JP3665022B2 - 食品原料及びその製造方法、並びにチーズ様食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、食品原料及びその製造方法、チーズ様食品及びその製造方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、加工されたチーズ様食品から製造される食品原料、及びその製造方法、並びに、その食品原料を配合したチーズ様食品及びその製造方法に関する。
本発明においてチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズとは、例えば、乳等省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、公正競争規約の成分規格等において規定されたもの等、当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含する。すなわち、本発明において、「チーズ」、「ナチュラルチーズ」、「プロセスチーズ」の用語は、それぞれ以下の意味で用いられる。
「チーズ」とは、ナチュラルチーズおよびプロセスチーズをいう。
「ナチュラルチーズ」とは次の(i)および(ii)をいう。
(i)乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう。以下同じ)もしくはクリームを乳酸菌で発酵させ、または乳、バターミルクもしくはクリームに酵素を加えてできた凝乳から乳清を除去し、固形状にしたものまたはこれらを熟成したもの。
(ii)前記(i)に掲げるもののほか、乳、バターミルクまたはクリームを原料として、凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、前記(i)に掲げるものと同様の化学的、物理的および官能的特性を有するもの。
本発明において、「プロセスチーズ」とは、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをいう。
また本発明において、「チーズフード」とは、当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含し、特に、一種又はそれ以上のナチュラルチーズ又はプロセスチーズを用いて、食品衛生法等で認められている添加物を添加するか、又は添加せずに粉砕し、混合し、加熱溶融して作られるもので、製品中にチーズ分51%以上含むものである。なお、「チーズフード」は、香り及び味を付与する目的で香辛料、調味料及び/又は食品を含有してもよい。この場合、前記香辛料、調味料及び食品の含有量は製品固形分の1/6以内とするのが好ましい。また、「チーズフード」は、乳に由来しない脂肪、蛋白質及び/又は炭水化物を含有してもよい。この場合、脂肪、蛋白質及びは炭水化物の含有量は最終製品重量の10%以内とするのが好ましい。
また本発明において、「チーズ様食品」とは、その一成分としてチーズを含有し、加工された食品であり、例えば、プロセスチーズ、チーズフードの他、チーズを主原料としてチーズの風味・食感を付与した各種食品(以下、「チーズ主原品」と記載することがある。)等が包含される。
尚、本発明において百分率は、特に断りのない限り重量による表示である。
背景技術
一般に、チーズ様食品は、チーズを含む種々の原料を混合し、撹拌しながら乳化処理し、成形し、冷却するという手順により製造されている。尚、ここに「乳化処理」とは、原料を加熱して溶融させた上で乳化するというチーズ様食品を製造するために必要な手順を意味する用語である。
例えば、プロセスチーズの場合は、一種又はそれ以上のナチュラルチーズを粉砕し、必要に応じて水、溶融塩、香辛料、着色料等の添加物を混合し、これをケトル釜、ステファン釜、掻き取り式熱交換器等の乳化装置によって撹拌しながら乳化処理し、所望の形状に成形し、冷却する手順により製造する。
このようなチーズ様食品の一般的な特徴として、別途、他のチーズ様食品に添加して再度の乳化処理を行った場合に、溶融物の粘度が上昇するという事実が知られている(例えば、中澤勇二、細野明義編、「新説チーズ科学」、第129ページ、株式会社食品資材研究会、平成元年9月1日、また「A JOHA(登録商標)Guide Processed Cheese Manufacture」、第89ページ、BK Ladenburg GmbH、1989年、等)。
一例を挙げると、前記のプロセスチーズを製造する場合においては、原料のナチュラルチーズ、溶融塩等の他に、加工されたプロセスチーズを原料として添加した場合、この加工されたプロセスチーズの影響により、そのプロセスチーズの製造過程にて乳化処理した際に溶融物の粘度が上昇するという現象が発生する(以下、このように粘度上昇を惹起する性質を、増粘性と記載することがある。)。
一般に、乳化処理後の溶融物の粘度が上昇した場合、ポンプで輸送することが困難となり、また充填機を閉塞させる等の種々のトラブルが発生する要因となる。また、粘度が上昇した場合には、最終的な製品の食感が悪化し、硬度も上昇し、製品の品質を著しく損なう原因となる。
即ち、チーズ様食品は、一旦乳化処理して製品として加工された後には、増粘性が発生し、この結果、他の食品、例えば別なチーズ様食品の原料として使用した場合には、その別なチーズ様食品の製造工程で乳化処理した際に、溶融物の粘度が上昇することとなり、種々の弊害をもたらすのである。
このように、プロセスチーズ等のように一旦乳化処理されて加工されたチーズ様食品(以下、「加工されたチーズ様食品」と記載する。)は、その増粘性のために、従来は、食品原料、特にチーズ様食品の原料として使用することは困難とされていた。
このため「加工されたチーズ様食品」は、食品原料としては積極的に利用されることが少なく、仮に使用されたとしても添加量は限られていたのである。
一方、特開平9−154486号公報には、製造ライン中に残存するチーズ、成形不良、包装不良、内容量不足等の不良品チーズ等から得られるプレクックドチーズ(プロセスチーズ)を、チーズ様食品の原料として配合し、溶融塩及び乳化剤を添加して乳化処理し、増粘を防止しながらチーズ様食品を製造する技術(以下、従来技術と記載する。)が開示されている。
この従来技術は、専らプレクックドチーズを再利用することを目的としたものである。尚、ここに「プレクックドチーズ」との用語の意味は、前記特開平9−154486号公報に定義されているとおりである。
前記従来技術では、原料としてプレクックドチーズの他に溶融塩及び乳化剤を添加することを必須としているため、チーズ様食品の原料配合を決定する際に、原料の選択に制約を受けるという問題があった。このため、前記従来技術は、プレクックドチーズを再利用するという特殊な目的以外には、適用することができなかったのである。
