JP3761968B2 - 薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法、より具体的には、薄膜状に形成された発熱体の抵抗値を所望のように調整するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱方式または熱転写方式によって印字を行うためのサーマルプリントヘッドは、個別に発熱駆動可能な多数の発熱体が絶縁基板上に列状に配置されて構成されている。そして、発熱体の形成方法により、このサーマルプリントヘッドは、厚膜型と薄膜型とに分類することができる。厚膜型のサーマルプリントヘッドにおいては、発熱体は、厚膜印刷法によって形成される。一方、薄膜型のサーマルプリントヘッドにおいては、発熱体は、CVDまたはスパッタリングによって薄膜状に形成される。
【0003】
厚膜型のサーマルプリントヘッドは、比較的簡便に、かつ低いコストで製造することができる。その反面、各発熱体が厚膜状であるために印字ドットがぼけたり、また、印字密度を所定以上に上げることができないという欠点を有する。薄膜型サーマルプリントヘッドは、各発熱が500〜1500Åの薄膜状であるために、印字ドットにぼやけが少なく、また熱応答性に優れているために高速印字により適しており、厚膜型の場合よりも印字密度を上げることができる等の利点を有するが、CVDやスパッタリングによる成膜工程やフォトリソ工程を繰り返すために製造コストが高いという欠点がある。
【0004】
たとえば、A4サイズの記録紙に200dpiの印字密度で印字を行うべくサーマルプリントヘッドを構成する場合、1728個の発熱体が1列に配列される。そして、これらの発熱体の各々の抵抗値は、一定であることが印字品位を高める上で望ましいが、基板上に発熱体が形成された時点では、各発熱体の抵抗値のはどうしてもバラツキが生じる。発熱体のパターンサイズと厚みにバラツキが生じるからである。
【0005】
厚膜型のサーマルプリントヘッドの場合、上記のような各発熱体の抵抗値のバラツキを修正するために、パルストリミングと呼ばれる抵抗値調整が行われる。すなわち、測定プローブを基板の適部に接触させて各発熱体の抵抗値を監視しつつ、この発熱体の測定抵抗値が所定の範囲内に入るように、当該発熱体にパルス電流を流す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、薄膜型サーマルプリントヘッドにおいては、前述のように発熱体の膜厚が500〜1500Åといった極めて薄状であるため、上記のようなパルストリミングによる抵抗値調整は不可能である。
【0007】
ところで、近年、サーマルプリントヘッドによるカラー印字を行わせる試みが盛んであり、この場合、一定以上の印字品質を得るために、薄膜型のサーマルプリントヘッドが採用される場合が多い。サーマルプリントヘッドによるカラー印字においては、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、あるいはこれに加えてB(ブラック)の領域を有する昇華型のインクリボンを用いて重ね印刷が行われる。昇華型のインクリボンは、付与される熱に応じて、記録紙に転写されるインク量を変化させることができ、従って、各色の印刷を行うに際して発熱体に与える印字エネルギを多段階に変化させることにより、多階調のカラー印刷を行うことができる。このような多階調の印刷を行う場合、サーマルプリントヘッドの各発熱体の抵抗値のバラツキを所定の範囲内に抑制することがより強く求められる。周知のとおり、カラー印刷を行う場合、各色の配合割合が僅かに変化しただけでも、色調が大きく変わるからである。かりに、サーマルプリントヘッドを構成する複数の発熱体の抵抗値に大きなバラツキが存在すると、同一条件で各発熱体を駆動しても、発生する印字エネルギが発熱体ごとに異なってしまい、その結果として、カラー印刷の品位が著しく低下してしまう。
【0008】
通常の製造工程によって薄膜型のサーマルプリントヘッドを形成する場合、成膜工程に改良を加えても、各発熱体間の抵抗値のバラツキを±10%以内に抑制することは困難であるといわれている。このような発熱体間の抵抗値のバラツキは、上記のようなカラー印刷を高品位で行うためには大きすぎる。
【0009】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、製造コストを低減し、かつ各発熱体間の抵抗値のバラツキが所定範囲内である薄膜抵抗体を提供することをその課題としている。
