JP3619951B2 - 消波構造物用複合主杭による消波構造物 - Google Patents
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Description
本発明は、消波構造物の力学的安定度を向上させると共に、耐久性を増大させることを目的とした消波構造物用複合主杭とその消波構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水底地盤に所要の間隔で立設した複数本の杭により囲繞区画した空域内に石材またはコンクリートブロック等の消波材を乱積みしてなる消波構造物、すなわちたとえば、図10に示すように、水底地盤に複数本の杭1(主杭および中間杭)を所要の間隔で縦横に立設し、その杭1が囲繞区画する空域内に、石材またはコンクリートブロック等の消波材2を乱積みし、杭1の上端に上部工3を施工し、さらに必要に応じ、沖側に消波工4を施工した消波構造物は、特公昭62−37168号公報等に記載される等して、従来公知であり、それは力学的には非常に安定した構造であるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記杭1として使用されているH形鋼等の鋼杭は、乾湿を繰り返す部分において腐食が激しく、港湾構造物等の設計基準では腐食率を0.3mm/年と非常に大きな値をとることになっている程である。このため各種の防食法が提案されているが、いずれも一長一短で、工費が高く、施工も難しいという共通の欠点がある。
【0004】
さらに、鋼杭には海底の砂礫を含んだ強大な波浪が繰り返し衝接することによる摩耗被害が発生する。消波構造物の沖側に施工設置する消波工(図10参照)は、波力を大きく低減させることができ、上記摩耗被害の対策として効果的である。しかしながら、工費を増大させるという欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、第1に、上記各欠点すなわち杭の腐食と摩耗をなくすこと、第2に、杭自体の強度を増大させることにより消波構造物の力学的安定度を一層高めること、第3に、従来の中間杭を不要または少なくして、あるいはまた、消波工を必ずしも設置しなくてもよくして、所期の消波構造物を経済的に施工できるようにすること等にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明消波構造物用複合主杭aは、水底地盤Gに打設され垂直に起立している鋼杭5と、この鋼杭5に嵌合するとともに水底地盤Gに打設され垂直に起立しているプレストレスト・コンクリート管等の耐摩耗性覆管6と、これら鋼杭5と耐摩耗性覆管6との間に形成される空隙に砂利7,コンクリート8等の充填物を充填してなるものである。
【0007】
上記においては、鋼杭5がその所要長さの頭端部5′を水面Wから突出させ、また、耐摩耗性覆管6がその所要長さの頭端部6′を水面Wから突出させ、しかも、これら鋼杭5と耐摩耗性覆管6との間に形成される空隙で、かつ、水底地盤Gから水面Wの少し下方位置までの間の部分に砂利7を充填し、同空隙であってかつ砂利7の上側に位置する部分にコンクリート8を充填すること、さらに具体的には、鋼杭5と耐摩耗性覆管6の中心を一致させ、かつ、鋼杭5の頭端部5′を耐摩耗性覆管6の頭端部6′からさらに上方に延出する状態にすることが好適であると認められる。
【0008】
本発明消波構造物は、上記複合主杭aを水底地盤Gに所要の間隔で多数立設し、その複合主杭aの耐摩耗性覆管6の頭端部6′を通じ水面Wから突出している鋼杭5の頭端部5′を、複数本の連結鋼材9により連結し、上記多数の複合主杭aが囲繞区画する空域内に石材またはコンクリートブロック等の消波材10を投入乱積みするとともに、上部コンクリート(鉄筋コンクリートを含む)を打設して鋼杭5の頭端部5′と連結鋼材9を埋設した上部覆工11を施工してなる。
【0009】
この消波構造物の周辺の水底地盤に、鋼材12で形成した格子状の敷設枠fに消波材13を乱積みしてなる根固め工eを設置することは、複合主杭aの洗掘による倒壊を防止できて望ましいものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明消波構造物用複合主杭の一実施形態に係る複合主杭aを示すものである。