一般に、「加工されたチーズ様食品」は、食品原料として使用すれば多種多様な食品の開発に役立つ可能性があるものの、従来は、「加工されたチーズ様食品」を、食品原料として何の制約もなく使用できる状態にする技術は知られていなかった。このため、従来、「加工されたチーズ様食品」は、食品原料としては積極的には使用されなかったのである。
発明の開示
本発明者らは、「加工されたチーズ様食品」を、食品の原料として広範に応用する技術について鋭意研究を続けた結果、120℃以上の温度で加熱溶融処理を行った場合には、その増粘性が低下し、食品原料、特にチーズ様食品の原料として使用した場合、粘度上昇が抑制され、配合したチーズ様食品の最終製品の食感が低下することもなく、硬度も上昇しないという新事実を発見し、本発明を完成させた。
本発明の目的は、食品の原料として配合してもその食品の加熱溶融後の粘度上昇を惹起することが少なく、配合した食品の製品評価を下げることが少ない食品原料であって、多種多様な食品、特にチーズ様食品に対し、何の制約もなく、しかも大量に配合することが可能な、用途の広い食品原料を提供することである。
本発明の他の目的は、そのような食品原料の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、そのような食品原料を配合したチーズ様食品を提供することである。
本発明の他の目的は、そのようなチーズ様食品を製造する方法を提供することである。
前記課題を解決するための本発明の第一の発明は、加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理してなる食品原料、である。
前記課題を解決するための本発明の第二の発明は、加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理し、食品原料として取得することを特徴とする食品原料の製造方法、である。
また、前記本発明の第二の発明は、食品原料の取得が、急冷処理後に行われること、及び、急冷処理が、加熱溶融処理の終了後5時間以内に10℃以下の温度に急冷することを望ましい態様としている。
前記課題を解決するための本発明の第三の発明は、加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理した食品原料を配合したことを特徴とするチーズ様食品、である。
前記課題を解決するための本発明の第四の発明は、加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理し、処理物に他の原料を混合し、混合物を乳化処理し、成形し、冷却し、チーズ様食品として取得することを特徴とするチーズ様食品の製造方法、である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第一の発明は、加工されたチーズ様食品を加熱処理して得られる食品原料である。
「加工されたチーズ様食品」は、少なくとも1回は乳化処理されているものであるため、そのままでは増粘性を有しており、食品原料、特にチーズ様食品の原料として使用することは困難であった。
本発明は、このような「加工されたチーズ様食品」を、120℃以上、好ましくは130℃以上の温度で加熱溶融処理してなる食品原料である。
ここに「加熱溶融処理」とは、本発明の食品原料を得るために必要な特別な処理であるが、この他、一般にチーズ様食品を製造する際に行われる加熱・溶融の処理は前記のように「乳化処理」と表記し、両者を区別するものとする。即ち、本発明では、加工されたチーズ様食品を「加熱溶融処理」して食品原料となした後、その食品原料を別途チーズ様食品に配合した場合に、この別途のチーズ様食品を製造過程で加熱・溶融する処理は「乳化処理」と表記するのである。
後記試験例に示すとおり、本発明の食品原料は、この加熱溶融処理によって増粘性が抑制されるため、得られた食品原料を、特にチーズ様食品の原料として使用すれば、そのチーズ様食品を乳化処理する際に粘度上昇を起こすことが少ないのである。この結果、乳化処理以降の工程を、トラブルなく安定に実施することが可能である。
また、本発明の食品原料は、最終的な製品の食感を低下させることが少なく、しかも硬度を上昇させることも少ないので、製品の品質に悪影響を与えることがない。従って、食品原料として大量に配合することが可能となるのである。
また、このような食品原料は、使用にあたっては他の特定の添加物の使用を必須の要件とするものではないため、前記従来技術のように原料配合に制約を受けることもない。
尚、以上のような事実は、本発明者らが初めて発見した新事実であり、本発明者らは、この発見によって、従来、その増粘性のために食品原料として使用することが制約されていた「加工されたチーズ様食品」を、新規な食品原料として利用する活路を開いたのである。
本発明の食品原料は、増粘性が弱く、特に、各種チーズ様食品の原料として好適に配合することができるとともに、この配合量も随意に設定することが可能であり、例えば50%以上の比率で配合しても、配合したチーズ様食品の乳化処理時の粘度上昇は抑制され、安全に製造することができる。
また、本発明の食品原料は、120℃以上の温度で加熱溶融する際に、加熱状態を適度に調節し、クックドフレーバーを付与することも可能である。このようなクックドフレーバーを付与した食品原料は、個性的な風味の各種食品、特に特殊な風味のチーズ様食品を開発するための原料として好適に使用することができる。
本発明の食品原料において、加熱溶融処理する前の「加工されたチーズ様食品」としては、プロセスチーズ、チーズフード、チーズ主原品等が該当するが、この中では、プロセスチーズを採用することが好ましい。この理由は、一般に、プロセスチーズは増粘性が非常に強いので、プロセスチーズであれば本発明の効果を最も享受できるからである。
また、加熱溶融処理する前の「加工されたチーズ様食品」が、チーズフードの場合はチーズを60%以上含有するものが好ましく、更にチーズ主原品の場合はチーズを30%以上含有するものが好ましい。この理由は前記プロセスチーズの場合と同様に、チーズの配合量が多いほど本発明の効果を享受し易いためである。
一方、本発明の食品原料を配合するさきの食品については、種々の食品に配合することができるが、「チーズ様食品」に配合することが最も望ましく、プロセスチーズ、チーズフード、その他チーズ主原品を例示することができる。これらの中ではプロセスチーズが最も好ましく、この理由は、プロセスチーズは、増粘性が強い原料を配合された場合には、その影響を最も強く受け易く、乳化処理時に粘度上昇の危険性が高く、また、最終製品の食感や硬度に問題が出やすいためである。即ち、本発明の食品原料を採用する利益が最も高いのである。
尚、本発明の食品原料を配合するさきの食品が、チーズフードである場合はチーズを60%以上含有するものが好ましく、チーズ主原品である場合はチーズを30%以上含有するものが好ましい。
本発明の第二の発明は、このような食品原料を製造する方法である。
本発明の方法では、「加工されたチーズ様食品」を、少なくとも120℃、好ましくは130℃以上の温度で加熱溶融処理し、処理したものを食品原料として取得する。
