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JP3607974B2 - 自動車の車体の下部構造 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体の下部構造に関し、特に、車体の各側部に配置され、前後方向へ伸びるロッカと、このロッカに連結され、上方へ伸びるフロントピラーとを備える自動車の車体の下部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
前進走行している自動車のタイヤの幅方向外側面から中央に向けてトレッドの40%が障害物に衝突するときの対策、いわゆるオフセット衝突の対策として、ロッカ先端部をフロントピラーよりも前方に突出することがある(特開平2−212280号公報)。これによれば、オフセット衝突してタイヤが後退するとき、ロッカの前方に突出した部分がタイヤからの衝突荷重を受けて変形し、エネルギ吸収すると共に、衝突荷重をロッカを介して車体に伝える。従って、ロッカとフロントピラーとの連結部に階段状のブレースを配置して、より多くの衝突荷重をロッカに伝えようとするもの(特開平4−238783号公報)と比べて、フロントピラーへの影響を少なくすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロッカ先端部をフロントピラーより前方へ突出する場合、タイヤからの衝突荷重をロッカを介して車体に伝え、オフセット衝突によるフロントピラーへの影響を少なくするには、ロッカ先端部がタイヤと接触するタイミングを早めることが有効である。そして、そのタイミングは、ロッカ先端部とタイヤとの接触面積が大きくなるほど早くなる。そのため、タイミングを早める観点からは、ロッカ先端部を上方へ持ち上げ、タイヤとロッカとのオーバーラップ量を大きくすることが好ましい。
【0004】
反面、タイヤとロッカとのオーバーラップ量を大きくすると、持ち上げた部分のモーメントアームが大きくなり、曲げモーメントが大きくなってロッカが曲げ変形しやすくなる。
【0005】
本発明は、ロッカ先端部がタイヤと接触するタイミングを可及的に早めることができ、ロッカに働く曲げモーメントを小さくすることができる、自動車の車体の下部構造を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体の各側部に配置され、前後方向へ伸びるロッカと、このロッカに連結され、上方へ伸びるフロントピラーとを備える自動車の車体の下部構造である。前記ロッカは、2枚のパネルそれぞれが有する2つのフランジの互いに対向するものを接合して閉じ構造に形成され、かつ、フランジの接合部が上下に位置するように配置される。さらに、前記フロントピラーとの連結部より後方に位置する難変形部と、前記フロントピラーとの連結部より前方に位置する易変形部とからなり、この易変形部は、前記難変形部のフランジを除く上面から上方に、前記フランジの高さの範囲内で持ち上げられた上面を有する。
【0007】
【作用及び効果】
前進走行している自動車がオフセット衝突したとき、前輪のタイヤが後退すると、タイヤはロッカの易変形部と接触し、易変形部を変形させる。易変形部は変形して衝突荷重が持つエネルギを吸収する一方で、衝突荷重をロッカの難変形部を経て車体に伝える。
【0008】
ロッカの易変形部がフロントピラーとの連結部より前方にあるため、タイヤから衝突荷重を受けたとき変形しやすく、この変形によって衝突荷重が持つエネルギの一部を吸収することができる。
【0009】
ロッカの易変形部が難変形部の上面から上方に持ち上げられた上面を有し、易変形部の断面積が大きくなっていることから、ロッカの易変形部とタイヤとのオーバーラップ量が多くなり、易変形部がタイヤと接触するタイミングが早くなる。その結果、タイヤからの衝突荷重をロッカを経て車体に効果的に伝えることができる。また、ロッカの易変形部の上面が難変形部の上面から持ち上げられているが、その持ち上げ量はフランジの高さの範囲内であるため、ロッカに働く曲げモーメントを最小に保つことができる。すなわち、本発明によれば、ロッカに働く曲げモーメントを最小に保ちつつ、ロッカとタイヤとが接触するタイミングを早め、オフセット衝突時の衝突荷重をロッカを経て車体に効果的に伝えることができる。これによって、オフセット衝突によるフロントピラーへの影響を少なくすることができ、オフセット衝突時のフロントピラーの後退を抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
