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JP3695017B2 - 回折光を利用した溝形状測定方法 - Google Patents
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JP3695017B2 - 回折光を利用した溝形状測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法に関し、特に光ディスクの表面に刻まれた周期溝の溝形状を測定する、回折光を利用した溝形状測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの表面には周期的に溝が刻まれている。光ディスクを製造するには、その周期溝の溝形状、即ち溝幅及び溝深さを精度良く管理する必要がある。その周期溝の溝形状を測定する従来の溝形状測定方法として、回折光を利用したものが知られている。この測定方法はタリステップやAFM(Atomic Force Microscope)等の接触型に比べ、非接触で非常に効率良く溝形状を測定することができる。
【0003】
この従来の測定方法を図13に基づいて説明する。
まず、レーザー光を光ディスク1の表面に刻まれた周期溝に照射する。
この照射により生じる0次、1次及び2次回折光を受光器2で受光し、各回折光の強度を測定する。
この測定によりそれぞれ得られる第1の回折光強度比(1次光強度/0次光強度)及び第2の回折光強度比(2次光強度/1次光強度)の2種類の回折光強度比に基づいて周期溝の溝形状(溝幅及び溝深さ)を決定する。
この従来の測定方法では、予め、様々な溝幅、溝深さに対する第1の回折光強度比及び第2の回折光強度比をそれぞれ計算しておく。この計算結果を等高線表示したのが図14の曲線群である。回折光強度比の曲線群はベクトル回折理論により精度よく計算される。図14では、横軸に溝深さが、縦軸に溝幅がそれぞれ示されている。
測定で得られた第1の回折光強度比が0.2で、第2の回折光強度比が1.0であるとすると、第1の回折光強度比が0.2の曲線と第2の回折光強度比が1.0の曲線との交点Aから溝深さ及び溝幅が求まる。
このように、従来の溝形状測定方法によれば、溝形状が矩形の場合には、2つの未知数(溝幅、溝深さ)に対し、測定で得られる回折光強度比は2種類(第1及び第2の回折光強度比)であるから、矩形の周期溝の溝形状を決定できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の溝形状測定方法では、溝形状が台形の場合、溝形状のパラメーターは溝深さ、上底幅及び下底幅の3つであり、これら3つ未知数に対し測定で得られる回折光強度比は2種類であるから、台形の溝形状を決定することができないという問題点があった。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その課題は、台形の周期溝の溝形状を決定することができる回折光を利用した溝形状測定方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、偏光面が互いに異なる2種類の直線偏光の一方を周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、2種類の直線偏光の他方を周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、一方の直線偏光による2種類の回折光強度比と、他方の直線偏光による2種類の回折光強度比との4種類の回折光強度比に基づいて、周期溝の溝形状を決定する工程とを有することを特徴とする、回折光を利用した溝形状測定方法である。
【0006】
また、上記課題を解決するため本発明は、基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、入射角が互いに異なる2種類の偏光の一方を周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、2種類の偏光の他方を周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、一方の偏光による2種類の回折光強度比と、他方の偏光による2種類の回折光強度比との4種類の回折光強度比に基づいて、周期溝の溝形状を決定する工程とを有することを特徴とする、回折光を利用した溝形状測定方法である。
【0007】
