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JP3672708B2 - 磁気テープカセット - Google Patents
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JP3672708B2 - 磁気テープカセット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カセットケース内に、一対のフランジレスタイプのハブに巻回された磁気テープと該テープをそのエッジ面と摺接するように両側から挟むようにして配置したフリクションシートとを収容してなる磁気テープカセットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からオーディオ用カセットテープ、デジタルオーディオ用(DAT)カセット、又はDDSと呼ばれるコンピュータデータ記録用磁気テープカセットは、一般に一対のフランジレスタイプのハブに巻回された磁気テープと、該ハブのスムーズな回転を保障しながら、テープをそのエッジの両側から挟むようにして配置した二枚のフリクションシートとをカセットケース内に収納した構造をしている。フリクションシートは、テープの走行安定性の維持、走行時のテープへの適度なテンションの付与、あるいは停止時の撓みの発生の防止などの機能の他に、テープの走行時にフリクションシートをテープエッジに摺接させることによってテープの巻き乱れを抑え、テープの巻き面の状態を均一に揃えるなどの機能を有している。
【0003】
従来、このような構造を有する磁気テープカセットは良く知られており、例えば、実開昭58−52683号公報、あるいは第2508451号特許公報に記載されている。
以下に、従来の磁気テープカセットについて説明する。
図1は、従来よりDATまたはDDSカセットとして知られている磁気テープカセットの主要部の分解斜視図を示すものである。
図1に示されるように、磁気テープカセット1は、左右一対のフランジレスタイプのハブ11a、11bに巻回された磁気テープ12と該磁気テープのエッジ面を両側から挟んだ状態で設けられる上下(表面側及び裏側)のフリクションシート13、14、そしてこれらを収容するための、上カセットハーフ(上ハーフ)15及び下カセットハーフ(下ハーフ)16を組み合わせてなるカセットケースからなっている。上下のフリクションシートには、ハブを回転自在に保持するように一対の通孔13a、13b、14a、14bがそれぞれ設けられている。通常、この型の磁気テープカセットは片面使用である。このため、上(表面側)ハーフ15には、その中央部に透明窓17が形成されており、透明な上フリクションシート13を通して巻かれた状態の磁気テープ12を観察できるようになっている。また下(裏面側)ハーフ16の底面には周縁部に段部を有するハブ挿入孔16a、16bが一対形成されており、ハブの軸方向の下側端部が、このハブ挿入孔の周縁の段部に接触するような構造になっている。
なお、磁気テープカセットには、上記の説明以外に、通常の磁気テープに必要とされる種々の部品が備えられているが、これらは、本発明においては、直接関係がないためその説明は省略する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種の磁気テープカセットに備えられているフリクションシートの材質としては、上フリクションシートとしてポリエチレンテレフタレート(PET)、下フリクションシートとして超高密度ポリエチレン(PE)が使用されている。
一方、最近のコンピュータデータ記録用の磁気テープは、記録の高密度化と共に記録容量の向上が求められている。それに伴って、磁気テープは益々薄型化する傾向にある。磁気テープが薄型化すると、磁気テープの強度が不足しがちとなるため、磁気テープの支持体材料としては、比較的高い剛性を持つ材料(例えば、ポリエチレンナフタレートや芳香族ポリアミド)の使用が有利になる。しかしながら、本発明者の検討によると、このような高い剛性を持つ支持体材料で構成された磁気テープを従来のカセットに収容して記録再生装置内で記録、再生、あるいは早送り、巻き戻し等の操作を繰り返し行なっていると、テープのエッジ(磁性層、支持体及びバックコート層の側面)と摺接するフリクションシートの表面が削られ、その結果、テープの走行性が悪化したり、削られた屑(粉末)がテープの磁性層表面に付着してドロップアウトを発生させたり、あるいはまたこの削り屑が磁気ヘッドに付着して目詰りを起させ、出力低下の原因になり易いことが判明した。
【0005】
