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JP3662750B2 - 分散型実時間制御システムのモジュールにおける過負荷応答方法 - Google Patents
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JP3662750B2 - 分散型実時間制御システムのモジュールにおける過負荷応答方法 - Google Patents

分散型実時間制御システムのモジュールにおける過負荷応答方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実時間システムにおける過負荷状態に応答するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気通信システムのような実時間システムは、その実時間システムからは制御できないユーザが行う要求(例えば接続要求)に応答(対処)する必要がある。したがって、システムに対して著しく多数のユーザが同時に要求をなす場合には、実時間システムが過負荷状態になる。
【0003】
従来の技術では、このような過負荷に対するシステムの応答の仕方は概して、後回し可能なタスクを後回しにすること、及び負荷を放棄、すなわちシステムの1個以上のモジュールにおける接続についてのユーザ要求のうちのいくつかに関してその受諾を拒絶することである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような応答における従来の技術の問題点として、後回し可能なタスクが後回しにされてから、再検討の結果再起動可能となり次第なるべく早くこれらのタスクの動作を回復すること、及び負荷の受諾が拒絶されてから、再検討の結果受諾再開が可能になり次第なるべく迅速に受諾を再開すること、が困難なことが判っている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点は、本発明を実施することにより顕著に改善され従来の技術に対して進歩が得られる。本発明によれば、過負荷が短期型過負荷と長期型過負荷とに区別され、短期型過負荷及び長期型過負荷の軽減に対して異なる手法が用いられ、長期型過負荷軽減の手法は、短期型過負荷として宣言された過負荷のレベルが或るしきい値を超えた場合にのみ起動される。
【0006】
上記の手法の利点として、過負荷を迅速に検出してこれに迅速に対応することができ、又、過負荷が軽減した際にも軽減の迅速な検出及び迅速な対応が可能である。
【0007】
本発明の具体的な一実施例では、電気通信システムは交換システムであって、このシステムは少なくとも2種類のモジュール、すなわち接続を設立するための交換基本構造(switch fabric) モジュールと、刺激(過負荷情報)を処理しその結果として交換基本構造モジュールを制御するためのプロセッサモジュールとを有する。
【0008】
本質的に、各プロセッサモジュール及び各交換基本構造モジュール(又は簡単に、基本構造モジュール)は複数の短期型過負荷レベルを有する。モジュールは、特定の過負荷レベルに留まって、そのレベルに連関する過負荷軽減のための処置を行う。そして、現在の過負荷状態が、現在の過負荷レベルの特性を示す過負荷計測値帯域外にあることを、過負荷計測値が示すまでこの処置を継続する。
【0009】
過負荷計測値帯域外にあることが示された場合、過負荷レベルが1レベルだけ増値又は減値される。もし減値の結果として過負荷レベル「0」すなわち過負荷のないことを表すレベルに到達した場合、過負荷修正処置は終了する。もし過負荷計測値が短期型過負荷最高レベルの上限を超えた場合には、長期型過負荷最低レベルでの処置が開始される。長期型過負荷を軽減するために、長期型過負荷レベルにおいて別の過負荷制御処置が行われる。
【0010】
長期型過負荷レベルおいても、短期型過負荷レベルにおいて過負荷レベルが増値又は減値される仕方と次の相違点を除いては本質的に同じ仕方で、過負荷計測値により過負荷レベルが増値又は減値される。この場合の相違点とは、長期型過負荷レベルが最低レベルから減値されると処置手順は短期型過負荷レベルの最高レベルに移ること、長期型過負荷レベルの最高レベルからの増値は許されないこと、及び長期型過負荷レベルにおける計測値は、短期型過負荷レベルの場合よりも長い時間長さにわたって採取した負荷計測値、から求めることである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、相関関係にある2つの態様、すなわち短期型及び長期型の態様からなる過負荷制御について説明する。多くの場合に、短期型制御処置がシステムの動作に対する影響が比較的小さいのに対し、長期型制御処置はシステムの動作に対してより厳しい結果を及ぼす。
【0012】
したがって、短期型と長期型とを区別するのが望ましい。特に、これら2種類の態様を区別しない単一化された制御方法を、過負荷を受けているシステムに適用しないことが重要である。用語「過負荷状態」を用いる際、「ゼロ過負荷状態」すなわちモジュール内に過負荷が存在しない「通常状態」を含める。
【0013】
最初に述べた自律制御方法においては、個別の交換構成要素(ノード又はモジュール)がその動作を計測し、計測値に基づいて処置を行う。ノードは全て、自律且つ独立していて、その処置は他のノードの状態及び/又は処置とは関連がない。これと対照的に、本発明の一実施例で用いられる「統合型」の過負荷対応手法においては、1個以上のモジュールが長期型過負荷レベルに入る場合には、制御中に取るべき処置を定める際に全てのノードの状態が同時に考慮される。
【0014】
短期型過負荷制御は、その名の示す通り、短い時間長さにおけるシステム動作の計測値に反応して行われる制御である。これは、長くは続かない過渡的及び短期的な過負荷状況を捉えることを目的とするものであり、したがって、過重な不利点(例えば、高い呼阻止レート)をもたらすような処置を必要としない。
【0015】
一般的な短期型過負荷制御の処置は、「決定的に重大」(以下、決定的)でないタスクの処理を遅らせる手法からなる。これらのタスクは過渡的な過負荷の解消後に処理されることとなる。この場合の処置は激しさとしては決定的なものではなく、過渡的である。
【0016】