さらにまた、上記課題を解決するため本発明は、基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、レーザ光を周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次、2次回折光及び3次回折光の各強度を測定して、これら4つの回折光の強度から3種類の回折光強度比を求める工程と、3種類の強度比に基づいて、周期溝の溝形状を決定する工程とを有することを特徴とする、回折光を利用した溝形状測定方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2はこの発明の第1実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法を示している。この溝形状測定方法は、光ディスク10の表面に刻まれた台形の周期溝10aの溝形状を、0次、1次及び2次回折光を利用して測定するもので、偏光面が互いに異なる2種類の直線偏光を用いる。すなわち、偏光面の向きが周期溝10aに平行な直線偏光(E偏光と呼ぶ)と、偏光面の向きが周期溝10aに垂直な直線偏光(H偏光と呼ぶ)とを用いる。E偏光では偏光面は入射面に垂直即ちS偏光になっている。H偏光では偏光面は入射面に含まれる即ちP偏光である。
一般に回折光強度は偏光面(電場ベクトルの振動面)の向きが溝に平行か垂直かで異なる。この偏光差を利用して台形の周期溝10aの溝形状を決定することができる。なお、この偏光差はスカラー回折理論では説明できず、ベクトル回折理論によらなければならない。
【0009】
さて、第1実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法を実施するための測定機には、入射するレーザ光の偏光面を回転させるための1/2波長板11、0次、1次及び2次回折光を受光し、その強度に応じた電気信号を出力する受光器12等が設けられている。この受光器12は、例えば2分割受光素子で構成されている。1つの受光器12を各回折光の受光位置に移動可能に設けてもよいし、各回折光の受光位置に受光器12をそれぞれ配置してもよい。
【0010】
この第1実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法は、以下の工程(1)〜(4)から構成されている。
(1)予め、E偏光及びH偏光の各々に対し、様々な台形の周期溝10aに対する回折光強度の曲線群を準備しておく。
例えば、E偏光を周期溝10aに照射した場合及びH偏光を周期溝10aに照射した場合の各々について、
1:台形の周期溝10aの上底幅
2:周期溝10aの下底幅
Δ:周期溝10aのだれ(Δ=w1−w2
としたとき、Δ=0nm、200nm、400nmの3通りについて、図3及び図4に示すような回折光強度比の曲線群を計算しておく。両図では、横軸に溝深さhが、縦軸に平均溝幅wm(wm=(w1+w2)/2)がそれぞれ示されている。
【0011】
即ち、E偏光でΔ=0nmとした場合の、2種類の回折光強度比aE,bEの曲線群(図3参照)を準備しておく。同様に、E偏光でΔ=200nmとした場合及びE偏光でΔ=400nmとした場合の各々について、2種類の回折光強度比aE,bEの曲線群(図3と同様の曲線群で共に図示略)を準備しておく。また、E偏光と同様に、H偏光でΔ=0nmとした場合の、2種類の回折光強度比aE,bEの曲線群(図4参照)を準備しておく。同様に、H偏光でΔ=200nmとした場合及びH偏光でΔ=400nmとした場合の各々について、2種類の回折光強度比aH,bHの曲線群(図4と同様の曲線群で共に図示略)を準備しておく。
このように、E偏光に対する3種類の曲線群とH偏光に対する3種類の曲線群、都合6種類の曲線群を準備しておく。なお、各曲線群の計算はベクトル回折理論を用いる。
【0012】
(2)次に、1/2波長板11を回転してレーザ光の偏光面を回転させることにより、偏光面が互いに異なる2種類の直線偏光の一方、例えばE偏光を周期溝10aに照射する。このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を受光器12により測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比、即ち、第1の回折光強度比aE(1次光強度/0次光強度)及び第2の回折光強度比bE(2次光強度/1次光強度)を求める。
【0013】
(3)次に、1/2波長板11を回転してレーザ光の偏光面を回転させることにより、2種類の直線偏光の他方、例えばH偏光を周期溝10aに照射する。このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を受光器12により測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比、即ち、第1の回折光強度比aH及び第2の回折光強度比bHを求める。
【0014】