このような加熱溶融処理は、従来公知の乳化機、加熱冷却機を転用して行うことができるが、大気圧以上の圧力をかけて120℃以上、好ましくは130℃以上の温度まで加熱できる装置が好ましく、例えば、バッチ式(回分式)の高速剪断型乳化機等の他、連続式の掻き取り式熱交換器、二軸エクストルーダー、チューブ式熱交換器等を例示することができる。
尚、加熱溶融処理、及び食品原料の取得は、バッチ式の装置で行うことも可能であるが、可及的に連続的に行うことが望ましい。この場合は、連続式の装置を採用する。
このような装置の中で、最も好ましいものは、間接加熱式熱交換器に、静止型混合器を組み合わせた装置であり、チューブ式熱交換機におけるチューブの内部に静止型混合器を内設した装置(例えば、特公平7−26758号公報に開示された装置)を例示することができる。
このような装置であれば、加熱溶融処理の際に「加工されたチーズ様食品」に直接蒸気を吹き込む必要がないため、蒸気による製品物性の変化がなく、また吹き込んだ蒸気を抜く工程でオフフレーバーが発生しない、という利点がある。また、加熱した後の物性が良好であり、長時間の連続運転が可能である。
一方、このような加熱溶融処理の前に、何らかの予熱処理をしても良い。このような予熱の目的は、専ら「加工されたチーズ様食品」を、加熱溶融処理の装置に送れる状態にするためである。例えば、「加工されたチーズ様食品」をポンプで送る場合には、そのポンプの種類や「加工されたチーズ様食品」の種類に応じて、適宜予熱をしてからポンプで送る。この場合の予熱の温度は、常温以上で、50℃程度以下が望ましく、好ましくは30〜50℃である。
また、加熱溶融を行った後は冷却しても良いが、このような冷却は、本発明の「加熱溶融処理」の中に包含されている。即ち、一般に120℃以上の液状物は大気圧下では沸騰する危険性があるために、その危険性がない温度まで冷却した上で加熱処理を終了させることがあり、このような場合の冷却は本発明の「加熱溶融処理」に包含されている。この冷却は、80〜95℃程度の温度までで十分である。また、このような冷却は、これらのような各種装置に一般的に付属している冷却装置を使用して行なうことが望ましい。
本発明の食品原料の製造方法は、前記の加熱溶融処理後に、更に急冷処理を行なうことを望ましい態様とする。
本発明の方法により製造した食品原料は、加熱溶融処理した後は、短時間で、即ち高温の状態で、食品原料(特にチーズ様食品の原料)として使用することが可能である。この場合は、本来の「加工されたチーズ様食品」が有していた独特の増粘性は消失しているため、チーズ様食品の原料として問題なく使用することができる。
しかしながら、実際の工程の上では、食品原料を取得した後、ある程度の時間が経過した後で、他の食品の原料として使用することも当然に考えられる。この場合、食品原料を室温に放置して自然冷却した場合には、増粘性が再増加しているケースがあるのである。
このような増粘性の再増加を抑止するためには、加熱溶融処理した後に、急冷処理を行い、そして、好ましくは急冷処理した後は低温(好ましくは10℃以下)下に保持する。このような急冷処理を行うことにより、食品原料の増粘性の再増加を抑制することができ、長時間を経た後であっても安全に食品原料、特にチーズ様食品の原料として使用することができる。
尚、この場合、「急冷処理」とは、人為的に冷却する操作を行うという意味である。即ち、前記の加熱溶融処理が終了した後に、室温に放置して自然冷却するのではなく、冷却装置により冷却処理する、冷却空間に置く等の操作によって積極的に冷却するという意味である。例えば、10℃以下の冷水に浸漬する、10℃以下の急冷庫に載置する等の方法を採用することができる。
また、この急冷処理は、冷却トンネルを通過させる等の手段によって連続的に実施しても良い。
本発明の製造方法は、このような急冷処理を、加熱溶融処理の終了後5時間以内、好ましくは2時間以内に品温が10℃以下の温度になるまで行うことを望ましい態様とする。
後記試験例に示すとおり、「加工されたチーズ様食品」を加熱溶融処理した後は、5時間以内、好ましくは2時間以内に10℃の温度まで品温が低下するように急冷すれば、前記のような増粘性の再増加を効果的に予防することが可能である。
本発明の第三の発明は、前記第一発明の食品原料を配合したチーズ様食品である。
前記第一発明の食品原料は、各種の食品に問題なく配合することができるが、配合する対象はチーズ様食品が最も好ましいのである。
このような本発明のチーズ様食品は、前記第一発明の食品原料を、原料の一部として配合し、以下、常法に従って製造することができる。
この場合、前記第一発明の食品原料以外の原料は、当該チーズ様食品の種類に応じて一般的な公知の原料を採用することができる。前記第一発明の食品原料を採用したことによって、特別な乳化剤等を配合する必要はない。
このようなチーズ様食品としては、前記のとおりプロセスチーズ、チーズフードの他、チーズ主原品が包含されるが、特にチーズ主原品としては、組織の中にチーズを均一に練り込んだ形態の食品が好ましい。この理由は、このような形態の食品であれば増粘性が抑制されるという本発明の効果を最も享受することができるためである。かかる食品としては、チーズソース、チーズフィリング、チーズケーキ、チーズデザート等を例示することができる。
尚、前記第一発明の食品原料を製造する際の「加工されたチーズ様食品」と、最終製品である本発明のチーズ様食品とは、別な品種のものであっても、又は同一品種であっても良く、いずれでも自由に選択することができる。
例えば、プロセスチーズを少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理して本発明の食品原料を製造し、この食品原料を別なプロセスチーズの原料として配合することが可能である。また、この場合、前者と後者のプロセスチーズは、組成を全く同一のものとすることもできる。更に、前記第一発明の食品原料に適宜クックドフレーバーを付与すれば、本発明のチーズ様食品も、個性的な風味の製品として、種々な品種を開発することが可能である。
本発明の第四の発明は、チーズ様食品の製造方法、である。
最初に、「加工されたチーズ様食品」から、前記第二の発明の手順に従って食品原料を調製する。調製した食品原料(即ち、第一発明の食品原料。)を他の原料と混合し、混合物を乳化処理し、成形し、冷却し、チーズ様食品として調製する。
食品原料は、予め細断し、その後の工程を容易に実施できるよう処理しておくことが好ましい。
本発明の食品原料(即ち、第一発明の食品原料。)以外の他の原料としては、チーズ様食品の種類に応じて必要な各種成分を配合することが可能であり、例えば、チーズ、溶融塩、乳化剤、香辛料、着色料、安定剤、香料、保存料、各種調味食品等を配合することができる。
原料としてチーズを配合する場合、ゴーダチーズ、チェダーチーズ等のナチュラルチーズを使用することが可能である。