【0010】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本願発明に係る薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法は、絶縁基板上に、CVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が配置された薄膜型サーマルプリントヘッドにおける上記各発熱体にエキシマレーザ光を照射して上記各発熱体の抵抗値を調整する方法であって、上記発熱体の幅方向の全体に延びる複数箇所の帯状領域のそれぞれについて、上記発熱体の幅方向の全体に延び、かつ発熱体表面積よりも小面積である帯状のエキシマレーザ光を、上記発熱体の幅方向の全体にわたって同時に照射することにより各発熱体の抵抗値を調整することを特徴としている。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記発熱体の長さ方向における位置が互いに異なる上記複数箇所の帯状領域に対する上記帯状のエキシマレーザ光の照射を繰り返すことにより、上記発熱体表面の全面に対して上記エキシマレーザ光の照射を行う。
【0013】
好ましい実施形態においてはさらに、上記発熱体表面の全面へのエキシマレーザ光の照射を行った後、上記発熱体の幅方向の全体に延びる帯状のエキシマレーザ光を1箇所または複数箇所に対して照射することにより各発熱体の抵抗値の調整を行う。
【0014】
エキシマレーザは、紫外線を発振できるレーザであり、エキシマレーザ光は、YAGレーザやCO2 レーザ等の他のレーザから発振されるレーザ光に比較して、高い光子エネルギをもつとともに、短いパルス幅と高いピーク出力をもつという特性をもっている。本願の発明者は、このような特性を持つエキシマレーザ光の照射面積および照射位置の選択およびその組み合わせを選択することにより、たとえばTaSiO2 からなる薄膜抵抗体の抵抗値を所望のように下げることができることを見い出した。
【0015】
本願発明に係る薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整方法によれば、上記発熱体表面の全面へのエキシマレーザ光の照射によれば、大きく発熱体の抵抗値を変化させることができ、また、上記発熱体の幅方向に延びる1ないし複数箇所の帯状領域への帯状またはライン状のレーザ光の照射によれば、上記発熱体に対するトータルの照射面積を選択することにより、大きく発熱体の抵抗値を変化させたり、小さく発熱体の抵抗値を変化させることができる。
【0016】
特に、上記発熱体表面に対する照射面積の割合を、たとえば発熱体の材料としてエキシマレーザ光の照射により抵抗値が下がるTaSiO2 等を用いた場合には、所望の抵抗値に近づくにつれて減少させることにより各発熱体の抵抗値の調整を行えば、所望の抵抗値に近づくまでは上記発熱体の抵抗値を大きく変化させることができ、所望の抵抗値に近づくに従って上記発熱体の抵抗値を段階的に小さく変化させることができる。最終的には極めて小さい面積にエキシマレーザ光の照射を行い、微調整を行うことにより精度よく発熱体の抵抗値の調整が行える。
【0017】
また、上記発熱体表面へ照射するエキシマレーザ光のエネルギ密度を、所望の抵抗値に近づくにつれて減少させることにより行うことにより、所望の抵抗値に近づくに従って上記発熱体の抵抗値を段階的に小さく変化させることができる。最終的には極めて小エネルギ密度でエキシマレーザ光の照射を行うことにより、精度よく発熱体の抵抗値の微調整が行える。さらに、上述したエキシマレーザ光を照射する面積の選択と、エネルギ密度の選択を組み合わせることにより容易に抵抗値の微調整が行える。
【0018】
【0019】
【0020】
好ましくは、上記発熱体を熱処理により安定化した後に、エキシマレーザ光の照射による各発熱体の抵抗値の調整を行う。いったん熱処理により安定化された発熱体は、保護膜形成時の高温においてその抵抗値が大きく変化してしまうことがない。