特公昭49−46249号公報には、リン状黒鉛、カーボンブラック、二硫化モリブデンなどからなる滑剤粉末を含有させた、あるいはその表面に擦り込んだPEなどからなるフリクションシートが提案されている。また特開昭57−887号公報には、硬質微粒子(例えば、Al23 、SiC、TiO2 など)をバインダで結着して構成される表面硬化層を有するフリクションシートが提案されている。本発明者は、これらのフリクションシートを備えたカセットにコンピュータデータ記録用の磁気テープを組み込み、その走行性能について検討を行なった。その検討によると、リン状黒鉛などの滑剤粉末を含有したフリクションシートを用いた場合には、充分な硬さが得られないためか、フリクションシートの削れを抑えることはできず、従ってドロップアウトが増加したり、出力低下も生じるなど、なお充分な走行性能が得られないことがわかった。一方、硬質微粒子を含有した表面硬化層を有するフリクションシートを用いた場合には、今度は、磁気テープのエッジが損傷し易くなり、同様に、充分な走行性能を得られにくいことがわかった。
【0006】
本発明の目的は、テープエッジの損傷や、フリクションシートの削れを防止して、削り屑によるドロップアウトや磁気ヘッドの目詰まりの発生を抑え、高い走行性能と信頼性を備えた、特にコンピュータデータ記録用として有利に用いることができる磁気テープカセットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、フリクションシートの表面の硬さや滑り性に着目し、特にコンピュータデータ記録用として有利な磁気テープカセットを求めて研究を重ねた。その結果、本発明者は、フリクションシートとして、硬さの異なる二種類の固体粉末を組み合わせて含有する表面層を有するフリクションシートを用いることにより、該シートの表面に適度な硬さ(耐摩耗性)と共に滑り性が付与され、例えば、剛性の高い支持体材料で構成した磁気テープを使用した場合であっても該テープエッジによってシートが削られにくく、かつテープエッジも損傷することが殆どなく、安定した走行性能が維持され、かつ高い信頼性を有する磁気テープカセットが得られることを見出した。
【0008】
本発明は、片面に透明窓が設けられているカセットケース内に、一対のフランジレスタイプのハブに巻回された磁気テープ、そして該ケースの透明窓側壁面とテープの側面との間に配置された透明な樹脂製のフリクションシートと該ケースの反対側の壁面とテープの側面との間に配置された樹脂製のフリクションシートを収容してなる磁気テープカセットにおいて、該磁気テープが、長さ方向のヤング率と幅方向のヤング率の合計が1400〜3600kg/mm 2 の範囲にある支持体を用いており、そして該フリクションシートのいずれもが、それらのテープ側となる表面に、芳香族ポリアミドおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれるバインダ樹脂、そしてモース硬度が1〜4の固体粉末Iとモース硬度が5〜10の固体粉末IIとを、バインダ樹脂100重量部に対して前者が0.5〜50重量部、そして後者が0.05〜5重量部となる重量比にて含有する表面層を有していることを特徴とする磁気テープカセットにある。
【0009】
本発明の磁気テープカセットは、以下の態様であることが好ましい。
(1)固体粉末Iが、グラファイト、カーボンブラック、MoS2 、PbO、CaF2 及びWS2 からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料からなる粉末である。
(2)固体粉末IIが、α−Al23 、TiC、α−Fe23 、ダイヤモンド、SiC、MgO、TiO2 、SiO2 、MoCおよびCr23 からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料からなる粉末である。
(3)固体粉末Iと固体粉末IIとの混合重量比が、固体粉末I:固体粉末II=100:1〜10:1(更に好ましくは、100:1〜20:1)である。
(4)固体粉末Iと固体粉末IIとの硬度差が3以上(更に好ましくは、5以上、特に6以上)である。
(5)フリクションシートが、芳香族ポリアミドまたはポリエチレンナフタレートを支持体とする。
(6)フリクションシートの表面層が、樹脂100重量部に対してモース硬度が1〜4の固体粉末Iを0.5〜50重量部(更に好ましくは、1〜25重量部)含む。
(7)フリクションシートの表面層が、樹脂100重量部に対してモース硬度が5〜10の固体粉末IIを0.05〜5重量部(更に好ましくは、0.1〜2.5重量部)含む。
【0010】
(8)磁気テープの支持体が、長さ方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)の合計が1500〜3300kg/mm2 である
(9)磁気テープの支持体が、芳香族ポリアミド(特に、アラミド)もしくはポリエチレンナフタレートからなる
