JP3700446B2 - リボン巻き防止方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動ワインダー等のリボン巻き防止方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動ワインダーは、精紡機で生産された精紡ボビンを綾振りドラム上で回転するパッケージに巻き取って、所定の糸量、形状のパッケージとする。
【0003】
このパッケージの巻取中に綾振りドラムとパッケージの回転数が整数倍或いは整数分の1になったときに、綾振り周期とパッケージの巻取周期が同期して、巻き取られる糸が同じところに集まり重なって、いわゆるリボン巻きが発生する。
【0004】
このようにリボン巻きが発生したパッケージでは、リボン巻き糸同士が相互に絡み合い、後工程でパッケージの糸を解舒した際に、リボン巻き糸毎パッケージから一挙に解舒されるスラッフィングを起こしてしまう。
【0005】
このパッケージのリボン巻きについて、綾振りドラムのワインド数をDw ,ドラム径をDd ,パッケージのワインド数をPw ,パッケージ径をPd とすると、下式(1)の関係となる。
【0006】
Pw =Dw ×Dd /Pd …(1)
また、ドラムの回転数をNd ,パッケージの回転数をNp とすると、パッケージのワインド数Pw は、下式(2)の関係となる。
【0007】
Pw =Dw ×Np /Nd …(2)
上記(1)式よりリボン巻きは、ドラム径Dd =98mm、ドラムワインド数Dw =2.5とすると、パッケージ径Pd が、それぞれ81mm(3W),98mm(2.5W),122mm(2W),163mm(1.5W)、245mm(1W)のときに発生する。
【0008】
従来、このリボン巻きを防止するには、本発明者が特公平2−40577号公報で提案したように、ディスターブ制御を行うこと、すなわちリボン巻き発生径の近傍で綾振りドラムの回転を増減速させてパッケージとドラム間にスリップを生じさせて綾振り糸の糸道を分散させて巻き取ることで、リボン崩しが行える。
【0009】
すなわち、ドラム回転数(Nd )を増減速しても、パッケージは、その慣性力で略一定の回転数(Np )で回転するため、上記(2)式に示したパッケージワインド数(Pw )を変えてリボン崩しが行える。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述のように、リボン巻き発生径の近傍でドラム回転数を増減速してディスターブ制御を行うと、パッケージに巻き付けられるワインド数が細かく変化し、このワインド数の変化で、リボン巻き領域に入り、現実にはリボン発生径以外でも細かいリボン巻きが発生し、パッケージの解舒の際にリボン糸同士が絡み合ってラッチングを起こして糸切れが発生してしまう新たな問題が生じることが判った。
【0011】
このラッチングについて多数のパッケージの解舒を行って見たところ、パッケージのワインド数が、大きなリボンが形成される1W近傍で顕著であり、2W,3Wといった、パッケージ径では、ディスターブ制御によるラッチングの発生が少ないことが判明した。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、より完全なリボン巻き防止が行えるリボン巻き防止方法及びその装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、綾振りドラム上でパッケージを回転しながら糸を巻き取る際のリボン巻き防止方法において、パッケージの巻き始めからディスターブ制御を行いながら巻き取り、大きなリボンができる巻取径のある程度前でディスターブ制御を行わずに巻き取るようにしたリボン巻き防止方法である。
【0014】
請求項2の発明は、パッケージの巻き始めから大きなリボンができる巻き径の前までは、綾振りドラムの増減速比を小さくしたディスターブ制御で巻き取り、大きなリボンができる巻取径のある程度前から直前まではディスターブ制御を行わずに巻き取り、その後大きなリボンができる巻取径の直前からその巻取径を通過するまで、綾振りドラムの増減速比を大きくしたディスターブ制御で巻き取る請求項1記載のリボン巻き防止方法である。
【0015】
