JP3716733B2 - 乗員保護装置の制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員保護装置の制御システムにかかり、特に、自動車に搭載された運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、後部座席エアバッグ、サイドエアバッグやプリテンショナなどの乗員保護装置を制御する乗員保護装置の制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車には乗員保護のため補助安全システムである、エアバッグ装置やプリテンショナが装着されることが多い。また、エアバッグ装置は主に、正面衝突用と側面衝突用とがあり、運転者用、助手席用、後部座席用などがあり、6基搭載した自動車や8基搭載した自動車などがある。
【0003】
これらのエアバッグ装置の展開制御やプリテンショナの制御は複数個の加速度センサ(以下、Gセンサという)により、衝突後の加速度を検出したり、補助的に接触センサなどを用いたりして制御を行っている。Gセンサによって検出された加速度は、例えば、段差を乗り越えた時に生じる加速度やドア閉時に車体に加わる加速度等も検出してしまう可能性があり、衝突によって生じる加速度以外の加速度がノイズとして検出される。そこで、従来のエアバッグ装置やプリテンショナ等を制御する乗員保護制御システムでは、これらのノイズを許容する加速度のしきい値を設けて、該しきい値に基づいてエアバッグ装置やプリテンショナ等の乗員保護装置の制御を行っている。
【0004】
しかしながら、この乗員保護制御システムでは、ノイズの検出を極力抑制するために感度を低下させる要求と、早く展開させるために感度を上昇させる要求という二律背反する要求があった。例えば、上述のようにGセンサで検出された加速度にしきい値を設けて衝突の判定を行う場合、しきい値を低く設定すると、上述したような段差乗り越えやドア閉時に車体に加わる加速度などのノイズによって、エアバッグ装置やプリテンショナ等の乗員保護装置の作動が早期に開始される場合があり、また、しきい値を高く設定すると、ノイズによる作動は抑制されるが、乗員保護装置の作動が時間を要する場合がある。従って、必要なタイミングで必要な場所のエアバッグ装置のみを展開するのは、大雑把な制御になる。
【0005】
これを解決するために、衝突相手車両と自車両との間の衝突を予測し、その予測結果から乗員保護デバイスを作動させる乗員保護装置が提案されている(特開平11−263190号公報参照)。この技術では、車両間通信を有効に利用しつつ、高精度に乗員保護デバイスの作動を確保できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の乗員保護装置は、衝突相手車両と自車両との間における車両間通信により衝突の可能性を判定しているので、車両間通信で得ることができない他の物品、例えば障害物等に対しては、適切に動作することが望めない。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、乗員保護装置を最適に動作させることができる乗員保護装置の制御システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、走行路周辺の構築物情報を含む地図情報を有し、自車位置を検出すると共に、自車周辺の構築物を検出する自車位置検出手段と、自車の走行状態を検出する複数の検出手段と、前記検出手段により検出された走行状態に基づいて、自車の運動状態を解析する運動状態解析手段と、衝突する構築物を衝突時の衝撃の大きさ毎に層別した、前記乗員保護装置の動作を開始させる衝突レベルを設定するためのレベル設定マップと、前記自車位置検出手段による検出結果及び前記運動状態解析手段による解析結果に基づいて、衝突する構築物を推定して前記レベル設定マップを用いて衝突予測を行い、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御を行う乗員保護制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、自車位置検出手段では、自車位置が高精度に検出されると共に、自車周辺の構築物が検出される。すなわち、道路周辺の構築物情報を含む地図情報とマッチングさせることにより自車位置における周辺の構築物情報が検出される。例えば、公知のナビゲーションシステムを利用することにより自車位置の検出及び自車周辺の構築物の検出が実現可能である。
【0010】
運動状態解析手段では、検出手段によって検出された自車の走行状態(例えば、車輪速度や自車に加わる加速度等の自車の走行に関する挙動値)から、自車の運動状態(例えば、ブレーキロック状態、スピン状態、ドリフトアウト状態等の自車が現在示している挙動)が解析される。例えば、VSC(Vehicle Stability Control)やABS(Anti-lock Brake System)等の公知の技術を用いることにより、自車の運動状態を解析することが可能である。