【0021】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1は、薄膜型サーマルプリントヘッド1の発熱部2の代表的な断面構造を厚み方向に強調して示している。図2は、上記発熱部2の平面的な配置を示している。アルミナセラミック等の絶縁基板3の上に、記録紙に対する圧力集中を高めるとともに発熱部2に蓄熱性を与えるための部分グレーズ4が形成されている。この部分グレーズ4は、ガラスペーストを用いた印刷・焼成によって形成され、焼成時におけるガラス成分の流動化に起因して、滑らかな弓形状を呈している。
【0024】
絶縁基板3ないし上記部分グレーズ4の表面には、薄膜状の抵抗体層5が形成される。この抵抗体層5は、たとえばTaSiO2 を用いたCVD法またはスパッタリングにより、500〜1500Åの薄膜状に形成される。この抵抗体層5の上層には、部分グレーズ4の頂部において所定範囲にわたって上記抵抗体層5を露出させるようにして導体層6a、6bが形成される。この導体層6a、6bは、たとえばAlを用いたスパッタリングにより、500〜2000Åの厚みに形成される。抵抗体層5のうち、上記部分グレーズ4の頂部付近において、導体層6a、6bに覆われずに露出する部分が、発熱体7として機能する。
【0025】
上記抵抗体層5および導体層6a、6bには、図2に示すようにスリット8が入れられており、各発熱体7が独立して駆動可能とされている。各発熱体7に対して図1および図2の左方に延出していて上記スリット8によって互いに独立に分断されている導体層6aは、それぞれ個別電極として機能し、図示しない駆動ICの出力パッドにそれぞれ電気的に導通させられる。各発熱体7に対して図1および図2の右方に延出する導体層6bは、相互に接続されていて、共通電極として機能する。
【0026】
図1において符号9は、たとえばSiO2 からなる耐酸化層を、符号10はたとえばTa2 O5 あるいはSi3 N4 からなる保護層をそれぞれ示しており、いずれもCVDあるいはスパッタリングによって形成される。なお、耐酸化層9の厚みは、たとえば3000〜6000Å、保護層10の厚みは、たとえば2〜4μmに設定される。
【0027】
上記の構成において、いずれかの個別電極6aがオン駆動されると、上記導体層6a、6bに覆われずに露出する抵抗体層5からなる発熱体7が、個別に発熱駆動される。
【0028】
上記のような発熱部2の構成を備える薄膜型サーマルプリントヘッド1は、たとえば次のような工程を経て製造される。
【0029】
まず、図3に示すように、絶縁基板3上に部分グレーズ4を形成した後、抵抗体層5、および導体層6を順次CVDあるいはスパッタリングによって薄膜形成する。抵抗体層5および導体層6の材質および好適な厚みは、前述したとおりである。
【0030】
次いで、図4に示すように、第1回のフォトリソ工程により、上記抵抗体層5および上記導体層6に対し、部分グレーズ4の幅方向に延びるスリット8を形成することにより回路パターンを形成する。
【0031】
次いで、図2に示すように、第2回のフォトリソ工程により、上記導体層6のみがエッジングされ、その下層の抵抗体層5が露出させられる。こうして露出させられた抵抗体層5が発熱体7として機能することは、前述したとおりである。
【0032】
好ましくは、上記のようにして回路パターンが形成された各層は、保護層10の形成時の高温に対して抵抗値の変化を起こさないように、熱処理を施すことにより安定化される。
【0033】
次いで、耐酸化層9および保護層10がCVDあるいはスパッタリングによって形成される。これら耐酸化層9および保護層10の材質および好適な厚みは前述したとおりである。また、図12に示すように、個別電極6aの延長上に保護層10を形成していない補助抵抗11を設け、保護層10を形成したのちの発熱体7の抵抗値の調整を行えるように設計してもよい。
【0034】
たとえば、200dpiの印字密度と達成する場合、上記発熱体7は、図6に示すように、その長手方向寸法Lが182μm、幅寸法Wが112μmの矩形ドット状であって、その厚みはたとえば540Åとされ、125μmピッチで部分グレーズ4の長手方向に配列される。この発熱体7の材質としては、前述したようにTaSiO2 が好適であり、そのシート抵抗は、358Ω/□である。本願発明においては、このような発熱体7の抵抗値の調整を、上記耐酸化層9および保護層10を形成する前の段階において、次のようにして行う。
【0035】
すなわち、共通電極6bと個別電極6a間にプローブ(図示せず)を接触させて、当該個別電極6aと対応する発熱体7の抵抗値を監視しつつ、図5に示すように、所定のマスクによって選択された発熱体7の目的部分にエネルギ照射することにより行われる。