決定的でないタスクとは例えば、交換装置保守及び管理に割り当てられたレジスタ及びメモリブロックであって交換装置において進行中の呼の処理のような主たるタスクには直接関与しないようなレジスタ及びメモリブロック、のリセット要求に応答するタスクである。ここで重要なのは、このような決定的でないタスクは長期間遅らせることができないことである。その理由は長期間遅らせた場合には交換装置又はその基となるネットワークの運用が中断されるからである。
【0017】
短期型過負荷制御の処置には又、過負荷状態の厳しさからより決定的な処置が必要とされる場合のみではあるが、交換装置によって行われる決定的なタスクを遅らせる手法を含む。一般的な激しい(決定的な)短期型過負荷処置は例えば、交換装置に到達してその交換装置のノードから、阻止された呼がもたらすことになったであろう処理のための負荷(処理負荷)を除去するような、より低い優先度の呼信号送信メッセ−ジ、を低いレートに落とすことである。
【0018】
長期型過負荷制御においては、タスク(例えば決定的でない信号処理)を遅らせることはそれだけでは役に立たない。決定的でないタスクを遅らすとともに、システムへの入来信号を阻止するような、より激しい処置をおこなうことが必要である。この場合の阻止レートは短期型過負荷制御の場合に適用されるレートよりも高いレートである。
【0019】
本明細書に述べる方法の目的は、これら2つの場合を区別し、各々の場合における計測及び制御の具体的な方法を発案提供することにある。
【0020】
以下の説明においては、観察(監視)対象となるノード動作の具体的な尺度を、プロセッサ利用度としている。しかし、この尺度は、本発明の一推奨実施例として考慮したものに過ぎず、他の尺度、例えば基本構造モジュールの制御装置における待ち行列におけるエントリの個数(待ち行列長さ)、バッファ使用度、使用中の幹線の呼数、等々、を用いることも可能である。どれを選択するかは、具体的な実現形態、交換装置アーキテクチャに、又全体としての交換装置動作の尺度による。本明細書において、用語「負荷」を計測された代表的な制御パラメータとして用いるものとする。
【0021】
ノードプロセッサ利用度は、ノード過負荷状態の指標である代表的制御パラメータとして計測され観察される。この指標は、適切な過負荷レベルにマッピングされ、これに対応する制御処置が適用される。以下、計測及び制御の全プロセス(短期型及び長期型)について述べる。先ず、計測がどのように行われるかについて説明する。
【0022】
プロセッサ利用度は、交換装置内の或るノードのプロセッサ(例えば中央演算処理装置(CPU))が使用中である時間の割合に対応する。この割合の計測値を得るには、プロセッサの使用中の時間長さを累積し、累積値を計測時間長さの全長によって除する計算が行われる。この割合をプロセッサ利用度と称する。本発明の推奨実施例においては、いくつかの計測時間長さについてフィルタ処理(例えば指数スムージング手法を用いたスムージング処理)された計測尺度が用いられる。
【0023】
もし計測された割合が受け入れ可能な適度のレベル(普通40%〜50%前後)よりも低い場合、そのノードは通常状態にあると称し、普通は、下で述べるように他のモジュールが過負荷状態にある場合でなければ、過負荷対応処置は不要である。
【0024】
割合が80%〜90%以上のレベルに達する場合には、モジュールは厳しい過負荷状態にある可能性が高く、過負荷に対応する処置を適用する必要がある。50%レベルと90%レベルとの間では、90%レベルにおける処置よりは激しさの少ない処置を取ることになるが、全く処置を行わないのも適切ではない。
【0025】
短期型と長期型との差を説明するために、制御されていない場合の例えば10msの切換間時間長さにおいて、観察対象である特定のノードプロセッサが2回の別個の計測事例(事例A及びBとする)における3個の連続する時間長さに対して次の計測結果(以下、制御パラメータ、と称する)を示したと仮定する。
事例A:80%、40%、50%;
事例B:80%、75%、90%。
【0026】
事例Aにおいては、このノードプロセッサ(又は簡単に、ノード)は最初の100ms時間長さについては80%の利用度であるが、次の2個の時間長さについてはそれほど高い利用度ではない。事例Bにおいてはこれと異なり、最初の時間長さに対しては事例Aと同じく高い利用度ではあるが、次の2個の時間長さに対しても同様に高い利用度である。ここに事例Aは多分、短期型過負荷制御の処置を要する事例であり、又事例Bでは長期型過負荷制御の処置が必要である。
【0027】
最初、事例A及びBの両方共、最初の100msの時間長さに対する処置は同一である。しかし、次の時間長さに対しての計測値が判明すると、事例Aにおいては短期型制御をリセットして通常の動作に戻り、事例Bにおいては前の制御を維持する(又は制御処置の激しさを増大させる)。
【0028】
第3の時間長さの計測値が判明するまでに、事例Aにおいてはモジュールが通常に動作していることが示され、一方事例Bにおいては、入来信号を、初めに予想されたよりも高い阻止レートで阻止するような、むしろより激しい処置の必要が暗示される。
【0029】
取るべき処置の激しさ(例えば入来信号の阻止レート)は、その特定モジュールの全体動作によって決まる。例えば、事例Bの第3時間長さにおけるそのモジュールの全体動作計測値が、利用度目標値を65%に下げなければならないほどに悪い場合には、利用度目標値が75%の場合よりも高い阻止レートが必要となる。
【0030】
本説明における符号及び概念は流れ図におけるものと同様である。時間長さには番号(n)を付ける。上記例における時間長さは長さT=100msと仮定した。T=100msの時間長さに対する利用度計測結果の観察に加えて、サイズW(S)のウインドウに対する計測値についても観察を行う。この計測値W(S)は、短期型制御の決定に到達するのに用いられる連続する時間長さTの個数を表す。
【0031】
同様に、W(L)は、長期型制御処置に到達するのに用いられる互いに連続する時間長さTの個数を表す。X(n)は、時間長さ(n)に対する計測された利用度を表す。時間長さ(n)の間に短期型制御について用いられる尺度計測値をS(n)で表す。
【0032】
この尺度は、次式から得られるような、X(n)をフィルタ処理して得られる値(フィルタ処理バージョン)である。
Figure 0003662750
【0033】