【0011】
乗員保護制御手段では、レベル設定マップを用いて自車位置検出手段の検出結果及び運動状態解析手段によって解析された運動状態とから自車周辺の構築物に対する衝突予測が行われる。この衝突予測の結果には、衝突までの距離、時間、方向、衝突時の衝撃度合いの少なくとも1つがある。そして、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御が行われる。この場合、衝突予測の結果の値や量の大きさについて、予め定めた値や大きさに至った時に乗員保護装置の動作を開始できる。このように衝突予測に応じて乗員保護装置の動作の開始制御が行われるので、自車の運動状態と周囲の構築物情報とに対応して乗員保護装置を動作させることができる。例えば、時間的に見ると必要なタイミングで乗員保護装置を作動させることができ、独立制御可能な乗員保護装置が複数ある場合には、任意の乗員保護装置を選択的に動作させて必要な場所の乗員保護装置を動作させることができる。
【0012】
ここで、請求項2に記載の発明のように、加速度センサ及び接触センサの少なくとも一方の衝突検出手段を更に備え、乗員保護制御手段が、衝突予測の結果に応じて、衝突検出手段の乗員保護装置の動作を開始させるしきい値を設定して、乗員保護装置の動作を開始させるしきい値に基づいて乗員保護装置の動作を開始することによって、衝突を検出してから確実かつ適切に乗員保護装置を動作させることが可能となる。
【0013】
衝突等の緊急状態は、自車側で検出することができる。この緊急状態は、加速度や接触等の衝突検出手段で検出可能である。衝突検出手段は、連続的な検出値や段階的な検出値を得るものが好ましい。すなわち、衝突時の状態に応じた検出値を得るものが好ましい。乗員保護制御手段は、この検出値が得られたとき、乗員保護装置を動作させる。ここで、衝突予測結果が得られているので、衝突時の状態を予測でき、この予測結果から、乗員保護装置を動作させるか否かの境界を予測できる。従って、この境界を衝突検出手段のしきい値として定め、予測結果に応じてしきい値を変更(増減)することにより、自車の運動状態と周囲の構築物情報とに対応して適切に乗員保護装置を動作させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明のように、乗員保護手段が、衝突予測の結果から衝突が予測される場合に、衝突予測の結果から衝突が予測されない場合よりも、衝突検出手段の乗員保護装置の動作を開始させるためのしきい値を低く設定することにより、衝突検出手段に入力されるノイズ(段差乗り越え時やドア閉時等によって検出される加速度など)に左右されることなく、必要なタイミングでの乗員保護装置の動作が可能となる。
【0015】
上記では、走行路周辺の構築物に対する衝突予測を行うことによって、乗員保護装置の動作の開始制御を行うことができるが、請求項4に記載の発明のように、周辺車両検出手段を更に備え、乗員保護制御が自車位置検出手段による検出結果、運動状態解析手段による解析結果、及び周辺車両検出手段による検出結果(例えば、周辺車両の有無、周辺車両までの距離、方向など)に基づいて、衝突予測を行うことによって、自車周辺の構築物のみならず自車周辺の車両に対しての衝突予測が可能となり、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御を行うので、走行路周辺の構築物に対する衝突のみならず周辺車両に対する衝突においても適切な乗員保護装置の動作を行うことが可能となる。例えば、上述の自車位置検出手段による検出結果及び運動状態解析手段による解析結果に加えて、周辺車両検出手段によって周辺車両の速度、距離、方向等を検出して衝突予測を行うことによって、衝突対象が構築物か周辺車両かも予測することが可能となり、衝突対象に応じた乗員保護装置の動作の開始制御も可能となる。なお、周辺車両検出手段は、周辺車両の挙動をさらに検出してもよい。この場合検出履歴を記憶し、その変化量から距離、速度、方向の少なくとも1つを検出できる。これにより、移動車両に対する衝突予測まで考慮することができる。
なお、乗員保護制御手段は、請求項5に記載の発明のように、前記衝突予測の結果に基づき乗員保護装置の動作箇所を決定する決定手段を含むようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、自動車に設けられたエアバッグ装置の展開制御を行うエアバッグ制御システムに本発明を適用したものである。
【0017】
本実施の形態では、エアバッグ装置は、運転席用エアバッグ装置、助手席用エアバッグ装置、左右後部座席用エアバッグ装置、及び左右側面衝突用エアバッグ装置(サイドエアバッグ)の合計6基のエアバッグ装置が自動車に設けられており、これらのエアバッグ装置を制御するものとして説明する。以下の説明では、エアバッグ装置をA/Bと称する。
【0018】
