JP3725275B2 - ウェーハ研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウェーハ研磨装置に関し、特にウェーハ表面の研磨量均一性を向上するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、半導体素子の製造工程において、ウェーハの鏡面にアルミニウム等を蒸着して回路パターンを形成し、その上にSiO2等の絶縁膜を形成した後、この絶縁膜を研磨により平坦化して、さらにその上に素子の内部構造を順次構築する技術が多用されている。
【0003】
積層された上記絶縁膜を研磨するウェーハ研磨装置として、表面に研磨パッドが貼付された円盤状のプラテンと、研磨すべきウェーハの一面を保持して研磨パッドにウェーハの他面を当接させる複数のウェーハ保持ヘッドと、これらウェーハ保持ヘッドをプラテンに対し相対回転させるヘッド駆動機構とを具備し、研磨パッドとウェーハの間に研磨砥粒を含むスラリーを供給することにより研磨を行うものが広く知られている。
【0004】
この種のウェーハ研磨装置としては、構成が簡単なテンプレート型と称されるものが現在も広く使用されている。この装置のウェーハ保持ヘッドは、ウェーハよりも大きい外径を有する水平な円盤状のキャリアを有し、このキャリアの下面にウェーハの外周を包囲する円環状かつ薄肉のテンプレートを固定し、このテンプレートでウェーハの外周を引っかけながら、ウェーハの下面をプラテン上の研磨パッドに擦り付けて研磨を行う。この場合、テンプレートの下面は一般に、研磨パッドに当接しないように構成される。
【0005】
前記テンプレート型のウェーハ研磨装置においては、ウェーハを一定圧力で研磨パッドに押し付けながら研磨を行うため、ウェーハは研磨パッドに僅かに沈み込むことになる。したがって、ウェーハの外周部ではウェーハ中央部に比して研磨パッドとの当接圧力が大きくならざるを得ず、ウェーハ外周部の研磨量が中央部の研磨量に比して大きくなり、研磨量を均一化し難いという問題があった。
【0006】
一方、米国特許5,205,082号には、図11に示すようなウェーハ保持ヘッドが開示されている。このウェーハ保持ヘッドは、中空のヘッド本体1と、ヘッド本体1内に水平に張られたダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の下面に固定されたキャリア4とを有し、ダイヤフラム2によって画成された空気室6へ、シャフト8を通じて加圧空気源10から加圧空気を供給することにより、キャリア4を下方へ押圧できるフローティングヘッド構造になっている。
このようなフローティングヘッド構造は、研磨パッドに対するウェーハの当接圧力が均一化できる利点を有する。
【0007】
キャリア4の外周には同心状にリテーナリング12が配置され、このリテーナリング12もダイヤフラム2に固定されている。リテーナリング12の下端はキャリア4よりも下方に突出し、これにより、キャリア4の下面に付着されたウェーハの外周を保持する。このようにウェーハ外周を保持することにより、研磨中のウェーハがキャリア4から外れる不具合が防止できる。
さらに、ウェーハをリテーナリング12で囲み、このリテーナリング12の下端をウェーハ下面と同じ高さで研磨することにより、ウェーハ外周部での過研磨が防止できるとされている。
【0008】
ところで、研磨パッドには、ウェーハ表面における研磨の均一性および平坦性の両特性が要求される。
しかしながら、軟質性の研磨パッドの場合には、その弾性によってウェーハ表面の全体に圧力が均一に加わり易いことから均一性に優れているが、ウェーハ表面の凹部においても凸部に近い研磨量となるため平坦性に劣る特性を有している。逆に、硬質性の研磨パッドの場合には、ウェーハ表面の凹部に比べて凸部に強い圧力が加わり易いことから研磨の平坦性に優れているが、ウェーハ表面全体に亙って均一な圧力が得難く、研磨の均一性に劣るという特性を有している。
【0009】
この対策として、軟質性研磨パッドである弾性支持層上に表面硬質層を設けた2層型研磨パッドが提案されている。すなわち、この研磨パッドは、弾性支持層による均一性と表面硬質層による平坦性との両特性を兼ね備え、ウェーハ研磨に要求される均一性と平坦性とを両立させたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のウェーハ研磨装置には、以下のような課題が残されている。
