JP3719493B2 - 吸収式冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収式冷凍機に関し、特に、機内に発生する不凝縮水素ガスの除去装置を有する吸収式冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収式冷凍サイクルで運転される吸収式冷凍機が冷房装置として知られていたが、さらに近年、運転時のエネルギ効率の良さ等の利点に着目され、冷房運転だけでなく、蒸発器で外気から汲み上げた熱を利用するヒートポンプ暖房運転も行えるようにした吸収式冷凍機に対する需要が高まりつつある。例えば、特公平6−97127号公報では、冷房運転、ヒートポンプ運転による暖房、および直火焚き(ボイラ)運転による暖房という3つのモードで運転できるようにした吸収式冷温水機が提案されている。
【0003】
上記吸収式冷凍機の吸収冷凍サイクルでは、冷媒中の成分と冷媒流路を形成している金属材料および腐食抑制剤との接触反応等によって、ごく微量の水素ガス等の不凝縮ガスが発生する。この不凝縮ガスは例えば数mmHg〜数百mmHgの低圧環境を維持すべき構成部分である吸収器、蒸発器等の真空度を低下させ、冷暖房の運転効率を著しく低下させることが知られている。このために、真空ポンプ等の抽出手段を用いてこの不凝縮ガスを機外に放出するメンテナンスが一定期間毎に必要となっていた。
【0004】
特開平8−121911号公報や特開平5−9001号公報には吸収式冷凍機内で発生した不凝縮ガスを機外に排出する装置が開示されている。これらの装置では、加熱されたパラジウム管に冷媒液から分離した不凝縮ガスを誘導し、パラジウムの選択透過性を利用して、該不凝縮ガスを大気中に放出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記不凝縮ガスの排出装置を有する吸収式冷凍機には次の問題点があった。吸収式冷凍サイクルのためフッ化アルコール等のアルコール系冷媒を使用する吸収式冷凍装置においては、冷媒中に水を混入させることで、冷媒流路を形成している金属材料の腐食を抑制できることが知られている。この場合、混入させた水が冷媒流路を形成しているアルミニウムと反応して微量の水素ガスを発生するためこれの除去が必要になる。
【0006】
水素ガスの発生は次のアノード反応とカソード反応による。アノード反応:Al→Al3 +3e- ,Al3 +3OH→AlOOH・H2 O(アルミイオンの水和(ベーマイト被膜生成))、カソード反応:3H+3e→3/2H2 (水素発生)。
【0007】
なお、アルコール系冷媒に限らず、リチウムブロマイド(LiBr)を吸収剤とし、水を冷媒とする組み合わせを使用したシステム、あるいは、アンモニア(NH3)を冷媒とし、水を吸収剤とする組み合わせを使用したシステムにおいても、使用される水から水素ガスを発生するため、同様に、この水素ガスの除去が必要である。
【0008】
しかし、上記公報に開示された不凝縮ガスの排出装置では、発生した水素ガスを機外に放出させるようになっているので、機内の気密性を保持するため複雑な構造を要する。また、冷媒中に含まれている水分が徐々に減少していくことになるため、腐食の抑制に必要な適正量の水が確保されないという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、機内の真空度を低下させることなく、かつ、冷媒中の含有水分量を適正量に保持しつつ、発生した不凝縮ガスを除去することができる吸収式冷凍機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するための本発明は、冷媒を収容した蒸発器と、前記蒸発器で発生した冷媒蒸気を吸収剤溶液で吸収する吸収器と、前記溶液の吸収剤濃度を回復させるため、該吸収剤溶液を加熱して冷媒蒸気を抽出する再生器と、前記再生器で抽出された冷媒蒸気を凝縮させて前記蒸発器へ供給するための凝縮器とを有する吸収式冷凍装置において、吸収冷凍サイクル運転に伴って発生する水素ガスと接触して還元反応を生じさせる酸化金属を主成分とする還元部を具備し、前記還元部が、運転中は前記冷媒の通路から実質的に隔離され、運転停止時には前記冷媒通路に連通する隔離室内に設けられた点に第1の特徴がある。