図1に示すように、運転席用A/B24は、ステアリング36の中央部分に設けられており、助手席用A/B26は、インストルメントパネル38の助手席側に設けられている。また、運転席40のシートバック裏面側に右側後部座席用A/B(後部座席用(RH)A/B)28が設けられており、助手席42のシートバック裏面側に左側後部座席用A/B(後部座席用(LH)A/B)30が設けられている。そして、フロントピラーからルーフレールに沿って運転席側及び助手席側のそれぞれにサイドA/B(サイド(RH)A/B32及びサイド(LH)A/B34)が設けられている。
【0019】
それぞれのA/Bは、後述するGセンサによって衝撃を検出することによってエアバッグECU10から出力される展開信号に基づいて、A/Bの構成部品であるインフレータ内に装填された化学物質が点火され、この化学物質から発生されるガスが袋体内に充填されることによって、該袋体が展開されることで、衝突時の荷重が緩和されるようになっている。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係るエアバッグ制御システムについて図2のブロック図を参照して説明する。
【0020】
図2に示すように、第1実施形態に係るエアバッグ制御システムは、上述のそれぞれのA/Bが接続され、それぞのA/Bの展開制御を行うエアバッグECU10を備えており、エアバッグECU10には、自動車の運転状態(例えば、スリップやスリップ時のボディスリップ角やドリフトアウト等)を解析する運動状態解析手段14と、自車位置を高精度に検出する高精度位置情報システム12が接続されている。なお、高精度位置情報システム12、運動状態解析手段14、エアバッグECU10はそれぞれ本発明の自車位置検出手段、運動状態解析手段、乗員保護制御手段に相当する。
【0021】
運動状態解析手段14には、自動車の走行状態を検出するための各種のセンサ(本発明の検出手段に相当する)が接続されており、本実施の形態では、ヨーレートセンサ16、ステアリング舵角センサ18、車輪速度センサ19、スロットルポジションセンサ20、及び加速度センサ(Gセンサ)22が運動状態解析手段14に接続されている。ヨーレートセンサ16は、自動車に発生するヨーレートを検出するためのものであり、ステアリング舵角センサ18は、ステアリング36に設けられ、ステアリング36の舵角を検出するものである。また、車輪速度センサ19は、自動車の各車輪にそれぞれ設けられた光センサ等のセンサに基づいて車輪速度を検出するものであり、スロットルポジションセンサ20は、エンジンのスロットルボディに設けられ、スロットル開度を検出するためのものである。また、Gセンサ22は、本発明の衝突検出手段に相当し、自動車の走行によって生じる加速度や衝突等によって生じる加速度を検出するためのものである。なお、Gセンサ22は、エアバッグECU10にも接続されている。また、Gセンサ22は、自動車の進行方向や進行方向と直交する方向の加速度を検出するために複数設けられており、本実施の形態では、自動車の進行方向の加速度を検出するGセンサ22を正面衝突用のGセンサ22として用い、進行方向と直交する方向の加速度を検出するGセンサ22を側面衝突用のGセンサ22として用いる。
【0022】
運動状態解析手段14は、上述の各センサから得られる情報に基づいて、自動車の運動状態の解析を行う。例えば、ヨーレートセンサ16により検出されたヨーレート、ステアリング舵角センサ18により検出されたステアリング角度、車輪速度センサ19により検出された各車輪速度、スロットルポジションセンサ20により検出されたスロットル開度及びGセンサ22により検出された自動車に加わる各方向の加速度に基づいて、スピン状態、ブレーキロック状態、ドリフトアウト状態、通常走行状態等の自動車の運動状態を判断する。
【0023】
なお、運動状態解析手段14に接続されるセンサ類は、上記に限るものではなく、例えば、トランスミッション等に設けられ、自動車の速度を検出する車速センサやトランスミッションのシフト位置を検出するセンサ等を設けるようにしてもよく、運動状態解析手段14としては、公知の技術であるVSC(Vehicle Stability Control)やABS(Anti-lock Brake System)等の制御で用いられる自動車の運動状態(スピン状態、ブレーキロック状態、ドリフトアウト状態、通常走行状態等)を検出する方法を適用することにより実現可能である。ここで、VSCを用いる場合には、VSCにより通常運動状態に立ち直れるか否かを含めて自車の運動状態を判断する。
【0024】
高精度位置情報システム12は、自車の位置を高精度に検出すると共に、予め記憶された地図情報と検出された自車位置から自車の周辺に存在する構築物を検出する。なお、地図情報は、携帯電話等の通信手段を介して取得するようにしてもよい。
【0025】