すなわち、本発明者らがこのウェーハ研磨装置について子細に検討した結果、研磨パッドの材質やリテーナリング12の当接圧力によっては、図12に示すように、リテーナリング12に当接した箇所の内周縁に沿って研磨パッドPが局部的に盛り上がり(以下、便宜のため「波打ち変形」と称する)、この盛り上がり部TによってウェーハWの外周部Gが過剰に研磨され、ウェーハWの研磨均一性が阻害されるという新規な現象が発見された。
すなわち、ウェーハ外周部の過研磨の問題は完全には解決されていなかったのである。
特に、上述した2層型研磨パッドにおいては、下層に設けられた軟質性の研磨パッドによる弾性効果のために、リテーナリングの当接圧力に対する反動が大きく、前記波打ち変形の発生が顕著となる傾向があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ウェーハ外周部における過研磨を防止し、研磨量均一性が高められるウェーハ研磨装置を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、請求項1記載のウェーハ研磨装置では、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンと、研磨すべきウェーハの一面を保持して前記研磨パッドにウェーハの他面を当接させる1または2以上のウェーハ保持ヘッドと、これらウェーハ保持ヘッドを駆動することにより前記研磨パッドでウェーハの前記他面を研磨するヘッド駆動機構とを具備し、前記ウェーハ保持ヘッドは、研磨すべきウェーハの前記一面を保持するための円盤状のキャリアと、該キャリアの外周に同心状に配置されたリテーナリングとを有し、該リテーナリングは、ヘッド軸線方向に変位可能とされ、その下面が研磨時には前記研磨パッドに当接するように構成され、前記リテーナリングの下面には、研磨時にリテーナリングの内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部を逃がす溝部が内周寄りに全周に亙って形成され、前記リテーナリングの下面が前記溝部により外側押圧面と該外側押圧面より少ない面積の内側押圧面とに分割されるとともに、該溝部の幅がウェーハの直径に対して0.5%から1.0%となる範囲に設定されている技術が採用される。
【0013】
このウェーハ研磨装置では、リテーナリングの下面に全周に亙って内周寄りに溝部が形成されているので、研磨時にリテーナリングの当接圧力によってその内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部が部分的に溝部に誘導されて半径方向外方に逃がされるとともに、リーナリング内側近傍の盛り上がり部が小さくなる。すなわち、研磨パッドの波打ち変形が抑制されて、ウェーハ外周部の過研磨が緩和される。また、溝部の幅は、大きすぎるとリテーナリングとパッドとの接触面積が狭くなり実圧が増してパッド変形量が大きくなり、また、小さすぎると効果はない。したがって、好ましくはウェーハWの直径に対して、0.5%〜1.0%となる範囲に設定される。
【0015】
また、リテーナリングの下面に全周に亙って溝部が形成されているので、リテーナリングの当接圧力により生じる盛り上がり部が、その一部が前記溝部内に盛り上がることにより分散され、リテーナリング内側近傍に生じる盛り上がり部が小さくなって波打ち変形が抑制される。さらに、溝部が下面の内周寄りに配され、前記リテーナリングの下面が前記溝部により外側押圧面と内側押圧面とに分割されているので、内側の波打ち変形に大きく作用する内側押圧面における面積が外側押圧面より少なくなる。すなわち、リテーナリング内側近傍に加わる当接圧力が小さくなるので、その反動で生じる盛り上がり部も小さくなる。
【0016】
