JP3675447B2 - 鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置 - Google Patents
鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置に係わり、更に詳しくは横向きの既設鉄筋の端部にスタッド鉄筋を同軸状に突合せて溶接することが可能であり、特に橋梁のコンクリート床版同士の接続部に配した伸縮装置の取替え工事あるいは床版の横幅拡張工事等に適用可能な鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、新幹線の鉄筋コンクリート製の高架橋やトンネルの崩落事故が頻繁に発生し、大きな社会問題となってきている。その原因はともかくとして、1960年〜1970年代の高度成長期を境として急速に増えてきた鉄筋コンクリート構造物は、車の排気ガスや酸性雨、更には交通量の増加によって老朽化が進んできている。鉄筋コンクリート構造物の寿命は50年以上と言われているが、鉄筋コンクリート構造物を取り巻く環境の悪化によって、高度成長期に構築された多くの構造物が寿命に近づきつつある。しかし、適切な時期に適切なメンテナンス、補修を行うことによって、鉄筋コンクリート構造物の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0003】
例えば、ホロースラブ橋に代表されるように、鉄筋コンクリート製の橋梁においては、橋脚部分でコンクリート床版同士が伸縮装置を介して接続されているが、このコンクリート床版の端部に設けた伸縮装置が最も損傷が大きく、その取替えが必要となっている。この伸縮装置の取替え工事は、先ずコンクリート床版のコンクリート部の端部を内部の鉄筋とともに回転カッターやワイヤーソーイング装置で切断した後、コンクリート床版の切断端部と伸縮装置を取り除き、その後コンクリート部の切断面を、全面に亘って削岩機によって厚さ10〜15cm程度斫り、鉄筋の端部を露出させた後、新規の伸縮装置を設置してから、前記鉄筋の露出部に新設鉄筋を10cm程度重ねた状態でフレアー溶接して延長するとともに、その他の鉄筋を配し、最後にコンクリートを打設する作業である。
【0004】
ここで、最も問題となる作業は、コンクリート部の斫り作業である。通常、この種の伸縮装置の取替え工事は、交通規制を最短にするため集中工事となり、そのため斫り作業が深夜に及ぶ場合もあり、発生する騒音によって近隣住民に多大な迷惑をかけることになるのである。また、騒音発生がひどい場合には、工事そのものが近隣住民の苦情や実力行使によって中断させられることもある。
【0005】
一方、東名高速道路や名神高速道路、あるいは首都高速道路を始めとして、交通量の増加によって慢性的な交通渋滞が発生している区間が存在し、その交通渋滞を緩和するために、各地で車線の拡幅工事が行われてきている。この車線の拡幅工事における問題は、前述の伸縮装置の取替え工事にも共通する。既設のコンクリート床版の端部を延長する場合、先ずコンクリート部を内部の鉄筋とともに、切断し、それから切断面から厚さ10〜15cm程度まで削岩機やウォタージェットでコンクリート部を斫り、鉄筋の先端部を露出させ、そして既設鉄筋の端部に新設鉄筋を10cm程度重ねた状態でエンクローズ溶接又は機械継手で連結し、最後にコンクリートを打設するのである。この場合もコンクリート部の斫り作業が、工期の長期化と騒音発生の最大の問題となっている。
【0006】
ここで、同径の鉄筋同士を同軸状に溶接する技術として、前述のエンクローズ溶接があるが、溶接時間が長いため作業効率が悪くなり、現場向きではなく、また発熱の熱容量が大きいため鉄筋に材質変化が生じ、更に根本的に所定長さの溶接しろを確保するためのコンクリート部の斫り作業が必要となるのである。また、鋼板の表面に鉄筋をスタッド溶接する技術は一般的であるが、従来からスタッド溶接は、15cm角以上の面積を有する鉄板に溶接することが推奨されており、磁気吹き現象のため常識的にもそのような場合に適用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、スタッド鉄筋を溶接する相手面は、かなり広い面積を有する板物であることが常識であった。そのため、従来のスタッド溶接技術は、略同径の鉄筋同士を溶接すること、更には鉄筋が略水平な状況下で行うこと等は全く想定外であった。
