JP3676467B2 - 油圧ダンパ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶の操縦席や車両の運転席に利用される高さ調整機構を備えた油圧ダンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高さ調整機構を有する油圧ダンパ装置として、本出願人により提案された特開平6−346969号に示されたものがある。
【0003】
これは、懸架ばねの介装下にシリンダに対してピストンロッドの先端側を出没可能に挿通し、該ピストンロッドの先端にシリンダ内に摺動可能に収装されて、該シリンダ内にロッド側油室とピストン側油室とを区画しながらバルブを介してロッド側油室とピストン側油室との相互の連通を可能にするピストンを設け、ロッド側油室内にその容積を変更可能にする油室を区画して懸架ばねの一端を該懸架ばねの伸縮方向に作動するシリンダ機構に係止し、該シリンダ機構と上記油室とを通路を介して連通するとともに、該通路に開閉弁を配設したものからなる。
【0004】
そして、これによれば、開閉弁が開放されると、油室とシリンダ機構とが通路を介して連通され、両者間の油室がバランスするまで、両者間に作動油が流通し、一方、軸方向に作用してピストンロッドをシリンダ内に押し込むようにした外力が排除されると、懸架ばねの附勢力でピストンロッドがシリンダ内から突出する。
【0005】
従って、上記の外力の排除時に開閉弁が開放されると、シリンダ内において、ガス圧と油圧とがバランスするまでピストンがシリンダ内を伸側方向に摺動するとともに、油室とシリンダ機構との間における油圧がバランスするまでピストンがシリンダ内を伸側方向に摺動する。
【0006】
その結果、シリンダ内からのピストンロッドの突出が懸架ばねの附勢力とガス圧と共働で実行されることになる。
【0007】
一方、開閉弁を閉鎖すると、通路を介しての油室とシリンダ機構との連通が遮断されることになり、それぞれが所謂オイルロック状態になる。このとき、油室が収縮した分だけシリンダ機構には作動油が供給されているから、該シリンダ機構が伸長作動する。
【0008】
その結果、シリンダ機構の伸長作動で懸架ばねが収縮されることになり、シリンダ内におけるピストン収装位置、すなわち、高さ位置が変更されても、懸架ばねの附勢力を変更させないようにすることが可能になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の油圧ダンパ装置にあっては、ガス室内のガス封入圧力を利用してダンパを伸長させており、また、ダンパ内にシリンダ機構を並置しているため、全長が非常に大きくなり、必要なダンパストロークおよび高さの調整幅が十分に確保できないという課題があった。
【0010】
また、高圧ガスをガス室に封入することによって、ピストンロッドの伸び力を得る構成となっているため、長期間の使用によりガスのリークを生じ、伸び力などの動作性能の劣化は避けられず、耐久性が不十分であるなどの課題があった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ガス室の設置をなくして全長寸法を抑えることができるとともに、ガスのリークによる動作性能劣化をなくすることができる、構成が簡単にして長期に亘って安定した動作特性が得られる油圧ダンパ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる油圧ダンパ装置は、ロッド側油室側に設けられて、ピストンロッドの出没動作に応じて容積が変化する第1のストローク制御油室と、上記ピストンロッドに設けられて、上記第1のストローク制御油室に連通する油路と、懸架ばねの上端を支持するスプリングガイドに取り付けられて、上記ピストンロッドを摺動自在に支持するガイドシリンダとを備えて、上記ピストンロッド端に、上記ガイドシリンダに対し摺動自在なアッパーブラケットを設け、該アッパーブラケットと上記ガイドシリンダとの間に、上記油路に高さ設定用の開閉弁を介して連通するとともに、上記第1のストローク制御油室より断面積が大きい第2のストローク制御油室を区画したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に基づいて説明するが、図1において、1は、シリンダ、2は、このシリンダ1内をロッド側油室R1およびピストン側油室R2とに隔成するピストン、3は、ピストン2に設けられて各油室R1,R2の連通を可能にする伸側減衰力発生用のバルブである。