【0011】
この第1の特徴によれば、発生する水素ガスが酸化金属に作用して還元反応が起こり、水が生成されて水素ガスは除去される。こうして水素ガスを除去することにより、凝縮器、蒸発器、吸収器等、冷媒通路各部の真空度の低下による運転効率の低下を防止できるし、生成した水が還元部から冷媒通路に戻ることにより、冷媒中の水分は適正量に維持される。
【0012】
特に、本発明者等の実験では、還元部の酸化金属表面に冷媒が付着すると反応効率が低下することが認められているが、第1の特徴によれば、還元部は運転中冷媒通路から隔離されるので、還元反応が起こらず、運転休止中に、水素ガスがシステム内に拡散した状態で、安定した状況下で時間をかけて確実に水素ガス除去処理が行われる。
【0013】
また、本発明は、前記隔離室と前記冷媒の通路とを連通する通路手段を、運転中は閉鎖し、運転停止後には開放する開閉手段とを具備した点に第2の特徴があり、前記開閉手段が、運転停止後予定時間経過後に解放される点に第3の特徴がある。
【0014】
第3の特徴によれば、運転停止後に起こり得る冷媒凝縮の影響がなくなってから水素ガス除去処理が開始される。
【0015】
さらに、本発明は、前記還元部が、前記吸収器内にあって前記蒸発器との間に設けられた蒸発通路に近接配置された点に第4の特徴がある。
【0016】
第4の特徴によれば、蒸発器内の温度が外気温度より低いので、蒸発通路の直下流では冷媒蒸気は凝縮されない。したがって、運転中も還元部の濡れを伴わず、効率よく水素ガス除去処理が行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る吸収式冷凍機の要部構成を示す系統ブロック図である。ここでは、吸収式冷凍機の一実施態様として吸収式冷暖房装置を想定している。蒸発器1には冷媒としてトリフルオロエタノール(TFE)等のフッ化アルコールが、吸収器2には吸収剤を含む溶液としてDMI誘導体(ジメチルイミダゾリジノン)が収容されている。前記冷媒はフッ化アルコールに限らず非凍結範囲が広くとれるものであればよい。溶液についてはDMI誘導体に限らず非結晶範囲が広く取れるものであって、冷媒よりも高い常圧沸点を有し、冷媒を吸収しうる吸収剤であればよい。
【0018】
蒸発器1と吸収器2とは、蒸発(冷媒)通路を介して互いに流体的に連結されており、これら蒸発器1および吸収器2を、例えば30mmHg程度の低圧環境下に保持すると、蒸発器1内の冷媒が蒸発し、この冷媒蒸気は前記蒸発通路を介して吸収器2内に入る。吸収器2内では吸収剤溶液が冷媒蒸気を吸収して吸収冷凍動作が行われる。なお、蒸発通路には、冷媒蒸気中に残存するミスト(霧状の冷媒)を加熱して蒸気化させるとともに、凝縮器9から送給される冷媒の温度を下げる働きをする予冷器(サブクーラ)18が設けられている。
【0019】
バーナ7が点火されると、再生器3によって吸収器2内の溶液濃度が高められる(バーナおよび再生器ならびに溶液濃縮については後述する)。吸収器2内の高濃度溶液が冷媒蒸気を吸収すると蒸発器1内の冷媒が蒸発し、その蒸発時の潜熱によって蒸発器1内が冷却される。蒸発器1には冷水が通過する管路1aが通っている。管路1aを流れる冷水としてはエチレングレコール又はプロピレングレコ−ル水溶液を使用するのが好ましい。管路1aの一端(図では出口端)は第1の四方弁V1の#1開口に、その他端(図では入口端)は第2の四方弁V2の#1開口にそれぞれ連結される。
