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JP3645236B2 - 繊維補強セメント板とその製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、繊維補強セメント板とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、強度等の品質、成形性等に優れ、再生繊維を利用することができる繊維補強セメント板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の外壁材、屋根材等の外装材として、セメント板をはじめとする各種の無機質板が用いられており、表面に深い凹凸模様を備えつつ、表面の耐久性、耐侯性、対磨耗性および耐凍害性等に優れた無機質板として、2層以上の構造を有し、表層に補強繊維が配設された繊維補強セメント板が知られている。
【0003】
この繊維補強セメント板は、一般的には、セメントを主成分とするセメントスラリーを抄造して得た抄造シート上に、セメントを主成分とし補強繊維を含む半乾式材料を散布して、たとえば任意の凹凸模様に加圧成形したのち、養生硬化することで製造されている。そして、補強繊維としては、強度等の品質、成形性等の観点から、通常は、新品の短繊維パルプ(L材パルプ)を用いるようにしている。
【0004】
一方で、このL材パルプ等の解繊パルプは、原料の中で最も高価な材料であり、また、リサイクルの観点から、近年では、工場で発生する繊維補強セメント板の端材および不良品を粉砕して得られる再生L材パルプを、他の無機質板における補強繊維として再利用することがなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この再生L材パルプは、上記のような表面に凹凸模様を有する繊維補強セメント板の表層の補強繊維として再利用した場合、加圧成形時に凹部に圧力をとられて凸部には圧力がかかりにくく、全体に均一に加圧することができない傾向が見られ、意匠性に劣るという問題があった。そのため、表層ではなく、基材等に限定して再利用されているのが現状である。
【0006】
最近では、工場だけでなく現場で発生する端材および不良品の再利用が望まれており、再生L材パルプを含めてより多量の再生材を消費することのできるリサイクルシステムの開発が急務となっている。
【0007】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、表層に再生繊維を利用することができるとともに、強度等の品質、成形性等に優れた繊維補強セメント板とその製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、以下の通りの発明を提供する。
【0009】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、2層以上の構造を有し、表層に補強繊維が配設された繊維補強セメント板であって、この補強繊維が、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維で、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維であることを特徴とする繊維補強セメント板を提供する。
【0010】
そしてこの出願の発明は、上記の発明について、第2には、補強繊維が、長繊維パルプ(N材パルプ)を含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となる再生N材パルプであることを特徴とする繊維補強セメント板を、第3には、表層に、任意の凹凸模様が設けられていることを特徴とする繊維補強セメント板を提供する。
【0011】
また、この出願の発明は、第4には、セメントを主成分とするセメントスラリーを抄造して得た抄造シート上に、セメントを主成分とし補強繊維を含む半乾式材料を散布して、加圧成形および養生硬化する工程を含む製造方法であって、補強繊維として、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維を用いることを特徴とする繊維補強セメント板の製造方法を提供し、第5には、その補強繊維として、長繊維パルプ(N材パルプ)を含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生N材パルプを用いることを特徴とする繊維補強セメント板の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
【0013】
この出願の発明が提供する繊維補強セメント板は、2層以上の構造を有し、表層に補強繊維が配設された繊維補強セメント板であって、この補強繊維が、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維で、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維であることを特徴としている。
【0014】