自動車の車体の下部構造は、斜視状態を示す図1と、平面状態を模式的に示す図2と、分解斜視状態を示す図3とを参照すると、車体の各側部に配置され、前後方向へ伸びるロッカ10と、ロッカ10に連結され、上方へ伸びるフロントピラー12とを備える自動車の車体の下部構造である。ロッカ10の前方には前輪タイヤ14が配置される。前記の下部構造自体は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0011】
ロッカ10は、2枚のパネルそれぞれが有する2つのフランジの互いに対向するものを接合して閉じ構造に形成され、かつ、フランジの接合部が上下に位置するように配置されている。ロッカ10は、フロントピラー12との連結部17より後方に位置する難変形部16と、フロントピラー12との連結部17より前方に位置する易変形部18とからなる。
【0012】
図示の実施例では、サイドメンバアウタパネル20と、ロッカ補強パネル22と、フロントピラー補強パネル24と、サイドメンバインナパネル26と、ロッカインナパネル28とによってロッカ10と、フロントピラー12とが形成されている。各パネルには必要な凹凸形状が付けられている。
【0013】
サイドメンバアウタパネル20の内側にロッカ補強パネル22を配置し、サイドメンバアウタパネル20のフランジ30,31をロッカ補強パネル22のフランジ32,33とそれぞれ重ね合わせる。ロッカ補強パネル22の内側にフロントピラー補強パネル24を配置し、サイドメンバアウタパネル20のフランジ30をフロントピラー補強パネル24のフランジ34と、またロッカ補強パネル22のフランジ33をフロントピラー補強パネル24のフランジ35と重ね合わせる。フロントピラー補強パネル24の内側にサイドメンバインナパネル26を配置し、フロントピラー補強パネル24のフランジ34,35をサイドメンバインナパネル26のフランジ36,37とそれぞれ重ね合わせる。そして、サイドメンバインナパネル26の内側にロッカインナパネル28を配置し、ロッカ補強パネル22のフランジ32,33をロッカインナパネル28のフランジ38,39にそれぞれ重ね合わせる。
【0014】
重ね合わせたフランジ相互をスポット溶接し、さらにロッカ補強パネル22の下側のフランジ40とロッカインナパネル28の下側のフランジ41とをスポット溶接し、その他の必要部位にスポット溶接して、それぞれ閉じ構造のロッカ10と、フロントピラー12とが形成されている。フランジ相互をスポット溶接する際、ロッカ10ではフランジの接合部42,43が上下に位置するようにする。ロッカ10とフロントピラー12とを形成すると、ロッカ10にはフロントピラー12との連結部17と、この連結部17の後方の難変形部16と、連結部17の前方の易変形部18とが存在することとなる。ここで、難変形部といい、易変形部というのは、易変形部の方がオフセット衝突したとき、難変形部よりも変形しやすいことを示すに留まり、難変形部が変形しないことを意味するものではない。
【0015】
ロッカ10は、図示の実施例では、上方のフランジ接合部42において3つないし4つのフランジを重ね合わせ、下方のフランジ接合部43において2つのフランジを重ね合わせて形成されているが、ロッカ10を閉じ構造に形成するには、基本的には2枚のパネルそれぞれの2つのフランジを重ね合わせて接合すればよい。
【0016】
模式的な図4を参照すると、ロッカ10のフロントピラー12との連結部17より前方にある易変形部18は、難変形部16のフランジ50を除く上面51から上方に、フランジ50の高さの範囲内で持ち上げられた上面52を有する。タイヤ14とロッカ10とが接触する際、タイヤ14からの入力が支配的になるのは、易変形部18のフランジ53の付け根にできる線である。そこで、本発明では易変形部18の上面52を持ち上げ、フランジ53の付け根線のレベルを変える。
【0017】
ロッカ10の難変形部16の上面51の路面からの高さをA、難変形部16のフランジ50の高さをB、タイヤ14の中心高さをh、易変形部18の上面52の上面51からの持ち上げ量をHとするとき、持ち上げ量Hは次のようにして定めることができる。
【0018】
h≦Aのとき
ロッカ10の易変形部18の上面52の高さに関係なく、ロッカ10とタイヤ14との接触タイミングは同じである。したがって、タイヤ14がロッカ10を押しつぶすにつれ、易変形部18の上面52の高さ>A+Bとなるとき、モーメントが発生する。このときの持ち上げ量Hと、ロッカに働くモーメントによるフロントピラー後退量との関係は図5の(a)となる。よって、0≦H≦Bを満たすことが適切である。