ここに、a(j) は時間的に最も後の(最新の)計測値からj番目の時間長さについて計測された利用度に適用されるフィルタ処理係数(ファクタ)(スムージング係数とも称する)、a(1) は最新の計測時間長さに対するスムージング係数である。或る与えられた時間長さ(n)において計測された場合のS(n)は、過去W(S)個の連続する時間長さに対する利用度のスムージング処理値を反映する。
【0034】
S(n)は、各時間長さにおいて更新され、この更新は、時間的に最も前の(最古の)計測値X(n−W(S)))をそのサンプルから廃棄し、計測値に適用されるスムージング係数を1つ移行させることによって行われる。それから新たな計測値サンプルがW(S)個の計測値からなる計測値セットに追加される。
【0035】
同様に、時間長さ(n)における長期型計測値L(n)が定められる。L(n)のウインドウサイズはW(L)、但しW(L)>W(S)である。
【0036】
監視及び制御のプロセスは次のように作動する。各時間長さ(n)についてS(n)及びL(n)の値を計測し蓄積する。各時間長さの初めに、S(n)が2個のしきい値X(min,i)及びX(max,i)と比較される。ここに、(i)はその交換装置モジュールの現在の短期型過負荷レベルを表す。例えば、通常の動作において、モジュールが作動開始するとき、その過負荷レベルは「ゼロ過負荷」すなわちi=0である。
【0037】
しきい値は、その特定のレベル(i)に対して受け入れ可能な交換装置挙動をそれらのしきい値が反映するように選択される。もし計測された値S(n)がこのレベルでしきい値X(max,i)を超過する(これよりも高い)場合、レベルは、次に到来する時間長さにおいてレベル(i+1)に変更される。同様に、もし計測された値S(n)がしきい値X(min,i)よりも低い場合には、レベルは、次に到来する時間長さにおいてレベル(i−1)に変更される。
【0038】
S(n)が或る与えられたレベル(i)の範囲内にある(すなわちS(n)がX(min,i)とX(max,i)との間にある)ときには、長期型計測パラメータ(尺度)(L(n))の点検は不要である。この場合、ノードの過負荷状態についての決定がなされたわけで、レベル(i)に対する適切な制御が適用される(この制御は、レベル(i)用に考慮された短期型過負荷制御処置から構成される)。
【0039】
しかし、もし計測値(S(n))が、各レベルにおいて、次により高いしきい値を段階的に超過した後に、最高のレベルを超過してしまった場合には、そのノードは短期型過負荷レベルを通過してしまって今や長期型過負荷レベルにあることになる。この場合、長期型計測パラメータの値L(n)が短期型の場合と同様な長期型過負荷しきい値と比較され、適切な制御が適用される。
【0040】
ここで注記したいのは、各段階においてノードが、現存の状態のレベルから上方又は下方のレベルに1レベルだけしか移動できないことである。或るノードの状態が最低位の長期型過負荷レベルよりも下に降下したときは、ノードは最高位の短期型過負荷レベルに入ることになる。同様に、ノードの状態が最高位の短期型過負荷レベルを超過したときには、ノードは最低位の長期型過負荷レベルに入ることになる。
【0041】
又、ノードの状態が最高位の長期型過負荷レベルに達したときは状態はそのレベルにとどまり、ノードの状態が最低位の短期型過負荷レベルよりも下に降下したときは、ノードは全ての過負荷状態から脱却する。
【0042】
図1は、交換装置1の構成部分に本発明を一推奨実施例として実現した態様例を示す。交換装置は、バスシステム15に相互接続された複数のメッセ−ジプロセッサ(MP)10、...11からなる。メッセ−ジプロセッサは、相互に又外部の交換装置と通信し、接続及び切断の要求を表すメッセ−ジを処理する。メッセ−ジプロセッサは、バスシステム15を介して制御プロセッサ20、...21と通信し、複数のネットワークモジュール30、...31を制御する。
【0043】
制御プロセッサとネットワークモジュールとはバスシステム25を介して相互に通信する。メッセ−ジプロセッサ、制御プロセッサ及びネットワークモジュールは各々、プログラム制御されたプロセッサを内蔵し、これによってプロセッサに要求される機能を遂行し、下に更に述べる過負荷制御プログラムを実行する。
【0044】
図2は、図1のモジュールの1つにおける過負荷状態を定めるプロセスを高レベルの場合について説明する流れ図である。処置ブロック201において、短期型過負荷の状況を計測するための短期型過負荷計測用の時間長さT(S)が選択される。短期型計測用の時間長さT(S)は、システムが初期化される際に選択される。推奨実施例においては、長期型過負荷計測用の時間長さT(L)はT(S)と同じであるが、制御及びスムージング用により多くの時間長さが用いられる。
【0045】
別の実施例では、時間長さは動的に選択される。処置ブロック203において、短期型過負荷を定めるために、いくつもの互いに連続する計測処理を観察するためのウインドウW(S)が選択される。このウインドウ選択も初期化時に行われる。処置ブロック205において、長期型過負荷を定めるために、いくつもの互いに連続する計測処理を観察するためのウインドウW(L)が選択される。このウインドウW(L)選択も同じく初期化時に行われる。
【0046】
大容量モジュールを有する大容量交換装置に対する一般的な値は、T(S)=0.1s、 W(S)=3、W(L)=10である。これらの数値を用いて、長期型及び短期型過負荷計測が0.1sごとに行われ、計測値は、短期型過負荷状態を監視するために0.3sの時間長さにわたってフィルタ処理され、長期型過負荷状態を変更するために1sの時間長さにわたってフィルタ処理される。
【0047】
短期型及び長期型過負荷状態を検出するためには、異なるシステム動作尺度、又は刺激パラメータ、を対象として計測を行うことが可能である。この場合、T(S)及びT(L)(それぞれ短期型及び長期型計測用時間長さに対応)を、独立して、又異なる制御パラメータごとに選択することができる。
【0048】
処置ブロック207において、n番目の時間長さに対する制御パラメータであるX(n)が各自間長さについて計測され、過去のW(L)個の計測値が蓄積される。これらの計測値を用いて処置ブロック209において、フィルタ処理バージョンの計測値が定められる。処置ブロック209において定められた制御パラメータの計測値に基づき過負荷の存在が検出される。もし過負荷が前に検出されていた場合には、図3及び図4の手法に基づいて過負荷レベルが調整される。