【0036】
上述したTaSiO2 系の抵抗体によって形成された発熱体7に対し、波長が280nmのKrFエキシマレーザを用い、照射エネルギ密度60〜200mJ/cm2 、照射パルス周波数10〜200Hz、ショット数1〜500回の条件の下で発熱体表面の全面へのエネルギ照射を行った結果、発熱体7の抵抗値は最大で約40%低下した。
【0037】
このとき、発熱体7の表面積よりも小面積の幅方向照射、たとえば図9の斜線に表れているような発熱体7の幅方向に延びる全表面積の10分の1面積の帯状領域への照射を上記発熱体7の長手方向に照射位置を変えながら発熱体表面の全面へエネルギ照射を行った場合には、一度に発熱体表面の全面へのエネルギ照射を行った場合に比べて抵抗値の単位時間当たりの変化割合は小さかった。
【0038】
また、図9の斜線に表れているような発熱体7の幅方向に延びる全表面積の10分の1面積の帯状領域にエネルギ照射を行った場合には、発熱体7の抵抗値は最大で約4%低下した。
【0039】
本発明者は、上記結果をふまえて上述した操作条件と同様の条件の下で、エネルギ密度を段階的に増加させつつ、図8に示すように、発熱体7の幅方向に延びる全表面積の10分の1面積の帯状領域の3ヶ所のそれぞれに発熱体7の幅方向に延びる帯状のレーザ光のエネルギ照射を行うことにより発熱体7の抵抗値を大幅に低下させたのちに、同条件のもとで上記照射を行った領域以外の10分の1面積の帯状領域の1ヶ所に発熱体7の幅方向に延びる帯状のレーザ光のエネルギ照射を行うことにより発熱体7の抵抗値の微調整を行った。上記の操作条件での発熱体7の抵抗値変化および発熱体7の幅方向中央部の長手方向の断面における電圧印加時の温度分布の概略図を図11および図8、図10に示す。
【0040】
図11から明らかなように、図7に示した3ヶ所の領域へのエネルギ照射により、発熱体7の抵抗値は大幅に低下し、次いで、図9に示した1ヶ所の領域へのエネルギ照射により、発熱体7の抵抗値の低下率は低減した。なお、R0 は発熱体7の初期抵抗値であり、Rは所望の抵抗値である。また、実線が抵抗値であり、1点鎖線がエネルギ密度を表している。
【0041】
この結果より、通常の製造工程によって薄膜型のサーマルプリントヘッドを形成する場合、成膜工程に改良を加えても、各発熱体間の抵抗値のバラツキを±10%以内に抑制することは困難であるといわれていたが、上記の操作により各発熱体7の抵抗値を調整することにより、各発熱体間の抵抗値のバラツキを±10%以内どころか、もっと小さい範囲内、具体的には±1%以内に抵抗値のバラツキを抑制すること可能となる。即ち、各発熱体7間の抵抗値のバラツキの小さいプリントヘッドを提供することが可能となり、従来よりも高解像度のカラー印刷が実現する。
【0042】
また、図8および図10の破線で示されたエキシマレーザ光の照射を行う前の発熱体7の電圧印加時の温度分布は、発熱体7の中央部の温度が高く、長手方向の端部に近づくに従って温度が低くなっている。図8に実線で示すように、上記発熱体7に上記3ヶ所の領域にエネルギを段階的に増加させながらエネルギ照射を行うことにより、照射前に比較して発熱体7内の電圧印加時の温度分布が小さくなった。さらに、図10に実線で示すように、発熱体7内の電圧印加時の温度が高い領域へのエネルギ照射を行うことにより、発熱体7内の電圧印加時の温度分布がさらに小さくなった。
【0043】
即ち、エキシマレーザを用いて本実施形態のように発熱体7の抵抗値の調整を行うことにより、発熱体内の温度分布の小さい良好な発熱体7を提供でき、かつ各発熱体7間の抵抗値のバラツキの小さいプリントヘッドが提供できる。
【0044】
また、上記方法による発熱体7の抵抗値調整を行い、保護層10を形成させた後に抵抗値の調整を行う必要が生じた場合には、図12に示すように個別電極に設けられた保護層10を形成していない補助抵抗11に、エキシマレーザ光を照射することにより発熱体7の抵抗値の調整を行えばよい。
【0045】
なお、発熱体7上に保護層10を形成させた後の抵抗値は、発熱体7の抵抗値調整を行った後の抵抗値と比べて、最大で0.5%しか変化しなかった。また、発熱体7の抵抗値調整を行った前後での耐電力性は、ほとんど変化しなかった。
【0046】
なお、図8、図10および図11に示されたグラフは、あくまでも実験結果の傾向を模式的に表したものであり、必ずしも実験結果とは厳密に一致するものではない。
