JP3713658B2 - 電磁波シールド面の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築資材として一般的な軽鉄下地やプラスターボードを用いることで、安価なコストと簡易な施工によって迅速かつ廉価に構築できる電磁波シールド面の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報化時代の建築物は、外来からの不要な輻射電波を遮断して内部の機器を誤動作から保護し、反対に建築物内のコンピュータシステムや無線LANから外部に情報が漏洩するのを遮断して情報セキュリテイを確保することが必須要件になっている。
又、最近では無線LAN等の導入が急速に展開されているために、隣接した無線LAN間に発生する通信キャリアの相互干渉が誘発させるチャンネル不足を解消することが重要な課題になっている。
【0003】
これらの要求性能を達成するためには、建築物の躯体及び窓や出入口等の開口部を電磁波シールド材で構築して、建築物全体を電磁波シールド構造にすることが行なわれており、25MHz〜3GHzにおいて20dB〜40dBの電磁波シールドを施すことが必要になる。
以上のように、建築物内のOA機器や無線システムの健全確実な作動を確保したり、機密漏洩を防止するためには、建築物全体を所定の仕様で完全に電磁波シールドしてしまうことが最善である。
【0004】
しかし、情報通信の進展は、上記の性能要求があるオフイスビルの電磁波シールドの需要に留まらず、劇場、病院、スタジオ等のように特殊な用途の建物についても、各室が備えている本来の機能を阻害することなく不要な電磁波の遮断が求められるような、新たな性能要求も出始めている。
【0005】
上述の需要拡大は、建物全体を電磁波シールドすることに加え、建物内部においても多様な使用形態に合致した要求に応えて行くことが必要になってきている。
しかし、従来の建築部材にはこのような要求が存在していなかったことから、建物の各所に関係する建築部材には要求に応えられる機能を備えたものがほとんど存在していなかった。
【0006】
電磁波シールドされた空間を構築する場合、建物のシールド性能は、シールド用部材の取り合い部における処理精度に大きく左右される。
従来から、電磁波シールド建物における壁面のシールド処理は、アルミシート、炭素繊維シート等のシールド用材料を50〜150mm程度重ね合わせ、この上にさらに導電性の粘着テープを貼り合わせることで施工している。このような重ね合わせ作業は、極めて面倒な処理であるにも関わらず、施工者の熟練程度によってその電磁波シールド精度に大きな影響を与えている。
【0007】
又、一般建築においてプラスターボード等の建材を複数層に重ね合わせて壁面を構築する際に、その継ぎ目部分を閉鎖する施工法として、隣接する層間で建材の継ぎ目部分が一致しないように建材を横方向にずらして重ね合わせる“目違い貼り”が行われている。
“目違い貼り”工法は、壁面の強度確保、耐火対策のために積層工法を採用する場合や、防音効果を求められる音響室等に採用されて所望の成果を達成しているが、電波は、空間を伝搬する機構が異なっていることから、電磁波シールドのために単なる“目違い貼り”だけで電波を遮断することは不可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑みて改善を図ったものであり、一般の建築部材に若干の機能を付加しながら、各建築部材を有効に組み合わせることによって、建物における電磁波シールド工事を、専門工でなくても容易かつ確実に施工することができる低コストの電磁波シールド面の構造の提供を課題にしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明である電磁波シールド面の構造は、片面及び小口2面にのみ導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、小口2面に貼設した導電体を互いに直接接合させるとともに、面構成部材の導電体側に位置する長辺部分を金属下地の表面に接合させる態様で複数の面構成部材を配置することにより、これら複数の面構成部材を一体の導電体に構成することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明である電磁波シールド面の構造は、片面に導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、面構成部材の長辺側に位置する導電体を金属下地の表面に接合させる態様で複数の面構成部材を配置するとともに、該面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして配置し、これら面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体として構成することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明である電磁波シールド面の構造は、片面及び小口2面にのみ導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、面構成部材の非導電体側を金属下地の表面に接合させ、かつ小口2面に貼設した導電体を互いに直接接合させる態様で複数の面構成部材を配置することにより、これら複数の面構成部材を一体の導電体に構成し、さらに、該面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして配置し、面構成部材の導電体と他の面構成部材の導電体とを接合することにより、面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体として構成することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による電磁波シールド面の構造は、基本的に、片面に導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築し、各導電体間を接合もしくは目違いに配置することで電磁波シールド状態に構成している。これによって、低コストの部材を用いて、電磁波シールドの専門工でない一般のボード工でも電磁波シールド工事を容易かつ高精度に施工できるもので、電磁波シールド工事全体の施工コストの低減と工期の短縮を図っている。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明による電磁波シールド面の構造の基本形を示す斜視図である。図において、1は、電磁波シールド面、2は、建築部材として一般的な軽鉄(以下、LGSと略称する)下地であり、3は、電磁波シールド用に加工したプラスターボードである。
