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JP3667511B2 - ストレスの鑑別法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストレスの質と量の鑑別に好適な鑑別法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレスは人間の生活を考える上で非常に重要な要素であり、ストレスが負荷され過ぎると心筋梗塞、高血圧、脳血管障害等の循環器系疾病を引き起こしたり、拒食症や過食症などの心身症の原因となったりし、又、ストレス負荷が少なすぎる場合には、人間としての進歩が損なわれる、生き甲斐がないためにかえって老人ボケなどの症状が早期に生じるなどの弊害が現れることが既に知られている。即ち、人間生活に於いてはストレスの負荷量を適量に保つ必要があることは既に古くから知られていることであった。更に、ストレスには急性的なストレスと慢性的なストレスがありそうであることは既に認知されていたが、これらの差違についての検討は為されていないのが現状であった。
【0003】
しかし、ストレスコントロールで最も問題になることは、ストレス負荷量が自分自身では認識することができないことであり、ストレスの過負荷状態によって生じる疾病の症状を見て初めて気づいたり、かかる症状を体験してもなおかつストレスの過負荷に気づかなかったりするのが現状と言わざるを得ない。
【0004】
この様な状況下、種々の臨床的ニーズを受けて、ストレスの客観的な定量手段が検討された。例えば、尿中や血中のプラステロン及びその代謝変化体の挙動を把握して、ストレスを客観的に捉えようとする試みや、血中、唾液中、尿中等のコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの濃度変動を指標にストレス負荷量を定量する手段などが考え出され、ストレスの負荷量の定量的な評価は可能となってきた。しかしながら、これらの方法は何れも高価な試薬や、検知器具を必要とするため、家庭で定常的にストレスの負荷量を測定し、生活環境の改善に反映させるには多くの問題が残っていた。更には、ストレスの質までも加味した負荷量の鑑別は不可能であるという問題も存在していた。
【0005】
他方、肌状態の鑑別には、種々のツールや指標が開発されており、例えば、カウンセリングによる化粧料などの選択に広く利用されていて、安価な公知技術に属するものが多い。又、肌状態とストレスの関係については、「疲れると肌が荒れる」と言うような経験則はあるもののその科学的因果関係については全く知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下に為されたものであり、ストレスの負荷量を手軽に鑑別しうる手段を提供することを課題とする。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、ストレスの負荷量を手軽に鑑別しうる手段を求めて鋭意研究を重ねた結果、皮膚の機能及び/又は状態を指標とすることにより、生体に負荷されたストレス量を手軽に鑑別しうることを見いだし発明を完成させるに至った。以下、本発明について実施の形態を中心に詳細に説明を加える。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の生体に負荷されたストレスの鑑別法は、皮膚の機能及び/又は状態を指標とすること(医療目的によるものを除く)を特徴とする。本発明の鑑別法で指標となる皮膚機能及び/又は状態は、定量的に評価しうることを条件とする。かかる皮膚機能及び/又は状態としては、例えば、回復皮脂量などに代表される皮脂分泌機能、透過水分量や皮膚のコンダクタンス等に代表される皮膚水分保持機能、皮膚のレプリカの顕微鏡観察や実体顕微鏡観察による皮膚表面形態、強制剥離時に於ける、剥離角層の形態や面積等が好ましく例示できる。これらの値の測定法は既に知られており、例えば、皮脂分泌量であれば、脂取り紙等で皮脂を採取し重量を測定する方法、皮膚水分保持機能であれば、透過水分量測定装置を使用した透過水分量(TEWL)測定装置、角質水分量の指標となる皮膚のコンダクタンスを測定するコンダクタンス測定装置、テープストリピングによる角層の剥離状態と剥離量を顕微鏡で測定する方法等が例示できる。これらは何れも客観的且つ定量的に測定できる。更に測定部位は、皮膚であれば特段の限定を受けないが、ストレス負荷に於ける変化の大きい顔などの露出部位が好ましく、顔の頬或いは小鼻が特に好ましい。測定部位と測定項目の関係では、小鼻に於ける回復皮脂量、頬に於ける透過水分量が睡眠不足などの一過性のストレスの鑑別には好ましく、頬に於ける角層の剥離の状態や量が慢性的なストレスの鑑別には好ましい。又、この様にストレスの種類により好ましい測定値が異なることより、これらの測定値を組み合わせて分析することにより、負荷されたストレスがどの様な種類のものか、即ち、急性(一過性)のストレスであるのか、蓄積された慢性的のストレスであるのか、それらはそれぞれどの程度負荷されているのかが鑑別しうる。この場合、後記実施例に示すように上腕内側部の様な非露出部ではストレスの負荷の有無に関わらず殆どこの様な皮膚機能や皮膚状態が同じことから、この様な非露出部位を対照として用いるのが便利である。ストレス量とこれらの皮膚機能・状態の代表値の間の関係は、大凡、負荷ストレス量が増大するに従い皮膚機能は低下し、状態は悪化する方向にこれらの代表値は移行する。例えば、皮脂の分泌量であれば、ストレスの負荷量の増大に従い減少し、透過水量は増大し、角層の剥離面積は減少する。これらの値は、ストレスの負荷量の指標ともなっている血中コルチゾール濃度とも相関している。
【0009】
【実施例】
<実施例1>
急性(一過性)ストレスの鑑別