また最終製品がチーズフード又はチーズ主原品である場合には、更に植物性脂肪等の各種脂肪、糖質、タンパク質等を配合することができる。また、製品の食感、風味を調整するために、安定剤、ゲル化剤等の添加剤を配合することも可能である。
また、他の原料として、溶融塩、乳化剤を配合することもできるが、少なくとも溶融塩は配合することが好ましい。
このような溶融塩としては、モノリン酸塩、ジリン酸塩、ポリリン酸塩等の各種のリン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、重炭酸塩等が例示でき、これらは単独又は複数を組合せて使用することが可能である。このような溶融塩の含量は、食品原料に由来する溶融塩も含めて、1〜4%、望ましくは1.5〜3.0%、である。
以上のように、食品原料(即ち、第一発明の食品原料。)と、他の原料とを混合し、混合物を乳化処理する。この乳化処理は、常法により実施し、通常80〜95℃で撹拌しながら加熱して乳化する。
乳化処理を行う手段としては、ケトル釜、水平式乳化釜、ステファン釜、掻き取り式熱交換器、直接加熱式連続乳化機、間接加熱型連続乳化機、二軸エクストルーダー、チューブラ式加熱装置等の公知の各種乳化装置を使用することができる。また、加熱専用の装置と乳化専用の装置とを組み合わせた装置を使用しても良い。
このような乳化処理が終了した後、溶融物を成形する。成形とは、所望の最終製品の形状に形づくることであり、例えば、型に充填する(例えばブロック状のチーズ様食品の場合。)、ノズルから押し出す(例えば柱状のチーズ様食品の場合。)、ロールで圧延する(例えばスライス状のチーズ様食品の場合。)等の各種の方法を採用することができる。
また、チーズ様食品がスプレッドのような状態である場合は、容器に充填するが、このような容器充填も本発明の「成形」の範囲に包含される。
成形後、常法により冷却するが、冷却の前又は後に、包装を行うことも可能である。以上の工程により、チーズ様食品を製造することができる。
以上、説明した本発明は、従来、食品原料として使用が制約されていた「加工されたチーズ様食品」を、種々な食品の原料として利用する活路を見い出したものであるが、一方、前記従来技術のように、プレクックドチーズを再利用することを目的として適用することも可能である。この場合は、プレクックドチーズを少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理し、本発明の食品原料となした上で、チーズの原料の中に添加して再利用するのである。この場合の「他の原料」は、そのプレクックドチーズを製造した際の原料と同一の配合の原料であることが好ましい。
次に、試験例により本発明を詳細に説明する。
尚、以下の試験例及び実施例の記載においては、本発明の食品原料に加工する前の「加工されたチーズ様食品」を、説明の便宜上「出発物質」と記載することがある。
試験例1
この試験は、「加工されたチーズ様食品」を加熱溶融処理して食品原料となす際に、加熱温度が、その食品原料の増粘性(配合した後の製品を乳化処理した際の粘度上昇の度合い)、及び配合した製品の評価(食感、硬度)にどのような影響を及ぼすかを調べるために行なった。
1)試料の調製
a)食品原料の調製
a−1)出発物質の準備
後記実施例3における出発物質であるゴーダ系プロセスチーズ(水分含量48.2%、固形分中脂肪含量46.0%)97kgを、試験例1の出発物質とし、これをチョッパー(日本キャリア工業社製)でミンチ状に細断した。
a−2)食品原料の調製
加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID’sクッカー)において、加熱温度を80℃から150℃まで10℃づつ8段階に変更し、8種類の条件で加熱溶融処理を行ったことを除き、後記実施例3と同一の装置及び条件により食品原料を調製した。
尚、加熱溶融処理が終了した溶融物は、密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷水に浸漬し、容器の中心部の温度が10℃になるまで2時間急冷し、一夜冷蔵した。
以上の操作により、加熱溶融処理の際の加熱温度を8段階に変更した8種類の食品原料(食品原料1〜食品原料8)を調製した。
また、これとは別に、前記ミンチ状に細断したプロセスチーズ(加熱溶融処理していないもの)をそのまま食品原料とした(対照原料1)。
b)プロセスチーズの調製
前記各食品原料(食品原料1〜食品原料8及び対照原料1)を配合したプロセスチーズを次の方法により調製した。尚、以下の方法は、全ての食品原料(食品原料1〜食品原料8及び対照原料1)について各々行った。
b−1)他の原料の混合
食品原料300.0gを、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、これにゴーダチーズ720.0g(水分含量40.2%、固形分中脂肪含量47.1%)、チェダーチーズ240.0g(水分含量35.3%、固形分中脂肪含量53.5%)を投入し、ミンチ状に細断した。
これに、クエン酸三ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)6.0g、ピロリン酸ナトリウム(大洋化学社製)12.0g、ポリリン酸ナトリウム(大洋化学社製)18.0gを添加し、均一に混合した。
b−2)乳化処理
混合物をクスナー型チーズ溶融ケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)204.0gを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、240rpmで3分間保持し、120rpmで攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、チーズ溶融物を得た。得られたチーズ溶融物の水分含量は48.2%、固形分中脂肪含量は46.0%であった。
b−3)冷却
このチーズ溶融物を密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し、5℃で一夜冷蔵し、チーズ製品を得た。
以上の手順を、食品原料1〜食品原料8及び対照原料1について各々実施した結果、最終的に9種類のプロセスチーズを得て、これらを各々試料1〜試料8、及び対照試料1とした。
また、これらとは別に、いずれの食品原料をも配合しないプロセスチーズを同様の手順で調製し、得られた通常のプロセスチーズを対照試料2とした。
2)試験方法
a)増粘性の判定(粘度の測定)
前記各試料を調製する工程において、乳化処理が終了した時点(即ち、脱気終了後)でクスナー型チーズ溶融ケトルの中のチーズ溶融物を採取し、80℃における粘度を、B型粘度計(リオン社製)を使用してNo.2ローターによって測定した。
b)製品評価
b−1)食感の判定
男女各25人のパネルに、得られた各試料の食感について、
A:柔らかくて良好
