JP3659818B2 - 肌の透明感の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肌の透明感を鑑別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
皺、しみ、くすみ等、肌の悩み改善研究や肌を美しく見せる研究は大きな進展が見られそれによりスキンケア化粧品及びメーク品へと活用されている。しかしながら、一方、客観的評価法が確立出来ていないため、肌そのものを、より理想の肌、美しい肌に近づける研究は行われていないのが現状である。今後は、皺、しみ等の肌トラブルを改善したり、健康な肌を取り戻すという働きに加え、肌の透明感を増す、はりのある肌にする、つやの良い肌にする、みずみずしい肌を創る等、肌そのものの美しさを増す機能を持つ化粧品が強く求められている。この様なニーズに答えるために、肌の透明感を客観的にとらえる方法の開発がのぞまれていた。
【0003】
前記透明感については、角層のバリアー機能との関係が示唆されており、NMFやNEFと言ったこの様な機能を表すファクターが低下すると、かかる透明感も低下することが知られている。しかしながら、クリームなどの化粧料などによって油分を補い、前記ファクターを上昇させても、テカリが現れるものの、肌の美しい透明感の回復に至らないことも既に知られている。
【0004】
メークアップ化粧料に於いて、微細な半透明粉体を多量に用いたメークアップ化粧料の仕上がりの透明感向上が著しいことは既に知られていることであるが、素肌に於ける透明感の向上の方法は未だ知られていない。
【0005】
一方、肌の表面構造を解析することは既に行われているが、肌の表面構造、とりわけ凹凸の状況が透明感と関連を持っていることも、かかる肌表面の凹凸をサイズのレベル別に測定し、これらと透明感とを関連づけるような試みも全く為されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、肌の透明感を客観的に鑑別する手段を提供することを課題とする。
【0007】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは鋭意研究努力を重ねた結果、角質細胞の表面形態、皮丘部の形態及び皮溝・皮丘の形態等の肌表面の凹凸を指標とすることにより、肌の透明感を客観的に鑑別しうることを見いだし、発明を完成させるに至った。以下、本発明について、実施の形態を中心に詳細に説明を加える。
【0005】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の肌の鑑別法
本発明の鑑別法は、肌表面の凹凸を指標とすることを特徴とする。肌の表面の凹凸の測定は、様々なレベルでの測定が可能であるが、本発明ではこれらの何れもが使用できる。これは、肌表面の凹凸形態が、大きなレベルから微小レベルに至るまで、フラクタル的な構造で構築されているからである。肌表面上に存在する凹凸形態をサイズ別に挙げてみると、1)角質細胞表面の形態、2)角質細胞レベルの形態、3)皮丘、皮溝レベルの形態が挙げられる。これらのレベルの肌の表面の凹凸形態は、それぞれ1)原子間力顕微鏡、2)レプリカと3次元画像処理装置、3)レプリカと画像解析装置を用いて測定できる。かくして測定された、表面の凹凸の形態は、後記実施例に示す如くに、肉眼的に認識される透明感(透明感評価値)との間に優れた相関性を有する。本発明では、これらの肌表面上に存在する形態を前記の如くサイズのレベル別に分類し、該分類のレベル毎に表面形態の凹凸を測定し、これより次に示す式に従って肌の透明度を算出することが出来る。これらのレベルの個々の値でも充分な相関性を有するが、この式によるものの方が相関係数が高く好ましい。
肌の透明感=ー0.12(皮丘、皮溝レベルの平均粗さ)ー0.26(角質細胞レベルの平均粗さ)−0.03(角質細胞表面の平均粗さ)+8.03
【0006】
(2)角質細胞表面の形態
角質細胞表面の凹凸の形態とは、角質細胞1個1個が有する、細胞表面上の粗さを示すものである。角質細胞は図1に示す如く、決して滑らかな表面を有しておらず、その粗さを指標とするものである。粗さとしては、角質細胞1個1個の面平均粗さ、面最大高さ、最大高さ、平均粗さ、平均間隔等の数値で代表させることが出来る。これらの数値を、例えば、任意に選別した3〜7個の細胞について測定し、平均して得た平均値を用いることが好ましい。かかる測定は、走査電顕や原子間力顕微鏡等で測定することが出来る。これらの内では原子間力顕微鏡を用いるのが好ましい。
【0007】
(3)角質細胞レベルの形態
角質細胞レベルの凹凸の形態とは、皮膚の皮丘部に於ける、並んだ角質細胞によって作り出される凹凸を意味し、これはレプリカの皮丘部の小範囲について、この形態を三次元画像処理装置に取り込み、これを解析することによって得ることが出来る。測定値としては、この三次元画像処理の面測定によって得られる、平均粗さ、自乗平均粗さ、最大高さ、谷の最大深さ、山の最大高さ等の数値として測定できる。これらの内で特に好ましいものは、平均粗さと自乗平均粗さである。これはこれらの相関係数が高いからである。
【0008】
(4)皮丘、皮溝レベルの形態
皮丘、皮溝レベルの凹凸の形態とは、皮溝と皮丘からなるマクロ構造に於ける凹凸を意味し、これは、レプリカを画像解析装置を用いて、平均粗さとして、測定することが出来る。
【実施例】
以下に実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれらの実施例のみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0007】
<実施例1>
