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JP3690966B2 - メタルボンド砥石 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属粉末からなる結合剤を用い焼結法により砥粒を結合したメタルボンド砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒などの超砥粒を用いた砥石として、レジンボンド砥石、ビトリファイド砥石、メタルボンド砥石がある。レジンボンド砥石はフェノール樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂を用いて砥粒を結合保持したものであり、ビトリファイド砥石はガラス質で砥粒を結合保持したものであり、メタルボンド砥石は金属粉末と砥粒を混合成形し焼結により結合保持したものである。
【0003】
レジンボンド砥石、ビトリファイド砥石、メタルボンド砥石にはそれぞれ一長一短があり、強度や保持力、寿命などから、ガラス、セラミックス、耐火れんがなどの脆弱材料の切断や研削にはメタルボンド砥石が主に使用されている。メタルボンド砥石はレジンボンド砥石に比べて耐熱性、寿命の点で優れており、ビトリファイド砥石に比べて強度、寿命の点で優れている。
【0004】
メタルボンド砥石は、台金と砥材層を同時成形する製造法の場合は、金属粉末に砥粒を均一に混合して台金とともに型込めし、プレス成形および焼結を経て成形される。砥材層を別に製作後台金に接合する製造法の場合は、砥材層はプレス成形後焼結または粉末のまま焼結される。結合剤である金属粉末としては、銅−錫系、銅−錫−コバルト系、銅−錫−鉄−コバルト系、銅−錫−ニッケル系、銅−錫−鉄−ニッケル系などが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来メタルボンド砥石の結合剤として一般に用いられている金属粉末は、球状、樹枝状、鱗状の形状の金属粉末であり、その表面に凹凸は存在するが、全体として緻密な固体である。また、粉末どうしの結合は焼結時における粉末表面の拡散または溶融によるため、焼結後の結合層の組織の均一性と性能は、粉末の粒径に依存する。粉末の粒径が大きいほど組織の均一性が悪く、性能がばらつき、粉末の粒径が小さいほど組織の均一性が良くなり、性能が安定する。このため、砥粒を保持する結合剤の磨耗が少なく研削能率や寿命に安定した性能を得るためには、粒径の細かい粉末を用いなければならない。しかしながら、粒度の細かい粉末ほど、撹拌その他の工程における取扱いが難しくなる。
【0006】
また、金属粉末の特性は、それぞれの金属によって長所、短所がある。焼結後の結合層の特性は、各種の金属粉末を混合することによってある程度のバランスのとれた特性とすることができるが、必ずしも最良の特性が得られるとは限らない。たとえば、強度の高い鉄粉末に、焼結温度を低くするには適しているが強度低下をもたらす錫粉末を添加すると、強度は錫粉末の影響で低くなってしまう。また、砥粒保持力の高いコバルト粉末に、熱伝導率に優れるが砥粒保持力の弱い銅粉末を添加すると、砥粒保持力は銅粉末の影響で弱くなってしまう。
【0007】
本発明が解決すべき課題は、メタルボンド砥石において、焼結後に結合層の最良の特性が得られる結合剤の金属粉末の混合形態を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来のメタルボンド砥石用の結合剤として一般に用いられている金属粉末が、微粒の粉末とはいえすべて緻密な固体である点について金属粉末の形態から根本的に見直し、表面に開口する空隙を有するスポンジ状の金属粉末と他の金属粉末を混合して用いたときに、両方の金属粉末が互いの短所を補うように作用して、最良の特性を得ることができることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち本発明のメタルボンド砥石は、内部において互いに連通するとともに表面に開口した多数の空隙を有するスポンジ状金属粉末と他の金属粉末を混合したメタルボンドを砥粒の結合剤として用いたメタルボンド砥石であって、前記スポンジ状の金属粉末として前記他の金属粉末よりも融点が高い金属粉末、または、前記他の金属粉末よりも強度が高い金属粉末を用いたことを特徴とする。
【0010】