5はH形鋼である鋼杭で、それは、水底地盤Gに適宜の手段によって打設されて、所要長さの頭端部5′を水面Wから上方に突出させた状態で垂直に起立している。
6は、プレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete)管、プレストレス・ハイ・ストレングス・コンクリート(Prestress High strength Concrete(PHC))管等の耐摩耗性覆管である。
この耐摩耗性覆管6は、上記鋼杭5に嵌合した状態において、該鋼杭5と同様に水底地盤Gに適宜の手段により打設され、所要長さの頭端部6′を水面Wから上方に突出させた状態で垂直に起立している。
【0011】
これら鋼杭5と耐摩耗性覆管6とはたがいの中心を一致させ、かつ、鋼杭5の頭端部5′は耐摩耗性覆管6の頭端部6′からさらに上方に延出している。
【0012】
7は、鋼杭5と耐摩耗性覆管6との間に形成されている空隙であって、かつ、水底地盤Gから水面Wの少し下方位置までの間の部分に充填した砂利である。
8は、上記空隙であって、かつ、砂利7の上側に位置する部分に充填したコンクリートである。
【0013】
上記構成から明らかなとおり、鋼杭5は、砂利7およびコンクリート8に埋設され、かつ、耐摩耗性覆管6を嵌合した状態になっていて、直接乾湿作用を受けることがないとともに直接波浪の衝接を受けることもないので、腐食することがないのはもちろん摩耗することもない。
【0014】
また、本複合主杭aは、文字どおり、鋼杭5および耐摩耗性覆管6ならびにこれらの間に充填された砂利7およびコンクリート8等の充填物からなる複合体であるから、従来の鋼杭単独の場合にくらべて、杭としての力学的強度を増大させているものであること明らかである。
【0015】
図4〜8は、本発明消波構造物の一実施形態に係る消波構造物bを示す。
この消波構造物bは、水底地盤Gに上記構成の複合主杭aを所要の間隔(消波材が抜脱しない適宜の間隔)で多数立設し、その複合主杭aの頭部、さらに具体的には、耐摩耗性覆管6の頭端部6′を通じ水面Wから外方に突出している鋼杭5の頭端部5′を、複数本の連結鋼材9により連結する。
【0016】
その後、上記多数の複合主杭aが囲繞区画する空域内に石材またはコンクリートブロック等の消波材10を投入乱積みするとともに、上部コンクリート(鉄筋コンクリートを含む)を打設して鋼杭5の頭端部5′と連結鋼材9を埋設した上部覆工11を施工し、消波構造物bを完工する。
【0017】
この消波構造物bにおいて、複合主杭aは、従来のように鋼杭を単独使用する場合にくらべて耐摩耗性覆管6の分だけ外径を大きくしているので、同じ杭心距離をおいて立設する場合、鋼杭単独使用に比し本複合主杭aの方が、隣接杭間の隙間を小さくする。
したがって、より小径の消波材を使用してもその隙間から抜脱させないし、従来の中間杭を不要にするとか少なくともその本数を減らすことができる。
【0018】
複合主杭aを構成する鋼杭5が、直接乾湿作用を受けることも直接波浪の衝接を受けることもなく腐食や摩耗のおそれがないのにくわえ、その複合主杭aの剛性が鋼杭5単独の場合に比べて大きいので、この消波構造物b全体の力学的強度もまた増大し、耐久性に富むものとなっている。
したがって、従来のように、波力を低減させて杭の摩耗被害を防ぐために、消波構造物bの沖側に消波工4を施工設置する不経済も改善できる。
【0019】
図9は、本発明消波構造物の他の実施形態に係る消波構造物cを示す。
この消波構造物cは、既設の直立護岸dが、強大な波力を直接受けることにより、その護岸自体を破壊するおそれがあったり、近傍の住宅等に大きな振動を与えるのを改善する目的で構築設置したものである。
【0020】
すなわち、消波構造物cは、直立護岸dの前面に上記消波構造物bの場合と同じ要領で構築設置され、さらに、その前面に根固め工eを施工設置している。
この根固め工eは、複数本の鋼材12を縦横に配列して格子状にしてなる敷設枠fを、消波構造物cの沖側水底地盤に敷設し、その上に、格子目から脱出することなくそれに係合する大きさの石材またはコンクリートブロック等の消波材13を乱積みしてなる。
【0021】