【0014】
また、4は、このピストン2を下端に有し、シリンダ1上端の封止部を出没自在に摺動するピストンロッド、5は、シリンダ1の底部に設けられて、このシリンダ1の外周側を被う上端封止のアウターチューブ6との間を連通する圧側減衰力発生用のボトムバルブである。
【0015】
7は、シリンダ1内の上部に設けられたシール部材、8は、後述のピストン部材の上面を密封支持する支持部材、9は、ピストンロッド4の下部に取り付けられたカップ形のガイドシリンダである。
【0016】
また、10は、このガイドシリンダ9内に摺動自在に挿入されて、このガイドシリンダ9内に第1のストローク制御油室Aを区画する上記のピストン部材である。
【0017】
なお、ピストンロッド4は、上記シール部材7,支持部材8およびピストン部材10の中心部にシール状態にて摺動自在に貫通している。
【0018】
一方、11は、上記ピストンロッド4の上端にねじ込みなどにより固定されたアッパーブラケットであり、これの下部外周の円柱状部11aがカップ形のガイドシリンダ12内に摺動自在に挿入されて、これらの間に第2のストローク制御油室Bが区画されている。
【0019】
また、13,14は、アッパーブラケット11内に形成された油路、15は、これらの油路13,14間に設けられた開閉弁で、油路13の一端は上記第2のストローク制御油室Bに連通している。
【0020】
なお、上記開閉弁15は、操作子15aの押圧操作により両油路13,14を連通させ、押圧解除操作によりその連通を解除(遮断)するように機能する。
【0021】
また、16は、ピストンロッド4の中心部に貫通形成された油路であり、これの一端(下端)は、このピストンロッド4を径方向に貫通する油孔17を介して上記第1のストローク制御油室Aに連通し、他端(上端)は上記油路14に連通している。
【0022】
なお、18は、アッパーブラケット11の上記円柱状部11a下端内周とピストンロッド4上端の取付部外周とを封止するシールリングであり、上記アッパーブラケット11には、例えば、操縦席の座部が取り付けられ、シリンダ1の下端部が床側脚部などに固定される。
【0023】
また、19は、ガイドシリンダ12の下端に取り付けられたクッションラバーで、シリンダ1の封止端(上端)に対する衝撃を緩和する。
【0024】
20は、上記シリンダ1の下部外周に取り付けられたスプリングガイド、21は、上記ガイドシリンダ12のフランジ部にこれを支持するように装着されたスプリングガイド、22は、これらの各スプリングガイド20,21間に介装された懸架ばねである。
【0025】
なお、23は、アッパーブラケット11およびスプリングガイド21間に介装されて、ガイドシリンダ12におけるアッパーブラケット11の円柱状部11aの出入部を被うダイアフラム状のカバーである。
【0026】
また、この発明では、ガイドシリンダ12内の第2のストローク制御油室Bの断面積SBをガイドシリンダ9の第1のストローク制御油室Aの断面積SAより大きくしてあり(SA<SB)、これにより懸架ばね22のばね力によってダンパを伸長可能にしている。
【0027】
このため、ダンパ伸長のために、ピストン側室側にフリーピストンによって隔成したガス室に高圧ガスを充填しておくなどの構成を不要にし、ダンパ全体の長さをガス室を持ったものに比べて大幅に縮小可能にし、かつ、ガスのリークなどの問題も生じることなく、長期使用に耐えるものとなる。
【0028】
かかる構成になる油圧ダンパ装置では、これが、例えば、船舶の操縦席に利用されて、座部の高さ調整を行う場合には、その座部に座る前に操縦者が上記開閉弁15の操作子15aを押圧する。
【0029】
このため、この開閉弁15を通じて第1のストローク制御油室A,油孔17,油路16,14,13および第2のストローク制御油室Bがそれぞれ連通するとともに、第1のストローク制御油室Aに対して第2のストローク制御油室Bの受圧面積が大きいため懸架ばね22のばね反力による推力が発生する。
【0030】
このため、この懸架ばね22のばね反力を受けてピストン2とともにピストンロッド4が上昇し、このピストンロッド4上端のアッパーブラケット11がガイドシリンダ12内を上昇する。
【0031】
さらに、上記ばね反力を受けてピストンロッド4を上昇させようとする力は、これまで大きな容積を持っていた上記第1のストローク制御油室Aを図1に示すように圧縮し、この第1のストローク制御油室A内の作動油が油孔17,油路16,14,13を介して第2のストローク制御油室B内に供給される。