(4)E偏光による2種類の回折光強度比aE,bEと、H偏光による2種類の回折光強度比aH,bHとの4種類の回折光強度比に基づいて台形の周期溝10aの溝形状を決定する。
この決定を行う具体的な手順は、以下の工程(4a)〜(4d)から構成されている。
【0015】
(4a)まず、E偏光でΔ=0nmとした場合の回折光強度比aE,bEの曲線群(図3参照)と、上記工程(2)で求めたE偏光による2種類の回折光強度比aE,bEとから、E偏光でΔ=0nmとした場合の溝深さh(E,0)及び平均溝幅w(E,0)を決定する。例えば、第1の回折光強度比aEを約0.23、第2の回折光強度比bEを約1.3とすると、両強度比aE,bEより求まる曲線群の交点Bから、溝深さh(E,0)及び平均溝幅w(E,0)を決定する。
同様に、E偏光でΔ=200nmとした場合の回折光強度比aE,bEの曲線群(図示略)と、工程(2)で求めたE偏光による2種類の回折光強度比aE,bEとから、E偏光でΔ=200nmとした場合の溝深さh(E,200)及び平均溝幅w(E,200)を決定する。
同様に、E偏光でΔ=400nmとした場合の回折光強度比aE,bEの曲線群(図示略)と、工程(2)で求めたE偏光による2種類の回折光強度比aE,bEとから、E偏光でΔ=400nmとした場合の溝深さh(E,400)及び平均溝幅w(E,400)を決定する。
【0016】
(4b)次に、H偏光でΔ=0nmとした場合の回折光強度比aH,bHの曲線群(図4参照)と、上記工程(3)で求めたH偏光による2種類の回折光強度比aH,bHとから、H偏光でΔ=0nmとした場合の溝深さh(H,0)及び平均溝幅w(H,0)を決定する。例えば、第1の回折光強度比aHを約0.23、第2の回折光強度比bHを約0.9とすると、両強度比aH,bHより求まる曲線群の交点Cから、溝深さh(H,0)及び平均溝幅w(H,0)を決定する。
同様に、H偏光でΔ=200nmとした場合の回折光強度比aH,bHの曲線群(図示略)と、工程(3)で求めたH偏光による2種類の回折光強度比aH,bHとから、H偏光でΔ=200nmの場合における溝深さh(H,200)及び平均溝幅w(H,200)を決定する。
同様に、H偏光でΔ=400nmとした場合の回折光強度比の曲線群(図示略)と、工程(3)で求めたH偏光による2種類の回折光強度比aE,bEとから、H偏光でΔ=400nmの場合における溝深さh(H,400)及び平均溝幅w(H,400)を決定する。
【0017】
(4c)次に、上記工程(4a)で決定したE偏光に対する3通りの平均溝幅w(E,0),w(E,200)及びw(E,400)と、上記工程(4b)で決定したH偏光に対する3通りの平均溝幅w(H,0),w(H,200)及びw(H,400)とから、台形の周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を決定する。
即ち、E偏光に対する3通りの平均溝幅を曲線で結ぶと図5に示す曲線Pが得られる。図5では、横軸に周期溝10aのだれΔが、縦軸にその平均溝幅wmがそれぞれ示されている。同様に、H偏光に対する3通りの平均溝幅を曲線で結ぶと同図に示す曲線Qが得られる。真の溝形状は曲線P上にあると共に曲線Q上にもあるので、2つの曲線PQの交点Dが求める台形の周期溝10aの溝形状である。したがって、その交点Dから台形の周期溝10aのだれΔ及び平均溝幅wmを求めることができる。
この求めたΔ及びwmから周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を、
m=(w1+w2)/2、及び、
Δ=w1−w2
の関係式に基づき決定することができる。
【0018】
(4d)次に、上記工程(4a)で決定したE偏光に対する3通りの溝深さh(E,0),h(E,200)及びh(E,400)と、上記工程(4b)で決定したH偏光に対する3通りの溝深さh(H,0),h(H,200)及びh(H,400)とから、台形の周期溝10aの溝深さhを決定する。
即ち、E偏光に対する3通りの溝深さを曲線で結ぶと図6に示す曲線Pが得られる。図6では、横軸に周期溝10aのだれΔが、縦軸にその溝深さhがそれぞれ示されている。同様に、H偏光に対する3通りの溝深さを曲線で結ぶと同図に示す曲線Qが得られる。真の溝形状は曲線P上にあると共に曲線Q上にもあるので、2つの曲線PQの交点Fが求める台形の周期溝10aの溝形状である。したがって、その交点Fから台形の周期溝10aのだれΔ及び溝深さhを求めることができる。なお、ここで求めただれΔと上記工程(4c)で求めただれΔは同じ値である。
このようにして、上記工程(4c)で周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を、上記工程(4d)で溝深さhをそれぞれ決定することができる。