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、略同径の鉄筋同士を溶接することができるとともに、鉄筋が略水平な状況下でも良好に溶接することが可能な鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、略同径の鉄筋同士を略水平な状況下でも良好に溶接することが可能な鉄筋の突合せスタッド溶接方法であって、既設鉄筋の端部周囲に、該既設鉄筋と直交した導体面を有するアースクランプを着脱可能に装着し、両端部に既設鉄筋とスタッド鉄筋をそれぞれ挿通可能な装着孔と内部には溶融金属溜用の空間部を有するとともに、該空間部の周囲であって中心角で60〜180°の下部を除きガス抜き穴を備えたフェルールを、前記既設鉄筋の端部に装着し又はスタッド溶接ガンに装填したスタッド鉄筋の先端部に装着し、該スタッド鉄筋の先端を前記既設鉄筋の端面に接触させるとともに、前記フェルールを前記アースクランプの導体面に押し当てた状態でスタッド溶接してなることを特徴とする鉄筋の突合せスタッド溶接方法を確立した。
【0010】
また、本発明は、横向きの既設鉄筋の端部にスタッド鉄筋を同軸状に突合せて溶接する鉄筋の突合せスタッド溶接装置であって、スタッド鉄筋を装填するスタッド溶接ガンと、前記既設鉄筋に着脱可能に装着し、該既設鉄筋と直交した導体面を有するアースクランプと、両端部に既設鉄筋とスタッド鉄筋をそれぞれ挿通可能な装着孔と内部には溶融金属溜用の空間部を有するとともに、該空間部の周囲であって中心角で60〜180°の下部を除きガス抜き穴を備えたフェルールとからなることを特徴とする鉄筋の突合せスタッド溶接装置を構成した。
【0011】
更に、前記アースクランプは、一対の挟持アームの先端部に前記既設鉄筋の端部を挟持する挟持板を着脱固定手段で取付け、前記挟持アームと挟持板は導体で形成し、両挟持板は前記導体面を形成してなることが好ましく、また前記アースクランプは、挟持アームの先端部を側面視ヘ字形に屈曲させたものであることも好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき更に詳細に説明する。本発明は、一体型のフェルールを用いた鉄筋の突合せスタッド溶接装置に関するものであるが、説明の便宜上、まず、スタッドベースと前記フェルールとが独立した部品として形成され、これらを組み合わせて一体型のフェルールと同様にして使用する鉄筋の突合せスタッド溶接装置である第1装置について説明した後、本発明の実施の形態の一体型のフェルールを用いる鉄筋の突合せスタッド溶接装置である第2装置について説明する。
【0013】
まず、第1装置について説明する。図1〜図4は第1装置を示し、図中符号1は既設鉄筋、2はスタッド鉄筋、3はアースクランプ、4はスタッドベース、5はフェルール、6はコンクリートをそれぞれ示している。第1装置は、既設鉄筋1の端部にスタッド鉄筋2を同軸状に突合せて溶接する装置であり、スタッド鉄筋2を装填するスタッド溶接ガン(図示せず)と、前記既設鉄筋1に着脱可能に装着し、該既設鉄筋1と直交した導体面7を有するアースクランプ3と、前記既設鉄筋1の端部周囲でアースクランプ3の導体面7に押し当てた状態で装着する耐熱性絶縁素材からなるリング状のスタッドベース4と、前記スタッド鉄筋2の先端部周囲に装着し且つ前記スタッドベース4に接合可能なフェルール5とから構成されている。
【0014】
以下に各部について詳細に説明する。ここで、既設鉄筋1とスタッド鉄筋2は、同径の異形鉄筋であるが、丸棒状の鉄筋でも勿論構わず、また直径が大小若干異なっても構わない。また、スタッド鉄筋2は、従来公知の各種形状のものを用いることが可能である。そして、本発明に用いるスタッド溶接ガンは、従来から公知のものを用いることが可能である。尚、第1装置の説明では、前記既設鉄筋1がコンクリート6に埋設されたものを想定しているが、これには限られず、適当な状態に既設鉄筋1が固定されていれば適用可能である。
【0015】
