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JP3667862B2 - 薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法、および、薄膜型サーマルプリントヘッド - Google Patents
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JP3667862B2 - 薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法、および、薄膜型サーマルプリントヘッド - Google Patents

薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法、および、薄膜型サーマルプリントヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法、および、薄膜型サーマルプリントヘッドに関するものであり、より具体的には、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値を所望のように調整するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱方式または熱転写方式によって印字を行うためのサーマルプリントヘッドは、個別に発熱駆動可能な多数の発熱体が絶縁基板上に列状に配置されて構成されている。そして、発熱体の形成方式により、このサーマルプリントヘッドは、厚膜型と薄膜型とに分類することができる。厚膜型のサーマルプリントヘッドにおいては、発熱体は、厚膜印刷法によって形成される。一方、薄膜型のサーマルプリントヘッドにおいては、発熱体は、CVDまたはスパッタリングによって薄膜状に形成される。
【0003】
厚膜型のサーマルプリントヘッドは、比較的簡便に、かつコスト安く製造することができるという利点を有する反面、各発熱体が厚膜状であるために印字ドットがぼけたり、また、印字密度を所定以上に上げることができないという欠点を有する。薄膜型サーマルプリントヘッドは、各発熱体が500〜1500Åの薄膜状であるため、印字ドットにぼけが少なく、また熱応答性に優れるために高速印字により適しており、厚膜型の場合よりも印字密度を上げることができる等の利点を有するが、CVDやスパッタリングによる成膜工程やフォトリソ工程を繰り返すために製造コストが高いという欠点がある。
【0004】
たとえば、A4サイズの記録紙に200dpiの印字密度で印字を行うべくサーマルプリントヘッドを構成する場合、1728個の発熱体が1列に配列される。そして、これらの発熱体の各々の抵抗値は、一定であることが印字品質を高める上で望ましいが、基板上に発熱体が形成された時点では、各発熱体の抵抗値にはどうしてもバラツキが生じる。発熱体のパターンサイズと厚みにバラツキが生じるからである。
【0005】
厚膜型のサーマルプリントヘッドの場合、上記のような各発熱体の抵抗値のバラツキを修正するために、パルストリミングと呼ばれる抵抗値調整が行われる。すなわち、測定プローブを基板の適部に接触させて各発熱体の抵抗値を監視しつつ、この発熱体の測定抵抗値が所定の範囲内に入るように、当該発熱体にパルス電流を流す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、薄膜型サーマルプリントヘッドにおいては、前述のように発熱体の膜厚が500〜1500Åといったきわめて薄状であるため、上記のようなパルストリミングによる抵抗値調整は不可能である。
【0007】
ところで、近年、サーマルプリントヘッドによってカラー印字を行わせる試みが盛んであり、この場合、一定以上の印字品質を得るために、薄膜型のサーマルプリントヘッドが採用される場合が多い。サーマルプリントヘッドによるカラー印字においては、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、あるいはこれに加えてB(ブラック)の領域を有する昇華型のインクリボンを用いて重ね印刷が行われる。昇華型のインクリボンは、付与される熱に応じて、記録紙に転写されるインクの量を変化させることができ、したがって、各色の印刷を行うに際して発熱体に与える印字エネルギを多段階に変化させることにより、多階調のカラー印刷を行うことができる。このような多階調の印刷を行う場合、サーマルプリントヘッドの各発熱体の抵抗値のバラツキを所定の範囲内に抑制することが、より強く求められる。周知のとおり、カラー印刷を行う場合、各色の配合割合がわずかに変化しただけでも、色調が大きく変わるからである。かりにサーマルプリントヘッドを構成する複数の発熱体の抵抗値に大きなバラツキが存在すると、同一条件で各発熱体を駆動しても、発生する印字エネルギが発熱体ごとに異なってしまい、その結果として、カラー印刷の品位が著しく低下してしまう。
【0008】
通常の製造過程によって薄膜型のサーマルプリントヘッドを形成する場合、成膜工程に改良を加えても、各発熱体間の抵抗値のバラツキを±10%以内に抑制することは困難であるといわれている。このような発熱体間の抵抗値のバラツキは、上記のようなカラー印刷を高品位で行うためには、大きすぎる。