(10)磁気テープの全体の厚みが3.0〜7.0μmの範囲にある。
(11)磁気テープがコンピュータデータ記録用である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の磁気テープカセットについて説明する。
本発明の磁気テープカセットは、硬さの異なる二種類の固体粉末を含有する表面層を有するフリクションシートを備えていることを特徴とするものである。硬さの異なる二種類の固体粉末のうち、その一方の固体粉末Iが、主に固体潤滑剤としての機能を有し、他方の固体粉末IIが、主に研磨剤としての機能を有する。このため、これらの固体粉末を含有するフリクションシートの表面層には、適度な硬さ(耐摩耗性)と共に良好な滑り性が付与される。従ってフリクションシートが磁気テープのエッジで繰り返し擦られた場合でもフリクションシートは削られることは殆どなく、かつテープのエッジの損傷も生じることが殆どなく、安定した走行性を得ることができる。
【0012】
本発明に係るフリクションシートに用いることができる、モース硬度が1〜4の固体粉末Iとしては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、MoS2 、CaF2 及びWS2 の材料からなる粉末を挙げることができる。これらの中では、特に、グラファイト、およびMoS2 であることが好ましい。
固体粒子Iの平均粒子サイズは、特に制限はないが、表面層に充分な滑り性が付与され、かつ表面層から粒子が脱落しにくい大きさであることが好ましい。固体粒子Iの平均粒子サイズは、好ましくは、10〜1000nmの範囲(更に好ましくは、20〜600nmの範囲)である。
【0013】
モース硬度が5〜10の固体粉末IIとしては、例えば、α−Al23 、TiC、α−Fe23 、ダイヤモンド、SiC、MgO、TiO2 、SiO2 、MoC及びCr23 の材料からなる粉末を挙げることができる。これらの中では、α−Al23 、およびCr23 であることが好ましい。
固体粒子IIの平均粒子サイズは、表面層に適度な研磨性が付与され、かつ表面層から粒子が脱落しにくい大きさであることが好ましい。固体粒子IIの平均粒子サイズは、好ましくは、10〜1500nmの範囲(更に好ましくは、20〜1000nmの範囲)である。
【0014】
フリクションシートの表面層に、適度な硬さと良好な滑り性との両方の性質を満足した状態で付与するために、上記の固体粒子Iと固体粉末IIとの混合重量比は、固体粉末I:固体粉末II=100:1〜10:1の割合であることが好ましく、更に好ましくは、固体粉末I:固体粉末II=100:1〜20:1の割合である。
【0015】
本発明に係るフリクションシートの支持体(結合剤)として用いられる樹脂は、芳香族ポリアミドおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる
【0016】
本発明に係る、前述した固体粉末Iと固体粉末IIとを含む表面層を有するフリクションシートは、前述した、樹脂材料を溶融状態にして、好ましい量の固体粉末I及び固体粉末IIを練り込み、これをシート状に成型することにより、得ることができる。あるいは上記と同様にして製造したシートを、別の樹脂製シート(基材)上に貼設する、などの方法で表面層を設けることにより、本発明に係るフリクションシートを製造することができる。あるいはまた、樹脂材料、好ましい量の固体粉末I及び固体粉末IIを溶融混練して調製した樹脂液を、基材上に塗布するなどの方法で表面層を設けることにより、本発明に係るフリクションシートを製造することができる。表面層を後から付設する場合には、基材である樹脂製シートと、この上に設ける表面層の樹脂は、共に同一の樹脂を用いても良いし、あるいは異なるものを用いても良い。
【0017】
本発明に係るフリクションシートの表面層は、樹脂100重量部に対して固体粉末Iが0.5〜50重量部(更に好ましくは、1〜25重量部)含まれていることが好ましい。
また、本発明に係るフリクションシートの表面層は、樹脂100重量部に対して固体粉末IIが0.05〜5重量部(更に好ましくは、0.1〜2.5重量部)含まれていることが好ましい。
【0018】
表面層を後で付設する場合、その厚みは、3μm〜150μm(5μm〜100μm)の範囲にあることが好ましい。
本発明に係るフリクションシートは、その用途により異なるが、通常0.03mm〜0.25mmの厚みのものが用いられる。特に、コンピュータデータ記録用においては、0.05mm〜0.2mmの範囲の厚みのものが用いられる。
【0019】