請求項2記載のウェーハ研磨装置では、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンと、研磨すべきウェーハの一面を保持して前記研磨パッドにウェーハの他面を当接させる1または2以上のウェーハ保持ヘッドと、これらウェーハ保持ヘッドを駆動することにより前記研磨パッドでウェーハの前記他面を研磨するヘッド駆動機構とを具備し、前記ウェーハ保持ヘッドは、研磨すべきウェーハの前記一面を保持するための円盤状のキャリアと、該キャリアの外周に同心状に配置されたリテーナリングとを有し、該リテーナリングは、ヘッド軸線方向に変位可能とされ、その下面が研磨時には前記研磨パッドに当接するように構成され、前記リテーナリングの下面には、研磨時にリテーナリングの内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部を逃がす段部が全周に亙って形成され、該段部は、前記リテーナリングの下面の内周側に配され少なくとも前記ウェーハの厚さより小さな段差に設定されていることを特徴とする技術が採用される。
このウェーハ研磨装置では、逃げ部が内周側に配された段部であるので、リテーナリングの当接圧力により盛り上がり部が段部内に生じる。すなわち、盛り上がり部がウェーハ外周部より半径方向外方に逃げるため、その頂部がウェーハ外周部から離間して盛り上がり部による研磨への影響が抑制される。さらに、段部がウェーハの厚さより小さな段差に設定されているので、研磨時においてウェーハが水平方向にずれても、ウェーハ外周部の段部下への潜り込みが抑制される。
【0017】
請求項3記載のウェーハ研磨装置では、請求項2記載のウェーハ研磨装置において、前記段部の幅がウェーハの直径に対して1.0%から2.5%となる範囲に設定されていることを特徴とする技術が採用される。
段部の幅は、8″φの場合、盛り上がり部の幅が、2mm以上あることから1.0%以上必要であり、大きすぎると実圧の増加によるパッド変形量の増加が発生すため、好ましくはウェーハの直径に対して、1.0%〜2.5%となる範囲に設定される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態を図1から図7を参照しながら説明する。
【0019】
始めに図1を参照して全体の構成を簡単に説明すると、図中符号21は基台であり、この基台21の中央には円盤状のプラテン22が水平に設置されている。このプラテン22は基台21内に設けられたプラテン駆動機構により軸線回りに回転されるようになっており、その上面には全面に亙って研磨パッド24が貼付されている。
【0020】
プラテン22の上方には、複数の支柱26を介して上側取付板28が水平に固定されている。この上側取付板28の下面には円盤状のカルーセル(ヘッド駆動機構)30が固定され、このカルーセル30にはプラテン22と対向する計6基のウェーハ保持ヘッド32が設けられている。
これらウェーハ保持ヘッド32は、図2に示すように、カルーセル30の中心から同一距離において中心軸回りに60゜毎に配置され、カルーセル30によりそれぞれ遊星回転される。ただし、ウェーハ保持ヘッド32の個数は6基に限定されず、1〜5基または7基以上でもよい。
【0021】
次に、図3を参照してウェーハ保持ヘッド32を説明する。
ウェーハ保持ヘッド32は、図3に示すように、軸線垂直に配置され下端が開口する中空のヘッド本体34と、このヘッド本体34の内部に張られたダイヤフラム44と、このダイヤフラム44の下面に固定された円盤状のキャリア46と、このキャリア46の外周に同心に配置された円環状のリテーナリング50とを具備している。
【0022】
ヘッド本体34は円板状の天板部36と、この天板部36の外周に固定された円筒状の周壁部38とから構成され、天板部36はカルーセル30のシャフト42に同軸に固定されている。
前記周壁部38の下端部には、全周に亙って半径方向内方へ突出する円環状の支持部40が形成されている。周壁部38の内周壁には水平な段部38Aが形成され、ここに円板状のダイヤフラム44の外周部が載置されて固定リング45で固定されている。
前記ダイヤフラム44は、各種ゴム等の弾性材料で形成されたものである。
【0023】
キャリア46は、セラミック等の高い剛性を有する材料で成形された一定厚さのものであり、弾性変形はしない。また、キャリア46は、ダイヤフラム44の上面に同軸に配置された固定リング48に対して複数のボルトで固定されている。
前記固定リング48の上端には、全周に亙って外方に広がるフランジ部48Aが形成され、ヘッド上昇時には、天板部36に設けられた支持部材(図示せず)によりフランジ部48Aが支持されて、キャリア46の重量が支えられるようになっている。