請求項3の発明は、綾振りドラム上でパッケージを回転しながら糸を巻き取る際のリボン巻き防止装置において、綾振りドラムの回転を制御するインバータ装置と、大きなリボンができる巻取径のある程度前からパッケージの径を検出するパッケージ径センサと、パッケージ径センサの検出値が入力され、パッケージの巻き始めから大きなリボンができる巻き径のある程度前までは、綾振りドラムの増減速比の小さなディスターブ制御を行い、大きなリボンができる巻取径のある程度前より直前までディスターブ制御を行わず、その後大きなリボンができる巻取径を通過するまで、綾振りドラムの増減速比を大きくしたディスターブ制御を行うようにインバータ装置にディスターブ指令信号を出力するロジック回路とを備えたリボン巻き防止装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
先ず、図2により本発明のリボン巻き防止方法及び装置が適用される自動ワインダーの基本構成を説明する。
【0018】
ユニット本体10には、綾振りドラム11が設けられ、そのユニット10の後方に軸12を中心に回動自在なクレードル13が設けられる。パッケージPはクレードル13に回転自在に保持されると共に綾振りドラム11に接触回転され、精紡ボビンからの糸Yが綾振りドラム11の溝14で案内されて綾振りされながらパッケージPに巻き取られるようになっている。
【0019】
この綾振りドラム11は、伝導装置15を介して駆動モータ16に連結され、その駆動モータ16がインバータ装置18で回転数可変に駆動できるようになっている。
【0020】
またクレードル13の軸12には、そのクレードル13と共に回動するパッケージ径伝達部材19が設けられ、ユニット本体10に、そのパッケージ径伝達部材19の回動位置からパッケージPの径、特にパッケージPの1ワインド(1W)のある程度前からの径を検出するパッケージ径センサ20が設けられ、そのセンサ20の検出値がプログラム可能なロジック回路21に入力される。
【0021】
インバータ装置18は、商用電源22からの交流を一旦直流に変換し、トランジスタのON−OFF制御で、直流を周波数可変の交流電源に変換するようになっている。
【0022】
ロジック回路21は、パッケージPの巻き始めから巻き終わりまで、綾振りドラム11の回転数の制御プログラムに基づいてインバータ装置18に周波数指令信号23を出力するようになっている。
【0023】
このロジック回路21の制御プログラムは、パッケージPの巻き始めから大きなリボンができる巻き径のある程度前までは、綾振りドラム11の増減速比を小さくしたディスターブ制御を行い、その後ある程度前から大きなリボンができる巻取径の直前までディスターブ制御を行わずに綾振りドラム11を定速回転し、その後大きなリボンができる巻取径を通過するまで、綾振りドラム11の増減速比を大きくしたディスターブ制御を行うようになっている。
【0024】
図1は、パッケージ径に対するパッケージワインド数変化に対して、ロジック回路21で綾振りドラム11の回転数を増減速制御する例を示したものである。
【0025】
この場合、綾振りドラム11のドラムワインド数Dw は、2.5W、ドラム径Dd は、98mmであり、大きなリボンができる1W(パッケージワインド数)のパッケージ径Dp は、上述した(1)式より244mmである。
【0026】
そこで、本発明においては、図1に示すように、巻き始め(T0 )からパッケージ径232mmとなる(Ta )までは、例えば、±5%,2/2secのディスターブ制御で巻き取りを行い、パッケージ径232〜240mm(Tb 〜Tc )の間はディスターブ制御を行わない(増減速0%=定速回転)巻き取りを行い、パッケージ径Dp が240〜248mm(Tc 〜Td )の間は±15%,2/2secの大きなディスターブ制御で巻き取りを行い、パッケージ径Dp が248mm(Td )以上から巻き終わりまでは、±5%,2/2secのディスターブ制御或いは定速回転で巻き取りを行うことで、リボン巻きをより完全に無くしたパッケージにできるようにしたものである。
【0027】
先ず、本発明者は、大きなリボンが発生する1Wのパッケージ径(244mm,Tr )のある程度前より従来のようにディスターブ制御を行って巻き取ったパッケージを解舒し、どのパッケージ径でラッチングが発生する頻度が多いかを実験したところ、1Wに達する以前のパッケージ径240mm以下でもラッチングが発生していることが判った。そこで、さらにパッケージ径230〜250mmでどの径でラッチングを起こしているかを調べたところパッケージ径238mmにラッチングのピークがあることが判った。
【0028】