高精度位置情報システム12は、例えば、公知のナビゲーションシステムにより実現可能であり、公知のナビゲーションシステムは、高度約2万kmに打ち上げられたGPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナによって受信し、該受信の信号に基づいて自車位置を測位する。さらに、FM多重放送の到達時間の差を検出し、該到達時間の差に基づいてGPSアンテナによって受信した信号に含まれる誤差を補正することによって高精度に自車位置を測位することができる(所謂Differential GPS:DGPS)。そして、予めCD−ROM、DVD等の記録媒体に記憶された地図情報や携帯電話等の通信手段を介して得られる地図情報などと照合することによって道路案内をすることができると共に、自車位置周辺の情報(構築物の存在やその種類(コンクリートの壁、電柱、ビルディング、鉄塔、鉄の構築物、木造家屋、薄い鉄製のシャッター、土の土手、ガードレールなど)等)を検出することができる。
【0026】
エアバッグECU10は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びバス等の周辺回路によって構成されており、エアバッグECU10に接続されたGセンサ22によって自動車に加わる所定値以上の加速度が検出されると、エアバッグECU10に接続されたA/Bの展開を指示するように構成されている。すなわち、エアバッグECU10は、図3に示すような、Gセンサ22出力(衝突と共に加速度が最小は緩やかに立ち上がり途中から急速に立ち上がる)が入力されると、Gセンサ22出力が予め定められたしきい値を越えた場合に、エアバッグECU10に接続された上述のA/Bの展開を指示する。これによって、A/Bが展開される。
【0027】
また、エアバッグECU10には、上述したように、高精度位置情報システム12及び運動状態解析手段14が接続されており、高精度位置情報システム12から自車の位置情報が入力されると共に、運動状態解析手段14から自車の運転状態が入力される。そして、エアバッグECU10では、自車の位置情報及び自車の運転状態に基づいて、自動車に加わる加速度のしきい値を設定し、設定されたしきい値に応じてA/Bを展開させる制御を行う。すなわち、本実施の形態では、運動状態解析手段14によって解析された自車の運動状態を判断すると共に、高精度位置情報システム12から得られる自車の位置情報から構築物への衝突を予測し、該予測結果に応じてA/Bを展開させるしきい値のレベルを設定するようになっており、衝突の確認をGセンサ22によって検出してA/Bを展開させる構成となっている。なお、Gセンサ22に代りに接触センサ等のセンサを用いるようにしてもよい。
【0028】
続いて、A/Bの展開制御について説明する。なお、構築物に車両が側面衝突する場合について説明する。該A/Bの展開制御は、運動状態解析手段14より取得される自車の車速及びヨー速度と、高精度位置情報システム12より取得される位置情報に含まれる構築物の種類に応じて、予め設定された図4(A)に示す展開(側面衝突スタンバイ)レベル設定マップに基づいて、側面衝突レベルを設定する。そして、設定された側面衝突レベルとGセンサ22より入力されるGセンサ22検知レベルに応じて予め設定された図4(B)に示す展開制御マップに基づいてA/Bの展開制御が行われる。なお、図4(A)における構築物の種類(第1種構築物及び第2種構築物)は、例えば、衝突時の衝撃が大きい、コンクリートの壁、電柱、ビルディング、鉄塔、や鉄の構築物などを第1種構築物とし、木造家屋、薄い鉄製のシャッター、土の土手、ガードレールなどは第2種構築物というように層別してもよいし、さらに、第3種、第4種・・・というように複数に層別するようにしてもよい。また、図4におけるGセンサ検知レベルは、しきい値レベル(しきい値の大きさ)を設定するものであり、さらに複数のレベルを設けるようにしてもよく、しきい値レベル(Gセンサ検知レベル)小、中、大は、例えば図3に示すように、Gセンサ検知レベル小が従来のしきい値と同様のレベルに設定され、Gセンサ検知レベル中、小がGセンサ検知レベル小よりも小さいしきい値として順に設定されている。
【0029】
続いて、上述のように構成されたエアバッグ制御システムの作用について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、構築物に車両が側面衝突する場合について説明する。
【0030】
エアバッグECU10では、先ず、ステップ100で高精度位置情報システム12より高精度位置情報が取得され、ステップ102で運動状態解析手段14より運動状態解析結果が取得される。なお、運動状態解析結果には、運動状態解析手段14に接続される各種のセンサの情報も含まれ、ステップ102では、これらの情報を含めて取得される。
【0031】
続いて、ステップ104では、ステップ102で取得された運動状態解析結果に含まれる車輪速度に基づいて、停車中か否か判定される。該判定は、各車輪に設けられた車輪速度センサ19によって検出された車輪速度が停止状態(車輪速度が0)であるか否かによって停車中か否かを判定する。判定が肯定された場合には、上述のステップ100に戻り、再びステップ100〜ステップ104の処理が繰り返される。
