JP3615527B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた保湿効果を有し、肌荒れの防止や改善に優れた効果を発揮する皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、優れた保湿効果を有するヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を含有し、肌荒れの防止や改善に優れた効果を発揮する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
加齢や疾患による皮膚のバリア機能,水分保持機能の低下や冷暖房等の外的環境による低湿度状態から生じる皮膚の乾燥は、肌荒れを引き起こす重要な要因となっている。皮膚の乾燥によって生じた肌荒れは、小ジワや皮膚の透明感の低下といった皮膚症状を引き起こすだけでなく、痒みや湿疹といった皮膚疾患の原因ともなっている。このため、皮膚の乾燥を防ぎ、肌荒れを防止あるいは改善する保湿剤は、非常に有用性が高いと考えられ、これまで皮膚外用剤の分野では、様々な保湿剤の検索や配合検討がなされてきた。従来の保湿剤としては、グリセリン,1,3−ブチレングリコール,ソルビトール等の多価アルコール、アミノ酸,ピロリドンカルボン酸等の天然保湿因子、コラーゲン,ヒアルロン酸等の生体内高分子、及び薬用植物をはじめとする多種類の植物抽出物などが挙げられる。
【0003】
しかし、すでに報告されている保湿剤のいずれにおいてもその保湿効果や肌荒れの改善効果は必ずしも十分であるとはいえず、皮膚外用剤の基剤中に配合した場合、有効な効果を得るにはかなりの高濃度を配合しなければならず、製剤に好ましくない色や臭いを付与してしまう場合があるなど、作用効果や安定性の面ですべてを満足できるものが少ないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明においては、保湿効果に優れ、肌荒れの防止や改善に優れた効果を発揮する皮膚外用剤を提供することを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、保湿性に優れ、肌荒れの防止や改善に優れた有効成分を見出すために、種々の物質について鋭意研究を重ねた。その結果、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物が、保湿性に優れ、肌荒れの防止や改善に優れていることを見出し,本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、保湿効果に優れたヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の中から選ばれる1種又は2種以上の植物の抽出物を含有する皮膚外用剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の原料として用いられるヒルギ科(Rhizophoraceae)植物は、亜熱帯から熱帯にかけての地域に広く分布しており、マングローブ林の主構成種となっているものもある。日本に分布しているヒルギ科植物としては、オヒルギ属(Bruguiera),メヒルギ属(Kandelia),ヤエヤマヒルギ属(Rizophora)が知られており,奄美大島以南に分布している。上記以外のヒルギ科植物としては、コヒルギ属(Ceriops),アノピキシス属(Anopyxis),ブレファリステッマ属(Blepharistemma),カラリア属(Carallia),カッシポウレア属(Cassipourea),コミフィトン属(Comiphyton),クロッソスティリス属(Crossostylis),ギノトロケス属(Gynotroches),マカリシア属(Macarisia),ペラカリクス属(Pellacalyx),ステリグマペタルム属(Sterigmapetalum)が知られている。
【0008】
上記のように、本発明に用いられる原料となる植物は、ヒルギ科の植物であれば良いが、入手が比較的容易等の理由から原料として適当なものとして、コヒルギ属(Ceriops)植物のケリオプス タガル(Ceriops tagal),ヤエヤマヒルギ属(Rizophora)植物のリゾフォラ ハリソニイ(Rizophora harrisonii),ヤエヤマヒルギ属(Rizophora)植物のヤエヤマヒルギ(Rizophora stylosa),ヤエヤマヒルギ属(Rizophora)植物のリゾフォラ ムクロナタ(Rizophora mucronata),カッシポウレア属(Cassipourea)植物のカッシポウレア ケラストロイデス(Cassipourea celastroides),クロッソスティリス属(Crossostylis)植物のクロッソスティリス ビフロラ(Crossostylis biflora),クロッソスティリス属(Crossostylis)植物のクロッソスティリス コミンシイ(Crossostylis cominsii),メヒルギ属(Kandelia)植物のメヒルギ(Kandelia candel),カラリア属(Carallia)植物のカラリア ブラキアタ(Carallia brachiata),オヒルギ属(Bruguiera)植物のオヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)等が挙げられる。
【0009】
これらヒルギ科(Rhizophoraceae)植物を使用する際は、抽出物を用いるのが一般的である。抽出には、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の幹,枝,果実,葉,花,種子,樹皮,樹液,根,芽などのいずれの部位を用いても構わないが、簡便に利用するには、葉や種子を用いるとよい。抽出の際は、生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切,乾燥,粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬するか、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