有志パネラーを用いた、人工睡眠不足の急性ストレスモデルを用いて、皮膚機能・状態と睡眠不足ストレスとの関係を調べた。測定した皮膚機能・状態は洗浄後の回復皮脂量、透過水量(TEWL)、皮膚のコンダクタンスの3項目であり、測定部位は頬、下瞼、小鼻であった。尚、小鼻のTEWLの測定は不可能であった為、コントロールの上腕内側部の測定を行った。洗浄後の回復皮脂量の測定は、洗顔料で洗顔した後20分に秤量してある脂取り紙で顔全面をふき取り脂取り紙の重量増加をもって回復皮脂量とした(単位mg/cm2)。又、TEWLは透過水量測定装置によって測定した(単位g/m2h)。皮膚のコンダクタンスは皮膚コンダクタンス測定装置によって測定した。パネラーは3泊4日で、最初の2夜は0時に就寝7時に起床し、7時間睡眠時間をとる通常睡眠日とし、最後の1夜は3時に就寝7時に起床する睡眠不足日とした。皮膚機能の測定は毎日21時と8時の2回行った。結果を図1、2、3に示す。この結果より、一過性(急性)ストレスの負荷によって、小鼻の回復皮脂量と頬のTEWLに、通常睡眠日と睡眠不足日の間で大きな差があることが判る。即ち、睡眠不足という一過性のストレス負荷の結果がこれらの測定値に反映されており、これらの測定値を指標にすることにより、一過性のストレスの負荷量が推算しうることが判る。又、同時に頬部よりレプリカ標本を採取し、角層の剥離面積と規則性を顕微鏡下観察したが、睡眠不足群と通常睡眠群との間には差違がないことを確認した。
【0010】
<実施例2>
実施例1の実験のパネラーの中から、任意に10名選びだし、最終日の朝の測定時に採血し、委託業者に依頼して血中のコルチゾール濃度(μg/dl)を測定してもらった。実施例1でストレスの指標として有益であることが判明した小鼻の回復皮脂量、頬のTEWL値との関係を調べた。結果はコルチゾール濃度と回復皮脂量との相関係数は、r=0.36(P<0.05)であり、コルチゾール濃度とTEWL値の相関係数はr=0.35(P<0.05)であった。これよりこれらの間に良好な相関関係があり、皮膚機能や皮膚状態を指標にしてストレス、取り分け睡眠不足のような一過性のストレスの負荷量が鑑別しうることが判る。
【0011】
<実施例3>
任意に選出した40名のパネラーに桂 載作らの方法(ストレス病の診断方法、からだの科学(1994年))に従って、ストレス・チェックリストに従ってアンケートを行い、ストレスチェック値(SCスコアー)を算出した。SCスコアー値の高い順にパネラーを並べ、高い方から15名を高慢性的ストレス群、低い方から15名を低慢性的ストレス群とし、頬部、上腕内側部のレプリカ標本を作製した。レプリカ標本はヘマトキシリン・エオシン染色し、顕微鏡像をビデオ画像として取り込み、この画像を処理して剥離角層面積を測定した。SCスコアーと角層面積の相関関係を相関係数として表1に、高慢性的ストレス群と低慢性的ストレス群の比較を図4に示す。これらの結果より慢性的ストレスと角層の剥離面積は定量的に相関していること、及び、頬の角層剥離面積を測定することにより慢性的ストレスの負荷量が定量しうることが判る。この角層の剥離面積については実施例1で示した如く、一過性のストレス負荷では差違がないため、負荷されたストレスの中の慢性的ストレスのみをこの方法により定量可能であることが判る。従って、複数の皮膚機能や皮膚状態の計測を行うことにより、負荷されたストレスを慢性的なものと急性のものに分けて定量しうることも判る。
【0012】
【表1】
Figure 0003667511
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、ストレスの負荷量を手軽に鑑別しうる手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ストレスと回復皮脂量との関係を示す図である。
【図2】 ストレスと透過水量との関係を示す図である。
【図3】 ストレスとコンダクタンスとの関係を示す図である。
【図4】 SCLスコアーと角層の剥離面積との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 皮膚の機能及び/又は状態を指標とすることを特徴とする、生体に負荷されたストレスの鑑別法(医療目的によるものを除く)であって、
    被験者の皮膚の角層剥離面積を測定し、任意に選択したパネラーにおける角層剥離面積の測定値と桂載作らの方法に従って求められたストレスチェック値との相関関係を用いて、前記被験者の測定された角質剥離面積から被験者のストレスチェック値を推定し、このストレスチェック値により、被験者に負荷された慢性的なストレスを鑑別することを特徴とする、生体に負荷された慢性的ストレスの鑑別法
  2. 皮膚として頬部の皮膚を用いることを特徴とする請求項1に記載のストレスの鑑別法。
  3. 皮膚の機能及び/又は状態を指標とすることを特徴とする、生体に負荷されたストレスの鑑別法(医療目的によるものを除く)であって、
    被験者の小鼻の回復皮脂量と頬の透過水量とを測定し、3時に就寝させ7時に起床させることで睡眠不足としたパネラーにおける小鼻の回復皮脂量及び頬の透過水量と、0時に就寝させ7時に起床させることで通常の睡眠をとったパネラーにおける小鼻の回復皮脂量及び頬の透過水量との相関関係を用いて、前記被験者の測定された小鼻の回復皮脂量及び頬の透過水量から被験者に負荷された一過性のストレスを鑑別することを特徴とする、生体に負荷された一過性ストレスの鑑別法。
  4. 皮膚の機能及び/又は状態を指標とすることを特徴とする、生体に負荷されたストレスの鑑別法(医療目的によるものを除く)であって、
    被験者について請求項1又は2に記載の慢性的ストレスの鑑別法による慢性的ストレスと請求項3に記載の一過性ストレスの鑑別法による一過性ストレスとを求め、この両者より被験者に負荷されたストレスを一過性ストレスと慢性的ストレスとに分けて鑑別することを特徴とする、生体に負荷されたストレス鑑別法。
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