【0032】
このため、上記アッパーブラケット11がガイドシリンダ12に対して上昇して、上記操縦席の高さを任意の位置に引き上げることができる。
【0033】
すなわち、懸架ばね22のばね反力にもとづく上記ピストンロッド4の上昇動作は、第1のストローク制御油室Aから第2のストローク制御油室Bへの作動油の供給を促す。
【0034】
この場合において、第2のストローク制御油室Bを、第1のストローク制御油室Aの受圧面積より上記のように大きく設定してあるため、上記開閉弁15を開いたとき、懸架ばね22のばね反力により生じる第2のストローク制御油室B側推力を第1のストローク制御油室A側推力より大きくして、ピストンロッド4およびこれに結合したアッパーブラケット11を伸長させる。
【0035】
このとき、第2のストローク制御油室Bの受圧面積が大きい分だけ、見掛上油量不足を生じ、ガイドシリンダ12の位置が移動することにより補償される。
【0036】
従って、このガイドシリンダ12やスプリングガイド21が移動した分だけダンパストロークも変化することとなる。
【0037】
次に、操縦者は操縦席の高さが自分で選んだ高さになったとき、上記操作子15aの押圧操作を解除して、開閉弁15を閉じさせる。
【0038】
これにより、上記油孔16などを通じて第1のストローク制御油室Aおよび第2のストローク制御油室B間の作動油の流れが阻止される。
【0039】
このため、ガイドシリンダ9のピストン部材10に対する摺動およびアッパーブラケット11のガイドシリンダ12に対する摺動がそれぞれロックされ、上記操縦者によって選択された高さに操縦席が保持されることとなる。
【0040】
次に、操縦者は、このように高さ調整された操縦席に戻りながら船舶の操縦を行っているとき、船体が波を受けることにより操縦席が振動した場合には、その振動は、ピストン2に設けたバルブ3およびベースバルブ5の開閉量制御による周知の減衰力発生機能により、吸収されることとなる。
【0041】
この実施の形態によれば、高さ調整を行う際にダンパストロークも変化することとなる。
【0042】
また、上記のような上記第1,第2のストローク制御油室A,Bの断面積比を任意に設定することで、懸架ばね22のばね力によってのみダンパを伸長可能とすることができる。
【0043】
この結果、高圧ガスのガス室をピストン側油室側に隔成する必要がなくなり、ダンパの全長を縮小でき、ガスのリークなどの心配もないため、長寿命化が期待できる。
【0044】
図2は、この発明のダンパを支柱構造のシートダンパに応用した例を示す一部破断した正面図であり、このシートダンパでは、下端が据付座31となっているアウターチューブ32の内部下底にガイドチューブ33の下端をボルト34で固定し、これらアウターチューブ32とガイドチューブ33との間に位置してインナーチューブ35を上方から抜き差し自在に挿入してある。
【0045】
そして、インナーチューブ35の上端には、樹脂プレートとメタルプレートを合わせた当て板37を介在してシート取付座36が回転自在に嵌挿してあり、かつ、シート取付座36は、側面に穿った螺孔などを通してインナーチューブ35の外周面に達する向き変えレバー39を有し、この向き変えレバー39を締め付けたり緩めたりすることでシート取付座36をインナーチューブ35に対し所望の向きで固定し得るようにしてある。
【0046】
上記ガイドチューブ33の外周面には軸方向へと向って形成した回転防止用ガイド溝41が設けてあり、かつ、インナーチューブ35は、下端を内方へと突出して形成した係合爪40を有する。
【0047】
この係合爪40をガイドチューブ33側のガイド溝41へと嵌合することにより、これら係合爪40とガイド溝41とで回転止め機構を構成し、該回転止め機構を介してインナーチューブ35をアウターチューブ32に対し上下動のみ可能に嵌合している。
【0048】
上記回転止め機構を形作る係合爪40とガイド溝41の嵌合面には、該嵌合面の形状に合わせて形成したメタルまたはプラスチック製の耐摩耗性彎曲板からなる薄板状の摺動部材42が介装してある。
【0049】
一方、アウターチューブ32の内周面上部には、インナーチューブ35の外周面と密に摺接するベアリング43が設けてあるとともに、上端には、同じくインナーチューブ35の外周面と密に摺接するシール44が取り付けてある。