【0020】
冷媒はポンプP1によって蒸発器1内に設けられた散布手段1bに導かれ、冷水が通過している管路1a上に散布される。冷媒は管路1a内の冷水から蒸発熱を奪って冷媒蒸気となり、冷媒で熱を奪われた管路1a内の冷水はその温度が降下する。冷媒蒸気は前記蒸発通路を通って吸収器2に流入する。蒸発器1内の冷媒は散布手段1bに導かれるほか、その一部はフィルタ4を通って精留器6にも給送される。蒸発器1とフィルタ4との間には流量調節弁V5が設けられている。
【0021】
前記フッ化アルコールの蒸気つまり冷媒蒸気が吸収器2の溶液に吸収されると、吸収熱によって該溶液の温度は上昇する。溶液の吸収能力は該溶液の温度が低いほど、また、溶液濃度が高いほど大きい。そこで、該溶液の温度上昇を抑制するため、吸収器2の内部には冷却水が通る管路2aが設けられる。管路2aの一端(図では出口端)は凝縮器9内を通した後、ポンプP3を介して第1の四方弁V1の#2開口に、管路2aの他端(図では入口端)は第2の四方弁V2の#2開口にそれぞれ連結される。管路2aを通過する冷却水として、前記冷水と同じ水溶液を使用する。
【0022】
溶液はポンプP2によって吸収器2内に設けられた散布手段2bに導かれ、管路2a上に散布される。その結果、溶液は管路2aを通っている冷却水で冷却される。一方、冷却水は熱を吸収するのでその温度が上昇する。吸収器2内の溶液が冷媒蒸気を吸収し、その吸収剤濃度が低下すると吸収能力が低下する。そこで、再生器3および精留器6によって吸収剤溶液から冷媒蒸気を分離発生させることにより、溶液の濃度を高めて吸収能力を回復させる。
【0023】
吸収器2で冷媒蒸気を吸収して希釈された溶液つまり希液は前記散布手段2bに導かれるほか、ポンプP2により管路7bを通じて精留器6に給送され再生器3へと流下する。ポンプP2と再生器3とをつなぐ管路7bには開閉弁V3が設けられている。再生器3には吸収器2から供給される希液を加熱するバーナ7が設けられている。バーナ7はガスバーナが好ましいが、他の型式のどのような加熱手段であってもよい。
【0024】
再生器3で加熱され、冷媒蒸気が抽出されて濃度が高められた溶液(濃液)は、管路7aを通って吸収器2に戻される。管路7a上には開閉弁V4が設けられている。温度が比較的高い濃液は散布手段2cによって管路2a上に散布される。
【0025】
再生器3に給送された希液がバーナ7で加熱されると、冷媒蒸気が発生する。この冷媒蒸気に混入された吸収剤溶液は精留器6で分離され、より一層純度を高められた冷媒蒸気が凝縮器9へ給送される。冷媒蒸気は凝縮器9で冷却されて凝縮液化され、前記予冷器18、減圧弁11を経由して蒸発器1に戻される。この冷媒は管路1a上に散布される。
【0026】
凝縮器9から蒸発器1に供給される蒸気の純度は極めて高くなってはいるが、還流冷媒中にごくわずかに混在する吸収剤成分が長時間の運転サイクルによって蓄積し、蒸発器1内の冷媒の純度が徐々に低下することは避けられない。蒸発器1から冷媒のごく一部をフィルタ4を介して精留器6に給送し、再生器3から生じる冷媒蒸気と共に再び純度を上げるためのサイクルを経るようにすることによって冷媒純度の低下が抑制される。
【0027】
再生器3から出た管路7a中の高温濃液は、吸収器2と精留器6を連結する管路の中間に設けられた熱交換器12により、吸収器2から出た希液と熱交換して冷却された後、吸収器2内に散布される。一方、熱交換器12で予備的に加熱された希液は精留器6へ給送される。こうして熱効率の向上が図られているが、さらに、還流される前記濃液の熱を吸収器2または凝縮器9から出た管路2a内の冷却水に伝達するための熱交換器(図示せず)を設けることにより、吸収器2に還流される濃液の温度をより一層低下させ、冷却水温度はさらに上げることができるような構成をとってもよい。