そこで、この原因を求めるべく、ディスターブ制御を行ったときのずれ量を解析し、ディスターブ制御によるリボン巻きの影響を求めてみた結果が、図4〜図6である。
【0029】
図4〜図6は、ターン数に対するずれ量を求めたものである。
【0030】
ここで、図3により、ずれとターン数を説明する。
【0031】
図3は、ある径におけるパッケージPに巻かれた大径側の糸道を示したもので、点線の糸道26に対して次のターン(綾振り)で巻かれた糸道27が実線で示したように巻かれたとすると、大径側には各糸道26,27の折り返しによる角26a,27aが形成され、その円周方向の位置を「ずれ」とする。この場合、角26a回転方向に対して、次のターンで形成された角27aが回転方向にずれればプラス、逆方向にずれればマイナスとして、各ターン毎のずれを解析することができる。
【0032】
そこで、1Wのある程度前の種々のパッケージ径に対して、増減速比±15%で、3秒増速した後、3秒減速を交互に繰り返して大きなディスターブ制御を行ったときのターン数とずれとを求めた。
【0033】
図4は、パッケージ径242mmから、ディスターブ制御を行ったときのターン数に対するずれのワインドパターンであり、図5は、パッケージ径238mmからディスターブ制御を行ったときのターン数に対するずれのワインドパターンを示している。
【0034】
この図4,図5で、ずれが0mmのときがリボン巻き発生箇所であり、この0mmの領域を横断しなければリボン巻きは発生しない。
【0035】
そこで、図4と図5を比べると、図4のずれの中心は0mmにあり、図5のずれの中心は−80mmにあることが判る。
【0036】
ここで、1Wのリボンが発生する径(244mm)の直前の242mmからディスターブ制御を行う場合、増減速比が小さなディスターブ制御(例えば、増減速比±3%,3/3sec)を行うと、そのワインドパターンは、ずれの中心(0mm)を何度も通ることとなり、ターン数におけるリボン巻き発生個数が大きくなり有効でなく、図4に示したように、±15%の大きなディスターブ制御を行うことで、ずれ0mmを横断する個数を、極力少なくして大きなリボンの発生をなくすることができる。
【0037】
しかし、図5に示すように、1Wのリボンが発生する径(244mm)のある程度前のパッケージ径238mmから±15%の大きなディスターブ制御を行うと、そのワインドパターンは、ずれ0mmを横断するパターンとなってしまい、これがラッチングの原因になっていることが判明した。
【0038】
そこで、図6に示すように、パッケージ径238mmからパッケージ径240mmまでディスターブ制御を行わずにドラムを定速回転させたところ、ずれは−80mmと一定であり、リボン巻きは全く発生しない安定な領域であることが判った。
【0039】
言い換えれば、図6のパッケージ径238mmから、±15%のディスターブ制御を行うのは、リボン巻きを逆に発生させることとなり、無駄な制御であることが判明した。
【0040】
しかし、パッケージの巻き始めから1Wの大きなリボンが発生する巻取径(244mm)のある程度前であるパッケージ径238mmまでには細かいリボンが発生するため、ディスターブ制御は必要である。
【0041】
そこで、本発明は、図1に示したように、パッケージの巻き始め(T0 )から1Wの大きなリボンが発生する径(244mm)に対してある程度前(238mm,Ta )までは、±数%の小さなディスターブ制御を行い、そのある程度前(Ta )から直前まで(238〜242mm,Ta 〜Tb )は、ディスターブ制御を行わずに定速で巻き取ることで、パッケージとドラムのスリップがなくなり、1Wの大きなリボン巻きが発生する径が正確になり、リボン巻きが発生する径(244mm, Tr )の直前(242mm,Tb )より、十数%の大きなディスターブ制御を行うことでリボン巻き発生を極力少なくし、その後、リボン巻き発生径を通過して「ずれ」が大きくなる径(250mm,Tc )以後は、数%の小さなディスターブ制御或いはディスターブ制御を行わないで巻き取ることでより完全なリボン巻きのないパッケージとすることができる。
【0042】
この図1のリボン巻き防止の制御は、図2のロジック回路21に、ディスターブ制御に基づくインバータ装置18への周波数指令信号24の指令周波数変化をディスターブ指令信号としたパターンをプログラムしておき、パッケージ径センサ20で検出したパッケージPの径で、制御のタイミングを決定する。
【0043】
