JP3682373B2 - 複数のプレス機械の同期制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、独立した複数のプレス機械のクランク角度を連続的に高精度に同期させることの出来るプレス機械の同期制御方法に関し、複数のプレス機械でトランスファプレスラインを構成して高速プレス加工を行う場合に有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ライン構成して立設する複数のプレス機械を同期制御する場合、それぞれのプレス機械は、図6に示すようなシステム構成とし、それぞれの操作盤20にSPM設定器を設け、制御盤1、2、・・・にドライバ21及びシーケンス制御を行うハードウエアを設け、プレス機械5、6は、TG(タコゼネレータ)22を連結したメインモータ10でフライホイール12を駆動し、動力を接/断するクラッチ13を介してメインギヤ14を駆動し、メインギヤ14に連結したクランク軸15の回転でスライドに昇降運動を与え、図7に示す簡易同期制御システムを用いていた。
【0003】
図7に示すように、第1プレス機械5の操作盤20のSPM設定器23の速度指令を各プレス機械に分配し、各プレス機械のクランク15に連結したシンクロ発信器36の角度出力をアンプ37に入力し、プレス機械ごとの角度出力の差分にPゲイン38を乗じて第2プレス機械6の速度指令に加算している。類似した同期制御は、特公昭51−1004及び特開昭56−45300に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来例では、SPM設定器23及びシンクロ発信器36はいずれもアナログ電圧を出力し、アナログ制御ループにより速度指令とシンクロ発信器36の角度出力とをP(比例)制御により速度制御を行っている。従って、定常偏差が発生する他、多くのオフセット要因により微少な回転角度の差が生じ、これを減少させる制御でないため追従性が悪い。図8及び図9は、図6の従来例の場合の問題点を具体的に示したものである。図8は、2台のプレス機械のクランク角度R1、R2の時間的推移を表している。T1では、同期開始時に既に発生しているクランク角度差であり、以後T2、T3と経過するにつれ、先の定常偏差とオフセット要因によりプレス機械間のクランク角度差が累積していく。図9では、2台のプレス機械のメインモータ速度N1、N2の時間的推移を表している。定常的なN1、N2の速度差は、回転数精度による影響で、T1、T2の立ち上がり時間差は、クラッチ接合時の過渡特性によるものである。T3、T4では、線2のモータ速度で運転するプレス機械のプレス加工による速度低下を示している。これらの速度差要因を総合すると、線3のように速度差が累積していく。すなわち、クランク角度差も累積していることになる。
【0005】
この制御構成では、いずれかのプレス機械がマスタとなり、他が追従することになるが、たまたま、マスタプレス機械の仕事量が多くクランク速度の変動が激しい場合は、他のプレス機械のクランク速度に悪影響を及ぼし、同期制御ループ全体が不安定となる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、ライン構成して立設する複数のプレス機械のクランク角度を高精度に同期させて運転することを可能とするプレス機械の同期制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明は、ライン構成して立設する複数のプレス機械の同期制御方法において、設定したスライドストローク数のデジタル値を各プレス機械に分配するとともに、各プレス機械ごとに機械駆動系のゲイン係数K1を用いて速度指令値に変換してメインモータの速度制御を行いつつ、マスタプレス機械は、速度指令値を積分して得た位置指令値に、プレス機械に必要なクランク角度補正量を機械駆動系のゲイン定数K3を用いて変換した位置補正値を加算し、さらにメインモータに設けたエンコーダ出力から得られる位置現在値を減算して得た位置差分値をPI演算(比例積分)して速度指令値に加算し、補正速度指令値を求め、スレーブプレス機械は、マスタプレス機械とスレーブプレス機械のそれぞれのクランク軸に設けたエンコーダ出力から得られるクランク角度現在値の偏差値にプレス機械に必要なクランク角度補正量を加算し、この結果を機械駆動系のゲイン定数K3を用いて得た位置補正値を、速度指令値を積分して得た位置指令値に加算するとともに、メインモータに設けたエンコーダ出力から得た位置現在値を減算して位置差分値を求め、この位置差分値をPI演算(比例積分)して速度指令値に加算し、補正速度指令値を求める、と言うマスタスレーブ方式の角度制御アルゴリズムを使用する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1から図5に本発明に関連する複数のプレス機械の同期制御方法を実施するためのシステム構成の一例を示す。図1において、操作盤1は、各プレス機械の単独/同期の切り替えスイッチとSPM設定器を有し、SPM設定器のアナログ出力は同期制御装置2のA/D変換器7でデジタル値に変換し、角度制御部8に入力する。角度制御部8の出力は、制御盤3、4のドライバ9を経て、プレス機械5、6のメインモータ10を駆動し、メインモータ10に設けたエンコーダ11のデジタル出力はドライバ9に返送され、メインモータ10の速度制御が行われる。フライホイール12、クラッチ13、メインギヤ14、クランク軸15を介してスライド16を昇降させる。クランク軸15に設けたエンコーダ17のデジタル出力は、角度制御部8に返送される。