【0028】
前記冷水または冷却水を外気と熱交換するための顕熱交換器14には管路4aが、室内機15には管路3aが設けられている。管路3a、4aの各一端(図では入口端)は第1の四方弁V1の#3および#4開口に、その他端(図では出口端)は第2の四方弁V2の#3および#4開口にそれぞれ連結される。室内機15は冷暖房を行う室内に備えられるもので、冷風または温風の吹出し用ファン(両者は共通)10と吹出し出口(図示せず)とが設けられる。顕熱交換器14は室外に置かれ、ファン19で強制的に外気との熱交換が行われる。
【0029】
蒸発器1には冷媒の量を感知するレベルセンサL1、冷媒の温度を感知する温度センサT1、および蒸発器1内の圧力を感知する圧力センサPS1が設けられている。吸収器2には溶液の量を感知するレベルセンサL2が設けられている。凝縮器9には、凝縮した冷媒の量を感知するレベルセンサL9、冷媒の温度を感知する温度センサT9、および凝縮器9内の圧力を感知する圧力センサPS9が設けられている。顕熱交換機14、再生器3、および室内機15にはそれぞれ温度センサT14、T3およびT15が設けられている。顕熱交換機14の温度センサT14は外気温度を感知し、室内機15の温度センサT15は冷暖房をする室内の温度を感知する。再生器3の温度センサT3は溶液の温度を感知する。
【0030】
以上の構成において、冷房運転時には、第1の四方弁V1および第2の四方弁V2の、それぞれの#1および#3開口を連通させる一方で、#2および#4開口を連通させるように切替える。この切替えにより、冷媒が散布されて温度が下げられた冷水が室内機15の管路3aへ導かれて室内の冷房が行われる。
【0031】
一方、暖房運転時には、前記第1の四方弁V1および第2の四方弁V1の、それぞれの#1および#4開口を連通させ、#2および#3開口を連通させるように切替える。この切替えにより、暖められた冷却水が室内機15の管路3aへ導かれて室内の暖房が行われる。
【0032】
暖房運転時に、外気温度が極端に低くなると、顕熱交換器14を介して外気から熱を汲み上げ難くなり、暖房能力が低下する。このようなときのために、凝縮器9と再生器3(または精留器6)との間をバイパスする環流通路9aおよび開閉弁17を設けている。すなわち、外気からの熱の汲み上げが困難なときには、吸収冷凍サイクル運転を停止して、再生器3で発生した蒸気を凝縮器9との間で環流させ、バーナ7による加熱熱量を凝縮器9内で効率よく管路2a内の冷却水に伝導させられる直火焚き運転により前記冷却水を昇温させて暖房能力を向上させるようにする。
【0033】
続いて、上記冷暖房装置に設けられている水素ガス除去装置について説明する。図1は本実施形態に係る冷暖房装置の水素ガス除去装置の取付位置を示す模式図である。同図において、蒸発器1と吸収器2とを隔てる隔壁20の上部には蒸発器1から吸収器2へ冷媒蒸気が流入可能なように蒸発通路20aが設けられる。この蒸発通路20aには、凝縮器9から蒸発器1へ導入される冷媒を蒸発器1からの冷媒蒸気と熱交換させるための予冷器18を構成する管路が引き込まれている。この予冷器18によって、凝縮器9から蒸発器1へ導入される冷媒は、その温度が前もって低下させられる。蒸発器1および吸収器2内には、前記冷水用管路1aおよび前記冷却水用管路2aにそれぞれ固着される熱交換用フィンF1,F2が設けられる。
【0034】
吸収器2の上部には水素処理装置21が設けられる。水素処理装置21は蒸発通路20aの近傍にあって吸収器2の天井に取り付けられる。水素処理装置21内には、酸化金属を含む還元部が設けられる。還元部の構造は図3を参照して後述する。
【0035】