前記アースクランプ3は、図1〜図3に示すように、一対の挟持アーム8,8の基部を回動可能に枢着するとともに、それぞれ挟持アーム8,8の先端部に既設鉄筋1の端部を挟持する挟持板9,9を設け、更に挟持アーム8,8の中間部にボルトと蝶ナットからなる締結手段10を備え、適宜な位置にアース線(図示せず)の接続部11を設けたものである。図中符号12は、挟持アーム8,8の枢着部を示している。ここで、前記挟持板9,9は、スタッド溶接時に熱的損傷を受けた場合に取り替えることができるように、前記挟持アーム8,8の先端部にボルト締め等の着脱固定手段で取付けている。また、両挟持板9,9の接合面には、既設鉄筋1の端部を受け入れる半円状の係合凹部13を形成し、前記締結手段10で挟持アーム8,8を締め付けた際に、両係合凹部13,13内に既設鉄筋1の端部を圧接状態で保持できるようにしている。また、前記挟持アーム8,8の先端部は側面視ヘ字形に角度αだけ屈曲させており、既設鉄筋1の端部の露出長さが短い場合でも、アースクランプ3の基部がコンクリート6の切断面14に接触しないようにしている。第1装置では、前述の角度αは30度に設定している。
【0016】
また、前記アースクランプ3を構成する挟持アーム8,8と挟持板9,9は導体で形成し、両挟持板9,9は前述の導体面7を形成するので、スタッド溶接時の磁気吹き現象を緩和するのに要求される面積と形状を有している。例えば、前記挟持板9は、第1装置では一辺が4〜5cmで厚さが3〜5mm程度の板状のものを用いている。そして、前記係合凹部13の寸法は、既設鉄筋1の直径に応じて設定されており、異なる直径の既設鉄筋1の場合には、それに合った係合凹部13を有する挟持板9に付け替えれば良い。
【0017】
前記スタッドベース4は、図4に示すように、耐熱性絶縁素材、例えば後述のフェルール5と同種のセラミックス素材で成形し、焼成したものであり、外径は前記フェルール5の外径よりも大きくし、中心部に前記既設鉄筋1の端部に挿入可能な装着孔15を有し、該装着孔15の軸方向一側面には前記アースクランプ3の導体面7に押し当てる当接面16を形成するとともに、装着孔15の軸方向他側面にはガス抜き溝17を有する前記フェルール5の先端面を接合する接合面18と、下部に前記フェルール5と溶融金属を受ける円弧状の突縁19を形成したものである。ここで、前記突縁19は中心角に対して60〜180°に設定している。また、前記スタッドベース4の接合面18には、上部側の2箇所に突起20,20を形成し、該突起20,20と前記突縁19とでフェルール5の周囲を3点支持してその中心出しを簡単に行えるようにしている。また、前記スタッドベース4の軸方向の厚みは、その素材強度にもよるが、3〜5mmに設定しているが、それよりも厚くても構わないが、既設鉄筋1がコンクリート6に埋設されたものであり、それを斫って既設鉄筋1の先端部を露出させる場合には、なるべく薄い方がコンクリート6の斫り量が少なくて済むので好ましく、また薄すぎると強度面で問題となるので、適度な厚みとする。
【0018】
前記フェルール5は、図4に示すように、水平スタッド溶接の際に使用する公知のものを用いることが可能であり、セラミックス素材で成形し、焼成したものである。つまり、前記フェルール5は、リング状の一端部に前記スタッド鉄筋2の先端部を挿入する挿着孔21を形成するとともに、他端部を拡径して内部に溶融金属溜となる空間部22を形成し、更に先端面に溶接時に発生するガスの逃し穴となるガス抜き溝17,…を形成したものである。ここで、前記フェルール5の先端面は、前記スタッドベース4の接合面18に接合され、該接合面18とガス抜き溝17,…とで、ガスの逃し穴が形成されるが、前記突縁19に対応する部分は平坦面23となしてガス抜き溝17は形成していない。この平坦面23と前記接合面18が密接し、更にその下方に前記突縁19が位置するので、空間部22内に溶け出した溶融金属が溢れ出して落下することがないようにしている。
【0019】