【0024】
なお、研磨を行う場合には、真空ポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されキャリア46の下面に形成された吸着孔46aによりウェーハWを吸着固定する。
さらに、ウェーハWは、キャリア46の下面に円形のウェーハ付着シートSを介して貼り付けられる。
ウェーハ付着シートSは、例えば吸水性を有する材質で形成されたもので、水分を吸収すると表面張力でウェーハを吸着する。ウェーハ付着シートSの材質としては不織布等が挙げられるが、それに限定されることはない。
【0025】
また、ウェーハ付着シートSの厚さは限定されないが、好ましくは0.4〜0.8mmである。ただし、本発明は必ずしもウェーハ付着シートSを使用しなくてもよく、例えばキャリア46のウェーハ貼付面にワックスを介してウェーハWを付着させる構成としてもよいし、他の付着手段を使用してもよい。
【0026】
リテーナリング50は、上端面および下端面が水平かつ平坦な円環状をなしている。
また、リテーナリング50は、キャリア46の外周面との間に僅かな透き間を空けて(本実施形態では、約1.0mmに設定している)同心状に配置され、キャリア46とは独立して上下変位可能とされている。
さらに、上部リテーナリング50Aの外周面には半径方向外方に突出する支持部50aが形成されており、ウェーハ保持ヘッド32を引き上げた場合には、この支持部50aが周壁部38の下端に形成された支持部40により支持される。
【0027】
リテーナリング50の上端はダイヤフラム44の下面に当接される一方、ダイヤフラム44上には固定リング58がリテーナリング50と対向して同心に配置され、リテーナリング50と固定リング58は複数のネジで固定されている。
【0028】
前記リテーナリング50の下面には、図4および図5に示すように、研磨時にリテーナリング50の内側近傍に生じる研磨パッド24の盛り上がり部Tを逃がす溝部70が全周に亙って、かつ内周寄りに配されて形成されている。また、リテーナリング50の下面は、溝部70により外側押圧面71と該外側押圧面71より少ない面積の内側押圧面72とに分割されている。前記溝部70の深さは、該溝部70に生じる盛り上がり部Tの高さ以上であることが望ましく、例えば1mm以上とされるがこの値に限定されることはない。
【0029】
溝部70の幅は、好ましくはウェーハWの直径に対して、0.5%〜1.0%となる範囲に設定される。すなわち、この数字が大きすぎるとリテーナリングとパッドとの接触面積が狭くなり実圧が増すため、パッド変形量が大きくなる。また、小さすぎると効果はない。
内側押圧面72の幅は、好ましくはウェーハWの直径に対して、0%〜3%となる範囲に設定される。すなわち、リテーナリング外周部では溝面積が広くなり、パッド変形量が大きくなるからである。
ただし、ウェーハ材質や研磨条件によっては上記各範囲を外れてもよい。
【0030】
シャフト42には流路54が形成されており、ヘッド本体34とダイヤフラム44との間に画成された流体室52は、流路54を通じて圧力調整機構56に接続されている。そして、圧力調整機構56で流体室52内の流体圧力を調整することにより、ダイヤフラム44が上下に変位して研磨パッド24へのキャリア46およびリテーナリング50の押圧圧力が同時に変化する。
なお、流体としては一般に空気を使用すれば十分であるが、必要に応じては他種のガスや液体を使用してもよい。
【0031】
上記ウェーハ研磨装置によりウェーハ研磨を行うには、まず、研磨パッド24と各キャリア46との間にウェーハWを配置するとともに、リテーナリング50を研磨パッド24に当接させ、ウェーハWの外周をリテーナリング50で支持する。
次に、研磨パッド24に対するウェーハWの当接圧力(キャリアによる押圧圧力)が所望値になるように圧力調整機構56による流体圧を調整しつつ、プラテン22を回転させ、ウェーハ保持ヘッド32をプラテン22に対し遊星回転させる。
【0032】
上記のようなウェーハ研磨装置によれば、リテーナリング50の下面に全周に亙って溝部70が形成されているので、図6に示すような溝部70の無い従来のリテーナリング12の場合に比べて、図7に示すように、リテーナリング50の当接圧力により生じる盛り上がり部Tが、その一部T1が前記溝部70内に逃げて盛り上がることにより分散され、リテーナリング内側近傍に生じる盛り上がり部T2が小さくなって波打ち変形が抑制される。