【0049】
推奨実施例においては、短期型過負荷制御の最高レベルは、もし負荷が増大した場合には長期型過負荷の最低位レベルにつながり、長期型過負荷制御の最低位レベルは、もし負荷が減少した場合には短期型過負荷の最高位レベルにつながる。処置ブロック207、209及び211は、実用システムにおいて実時間に行われる。制御パラメータは、本質的に時間(例えばシステムが初期化されてからの時間)を表す時間長さ番号を有する時間長さにわたって計測される。その時間長さの間、負荷についての制御パラメータ計測値はX(n)である。
【0050】
制御パラメータの現在の値及び過去のいくつかの値に基づいて、短期型のS(n)及び長期型のL(n)がそれぞれ計算される。S(n)を計算する一般的な式は次式で表される。
S(n)=a(1)X(n)+a(2)X(n−1)+a(3)X(n−2)
このフィルタ機能によって、負荷計測値のうちの最新の3個の値が用いられる。この一般例においては、a(1)は0.5、a(2)は0.4、a(3)は0.1、にそれぞれ等しい。
【0051】
長期型制御パラメータL(n)を計算する場合には、一連の10個の計測値を用いて長期型負荷のフィルタ処理値が生成され、一連の10個の係数を用いてフィルタ処理機能が遂行される。一実施例における10個の係数b(1)、b(2)、...b(10)の値は、0.23、0.17、0.11、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、及び0.04、である。
【0052】
上記の例においては、フィルタ処理は単に、現在及び前の時間長さからの重みつき制御パラメータ値の線形加算であるが、指数スムージングのような他のフィルタ処理方法も用いることができる。このようなデータのフィルタ処理プロセスは、本技術分野の当業者には周知である。
【0053】
種々のプロセッサモジュール及び基本構造モジュールの過負荷状態のレベルが定められた後に制御が適用されるが、それには可能性として次の2つの手法がある。
【0054】
1.自律型手法(交換装置内の各ノードによって自律的に制御処置する):
この場合、各プロセッサモジュール又は基本構造モジュールは独立した処置を取る。これは1つの処置が各過負荷レベルに対応する手法である。この種類の制御においては、結果として得られる制御性能は概して最適状態にまでは到達しない。
【0055】
しかし、中央制御装置が不要なので、それを要する他の手法よりはコストが掛からない。この場合、中央制御装置の信頼性は議論の対象とはならない。システム全体の負荷状況を定義するために必要な、多数のモジュールの状態に関する情報の収集及び処理のコストも、発生が回避される。
【0056】
2.統合型手法(状態をシステム全体として統合的に捉えて制御処置する):交換装置のノードは今日では従来より信頼性が高く、処理コストも急速に低減しつつあるので、個別のノードの状態を中央プロセッサにおいて又は個別のプロセッサにおいて定めて組み合せ、それによってシステム全体としての状態(システム全体状態)を生成することができる、と想定することが可能である。
【0057】
この「統合型」手法における制御処置は、個別のノードの状態よりもむしろシステム全体として観察された状態に基づいてなされる。統合型制御機能を有する分散型交換装置は自律型過負荷制御方式よりも過負荷対応性能が優れている。
【0058】
長期型過負荷より深刻な状況であるので、1つの方法としては、長期型過負荷状態にあるモジュールがない限り自律型の処置を用い、どれかのモジュールが長期型過負荷状態になり次第、統合型の処置に切り換える方法がある。このような処置の切り換えを、モジュールの過負荷状態に基づく別の基準によっても行い得ることは明かである。
【0059】
多くの場合に、分散型交換装置内の個別のプロセッサモジュール又は基本構造モジュールは異種のものである。したがって、個々のプロセッサモジュール及び基本構造モジュールに対して異なる計測時間長さを選択するのが有利である。例えば、低速の方のプロセッサモジュール及び基本構造モジュールに対しては長めの計測時間長さを選択し、高速の方のプロセッサモジュール及び基本構造モジュールに対しては長めの計測時間長さを選択する。
【0060】
しかし、最終的には、これらの計測時間長さによる計測値の全てを一連の状態にマッピング(写し替え)したものを用いて過負荷制御処置を決定する必要がある。
【0061】
又、個々の場合によって、計測パラメータが異なる。例えば、交換装置内のメッセ−ジプロセッサ(例:図1のメッセ−ジプロセッサ10)の過負荷状態を定めるにはバッファのサイズは適切な尺度であるが、一方バッファのない基本構造モジュール(例:ネットワークモジュール31)の場合にはバッファサイズの計測値は得られないので策度として適用できない。
【0062】
後者の場合の計測及び制御には、別の尺度、例えば現存呼の個数、又は未処理の呼要求の個数、あるいはその他、個々の基本構造モジュールに特定の尺度、を用いるほうがより適切である。
【0063】
同様に、短期型計測値と長期型計測値とではそのウインドウについても、異なるサイズが選択される。
【0064】
更に、過去の計測値に基づいて将来の計測時間長さを調整することは適切な処理である。計測時間長さの動的調整は、異なる基本構造モジュール及び/又はプロセッサモジュールにおける制御パラメータの実際の計測の結果としても行われる。
【0065】
図3及び図4は、或る過負荷レベルに入ること、短期型又は長期型の過負荷制御システム内での過負荷制御処置(レベル)を変更すること、及び短期型と長期型との両過負荷制御システム間を移行することからなるプロセスを説明する流れ図である。プロセスは処置ブロック301において図3に入る。現在の過負荷制御の許容レベルの1つ(i)は、過負荷のないこと(ゼロ過負荷)を表すレベル「0」である。このレベルは、システムが初期化されるときに入る負荷状態である。
【0066】
処置ブロック301において、短期型過負荷の尺度であるS(n)が計算される。点検ブロック303において、この尺度S(n)すなわち短期型制御パラメータが、短期型過負荷状態の現在のレベル(i)に付随するしきい値である制御パラメータの最大値と比較される。もし負荷がそのしきい値を超過しない場合、点検ブロック305を用いて制御パラメータが今やレベル(i)の最小値(最低値)の方のしきい値よりも低下する(低い)かどうかが定められる。