磁気テープカセットで使用されるフリクションシートは、通常は、その表面側と裏側のそれぞれに一枚づつ配置されるが、二枚以上にすることもできる。この場合には、少なくとも磁気テープの側面に接するフリクションシートが本発明で規定する表面層を有するものであることが必要である。またフリクションシートは、表面側と裏側とで共に同じ樹脂材料で構成しても良いし、あるいは異なった樹脂材料で構成して良い。
また、本発明に係るフリクションシートには、従来から通常行われている種々の加工が施されていても良い。このような加工の具体例としては、帯電防止加工、表面エンボス加工、適度のカールを有する加工、そして適当な高さのシボリ加工などを挙げることができる。中でもシボリ加工を施すことにより、極めて薄いフリクションシートに実質的な厚みを増大させることができ、またハブ及び磁気テープのカセットの厚さ方向に対しては保持機能を高めることができる。
【0020】
本発明の磁気テープカセットは、特定の機能が付与された表面層を持つフリクションシートを用いたことを特徴とするものであり、その他の構成要素については任意で有る。従って、例えば、本発明に係るフリクションシート以外の構成要素については、添付した図1に示す従来から公知の形態の磁気テープカセットと同様に構成することができる。また磁気テープにおいても従来から知られている構成の磁気テープを組み込むことができる。近年、コンピュータデータ記録用として大きな記録容量でかつ高密度記録に適した磁気テープを収容する、小型化された磁気テープカセットが望まれており、本発明の磁気テープカセットにおいてもこれに対応した磁気テープを組み込むことが好ましい。具体的には、磁気テープの全体の厚みが3.0〜7μmの範囲となるような非常に薄型化された磁気テープを組み込むことが好ましい。このように薄型化することで、体積当りの記録容量の大きな磁気テープを得ることができる。
【0021】
以下に、本発明の磁気テープカセットに収容することができる、磁気テープについて簡単に説明する。
本発明に用いる磁気テープは、可撓性支持体の一方の側の面に磁性層を有し、そして該支持体の他方の側の面にバックコート層を有する基本構成(単層構成の磁気テープ)を有する。また、可撓性支持体と磁性層との間に更に非磁性層を設けた構成の磁気テープ(二層構成の磁気テープ)も使用することができる。このタイプの磁気テープは、高密度記録に有利である。
以下に、これらの構成要件について順に説明する。
【0022】
[可撓性支持体]
本発明で使用する磁気テープは、全体の厚みが上記のように非常に薄型化されているため、その支持体は、比較的高い剛性を示す材料から形成されていることが好ましい。具体的には、支持体は、長さ方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)の合計が1400〜3600kg/mm2 (更に好ましくは、1500〜3300kg/mm2 )の範囲にあることが好ましい。上記のような物性を有する支持体材料としては、例えば、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド、及びポリベンゾオキサゾールを挙げることができる。本発明に用いる磁気テープの支持体は、芳香族ポリアミドから製造されていることが好ましく、特に全芳香族ポリアミド(アラミド)であることが好ましい。
【0023】
芳香族ポリアミドは、例えば、下記式(I)又は(II)で表される繰り返し単位を含むものを挙げることができる。
−(NH−Ar1 −NHCO−Ar2 −CO)− (I)
−(NH−Ar3 −CO)− (II)
上記Ar1 、Ar2 及びAr3 は各々独立に、芳香環(芳香環は縮合していても良い)あるいは少なくとも一つの芳香環を含む基を表わす。
上記Ar1 、Ar2 及びAr3 の例としては、以下のものを挙げることができる。
【0024】
【化1】
Figure 0003672708
【0025】
ここで、X、Yは、それぞれ−O−、−CH2 −、−CO−、−SO2 −、
−S−、及び−C(CH32 −から選ばれる基を表わす。
芳香族ポリアミドはアラミド(全芳香族ポリアミド)であることが好ましい。アラミドの代表的な商品例としては、ミクトロン(東レ(株)製)、アラミカ(旭化成工業(株)製)を挙げることができる。
芳香族ポリアミド製の支持体を用いる場合、その厚みは、1.0〜6.0μmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、2.5〜5.0μmである。
【0026】
[磁性層]
磁性層は、強磁性粉末及び結合剤を含む層である。また、磁性層には、通常、潤滑剤、導電性粉末(例、カーボンブラック)及び研磨剤が含まれている。
強磁性粉末としては、例えば、磁性酸化鉄FeOx (x=1.33〜1.5)、Co変性FeOx (x=1.33〜1.5)、Fe、Ni又はCoを主成分(75%以上)とする強磁性合金粉末(強磁性金属粉末)、及び板状六方晶フェライト粉末などの公知の強磁性粉末を使用することができる。特に、強磁性合金粉末の使用が好ましい。