【0032】
ステップ104の判定が否定、すなわち、走行中であると判定された場合には、ステップ106へ移行して、ステップ102で取得された運動状態解析結果に基づいて通常運動状態(スリップ、ブレーキロック、ドリフトアウト等の異常状態ではなく、通常に走行している状態)か否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ100に戻り、再びステップ100〜ステップ106の処理が繰り返される。
【0033】
また、ステップ106の判定が否定された場合、すなわち、運動状態が通常運動状態ではなく、異常状態(スリップ、ブレーキロック、ドリフトアウト等)である場合には、ステップ108へ移行して、高精度位置情報システム12より取得された位置情報及び運動状態解析手段14より取得された運動状態解析結果に基づいて衝突予測計算が行われる。
【0034】
なお、衝突予測計算は、一例として以下のような計算が行われる。
【0035】
▲1▼運動状態解析手段14により現在を時間0として、Tf時間後の自車の位置、速度、回転運動を推定計算する。例えば、Tfとして0.01秒後のスピンや横滑りを感知する。
【0036】
▲2▼この演算のサイクルタイムΔTごとに繰返し演算する。その際、車両の動きに応じて、平常時には長いサイクルタイムで、警戒(異常状態)時には短いサイクルタイムで演算してもよい。
【0037】
▲3▼Tf以後、予め定められたTeまでの車両の動きを時間刻みΔTで演算する。この時のスピン、横すべり等の運動状態を感知する。
【0038】
(4)上記の何れかのタイミングで、スピンや横すべり等が予測される場合には、高精度位置情報システム12より取得される位置情報から自車周辺の構築物を整理し、運動状態解析手段14から得られる運動状態に基づいて、いかなる時間後に、いかなる速度で、いかなる角速度で、何に側面衝突するかの推定計算を行う。すなわち、衝突までの予測時間Tc、衝突時の予測速度Vc、及びヨーレート(ヨー角速度)Ycを推定計算する。
【0039】
▲5▼予めエアバッグ展開時間ΔTmを設定しておく。エアバッグ展開時間は最も厳しい条件でA/Bを展開させるために必要な時間である。
【0040】
▲6▼判断する時間Tdを予め決定する。判断する時間は、Td<Tc−ΔTmとなるように決定する。
【0041】
続いて、ステップ110では、高精度位置情報システム12より取得された位置情報及びステップ108で計算された衝突予測に基づいて、構築物に衝突するか否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ112へ移行して、衝突スタンバイ状態オン、すなわち、図4(A)に基づいて展開レベル設定が行われる。
【0042】
ステップ114では、Gセンサ22から得られる加速度が展開しきい値以上であるか否か判定される。すなわち、設定された展開レベルに応じたGセンサ22検知レベル(図4(B)参照)に達したか否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ116へ移行して、衝突予測及び加速度を検出したGセンサ22に基づいて、展開するA/Bが決定されて、決定されたA/B(サイド(RH)A/B32又はサイド(LH)A/B34)の展開が行われる。なお、側面衝突の予測角度等に応じて、サイドA/B以外のA/Bも展開するようにしてもよい。
【0043】
一方、ステップ110の判定が否定された場合には、ステップ118へ移行して、衝突スタンバイ状態がオンとされている場合には解除し、衝突スタンバイ状態が設定されていない場合は、そのままステップ100へ戻り、上述のステップ100〜ステップ110の処理が繰り返される。
【0044】
このように、本実施の形態に係るエアバッグ制御システムは、高精度位置情報システム12から得られる自車の位置情報、及び運動状態解析手段14から得られる自車の運動状態に基づいて展開レベルを設定し、該展開レベルに応じて、Gセンサ22の検知レベル(A/Bを展開させるためのしきい値)を設定することにより、必要なタイミングで必要な場所のA/Bを展開させることができ、最適なA/Bの展開制御を行うことができる。
[第2実施形態]
第1実施形態に係るエアバッグ制御システムは、構築物に側面衝突することを想定したものであるが、第2実施形態に係るエアバッグ制御システムとして、自車の周辺車両に側面衝突することも想定した場合について説明する。
【0045】
第2実施形態に係るエアバッグ制御システムは、第1実施形態に係るエアバッグ制御システムに対して、図6に示すように、周辺車両検出手段44がエアバグECU10に接続される以外は、同一構成であるので同一符号を付して説明を一部省略する。
【0046】