【0067】
もし最小しきい値より低くない、すなわち点検ブロック303及び305の結果が両方とも「NO」の場合、これは制御パラメータが現過負荷のレベル内にあることを示し、そのモジュールはそのレベルにとどまる(処置ブロック307)。それからプロセスは処置ブロック301に戻って、次の、フィルタ処理された制御パラメータのサンプル値が計算される。
【0068】
もし点検ブロック303の結果が「YES」、すなわち制御パラメータが現レベルに対する最大値の方のしきい値を超える場合には、点検ブロック311を用いて制御パラメータが短期型過負荷の最高位レベルを超過しているかどうか(すなわち長期型過負荷制御レベルに入ろうとしているかどうか)が定められる。もし超過していない場合、処置ブロック313において過負荷制御レベルが、高い方の次のレベルへ1レベル増値され、プロセスは処置ブロック301に戻って、次の、フィルタ処理された過負荷制御パラメータの値を待つ。
【0069】
同様に、もし点検ブロック305の結果が「YES」、すなわち負荷が現在の過負荷レベルの最小値の方のしきい値より低い場合には、レベルが1レベル減値され、プロセスは処置ブロック301に戻って、次の、フィルタ処理された短期型制御パラメータ値が計算される(過負荷の不在を表すi=0の場合に最小しきい値がないことは明らかで、したがって、点検ブロック305の結果が「YES」ということは、より低いレベル(おそらく(i=0)のレベル)が存在することを意味する)。
【0070】
もし点検ブロック311の結果が「YES」すなわち制御パラメータが短期型過負荷の最高位レベルに対する最大値の方のしきい値を超過している場合には、処置ブロック312においてプロセスは図4の処置ブロック321に移行する。プロセスが図1の処置ブロック311から図4の処置ブロック321に入るとき、長期型過負荷制御のレベル(j)の初期値は1である
【0071】
図2及び図3の説明を分かりやすいように単純化するため、(j=1)を長期型の過負荷状態の最低位レベルと仮定する。実際には、jの最低位値は短期型過負荷レベル(i)の最高位値よりも1レベル上である可能性が高い。
【0072】
処置ブロック321においては、負荷が長期型過負荷の現在のレベル内にあるかどうかを点検するために、負荷の長期型フィルタ処理値(L(n))が計算される。点検ブロック323を用いて、現在の過負荷制御パラメータが現在の長期型過負荷制御のレベル(j)に対する最大値の方のしきい値を超過するかどうかが定められる。もし超過しない場合、点検ブロック325を用いて、制御パラメータが現在の長期型過負荷制御のレベル(j)に対する最小値の方のしきい値よりも低いかどうかが定められる。
【0073】
もしより低くない、すなわち点検ブロック323及び325の結果が両方とも「NO」の場合、処置ブロック327が示すように、過負荷制御は現在のレベルにとどまり、プロセスは処置ブロック321に戻る。
【0074】
もし点検ブロック323の結果が「YES」、すなわち制御パラメータが現レベルに対する最大値の方のしきい値を超える場合には、処置ブロック329において過負荷制御レベルが、高い方の次のレベルへ1レベル増値され、プロセスは処置ブロック321に戻る。
【0075】
もし点検ブロック325の結果が「YES」、すなわち現在の、フィルタ処理された負荷(制御パラメータ)が現在の過負荷レベルの最小値の方のしきい値より低い場合には、点検ブロック331を用いて、過負荷制御レベルjが既に(j=1)かどうか(すなわち短期型過負荷制御レベルに入ろうとしているかどうか)が定められる。もし結果が「YES」の場合、(j)が「0」に減値され、プロセスは図3の処置ブロック301に戻り、短期型制御の最高位レベル(i)に入る(処置ブロック332)。
【0076】
もし点検ブロック331の結果が「NO」、すなわち長期型過負荷レベルについて、まだ短期型過負荷レベルに移行せずに減値が可能な場合には、処置ブロック333において(j)が減値され、プロセスは処置ブロック3221に戻り、次のL(n)の値が計算される。
【0077】
図3及び図4の流れ図によって示されるプロセスを実行して得られる結果を流れに沿って説明すると、負荷が過負荷状態の場合、制御は短期型過負荷制御レベルに入り、もしフィルタ処理された短期型過負荷計測値(制御パラメータ)が種々の短期型しきい値を超過する場合には過負荷レベルが順次増値される。
【0078】
もし制御パラメータが最高位のレベルに対する最大しきい値を超過する場合には、制御は長期型過負荷制御レベルに入り、もしフィルタ処理された長期型過負荷計測値(制御パラメータ)が種々の長期型しきい値を超過する場合には過負荷レベルが順次増値される。
【0079】
同様に、過負荷値が減少すると、過負荷制御レベルが減値され、更には制御が長期型過負荷レベルから短期型過負荷レベルへ移行される。
【0080】
上記の説明においては、制御処置(自律型制御)は、短期型又は長期型過負荷を有するモジュールに限定され、或る1個のモジュールに対する制御処置はそのモジュールの過負荷レベルに対応する。しかし、時には、過負荷制御をいくつもの又は全てのモジュールの同時点における状態に基づいて変化させること(統合型制御)が望ましい。例えば、1個のメッセ−ジプロセッサ10及び1個の制御プロセッサ20を有するシステムについて考える。
【0081】
もしメッセ−ジプロセッサ及び制御プロセッサの両方が通常状態又は短期型過負荷状態にある場合、各モジュール内で通常の制御又は短期型過負荷の制御が起動さされる。しかし、もしいずれかのモジュールが2つの長期型過負荷レベルのうちの1つに該当する状態にある場合には、次に述べる処置が行われ、これらの処置の結果、自律型の場合よりも優れた過負荷対応性能が得られる。
【0082】
1.制御プロセッサは低位の長期型過負荷状態にあり、メッセ−ジプロセッサは長期型過負荷状態にはない:(処置)メッセ−ジプロセッサが新規入来呼を確率P(1)で阻止する。制御プロセッサが外部交換装置に通知してトラヒックを「絞りレベル1」に絞らせる。
【0083】