強磁性合金粉末には少なくともFeが含まれている。具体的には、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Zn−Ni又はFe−Ni−Coを主体とした金属合金である。なお、Fe単独でも良い。またこれらの強磁性合金粉末の磁気特性については、高い記録密度を達成するために、その飽和磁化量(飽和磁束密度)(σs )は110emu/g以上、好ましくは120emu/g以上、170emu/g以下である。又保磁力(Hc)は、1900〜2600エルステッド(Oe)(好ましくは、2000〜2500Oe)の範囲である。
更に特性を改良するために、組成中にB、C、Al、Si、P等の非金属、もしくはその塩、酸化物が添加されることもある。通常、前記金属粉末の粒子表面は、化学的に安定させるために酸化物の層が形成されている。
単層構成の磁気テープの磁性層の厚みは、1.0〜3.0μm(更に好ましくは、1.2〜2.5μm)の範囲にあることが好ましい。
なお、非磁性層を有する、二層構成の磁気テープの磁性層の厚みは、0.1〜1.0μm(更に好ましくは、0.2〜0.8μm)の範囲にあることが好ましい。
【0027】
[バックコート層]
バックコート層にはカーボンブラックが含まれていることが好ましい。カーボンブラックは、その平均粒子サイズが10〜30mμの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズが100〜300mμの粗粒子状カーボンブラックを併用することが好ましい。平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する場合、両者の含有(重量)比は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましい。また、バックコート層におけるカーボンブラック(二種類のものを使用する場合はその全量)の含有量は、結合剤100重量部に対して、通常30〜80重量部の範囲であり、好ましくは、45〜65重量部の範囲である。
【0028】
本発明に用いる磁気テープは、繰り返し走行性が強く要求される。このため、バックコート層には、モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度が5〜9の硬質無機粉末とが添加されていることが好ましい。軟質無機粉末は、その平均粒子サイズが10〜50mμの範囲にあることが好ましい。軟質無機粉末としては、特に、炭酸カルシウムが好ましい。一方、モース硬度5〜9の硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが80〜500mμの範囲にあることが好ましい。硬質無機粉末としては、特に、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。
バックコート層内の軟質無機粉末、及び硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100重量部に対して、各々10〜140重量部、及び3〜30重量部の範囲にあることが好ましい。バックコート層の厚みは、通常0.1〜1.5μm(好ましくは、0.2〜1.2μm)の範囲にある。
【0029】
[非磁性層]
非磁性層は、非磁性粉末および結合剤からなる層である。非磁性層で用いられる非磁性粉末としては、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げることができる。非磁性無機粉末は、モース硬度が3以上(好ましくは、5以上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末としては、例えば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、及び金属硫化物を挙げることができる。非磁性無機粉末としては、二酸化チタン(酸化チタン)、α−アルミナ、α−酸化鉄又は酸化クロムが好ましい。これらの非磁性無機粉末の形状、サイズは任意である。
【0030】
カーボンブラックは、磁性層に導電性を付与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に形成される磁性層の平滑な表面性を確保する目的で添加される。カーボンブラックの平均粒子径は、35mμ以下(更に好ましくは、10〜35mμ)であることが好ましい。またその比表面積は、5〜500m2 /g(更に好ましくは、50〜300m2 /g)であることが好ましい。カーボンブラックの通常の添加量は、非磁性無機粉末100重量部に対して、3〜50重量部であり、好ましくは、4〜40重量部である。