そして、図1に示すように、コンクリート6に埋設された既設鉄筋1にスタッド鉄筋2を溶接するには、既設鉄筋1をコンクリート6と共に切断して端面を露出させ、それから前記アースクランプ3を該既設鉄筋1の端部に装着可能なだけその周囲のコンクリートを斫って凹部24を形成し、既設鉄筋1の端部を所定長さだけ露出させる。そして、前記アースクランプ3の挟持板9,9の接合面に形成した両係合凹部13,13で、既設鉄筋1の端部を先端を余して圧接状態で保持し、導体面7が該既設鉄筋1に直交するように装着する。それから、前記既設鉄筋1の端部に、スタッドベース4の装着孔15を挿入して、当接面16を導体面7に押し当てる。そして、従来のスタッド溶接技術と同様に、スタッド溶接ガンに装填したスタッド鉄筋2の先端を前記既設鉄筋1の端面に接触させるとともに、該スタッド鉄筋2の先端部に装着孔21を挿入して挿着したフェルール5の先端面を前記スタッドベース4の接合面18に接合した状態でスタッド溶接するのである。ここで、スタッド溶接の手法そのものは公知であり、先ず既設鉄筋1の端面にスタッド鉄筋2の先端突起部を接触させ、両鉄筋1,2に大電流を流しながらスタッド鉄筋2を若干後退させて、両鉄筋間にアーク放電を持続させて、鉄筋の端部が溶融した直後にスタッド鉄筋2を前進させて既設鉄筋1の端部に溶接するのである。最後に、前記アースクランプ3を外し、フェルール5及びスタッドベース4をハンマーで軽く叩き、割って除去する。
【0020】
前記アースクランプ3の挟持板9,9で形成される既設鉄筋1と直交した導体面7は、溶接面となる既設鉄筋1の端面に対してその周囲に十分な面積を確保し、スタッド溶接時の磁気吹き現象を緩和する作用をするのであり、この導体面7の存在によって同径鉄筋同士の良好な水平スタッド溶接が可能となる。更に、前記スタッドベース4は、溶接時に発生する高熱からアースクランプ3を保護することと、溶融金属が溢れ出して落下するのを防止し、鉄筋同士の接合部の減肉を抑制して良好なスタッド溶接を実現することが主な作用である。更に、前記スタッドベース4と前記フェルール5との接合面において、前記突縁19と突起20,20による凹凸嵌合構造によってフェルール5の中心出し、ひいては既設鉄筋1とスタッド鉄筋2との中心出しを行うことも重要な作用である。前記スタッドベース4と前記フェルール5との凹凸嵌合構造は、前述の構造に限定されるものではなく、前記スタッドベース4の接合面18に、前記フェルール5の先端部の外周が嵌合し且つ前記ガス抜き溝17を塞がない程度の凹部を全体的に形成しても良い。また、水平スタッド溶接する際に、前記スタッドベース4及びフェルール5の上下が一目で分かる目印を付けることも好ましく、前記突起20,20はその目印の働きもする。
【0021】
次に、第1装置によって同径の鉄筋同士を水平スタッド溶接した試験結果を以下に示す。使用した母材異形鉄筋(既設鉄筋1に対応する)は、D16(KDS490D)であり、異形スタッド(スタッド鉄筋2に対応する)は、同種鋼材からなるD16×300(KDS490D)である。この使用した鋼材の機械的性質は、降伏点が393N/mm2、引張強度が504N/mm2、伸びが29%である。次の表1にスタッド溶接した5本の試験体の引張試験結果を示すが、何れも外観検査において良好であり、また破断位置は溶接部とは異なる軸部であった。
【0022】
【表1】
【0023】
次に本発明の一体型のフェルールを用いた鉄筋の突合せスタッド溶接装置の実施形態である第2装置について、図5〜図8に基づいて説明する。前述の第1装置では、スタッドベース4とフェルール5が分離したものであったが、本実施形態ではスタッドベース4とフェルール5の機能が合体した一体型のフェルール25を用いる。この新規なフェルール25は、図6(b)に示すような構造となっている。その他の構成は、前述の第1装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0024】