2.制御プロセッサは高位の長期型過負荷状態にあり、メッセ−ジプロセッサは長期型過負荷状態にはない:(処置)メッセ−ジプロセッサが新規入来呼をP(1)より高い確率P(2)で阻止する。制御プロセッサが外部交換装置に通知してトラヒックを「絞りレベル2」まで更に絞らせる。
【0084】
3.メッセ−ジプロセッサは長期型過負荷状態にあり、制御プロセッサは長期型過負荷状態にはない:(処置)メッセ−ジプロセッサがオーバヘッドメッセ−ジ処理を後回しにし、新規入来呼をP(2)より高い確率P(3)で阻止する。制御プロセッサがそのオーバヘッドメッセ−ジ処理を削減する。
【0085】
4.制御プロセッサは低位の方の長期型過負荷状態にあり、メッセ−ジプロセッサは長期型過負荷状態にある:(処置)メッセ−ジプロセッサがオーバヘッドメッセ−ジ処理を後回しにし、新規入来呼をP(3)より高い確率P(4)で阻止する。制御プロセッサがその入交換装置に通知してトラヒックを「絞りレベル1」に絞らせる。
【0086】
5.制御プロセッサは高位長期型過負荷状態にあり、メッセ−ジプロセッサは長期型過負荷状態にある:(処置)メッセ−ジプロセッサがオーバヘッドメッセ−ジ処理を後回しにし、新規入来呼をP(4)より高い確率P(5)で阻止する。制御プロセッサがその入交換装置に通知してトラヒックを「絞りレベル2」に絞らせる。
【0087】
この例においては、類似のプロセッサの間でより公平になるように負荷を平衡させる処置は考慮されていない。ここでは、従来の技術において周知の手法を用いることにより、概して、類似プロセッサの全てが同じ又はほぼ同じ過負荷レベルにあるように制御されるものと想定する。
【0088】
類似プロセッサの位置するレベルが同じでない範囲では、システムの応答を修正することによって、もし或る1つの種類のプロセッサのいくつかが、最も過負荷の大きい或る特定の種類のプロセッサが位置する長期型過負荷レベルにある場合にのみ低レベルの方のシステム過負荷制御が起動されるように構成できる。
【0089】
例えば、もしこの例でメッセ−ジプロセッサの個数が2個であったとしてそのうちの1個のみが長期型過負荷レベルにあったとすると、システム過負荷への応答としては、上記の4番目の過負荷分類に付随する応答(「絞りレベル1」とし、新規入来呼は確率P(4)で阻止)が望ましい。
【0090】
図5は、状態をシステム全体として捉える統合型手法の一実施例の流れ図を示す。初期化時に割り当て可能でありトラブルの場合に再割当される集中プロセッサが、システムの各モジュールの過負荷状態を収集する。それから、このプロセッサが、半マルコフ決定過程又は他の発見的手法を適用して、若しくは予め蓄積されたベクトルを介して、各モジュールについて適切な応答処置を定めるベクトルを導出する。
【0091】
先ず、処置ブロック501において集中プロセッサがシステムの各モジュールの過負荷状態を収集する。それから、処置ブロック503においてこの集中プロセッサが、システムの各モジュールにおいて実行すべき処置の状態(内容)を定める処置ベクトルAを計算する。そして、各モジュールは、次の時間長さに対する処置の状態を通知される。このプロセスが、定期的な時間長さで反復される。
【0092】
交換システムが3個のモジュールM(1)、M(2)及びC(1)からなるものとする。各モジュールはそれぞれの状態を定めるのに用いられるいくつものしきい値を有する。前に述べたように、これらのしきい値は、過負荷尺度に対して決定的であると考えられる、バッファサイズ、待ち行列長さ、プロセッサ初期化等のレベルである。
【0093】
ここで、S=(S(1),S(2),S(3))が或る観察時間長さにおけるシステム状態を表すものとする。但し、S(1)はM(1)についての状態(例えば、占有バッファサイズ、占有待ち行列長さ、プロセッサ利用度レベル)、S(2)はM(2)の状態、そしてS(3)はC(1)の状態である。同様に、A=(A(1),A(2),A(3))はシステムの処置、A(1)、A(2)、及びA(3)はそれぞれ各モジュールにおける処置を表す。
【0094】
発見的状態/処置の例を次の表に示す。
Figure 0003662750
【0095】
システム状態Sが、どのモジュールにも過負荷がないことに対応するS=(0,0,0)であるとき、A=(0,0,0)であり、これはどのモジュールにおいても処置がないことに対応する。S=(1,0,0)であるとき、これはM(1)が過負荷レベル1にあるがM(2)及びC(1)は過負荷状態にないことに対応し、この場合A=(0,0,0)であり、これはどのモジュールにおいても処置がないことに対応する。
【0096】
発見的には、これは、1個のモジュールの状態にわずかな変化が生じても、それが、より本格的になりさえしなければ処置を要しない「摂動」であるとみなされるためである。そして、より本格的な場合であるS=(1,1,0)においては、モジュールM(1)のみが処置「1」の値を取る。この処置は、例えば運用、管理及び保守の動作を後回しにすることに対応する。
【0097】
統合型手法に用いられる計測方法は、自律型/独立型の場合と同一である。自律型/独立型の場合のように、計測用に短期型及び長期型の時間長さが存在し、短期型の最高位の過負荷レベルを離れると、その特定のモジュールは長期型の最低位の過負荷レベルに入り、以下同様である。統合型の場合の差異は、或る特定のモジュールに対する処置をそのモジュール自体の状態のみに基づいて決定するのではなく、処置の決定が、全てのモジュールの状態の集合体に基づいてなされる点である。
【0098】
したがって、前記の表の例において、状態「2」はM(1)について長期型過負荷状態の最下位のレベルを意味する。同表で、システム状態がS=(2,0,0)であるとき、これはM(1)が長期型過負荷状態の最下位のレベルにある一方、M(2)及びC(1)が過負荷状態にないことを意味し、その場合、これに対応する処置はA=(2,1,0)と表示される。
【0099】
この処置は、例えばモジュールM(1)において、与えられたレート(例えば5%)で呼を阻止し、同時にモジュールM(2)において運用、管理及び保守の処理を後回しにし(これを処理「1」と表示)、そしてモジュールC(1)では何も処置を行わないことに対応する。
【0100】