【0047】
また、本実施形態では、エキシマレーザ光の照射により抵抗値が低下するTaSiO2 系の抵抗体によって形成された発熱体に対する抵抗値の調整を行ったが、本願発明に係る発熱体の抵抗値調整方法は、上記TaSiO2 系の抵抗体に限らず、他の金属−絶縁物複合体や、エキシマレーザ光の照射により抵抗値が増加するポリシリコン材料の抵抗体に対しても同様の効果を奏するのはいうまでもない。
【0048】
その他、本実施形態のように発熱体7の幅方向に延びる全表面積の10分の1面積の帯状領域の3ヶ所へのエネルギ照射と上記照射を行った領域以外の10分の1面積の帯状領域の1ヶ所へのエネルギ照射との組み合わせによって発熱体7の抵抗値の調整を行う必要はなく、様々に設計変更可能である。たとえば、発熱体表面の全面にエキシマレーザ光の照射を行ったのちに、発熱体の幅方向に延びる発熱体表面積の10分の1面積の帯状領域の1ヶ所へのエキシマレーザ光の照射を行ってもよいし、その他の組み合わせでもよい。また、上記帯状領域の面積も発熱体表面積の10分の1に限らずその他の面積でもよいし、照射エネルギの密度も本実施形態のように必ずしも段階的に増加させる必要もない。
【0049】
図13は、上記のようなエキシマレーザ光による薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の調整を行うためのエキシマレーザ装置20の一例を表す概略構成図である。精密駆動可能なXYZステージ21上には、上記したように発熱体7が形成された段階の薄膜型サーマルプリントヘッドの中間品がワークWとして設置される。このワークW上に、縮小投影レンズ22からのエキシマレーザ光が照射される。レーザ光は、ガス供給装置23に接続されたレーザ発振器24によって発振される。レーザ発振器24によって発振されたエキシマレーザ光の発振パルス周波数、照射パルス等は、制御部によって制御可能である。レーザ発振器24によって発振されたレーザ光は、整光光学系25、可変アッテネータ26を介して進むとともに、反射ミラー27によって方向を変えられ、上記縮小投影レンズ22に導入される。そして、この例では、上記整光光学系25と反射ミラー27との間に、マスク28が介装されている。このマスク28は、上記発熱体7の表面にレーザ光を照射するべき選択された領域と対応した窓孔、すなわち、図7および図9の斜線部分と対応した窓孔を有するものである。上記反射ミラー27の上方には、光源29からの照射光によって照明されたワークWを監視するための光学系30が配置されている。なお、図示は省略するが、ワークWとしての薄膜型サーマルプリントヘッド上の抵抗値調整をするべき発熱体7の抵抗値は、所定のプローブを個別電極および共通電極に接触させることにより監視される。なお、上記マスク28は、ワークWと縮小投影レンズ22との間の適当な位置に配置することもできる。
【0050】
XYZステージ21を駆動してワークWとしての上記薄膜型サーマルプリントヘッド1を発熱体7の配列方向にステップ送りしつつ、各発熱体7にエキシマレーザ光を照射し、この発熱体7の抵抗値を所望の値に調整する操作を順次行う。発熱体7の抵抗値の調整の手法は、前述したようにレーザ光の照射面積および位置を変える方法がある。また、図13に示す構成では、ワークWをステップ送りして各発熱体7の抵抗値調整を行うが、ワークWを固定し、縮小投影レンズ22をステップ送りして各発熱体7の抵抗値調整を行うようにすることもできる。
【0051】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、エキシマレーザのガスとしては、上記のようにKrFのほか、ArFあるいはXeClを選択することができるのはもちろんである。また、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の形態も、図に示したような部分グレーズを有する形式のほか、全面グレーズ上に発熱体を配列する形式のもの、あるいは、個別電極パターンとして、いわゆる折り返しパターンを有するものがあり、これらについても、同様に適正な抵抗値調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の方法によって抵抗値調整を行う対象としての薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の構造を厚み方向に強調して示す拡大断面図である。