角質細胞表面の形態と透明感の関係 を調べた。10名のパネラーを選び出し、専門パネラー4名により、肌の透明感を1(非常に透明感がない)〜5(非常に透明感がある)の5段階で評価し、この人たちの頬部1cm×1cmより角質細胞を採取し、この内5個について、原子間力顕微鏡で、面平均粗さ、面最大高さ、平均粗さ、最大高さ、平均間隔を求め、この数値を平均した。これらの値と透明感評価値との相関係数を求めたところ、次の表1に示す結果を得た。これより、これらの値は何れも肌の透明感評価値と良く相関していることがわかる。図1、2に透明評価値4の人の角質細胞と透明感評価値1.6の人の角質細胞の測定図を示す。
【0008】
【表1】
【0009】
<実施例2>
実施例1の10名のパネラーを用いて、同様に、角質細胞レベルの形態と透明感との関係を頬部1cm×1cmより採取したレプリカの皮丘部0.2mm×0.2mm範囲について3次元画像処理装置で表面形態を測定し、各レプリカ当たり5カ所の平均値を測定値とした。角質細胞レベルの凹凸と透明感視感評価値との相関係数を表2に示す。これよりこれらの値と透明感評価値の間に良好な相関関係が見られることがわかる。図3、図4に透明評価値3.8の人の角質細胞レベルの形態と透明感評価値1.6の人の角質細胞レベルの形態の図を示す。
【0010】
【表2】
【0011】
<実施例3>
実施例1、2と同様に、同じ10名のパネラーを用いて、皮丘・皮溝レベルの形態と透明感との関係を調べた。即ち、頬部2.5mm×2.5mmより採取したレプリカを画像解析装置を用いて、平均粗さを測定した。この値と透明感評価値との相関係数は−0.867であった。これより、この値と透明感の間には良好な相関関係があることがわかる。
【0012】
<実施例4>
上記、実施例1〜3で求めた測定値と透明感評価値との関係について、重回帰分析を行った。その結果、重相関係数0.931で、次式に表される関係が成立することが判明した。尚、皮丘、皮溝レベルの平均粗さ、角質細胞レベルの平均粗さ、角質細胞表面の平均粗さのそれぞれの標準偏回帰係数は−0.44、−0.18、−0.41であった。即ち、肌の透明感は、その肌の表面構造より、ー0.12(皮丘、皮溝レベルの平均粗さ)ー0.26(角質細胞レベルの平均粗さ)−0.03(角質細胞表面の平均粗さ)+8.03で算出できることがわかる。
肌の透明感評価値=ー0.12(皮丘、皮溝レベルの平均粗さ)ー0.26(角質細胞レベルの平均粗さ)−0.03(角質細胞表面の平均粗さ)+8.03
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、肌の透明感を客観的に鑑別する手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 透明感評価値4.0の人の原子間力顕微鏡による角質細胞の図である。
【図2】 透明感評価値1.6の人の原子間力顕微鏡による角質細胞の図である。
【図3】 透明感評価値3.8の人の角質細胞レベルの形態を示す図である。
【図4】 透明感評価値1.6の人の角質細胞レベルの形態を示す図である。
Claims (4)
- 予め、パネラーを用いて、パネラーの角質細胞標本又はレプリカ標本を作成し、該角質細胞標本から、
原子間力顕微鏡によって測定される、角質細胞の表面の面平均粗さ、面最大高さ、平均粗さ、最大高さ及び平均間隔から選択される少なくとも1種、
レプリカ標本から、三次元画像処理装置によって測定される角層細胞レベルの平均粗さ、自乗平均粗さ、最大高さ、谷の最大深さ及び山の最大高さから選択される少なくとも1種、並びに、
レプリカ標本から画像解析装置によって測定される皮溝・皮丘部の平均粗さ、
とを算出し、
パネラーを第三者が観察し、評価した肌の透明感の評価値とを統計解析して回帰式を作成しておき、該回帰式に、
被験者の角質細胞標本又はレプリカ標本を作成し、該角質細胞標本から、
原子間力顕微鏡によって測定される、前記角質細胞の表面の面平均粗さ、面最大高さ、平均粗さ、最大高さ及び平均間隔から選択される少なくとも1種、
レプリカ標本から、三次元画像処理装置によって測定される、前記角層細胞レベルの平均粗さ、自乗平均粗さ、最大高さ、谷の最大深さ及び山の最大高さから選択される少なくとも1種、並びに、
レプリカ標本から画像解析装置によって測定される、前記皮溝・皮丘部の平均粗さ
とを測定して代入し、第三者が感じる、肌の透明感の評価値の推定値を算出することを特徴とする、第三者が感じる、肌の透明感の鑑別法(但し、医療目的を除く)。 - 角質細胞標本から、原子間力顕微鏡によって測定される、角質細胞の表面の面平均粗さ、面最大高さ、平均粗さ、最大高さ及び平均間隔から選択される少なくとも1種が平均粗さであることを特徴とする、請求項1に記載の肌の透明感の鑑別法。
- レプリカ標本から、三次元画像処理装置によって測定される角層細胞レベルの平均粗さ、自乗平均粗さ、最大高さ、谷の最大深さ及び山の最大高さから選択される少なくとも1種が平均粗さであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の肌の透明感の鑑別法。
- 前記第三者が感じる、肌の透明感の評価値が、透明感がある(評点5)〜透明感がない(評点1)の5段階評価に於ける評点とした場合に於いて、該第三者の感じる透明感の評価値が次式で算出されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の、第三者が感じる、肌の透明感の鑑別法。
肌の透明感の評価値=−0.12(レプリカ標本から画像解析装置によって測定される皮溝・皮丘部の平均粗さ)−0.26(レプリカ標本から、三次元画像処理装置によって測定される表面の平均粗さ)−0.03(原子間力顕微鏡によって測定される角層細胞表面の平均粗さ)+8.03
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