この処置A=(2,1,0)は、表中の、状態がS=(2,1,1)の場合の処置とは対照的である。この後者の場合には、M(1)は長期型の最低位レベルの状態にあるが、M(2)及びC(1)は状態「1」にあり、これはこれらのモジュールが短期型のレベルの状態にあることを意味する。この場合の処置A=(2,2,1)は、M(1)において5%で呼を阻止し、M(2)において5%で呼を阻止し、そしてC(1)において運用、管理及び保守の処理を後回しにすることを意味する。
【0101】
ここで注記したいのは、モジュールが異種であるときには、状態「1」、「2」、等の表示が、異なる過負荷状態を意味し、処置「1」、「2」、等も異なる処置を意味することである。例えば、上記の例において、もしM(2)がM(1)の2倍高速の場合には、S(2)=1はS(1)=1よりも大きいバッファサイズを意味することが有り得る。同様に、A(2)=2は例えば2%での阻止を、又A(1)=2が5%での阻止を、それぞれ意味することが有り得る。
【0102】
より概略的にいえば、過負荷制御のための最適手法は、1個のプロセッサがシステムの各モジュールの負荷状態を連続的に監視し、これらモジュール全ての状態に基づいてこれらモジュールのうちのの適切なモジュールに過負荷制御を選択的に適用する手法である。このような手法は、各モジュールにおける最適な応答を定めるのに複雑な計算を必要とする。その場合、この手法の理想的なモデルに対する妥協点を見出すには種々の方法が可能である。
【0103】
負荷の連続計測の代わりに、上に述べた自律型過負荷制御の場合に対する計測用時間長さのような不連続の時間長さで負荷計測を行ってもよい。更に、正確な負荷値そのものを用いる代わりに、上に述べたように過負荷レベルを用いて各モジュールの負荷特性を表してもよい。又更に、或るシステムについては、少なくとも1個のモジュールが長期型過負荷状態にある場合にのみシステム制御が起動されるような妥協手段を取ってもよい。
【0104】
又更には、制御プロセッサが個々のモジュールに課すことのできる全体的な負荷制御応答として、選択された過負荷制御レベルのみを用いる妥協手段も可能である。
【0105】
図5の流れ図は、過負荷制御にシステム統合型手法を用いる場合の一般的な方法に関するものである。システムの一例は、図1に示すシステムで、3種類のプロセッサグループ(メッセ−ジプロセッサ10〜11、制御プロセッサ20〜21、及びネットワークモジュール30〜31)を有する。
【0106】
メッセ−ジプロセッサ10〜11及び制御プロセッサ20〜21が同種のプロセッサグループであるものと仮定し、したがって、どのプロセッサも入力メッセ−ジを取り扱うことができ、どの制御プロセッサも出力メッセ−ジを取り扱うことができるものと仮定する。
【0107】
自律型の場合には、各プロセッサは単にそれ自体の負荷を計算し、その負荷に基づいて過負荷レベルを導出する。この過負荷レベルによって、対応する過負荷制御処置のグループが定まる。これと対照的に、統合型の場合には、各プロセッサは、やはりそれ自体の負荷の計算はするが、更に、この過負荷レベルを過負荷番号によって又は過負荷レベルとして集中プロセッサに伝送する。
【0108】
集中プロセッサは、そのタスクとして、どのような過負荷制御レベルを、この場合にはシステム内のプロセッサの各々に、適用すべきかを定める。一実施例においては、集中プロセッサは、長期型過負荷レベルに対応する負荷状態にあるプロセッサが少なくとも1個なければ、どのプロセッサの過負荷制御レベルも調整しない。この場合、図5について上に述べた処置は、1個以上のプロセッサが長期型過負荷状態にあるときにのみ実行される。
【0109】
代わりに、図5について述べた処置が、システム内で長期型過負荷状態にあるプロセッサが1個もないときでも実行されるようにもできる。
【0110】
図6の流れ図に示す方法は、図5よりは一般性が少ないが、集中プロセッサにおいて要求される計算量がはるかに少ないという利点がある。図6の方法の基本原理は、他のプロセッサの過負荷の影響を、プロセッサの部分的グループの各々(すなわちメッセ−ジプロセッサ、制御プロセッサ、及びネットワークモジュールのそれぞれのグループ)についての「平均」過負荷のみを考慮することによって単純化できるということである。
【0111】
この手法は基本的には、処置レベルを、或る1個の特定のプロセッサの過負荷レベルに関して調整する2種類の方法を用いる。第1は、もしそのプロセッサの過負荷レベルがそのグループ内の他のプロセッサからはるかに離れている場合、処置レベルを、そのグループのそれら他のグループの過負荷に合わせる方向で上下させて調整する方法である。
【0112】
第2は、もしそのグループの「平均」過負荷レベルが、隣接するグループの過負荷レベルと相当に異なる場合には、そのグループを構成するプロセッサの処置レベルを、その隣接グループの過負荷レベルに合わせる方向で調整する方法である。実際上、これらの調整方法は両方共、処置レベルを水平方向(同一グループ内)及び垂直方向(グループからグループへ)の両方向に平坦化するように作用する。
【0113】
これを図6で説明する。集中プロセッサが個々のプロセッサの過負荷状態のレベルについて報告を受ける(処置ブロック601)。この報告は状態に変化が生じたプロセッサからのみ送られることが望ましい。集中プロセッサが、そのグループに対する「平均」の過負荷レベルを導出する(処置ブロック603)。
【0114】
この「平均」を求めるには、そのグループ内の高い方の過負荷状態に重み付けしてもよい。その理由は、過負荷の間隙が全ての過負荷状態遷移に関して必ずしも等しくないからである。「平均」過負荷レベルは整数である必要はなく、整数未満を含んでもよい。
【0115】
それから、これら2種類の調整が、各プロセッサの過負荷レベルに対してなされ、そのプロセッサに対する処置レベルが導出される。もし相当な差異、すなわち、高い方の過負荷状態の方に適切に重み付けされ同一システム内で実験的に調整された、予め定められた量を超える差異、がある場合、1つのプロセッサグループの平均の処置レベルは、隣接のプロセッサグループの過負荷レベルのうちの高い方のレベルに合わせて調整される(処置ブロック605)。
【0116】
次に、もしそのプロセッサの過負荷レベルと、そのプロセッサの平均の過負荷状態との間に、第2の適切に重み付けされた、予め定められた量を超える差異がある場合には、そのプロセッサの処置レベルはその平均に合わせて調整される(処置ブロック607)。調整量は整数未満でも累積でもよく、その数値を丸めて、過負荷レベルに対して総合的な処置レベル調整量が得られる。概して、調整後の新たな処置レベルと前のレベルとの間の調整量が1レベルよりも大きいことは、ありそうにない。