この根固め工eにより、消波構造物cの複合主杭aが洗掘により倒壊するようなことが防止されるものである。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明消波構造物用複合主杭は、水底地盤に打設され垂直に起立している鋼杭に耐摩耗性覆管を嵌合するとともに、これら鋼杭と耐摩耗性覆管との間に砂利,コンクリート等の充填物を充填してなるから、鋼杭は、直接乾湿作用を受けることがないとともに直接波浪の衝接を受けることもないので、腐食することがないのはもちろん摩耗することもない。
【0023】
また、この複合主杭は、文字どおり、鋼杭および耐摩耗性覆管ならびにこれらの間に充填された充填物からなる複合体であるから、従来の鋼杭単独の場合にくらべて、杭としての力学的強度を改善していること明らかである。
【0024】
本発明消波構造物は、上記構成の複合主杭が、従来のように鋼杭を単独使用する場合にくらべて耐摩耗性覆管の分だけ外径を大きくしているので、同じ杭心距離をおいて立設する場合、鋼杭単独使用に比し本複合主杭の方が、隣接杭間の隙間を小さくし、したがって、より小径の消波材を使用してもその隙間から抜脱させないし、従来の中間杭を不要にするとか少なくともその本数を減らすことができるものであり、その経済的メリットは極めて大きい。
【0025】
複合主杭を構成している鋼杭が、直接乾湿作用を受けることも波浪の衝接を受けることもないので、腐食や摩耗のおそれがなく、しかも、その複合主杭の剛性が鋼杭単独の場合に比べて大きいので、消波構造物全体の力学的強度もまた増大し、耐久性に富み、従来のように、波力を低減させて杭の摩耗被害を防ぐ消波工の設置を不要にすることができる。
【0026】
消波構造物の沖側等の周辺に、格子状の敷設枠に消波材を乱積みしてなる根固め工を施工設置することにより、消波構造物の複合主杭が洗掘により倒壊するのを防止できるから、根固め工を組合せ施工した場合における本発明消波構造物の耐久性は一段と改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明複合主杭の一実施形態の水底地盤起立状態の側面図である。
【図2】同上の拡大横断面図である。
【図3】同上の要部拡大断面図である。
【図4】本発明消波構造物の一実施形態例の概略正面図である。
【図5】同上の概略側面図である。
【図6】図4の消波構造物の上部覆工前の平面図である。
【図7】図4の要部拡大図である。
【図8】図6の要部拡大図である。
【図9】本発明消波構造物の他の実施形態例の概略側面図である。
【図10】従来公知の消波構造物の側面図である。
【符号の説明】
a 本発明消波構造物用複合主杭
b,c 本発明消波構造物
e 根固め工
f 敷設枠
5 鋼杭
5′ 鋼杭の頭端部
6 耐摩耗性覆管
6′ 耐摩耗性覆管の頭端部
7 砂利
8 コンクリート
9 連結鋼材
10 消波材
11 上部覆工
12 鋼材
13 消波材
Claims (2)
- 水底地盤に打設され垂直に起立している鋼杭と、該鋼杭に嵌合するとともに水底地盤に打設され垂直に起立しているプレストレスト・コンクリート管等の耐磨耗性覆管と、これら鋼杭と耐磨耗性覆管との間に形成される空隙に砂利、コンクリート等の充填物を充填してなる複合主杭を、水底地盤に所要の間隔で多数立設し、その複合主杭の水面から外方に突出している鋼杭の頭端部を、複数本の連結鋼材により連結し、これにより生じた多数の複合主杭が囲繞区画する空域内に、石材またはコンクリートブロック等の消波材を投入乱積みするとともに、上部コンクリートを打設して鋼杭の頭端部と連結鋼材を埋設した上部覆工を施工したことを特徴とする消波構造物。
- 水底地盤に打設され垂直に起立している鋼杭と、該鋼杭に嵌合するとともに水底地盤に打設され垂直に起立しているプレストレスト・コンクリート管等の耐磨耗性覆管と、これら鋼杭と耐磨耗性覆管との間に形成される空隙に砂利、コンクリート等の充填物を充填してなる複合主杭を水底地盤に所要の間隔で多数立設し、その複合主杭の水面から外方に突出している鋼杭の頭端部を、複数本の連結鋼材により連結し、多数の複合主杭が囲繞区画する空域内に石材またはコンクリートブロック等の消波材を投入乱積みするとともに、上部コンクリートを打設して鋼杭の頭端部と連結鋼材を埋設した上部覆工を施工してなした消波構造物の前面側に、鋼材で形成した格子状の敷設枠を設け、該敷設枠内に消波材を乱積みしてなる根固め工を周辺の水底地盤に設置したことを特徴とする消波構造物。
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