JP3667993B2 - 紙葉類分離部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の各種OA機器の給紙装置における重送防止を目的とする紙葉類分離部材に関するものであり、より詳しくは、摩擦係数維持特性および耐摩耗性に優れ、「鳴き」の発生防止ならびにプリンター印刷時の汚染を防止した紙葉類分離部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
給紙装置においては、回転されるフィードローラに紙葉類分離部材が対向配置されており、この紙葉類分離部材はフィードローラに圧接されている。紙葉類分離部材としては、エチレン・プロピレンゴム製のものが一般に用いられている。また、給紙装置においては、紙葉類をフィードローラと紙葉類分離部材との間に供給する搬送部が設けられており、この搬送部によって、フィードローラと紙葉類分離部材との間に供給された紙葉類は、フィードローラの回転によって、さらに搬送されるようになっている。
【0003】
この搬送において、複数枚の紙葉類がフィードローラと紙葉類分離部材との間に供給された場合には、紙葉類分離部材側の紙葉類は、紙葉類分離部材との間に作用する摩擦力により、フィードローラ側の紙葉類と一緒に搬送される、つまり重送が阻止される。そして、紙葉類分離部材側の紙葉類が、フィードローラ側に至ったときにフィードローラの回転によって搬送されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙葉類分離部材は、経時にともない紙葉類との接触部分が摩耗することや紙葉類の紙粉によって摩擦係数が不安定になることがあり、これによって紙葉類の重送や給紙ミス(JAM)を起こしてしまうという問題がある。
【0005】
また、紙葉類分離部材と紙葉を摺動させる際に「鳴き」と称する異常音が発生する。この鳴きの発生を抑えるために、従来ではコルク入りゴム等が使用されることもあったが、その場合は耐摩耗性及び摩擦係数維持特性が不十分であるという問題がある。
【0006】
さらに、インクジェットプリンタのように、カラープリンタの小型化、低コスト化が進んだことに伴い利用分野が拡大し、多種多様の紙に対応しなければならないという現実的な要請がある。インクジェットプリンタにおいては、より鮮明な画像を得るために各社メーカーでは専用コート紙や専用OHP紙を用意するようになってきている。
【0007】
ところが、専用OHP紙の裏面は摩擦係数が非常に大きいため、従来の分離部材では適正な搬送ができなかったり紙送りがスムーズにできないという問題、さらには振動音と鳴きが発生するという問題が発生している。
一方、専用コート紙裏面での摩擦係数を下げると、普通のPPC用紙等で摩擦係数が低下し、重送が発生してしまうという問題があり、あらゆる紙に対して安定した摩擦係数を有する分離部材の出現が望まれている。
【0008】
さらにこれらの紙種は、フィードローラや紙葉類分離部材に汚染物質が含まれていると紙に移行してしまい、画像のにじみ等、画質の低下をもたらすために、汚染しない分離部材が望まれている。
【0009】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、優れた耐摩耗性および紙種を選ばない摩擦係数維持特性を持ち、紙葉の重送、さらにはJAMや鳴きの発生を防止できると共に、紙に対する汚染を防止することができる紙葉類分離部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために提案されたものであり、紙葉類を搬送するフィードローラに対向して配置されるシート状部材およびローラ状部材として、特定のカプロラクトン成分と特定範囲の平均分子量を有するポリカプロラクトンエステルと、ポリイソシアネートとを反応硬化させて得られたポリウレタンゴムを用いた点に重要な特徴がある。
【0011】
すなわち、本発明によれば、30重量%以上のカプロラクトン成分を含有し、1000ないし4000の平均分子量を有するポリカプロラクトンエステルと、ポリイソシアネートを反応硬化させて得られたポリウレタンゴム材質を重送防止部材とすることを特徴とする紙葉類分離部材が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、重送防止部材が独立気泡を有する発泡成形体である上記紙葉類分離部材が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、発泡成形体の密度が0.3g/cm 3 ないし0.9g/cm 3 で ある上記紙葉類分離部材が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、発泡成形体がメカニカルフロスを用いて成形されたものである上記紙葉類分離部材が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、重送防止部材の表面粗さが10点での平均粗さで20ないし100μmである上記紙葉類分離部材が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、重送防止部材の硬度がアスカーCにて50°ないし95°である上記紙葉類分離部材が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、重送防止部材の表面粗さが20μm以下であってソリット状である上記紙葉類分離部材が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、重送防止部材の硬度(JIS