周辺車両検出手段44は、自車の周辺を走行する車両を検出し、検出結果をエアバグECU10に出力するように構成されている。周辺車両検出方法としては、公知の技術である車間距離を検出するセンサや車間通信等の技術を利用することにより、周辺車両の検出(周辺車両までの距離等)が実現可能である。
【0047】
続いて、A/Bの展開制御について説明する。なお、他車両が自車に側面衝突する場合について説明する。該A/Bの展開制御は、運動状態解析手段14より取得される自車の速度及び周辺車両検出手段44より取得される周辺車両(警戒車両)の速度に応じて、予め設定された図7(A)に示す展開(側面衝突スタンバイ)レベル設定マップに基づいて、側面衝突レベルを設定する。そして、設定された側面衝突レベルとGセンサ22より入力されるGセンサ22検知レベルに応じて予め設定された図7(B)に示す展開制御マップに基づいてA/Bの展開制御が行われる。なお、図7におけるGセンサ検知レベルは、しきい値レベル(しきい値の大きさ)を設定するものであり、さらに複数のレベルを設けるようにしてもよく、しきい値レベル(Gセンサ検知レベル)小、中、大は、例えば図3に示すように、Gセンサ検知レベル小が従来のしきい値と同様のレベルに設定され、Gセンサ検知レベル中、小がGセンサ検知レベル小よりも小さいしきい値として順に設定されている。
【0048】
続いて、第2実施形態に係るエアバッグ制御システムの作用について、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、図5のフローチャートと同一処理については、同一符号を付して一部説明を省略する。
【0049】
エアバッグECU10では、先ず、ステップ100で高精度位置情報システム12より高精度位置情報が取得され、ステップ102で運動状態解析手段14より運動状態解析結果が取得される。なお、運動状態解析結果には、運動状態解析手段14に接続される各種のセンサの情報も含まれ、ステップ102では、これらの情報を含めて取得される。
【0050】
次に、ステップ103では、周辺車両検出手段44より周辺車両情報が取得される。
【0051】
続いて、ステップ104では、ステップ102で取得された運動状態解析結果に含まれる車輪速度に基づいて、停車中か否か判定される。すなわち、各車輪に設けられた車輪速度に基づいて、停車中か否か判定される。該判定は、各車輪に設けられた車輪速度センサ19によって検出された車輪速度が停止状態(車輪速度が0)であるか否かによって停車中か否かを判定する。判定が肯定された場合には、上述のステップ100に戻り、再びステップ100〜ステップ104の処理が繰り返される。
【0052】
ステップ104の判定が否定、すなわち、走行中であると判定された場合には、ステップ106へ移行して、ステップ102で取得された運動状態解析結果に基づいて通常運動状態(スリップ、ブレーキロック、ドリフトアウト等の異常状態ではなく、通常に走行している状態)か否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ100に戻り、再びステップ100〜ステップ106の処理が繰り返される。
【0053】
また、ステップ106の判定が否定された場合、すなわち、運動状態が通常運動状態ではなく、異常状態(スリップ、ブレーキロック、ドリフトアウト等)である場合には、ステップ107へ移行して、ステップ103で取得された周辺車両情報から周辺車両があるか否か判定される。なお、周辺車両があるか否かの判定は、高精度位置情報システム12より得られる位置情報及び運動状態解析手段14より得られる運動状態から自車の進行方向を判断し、該進行方向に周辺車両があるか否か判定される。判定が否定された場合には、第1実施形態のステップ108以降の処理と同様の処理が行われる。
【0054】
ステップ107の判定が肯定された場合には、ステップ120へ移行して、周辺車両への衝突予測計算が行われる。
【0055】
なお、周辺車両への衝突予測計算は、一例として以下のような計算が行われる。
【0056】
▲1▼運動状態解析手段14より取得される運動状態に基づいて、自車のT1時間後の位置P、進行方向、速度を一定のサイクル毎に推定計算する。
【0057】
▲2▼自車のT1時間後の位置に対して、周辺車両検出手段44により側方より接近する他車両を検出して、T1時間後の危険範囲内(例えば、自車の2m以内等)を抽出する。この時、立体交差により、すれ違う他車両を間違えないように、高精度位置情報システム12により取得される位置情報も用いるのが望ましい。
【0058】
▲3▼エアバグECU10によってT1時間後の側方より接近する他車両の位置、方向、角度、速度を推定する。また、衝突するとすれば、右側か左側かの判定を行う。
【0059】