酸化金属としては、例えば遷移金属の酸化物単体または遷移金属の酸化物同士の混合物を使用できる。一例として、NiO単体、またはNiOを主成分とし、さらにCuO,MnO2 ,Al2 O3 を混合した混合物を使用することができる。また、他の例として、CuO,MnO2 ,Al2 O3 のうちの少なくとも一つを主成分とした混合物を使用することができる。
【0036】
運転中に冷媒蒸気とともに吸収器2内に流入する水素ガス、および運転休止中に吸収器2内に拡散している水素ガスは、水素処理装置21内の酸化金属と接触する。その結果、酸化金属の還元反応が起こり、水が生成されて水素ガスは除去される。すなわち、例えば、次式(f1)による化学反応が生じる。MOX+XH2 =M+XH2 O…(f1)。ここで、符号Mは遷移金属、Xは定数である。生成された水は吸収器2底部に滴下する。
【0037】
こうして、吸収器2内に溜まった水素ガスが除去されるときに水が生成されるので、冷暖房機内を流れる冷媒の水含有量が水素ガス除去作用に伴って減少することはない。したがって、冷媒通路を形成している金属材料の腐食を抑制させるため冷媒に混入させている水が適正な量に維持される。また、リチウムブロマイド(LiBr)を吸収剤とし、水を冷媒とする組み合わせを使用したシステム、あるいは、アンモニア(NH3)を冷媒とし、水を吸収剤とする組み合わせを使用したシステムにおいては、「水」自体が冷媒や吸収剤であるので、「水」の生成は運転になんら悪影響を及ぼさない。
【0038】
図3は、水素処理装置21の断面図である。同図において、吸収器2の筐体22にはねじが切られた取付け孔23が形成されている。取付け孔23の下部には段差が設けられており、この段差にフランジ部を引っ掛けるようにして酸化金属収容用のチューブ24が設けられる。チューブ24の下端面は網つまりフィルタ25でカバーされ、このチューブ24内には少なくともフィルタ25のメッシュから漏れないように粒度が適当に調整された酸化金属Mが適当量充填される。酸化金属Mが収容されたチューブ24の上部は取付け孔23に螺挿されるキャップ26で塞がれ、チューブ24自体は、そのフランジ部がキャップ26で筐体22に押圧されて固定される。前記水素ガスはフィルタ25を通過してチューブ24内の酸化金属Mと接触し、その結果、上記反応によって水を生じる。
【0039】
このように水素処理装置21を予冷器18の近傍つまり蒸発通路20aの下流側に、つまり冷媒蒸気が外気温度以下の低温環境(蒸発器)から高温環境(吸収器)へ移行する場所に設置することにより、運転中に冷媒蒸気が接触しても還元部つまり酸化金属Mがほとんど濡れることがない。したがって、濡れによる酸化金属Mの還元作用が低下しにくいため、運転中にも水素除去処理を促進することができる。
【0040】
酸化金属Mは粉末または粒状のものがよいが、これに限らない。例えば、チューブ24の内周および/または外周に酸化金属Mの層を形成して水素ガスと接触させるようにしてもよい。この場合、フィルタ25は不要である。また、酸化金属Mは先に列挙したもの単体でもよいし、酸化金属Mと水素ガスとの反応を促進させるための触媒作用をもつ物質、例えば、パラジウムもしくはその化合物(PdCl2 )、白金もしくはその化合物等の添加剤を微量混入するようにしてもよい。
【0041】
次に、水素処理装置の設置場所の変形例を示す。図4は第1の変形例に係る模式図であり、図1と同符号は同一または同等部分を示す。吸収器2の上面には外部に向けて抽出管28が引き出され、この抽出管28の端部には、バルブ29を介して水素処理装置21Aが取り付けられる。水素処理装置21Aは、抽出管28に螺着されたハウジング30、および抽出管28の端部に対向するよう設けられたフィルタ25、ならびにフィルタ25で抽出管28側と隔離された部屋に充填された酸化金属Mからなる。