【0010】
抽出溶媒としては、水の他、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級アルコール、1,3−ブチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、アセトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水,リン酸緩衝液,リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二酸化炭素,エチレン,プロピレン,エタノール,メタノール,アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体を用いてもよい。
【0011】
ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、濃縮,乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解したり、或いはこれらの生理作用を損なわない範囲で脱色,脱臭,脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の前記抽出物やその処理物及び分画物は、各処理及び分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【0012】
本発明においては、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を皮膚外用剤に配合することにより、肌荒れの予防や改善に優れた効果を発揮する。
【0013】
本発明におけるヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物の配合量は、皮膚外用剤の種類や目的等によって調整することができるが、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.001〜5.0重量%である。
【0014】
本発明に係る皮膚外用剤は、ローション,乳液,ゲル,クリーム,軟膏剤,粉末,顆粒等、種々の剤型で提供することができる。
【0015】
なお、本発明に係る皮膚外用剤には、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物の他に、通常医薬品,医薬部外品,皮膚化粧料,毛髪用化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分,保湿剤,粉体,色素,乳化剤,可溶化剤,洗浄剤,紫外線吸収剤,増粘剤,薬剤,香料,樹脂,防菌防黴剤,抗酸化剤,アルコール類等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の植物抽出物との併用も可能である。
【0016】
【実施例】
さらに実施例により、本発明の特徴について詳細に説明する。まず、本発明のヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物の調製例について示す。
【0017】
[調製例1]
ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の乾燥粉砕物1kgに50重量%エタノール水溶液を10リットル加え、室温で7日間浸漬した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を得た。
【0018】
[調製例2]
ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の乾燥粉砕物1kgに水を9リットル加え、90℃にて6時間還流して抽出した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を得た。
【0019】
[調製例3]
ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物の乾燥粉砕物1kgにメタノールを9リットル加え、室温で7日間浸漬した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を得た。
【0020】
[調製例4]
超臨界抽出装置にヒルギ科(Rhizophoraceae)植物を投入し、40℃において15MPaの大気圧下で二酸化炭素の超臨界流体を用いて抽出した。抽出物を回収し、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を得た。
【0021】
続いて、本発明に係るヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を配合した皮膚外用剤の処方を示す。
【0022】
[実施例1〜6]化粧水
製法:(1)に(2)〜(4)を溶解する。溶解後、(5)〜(7)を順次添加した後、十分に攪拌し、(8)を加え、均一に混合する。
【0023】
【表1】
【0024】
[実施例7〜12]乳液
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、冷却を開始し、(11)と(12)を順次加え、均一に混合する。
【0025】
【表2】
【0026】
[実施例13]クリーム
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、(11)を加え、冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
【0027】
[実施例14]美容液
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、50℃にて(15)を加える。さらに40℃まで冷却し、(16)を加え、均一に混合する。
【0028】
[実施例15]水性ジェル
製法:(1)を(2)に加え、均一に攪拌した後、(3)を加える。均一に攪拌した後,(4)に予め溶解した(5)を加える。均一に攪拌した後、予め混合しておいた(6)〜(8)を加える。均一に攪拌した後、(9)〜(14)を順次加え、均一に混合する。