【0019】
この第1実施例によれば、回折光強度がE偏光とP偏光とで異なること(偏光差)を利用して、E偏光に対する2種類の回折光強度比aE,bE及びP偏光に対する2種類の回折光強度比aH,bHをそれぞれ求め、これら4種類の回折光強度比aE,bE,aH,bH(4つのパラメータ)に基づいて台形の周期溝10aの溝形状を決定するので、その溝形状、即ち上底幅w1、下底幅w2及び溝深さhの3つの未知数を決定することができる。
【0020】
なお、第1実施例では、3通りのだれΔに対してそれぞれ得られる、E偏光に対する3通りの平均溝幅、H偏光に対する3通りの平均溝幅、E偏光に対する3通りの溝深さ及びH偏光に対する3通りの溝深さにより、図5の曲線P、同図の曲線Q、図6の曲線P及び同図の曲線Qをそれぞれ描いている。勿論、Δの数は3通りより多いほうが曲線P,Qを精度よく描けて溝形状をより精度良く決定することができる。しかし、Δが3通りであっても、放物線近似を使えば良い精度で曲線P及びQが描ける。
【0021】
なお、この第1実施例では、3つの回折光の強度から求める2種類の回折光強度比を第1の回折光強度比aE,aH(1次光強度/0次光強度)及び第2の回折光強度比bE,bH(2次光強度/1次光強度)としているが、2種類の回折光強度比を、1次光強度/0次光強度の強度比及び2次光強度/0次光強度の強度比、又は2次光強度/0次光強度の強度比及び2次光強度/1次光強度の強度比としてもよい。
【0022】
また、第1実施例の上記説明において、この発明の理解を容易にするために、予めE偏光及びH偏光の各々に対し、様々な台形状の周期溝10aに対する回折光強度の曲線群を準備しておくと説明した。例えば、3通りのだれΔにそれぞれ対応するE偏光に対する3種類の曲線群(図3参照)と、3通りのだれΔにそれぞれ対応するH偏光に対する3種類の曲線群(図4参照)を準備しておくと説明した。しかし、実際には、図3及び図4に示すような曲線群を準備するのではなく、様々な台形の周期溝10aに対する回折光強度のデータ群をベクトル回折理論により計算して作っておき、このデータ群を利用して、測定結果より数値計算によって直接溝形状を求めることができる。
【0023】
次に、この発明の第2実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法を、図7〜図11に基づいて説明する。
この溝形状測定方法は、偏光状態が同じで、入射角が互いに異なる2種類の偏光を用いるものである。
一般に、回折光強度は入射角によって変化する。この入射角特性を利用して台形の溝形状を決定することができる。なお、この入射角依存性もスカラー回折理論では説明できず、ベクトル回折理論によらなければならない。
レーザー光の偏光状態は、入射角が変わった時にレーザー光の偏光状態が不変であれば、円偏光でもE偏光でもH偏光でもかまわない。しかし、H偏光はアノマリーを生じることがあり、内挿が不可能なこともあるので、E偏光の方が好ましい。
この第2実施例では、前記2種類の偏光として、ある入射角(例えばθ=30°)のE偏光と、別の入射角(例えばθ=60°)のE偏光とを用いる。
【0024】
この第2実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法は、以下の工程(1)〜(4)から構成されている。
(1)予め、入射角30°のE偏光及び入射角60°のE偏光の各々に対し、様々な台形の周期溝10aに対する回折光強度の曲線群を準備しておく。
例えば、入射角30°のE偏光を周期溝10aに照射した場合及び入射角60°のE偏光を周期溝10aに照射した場合の各々について、Δ=0nm、200nm、400nmの3通りについて、図7及び図8に示すような回折光強度比の曲線群を計算しておく。
即ち、入射角30°のE偏光でΔ=0nmとした場合の、2種類の回折光強度比a30,b30の曲線群(図7参照)を準備しておく。同様に、入射角30°のE偏光でΔ=200nmとした場合及びΔ=400nmとした場合の各々について、2種類の回折光強度比a30,b30の曲線群(図7と同様の曲線群で共に図示略)を準備しておく。また、入射角30°のE偏光と同様に、入射角60°のE偏光でΔ=0nmとした場合の、2種類の回折光強度比a60,b60の曲線群(図8参照)を準備しておく。同様に、入射角60°のE偏光でΔ=200nmとした場合及びΔ=400nmとした場合の各々について、2種類の回折光強度比a60,b60の曲線群(図8と同様の曲線群で共に図示略)を準備しておく。
このように、入射角30°のE偏光に対する3種類の曲線群と入射角60°のE偏光に対する3種類の曲線群、都合6種類の曲線群を準備しておく。
【0025】