【0015】
図2は、図1のシステム構成の一例の独立角度制御方式を示し、SPM設定器23は設定したスライドストローク数に応じたアナログ電圧を発生する。角度補正量25は、プレス機械固有のオフセットを補正する。図1の同期制御装置2に相当する同期制御装置26は、図示していないが入力したアナログ電圧をデジタル値に変換して他のプレスに分配し、このデジタル値をK1(機械駆動系定数)27で演算し、モータの速度指令値N(r/min)に変換する。K1(機械駆動系定数)27の演算は次による。
N=SPM×G1×G2×(G3×G4/G1×G2)/(G3×G4)
ここで、SPM:スライドストローク数(spm)
G1:SPM設定値の単位(V/rpm)
G2:ドライバの速度指令入力単位(rpm/V)
G3:メインモータのプーリとフライホイールとの速比G4:ギヤ減速比である。
【0016】
1/Sは積分器30であり、速度指令データを位置指令データへと変換する。積分器については、公知である。K2(機械駆動系定数)28は、位置指令データを角度データに変換する。速度指令値Nを積分器30で積分して位置指令値に変換し、K2(機械駆動系定数)28で演算してクランク角度指令値に変換しておく。クラッチOFF時には、K2(機械駆動系定数)28出力値=クランク角度としておき、クラッチONにより位置指令値差分の積算データP1をEC(エンコーダ)11のパルス数P2、メインモータのプーリとフライホイールとの速比G3、ギヤ減速比G4により逆算し、角度指令値RRとして、下式にて算出する。
RR(deg)={P1(p)/P2(p/r)}×360/(G3×G4)
【0017】
速度指令値Nは、速度制御部24の高応答、高精度なインバータドライバを介してメインモータ10を回転駆動する。この状態でクラッチONとすると、プレス作業によってメインモータ10の回転は低下し、エンコーダ11からは位置現在値(パルス数P2)を出力する。積分器30の出力する位置指令値と後述する位置偏差値の和から位置現在値を減算した位置差分値をPI(演算器)31で演算し、角度補正値R1として速度指令値Nに加算した補正速度指令値NRでメインモータ10をPI制御により速度制御する。PI(演算器)31は、通常の比例積分項の演算である。PI(比例積分)制御については、公知である。
【0018】
K3(機械駆動系定数)29は、クランク軸15に設けたエンコーダ17のクランク角度現在値と角度補正量25の和から、K2(機械駆動系定数)28で演算したクランク角度指令値を減算した結果のクランク角度偏差値を位置偏差値に変換するので、上述のK2(機械駆動系定数)28と逆の演算となる。以上の演算結果の補正速度指令値NRでフィードバック制御を行うので、メインモータ10は、プレス荷重遅れの他、各種の偏差による遅れを解消して制御される。
【0019】
図3は、図1のシステム構成の一例で、本発明の同期制御方法に対応するマスタスレーブ制御方式を示し、図中のK1(機械駆動系定数)27、K3(機械駆動系定数)29の演算機能及びクラッチの接続、その他は、図2と同じである。図では、第1プレス機械5をマスタとしているが、操作盤20のスイッチの切り替えで任意のプレス機械をマスタとすることが出来る。プレス加工荷重の差が大きい場合は、最も運転速度の低いプレス機械をマスタとして選択する必要がある。
【0020】
クラッチ13をOFFとして、メインモータ10を起動し、指令した速度となるまでは、図1の角度制御部8に相当する同期制御装置33内のb1、b2部の演算は行われない。クラッチ13をONとした後は、マスタとした第1プレス機械5のエンコーダ17のクランク角度現在値と第2プレス機械6のエンコーダ17のクランク角度現在値の差分値に、角度補正量2(32)を加算してプレス機械間のクランク角度偏差値DERを生成し、K3(機械駆動系定数)29で演算し、位置偏差値に変換し、これを第2プレス機械6の位置偏差値としてb2部に加算して制御する。従って、マスタである第1プレス機械5とクランク角度差のない速度制御が可能である。
【0021】
図4は、図1のシステム構成の一例の独立角度制御方式とマスタスレーブ方式を組み合わせた方式を示す。図中の演算ブロックK1(27)、K2(28)及びK3(29)の機能、及びクラッチ接続までの動作機能は、図2で説明した独立角度制御方式と同一である。図において、第1プレス機械5をマスタとしているが、操作盤20のスイッチの切り替えで任意の他のプレス機械をマスタとすることが出来る。各プレス機械ごとに独立したクランク角度制御を行いながら、マスタプレス機械を基準としてプレス機械間のクランク角度差が生じた場合は、極めて短時間で補正が可能な方式である。