A)が50°ないし80°である上記紙葉類分離部材が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の重要な特徴は、紙葉類分離部材における重送防止部材として、30重量%以上のカプロラクトン成分を含有し、1000ないし4000の平均分子量を有するポリカプロラクトンエステルと、ポリイソシアネートを反応硬化させて得られたポリウレタンゴム材質を用いる点にある。
【0020】
ポリカプロラクトンエステルのカプロラクトン成分は30重量%以上の割合で含有されていることが重要である。カプロラクトンの含有割合が30重量%未満のものは、耐摩耗性に劣り重送防止部材として不適当である。
【0021】
また、ポリカプロラクトンエステルの平均分子量が1000未満のものは、硬度が上がり過ぎるとμが低下する傾向があり、平均分子量が4000を超えるものは、硬度が下がり過ぎるとμが上昇する傾向があり、重送防止部材としての適性に劣るものとなる。
【0022】
本発明の紙葉類分離部材は、ポリカプロラクトンエステル(ポリオール)とポリイソシアネートは、硬化剤と共に反応させることによって得ることができる。まず、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて液状のゴム組成物を調製し、これに硬化剤を配合して重送防止部材として成形されるものである。
【0023】
上記重送防止部材は、発泡成形体であってもよいし、発泡構造を持たないソリット状のものであってもよい。発泡成形体は独立気泡を有するものであることが望ましく、その発泡体密度は0.3g/cm 3 ないし0.9g/cm 3 好ましくは0.5g/cm 3 ないし0.8g/cm 3 であることが望ましい。
発泡体密度が0.3g/cm 3 未満のものは機械的強度に劣り、0.9g/cm 3 を超えるものは成形性に劣り、セルの安定性が低くなる。
【0024】
前記重送防止部材が発泡成形体である時は、ポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られる液状のゴム組成物にメカニカルフロスを用いて気泡を抱き込ませた後、硬化剤を添加し、加熱(例えば、120℃)した金型に注型し所望形状の発泡成形体とする。
重送防止部材の形状は、自体公知の方法によって板状あるいは円筒状など任意の形状にすることができ、さらに加工あるいは研磨等を用いて製品とする。
【0025】
重送防止部材が独立気泡を有する発泡成形体で構成されている時は、その表面粗さが10点での平均粗さで20ないし100μmであることが好ましい。上記表面粗さが20μm未満の時は、機械的強度に劣り、100μmを超える時はセルの安定性が低下する。
【0026】
また、本発明の重送防止部材は、硬度がアスカーCにて50°以上、好ましくは60ないし95°であることが望ましい。重送防止部材の硬度が50°未満のものは、摩擦力が大きくなり過ぎ、給紙ミスを引き起こす傾向がある。
【0027】
また、重送防止部材がソリット状の場合は、硬度(JIS A)が50°以上、とくに60ないし80°であることが、紙葉を分離するのに適切な摩擦力となる。
【0028】
本発明の紙葉類分離部材は、重送防止部材とフィードローラとの間に複数枚の紙葉が挿入された場合に重送防止部材側の紙葉が、重送防止部材と当接し、摩擦力を受ける。本発明においては、この重送防止部材が、上記特定のポリオールとポリイソシアネートとを反応硬化させて得られたポリウレタンゴム材質によって構成されているために、紙葉に充分な摩擦力が付与され、重送が確実に防止される。さらに、この重送防止部材は、紙葉の搬送の際に発生する「鳴き」を防止できると共に、長期にわたって使用しても、紙葉に対する摩擦係数の低下が抑制されるばかりでなく、あらゆる紙種に応じて搬送するに適した摩擦係数を維持することができ、紙種に関係なく好適な紙葉類分離特性を発揮する。
【0029】
また、本発明の紙葉類分離部材は、耐摩耗性に優れるばかりでなく、表面が滑らかな状態となっているので、フィードローラが摺動してもフィードローラの摩耗を抑えられるし、搬送する紙葉の繊維や紙粉が付着しにくく、フィードローラを汚染することはない。また、フィードローラが油展材質によって形成されている場合であっても、それによって、紙葉類分離部材が膨潤することはない。
【0030】
本願請求項2以降の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記効果をより一層優れたものにするための要件であり、これらの特性を併せ備えることにより、摩擦係数維持特性および耐摩耗性に優れ、「鳴き」の発生防止ならびにプリンター印刷時の汚染防止効果に著しく優れた紙葉類分離部材を提供することができる。