本発明による電磁波シールド面1は、複数のLGS下地2を平行に設置し、LGS下地2の間に複数のプラスターボード3を渡して配置している。プラスターボード3は、横方向には図示のようにLGS下地2の表面20の上にその長辺35を重ねた状態で取り付けられて設置されるので、プラスターボード片面の金属板がLGS下地に対して導電状態で接合されるように配置されている。又、プラスターボードの縦方向の設置は、お互いの小口32が接合部4を形成する状態で設置されることから、各小口に貼設されているプラスターボードと一体の金属板が、導電状態に接合されることになる。
【0018】
従って、本実施の形態では、プラスターボード片面の金属板が、小口32の金属板及びLGS下地2の金属表面20を介在させて、互いに導電状態で接合されることになるので、LGS下地2とプラスターボード3とによって構成されている電磁波シールド面1は、全体に亘って一体の金属板として構成されることになり、完全な電磁波シールド面を形成している。
【0019】
図2に、本発明による電磁波シールド面1を形成する、LGS下地とプラスターボードを斜視図で示している。
図2(a)に示しているLGS下地2は、建築部材として一般的なものであり、金属製のチャンネルであることから、そのままで電磁波シールド材として使用することが出来る。そして、電磁波シールドのためには、金属面の重ね合わせ幅を50mm以上確保する必要があるので、適宜な幅のものから選択して使用することになる。
LGS下地2は、電磁波シールド面の構造を構築する時に、上述のようにプラスターボードの片面に貼設してある金属面と電気的に導電接合するものであるから、その表面20を絶縁性の付着物が存在しないように被覆しておくことも、場合によっては必要になる。
【0020】
図2(b)に示しているプラスターボード3は、通常の建築部材であるプラスターボード30の片側31及び小口32の表面に薄い金属板33、34を貼設し、他方側36は素地のままにすることで、単独の電磁波シールド部材を構成している。
プラスターボード3で壁面を形成する場合には、プラスターボード3を支持するためにLGS下地2が必須である。このために、プラスターボード3の長辺35における接合はLGS下地2の表面20で行われるから、プラスターボードの長辺に金属板を配置しなくとも接合部における導電接合には、支障を生じることがない。
又、図示のプラスターボードでは、小口に金属板33と連続した金属板34を貼設しているが、後述するように、プラスターボードを重ね合わせて電磁波シールド面の構造を形成することが明らかな場合には、プラスターボードの小口における導電接合は不要になるので、小口部分の金属板34を省略してコストダウンを図ることも可能である。
【0021】
図3〜5には、上記のLGS下地2とプラスターボード3とを組み合わせた各種の電磁波シールド面の構造を示している。
図3は、図1で示した電磁波シールド面1の基本形に、他のプラスターボード5を金属板側で重ね合わせて“目違い貼り”した実施の形態である。
本実施の形態における電磁波シールド面6の場合には、LGS下地2と一層のプラスターボード3で確立した電磁波シールド面1を構築している。これに加えて、プラスターボード5が片面の金属板33を一層目のプラスターボード3に接するように積層されているので、プラスターボード3、5同士の接合面4は、互いに“目違い貼り”した他層のプラスターボード片面の金属板33によって閉鎖されている。
このために、各プラスターボードの接合面を直接もしくはプラスターボードの厚みをおいて隙間を生じないように構成しているので、さらに確実な電磁波シールド処置が施される。
【0022】
さらに、上記の積層された構成は、プラスターボード5の金属板33が一層目のプラスターボード3の小口に貼設された金属板34と接合しているので、電磁波シールド面6の形態としては2重の電磁波シールド状態を形成しているから、減衰率の大きい電磁波シールドに適用できる実施の形態である。
【0023】
図4は、図3で示した電磁波シールド面6において、他のプラスターボード5を素地側で重ね合わせる“目違い貼り”の実施の形態である。
本実施の形態における電磁波シールド面7の場合には、LGS下地2と一層のプラスターボード3で確立した電磁波シールド面1を構築しているが、プラスターボード5は金属板33が貼設されていない素地側で一層目のプラスターボード3に接するように積層している。
このため、プラスターボード3同士の接合面4は、互いに“目違い貼り”した他層のプラスターボード片面の金属板33によって、プラスターボード2層の厚みに相当する間隙をおいた状態で閉鎖されており、電磁波シールド処置の強化を図っている。
【0024】
上記の積層された構成は、プラスターボード3、5の各金属板33が乖離しているために、小口に貼設された金属板34と接合していないが、電磁波シールド面7の形態としては2重の電磁波シールド状態を形成しているから、減衰率の増大が成された実施の形態である。
【0027】