【0050】
このシール44によって、アウターチューブ32とインナーチューブ35の摺接隙間から内部へと海水や塵等が侵入するのを防止するようにしてある。
【0051】
上記アウターチューブ32とインナーチューブ35の嵌合内部には、ガイドチューブ33よりもさらに内方に位置して図1に示したものと同様のダンパが介装してある。
【0052】
従って、かかる構成になるシートダンパでは、高速での航行中に船底と波頭との衝突によって船体が衝撃を受け、その衝撃が据付座11からガイドチューブ33および懸架スプリング22を通してシート取付座36側に伝達されるような事態が生じると、シート取付座36が懸架スプリング22とともに上記ダンパを伸縮動作させつつインナーチューブ35を伴って上下動し、ダンパの上記減衰力発生機能により据付座1側からの衝撃を吸収緩和して、当該衝撃がそのままシート取付座36側に伝わるのを防止する。
【0053】
また、上記航行中において転舵等によりシートに回転力が働いたとしても、据付座31側に取り付けられたガイドチューブ33とシートを取り付けたインナーチューブ35との間に、ガイド溝41と係合爪40との係合による回り止め機構が設けられているので、シートが不用意に回転してしまうようなことは起らない。
【0054】
なお、上記ダンパは、図1に示したものと略同様の構成を持つが、開閉弁15をアッパーブラケット11とピストンロッド4の上端部に出入操作自在に設置した点で異なり、その機能は、図1に示したものと全く同一であるため、その重複する動作説明を省略する。
【0055】
なお、45は、シート取付座36に設けられたブラケット軸46に枢支されて、上記開閉弁15の操作子15aを押圧操作および押圧解除操作するための高さ調整レバーである。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、この発明によればロッド側油室側に設けられて、ピストンロッドの出没動作に応じて容積が変化する第1のストローク制御油室と、上記ピストンロッドに設けられて、上記第1のストローク制御油室に連通する油路と、懸架ばねの上端を支持するスプリングガイドに取り付けられて、上記ピストンロッドを摺動自在に支持するガイドシリンダとを備えて、上記ピストンロッド端に、上記ガイドシリンダに対し摺動自在なアッパーブラケットを設け、該アッパーブラケットと上記ガイドシリンダとの間に、上記油路に高さ設定用の開閉弁を介して連通するとともに、上記第1のストローク制御油室より断面積が大きい第2のストローク制御油室を区画するように構成したので、ガス室の設置をなくして全長寸法を抑えることができるとともに、ガスのリークによる動作性能劣化をなくすることができ、かかる効果を、簡単な構成で、しかもローコストにて得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態による油圧ダンパ装置を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の他の形態による油圧ダンパ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
3 バルブ
4 ピストンロッド
11 アッパーブラケット
12 ガイドシリンダ
15 開閉弁
16 油路
21 スプリングガイド
22 懸架ばね
A 第1のストローク制御油室
B 第2のストローク制御油室
R1 ロッド側油室
R2 ピストン側油室
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶の操縦席や車両の運転席に利用される高さ調整機構を備えた油圧ダンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高さ調整機構を有する油圧ダンパ装置として、本出願人により提案された特開平6−346969号に示されたものがある。
【0003】
これは、懸架ばねの介装下にシリンダに対してピストンロッドの先端側を出没可能に挿通し、該ピストンロッドの先端にシリンダ内に摺動可能に収装されて、該シリンダ内にロッド側油室とピストン側油室とを区画しながらバルブを介してロッド側油室とピストン側油室との相互の連通を可能にするピストンを設け、ロッド側油室内にその容積を変更可能にする油室を区画して懸架ばねの一端を該懸架ばねの伸縮方向に作動するシリンダ機構に係止し、該シリンダ機構と上記油室とを通路を介して連通するとともに、該通路に開閉弁を配設したものからなる。