従来は、このような多層構造を有する繊維補強セメント板においては、基材の補強繊維として再生繊維を用いることができたが、この出願の発明においては、表層に再生繊維を用いるようにしている。そして、表層の成形性、強度等の品質を十分なものとするために、再生繊維の繊維長およびその配合量に着目し、繊維全体の70重量%以上が繊維長0.4〜1.2mmのものとなるように規定している。この再生繊維において、繊維長0.4mm未満のものが多すぎると繊維が短かすぎ、加圧成形時に繊維補強セメント板全体に均一に圧力が加わりにくくなるために好ましくない。また、繊維長1.2mmを超えるものが多すぎると繊維が長すぎ、繊維補強セメント板の製造において表層を構成する半乾式材料への分散性が悪くダマになりやすく、シャープな表面意匠が得られないのに加え、強度も劣ってしまうために好ましくない。そのため、上記のとおり、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となるようにしている。
【0015】
このような繊維全体の70重量%以上が繊維長0.4〜1.2mmとなるような再生繊維として、繊維補強セメント板に配合されている各種の天然繊維、合成繊維等を用いることができるが、この出願の発明においては、長繊維パルプ(N材パルプ)を含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる再生N材パルプを用いることを好ましい例として示すことができる。一般に、再生繊維としては再生短繊維パルプ(再生L材パルプ)がより多く使用されているが、得られるままの再生L材パルプは繊維長0.4〜1.2mmのものが全体の70重量%未満で上記の規定を満たすことができず、さらに分級等の操作が必要となってしまう。一方、再生N材パルプについては、もともとN材パルプの繊維長が長いため、粉砕して得られる再生N材パルプがそのままで上記の規定を満たすために簡便に利用できる。また、N材パルプは繊維径も太いため、より高い補強効果および強度向上効果を得ることができる。
【0016】
このようなこの出願の発明の繊維補強セメント板は、表層に再生繊維を用いることができリサイクル性に優れており、さらに表層には深い凹凸模様をシャープに実現することも可能とされる。
【0017】
このようなこの出願の発明が提供する繊維補強セメント板は、たとえば以下のこの出願の発明の繊維補強セメント板の製造方法により製造することができる。すなわち、この出願の発明の製造方法は、セメントを主成分とするセメントスラリーを抄造して得た抄造シート上に、セメントを主成分とし補強繊維を含む半乾式材料を散布して、加圧成形および養生硬化する工程を含む製造方法であって、補強繊維として、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維を用いることを特徴としている。
【0018】
この出願の発明において、セメントスラリーの配合については特に制限はなく、目的に応じて所望のものとすることができる。具体的には、たとえば、セメントに、パルプ、シラスバルーン、パーライト等の軽量骨材、ビニロン、ポリプロピレン等の繊維、必要に応じて遅延剤等の添加剤を配合したもの等が例示される。このセメントスラリーは、たとえば、含水率50〜150%程度の抄造シートが得られるように抄造する。
【0019】
そして、この抄造シート上に半乾式材料を散布する。この半乾式材料についても、上記のとおりの補強繊維を用いること意外は特に制限はなく、所望の配合とすることができ、たとえば、セメントスラリーと同様の配合となるように調整してもよいし、異なる配合としてもよい。また、半乾式材料の散布量も、任意に設定することができる。この半乾式材料の含水率は、抄造シートの含水率に応じて、0〜50%程度の範囲で調整することができる。
【0020】
この出願の発明においては、半乾式材料に用いる再生繊維として、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となるように調整すること以外は、その材質等に特に制限はなく、たとえば、補強繊維を含む各種の無機質板の端材や不良品を粉砕し、分級して得られる繊維分から、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となるように調整したものを用いることができる。粉砕には、たとえば、ペルベライザー式粉砕方式、ローラーミル式粉砕方式、ピンミル式粉砕方式の粉砕装置等を利用することが、粉砕物の分級には、たとえば、ロータリーシフター方式、振動方式のふるい装置等を利用することが簡便な例として示される。分級の際には、おおよその目安として、100メッシュのふるいを用いることで、粉砕物を繊維分と固形分とに適切に分けることができる。
【0021】
このような再生繊維について、この出願の発明では、N材パルプ含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる再生N材パルプを用いることを好ましいものとしている。再生N材パルプは、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上のものとして得られるため、繊維長の調整が不要となるために簡便である。また、再生N材パルプは、繊維径が比較的太く、高い補強効果が得られる点でも好ましい。
【0022】
このような半乾式材料を抄造シート上に散布したのち、所定の大きさに切断する等し、たとえば、任意の凹凸模様を備えた金型等を用いて加圧成形し、養生硬化することで、繊維補強セメント板を得ることができる。
【0023】
このようなこの出願の発明によると、表層にも再生繊維を用いることができるためにリサイクル性が向上されるだけでなく、たとえば2〜3mmあるいはそれ以上の深い凹凸模様を施す場合であっても、その模様をシャープに付与することができる。