【0022】
図5は、本システム構成におけるプレス加工前後のメインモータの速度指令と実際の速度の変動を表したもので、Nはモータ速度、N1のレベルは指令速度、線1は実施例のモータ速度、線2は参考として従来例のモータ速度、線3は従来例の速度偏差累積値(クランク角度差)、線4は実施例の速度差累積値を示す。この図で明らかなように、本発明の実施例では速度偏差の累積値は、短時間に減少する。
【0023】
図5において、T1でプレス加工が行われ、速度低下、クランク角度偏差が表れるが、次のプレス加工が行われるT3までに速度を増加させて、クランク角度偏差がなくなるように回復させている。従来例では、速度が回復するだけでクランク角度偏差は残ったままとなり、累積して次第に増大するのと比べ、大きな差がある。
【0024】
図2、図3及び図4における同期制御装置26、33及び34は、全て図1に示す角度制御8に相当し、角度制御部8内のスイッチの切り替え操作により選択することが出来る。また、マスタとなるプレス機械の選択もスイッチの切り替え操作により自由に選択出来るので、各プレス機械のプレス荷重を考慮して選べば、プレスラインとしての効率を向上させることも出来る。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、所定のマスタースレーブ方式の角度制御アルゴリズムを使用しているので、マスタプレス機械を基準としてプレス機械相互間に発生したクランク角度偏差値を極めて短時間に除去することが出来る。さらに、制御アルコリズムは、ソフトウエアで構成されているため、制御方式の変更はスイッチの切り替えで簡単に出来、かつアルゴリズムの追加も簡単に出来ると言う柔軟なシステムである。
【0027】
また、請求項6においては、マスタである第1プレス機械とクランク角度差のない速度制御が可能である。
さらに、請求項7においては、各プレス機械ごとに独立したクランク角度制御を行いながら、マスタプレス機械を基準としてプレス機械間のクランク角度差が生じた場合は、極めて短時間で補正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同期制御方法を実施するためのシステム構成図
【図2】同じく、独立角度制御方式の制御構成図
【図3】本発明に対応するマスタスレーブ制御方式の制御構成図
【図4】同じく、独立角度制御・マスタスレーブ制御方式の制御構成図
【図5】同じく、モータ速度の推移説明図
【図6】従来例のシステム構成図
【図7】同じく、簡易同期システム制御構成図
【図8】同じく、クランク角度の推移図
【図9】同じく、モータ速度の推移図
【符号の説明】
1、20は操作盤、2、26、33、34は同期制御装置、3、4は制御盤、5は第1プレス機械、6は第2プレス機械、7はA/D変換器、8は角度制御部、9はドライバ、10はメインモータ、11はエンコーダ、12はフライホイール、13はクラッチ、14はメインギヤ、15はクランク軸、16はスライド、17はエンコーダ、23、41はSPM設定器、24は速度制御部、25、32は角度補正量、27はK1(機械駆動系定数)、28はK2(機械駆動系定数)、29はK3(機械駆動系定数)、30は積分器、31はPI(演算器)、Nは速度指令値、NRは補正速度指令値、RRは角度指令値、PREは位置偏差値、DERはプレス機械間角度偏差、である。
Claims (1)
- ライン構成して立設する複数のプレス機械の同期制御方法において、
設定したスライドストローク数のデジタル値を各プレス機械に分配するとともに、各プレス機械ごとに機械駆動系のゲイン定数K1を用いて速度指令値に変換してメインモータの速度制御を行いつつ、
マスタプレス機械は、速度指令値を積分して得た位置指令値に、プレス機械に必要なクランク角度補正量を機械駆動系のゲイン定数K3を用いて変換した位置補正値を加算し、
さらに、メインモータに設けたエンコーダ出力から得られる位置現在値を減算して得た位置差分値をPI演算(比例積分)して速度指令値に加算し、補正速度指令値を求め、
スレーブプレス機械は、マスタプレス機械とスレーブプレス機械のそれぞれのクランク軸に設けたエンコーダ出力から得られるクランク角度現在値の偏差値にプレス機械に必要なクランク角度補正量を加算し、
この結果を機械駆動系のゲイン定数K3を用いて得た位置補正値を、速度指令値を積分して得た位置指令値に加算するとともに、メインモータに設けたエンコーダ出力から得た位置現在値を減算して位置差分値を求め、
この位置差分値をPI演算(比例積分)して速度指令値に加算し、補正速度指令値を求める、と言うマスタスレーブ方式の角度制御アルゴリズムを使用することを特徴とするプレス機械の同期制御方法。
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