【0029】
[実施例16]クレンジング料
製法:(1)と(2)を均一に溶解する。これに、(3)〜(5)を順次加え、均一に混合する。
【0030】
[実施例17]洗顔フォーム
製法:(1)〜(4)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(5)〜(7)の水相成分を80℃にて加熱溶解し、油相成分と均一に混合撹拌する。冷却を開始し、40℃にて(8)と(9)を加え、均一に混合する。
【0031】
[実施例18]メイクアップベースクリーム
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後する。一方、(5)〜(7)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(11)〜(13)の成分を加え、均一に混合する。
【0032】
[実施例19]乳液状ファンデーション
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(11)〜(15)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。油相成分を加え、乳化を行う。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(16)〜(18)の成分を順次加え、均一に混合する。
【0033】
[実施例20]油中水型エモリエントクリーム
製法:(5)と(6)を(11)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に撹拌しながら徐々に加える。これを混合した後、70℃にて加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散する。これに(7)〜(10)を(11)の残部に70℃にて加熱溶解したものを撹拌しながら加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(12)と(13)を加え、均一に混合する。
【0034】
[実施例21]ヘアートニック
製法:(1)〜(5)の成分を混合,均一化する。
【0035】
[実施例22]パック
製法:(2)と(3)を混合し、80℃に加温した後、80℃に加温した(1)に溶解する。均一に溶解した後、(4)〜(5)を加え、攪拌しながら冷却を開始する。40℃まで冷却し、(6)〜(8)を加え、均一に混合する。
【0036】
[実施例23]ヘアーワックス
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後する。一方、(7)〜(10)の水相成分を75℃にて加熱溶解し、前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(11)〜(13)の成分を加え、均一に混合する。
【0037】
[実施例24]入浴剤
製法:(1)〜(5)を均一に混合する。
【0038】
本発明の実施例1〜6について使用試験を行い、ヒルギ科植物の保湿性について評価した。その際、実施例1において、配合したヒルギ科植物抽出物を精製水に代替し、比較例1として同時に使用試験を行った。
【0039】
男女パネラー15名を一群として各試料をブラインドにて使用させ、実施例1〜6の保湿性を比較例1と比較して「感じる」,「どちらともいえない」,「感じない」の三段階で評価し、表3に各評価を得たパネラー数にて示した。
【0040】
【表3】
【0041】
表3より、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を配合した実施例使用群においては、6割以上のパネラーに明確な保湿性が感じられることが分かった。このことから、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物は、優れた保湿性を有することが明らかとなった。
【0042】
次に、本発明の実施例7〜12について使用試験を行い、肌荒れ,肌のキメ,肌の透明感について、それらの症状の改善効果を評価した。その際、実施例7において、配合したヒルギ科植物抽出物を精製水に代替し、比較例2として同時に使用試験を行った。
【0043】
各試料について、肌荒れ,肌のキメ,肌の透明感について悩みを持つ20〜50才代の男女パネラー20名を一群とし、ブラインドにて1カ月間使用させ、使用前後の皮膚状態の変化を観察して評価した。皮膚状態の指標として、肌荒れ,肌のキメ,肌の透明感について、「改善」,「やや改善」,「変化なし」の三段階で評価し、表4に各評価を得たパネラー数にて示した。なお、肌荒れと肌の透明感に関しては、目視にて評価し、肌のキメに関しては、マイクロスコープを用いて観察した。
【0044】
【表4】
【0045】
表4より、肌荒れ,肌のキメ,肌の透明感について、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を含有しない比較例使用群においては、ほとんど改善が認められなかったが、ヒルギ科(Rhizophoraceae)植物抽出物を配合した実施例使用群においては、6割以上のパネラーに明確な改善が認められた。
【0046】
以上のように、本発明の実施例においては、従来の比較例よりも、肌荒れ,肌のキメ,肌の透明感といった皮膚症状の改善に優れた効果を有していた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、優れた保湿効果を有し、肌荒れの防止や改善に優れた効果を発揮する皮膚外用剤を得ることが出来た。
Claims (1)
- コヒルギ属(Ceriops)、ヤエヤマヒルギ属(Rizophora)、カッシポウレア属(Cassipourea)、クロッソスティリス属(Crossostylis)、又はカラリア属(Carallia)に属する植物の抽出物を含有することを特徴とする保湿用皮膚外用剤。
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