【0009】
本願発明は、上記のような事情のもとで考え出されたものであって、CVDまたはスパッタリングによって形成される薄膜抵抗体の抵抗値を、上記薄膜抵抗体の形成後に容易に、かつより精度よく調整することができる新たな技術を提供することをその課題としている。
【0010】
【発明の開示】
本願発明の第1の側面によれば、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法が提供され、この方法は、絶縁基板上にCVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が配置された薄膜型サーマルプリントヘッドにおける上記各発熱体にエキシマレーザを照射して上記各発熱体の抵抗値を調整する方法であって、上記各発熱体の表面の長さ方向の中央部において、当該長さ方向に所定の間隔を隔て、かつ、幅方向に延びる複数の帯状領域に対してエキシマレーザを照射することに特徴づけられる。
【0012】
好ましい実施形態においてはまた、上記エキシマレーザの照射は、超低エネルギ密度による照射であって、そのエネルギ密度および/またはパルス照射回数を選択することにより、上記各発熱体の抵抗値が所望の抵抗値となるようにする。上記エキシマレーザのエネルギ密度は、TaSiO2 によって500〜1300Åの厚みで形成した薄膜抵抗体の場合、好ましくは、60〜180mJ/cm2 、より好ましくは80〜150mJ/cm2 である。
【0013】
エキシマレーザは、紫外線を発振できるレーザであり、YAGレーザやCO2 レーザ等の他のレーザに比較して、高い光子エネルギをもつとともに、短いパルス幅と高いピーク出力をもつという特性をもっている。本願の発明者は、このような特性をもつエキシマレーザのエネルギ密度および/またはパルス照射回数を選択することにより、たとえば、TaSiO2 からなる薄膜型サーマルプリントヘッドの各発熱体の抵抗値を所望のように下げることができることを見出した。上記光子エネルギにより、上記各発熱体の絶縁成分であるSiO2 が部分的に分子間結合解離を起こし、全体としての抵抗値が低下してゆくものと思われる。ただし、上記エキシマレーザの照射エネルギ密度は、上述のように、60〜180mJ/cm2 、より好ましくは80〜150mJ/cm2 というきわめて低い範囲を選択するべきことが判っている。
【0014】
前述のように、エキシマレーザが照射された領域は、レーザのエネルギ密度またはパルス照射回数に応じて抵抗値が低下させられるが、本願発明においては、各発熱体の表面の一部領域にエキシマレーザを照射しているので、各発熱体の抵抗値の調整を、より微小段階において精密に行うことができる。
【0015】
このようなことから、本願発明の第1の側面による薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法によれば、従来、成膜後に抵抗値調整が不可能であった薄膜型サーマルプリントヘッドにおける各発熱体の抵抗値を所望の抵抗値に揃えることが可能となる。このようにして各発熱体の抵抗値のバラツキを所定の範囲に揃えられた薄膜型サーマルプリントヘッドは、その印字品質がより高められるとともに、昇華型のインクリボンを用いた多階調カラー印刷にも充分適したものとすることが可能となる。
【0016】
とくに、発熱体の表面の幅方向および/または長さ方向の中央部を選択してこのように限定された領域の抵抗値をエキシマレーザ照射によって低下させるようにすると、この発熱体の駆動時に蓄熱によって中央領域が周部領域よりも高温となる傾向が緩和され、発熱体の表面各部における温度分布が平準化される。これにより、高速印字時における印字ボケ等の発生を抑制し、印字品質をより高めることができる。
【0017】
本願発明の第2の側面によれば、薄膜型サーマルプリントヘッドが提供され、これは、絶縁基板上にCVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が形成された薄膜型サーマルプリントヘッドであって、上記各発熱体は、表面の長さ方向の中央部において、当該長さ方向に所定の間隔を隔て、かつ、幅方向に延びる複数の帯状領域の抵抗値がエキシマレーザ照射によって低下させられることにより、抵抗値が調整されていることに特徴づけられる。
【0018】
上記したことから判るように、この薄膜型サーマルプリントヘッドは、各発熱体の成膜時に存在した抵抗値のバラツキが、所定の範囲内に抑制されているので、その印字品質がより高められるとともに、昇華型のインクリボンを用いた多階調カラー印刷にも充分適したものとなる。
【0023】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本願発明の好ましい実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。本願発明は、薄膜形成された抵抗体の抵抗値を簡易に調整するための新たな技術に関するものであるが、本願発明技術は、薄膜型サーマルプリントヘッドにおける発熱体の抵抗値を調整する場合に好適に適用することができる。
【0025】