メタルボンド砥石の結合剤としてスポンジ状金属粉末と他の金属粉末を混合することにより、スポンジ状金属粉末の空隙に他の金属粉末が入り込み、スポンジ状金属粉末がもつ特性はそのままに、他の金属粉末がもつ特性を結合剤に付加することができる。たとえば強度の高いスポンジ状の鉄粉末に焼結温度を低くするのに適した錫粉末を混合すると、鉄の強度を維持したうえで焼結温度を低くすることができる。これは、スポンジ状の鉄粉末が結合剤の骨格となり、混合する錫粉末が充填材の役割をもつことを意味する。また、スポンジ状鉄粉末の空隙に熱伝導率の高い錫が入り込むことにより放熱性が高まり、加工中の焼け、変形などが減少し、効率よく加工できることになる。
【0011】
スポンジ状金属粉末と他の金属粉末の関係は、スポンジ状金属粉末の融点が他の金属粉末の融点より高いことから、焼結温度を他の金属粉末の融点よりも高くすることによって、溶融した他の金属がスポンジ状金属粉末の空隙のなかに入り込むことができる。また、他の金属粉末の強度がスポンジ状金属粉末の強度より低く、スポンジ状金属粉末は弾性変形が可能であるので、成形時に圧力の付加を繰り返すことにより他の金属粉末をスポンジ状金属粉末の空隙に入り込ませることができる。
【0012】
たとえばスポンジ状金属粉末として鉄のスポンジ状粉末を用い、他の金属粉末として錫の粉末を用いた場合、焼結温度を錫の融点よりも高くすることによって、鉄のスポンジ状粉末は粉末の形状を維持し、錫は溶融した状態になる。この状態で、図2(a)に示す鉄のスポンジ状粉末10の表面に開口した空隙10aに、溶融した錫が同図(b)において矢印で示すように入り込む。鉄のスポンジ状粉末10は錫の粉末よりも強度が高くかつ弾性変形が可能であるので、成型時の圧力により溶融状態の錫が鉄のスポンジ状粉末10の表面に開口した空隙10aに入り込む。
【0013】
スポンジ状の金属粉末の空隙に他の金属粉末が入り込むことにより、その断面が微細化されたのと同じ状態になり、砥粒の保持力、結合層の摩耗性が安定し、加工能率が安定する。また、焼結時の温度、圧力を制御することによりスポンジ状金属粉末に任意の量の空隙を残すことができ、これにより結合層の硬さを調整したり、加工時にこの空隙に冷却液を保持させたりすることができる。
【0014】
また、スポンジ状の鉄粉末が強度の高い骨格となることから、砥粒が結合剤中に埋まり込むことがなく、砥石の加工性能を維持することができる。従来のたとえば鉄−錫系のメタルボンド砥石50においては、図3の(a)に示すように、高強度の鉄20の間に低強度の錫30が存在している状態であるので、図中に破線で示すように、研削加工中に砥粒40が低強度の錫30の部分に埋まりやすく、これによって砥石の切れ味が低下する。これに対し本発明の砥石1においては、同図(b)に示すように、高強度の鉄のスポンジ状粉末10の骨格のなかに低強度の錫30が入り込んだ状態にあるので、砥粒40は高強度の鉄のスポンジ状粉末10の骨格に支持されて突出高さを維持することができる。
【0015】
スポンジ状金属粉末の粒径範囲は10〜200μmとするのが好ましい。粒径が10μm未満であると連通する空隙が小さくなってスポンジ状金属粉末の効果が小さくなり、また空隙が小さいために表面張力が大きくなって他の金属が空隙に侵入しにくくなり、通常の金属粉末との性能差がなくなる。一方、粒径が200μmを超えて大きくなると、他の金属がスポンジ状金属粉末の中心部まで侵入するのに時間がかかり、侵入による効果が充分に発揮されない。
【0016】
ここで、10〜200μmの範囲は従来の結合剤の金属粉末の粒径範囲と比べると大きいが、この範囲の粒径のスポンジ状金属粉末を用いても、内部の空隙に他の金属粉末が充填されていることによって、焼結後の結合層は微細な組織となり、砥粒の保持力が安定し、結合層の摩耗速度が一定となって、安定した特性を得ることができる。また、粒径が大きいことによって粒界が少なくなり、耐衝撃性や耐腐食性が高められる。
【0017】
結合剤中に占めるスポンジ状金属粉末の適正な配合割合は、スポンジ状金属粉末の材質によって異なるが、20〜80体積%の範囲とするのが好ましい。この割合が20体積%より少なくなると、スポンジ状金属粉末の連結が悪くなって前記した骨格としての効果が得られにくくなる。一方、この割合が80体積%より多くなると、スポンジ状金属粉末の全部の空隙に対して他の金属粉末が侵入されない空隙の割合が多くなるので好ましくない。
【0018】