【0004】
そして、これによれば、開閉弁が開放されると、油室とシリンダ機構とが通路を介して連通され、両者間の油室がバランスするまで、両者間に作動油が流通し、一方、軸方向に作用してピストンロッドをシリンダ内に押し込むようにした外力が排除されると、懸架ばねの附勢力でピストンロッドがシリンダ内から突出する。
【0005】
従って、上記の外力の排除時に開閉弁が開放されると、シリンダ内において、ガス圧と油圧とがバランスするまでピストンがシリンダ内を伸側方向に摺動するとともに、油室とシリンダ機構との間における油圧がバランスするまでピストンがシリンダ内を伸側方向に摺動する。
【0006】
その結果、シリンダ内からのピストンロッドの突出が懸架ばねの附勢力とガス圧と共働で実行されることになる。
【0007】
一方、開閉弁を閉鎖すると、通路を介しての油室とシリンダ機構との連通が遮断されることになり、それぞれが所謂オイルロック状態になる。このとき、油室が収縮した分だけシリンダ機構には作動油が供給されているから、該シリンダ機構が伸長作動する。
【0008】
その結果、シリンダ機構の伸長作動で懸架ばねが収縮されることになり、シリンダ内におけるピストン収装位置、すなわち、高さ位置が変更されても、懸架ばねの附勢力を変更させないようにすることが可能になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の油圧ダンパ装置にあっては、ガス室内のガス封入圧力を利用してダンパを伸長させており、また、ダンパ内にシリンダ機構を並置しているため、全長が非常に大きくなり、必要なダンパストロークおよび高さの調整幅が十分に確保できないという課題があった。
【0010】
また、高圧ガスをガス室に封入することによって、ピストンロッドの伸び力を得る構成となっているため、長期間の使用によりガスのリークを生じ、伸び力などの動作性能の劣化は避けられず、耐久性が不十分であるなどの課題があった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ガス室の設置をなくして全長寸法を抑えることができるとともに、ガスのリークによる動作性能劣化をなくすることができる、構成が簡単にして長期に亘って安定した動作特性が得られる油圧ダンパ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる油圧ダンパ装置は、ロッド側油室側に設けられて、ピストンロッドの出没動作に応じて容積が変化する第1のストローク制御油室と、上記ピストンロッドに設けられて、上記第1のストローク制御油室に連通する油路と、懸架ばねの上端を支持するスプリングガイドに取り付けられて、上記ピストンロッドを摺動自在に支持するガイドシリンダとを備えて、上記ピストンロッド端に、上記ガイドシリンダに対し摺動自在なアッパーブラケットを設け、該アッパーブラケットと上記ガイドシリンダとの間に、上記油路に高さ設定用の開閉弁を介して連通するとともに、上記第1のストローク制御油室より断面積が大きい第2のストローク制御油室を区画したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に基づいて説明するが、図1において、1は、シリンダ、2は、このシリンダ1内をロッド側油室R1およびピストン側油室R2とに隔成するピストン、3は、ピストン2に設けられて各油室R1,R2の連通を可能にする伸側減衰力発生用のバルブである。
【0014】
また、4は、このピストン2を下端に有し、シリンダ1上端の封止部を出没自在に摺動するピストンロッド、5は、シリンダ1の底部に設けられて、このシリンダ1の外周側を被う上端封止のアウターチューブ6との間を連通する圧側減衰力発生用のボトムバルブである。
【0015】
7は、シリンダ1内の上部に設けられたシール部材、8は、後述のピストン部材の上面を密封支持する支持部材、9は、ピストンロッド4の下部に取り付けられたカップ形のガイドシリンダである。
【0016】
また、10は、このガイドシリンダ9内に摺動自在に挿入されて、このガイドシリンダ9内に第1のストローク制御油室Aを区画する上記のピストン部材である。
【0017】
なお、ピストンロッド4は、上記シール部材7,支持部材8およびピストン部材10の中心部にシール状態にて摺動自在に貫通している。
【0018】