非磁性層の厚みは、0.3〜3.0μm(更に好ましくは、0.5〜2.5μm)の範囲にあることが好ましい。
【0031】
[結合剤]
磁気テープの磁性層、非磁性層及びバックコート層の結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニトロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、ポリウレタン樹脂との組合せ、またはこれらに更に硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わて構成されていることが好ましい。
結合剤は磁性層の強磁性粉末、あるいは非磁性層の非磁性粉末100重量部に対して、通常5〜50重量部(好ましくは10〜30重量部)の範囲で用いられる。また、バックコート層においては、上記結合剤はバックコート層のカーボンブラック100重量部に対して、通常5〜250重量部(好ましくは10〜200重量部)の範囲で用いられる。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を記載する。なお、以下の「部」は重量部を表す。
【0033】
[実施例1]
固体粒子Iとして、グラファイト粉(モース硬度1.5、平均粒子サイズ: 50nm)100重量部、及び固体粒子IIとして、α−Al23 (モース硬度9、平均粒子サイズ:200nm)5重量部とをポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)500重量部に混練し、溶融押し出しにより、上側と下側のフリクションシート(厚み:50μm)を作製した。
磁気テープとして、芳香族ポリアミド(アラミド、MD+TDの合計:2600kg/mm2 )(商品名:ミクトロン、東レ(株)製)製の支持体の一方の面に、磁性層が、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ形成され、その幅が3.8mmでその全厚が6.8μmのものを用意した。そして磁気テープ125mをフランジレスタイプのハブに巻回し、上下のフリクションシートと共に、上下のカセットハーフを組み合わせて形成したカセットケース内に組み込んで図1に示される構造のコンピュータデータ記録用の本発明に従う磁気テープカセットを作成した。
【0034】
[実施例2〜12]
実施例1において、フリクションシートに混合した固体粒子I及び固体粒子IIを表1に示されるように、その種類を変更した以外は同様にして、コンピュータデータ記録用の本発明に従う磁気テープカセットを作成した。
【0035】
[比較例1]
実施例1において、上側のフリクションシートとしてポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明なシートを用い、下側のフリクションシートとして、超高密度ポリエチレン(PE)製の不透明なシート(特開平5−67385号公報の実施例4に記載のもの)を用いたこと以外は同様にして、コンピュータデータ記録用の比較用の磁気テープカセットを作成した。
【0036】
[比較例2〜5]
実施例1において、フリクションシートに混合した固体粒子I又は固体粒子IIを表1に示されるように、その種類を変更した以外は同様にして、コンピュータデータ記録用の比較用の磁気テープカセットを作成した。
以上のようにして作製したフリクションシートの特徴を下記の表1に記載する。
【0037】
【表1】
Figure 0003672708
【0038】
[磁気テープカセットとしての評価]
各磁気テープカセットの性能を以下の方法を利用して評価した。
(1)フリクションシート及びテープのエッジから発生した粉末(削り屑)の状態の観察
磁気テープカセットをDDS−2ドライブに装着し、FF/REW走行を一回早送りした。その後、磁気テープカセットの上下のフリクションシートの表面及びテープエッジ(磁性層、支持体、及びバックコート層の側面)の状態を観察した。そして該シート、あるいは磁気テープの磁性層に付着した粉(削り屑)を50倍の光学顕微鏡にて観察し、評価した。評価は、以下の基準で行った。
フリクションシートについて
A:フリクションシートの削れがなく、粉は発生しなかった。
B:フリクションシートが削られ、粉が僅かに発生した。
C:フリクションシートが削られ、非常に多量の粉が発生した。
磁気テープのエッジについて
A:エッジの損傷が殆どなく、粉は発生しなかった。
B:エッジの損傷が僅か有り、粉が僅かに発生した。
C:エッジの損傷が大きく、非常に多量の粉が発生した。
【0039】
(2)ドロップアウト(D.O.)