本発明において使用できるスポンジ状金属粉末としては、粉末冶金用鉄粉、化学処理された合金粉などがあるが、市場において比較的入手が容易でかつメタルボンド砥石の結合剤として最適なものは、還元鉄粉といわれる鉄のスポンジ状粉末である。一般に市販されている粉末冶金用鉄粉には、噴霧鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉などがあるが、噴霧鉄粉、電解鉄粉は粒子表面が比較的滑らかで粒子どうしの絡み合いが弱く、成形性に劣る。これに対し還元鉄粉は粒子形状が不規則形状であるため粒子どうしの絡み合いがよく、成形性に優れている。さらに還元鉄粉は個々の粒子がスポンジ状となっていて、内部において互いに連通するとともに表面に開口した多数の空隙を有し、かつ強度も高いので、本発明において用いるスポンジ状金属粉末としてとくに適している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、試験例に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、厚さ1.2mm、外径95mmの台金2の外周面上に、スリット4を介して8個のセグメント3を一定間隔で配したメタルボンド砥石1を、表1に示すようにスポンジ状金属粉末の配合を変えて製作した。発明品1〜8の砥石のセグメント形成のための結合剤は平均粒径40μmのスポンジ状の還元鉄粉と平均粒径40μmの銅粉末および錫粉末であり、砥粒は平均粒径400μmのダイヤモンド砥粒である。従来品はスポンジ状の還元鉄粉を使用していない従来型のメタルボンド砥石である。電動グラインダーを使用し、被研削材としてコンクリートを乾式の条件で研削したときの平均切断速度およびセグメントの磨耗量を表1に併せて示す。
【0020】
【表1】
Figure 0003690966
【0021】
表1からわかるように、スポンジ状の還元鉄粉を20〜80体積%の範囲で配合した結合剤を用いた発明品1〜6の砥石は、従来品の砥石と同等の切れ味を維持したうえで、セグメントの磨耗量が減少している。還元鉄粉の配合割合が少ない発明品7および配合割合の多い発明品8の砥石は、切れ味、磨耗量とも従来品の砥石と同程度であり、還元鉄粉の場合は配合割合を20〜80体積%の範囲内とするのが望ましいことが確認された。
【0022】
【発明の効果】
(1)メタルボンド砥石用の結合剤として、内部において互いに連通するとともに表面に開口した多数の空隙を有するスポンジ状の金属粉末と他の金属粉末を混合することにより、スポンジ状金属粉末の空隙に他の金属粉末が入り込み、スポンジ状金属粉末がもつ特性はそのままに、他の金属粉末がもつ特性を結合剤に付加することができ、最良の特性を得ることができる。
【0023】
(2)スポンジ状金属粉末として、メタルボンド砥石用の結合剤として従来用いられている金属粉末(他の金属粉末)よりも融点の高い金属のスポンジ状粉末、または、強度の高い金属のスポンジ状粉末を用いることにより、砥材層形成の焼結工程において焼結温度を高めてスポンジ状金属粉末の空隙に他の金属粉末を入り込ませ、スポンジ状金属粉末がもつ特性はそのままに、他の金属粉末がもつ特性を結合剤に付加することができる。また、強度の高いスポンジ状金属粉末の強度を維持したうえで焼結温度を低くして焼結コストを低減することができる。
【0024】
(3)スポンジ状金属粉末の粒径およびスポンジ状金属粉末の材質に応じた混合割合を特定の範囲に設定することで、上記の効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験に供したメタルボンド砥石を示す正面図である。
【図2】 スポンジ状金属粉末の空隙内への他の金属の入り込みを説明する図である。
【図3】 ボンド層への砥粒の埋まり込みを説明する図である。
【符号の説明】
1 メタルボンド砥石
2 台金
3 セグメント
4 スリット
10 スポンジ状粉末
10a 空隙

Claims (4)

  1. 内部において互いに連通するとともに表面に開口した多数の空隙を有するスポンジ状金属粉末と他の金属粉末を混合したメタルボンドを砥粒の結合剤として用いたメタルボンド砥石であって、前記スポンジ状の金属粉末として前記他の金属粉末よりも融点が高い金属粉末、または、前記他の金属粉末よりも強度が高い金属粉末を用いたメタルボンド砥石。
  2. 前記スポンジ状金属粉末の粒径範囲が10〜200μmである請求項1記載のメタルボンド砥石。
  3. 結合剤中に占める前記スポンジ状金属粉末の割合が20〜80体積%の範囲である請求項1または2記載のメタルボンド砥石。
  4. 前記スポンジ状金属粉末が還元鉄粉である請求項1ないし3のいずれかに記載のメタルボンド砥石。
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