(2)次に、偏光状態が同じで、入射角が互いに異なる2種類の偏光の一方、例えば入射角30°のE偏光を周期溝10aに照射する。このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を受光器12により測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比、即ち、第1の回折光強度比a30(1次光強度/0次光強度)及び第2の回折光強度比b30(2次光強度/1次光強度)を求める。
【0026】
(3)次に、2種類の直線偏光の他方、例えば入射角60°のE偏光を周期溝10aに照射する。このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を受光器12により測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比、即ち、第1の回折光強度比a60及び第2の回折光強度比b60を求める。
(4)次に、入射角30°のE偏光による2種類の回折光強度比a30,b30と、入射角60°のE偏光による2種類の回折光強度比a60,b60との4種類の回折光強度比に基づいて台形の周期溝10aの溝形状を決定する。
【0027】
この決定を行う具体的な手順は、以下の工程(4a)〜(4d)から構成されている。
(4a)まず、入射角30°のE偏光でΔ=0nmとした場合の回折光強度比a30,b30の曲線群(図7参照)と、上記工程(2)で求めた入射角30°のE偏光による2種類の回折光強度比a30,b30とから、入射角30°のE偏光でΔ=0nmとした場合の溝深さh(30°,0)及び平均溝幅w(30°,0)を決定する。例えば、第1の回折光強度比a30を約0.21、第2の回折光強度比b30を約0.8とすると、両強度比a30,b30より求まる曲線群の交点Gから、溝深さh(30°,0)及び平均溝幅w(30°,0)を決定する。
同様に、入射角30°のE偏光でΔ=200nmとした場合の回折光強度比a30,b30の曲線群(図示略)と、工程(2)で求めた2種類の回折光強度比a30,b30とから、入射角30°のE偏光でΔ=200nmとした場合の溝深さh(30°,200)及び平均溝幅w(30°,200)を決定する。
同様に、入射角30°のE偏光でΔ=400nmとした場合の回折光強度比a30,b30の曲線群(図示略)と、工程(2)で求めた2種類の回折光強度比a30,b30とから、入射角30°のE偏光でΔ=400nmとした場合の溝深さh(30°,400)及び平均溝幅w(30°,400)を決定する。
【0028】
(4b)次に、入射角60°のE偏光でΔ=0nmとした場合の回折光強度比a60,b60の曲線群(図8参照)と、上記工程(3)で求めた2種類の回折光強度比a60,b60とから、入射角60°のE偏光でΔ=0nmとした場合の溝深さh(60°,0)及び平均溝幅w(60°,0)を決定する。例えば、第1の回折光強度比a60を約0.17、第2の回折光強度比b60を約1.3とすると、両強度比a60,b60より求まる曲線群の交点Jから、溝深さh(60°,0)及び平均溝幅w(60°,0)を決定する。
同様に、入射角60°のE偏光でΔ=200nmとした場合の回折光強度比a60,b60の曲線群(図示略)と、工程(3)で求めた2種類の回折光強度比a60,b60とから、入射角60°のE偏光でΔ=200nmの場合における溝深さh(60°,200)及び平均溝幅w(60°,200)を決定する。
同様に、入射角60°のE偏光でΔ=400nmとした場合の回折光強度比a60,b60の曲線群(図示略)と、工程(3)で求めた2種類の回折光強度比a60,b60とから、入射角60°のE偏光でΔ=400nmの場合における溝深さh(60°,400)及び平均溝幅w(60°,400)を決定する。
【0029】
(4c)次に、上記工程(4a)で決定した入射角30°のE偏光に対する3通りの平均溝幅w(30°,0),w(30°,200)及びw(30°,400)と、上記工程(4b)で決定した入射角60°のE偏光に対する3通りの平均溝幅w(60°,0),w(60°,200)及びw(60°,400)とから、台形の周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を決定する。
即ち、入射角30°のE偏光に対する3通りの平均溝幅を曲線で結ぶと図9に示す曲線Pが得られる。同様に、入射角60°のE偏光に対する3通りの平均溝幅を曲線で結ぶと同図に示す曲線Qが得られる。真の溝形状は曲線P上にあると共に曲線Q上にもあるので、2つの曲線PQの交点Kが求める台形の周期溝10aの溝形状である。したがって、その交点Kから台形の周期溝10aのだれΔ及び平均溝幅wmを求めることができる。