【0024】
以下に実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0025】
【実施例】
L材パルプあるいはN材パルプを含む繊維補強セメント板をそれぞれピンミル式粉砕機で粉砕し、100メッシュのふるいにかけ、ふるい上に得られた繊維分を再生L材パルプ、再生N材パルプとした。ふるい上に得られたこれらの再生繊維は、分級比5〜30重量%で、含有繊維分は40〜70%であった。
【0026】
この再生繊維と新品のL材パルプおよびN材パルプについて、繊維長等を調べて表1に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0003645236
【0028】
これらの繊維を表層に用いて2層構造の繊維補強セメント板を製造した。まず、セメント100重量部に対し、フライアッシュ100重量部、珪石粉25重量部およびL材パルプ(新品)25重量部の配合のセメントスラリーを抄造して抄造シートを作成し、この抄造シート上に、表2に示した配合の半乾式材料を散布した後、凹凸模様を有する金型にて加圧成形し、前養生およびオートクレーブ養生を施した。なお、表2の比較例1の配合は、従来の繊維補強セメント板における半乾式材料の配合である。
【0029】
得られた繊維補強セメント板は、何れも抄造シート部(基材)の厚さが12mm、半乾式材料部(表層)の厚さが3mmであった。これらの繊維補強セメント板の品質を評価し、併せて表2に示した。
【0030】
【表2】
Figure 0003645236
【0031】
なお、評価欄の比重、曲げ強度、引張り強度は、比較例1の従来品の値を100とした相対値で示している。
【0032】
実施例1は、再生L材パルプおよび再生N材パルプを組み合わせて、実施例2は、再生N材パルプのみを用いて、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となるようにしたものであり、いずれも比較例1の従来品と比較して、比重、曲げ強度、引張り強度が向上され、外観がシャープで優れたものとなることが分かった。
【0033】
一方の比較例2は、新品のN材パルプを用いたものであり、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の50重量%しかなく、全体的により長い繊維が多かったため、半乾式材料の混練時にダマになりやすくて分散性が悪く、比較例1の従来品と比較して、基材の比重が上がらず強度が低下してしまった。また、繊維が長いため、凹凸模様にキレが生じてしまい、意匠性に劣るものとなってしまった。
【0034】
比較例3は、再生L材パルプのみを用いたものであり、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の65重量%しかなく、全体的により短い繊維が多かった。そのため、加圧成形において圧力ムラが見られ、比較例1の従来品と比較して、やや強度が低下するとともに、はっきりとした凹凸模様が得られなかった。
【0035】
以上のことから、この出願の発明のとおり補強繊維の繊維長を調整することで、繊維補強セメント板の表層に再生繊維を用いることができ、成形性および外観が向上されることが確認された。特に、再生N材パルプを用いた場合は、繊維長が適切な範囲となるのに加え、繊維径が太くなるため、強度向上の効果も得られることが確認された。
【0036】
もちろん、この出願の発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、表層に再生繊維を利用することができるとともに、強度等の品質、成形性等に優れた繊維補強セメント板とその製造方法が提供される。

Claims (5)

  1. 2層以上の構造を有し、表層に補強繊維が配設された繊維補強セメント板であって、この補強繊維が、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維で、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維であることを特徴とする繊維補強セメント板。
  2. 補強繊維が、長繊維パルプ(N材パルプ)を含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上となる再生N材パルプであることを特徴とする請求項1記載の繊維補強セメント板。
  3. 表層に、任意の凹凸模様が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の繊維補強セメント板。
  4. セメントを主成分とするセメントスラリーを抄造して得た抄造シート上に、セメントを主成分とし補強繊維を含む半乾式材料を散布して、加圧成形および養生硬化する工程を含む製造方法であって、補強繊維として、繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生繊維を用いることを特徴とする繊維補強セメント板の製造方法。
  5. 補強繊維として、長繊維パルプ(N材パルプ)を含む繊維補強セメント板を粉砕して得られる繊維であって、繊維長0.4〜1.2mmのものが繊維全体の70重量%以上である再生N材パルプを用いることを特徴とする請求項4記載の繊維補強セメント板の製造方法。
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