸素原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1種を含有する気体を層の側面に導入することにより、酸化、窒化または酸窒化する請求項9に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 酸素イオンおよび窒素イオンから選ばれる少なくとも1種を層の側面に注入することにより、酸化、窒化または酸窒化する請求項9に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  12. 電流を流すための電極を形成する工程と、前記電極の少なくとも一部を覆う保護膜を形成する工程とをさらに含み、前記保護膜を形成した後に、層の一部を酸化、窒化または酸窒化する請求項9〜11のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  13. 非磁性層として、Cu、Ag、Au、Ir、Ru、RhおよびCrから選ばれる少なくとも1種を主成分とする層を形成する請求項9〜12のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  14. 少なくとも非磁性層の側面を、酸化、窒化または酸窒化する請求項13に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  15. 非磁性層として、絶縁層を形成する請求項9〜14のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  16. 少なくとも第1磁性層または第2磁性層の側面を、酸化、窒化または酸窒化する請求項15に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  17. 請求項1〜8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子を挟むように配置された一対の磁気シールドとを有することを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
  18. トラック対応幅が0.1μm以下である請求項17に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  19. 請求項17または18に記載の磁気抵抗効果型ヘッドと、前記ヘッドにより情報を記録再生するための磁気記録媒体とを有することを特徴とする磁気記録再生装置。
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