【図2】 図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の拡大平面図である。
【図3】 図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、絶縁基板上に部分グレーズ、抵抗体層および導体層を形成した段階を示す。
【図4】 図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、上記抵抗体層および導体層にスリットをいれた段階を示す。
【図5】 図1に示される薄膜型サーマルプリントヘッドの製造過程を示し、上記導体層の一部をエッジングによって除去し、抵抗体層を一部露出させて発熱体を形成した段階を示す。
【図6】 発熱体の平面形態の詳細を示す模式的平面図である。
【図7】 発熱体へのエキシマレーザ光の照射位置および面積を示すための図である。
【図8】 本願発明の作用を説明するためグラフである。
【図9】 発熱体へのエキシマレーザ光の照射位置および面積を示すための図である。
【図10】 本願発明の作用を説明するためグラフである。
【図11】 本願発明の作用を説明するためグラフである。
【図12】 補助抵抗が設けられた薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱部の拡大平面図である。
【図13】 本願発明における抵抗値調整を実施するための装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 薄膜型サーマルプリントヘッド
2 発熱部
3 絶縁基板
4 部分グレーズ
5 抵抗体層
6 導耐層
6a 個別電極
6b 共通電極
7 発熱体
8 スリット
9 耐酸化層
10 保護層
20 エキシマレーザ装置
Claims (6)
- 絶縁基板上に、CVDまたはスパッタリングによって形成された薄膜抵抗体からなる複数の発熱体が配置された薄膜型サーマルプリントヘッドにおける上記各発熱体にエキシマレーザ光を照射して上記各発熱体の抵抗値を調整する方法であって、
上記発熱体の幅方向の全体に延びる複数箇所の帯状領域のそれぞれについて、
上記発熱体の幅方向の全体に延び、かつ発熱体表面積よりも小面積である帯状のエキシマレーザ光を、上記発熱体の幅方向の全体にわたって同時に照射することにより各発熱体の抵抗値を調整することを特徴とする、薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。 - 上記発熱体の長さ方向における位置が互いに異なる上記複数箇所の帯状領域に対する上記帯状のエキシマレーザ光の照射を繰り返すことにより、上記発熱体表面の全面に対して上記エキシマレーザ光の照射を行う、請求項1に記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。
- 上記発熱体表面の全面へのエキシマレーザ光の照射を行った後、上記発熱体の幅方向の全体に延びる帯状のエキシマレーザ光を1箇所または複数箇所に対して照射することにより各発熱体の抵抗値の調整を行う、請求項2に記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。
- 上記発熱体表面に対する照射面積の割合を、所望の抵抗値に近づくにつれて減少させることにより各発熱体の抵抗値の調整を行う、請求項3に記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。
- 上記発熱体表面へのエキシマレーザ光の照射は、所望の抵抗値に近づくにつれてエネルギ密度を減少させることにより行われる、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。
- 上記発熱体を熱処理により安定化した後に、エキシマレーザ光の照射による各発熱体の抵抗値の調整を行う、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の薄膜型サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値調整方法。
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