図1は、薄膜型サーマルプリントヘッド1の発熱部2の代表的な断面構造を厚み方向に強調して示している。図2は、上記発熱部の平面的な配置を示している。アルミナセラミック等の絶縁基板3の上に、記録紙に対する圧力集中を高めるとともに発熱部に蓄熱性を与えるための部分グレーズ4が形成されている。この部分グレーズ4は、ガラスペーストを用いた印刷・焼成によって形成され、焼成時におけるガラス成分の流動化に起因して、滑らかな弓形断面を呈している。
【0026】
絶縁基板3ないし上記部分グレーズ4の表面には、薄膜状の抵抗体層5が形成される。この抵抗体層5は、たとえばTaSiO2 を用いたCVD法またはスパッタリングにより、500〜1500Åの薄膜状に形成される。この抵抗体層5の上層には、部分グレーズ4の頂部において所定範囲にわたって上記抵抗体層5を露出させるようにして導体層6a,6bが形成される。この導体層6a,6bは、たとえばAlを用いたスパッタリングにより、0.5〜2.0μmの厚みに形成される。抵抗体層5のうち、上記部分グレーズ4の頂部付近において、導体層6a,6bに覆われずに露出する部分が、発熱体7として機能する。
【0027】
上記抵抗体層5および導体層6a,6bには、図2に示すようにスリット8が入れられており、各発熱体7が独立して駆動可能とされている。各発熱体7に対して図1および図2の左方に延出していて上記スリット8によって互いに独立に分断されている導体層6aは、それぞれ個別電極として機能し、図示しない駆動ICの出力パッドにそれぞれ電気的に導通させられる。各発熱体7に対して図1および図2の右方に延出する導体層6bは、相互に接続されていて、共通電極として機能する。
【0028】
図1において符号9は、たとえばSiO2 からなる耐酸化層を、符号10はたとえばTa2 5 あるいはSi3 4 からなる保護層をそれぞれ示しており、いずれもCVDあるいはスパッタリングによって形成される。なお、耐酸化層9の厚みは、たとえば0.5〜1.5μm、保護層10の厚みは、たとえば3〜6μmに設定される。
【0029】
上記の構成において、いずれかの個別電極6aがオン駆動されると、上記導体層6a,6bに覆われずに露出する抵抗体層5からなる発熱体7が、個別に発熱駆動される。
【0030】
上記のような発熱部2の構成を備える薄膜型サーマルプリントヘッド1は、たとえば次のような工程を経て製造される。
【0031】
まず、図3に示すように、絶縁基板3上に部分グレーズ4を形成した後、抵抗体層5、および導体層6を順次CVDあるいはスパッタリングによって薄膜形成する。抵抗体層5および導体層6の材質および好適な厚みは、前述したとおりである。
【0032】
次いで、図4に示すように、第1回のフォトリソ工程により、上記抵抗体層5および上記導体層6に対し、部分グレーズ4の幅方向に延びるスリット8を形成することにより、回路パターンを形成する。
【0033】
次いで、図5に示すように、第2回のフォトリソ工程により、上記導体層6のみがエッチングされ、その下層の抵抗体層5が露出させられる。こうして露出させられた抵抗体層5が発熱体7として機能することは、前述したとおりである。
【0034】
次いで、耐酸化層9および保護層10がCVDあるいはスパッタリングによって形成される。これら耐酸化層9および保護層10の材質および好適な厚みもま、前述したとおりである。
【0035】
たとえば、200dpiの印字密度を達成する場合、上記発熱体7は、図6(a) に示すように、その長手方向寸法Lが182μm、幅寸法Wが112μmの矩形ドット状であって、その厚みはたとえば540Åとされ、125μmピッチで部分グレーズ4の長手方向に配列される。この発熱体7の材質としては、前述したようにTaSiO2 が好適であり、そのシート抵抗は358Ω/□である。本願発明においては、このような発熱体7の抵抗値の調整を、上記耐酸化層9および保護層10を形成する前の段階において、次のようにして行う。
【0036】
すなわち、図6(b)(c)(d) にそれぞれ斜線で示すように、各発熱体7の表面の一部を選択して、超低エネルギ密度のエキシマレーザを照射することにより、各発熱体7の抵抗値を低下させる。図6(b) は、図6(a) に示す形態の発熱体7における長手方向寸法の1/4の中央領域が選択された場合を、図6(c) は、同じく発熱体7における長手方向の1/4および幅方向1/2の中央領域が選択された場合を示す。この場合、発熱体7の全表面の1/8の領域が選択されたことになる。そして、図6(d) は、発熱体7の長手方向中央領域において、幅方向に延びる複数の帯状領域が選択された場合を示している。
【0037】
より具体的には、共通電極6bと個別電極6a間に図示しないプローブを接触させて、当該個別電極6aと対応する発熱体7の抵抗値を監視しつつ、この発熱体7の上記のように選択した一部領域に対して所定のマスクを介してエキシマレーザを照射する。より好適には、エキシマレーザのエネルギ密度を一定の選択したエネルギ密度としつつ、当該発熱体の抵抗値が所望の抵抗値となるまで、照射パルス数を累増させる。このような操作をすべての発熱体7について行うことにより、複数の上記発熱体7が配列されてなる薄膜型サーマルプリントヘッドにおける上記発熱体7の抵抗値を一定の許容しうるバラツキの範囲内に収めることができる。