前記フェルール25は、両端部に既設鉄筋1とスタッド鉄筋2をそれぞれ挿通可能な装着孔26,27と内部には溶融金属溜用の空間部28を有するとともに、該空間部28の周囲にガス抜き穴29,…を備えたものである。この形状のフェルール25をセラミックス素材で一体成形することは高価になるので、先ず図5に示すように、スタッドベース部30とフェルール部31を前記同様に成形し、これらが未硬化の状態で互いに接合して焼成し、一体化するのである。ここで、前記スタッドベース部30は、外径はフェルール部31と同径のリング状であり、中心部に前記既設鉄筋1の端部に挿入可能な前記装着孔26を有し、該装着孔26の軸方向両側面を平坦面としたものである。そして、前記フェルール部31は、リング状の一端部に前記スタッド鉄筋2の先端部を挿入する前記挿着孔27を形成するとともに、他端部を拡径して内部に溶融金属溜となる空間部28を形成し、更に先端面に溶接時に発生するガスの逃し穴となるガス抜き溝29A,…を形成し、下部になる一部は平坦面29Bとしたものである。そして、未硬化の状態で前記スタッドベース部30の一側面に前記フェルール部31の先端面を接合し、この際接着性を高めるために接合面に水を塗布したり、泥状のセラミックス素材を塗布し、乾燥させた後、焼成して一体化するのである。この際、前記フェルール部31のガス抜き溝29A,…と平坦面29Bの存在によってフェルール25の空間部28の下部を除く周囲にガス抜き穴29,…が形成されるのである。ここで、図6(a)に示すように、前記フェルール部31の平坦面29Bの中心角βは、前記同様に60〜180°に設定している。尚。前記ガス抜き溝29A,…と平坦面29Bは、前記スタッドベース部30の一側面に形成し、前記フェルール部31の先端面を平面としても同様な構造のフェルール25を製造することができる。
【0025】
そして、前記フェルール25を用いて既設鉄筋1にスタッド鉄筋2を水平スタッド溶接するには、既設鉄筋1の端部周囲に、該既設鉄筋1と直交した導体面7を有するアースクランプ3を前記同様に着脱可能に装着し、前記フェルール25を、前記既設鉄筋1の端部に装着孔26を挿入して装着し又はスタッド溶接ガンに装填したスタッド鉄筋2の先端部に装着孔27を挿入して装着し、該スタッド鉄筋2の先端を前記既設鉄筋1の端面に接触させるとともに、前記フェルール25を前記アースクランプ3の導体面7に押し当てた状態でスタッド溶接するのである。
【0026】
また、図7及び図8は、前記フェルール25の変形例であり、前述のものと異なる点は、前述のフェルール部31のガス抜き溝29A,…が中心から放射状になるように形成したのに対し、この変形例ではガス抜き溝29A,…をフェルール部31の中心よりも前記平坦面29B寄り位置の偏心した点を中心として放射状に形成したものである。これにより、平坦面29Bが存在していても、溶接時に発生するガスをフェルール部31の周囲に略均一に放出させることが可能となる。その他の構成は前記同様である。
【0027】
本発明の水平スタッド溶接方法は、その適用範囲を限定するものではないが、橋梁、高架橋等のコンクリート床版の伸縮装置の取り替え工事において、コンクリート床版の車軸方向の配力筋(既設鉄筋1)を露出させ、該配力筋にスタッド鉄筋2を溶接する場合に適用すればより効果的である。また、本発明の水平スタッド溶接方法は、橋梁、高架橋等の車線の拡幅工事において、コンクリート床版の側部に露出させた主鉄筋(既設鉄筋1)にスタッド鉄筋を溶接し、更にそのスタッド鉄筋2に新設の主鉄筋を連結する場合に適用しても効果的である。
【0028】
また、本発明の鉄筋の突合せスタッド溶接方法及びその装置は、略同径の鉄筋同士を水平スタッド溶接するものであるので、前述のコンクリート床版の伸縮装置の取替え工事や拡幅工事に用いる場合に限定されるものではなく、コンクリート構造物に埋設された既設鉄筋にスタッド鉄筋を溶接する場合や、更に広く一般の鉄筋同士をスタッド溶接する場合に適用できることは、本明細書及び図面の記載から明らかである。
【0029】
【発明の効果】
以上にしてなる請求項1に係る発明の鉄筋の突合せスタッド溶接方法は、略同径の鉄筋同士を中心出しをした状態で溶接することができるとともに、鉄筋が略水平な状況下でも良好に溶接することができ、特に既設の鉄筋コンクリート構造物を部分的に切断し、切断部に新設の鉄筋コンクリート部を構築する工法において、コンクリート部の斫り作業を可及的に少なくして工期の短縮化と騒音発生の低減化を図ることができる。更に、溶接部の外観検査において良好であり、また引張試験においても破断位置は溶接部とは異なる軸部であるといった優れた結果が得られた。
【0030】