【0117】
それから、この新たな制御処置レベルが、処置状態のレベルが変わったプロセッサの各々に伝送される(処置ブロック609)。ここで注記したいのは、統合形制御の場合には、制御処置のレベルの個数が各モジュールの過負荷レベルの個数よりも多いことである。
【0118】
或る機能グループ内に異種のプロセッサがある場合には、そのグループの平均を導出する際に個々のプロセッサの状態に重み付けをしてもよい。例えば、もしメッセ−ジプロセッサのグループ内の或る1個のプロセッサが他のプロセッサよりも速度が低い場合には、そのグループの過負荷状態を導出する際にそのプロセッサの過負荷状態への重み付けを他のプロセッサよりも軽くすべきである。
【0119】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
尚、特許請求の範囲に記載した参照番号は発明の容易な理解のためで、その技術的範囲を制限するよう解釈されるべきではない。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、分散型実時間システムにおいて、過負荷に対するシステムの応答の際に、過負荷を短期型過負荷と長期型過負荷とに区別してそれぞれ異なる軽減手法を用い、長期型型過負荷軽減の手法が、短期型過負荷のレベルが或るしきい値を超えた場合にのみ起動されるようにしたので、過負荷を迅速に検出してこれに迅速に対応することができ、又、過負荷が軽減した際にも軽減の迅速な検出及び迅速な対応が可能である。
【0121】
したがって、従来の技術において発生した過負荷軽減後のシステム機能の回復遅れの問題点も改善され、通常の動作に迅速に復帰が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】例示の交換システムにおける複数のモジュールを示すブロック図である。
【図2】過負荷レベルを定め、モジュール内でその過負荷に自律的に応答するプロセスを示す全体流れ図である。
【図3】過負荷レベルの変更及び長期型及び短期型過負荷レベル間の切り換えを行う過負荷応答処置を自律的に開始するプロセスを図4と共に示す流れ図である。
【図4】過負荷レベルの変更及び長期型及び短期型過負荷レベル間の切り換えを行う過負荷応答処置を自律的に開始するプロセスを図3と共に示す流れ図である。
【図5】モジュールがそのモジュール自体の過負荷及び他のモジュールにおける過負荷の表示に対してどのように応答するかを図6と共に示す流れ図である。
【図6】モジュールがそのモジュール自体の過負荷及び他のモジュールにおける過負荷の表示に対してどのように応答するかを図5と共に示す流れ図である。
【符号の説明】
1 交換装置
10、11 メッセ−ジプロセッサ(MP)
15、25 バスシステム
20、21 制御プロセッサ(CP)
30 31 ネットワークモジュール(N)

Claims (3)

  1. 分散型実時間制御システムの、プログラム制御プロセッサからなるモジュールにおける過負荷に応答する方法であって、
    該モジュール内において、プログラムの制御の下にて、
    (a)前記モジュールの短期型過負荷状態及び長期型過負荷状態に、複数の負荷レベルを割り当てるステップ、ここで各レベルは高い方のしきい値と低い方のしきい値により規定されており;
    (b)複数の短期型過負荷レベルの各々に、複数の短期型過負荷に対してとられるべき制御処置のうちの対応する1つの処置を割り当てるステップ;
    (c)複数の長期型過負荷レベルの各々に、複数の長期型過負荷に対してとられるべき制御処置のうちの対応する1つの処置を割り当てるステップ;
    (d)第1の計測された制御パラメータが、短期型過負荷の最下位レベルの低い方のしきい値を越えたとの初期決定に応答して、前記短期型過負荷の最下位レベルに入るステップ;
    (e)もし前記第1の計測された制御パラメータが、現在入っている短期型過負荷レベルの高い方のしきい値を越えた場合に、前記モジュールの前記短期型過負荷レベルの上位レベルへと移行するステップ;
    (f)もし前記第1の計測された制御パラメータが、現在宣言された短期型過負荷レベルの低い方のしきい値よりも低い場合に、前記モジュールの前記短期型過負荷レベルの下位レベルへと移行するステップ;
    (g)もし前記システムが最高位の前記短期型過負荷レベルにあり、前記制御パラメータが前記短期型過負荷レベルの高い方のしきい値を越えた場合に、長期型過負荷レベルに入るステップ;および
    (h)もし第2の計測された制御パラメータが現在の長期型過負荷レベルの高い方のしきい値を超過した場合に前記モジュールの前記長期型過負荷レベルの上位レベルへ移行し、もし低い方のしきい値より低い場合に前記モジュールの前記長期型負荷レベルの下位レベルへと移行するステップからなるステップ(a)−(h)を実行しており、さらに前記方法は、
    もし前記第2の計測された制御パラメータが前記長期型過負荷の前記最下位レベルの低い方のしきい値より低い場合に、長期型過負荷の最下位レベルから下方へ出て短期過負荷レベルに入るステップと、
    もし前記システムが最低位の前記短期型過負荷レベルにあり、前記第1の計測された制御パラメータが前記短期型過負荷レベルのしきい値よりも低い場合に、現在の短期型過負荷レベルから出て非過負荷レベルに入るステップとを含み、
    前記複数の短期型過負荷に対してとられるべき制御処置のいずれも、該システムにより処理されるトラヒックを絞るものでなく、
    前記複数の長期型過負荷に対してとられるべき制御処置の各々は、該システムにより処理されるトラヒックを絞るものであり、
    短期型過負荷レベル間の移行の最少期間は長期型過負荷レベル間の移行の最少期間より短いことを特徴とする方法。
  2. 前記第1および第2の計測された制御パラメータが、前記モジュールの制御プロセッサの利用度を示すことを特徴とする請求項1の方法。
  3. 前記第1および第2の計測された制御パラメータが、前記モジュールの待ち行列におけるエントリの個数を示すことを特徴とする請求項1の方法。
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