【0033】
さらに、溝部70が下面の内周寄りに配され、リテーナリング50の下面が溝部70により外側押圧面71と内側押圧面72とに分割されているので、内側の波打ち変形に大きく作用する内側押圧面72における面積が外側押圧面71より少なくなる。すなわち、リテーナリング50内側近傍に加わる当接圧力が小さくなるので、その反動で生じる盛り上がり部も小さくなる。この結果、研磨パッド24の波打ち変形が抑制されて、ウェーハW外周部の過研磨が緩和される。
【0034】
なお、研磨パッド24として、従来一般に使用されている1層型パッドの代わりに、図6および図7に示すように、前述した2層型研磨パッド、すなわちウェーハWに当接する表面硬質層24A、および表面硬質層24Aとプラテン22との間に位置する弾性支持層24Bの少なくとも2層を有するものであってもよい。
このような積層研磨パッドは、後述するようにウェーハ研磨精度を高める上で特別の効果を奏するものであるが、同時に、図12で説明した問題が、1層型研磨パッドよりも顕著に現れる傾向を有する。
【0035】
したがって、本発明と組み合わせた場合に、両者の効果は相乗し合い、ウェーハの研磨精度を高めるうえで特に良好な効果を奏する。ただし、本発明はこのような積層研磨パッドにのみ限定されるものではないことは勿論である。
以下、積層研磨パッドについて具体的に説明する。
【0036】
硬質表面層のショア硬度は好ましくは80〜100、より好ましくは90〜100、弾性支持層のショア硬度は好ましくは50〜80、より好ましくは60〜75とされる。また、硬質表面層の厚さは好ましくは0.5〜1.5mm、より好ましくは0.8〜1.3mm、弾性支持層の厚さは好ましくは0.5〜1.5mm、より好ましくは0.8〜1.3mmとされる。
【0037】
表面硬質層24Aおよび弾性支持層24Bとしてはそれぞれ発泡ポリウレタンまたは不織布が好適で、特に、表面硬質層24Aとしては発泡ポリウレタン、弾性支持層24Bとしてはポリエステル等の不織布が好ましい。
表面硬質層24A,弾性支持層24Bを不織布で形成する場合、ポリウレタン樹脂等の含浸剤を含浸させてもよい。ただし、前記硬度範囲を満足すれば、前記以外の材質で研磨パッド24を構成してもよい。
【0038】
この種の2層型研磨パッドを使用した場合、特に、絶縁膜分離技術におけるウェーハ研磨に優れた効果を発揮する。この種の絶縁膜分離技術は、例えばウェーハの鏡面に配線用のアルミニウム等を蒸着して回路パターンを形成し、その上にBPSG,PTEOS、またはCVD法等によるSiO2 等の絶縁膜を積層形成した後、この絶縁膜を研磨により平坦化して、さらにその上に素子の内部構造を形成するものである。
【0039】
上記絶縁膜研磨の場合、ウェーハ表面に回路パターンなどに起因する初期凹凸が存在する場合があるが、積層研磨パッドにおいては、パッド表面が相対的に硬い表面硬質層24Aにより構成されているので、凹凸に追従して研磨パッド24の表面が弾性変形することが少ない。したがって、初期凹凸に起因する研磨後の段差発生が低減できる。
【0040】
また、ウェーハWに直接当接する表面硬質層24Aは、弾性支持層24Bにより裏側から弾性的に支持されているので、フローティング型ヘッドであるウェーハ保持ヘッド32によるウェーハ当接圧力の均一化作用、および弾性支持層24Bによるクッション効果が相乗しあい、研磨パッド24あるいはウェーハWにうねりが生じている場合にも、表面硬質層24Aをうねりに沿って変形させウェーハWの全面に亙って均一に当接させる効果が得られる。これにより、研磨パッド24によるウェーハWの研磨速度がウェーハ全面に亙って均一化されるから、研磨後のウェーハ厚さの不均一性が低減でき、従来は両立しがたかった段差の低減(平坦性)および厚さ均一性の向上が同時に達成できる。
【0041】
さらに、上記積層研磨パッドでは、表面硬質層24Aが柔らかい弾性支持層24Bで裏打ちされているので、リテーナリング50で表面硬質層24Aを強く抑えると、その押圧箇所の周囲が、図12に示すように、波打って盛り上がる傾向が強い。