B:やや硬い
C:硬くて脆い
の三段階の評価点により評価させ、最も多数の意見をその試料の製品評価と認定した。
b−2)硬度の測定
各試料をたて3cm、よこ3cm、高さ2cmのブロック状に切断し、10℃の雰囲気下に置いて品温を10℃に調整した。
この試料を、クリープメーター(山電社製、RE−3305)で、直径8mmの円筒のプランジャーを使用して、侵入速度5mm/sec、クリアランス5mmの条件で、2回の測定を行い、平均値を算出した。
3)試験結果
この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、食品原料を調製する際の加熱溶融温度が、その食品原料の増粘性、及び食品に配合した後の製品評価にどのように影響するか、を示している。
表1において、対照試料2(食品原料を配合していない通常のプロセスチーズ)は、乳化処理後のチーズ溶融物の粘度は25000mPa・sであり、最終的な製品評価も、食感がAであり、硬度の値も2.6×106dyne/cm2と小さかった。
これに対して、対照試料1(加工されたプロセスチーズを何も処理せずにそのまま食品原料として配合した試料)では、乳化処理後のチーズ溶融物の粘度は71000mPa・sまで上昇し、最終的な製品の評価も、食感がCであり、硬度も3.9×106dyme/cm2と高かった。
即ち、「加工されたチーズ様食品」を、そのまま食品原料として配合した場合には、著しい粘度上昇を惹起し、製品の評価も下げることが明らかである。
一方、試料1〜試料8について、乳化処理した後のチーズ溶融物の粘度は、食品原料を調製する際の加熱溶融温度を120℃以上に設定した場合(試料5〜試料8)に限り、チーズ溶融物の粘度が低下し、製品評価も、食感がB以上となり、硬度も低下していることが認められる。即ち、食品原料を調製する際の加熱溶融温度を120℃以上に設定すれば、その食品原料の増粘性が抑制され、配合した後の製品の評価も低下しないことが判明した。
一方、前記のとおり対照試料2(通常のプロセスチーズ)では、乳化処理した後のチーズ溶融物の粘度は25000mPa・sで、製品評価も、食感がA、硬度が2.6×106dyne/cm2であったが、食品原料を調製する際の加熱溶融時の温度が130℃以上である場合(試料6〜試料8)には、配合後のチーズ溶融物の粘度も、製品評価も、対照試料2と近くなり、食品原料として特に望ましいものである点が認められた。
この試験の結果、本発明の食品原料は、加熱溶融処理する際の温度が120℃以上、望ましくは130℃以上、の場合、配合した後の製品の乳化処理時の粘度上昇が抑制され(即ち、増粘性が抑制され)、製品としての品質が低下することが少なく、食品の原料として好適であることが確認された。
試験例2
この試験は、本発明の食品原料を調製する場合、加熱溶融処理終了後の冷却速度が、その食品原料の増粘性(配合した後の製品を乳化処理した際の粘度上昇の度合い)、及び配合した製品の評価(食感、硬度)にどのような影響を及ぼすかを調べるために行なった。
1)試料の調製
a)食品原料の調製
食品原料を調製する工程における急冷処理の手順を、次のとおり変更したことを除き、後記実施例3と同一の方法により、食品原料9及び食品原料10を調製した。
即ち、出発物質を加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID’sクッカー)により130℃に加熱し、80℃に冷却し、溶融された状態の食品原料を調製した。
この溶融された状態の食品原料を密封可能容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷蔵庫で5時間放置してやや緩慢に冷却し、のち一夜冷蔵し、食品原料9を調製した。
また、そのまま室温に2時間放置して緩慢に冷却し、後一晩冷蔵し、食品原料10を調製した。
前記食品原料9及び食品原料10は、冷却している過程で、容器の中心部の温度をペンレコーダーで連続的に記録したところ、食品原料9の中心温度は充填後5時間経過後に10℃未満となり、食品原料10の中心温度は7時間経過後に10℃未満となった。
b)プロセスチーズの調製
前記食品原料9及び食品原料10を配合し、前記試験例1と同一の条件及び配合によりプロセスチーズ(試料9及び試料10)を調製した。
2)試験方法
前記試験例1と同様に、試料9及び10を調製する工程において、乳化処理が終了した時点(即ち、脱気終了後)のチーズ溶融物の粘度を測定し、また試料の製品評価を、前記試験例1と同様の方法により行った。
3)試験結果
試験の結果は表2に示すとおりである。表2は、前記試験例1における試料6、並びに試料9及び10の増粘性及び製品評価を各々比較した表である。
表2から、試料6及び試料9については、粘度は概略20000〜35000mPa・sの範囲に収まっており、製品評価も、食感がA〜B以上であり、硬度も2.5〜3.0×106dyne/cm2であって、総じて良好であった。しかしながら、試料10は、粘度は41000mPa・sであり、製品評価も、食感がB〜C、硬度が3.4×106dyne/cm2であって、増粘性が再度増加しており、食品原料としての適性が若干低下していることが認められた。
この試験の結果、本発明の食品原料を調製する場合、加熱溶融処理終了後、5時間以内、好ましくは2時間以内に10℃に急冷処理することにより、増粘性の再増加が抑制され、配合した製品の評価も高くなり、より望ましい食品原料となることが判明した。
次に、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例
実施例1
(パルメザン風味プロセスチーズを加熱溶融処理した食品原料)
1)出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)の調製
チェダーチーズ30.0kg(水分含量35.3%、固形分中脂肪含量53.5%)、ゴーダチーズ20.0kg(水分含量40.2%、固形分中脂肪含量47.1%)を、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、粉状のパルメザンチーズ(水分含量16.1%、固形分中脂肪含量39.7%)20.0kg、及び溶融塩としてポリリン酸ナトリウム(大洋化学社製)2.0kg、ピロリン酸ナトリウム(大洋化学社製)0.5kg、クエン酸三ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1.0kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、クスナー型チーズ溶融ケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)26.5kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら3分間保持し、次いで回転数を120rpmに低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズを得た。