【0019】
A<h≦A+Bのとき
ロッカに働くモーメントと、ロッカとタイヤとのオーバーラップ量との最も良い平衡は、易変形部18の上面52の高さ=hである。
【0020】
h>A+Bのとき
ロッカ10の難変形部16のうち連結部のアール部分54近傍では、難変形部16にあるフランジ50が易変形部18に働くモーメントにより押し曲げられ、易変形部18のフランジ53の付け根線を押し下げる。ところが、0<h≦A+Bの範囲では、タイヤ14からの入力がロッカ10の難変形部16のフランジ50のせん断方向の力となり、易変形部18のフランジ53の付け根線が守られる。このときの持ち上げ量Hと、ロッカに働くモーメントによるフロントピラー後退量との関係は図5の(c)となる。この図から分かるように、A≦ロッカの上面52の高さ≦A+Bの範囲ではフロントピラー後退量の差は小さい。よって、0≦H≦Bを満たすことが適切であり、H=Bが最適である。
【0021】
図6に示したロッカ補強パネル62と、ロッカインナパネル68とは、それぞれ難変形部64と、易変形部66との2つの部材からなり、これらをすみ肉溶接又はスポット溶接して作られている。この場合、易変形部66は難変形部64と比べて板厚の小さい板材を使用して作られている。このようにすれば、易変形部66を容易に変形させることができ、ロッカの軽量化を図ることができる。
【0022】
本発明に係る下部構造を備えた自動車が前進走行していてオフセット衝突したとき、前輪のタイヤ14が後退すると、タイヤ14はロッカ10の易変形部18の前端と接触し、易変形部18を圧縮変形させる。易変形部18は圧縮変形して衝突荷重が持つエネルギを吸収する一方で、衝突荷重をロッカの難変形部16を経て車体に伝える。このとき、ロッカ10の易変形部18が難変形部16の上面51から上方に持ち上げられた上面52を有し、易変形部18の断面積が大きくなっていることから、ロッカ10の易変形部18とタイヤ14とのオーバーラップ量が多くなり、易変形部18がタイヤ14と接触するタイミングが早くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車の車体の下部構造の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自動車の車体の下部構造の要部を模式的に示す平面図で、説明の便宜のために、パネルの厚みを省略すると共に、実線、破線、1点鎖線及び2点鎖線でパネルを描いてある。
【図3】本発明に係る自動車の車体の下部構造に使用したパネルを分解した斜視図である。
【図4】タイヤとロッカとの関係及びロッカの易変形部と難変形部との関係を示す模式図で、(a)は側面を、(b)は(a)のb−b線で切断した断面のうち左半分を示している。
【図5】持ち上げ量とフロントピラー後退量との相関を示すグラフであり、(a)ないし(c)はタイヤの中心高さを変えたものである。
【図6】本発明に係る自動車の車体の下部構造に使用できる、図3とは異なるロッカ補強パネル(a)と、ロッカインナパネル(b)とを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ロッカ
12 フロントピラー
14 タイヤ
16,64 難変形部
17 連結部
18,66 易変形部
20 サイドメンバアウタパネル
22,62 ロッカ補強パネル
24 フロントピラー補強パネル
26 サイドメンバインナパネル
28,68 ロッカインナパネル

Claims (1)

  1. 車体の各側部に配置され、前後方向へ伸びるロッカと、このロッカに連結され、上方へ伸びるフロントピラーとを備える自動車の車体の下部構造であって、
    前記ロッカは、2枚のパネルそれぞれが有する2つのフランジの互いに対向するものを接合して閉じ構造に形成され、かつ、フランジの接合部が上下に位置するように配置されており、さらに、前記フロントピラーとの連結部より後方に位置する難変形部と、前記フロントピラーとの連結部より前方に位置する易変形部とからなり、この易変形部は、前記難変形部のフランジを除く上面から上方に、前記フランジの高さの範囲内で持ち上げられた上面を有する、自動車の車体の下部構造。
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