請求項2〜4に係る発明の鉄筋の突合せスタッド溶接装置によれば、略同径の鉄筋同士を中心出しをした状態で溶接することができるとともに、鉄筋が略水平な状況下でも良好に溶接することができ、特に既設の鉄筋コンクリート構造物を部分的に切断し、切断部に新設の鉄筋コンクリート部を構築する工法において、コンクリート部の斫り作業を可及的に少なくして工期の短縮化と騒音発生の低減化を図ることができる。更に、溶接部の外観検査において良好であり、また引張試験においても破断位置は溶接部とは異なる軸部であるといった結果が得られた。また、アースクランプの熱的損傷を抑制することができ、該アースクランプを繰り返し使用することができるので、コスト削減に寄与することができるとともに、良好なスタッド溶接ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1装置による異形鉄筋同士をスタッド溶接する前のセット状態を示す部分断面図である。
【図2】第1装置におけるアースクランプの平面図である。
【図3】第1装置における要部の拡大断面図である。
【図4】スタッドベースとフェルールの斜視図であり、(a)はスタッドベースとフェルールが離れた状態、(b)はスタッドベースとフェルールを接合した状態をそれぞれ示している。
【図5】スタッドベースとフェルールの機能を一体したフェルールの製造途中の状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は図5のフェルール部の先端側から見た平面図、(b)は図5のスタッドベース部とフェルール部を焼成一体化したフェルールの側面図である。
【図7】スタッドベースとフェルールの機能を一体したフェルールの変形例を示し、製造途中の状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は図7のフェルール部の先端側から見た平面図、(b)は図7のスタッドベース部とフェルール部を焼成一体化したフェルールの側面図である。
【符号の説明】
1 既設鉄筋
2 スタッド鉄筋
3 アースクランプ
4 スタッドベース
5 フェルール
6 コンクリート
7 導体面
8 挟持アーム
9 挟持板
10 締結手段
11 接続部
12 枢着部
13 係合凹部
14 切断面
15 装着孔
16 当接面
17 ガス抜き溝
18 接合面
19 突縁
20 突起
21 挿着孔
22 空間部
23 平坦面
24 凹部
25 フェルール
26,27 装着孔
28 空間部
29 ガス抜き穴
29A ガス抜き溝
29B 平坦面
30 スタッドベース部
31 フェルール部
Claims (4)
- 略同径の鉄筋同士を略水平な状況下でも良好に溶接することが可能な鉄筋の突合せスタッド溶接方法であって、既設鉄筋の端部周囲に、該既設鉄筋と直交した導体面を有するアースクランプを着脱可能に装着し、両端部に既設鉄筋とスタッド鉄筋をそれぞれ挿通可能な装着孔と内部には溶融金属溜用の空間部を有するとともに、該空間部の周囲であって中心角で60〜180°の下部を除きガス抜き穴を備えたフェルールを、前記既設鉄筋の端部に装着し又はスタッド溶接ガンに装填したスタッド鉄筋の先端部に装着し、該スタッド鉄筋の先端を前記既設鉄筋の端面に接触させるとともに、前記フェルールを前記アースクランプの導体面に押し当てた状態でスタッド溶接してなることを特徴とする鉄筋の突合せスタッド溶接方法。
- 横向きの既設鉄筋の端部にスタッド鉄筋を同軸状に突合せて溶接する鉄筋の突合せスタッド溶接装置であって、スタッド鉄筋を装填するスタッド溶接ガンと、前記既設鉄筋に着脱可能に装着し、該既設鉄筋と直交した導体面を有するアースクランプと、両端部に既設鉄筋とスタッド鉄筋をそれぞれ挿通可能な装着孔と内部には溶融金属溜用の空間部を有するとともに、該空間部の周囲であって中心角で60〜180°の下部を除きガス抜き穴を備えたフェルールとからなることを特徴とする鉄筋の突合せスタッド溶接装置。
- 前記アースクランプは、一対の挟持アームの先端部に前記既設鉄筋の端部を挟持する挟持板を着脱固定手段で取付け、前記挟持アームと挟持板は導体で形成し、両挟持板は前記導体面を形成してなる請求項2記載の鉄筋の突合せスタッド溶接装置。
- 前記アースクランプは、挟持アームの先端部を側面視ヘ字形に屈曲させたものである請求項2又は3記載の鉄筋の突合せスタッド溶接装置。
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