【0042】
図5は第2の変形例に係る模式図であり、図4と同符号は同一または同等部分を示す。この変形例では凝縮器9の上面に抽出管28が引き出され、この抽出管28の端部にバルブ29を介して水素処理装置21Aが取り付けられる。凝縮器9内には、前記冷却水用管路2aに固着される熱交換用フィンF3が設けられる。
【0043】
第1および第2の変形例において、バルブ29は電磁弁であるのがよく、冷暖房装置の運転中に抽出管28を閉じ、運転停止時に抽出管28を開くよう制御される。なお、バルブ29は運転停止直後に開くよりも、運転停止後、予定時間経過して開くのがよい。この場合の予定時間は、運転停止直後の冷媒凝縮の影響がなくなる長さに設定するのが好ましい。
【0044】
この水素処理装置21Aでは、運転停止時にバルブ29が開かれると、吸収器2および凝縮器9内に拡散している水素ガスは抽出管28を通り、フィルタ25を通過して酸化金属Mの収容部に導入される。導入された水素ガスは酸化金属Mと接触して反応し、水を生ずる。生成された水は抽出管28を通って吸収器2および凝縮器9内にそれぞれ滴下する。
【0045】
特に、凝縮器9内の水素ガスは、運転中は、再生器3からの冷媒蒸気の流れによって、凝縮器9の底部に溜まっている冷媒の液面に張り付いている。そして、運転休止とともに、水素ガスは冷媒液面から離れて凝縮器9全体に拡散し、上方の酸化金属Mと反応する。
【0046】
このように、運転中、水素処理装置21A内の酸化金属Mは冷媒蒸気通路から隔離されるので、凝縮冷媒の付着による濡れが防止される。また、運転停止後にバルブ29を開くようにしたので、水素ガスがシステム全体に拡散した状態で、かつ運転停止中の安定した状態で時間をかけて徐々に反応・処理させることができる。
【0047】
上述のように、バルブ等を介して運転中は酸化金属Mが冷媒蒸気通路から確実に隔離されているのが好ましいが、実質的に、凝縮した冷媒蒸気が付着しない環境に酸化金属Mを設置することにより、還元能力の低下を抑止することができる。
【0048】
図6は、第3の変形例を示す図であり、実質的に、凝縮した冷媒蒸気がきわめて付着しにくい環境に酸化金属Mを設置した場合の凝縮器9の模式図である。同図において、凝縮器9にはチャンバ9Aが形成され、チャンバ9Aの底部には冷媒が溜められる。さらに凝縮器9には、前記チャンバ9Aとは別に処理チャンバ9Bが設けられる。処理チャンバ9Bは凝縮器9の一端部、つまり再生器3から冷媒蒸気を取入れる連結口91とは反対側に設けられる。チャンバ9Aと処理チャンバ9Bとを仕切る隔壁92には開口92Aが形成され、チャンバ9Aの底部に溜まっている冷媒の液面93に張り付いている水素ガスH2 はこの開口92Aを通過できる。チャンバ9B内に設置される水素処理装置21は、図1の吸収器2に設けられるものと同一である。
【0049】
連結口91から凝縮器9に流入した冷媒蒸気は、図示しない冷却水管等に触れてチャンバ9A内で凝縮するので、隔壁92で仕切られたチャンバ9Bに流入する冷媒蒸気は少ない。したがって、実質的にはチャンバ9B内で凝縮した冷媒蒸気が水素処理装置21の酸化金属Mに付着することがないので、還元能力の低下は抑止される。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項4の発明によれば、酸化金属の還元作用により水素ガスが除去され、水が生成される。したがって、冷媒通路の真空度が低下することがないので高い運転効率を維持できるとともに、生成された水は機外に排出されないので、水を混入した冷媒の含有水分量を適正に維持することができる。
【0051】