【0038】
図7は、シート抵抗358Ω/□のTaSiO2 を材質として厚さ540Åに形成した薄膜抵抗体に対してKrFエキシマレーザを照射するに当たり、照射エネルギ密度を86mJ/cm2 に、照射パルス周波数を50Hzに設定し、照射パルス数を種々に変化させた場合の抵抗値変化率の変化を示すグラフである。このグラフから判るように、照射パルス数が多くなるにしたがって、発熱体7の抵抗値変化率(抵抗値低下率)が大きくなる。したがって、照射パルス数を選択することにより、上記薄膜抵抗体の抵抗値を所望のように低下させることができる。図7のグラフから、照射パルス数が比較的少ない領域では、抵抗値の変化が急激であるが、ある程度の照射パルス数を超えると、照射パルス数と抵抗値変化率との関係は、線型となる。したがって、この線型な関係を有する範囲を用いることにより、より正確な抵抗値調整を行うことができる。そうして、図6(b) に示すように、発熱体7の長手方向の1/4の領域を選択してその部位にエキシマレーザを照射する場合、レーザ照射に係る部分の抵抗値が10%低下したとすると、発熱体7全体としての抵抗値は2.5%しか低下しない。同じく、図6(c) に示すように、発熱体の全表面の1/8の領域を選択してその部位にエキシマレーザを照射する場合、レーザ照射に係る部分の抵抗値が10%低下したとすると、発熱体7全体としての抵抗値は1.25%しか低下しない。したがって、本願発明の薄膜抵抗体の抵抗値調整方法によれば、よりきめ細かな抵抗値調整を行うことができる。
【0039】
図8は、シート抵抗358Ω/□のTaSiO2 を材質として厚さ540Åに形成した薄膜抵抗体に対してKrFエキシマレーザを照射するに当たり、照射パルス周波数を10Hzに、照射パルス数を10に、それぞれ設定し、照射エネルギ密度を種々に変化させた場合の抵抗値変化率の変化を示すグラフである。このグラフから判るように、照射エネルギ密度を60mJ/cm2 付近から増大させるにしたがって、薄膜抵抗体の抵抗値が次第に低下する。したがって、このグラフが示す傾向にしたがってエキシマレーザの照射エネルギを選択することにより、発熱体の抵抗値を目的の抵抗値に調整することが可能である。もちろん、本願発明では、この場合においても、図6(a)(b)(c) の各図に示したように、抵抗体の表面の選択した部分領域にエキシマレーザを照射するので、この抵抗体の抵抗値調整をよりきめ細かに行うことができる。
【0040】
図9は、TaSiO2 を654Åの厚みに形成した抵抗体にエキシマレーザを照射するにあたり、同一の対象物に対する照射パルス数を累増させてゆく過程において、抵抗値変化率がどのように推移するかを、種々のエネルギ密度について調べた結果を表すグラフである。このグラフからも、エネルギ密度を抵抗体の材質および厚みに対して最適に設定しておけば、照射パルス数を累増させることにより、所望の抵抗値を得ることができることが判る。
【0041】
また、薄膜型サーマルプリントヘッドにおいて、とくに図6(c) に示すように、発熱体7の長手方向および幅方向の中央領域を選択してこの領域にエキシマレーザを照射することによって抵抗値調整を行う場合、次のような利点がある。すなわち、表面の各部位において抵抗値が一定な発熱体7を駆動する場合、図10に示すように、その温度分布は中央部ほど高くなる。発熱体の周囲ほど熱放散が多く、中央領域ほど蓄熱の影響が大きくなるからである。しかし、上記のように発熱体7の中央領域を選択してその抵抗値を周囲領域よりも低下させることによる抵抗値調整を行う場合、中央領域の発熱量が周部領域の発熱量より小さくなるため、温度分布が平準化される。このようにすることにより、とくに高速印字を行った場合における印字ドットのぼけの発生が回避され、印字品質が向上する。
【0042】
図11は、上記のようなエキシマレーザによる薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整を行うための装置20の一例の概略構成図である。精密駆動可能なXYZステージ21上には、上記したように発熱体7が形成された段階の薄膜型サーマルプリントヘッドの中間品がワークWとして設置される。このワークW上に、縮小投影レンズ22からのエキシマレーザ光が照射される。レーザ光は、ガス供給装置23に接続されたレーザ発振器24によって発振される。レーザ発振器24によって発振されるエキシマレーザの発振パルス周波数、照射パルス数等は、制御部によって制御可能である。レーザ発振器24によって発振されたレーザ光は、整形光学系25、可変アッテネータ26を介して進むとともに、反射ミラー27によって方向を変えられ、上記縮小投影レンズ22に導入される。そして、この例では、上記整形光学系25と反射ミラー27との間に、マスク28が介装されている。このマスク28は、上記発熱体7の表面にレーザを照射するべき選択された領域と対応した窓孔、すなわち、図6(b)(c)(d) の斜線部分と対応した形状の窓孔を有するものである。上記反射ミラー27の上方には、光源29からの照明光によって照明されたワークWを監視するための光学系30が配置されている。なお、図示は省略するが、ワークWとしての薄膜型サーマルプリントヘッド上の抵抗値調整をするべき発熱体7の抵抗値は、所定の測定プローブを個別電極および共通電極に接触させることにより、監視される。なお、上記マスク28は、ワークWと縮小投影レンズ22との間の適当な位置に配置することもできる。