しかし、この盛り上がり部TをウェーハW外周部から半径方向外方へ逃れる方向に弾性変形させることにより、ウェーハW外周部の過研磨を緩和し、積層研磨パッドの効果を十分に発揮させることができるのである。これは以下の第2実施形態にも共通する。
【0042】
次に、本発明に係るウェーハ研磨装置の第2実施形態を図8から図10を参照しながら説明する。
【0043】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態におけるリテーナリング50の下面には、溝部70が形成されていたが、図9および図10に示すように、第2実施形態におけるリテーナリング80の下面には、内周側に配されウェーハWの厚さより小さな段差に設定されている段部(逃げ部)81が形成されている点である。
【0044】
すなわち、第2実施形態におけるウェーハ研磨装置では、リテーナリング80の下面に内周側に配された段部81が形成されているので、図8に示すように、リテーナリング80の当接圧力により盛り上がり部Tが段部81内に生じる。すなわち、盛り上がり部TがウェーハW外周部より半径方向外方に逃げるため、その頂部がウェーハW外周部から離間して盛り上がり部Tによる研磨への影響が抑制される。
【0045】
さらに、段部81がウェーハWの厚さより小さな段差に設定されているので、研磨時においてウェーハWが水平方向にずれても、ウェーハW外周部の段部81下への潜り込みが抑制される。
なお、本実施形態では、段部81の段差を、ウェーハWの厚さの約半分に設定しているが、下部リテーナリング80による当接圧力や研磨パッド24の弾性等の条件によって適宜、ウェーハWの厚さより小さな範囲で設定される。
【0046】
また、段部81の幅は、好ましくはウェーハWの直径に対して、1.0%〜2.5%となる範囲に設定される。すなわち、この数字が大きすぎると実圧の増加によるパッド変形量の増加が発生する。また、8″φの場合、T領域の幅が、2mm以上あることから1.0%以上必要である。
ただし、ウェーハ材質や研磨条件によっては上記各範囲を外れてもよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)請求項1記載のウェーハ研磨装置によれば、リテーナリングの下面の内周寄りに溝部が形成されているので、リテーナリングの内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部を、部分的に溝部に誘導して半径方向外方に逃がすことによって、リテーナリング内側近傍の盛り上がり部を小さくすることができる。したがって、研磨パッドの波打ち変形を抑制し、ウェーハ外周部の過研磨を緩和させることができ、研磨の均一性をさらに向上させることができる。
【0048】
また、盛り上がり部を、その一部を溝部内に盛り上がらせて分散させ、リテーナリング内側近傍に生じる盛り上がり部を小さくすることにより、波打ち変形を抑制させることができる。さらに、溝部が下面の内周寄りに配され、前記リテーナリングの下面が前記溝部により外側押圧面と内側押圧面とに分割されているので、リテーナリング内側近傍に加わる当接圧力を小さくして、盛り上がり部をさらに小さくすることができる。
【0049】
(2)請求項2記載のウェーハ研磨装置によれば、リテーナリングの下面の内周側に配され少なくとも前記ウェーハの厚さより小さな段差に設定されているので、盛り上がり部が段部内に生じてウェーハ外周部より半径方向外方に逃げるため、盛り上がり部による研磨への影響を抑制させることができる。さらに、段部がウェーハの厚さより小さな段差に設定されているので、ウェーハが水平方向にずれても、ウェーハ外周部の段部下への潜り込みを抑制することができ、ウェーハの支持機能も良好に維持することができる。
(3)請求項3記載のウェーハ研磨装置によれば、前記段部の幅がウェーハの直径に対して1.0%から2.5%となる範囲に設定されているため、より好適に、盛り上がり部による研磨への影響を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態におけるウェーハ保持ヘッドとプラテンの配置状態を示す平面図である。
【図3】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態におけるウェーハ保持ヘッドを示す断面図である。