この求めたΔ及びwmから周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を、
m=(w1+w2)/2、及び、
Δ=w1−w2
の関係式に基づき決定することができる。
【0030】
(4d)次に、上記工程(4a)で決定した入射角30°のE偏光に対する3通りの溝深さh(30°,0),h(30°,200)及びh(30°,400)と、上記工程(4b)で決定した入射角60°のE偏光に対する3通りの溝深さh(60°,0),h(60°,200)及びh(60°,400)とから、台形状の周期溝10aの溝深さhを決定する。
即ち、入射角30°のE偏光に対する3通りの溝深さを曲線で結ぶと図10に示す曲線Pが得られる。同様に、入射角60°のE偏光に対する3通りの溝深さを曲線で結ぶと同図に示す曲線Qが得られる。真の溝形状は曲線P上にあると共に曲線Q上にもあるので、2つの曲線PQの交点Lが求める台形の周期溝10aの溝形状である。したがって、その交点Lから台形の周期溝10aのだれΔ及び溝深さhを求めることができる。なお、ここで求めただれΔと上記工程(4c)で求めただれΔは同じ値である。
【0031】
このようにして、上記工程(4c)で周期溝10aの上底幅w1と下底幅w2を、上記工程(4d)で溝深さhをそれぞれ決定することができる。
この第2実施例によれば、回折光強度は入射角によって変化するという入射角特性を利用して、入射角30°のE偏光に対する2種類の回折光強度比a30,b30及び入射角60°のE偏光に対する2種類の回折光強度比a60,b60をそれぞれ求め、これら4種類の回折光強度比a30,b30,a60,b60(4つのパラメータ)に基づいて周期溝10aの溝形状を決定するので、台形の周期溝10aの溝形状、即ち上底幅w1、下底幅w2及び溝深さhの3つの未知数を決定することができる。
【0032】
なお、この第2実施例では、3つの回折光の強度から求める2種類の回折光強度比を第1の回折光強度比a30,a60(1次光強度/0次光強度)及び第2の回折光強度比b30,b60(2次光強度/1次光強度)としているが、2種類の回折光強度比を、1次光強度/0次光強度の強度比及び2次光強度/0次光強度の強度比、又は2次光強度/0次光強度の強度比及び2次光強度/1次光強度の強度比としてもよい。
【0033】
次に、この発明の第3実施例に係る回折光を利用した溝形状測定方法を説明する。
この溝形状測定方法は、0次から3次までの4つの回折光を用いるものである。つまり、0次〜3次の4つの回折光強度から求まる3種類の回折強度比を用いる。
例えば、1次光強度/0次光強度、2次光強度/1次光光強度、及び3次光強度/2次光光強度の3種類の回折光強度比を用いることにより、台形の周期溝10aの溝形状に関する3つの未知数(上底幅w1,下底幅w2及び溝深さh)を決定することができる。
【0034】
なお、上記各実施例では、透過回折光を利用した場合について説明したが、反射回折光を利用した場合にも、透過回折光を利用した場合と同様の作用、効果が得られる。反射回折光を利用した場合のほうが、溝深さに関しては透過回折光の場合よりも4倍の感度が得られるから、測定により適している。
【0035】
次に、実際の光ディスクについて、回折光強度比の偏光特性及び入射角特性を調べて見る。
レーザ光の波長を0.488μm、
光ディスク(基板)10の屈折率を1.5、
周期溝(台形溝)10aの溝周期を0.8μm、
溝深さhを80nm、
台形溝の上底幅をw1
台形溝の下底幅をw2
台形溝のだれΔをΔ=w1−w2
台形溝の平均溝幅wmをwm=(w1+w2)/2=0.4μm、
0次透過回折光強度をT0、
1次透過回折光強度をT1、
として、台形溝のだれΔによる透過回折光強度比(1次光強度/0次光強度)の変化を示したのが図11及び図12である。両図に関する計算はベクトル回折理論によった。
【0036】
図11は偏光状態による透過回折光強度比の違いを示している。この図において、T0は0次透過回折光強度、T1は1次透過回折光強度である。この図から、入射角=45°の場合、E偏光とH偏光とで回折光強度比T1/T0が全く異なることがわかる。上記第1実施例によれば、このような偏光差(偏光特性)を利用することにより、台形溝の溝形状を精度良く決定できる。
【0037】
図12は入射角による透過回折光強度比の違いを示している。この図から、入射角=45°の場合、入射角30°のE偏光と入射角60°のE偏光とで透過回折光強度比T1/T0が全く異なることがわかる。上記第2実施例によれば、このような入射角特性を利用することにより、台形溝の溝形状を精度良く決定できる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、4種類の回折光強度に基づいて周期溝の形状を決定するので、台形の周期溝の溝形状、即ち上底幅、下底幅及び溝深さの3つの未知数を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る溝形状測定方法を示す説明図