この溶融チーズを密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し、5℃の冷蔵庫内で一夜冷却し、チェダー系プロセスチーズからなる出発物質97個を得た。得られた出発物質の水分含量は48.5%、固形分中脂肪含量は44.0%であった。
2)本発明の食品原料の調製
前記出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)97個を容器から出してチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断した。
このミンチ状出発物質を、ジャケット及び攪拌機付ホッパー(梶原工業社製)に投入し、ジャケットの間接加熱により品温が40〜50℃になるまで予熱し、モーノポンプ(兵神装備社製)により加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID’sクッカー)に供給し、130℃の温度で加熱溶融処理を行い、80℃に冷却した(即ち、請求項における「加熱溶融処理」。)。
冷却後の溶融物を密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷水に浸漬し、容器の中心部の温度が10℃になるまで約2時間急冷処理した(即ち、請求項における「急冷処理」。)。
その後、5℃以下の環境で一晩冷蔵し、パルメザン風味プロセスチーズを出発物質とする本発明の食品原料95個を得た。得られた食品原料の水分含量は48.5%、固形分中脂肪含量は44.0%であった。
実施例2
(実施例1の食品原料を配合したプロセスチーズ)
前記実施例1の食品原料20.0kg、チェダーチーズ48.0kg(水分35.3%、固形分中脂肪53.5%)、及びゴーダチーズ16.0kg(水分40.2%、固形分中脂肪47.1%)をチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム1.2kg、ピロリン酸ナトリウム0.4kg、及びクエン酸三ナトリウム0.8kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、クスナー型チーズ溶融ケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)13.6kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら3分間保持し、次いで回転数を120rpmまで低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズを得た(即ち、請求項における「乳化処理」。)。
この溶融チーズの粘度を、前記試験例1と同様に測定したところ25000mPa・sであり、粘度が上昇する現象は全く発生していなかった。
溶融チーズを密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し(即ち、請求項における「成形」。)、5℃の冷蔵庫内で一夜冷却し(即ち、請求項における「冷却」)、容器入りプロセスチーズ製品(即ち、本発明の「チーズ様食品」)97個を得た。得られたプロセスチーズ製品の水分は46.8%であり、固形分中脂肪は48.2%であった。
得られたプロセスチーズを試食した結果、適度に軟らかい食感を有しており、製品としての物性は良好であった。
実施例3
(ゴーダ系プロセスチーズを加熱溶融処理した食品原料)
1)出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)の調製
ゴーダチーズ60.0kg(水分40.2%、固形分中脂肪47.1%)、及びチェダーチーズ20.0kg(水分35.3%、固形分中脂肪53.5%)を、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これにクエン酸三ナトリウム0.5kg、ピロリン酸ナトリウム1.0kg,ポリリン酸ナトリウム1.5kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、クスナー型チーズ溶融ケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)17.0kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら3分間保持し、次いで回転数を120rpmに低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズを得た。
この溶融チーズを密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し、5℃冷蔵庫内にて一夜冷却し、ゴーダ系プロセスチーズからなる出発物質97個を得た。得られた出発物質の水分は48.2%、固形分中脂肪は46.0%であった。
2)本発明の食品原料の調製
前記出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)97個を容器から出してチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断した。
このミンチ状出発物質を、ジャケット及び攪拌機付ホッパー(梶原工業社製)に投入し、ジャケットの間接加熱により品温が40〜50℃になるまで予熱し、モーノポンプ(兵神装備社製)により加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID‘sクッカー)に供給し、130℃の温度で加熱溶融処理を行い、80℃に冷却した(即ち、請求項における「加熱溶融処理」。)。
冷却後の溶融物を密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷水に浸漬し、容器の中心部の温度が10℃になるまで約2時間急冷処理した(即ち、請求項における「急冷処理」。)。
以上の操作により、ゴーダ系プロセスチーズを出発物質とする本発明の食品原料95個を得た。
実施例4
(ゴーダ系チーズフードを加熱溶融処理した食品原料)
1)出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)の調製