図5に示す電磁波シールド面9の例では、プラスターボード3は金属板33が貼設されていない素地側でLGS下地2に接している。このために、プラスターボード3間ではLGS下地2を介しての導電状態が形成されていないが、プラスターボード5がプラスターボード3の片面の金属板33に金属板33を接するように積層されているので、プラスターボード3、5同士の各接合面は、互いに“目違い貼り”している他層のプラスターボード片面の金属板33によって直に閉鎖されている。
このために、LGS下地とプラスターボードとの設置には気を使わずに施工できる。しかして、各プラスターボードの接合面は、隙間を生じないように構成されることになり、確実な電磁波シールド処置が施される。
【0028】
以上のように、本発明による電磁波シールド面の構造は、片面に導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築し、各導電体間を接合もしくは目違いに配置することで電磁波シールド状態に構成しており、低コストの部材を用いて、電磁波シールドの専門工でない一般のボード工でも電磁波シールド工事を容易かつ高精度に施工できることから、電磁波シールド工事全体の施工コストの低減と工期の短縮を図っている。
【0029】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による電磁波シールド面の構造は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、発明の趣旨に反しない範囲において、各種の変更が可能であることは当然である。
【0030】
【発明の効果】
この発明の電磁波シールド面の構造は、片面に導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築し、各導電体間を接合もしくは目違いに配置することで電磁波シールド状態に構成することで、低コストの部材を用いて一般のボード工のような電磁波シールドの専門工でなくても容易かつ高精度に電磁波シールド工事を施工できる効果を発揮している。
【0031】
この発明の電磁波シールド面の構造は、面構成部材長辺の導電体側を金属下地の表面に接合させて配置し、面構成部材を金属下地の介在で一体の導電体に構成することを特徴としているので、上記効果に加えて、電磁波シールドの施工効率をさらに向上させる効果を発揮している。
【0032】
この発明の電磁波シールド面の構造は、小口2面に導電体を貼設して、導電体間を接合することで面構成部材を長辺方向に一体の導電体に構成することを特徴としているので、上記効果に加えて、面構成部材の長手方向における導電体の一体化を確立する効果を発揮している。
【0033】
この発明の電磁波シールド面の構造は、該面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして、面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体及び2重の電磁波シールド体として構成することを特徴としているので、上記効果に加えて、電磁波シールド面の構造のシールド性能をさらに向上させる効果を発揮している。
【0034】
この発明の電磁波シールド面の構造は、面構成部材の非導電体側を金属下地の表面に接合させて配置し、面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして、面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体として構成することを特徴としているので、上記効果に加えて、金属下地と面構成部材との施工効率を向上させる効果を発揮している。
【0036】
この発明の電磁波シールド面の構造は、面構成部材の上に目違い貼りする他の面構成部材を、片面に貼設した導電体間を接合させて構成することを特徴としているので、上記効果に加えて、面構成部材の全面における導電体の一体化を確立する効果を発揮している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電磁波シールド面の構造の斜視図
【図2】 本発明を構築する構成部材の斜視図
【図3】 本発明による電磁波シールド面の構造における他の実施形態図
【図4】 本発明による電磁波シールド面の構造における他の実施形態図
【図5】 本発明による電磁波シールド面の構造における他の実施形態図
Claims (3)
- 片面及び小口2面にのみ導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、
小口2面に貼設した導電体を互いに直接接合させるとともに、面構成部材の導電体側に位置する長辺部分を金属下地の表面に接合させる態様で複数の面構成部材を配置することにより、これら複数の面構成部材を一体の導電体に構成することを特徴とする電磁波シールド面の構造。 - 片面に導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、
面構成部材の長辺側に位置する導電体を金属下地の表面に接合させる態様で複数の面構成部材を配置するとともに、該面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして配置し、これら面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体として構成することを特徴とする電磁波シールド面の構造。 - 片面及び小口2面にのみ導電体を貼設した面構成部材と、所定長さの金属下地とで構築した電磁波シールド面の構造であって、
面構成部材の非導電体側を金属下地の表面に接合させ、かつ小口2面に貼設した導電体を互いに直接接合させる態様で複数の面構成部材を配置することにより、これら複数の面構成部材を一体の導電体に構成し、さらに、該面構成部材の上に他の面構成部材を目違い貼りして配置し、該面構成部材の導電体と他の面構成部材の導電体とを接合することにより、面構成部材の複合体を一体の電磁波シールド体として構成することを特徴とする電磁波シールド面の構造。
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