【図2】周期溝に照射される2種類の偏光を説明するための説明図
【図3】E偏光で台形溝のだれΔを0nmとした場合の、2種類の回折光強度比aE,bEの曲線群を示すグラフ
【図4】H偏光でΔ=0nmとした場合の、2種類の回折光強度比aH,bHの曲線群を示すグラフ
【図5】台形溝の平均溝幅及びだれΔを決定するための説明に用いるグラフ
【図6】台形溝の溝深さh及びだれΔを決定するための説明に用いるグラフ
【図7】この発明の第2実施例に係る溝形状測定方法を示す図で、入射角30°のE偏光でだれΔを0nmとした場合の、2種類の回折光強度比a30,b30の曲線群を示すグラフ
【図8】入射角60°のE偏光でだれΔを0nmとした場合の、2種類の回折光強度比a60,b60の曲線群を示すグラフ
【図9】平均溝幅及びだれΔを決定するための説明に用いるグラフ
【図10】溝深さh及びだれΔを決定するための説明に用いるグラフ
【図11】偏光状態による回折光強度比の違いを示すグラフ
【図12】入射角による回折光強度比の違いを示すグラフ
【図13】従来の溝形状測定方法を示す説明図
【図14】2種類の回折光強度比の曲線群を示すグラフ
【符号の説明】
10…光ディスク 10a…台形の周期溝
11…1/2波長板 12…受光器

Claims (7)

  1. 基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、
    偏光面が互いに異なる2種類の直線偏光の一方を前記周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、
    前記2種類の直線偏光の他方を前記周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、
    前記一方の直線偏光による前記2種類の回折光強度比と、前記他方の直線偏光による前記2種類の回折光強度比との4種類の回折光強度比に基づいて、前記周期溝の溝形状を決定する工程と
    を有することを特徴とする回折光を利用した溝形状測定方法。
  2. 前記一方の直線偏光の偏光面は前記周期溝に平行であり、かつ
    前記他方の直線偏光の偏光面は前記周期溝に垂直である
    ことを特徴とする請求項1記載の回折光を利用した溝形状測定方法。
  3. 前記一方の直線偏光による前記2種類の回折光強度比及び前記他方の直線偏光による前記2種類の回折光強度比は共に、0次回折光に対する1次回折光の強度比と1次回折光に対する2次回折光の強度比であることを特徴とする請求項1又は2記載の回折光を利用した溝形状測定方法。
  4. 基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、
    入射角が互いに異なる2種類の偏光の一方を前記周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、
    前記2種類の偏光の他方を前記周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次及び2次回折光の各強度を測定して、これら3つの回折光の強度から2種類の回折光強度比を求める工程と、
    前記一方の偏光による前記2種類の回折光強度比と、前記他方の偏光による前記2種類の回折光強度比との4種類の回折光強度比に基づいて、前記周期溝の溝形状を決定する工程と
    を有することを特徴とする回折光を利用した溝形状測定方法。
  5. 前記2種類の偏光は、偏光面が前記周期溝に平行な直線偏光であることを特徴とする請求項4記載の回折光を利用した溝形状測定方法。
  6. 前記一方の偏光による前記2種類の回折光強度比及び前記他方の偏光による前記2種類の回折光強度比は共に、0次回折光に対する1次回折光の強度比と1次回折光に対する2次回折光の強度比であることを特徴とする請求項4又は5記載の回折光を利用した溝形状測定方法。
  7. 基板の表面に刻まれた周期溝の溝形状を回折光を利用して測定する溝形状測定方法において、
    レーザ光を前記周期溝に照射し、このとき生じる0次、1次、2次回折光及び3次回折光の各強度を測定して、これら4つの回折光の強度から3種類の回折光強度比を求める工程と、
    前記3種類の強度比に基づいて、前記周期溝の溝形状を決定する工程と
    を有することを特徴とする回折光を利用した溝形状測定方法。
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