ゴーダチーズ60.0kg(水分40.2%、固形分中脂肪47.1%)を、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油5.0kg、ミルクプロテイン5.0kg、カルシウムカゼイネート5.0kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム1.0kg、ピロリン酸ナトリウム0.5kg、及びクエン酸三ナトリウム1.0kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、クスナー型チーズ溶融ケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)22.5kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら5分間保持し、次いで回転数を120rpmに低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズフードを得た。
この溶融チーズフードを密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し、5℃の冷蔵庫内で一夜冷却し、チェダー系チーズフードからなる出発物質97個を得た。得られた出発物質の水分は47.3%、固形分中脂肪は41.8%であった。
2)本発明の食品原料の調製
前記出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)97個を容器から出してチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断した。
このミンチ状出発物質を、ジャケット及び攪拌機付ホッパー(梶原工業社製)に投入し、ジャケットの間接加熱により品温が40〜50℃になるまで予熱し、モーノポンプ(兵神装備社製)により加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID‘sクッカー)に供給し、130℃の温度で加熱溶融処理を行い、80℃に冷却した(即ち、請求項における「加熱溶融処理」。)。
冷却後の溶融物を密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷水に浸漬し、容器の中心部の温度が10℃になるまで2時間ほど急冷処理した(即ち、請求項における「急冷処理」。)。
以上の操作により、ゴーダ系チーズフードを出発物質とする本発明の食品原料95個を得た。得られた食品原料の水分は47.5%、固形分中脂肪は46.1%であった。
実施例5
(実施例4の食品原料を配合したチーズフード製品)
前記実施例4の食品原料40.0kg、及びチェダーチーズ95.0kg(水分35.3%、固形分中脂肪53.5%)を、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油10.0kg、ミルクプロテイン6.0kg、カルシウムカゼイネート5.0kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム1.6kg、ピロリン酸ナトリウム0.8kg、及びクエン酸三ナトリウム1.6kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、クスナー型チーズ溶融ケトル(日本酪農機械製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)40.0kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら5分間保持し、次いで回転数を120rpmに低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズフードを得た(即ち、請求項における「乳化処理」。)。
この溶融チーズフードの粘度は20000mPa・sであり、粘度が上昇する現象はほとんど発生しなかった。
得られた溶融チーズフードを密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し(即ち、請求項における「成形」。)、5℃の冷蔵庫内にて一夜冷却し(即ち、請求項における「冷却」。)、チーズフード製品(本発明のチーズ様食品)197個を得た。
得られたチーズフード製品の水分は46.6%、固形分中脂肪は48.6%であった。また、得られたチーズフードを試食した結果、適度に軟らかい食感を有しており、製品としての物性は良好であった。
実施例6
(エメンタール系チーズスプレッド様食品を加熱溶融処理した食品原料)
1)出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)の調製
エメンタールチーズ30.0kg(水分37.5%、固形分中脂肪48.0%)、及びクリームチーズ15.0kg(水分55.1%、固形分中脂肪76.2%)を、チョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油25.0kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム2.0kg、及びクエン酸三ナトリウム1.0kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、高速攪拌乳化釜(ステファン社製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)27.0kgを添加し、1500rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、1500rpmで攪拌しながら5分間保持した結果、乳化状態の良好な溶融チーズスプレッドを得た。
得られた溶融チーズスプレッドを、密閉可能な容器(カウパック社製)に0.5kgずつ充填し、5℃の冷蔵庫内で一夜冷却し、スプレッタビリティーの良好なエメンタール系チーズスプレッド様食品からなる出発物質195個を得た。得られた出発物質の水分は46.6%、固形分中脂肪は73.3%であった。
2)食品原料の調製
この出発物質(即ち、請求項における「加工されたチーズ様食品」。)195個を、容器から出して一時貯留し、実施例1と同様の加熱殺菌機システム(キッコーマン社製。KID’sクッカー)に供給し、実施例1と同一の条件で130℃に加熱した後80℃に冷却した(即ち、請求項における「加熱溶融処理」。)。
冷却後の溶融物を密封可能な容器(オリヒロ社製)に各1kg充填し、10℃の冷水に浸漬し、容器の中心部の温度が10℃になるまで約2時間急冷処理し(即ち、請求項における「急冷処理」。)、次いで5℃の冷蔵庫内にて一夜冷蔵し、エメンタール系チーズスプレッド様食品を出発物質とする本発明の食品原料95個を得た。尚、得られた食品原料の水分は46.6%、固形分中脂肪は73.3%であった。
実施例7
(実施例6の食品原料を配合したチーズスプレッド様食品)