また、請求項1〜請求項3の発明によれば、運転中は冷媒蒸気通路から実質的に隔離されるので、凝縮冷媒の付着による濡れを制御できる。運転中は還元部で反応が起こらず、運転休止中に、水素ガスがシステム内に拡散した状態で、安定した状況下で時間をかけて確実に水素ガス除去処理が行われる。特に、請求項3の発明によれば、運転停止直後に起こり得る冷媒凝縮の影響がなくなってから水素ガス除去処理が開始されるので、還元部に凝縮冷媒が付着しない。
【0052】
さらに、請求項4の発明によれば、蒸発器内の温度が外気温度より低いので、蒸発通路の直下流では冷媒蒸気は凝縮されない。したがって、運転中も還元部の濡れを伴わず、効率よく水素除去処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る吸収式冷暖房装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る吸収式冷暖房装置の構成を示す系統図である。
【図3】 水素処理装置の断面図である。
【図4】 第1の変形例に係る吸収式冷暖房装置の要部構成を示す模式図である。
【図5】 第2の変形例に係る吸収式冷暖房装置の要部構成を示す模式図である。
【図6】 第3の変形例に係る吸収式冷暖房装置の要部構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1…蒸発器、 2…吸収器、 3…再生器、 9…凝縮器、 14…顕熱交換器、 15…室内機、 18…予冷器、 19…ファン、 20…隔壁、 20a…蒸発通路、 21…水素処理装置、 22…筐体、 24…酸化金属収容用のチューブ、 25…フィルタ、 26…キャップ、 28…抽出管、 29…バルブ、 30…ハウジング、 M…酸化金属
Claims (4)
- 冷媒を収容した蒸発器と、前記蒸発器で発生した冷媒蒸気を吸収剤溶液で吸収する吸収器と、前記溶液の吸収剤濃度を回復させるため、該吸収剤溶液を加熱して冷媒蒸気を抽出する再生器と、前記再生器で抽出された冷媒蒸気を凝縮させて前記蒸発器へ供給するための凝縮器とを有する吸収式冷凍機において、
吸収冷凍サイクル運転に伴って発生する水素ガスと接触して還元反応を生じさせる酸化金属を主成分とする還元部を具備し、
前記還元部が、運転中は前記冷媒の通路から実質的に隔離され、運転停止時には前記冷媒通路に連通する隔離室内に設けられたことを特徴とする吸収式冷凍機。 - 前記隔離室と前記例場合の通路とを連通する通路手段と、
前記通路手段を、運転中は閉鎖し、運転停止後には開放する開閉手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の吸収式冷凍機。 - 前記開閉手段が、運転停止後予定時間経過後に開放されることを特徴とする請求項2記載の吸収式冷凍機。
- 冷媒を収容した蒸発器と、前記蒸発器で発生した冷媒蒸気を吸収剤溶液で吸収する吸収器と、前記溶液の吸収剤濃度を回復させるため、該吸収剤溶液を加熱して冷媒蒸気を抽出する再生器と、前記再生器で抽出された冷媒蒸気を凝縮させて前記蒸発器へ供給するための凝縮器とを有する吸収式冷凍機において、
吸収冷凍サイクル運転に伴って発生する水素ガスにと接触して還元反応を生じさせる酸化金属を主成分とする還元部を具備し、
前記還元部が、前記吸収器内にあって前記蒸発器との間に設けられた蒸発通路に近接配置されたことを特徴とする吸収式冷凍機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000117650A JP3719493B2 (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | 吸収式冷凍機 |
Applications Claiming Priority (1)
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