一方、11は、上記ピストンロッド4の上端にねじ込みなどにより固定されたアッパーブラケットであり、これの下部外周の円柱状部11aがカップ形のガイドシリンダ12内に摺動自在に挿入されて、これらの間に第2のストローク制御油室Bが区画されている。
【0019】
また、13,14は、アッパーブラケット11内に形成された油路、15は、これらの油路13,14間に設けられた開閉弁で、油路13の一端は上記第2のストローク制御油室Bに連通している。
【0020】
なお、上記開閉弁15は、操作子15aの押圧操作により両油路13,14を連通させ、押圧解除操作によりその連通を解除(遮断)するように機能する。
【0021】
また、16は、ピストンロッド4の中心部に貫通形成された油路であり、これの一端(下端)は、このピストンロッド4を径方向に貫通する油孔17を介して上記第1のストローク制御油室Aに連通し、他端(上端)は上記油路14に連通している。
【0022】
なお、18は、アッパーブラケット11の上記円柱状部11a下端内周とピストンロッド4上端の取付部外周とを封止するシールリングであり、上記アッパーブラケット11には、例えば、操縦席の座部が取り付けられ、シリンダ1の下端部が床側脚部などに固定される。
【0023】
また、19は、ガイドシリンダ12の下端に取り付けられたクッションラバーで、シリンダ1の封止端(上端)に対する衝撃を緩和する。
【0024】
20は、上記シリンダ1の下部外周に取り付けられたスプリングガイド、21は、上記ガイドシリンダ12のフランジ部にこれを支持するように装着されたスプリングガイド、22は、これらの各スプリングガイド20,21間に介装された懸架ばねである。
【0025】
なお、23は、アッパーブラケット11およびスプリングガイド21間に介装されて、ガイドシリンダ12におけるアッパーブラケット11の円柱状部11aの出入部を被うダイアフラム状のカバーである。
【0026】
また、この発明では、ガイドシリンダ12内の第2のストローク制御油室Bの断面積SBをガイドシリンダ9の第1のストローク制御油室Aの断面積SAより大きくしてあり(SA<SB)、これにより懸架ばね22のばね力によってダンパを伸長可能にしている。
【0027】
このため、ダンパ伸長のために、ピストン側室側にフリーピストンによって隔成したガス室に高圧ガスを充填しておくなどの構成を不要にし、ダンパ全体の長さをガス室を持ったものに比べて大幅に縮小可能にし、かつ、ガスのリークなどの問題も生じることなく、長期使用に耐えるものとなる。
【0028】
かかる構成になる油圧ダンパ装置では、これが、例えば、船舶の操縦席に利用されて、座部の高さ調整を行う場合には、その座部に座る前に操縦者が上記開閉弁15の操作子15aを押圧する。
【0029】
このため、この開閉弁15を通じて第1のストローク制御油室A,油孔17,油路16,14,13および第2のストローク制御油室Bがそれぞれ連通するとともに、第1のストローク制御油室Aに対して第2のストローク制御油室Bの受圧面積が大きいため懸架ばね22のばね反力による推力が発生する。
【0030】
このため、この懸架ばね22のばね反力を受けてピストン2とともにピストンロッド4が上昇し、このピストンロッド4上端のアッパーブラケット11がガイドシリンダ12内を上昇する。
【0031】
さらに、上記ばね反力を受けてピストンロッド4を上昇させようとする力は、これまで大きな容積を持っていた上記第1のストローク制御油室Aを図1に示すように圧縮し、この第1のストローク制御油室A内の作動油が油孔17,油路16,14,13を介して第2のストローク制御油室B内に供給される。
【0032】
このため、上記アッパーブラケット11がガイドシリンダ12に対して上昇して、上記操縦席の高さを任意の位置に引き上げることができる。
【0033】
すなわち、懸架ばね22のばね反力にもとづく上記ピストンロッド4の上昇動作は、第1のストローク制御油室Aから第2のストローク制御油室Bへの作動油の供給を促す。
【0034】
この場合において、第2のストローク制御油室Bを、第1のストローク制御油室Aの受圧面積より上記のように大きく設定してあるため、上記開閉弁15を開いたとき、懸架ばね22のばね反力により生じる第2のストローク制御油室B側推力を第1のストローク制御油室A側推力より大きくして、ピストンロッド4およびこれに結合したアッパーブラケット11を伸長させる。
【0035】
このとき、第2のストローク制御油室Bの受圧面積が大きい分だけ、見掛上油量不足を生じ、ガイドシリンダ12の位置が移動することにより補償される。