前記実施例6の食品原料25.0kgをチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、更にゴーダチーズ20.0kg(水分40.2%、固形分中脂肪47.1%)、及びクリームチーズ12.0kg(水分55.1%、固形分中脂肪76.2%)を投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油20.0kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム1.5kg、及びクエン酸三ナトリウム0.8kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を、高速攪拌乳化釜(ステファン社製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)20.7kgを添加し、1500rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、1500rpmで攪拌しながら5分間保持し、乳化状態の良好な溶融チーズスプレッド様食品を得た(即ち、請求項における「乳化処理」。)。
この溶融チーズスプレッド様食品の粘度は6000mPa・sであり、粘度が上昇する現象はほとんど発生しなかった。
得られた溶融チーズスプレッド様食品を密封可能な容器(カウパック社製)に各0.5kg充填し(即ち、請求項における「成形」。)、5℃の冷蔵庫内にて一夜冷却し(即ち、請求項における「冷却」。)、チーズスプレッド様食品(本発明のチーズ様食品)195個を得た。得られたチーズスプレッド様食品の水分は47.1%、固形分中脂肪は74.7%であり、スプレッドとして適度な柔らかさを有し、塗りやすく滑らかで口溶けの良好なものであって、総じて製品としての物性は良好であった。
実施例8
(実施例3の食品原料を配合したチーズフード製品)
前記実施例3の食品原料20.0kg、及びチェダーチーズ47.5kg(水分35.3%、固形分中脂肪53.5%)をチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油5.0kg、ミルクプロテイン3.0kg、カルシウムカゼイネート2.5kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム0.8kg、ピロリン酸ナトリウム0.4kg、及びクエン酸三ナトリウム0.8kgを投入し、均一に混合した。
この混合物をクスナー型チーズケトル(東北大江工業製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)20.0kgを添加し、120rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、その状態で240rpmで攪拌しながら5分間保持し、次いで回転数を120rpmに低下させて攪拌しながら−45kPaで2分間脱気し、乳化状態の良好な溶融チーズフードを得た(即ち、請求項における「乳化処理」。)。
この溶融チーズフードの粘度は22000mPa・sであり、粘度が上昇する現象はほとんど発生しなかった。
得られた溶融チーズフードを密封可能な容器(カウパック社製)に各1kg充填し(即ち、請求項における「成形」。)、5℃の冷蔵庫内にて一夜冷却し(即ち、請求項における「冷却」)、チーズフード製品(本発明のチーズ様食品)97個を得た。
得られたチーズフード製品の水分は46.8%、固形分中脂肪は49.4%であった。また、得られたチーズフードを試食した結果、適度に軟らかい食感を有しており、製品としての物性は良好であった。
実施例9
(実施例3の食品原料を配合したチーズスプレッド様製品)
前記実施例3の食品原料20.0kgをチョッパー(日本キャリア工業社製)に投入し、更にチェダーチーズ15.0kg(水分35.3%、固形分中脂肪53.5%)、及びクリームチーズ10.0kg(水分55.1%、固形分中脂肪76.2%)を投入し、ミンチ状に細断し、これにパーム硬化油25.0kg、並びに溶融塩としてポリリン酸ナトリウム1.5kg、及びクエン酸三ナトリウム0.8kgを投入し、均一に混合した。
この混合物を高速攪拌乳化釜(ステファン社製)に投入し、溶解水(添加水及び直接加熱用蒸気を含む)27.7kgを添加し、1500rpmで攪拌しながら85℃に加熱し、1500rpmで攪拌しながら5分間保持し、乳化状態の良好な溶融チーズスプレッド様食品を得た(即ち、請求項における「乳化処理」。)。
この溶融チーズフードの粘度は6500mPa・sであり、粘度が上昇する現象はほとんど発生しなかった。
得られた溶融チーズスプレッド様食品を密閉可能な容器(カウパック社製)に各0.5kg充填し(即ち、請求項における「成形」。)、5℃の冷蔵庫内にて一夜冷却し(即ち、請求項における「冷却」。)、チーズスプレッド様食品195個(本発明のチーズ様食品)195個を得た。
得られたチーズフード製品の水分は48.3%、固形分中脂肪は74.2%であり、スプレッドとして適度な軟らかさを有し、塗りやすく滑らかで口溶けの良好なものであって、総じて製品としての物性は良好であった。
産業上の利用可能性
(1)本発明の食品原料は、チーズ様食品の原料として配合しても加熱溶融後の粘度上昇を惹起することが少なく、また配合した製品の品質も良好であり、多種多様なチーズ様食品に何の制約もなく、しかも大量に配合することが可能である。
(2)本発明の食品原料は、チーズ様食品以外の食品にも配合でき、極めて用途の広い食品原料である。
(3)本発明のチーズ様食品及びその製造方法は、「加工されたチーズ様食品」を配合するにも関わらず、加熱溶融後の粘度上昇が少なく、安定した工程で製造できるとともに、製造されたチーズ様食品は、食感が良好で軟らかく、高い品質を維持することができる。
(4)本発明は、従来、その増粘性のために食品原料として使用することが制約されていた「加工されたチーズ様食品」を、新規な食品原料として積極的に利用することを可能とするとともに、プレクックドチーズを再利用することを目的として適用することも可能である。
Claims (6)
- 一旦乳化処理され冷却されて加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理してなる食品原料。
- 一旦乳化処理され冷却されて加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理し、食品原料として取得することを特徴とする食品原料の製造方法。
- 食品原料の取得が、急冷処理後に行われる請求項2に記載の食品原料の製造方法。
- 急冷処理が、加熱溶融処理の終了後5時間以内に10℃以下の温度に急冷する処理である請求項3に記載の食品原料の製造方法。
- 一旦乳化処理され冷却されて加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理した食品原料を配合したことを特徴とするチーズ様食品。
- 一旦乳化処理され冷却されて加工されたチーズ様食品を少なくとも120℃の温度で加熱溶融処理し、処理物に他の原料を混合し、混合物を乳化処理し、成形し、冷却し、チーズ様食品として取得することを特徴とするチーズ様食品の製造方法。
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