また、上述の実施の形態で、パッケージの巻き始め(T0 )から1Wの大きなリボンが発生する径に対してある程度前(Ta )までは、±数%のディスターブ制御を行う例として、±5%、2秒増速、2秒減速で行う例を示したが、細かなリボンブレークが行える制御であれば、この数値に限定されるものではなく、またその間に適宜数%の範囲で増減速比を変えてディスターブ制御を行ってもよい。さらに、1Wの大きなリボンが発生する径の直前(Tb )からリボン巻き発生径(Tr )を通過して「ずれ」が大きくなる径まで(Tc )の間の大きなディスターブ制御として±15%、2秒増速、2秒減速で行う例を示したが、1Wのリボンブレークが行える制御であればこの数値に限定されるものではない。
【0044】
また、主に2.5Wのドラム11で説明したが、3W,2W,1.5Wのドラムにも適用できることは勿論である。この場合、1Wのリボン巻きが発生するパッケージ径は、ドラム径を100mmとすると、3Wドラムで300mm、2Wドラムで200mm,1.5Wドラムで150mmであり、ドラムワインド数により、上述したTa ,Tb ,Tc は変化するが、1Wの大きなリボンが発生するパッケージ径のとき(Tr )に対してある程度前Ta は、ずれが「0mm」から十分離れた安定領域であればよく、直前Tb は、1Wのリボン巻きが発生する直前のずれが例えば20mm以内になったときに行うようにし、Tc は、ディスターブ制御をしなくてもよい安定領域になった径のときに設定する。
【0045】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、大きなリボンが発生するある程度前でディスターブ制御を行わずに定速で回転することで、リボン巻き発生径が正確となり、その直前で大きなディスターブ制御を行うことで、大きなリボンブレークを効果的により確実に行え、リボンのないより完全なパッケージを巻き取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、リボン巻き防止におけるパッケージ径とパッケージワインド数におけるディスターブ制御を示す図である。
【図2】本発明において、リボン巻き防止装置の概略を示す図である。
【図3】本発明において、パッケージに巻かれた糸道を示す説明する図である。
【図4】パッケージ径242mmでディスターブ制御を行って巻き取った際のターン数とずれの関係を示す図である。
【図5】パッケージ径238mmでディスターブ制御を行って巻き取った際のターン数とずれの関係を示す図である。
【図6】パッケージ径238mmでディスターブ制御を行わないで巻き取った際のターン数とずれの関係を示す図である。
【符号の説明】
11 綾振りドラム
T0 巻き始め
Tb ある程度前
Tc 直前
P パッケージ
Claims (3)
- 綾振りドラム上でパッケージを回転しながら糸を巻き取る際のリボン巻き防止方法において、パッケージの巻き始めからディスターブ制御を行いながら巻き取り、大きなリボンができる巻取径のある程度前でディスターブ制御を行わずに巻き取ることを特徴とするリボン巻き防止方法。
- パッケージの巻き始めから大きなリボンができる巻き径のある程度前までは、綾振りドラムの増減速比を小さくしたディスターブ制御で巻き取り、大きなリボンができる巻取径のある程度前から直前まではディスターブ制御を行わずに巻き取り、その後大きなリボンができる巻取径の直前からその巻取径を通過するまで、綾振りドラムの増減速比を大きくしたディスターブ制御で巻き取る請求項1記載のリボン巻き防止方法。
- 綾振りドラム上でパッケージを回転しながら糸を巻き取る際のリボン巻き防止装置において、綾振りドラムの回転を制御するインバータ装置と、大きなリボンができる巻取径のある程度前からパッケージの径を検出するパッケージ径センサと、パッケージ径センサの検出値が入力され、パッケージの巻き始めから大きなリボンができる巻き径のある程度前までは、綾振りドラムの増減速比の小さなディスターブ制御を行い、大きなリボンができる巻取径のある程度前より直前までディスターブ制御を行わず、その後大きなリボンができる巻取径を通過するまで、綾振りドラムの増減速比を大きくしたディスターブ制御を行うようにインバータ装置にディスターブ指令信号を出力するロジック回路とを備えたことを特徴とするリボン巻き防止装置。
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