【0036】
従って、このガイドシリンダ12やスプリングガイド21が移動した分だけダンパストロークも変化することとなる。
【0037】
次に、操縦者は操縦席の高さが自分で選んだ高さになったとき、上記操作子15aの押圧操作を解除して、開閉弁15を閉じさせる。
【0038】
これにより、上記油孔16などを通じて第1のストローク制御油室Aおよび第2のストローク制御油室B間の作動油の流れが阻止される。
【0039】
このため、ガイドシリンダ9のピストン部材10に対する摺動およびアッパーブラケット11のガイドシリンダ12に対する摺動がそれぞれロックされ、上記操縦者によって選択された高さに操縦席が保持されることとなる。
【0040】
次に、操縦者は、このように高さ調整された操縦席に戻りながら船舶の操縦を行っているとき、船体が波を受けることにより操縦席が振動した場合には、その振動は、ピストン2に設けたバルブ3およびベースバルブ5の開閉量制御による周知の減衰力発生機能により、吸収されることとなる。
【0041】
この実施の形態によれば、高さ調整を行う際にダンパストロークも変化することとなる。
【0042】
また、上記のような上記第1,第2のストローク制御油室A,Bの断面積比を任意に設定することで、懸架ばね22のばね力によってのみダンパを伸長可能とすることができる。
【0043】
この結果、高圧ガスのガス室をピストン側油室側に隔成する必要がなくなり、ダンパの全長を縮小でき、ガスのリークなどの心配もないため、長寿命化が期待できる。
【0044】
図2は、この発明のダンパを支柱構造のシートダンパに応用した例を示す一部破断した正面図であり、このシートダンパでは、下端が据付座31となっているアウターチューブ32の内部下底にガイドチューブ33の下端をボルト34で固定し、これらアウターチューブ32とガイドチューブ33との間に位置してインナーチューブ35を上方から抜き差し自在に挿入してある。
【0045】
そして、インナーチューブ35の上端には、樹脂プレートとメタルプレートを合わせた当て板37を介在してシート取付座36が回転自在に嵌挿してあり、かつ、シート取付座36は、側面に穿った螺孔などを通してインナーチューブ35の外周面に達する向き変えレバー39を有し、この向き変えレバー39を締め付けたり緩めたりすることでシート取付座36をインナーチューブ35に対し所望の向きで固定し得るようにしてある。
【0046】
上記ガイドチューブ33の外周面には軸方向へと向って形成した回転防止用ガイド溝41が設けてあり、かつ、インナーチューブ35は、下端を内方へと突出して形成した係合爪40を有する。
【0047】
この係合爪40をガイドチューブ33側のガイド溝41へと嵌合することにより、これら係合爪40とガイド溝41とで回転止め機構を構成し、該回転止め機構を介してインナーチューブ35をアウターチューブ32に対し上下動のみ可能に嵌合している。
【0048】
上記回転止め機構を形作る係合爪40とガイド溝41の嵌合面には、該嵌合面の形状に合わせて形成したメタルまたはプラスチック製の耐摩耗性彎曲板からなる薄板状の摺動部材42が介装してある。
【0049】
一方、アウターチューブ32の内周面上部には、インナーチューブ35の外周面と密に摺接するベアリング43が設けてあるとともに、上端には、同じくインナーチューブ35の外周面と密に摺接するシール44が取り付けてある。
【0050】
このシール44によって、アウターチューブ32とインナーチューブ35の摺接隙間から内部へと海水や塵等が侵入するのを防止するようにしてある。
【0051】
上記アウターチューブ32とインナーチューブ35の嵌合内部には、ガイドチューブ33よりもさらに内方に位置して図1に示したものと同様のダンパが介装してある。
【0052】
従って、かかる構成になるシートダンパでは、高速での航行中に船底と波頭との衝突によって船体が衝撃を受け、その衝撃が据付座11からガイドチューブ33および懸架スプリング22を通してシート取付座36側に伝達されるような事態が生じると、シート取付座36が懸架スプリング22とともに上記ダンパを伸縮動作させつつインナーチューブ35を伴って上下動し、ダンパの上記減衰力発生機能により据付座1側からの衝撃を吸収緩和して、当該衝撃がそのままシート取付座36側に伝わるのを防止する。
【0053】