続いて、ステップ122では、高精度位置情報システム12より取得された位置情報及びステップ120で計算された周辺車両への衝突予測に基づいて、周辺車両に衝突するか否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ124へ移行して、衝突スタンバイ状態オン、すなわち、図7(A)に基づいて展開レベル設定が行われる。そして、上述のステップ114へ移行して、Gセンサ22から得られる加速度が展開しきい値以上であるか否か判定される。すなわち、設定された展開レベルに応じたGセンサ22検知レベル(図7(B)参照)に達したか否か判定される。判定が肯定された場合には、ステップ116へ移行して、衝突予測及び加速度を検出したGセンサ22に基づいて、展開するA/Bが決定されて、決定されたA/B(サイド(RH)A/B32又はサイド(LH)A/B34)の展開が行われる。なお、側面衝突の予測角度等に応じて、サイドA/B以外のA/Bも展開するようにしてもよい。
【0060】
一方ステップ122の判定が否定された場合には、ステップ126へ移行して、衝突スタンバイ状態がオンとなっている場合には解除し、衝突スタンバイ状態が設定されていない場合は、そのままステップ100へ戻り、上述のステップ100からの処理が繰り返される。
【0061】
このように、第2実施形態に係るエアバッグ制御システムは、第1実施形態と同様に、高精度位置情報システム12から得られる自車の位置情報、及び運動状態解析手段14から得られる自車の運動状態に基づいて展開レベルを設定し、該展開レベルに応じいて、Gセンサ22の検知レベル(A/Bを展開させるためのしきい値)を設定することにより、必要なタイミングで必要な場所のA/Bを展開させることができ、最適なA/Bの展開制御を行うことができる。
【0062】
また、周辺車両検出手段44から得られる周辺車両の速度、及び運動状態解析手段14から得られる自車の速度に基づいて、展開レベルを設定し、該展開レベルに応じて、Gセンサ22の検知レベル(A/Bを展開させるためのしきい値を設定することにより、周辺車両に対しても同様に、必要なタイミングで必要な場所のA/Bを展開させることができる。
【0063】
なお、上記の実施の形態では、Gセンサ22の検知レベルに応じてA/B展開制御を行うようにしたが、視覚センサとその情報処理(CCDカメラ、レーダー、レーザなど)により、衝突以前に衝突を予測してエアバッグを展開させることも可能である。精度のよい画像処理を行うには演算時間がかかる。従って、精度を犠牲にして演算時間を優先した画像処理を選ぶ方が現実的である。また、視覚センサ情報は、予測時間が遠いほど精度が悪く、不確実である。従って、上記の高精度位置情報システムと組み合わせることにより、不確実さを低減することができる。視覚センサを用いてエアバッグを展開制御する場合には、図4(A)又は図7(A)に示す展開レベル設定マップと視覚センサから得られる視覚センサ情報レベル(視覚センサにより判断される衝突する可能性)に応じて、図9(A)に示す展開制御マップを予め設定し、設定された展開制御マップに基づいてエアバッグの展開制御を行う。
【0064】
また、衝突の確認としてGセンサ22及び視覚センサを用いるようにしてもよい。この場合には、周辺車両検出手段44から得られる周辺車両の速度、及び運動状態解析手段14から得られる自車の速度に応じて、予め設定された展開レベル設定マップ(図4(A)、図7(A)参照)によって、側面衝突レベルを設定し、設定された側面衝突レベルと視覚センサ感知レベルに応じて予め設定された図9(B)に示す複合展開(側面衝突スタンバイ)レベル設定マップによって、複合展開レベルを設定する。そして、設定された複合展開レベルとGセンサ22より入力されるGセンサ22検知レベルに応じて予め設定された図9(C)に示す複合展開制御マップに基づいてA/Bの展開制御を行うことにより、さらに展開精度を向上することも可能である。
【0065】
なお、上記の実施の形態では、乗員保護装置としてエアバッグを例に上げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリテンショナなどの乗員保護装置の制御システムに適用することが可能である。また、上記の実施の形態におけるサイドA/Bは、運転席側(サイド(RH)A/B32)と助手席側(サイド(LH)A/B34)として説明したが、これに限るものではなく、例えば、運転席用、助手席用、後部座席(右/左)用などの更に複数のサイドA/Bとしてもよいし、運転席用及び助手席用のサイドA/Bとして、さらに頭部保護用A/Bと、身体保護用A/Bとを設けたサイドA/Bしてもよい。
【0066】
また、上記の実施の形態では、衝突予測に応じて設定されたGセンサ22のしきい値を越えた場合にA/Bの展開を行うようにしたが、ステップ108及びステップ120の衝突予測からA/Bの展開を行うことも可能である。
【0067】