【図4】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態におけるリテーナリングを示す断面図である。
【図5】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態におけるリテーナリングを示す要部を拡大した断面図である。
【図6】 本発明に係るウェーハ研磨装置の従来例における研磨時の盛り上がり部を説明するための要部を拡大した概略断面図である。
【図7】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第1実施形態における研磨時の盛り上がり部を説明するための要部を拡大した概略断面図である。
【図8】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第2実施形態における研磨時の盛り上がり部を説明するための要部を拡大した概略断面図である。
【図9】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第2実施形態におけるリテーナリングを示す断面図である。
【図10】 本発明に係るウェーハ研磨装置の第2実施形態におけるリテーナリングを示す要部を拡大した断面図である。
【図11】 本発明に係るウェーハ研磨装置の従来例におけるウェーハ保持ヘッドを示す断面図である。
【図12】 従来の装置の問題点を示す概略図である。
【符号の説明】
22 プラテン
24 研磨パッド
24A 表面硬質層
24B 弾性支持層
30 カルーセル(ヘッド駆動機構)
32 ウェーハ保持ヘッド
34 ヘッド本体
44 ダイヤフラム
46 キャリア
50 リテーナリング
70 溝部(逃げ部)
71 外側押圧面
72 内側押圧面
80 リテーナリング
81 段部
T,T1,T2 盛り上がり部(波打ち変形)
S ウェーハ付着シート
W ウェーハ
Claims (3)
- 表面に研磨パッドが貼付されたプラテンと、研磨すべきウェーハの一面を保持して前記研磨パッドにウェーハの他面を当接させる1または2以上のウェーハ保持ヘッドと、これらウェーハ保持ヘッドを駆動することにより前記研磨パッドでウェーハの前記他面を研磨するヘッド駆動機構とを具備し、前記ウェーハ保持ヘッドは、研磨すべきウェーハの前記一面を保持するための円盤状のキャリアと、該キャリアの外周に同心状に配置されたリテーナリングとを有し、該リテーナリングは、ヘッド軸線方向に変位可能とされ、その下面が研磨時には前記研磨パッドに当接するように構成され、前記リテーナリングの下面には、研磨時にリテーナリングの内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部を逃がす溝部が内周寄りに全周に亙って形成され、前記リテーナリングの下面が前記溝部により外側押圧面と該外側押圧面より少ない面積の内側押圧面とに分割されるとともに、該溝部の幅がウェーハの直径に対して0.5%から1.0%となる範囲に設定されていることを特徴とするウェーハ研磨装置。
- 表面に研磨パッドが貼付されたプラテンと、研磨すべきウェーハの一面を保持して前記研磨パッドにウェーハの他面を当接させる1または2以上のウェーハ保持ヘッドと、これらウェーハ保持ヘッドを駆動することにより前記研磨パッドでウェーハの前記他面を研磨するヘッド駆動機構とを具備し、前記ウェーハ保持ヘッドは、研磨すべきウェーハの前記一面を保持するための円盤状のキャリアと、該キャリアの外周に同心状に配置されたリテーナリングとを有し、該リテーナリングは、ヘッド軸線方向に変位可能とされ、その下面が研磨時には前記研磨パッドに当接するように構成され、前記リテーナリングの下面には、研磨時にリテーナリングの内側近傍に生じる研磨パッドの盛り上がり部を逃がす段部が全周に亙って形成され、該段部は、前記リテーナリングの下面の内周側に配され少なくとも前記ウェーハの厚さより小さな段差に設定されていることを特徴とするウェーハ研磨装置。
- 請求項2記載のウェーハ研磨装置 において、前記段部の幅がウェーハの直径に対して1.0%から2.5%となる範囲に設定されていることを特徴とするウェーハ研磨装置。
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