DDS−2ドライブにて周波数45MHzの信号を最適電流値で書き込み、その再生信号をドロップアウトカウタ(シバソク(株)製)で計数した。計測は、5分間行い、0.3μ秒−10dB及び15μ秒−16dBでのD.O.の1分間当りの平均個数を求めた。
【0040】
(3)磁気ヘッドの目詰まり
DDS−2ドライブを用いて1分長×2000Pを繰り返し走行した。走行中に磁気ヘッドの目詰まりによって6dBの出力低下が発生した時点のパス回数を測定し、評価した。
以上の評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003672708
【0042】
上記表2の結果から、硬度の異なる二種類の固体粉末を特定の割合で含む表面層を有する本発明に係るフリクションシートを用いて構成した磁気テープカセット(実施例1〜12)を用いることにより、フリクションシートの削れや磁気テープのエッジの損傷が殆どなく、従って削り屑(粉末)によるドロップアウトの上昇や磁気ヘッドの目詰りも生じることなく、充分高い走行性を実現できることがわかる。
【0043】
一方、固体粉末を含有しないポリエチレンやポリエチレンテレフタレートからなるフリクションシートを用いて構成した磁気テープカセット(比較例1)の場合には、フリクションシートが削られたり、また磁気テープのエッジの損傷も大きく、これらによる削り屑が非常に多く発生したため、ドロップアウトが多発し、また磁気ヘッドの目詰りも生じ易くなって、その結果、出力の低下が走行途中で生じた。また二種類の固体粉末のうち、比較的軟質な固体粉末Iのみを含有したフリクションシートを用いて構成した磁気テープカセット(比較例2及び3)の場合には、フリクションシートが削られ易くなって非常に多くの粉が発生し、ドロップアウトが生じ易くなり、その結果、充分な走行性能を得ることはできない。更に二種類の固体粉末のうち、比較的硬質な固体粉末IIのみを含有したフリクションシートを用いて構成した磁気テープカセット(比較例4及び5)の場合には、磁気テープのエッジの損傷が大きくなり、そのためエッジの粉によってドロップアウトが生じ易くなり、上記と同様に、充分な走行性能を得ることはできない。
【0044】
【発明の効果】
本発明の磁気テープカセットには、二種類の固体粉末を含有する表面層を有するフリクションシートが備えられているから、磁気テープを繰り返し高速走行させた場合でもフリクションシートは、テープのエッジによって削られることは殆どなく、一方テープのエッジの損傷も殆ど生じない。従ってこれらによるシートやテープのエッジの削り屑の発生を防止できるため、良好な走行性能を得ることができる。特に、大きな記録容量を得るために、芳香族ポリアミドなどの比較的剛性の高い材料を用いて構成した薄型化された磁気テープを組み込んだ場合でもフリクションシートの削れやテープのエッジの損傷は殆どなく、従って高い走行性能を得ることができる。本発明の磁気テープカセットは、特にコンピュータデータ記録用として有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の一般的な磁気テープカセットの主要部の分解斜視図を示すものである。
【符号の説明】
1 磁気テープカセット
11a、11b ハブ
12 磁気テープ
13 上のフリクションシート
14 下のフリクションシート
15 上カセットハーフ
16 下カセットハーフ
17 透明窓

Claims (4)

  1. 片面に透明窓が設けられているカセットケース内に、一対のフランジレスタイプのハブに巻回された磁気テープ、そして該ケースの透明窓側壁面とテープの側面との間に配置された透明な樹脂製のフリクションシートと該ケースの反対側の壁面とテープの側面との間に配置された樹脂製のフリクションシートを収容してなる磁気テープカセットにおいて、該磁気テープが、長さ方向のヤング率と幅方向のヤング率の合計が1400〜3600kg/mm 2 の範囲にある支持体を用いており、そして該フリクションシートのいずれもが、それらのテープ側となる表面に、芳香族ポリアミドおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれるバインダ樹脂、そしてモース硬度が1〜4の固体粉末Iとモース硬度が5〜10の固体粉末IIとを、バインダ樹脂100重量部に対して前者が0.5〜50重量部、そして後者が0.05〜5重量部となる重量比にて含有する表面層を有していることを特徴とする磁気テープカセット。
  2. 固体粉末Iが、グラファイト、カーボンブラック、MoS2 、PbO、CaF2 、及びWS2 からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料からなる粉末であり、固体粉末IIが、α−Al23 、TiC、α−Fe23 、ダイヤモンド、SiC、MgO、TiO2 、SiO2 、MoC及びCr23 からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料からなる粉末である請求項1に記載の磁気テープカセット。
  3. 磁気テープの支持体が、芳香族ポリアミドおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる樹脂から形成されている請求項1に記載の磁気テープカセット。
  4. 磁気テープの全体の厚みが3.0〜7.0μmの範囲にある請求項3に記載の磁気テープカセット。
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