【0031】
本発明の重送防止部材は、装置の形状や目的に応じて任意の形状を採ることができるが、例えば、凹凸を施す方法としては、重送防止部材を成形するための金型内面(成形品の表面と接触する面)に、しぼ加工を施しておき、該金型を用いて成形する方法を採用できる。また、サンドブラスト等のブラスト加工を施したり、砥石で表面をこすったり、放電加工を施すことにより凹凸を形成することもできる。
【0032】
本発明の重送防止部材は、上記ウレタンゴム材質から本質的になるものであるが、発明の目的を損なわない範囲で、無機充填剤、カーボンブラックなどの各種の配合剤を添加することができる。
例えば、無機充填材としては、タルクや炭酸カルシウムが好ましく用いられ、これによって、耐熱性、耐熱膨張性、耐薬品性、耐摩耗性が向上する上、シリカを含有させたときのような物性の著しい低下がない。
また、無機充填材の配合量は、特に限定されるものではないが、タルクを配合する場合には、ゴム100重量部に対して10ないし30重量部、炭酸カルシウムを配合する場合には、80ないし100重量部程度の配合が上記効果をより発揮させる点において好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のポリウレタンゴム材質を紙葉類分離部材の重送防止部材として用いたことにより、鳴きの発生を防止し、耐熱性、耐熱膨張性、耐薬品性に優れ、かつ給紙特性に優れた紙葉類分離部材を提供することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
<実施例1>
成形材料として、カプロラクトン63.4重量%を含有し、平均分子量2000のポリカプロラクトンエステル100重量部と、ポリイソシアネート46重量部をブレンドし、100℃で12分間反応させ、液状のポリウレタン材質を得た。
次いで、この液状のポリウレタン材質にプレポリマーRU−2600が100であるメカニカルフロスを用いて気泡を抱き込ませた後、硬化剤として、1.4BD/TMPが85/15を3.5重量部、BHEBを8.25重量部、水を0.05重量部混合したものを11.8重量部を添加して、120℃に加熱した金型に注入し100分後に、アスカーC硬度が85°のカプロラクトンウレタンの発泡成形体(重送防止部材)を取り出した。
得られた重送防止部材を、EPDM製のフィードローラに2.9Nの荷重で圧接させ重送防止部材とフィードローラとの間に紙葉を供給し、紙葉5万枚通紙後の「鳴き」の発生状況を確認すると共に、耐汚染性、摩擦係数維持特性、耐摩耗性、ブルームの有無を目視によって評価した。
結果を表1に示した。
【0035】
<実施例2>
重送防止部材としてアスカーC硬度70のカプロラクトンロラクトンウレタンを用いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0036】
<実施例3>
重送防止部材としてアスカーC硬度50のカプロラクトンロラクトンウレタンを用いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0037】
<比較例1>
重送防止部材としてアスカーC硬度60のエーテル系ウレタンを用いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0038】
<比較例2>
重送防止部材としてアスカーC硬度80のEPDMを用いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
<実施例4ないし7、比較例3ないし6> 重送防止部材を構成するゴムの種類、カプロラクトン含量、平均分子量を、それぞれ表2に示したとおりに変えて実施例1と同様に行った。
結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
Claims (8)
- 30重量%以上のカプロラクトン成分を含有し、1000ないし4000の平均分子量を有するポリカプロラクトンエステルと、ポリイソシアネートを反応硬化させて得られたポリウレタンゴム材質を重送防止部材とすることを特徴とする紙葉類分離部材。
- 前記重送防止部材が独立気泡を有する発泡成形体である請求項1記載の紙葉類分離部材。
- 前記発泡成形体の密度が0.3g/cm 3 ないし0.9g/cm 3 である請求項2記載の紙葉類分離部材。
- 前記発泡成形体がメカニカルフロスを用いて成形されたものである請求項2または3記載の紙葉類分離部材。
- 前記重送防止部材の表面粗さが10点での平均粗さで20ないし100μmである請求項1ないし4のいずれか1記載の紙葉類分離部材。
- 前記重送防止部材の硬度がアスカーCにて50°ないし95°である請求項1ないし5のいずれか1項記載の紙葉類分離部材。
- 前記重送防止部材の表面粗さが20μm以下であってソリット状である請求項1記載の紙葉類分離部材。
- 前記重送防止部材の硬度(JIS A)が50°ないし80°である請求項1または7記載の紙葉類分離部材。
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