また、上記航行中において転舵等によりシートに回転力が働いたとしても、据付座31側に取り付けられたガイドチューブ33とシートを取り付けたインナーチューブ35との間に、ガイド溝41と係合爪40との係合による回り止め機構が設けられているので、シートが不用意に回転してしまうようなことは起らない。
【0054】
なお、上記ダンパは、図1に示したものと略同様の構成を持つが、開閉弁15をアッパーブラケット11とピストンロッド4の上端部に出入操作自在に設置した点で異なり、その機能は、図1に示したものと全く同一であるため、その重複する動作説明を省略する。
【0055】
なお、45は、シート取付座36に設けられたブラケット軸46に枢支されて、上記開閉弁15の操作子15aを押圧操作および押圧解除操作するための高さ調整レバーである。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、この発明によればロッド側油室側に設けられて、ピストンロッドの出没動作に応じて容積が変化する第1のストローク制御油室と、上記ピストンロッドに設けられて、上記第1のストローク制御油室に連通する油路と、懸架ばねの上端を支持するスプリングガイドに取り付けられて、上記ピストンロッドを摺動自在に支持するガイドシリンダとを備えて、上記ピストンロッド端に、上記ガイドシリンダに対し摺動自在なアッパーブラケットを設け、該アッパーブラケットと上記ガイドシリンダとの間に、上記油路に高さ設定用の開閉弁を介して連通するとともに、上記第1のストローク制御油室より断面積が大きい第2のストローク制御油室を区画するように構成したので、ガス室の設置をなくして全長寸法を抑えることができるとともに、ガスのリークによる動作性能劣化をなくすることができ、かかる効果を、簡単な構成で、しかもローコストにて得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態による油圧ダンパ装置を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の他の形態による油圧ダンパ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
3 バルブ
4 ピストンロッド
11 アッパーブラケット
12 ガイドシリンダ
15 開閉弁
16 油路
21 スプリングガイド
22 懸架ばね
A 第1のストローク制御油室
B 第2のストローク制御油室
R1 ロッド側油室
R2 ピストン側油室
Claims (1)
- 懸架ばねの介装下にシリンダに対してピストンロッドの先端側が出没可能に挿通されるとともに、該ピストンロッドの先端に上記シリンダ内に摺動可能に収容されて、該シリンダ内にロッド側油室とピストン側油室とを区画しながらバルブを介して上記ロッド側油室とピストン側油室との連通を可能にするピストンを有してなるダンパにおいて、上記ロッド側油室に設けられて、上記ピストンロッドの上記出没動作に応じて容積が変化する第1のストローク制御油室と、上記ピストンロッドに設けられて、上記第1のストローク制御油室に連通する油路と、上記懸架ばねの上端を支持するスプリングガイドに取り付けられて、上記ピストンロッドを摺動自在に支持するガイドシリンダと、上記ピストンロッド端に取り付けられて、上記ガイドシリンダに対し摺動自在に設けられたアッパーブラケットと、該アッパーブラケットと上記ガイドシリンダとの間に区画されて、上記油路に高さ設定用の開閉弁を介して連通するとともに、上記第1のストローク制御油室より断面積が大きい第2のストローク制御油室とを備えたことを特徴とする油圧ダンパ装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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Family
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Family Applications (1)
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-
1995
- 1995-12-06 JP JP34492895A patent/JP3676467B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
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