さらに、上記の実施の形態では、2度目以降の衝突(例えば、最初に右側面が衝突し、時間が遅れて左側面が衝突する場合等)については特に説明していないが、2度目以降の衝突に対しても本発明を適用するようにしてもよい。例えば、最初に右側面が衝突する場合には、本発明を適用して右側に位置するサイドA/Bの展開制御を行い、続いて、時間が遅れて左側面が衝突する場合には、本発明を適用して左側に位置するサイドA/Bの展開制御を行う。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、自車位置を検出すると共に、自車の運動状態を解析し、自車位置と自車の運動状態に基づいて、衝突予測を行い、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御を行うので、乗員保護装置を最適に動作させることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアバッグ装置の配置を説明するための概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るエアバッグ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】Gセンサの出力を示す図である。
【図4】(A)は第1実施形態における展開レベル設定マップを示し、(B)は第1実施形態における展開制御マップを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るエアバッグ制御システムの作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係るエアバッグ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】(A)は第2実施形態における展開レベル設定マップを示し、(B)は第2実施形態における展開制御マップを示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るエアバッグ制御システムの作用を説明するためのフローチャートである。
【図9】(A)は視覚センサを用いた場合の展開制御マップを示し、(B)は視覚センサ及びGセンサを用いた複合展開レベル設定マップを示し、(C)は視覚センサ及びGセンサを用いた複合展開制御マップを示す図である。
【符号の説明】
10 エアバッグECU
12 高精度位置情報システム
14 運動状態解析手段
16 ヨーレートセンサ
18 ステアリング舵角センサ
19 車輪速度センサ
20 スロットルポジションセンサ
22 Gセンサ
24 運転席用A/B
26 助手席用A/B
28 後部座席用(RH)A/B
30 後部座席用(LH)A/B
32 サイド(RH)A/B
34 サイド(LH)A/B
Claims (5)
- 走行路周辺の構築物情報を含む地図情報を有し、自車位置を検出すると共に、自車周辺の構築物を検出する自車位置検出手段と、
自車の走行状態を検出する複数の検出手段と、
前記検出手段により検出された走行状態に基づいて、自車の運動状態を解析する運動状態解析手段と、
衝突する構築物を衝突時の衝撃の大きさ毎に層別した、前記乗員保護装置の動作を開始させる衝突レベルを設定するためのレベル設定マップと、
前記自車位置検出手段による検出結果及び前記運動状態解析手段による解析結果に基づいて、衝突する構築物を推定して前記レベル設定マップを用いて衝突予測を行い、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御を行う乗員保護制御手段と、
を備えた乗員保護装置の制御システム。 - 衝突時の加速度を検出する加速度センサ及び衝突時の接触を検出する接触センサの少なくとも一方を含む衝突を検出するための衝突検出手段を更に備え、前記乗員保護制御手段は、前記衝突検出手段の検出値から衝突を検出したときに、前記乗員保護装置の動作を開始させると共に、前記衝突予測の結果に応じて、前記衝突検出手段の乗員保護装置の動作を開始させるしきい値を設定することを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置の制御システム。
- 前記乗員保護制御手段は、前記衝突予測の結果から衝突が予測される場合に、前記衝突予測の結果から衝突が予測されない場合よりも、前記しきい値を低く設定することを特徴とする請求項2に記載の乗員保護装置の制御システム。
- 周辺車両を検出する周辺車両検出手段を更に備え、前記乗員保護制御手段が、前記自車位置検出手段による検出結果、前記運動状態解析手段による解析結果、及び前記周辺車両検出手段により検出された周辺車両に基づいて、衝突予測を行い、該衝突予測の結果に応じて乗員保護装置の動作の開始制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の乗員保護装置の制御システム。
- 前記乗員保護制御手段は、前記衝突予測の結果に基づき乗員保護装置の動作箇所を決定する決定手段を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗員保護装置の制御システム。
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