【0043】
XYZステージ21を駆動してワークWとしての上記薄膜型サーマルプリントヘッド1を発熱体7の配列方向にステップ送りしつつ、各発熱体7にエキシマレーザを照射し、この発熱体の抵抗値を所望の値に調整する操作を順次行う。発熱体の抵抗値の調整の手法は、前述したようにレーザの照射パルス数を累増させる方法と、レーザの照射エネルギ密度を変化させる方法とがある。また、図10に示す構成では、ワークWをステップ送りして各発熱体7の抵抗値調整を行うが、ワークWを固定し、縮小投影レンズ22をステップ送りして各発熱体の抵抗値調整を行うようにすることもできる。
【0044】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。エキシマレーザのガスとしては、上記のようにKrFのほか、ArFあるいはXeClを選択することができることはもちろんである。また、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体の抵抗値の調整を行う場合において、この薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の形態も、図に示したような部分グレーズを有する形式のほか、全面グレーズ上に発熱体を配列する形式のもの、あるいは、個別電極パターンとして、いわゆる折り返しパターンを有するものがあり、これらについても、同様に適正な抵抗値調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明方法によって抵抗値調整を行う対象としての薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の構造を厚み方向に強調して示す拡大断面図である。
【図2】図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の拡大平面図である。
【図3】図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、絶縁基板上に部分グレーズ、抵抗体層および導体層を形成した段階を示す。
【図4】図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、上記抵抗体層および導体層にスリットをいれた段階を示す。
【図5】図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、上記導体層の一部をエッチングによって除去し、抵抗体層を一部露出させて発熱体を形成した段階を示す。
【図6】 (a) は発熱体の平面形態の詳細を示す模式的平面図である。(b)(c)(d) は発熱体の表面においてレーザ照射するべき領域の例を示す模式図である。
【図7】本願発明方法の作用を説明するためのグラフである。
【図8】本願発明方法の作用を説明するためのグラフである。
【図9】本願発明方法の作用を説明するためのグラフである。
【図10】本願発明方法の作用の説明図である。
【図11】本願発明方法を実施するための装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 薄膜型サーマルプリントヘッド
2 発熱部
3 絶縁基板
4 部分グレーズ
5 抵抗体層
6 導体層
6a 個別電極
6b 共通電極
7 発熱体
8 スリット
9 耐酸化層
10 保護層
20 レキシマレーザ照射装置
28 マスク

Claims (3)

  1. 絶縁基板上にCVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が配置された薄膜型サーマルプリントヘッドにおける上記各発熱体にエキシマレーザを照射して上記各発熱体の抵抗値を調整する方法であって、
    上記各発熱体の表面の長さ方向の中央部において、当該長さ方向に所定の間隔を隔て、かつ、幅方向に延びる複数の帯状領域に対してエキシマレーザを照射することを特徴とする、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法。
  2. 上記エキシマレーザの照射は、超低エネルギ密度による照射であって、そのエネルギ密度および/またはパルス照射回数を選択することにより、上記各発熱体の所望の抵抗値を得ることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法。
  3. 絶縁基板上にCVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が配置された薄膜型サーマルプリントヘッドであって、上記各発熱体は、表面の長さ方向の中央部において、当該長さ方向に所定の間隔を隔て、かつ、幅方向に延びる複数の帯状領域がエキシマレーザ照射によって抵抗値が低下させられることにより、その抵抗値が調整されていることを特徴とする、薄膜型サーマルプリントヘッド。
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