JP3729645B2 - 円形粒子加速器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、円形粒子加速器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な円形粒子加速器は、図3のように構成されている。図3において、1は粒子ビームが入射される入射ダクト、2は入射された粒子ビームを周回方向に曲げる入射セプタム、3は粒子ビームが周回する粒子ビーム周回軌道、4は四極電磁石、5は粒子ビーム軌道の曲部に配置され粒子ビームを周回方向に曲げる偏向電磁石、6は粒子ビームを加速する加速空洞、7は高次モード空洞、8は加速された粒子ビームを出射ダクトに導く出射セプタム、9は六極電磁石、10は加速された粒子を出射する出射ダクトである。
【0003】
図3に示すような円形粒子加速器から粒子ビームを取り出す方法には大きく分けて低エネルギーの粒子ビームを取り出す“早い取り出し”と、高エネルギーの粒子ビームを取り出す“遅い取り出し”と呼ばれる2つの方法があり、この発明は“遅い取り出し”に関するものである。
【0004】
粒子ビーム周回軌道を周回する粒子ビームのセパラトリクスと呼ばれる安定領域と不安定領域の境界が形成されている場合、セパラトリクスの外側すなわち不安定領域に動かす方法としては、セパラトリクスを徐々に小さくする方法と、セパラトリクスは動かさずに安定領域にいた粒子ビームに高周波電場で振動を加えてセパラトリクスまでエミッタンスを増加させる方法があり、後者の方法がrfノックアウトを用いた遅い取り出しと呼ばれる。
【0005】
従来の円形粒子加速器から粒子ビームを取り出すrfノックアウトを用いた取り出しは、例えば特公平5−198397号公報に開示された方法がある。図4に粒子ビームの粒子ビーム周回軌道の直線部にrfノックアウト電極が挿入された状態の模式図を示す。図において、11は粒子ビーム周回軌道、12はrfノックアウト電極、13は高周波電源、14は出射セプタム、15はデフレクターである。
【0006】
円形粒子加速器では、リング状の粒子ビーム周回軌道11の中を周回する粒子ビームは粒子ビーム周回軌道11の水平方向と垂直方向に微小振動して周回している。この微小振動をベータトロン振動と呼び、リング状の粒子ビーム周回軌道11の1周当たりの振動数をベータトロンチューンまたは単にチューン呼んでいる。このチューンは粒子ビームが安定に周回するように選ばれるが、粒子ビームの取り出しには不安定になるチューンを選んで行われる。例えばチューンを1/3整数に選び、六極電磁石により粒子ビームに振動を与えて位相空間上にセパラトリクスを形成した場合、セパラトリクスの外側すなわち不安定領域に出た粒子ビームが粒子ビーム周回軌道11を周回する毎に振幅が大きくなり、最終的に取り出し用に設置された出射セプタム14に到達し、出射セプタム14に形成されている静的な電場または磁場により外側に蹴り出されて下流に設置されたデフレクター15により出射ダクトに導かれる。
【0007】
rfノックアウト電極12は一対の平行平板からなり、この間に周波数Frfの高周波電圧が加えられる。この周波数Frfはベータトロンチューンの小数部分をn、周回周波数をFrev、任意の整数をmとすると、(式1)で表される。
【0008】
【数1】
【0009】
rfノックアウト電極12の間の電場により蹴られる角度θは(式2)の関係になる。
【0010】
【数2】
【0011】
ここでそれぞれのパラメータの値が次の表1の場合について電場を求める。
【0012】
【表1】
【0013】
この条件において、電極間のギャップが100mmの場合、高周波電圧は10kVを加える必要がある。このように電場による運動量pが10GeV/cを越えるような領域では、必要な高周波電圧は10kVよりも高くなり、非常に高い値が必要となる。この電圧を印加するためには、発生させる高周波電源およびrfノックアウト電極は高電圧に耐える絶縁構成となり、寸法が大きくなり、装置構成として大きくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の円形加速器のrfノックアウト電極の高周波電場を用いた粒子ビームの取り出し方法は、低エネルギーでの取り出しには適した方法であるが、高エネルギーの粒子の取り出しを行う場合には、必要とする高周波電圧が高くなり、rfノックアウト電極および高周波電源の絶縁構成が難しく、装置として非現実的な大がかりな構成となる問題点があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る円形粒子加速器は、粒子ビームのベータトロン振動振幅を増幅するベータトロン振動振幅増幅手段を、粒子ビーム周回軌道に直列に配置された空洞に電磁波を導入して、粒子ビームに垂直な磁場成分を持つTM110モードを励振した高周波空洞で形成したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1は、粒子ビームの振動振幅を増幅するベータトロン振動振幅増幅手段を磁場でキックする構成としたものである。粒子ビームを磁場でキックする場合のキック角θは(式3)で与えられる。
【0017】
【数3】
【0018】
式3のキック角θを満足する磁場Bは、B=3.6×10−4Tである。
【0019】
実施の形態1のベータトロン振動振幅増幅手段は、空洞を粒子ビームの周回軌道に直列に配置し、空洞に電磁波を導入してTM110モードを励振し、粒子ビームの中心軸に対して垂直方向の磁場を形成する高周波空洞で構成としたものである。高周波空洞は、Higher Order Mode(HOM)を利用するという意味で以下HOM空洞と呼称する。図1にHOM空洞を粒子ビーム周回軌道11に装着した状態を模式的に示した構成を示す。
【0020】
図1において、粒子ビーム軌道11、出射セプタム14、デフレクタ15は、従来の粒子ビーム周回軌道にrfノックアウト電極を配置した構成の図8の対応する部分と同一である。31は電磁波を導入してTM110モードを励振し、粒子ビームの中心軸に対して垂直方向に磁場を生成するHOM空洞、33は高周波電源である。
【0021】
図2はHOM空洞31の部分拡大断面図である。図2の35は電磁波を導入する導波管、36はTM110モードを励振するループカプラーである。HOM空洞31に電磁波を導入すると粒子ビームの中心軸に対して直角方向に磁場を生成し、粒子ビームと平行に電場を生成する。粒子ビームが高速で通過すると横方向にキックを受け、徐々に振幅を増幅して行き、従来技術欄で説明した電場でキックする場合と同様にセパラトリクスに到達した粒子ビームがさらに共鳴(この場合は3次共鳴)して振幅を増し出射セプタム14到達する。出射セプタム14では一様で静的な電場または磁場により、外側に蹴り出され、下流に設置されたデフレクタ15により、出射ダクトに導かれる。
【0022】
このように、粒子ビーム周回軌道11の直線部にHOM空洞31を装着し、このHOM空洞31に導波管35より電磁波を導入し、ループカプラー36によりカップルしてTM110モードを励振することにより、粒子ビームの中心軸に対して直角方向に磁場を生成し、高エネルギーの粒子ビームの遅い取り出しが可能となる。HOM空洞31に導入する電磁波は、通常の加速空洞等に使用されている高周波電源より供給でき、HOM空洞31は軽量に構成できるので、円形粒子加速器を軽量に構成できる。以上は円形粒子加速器について説明したが粒子ビーム周回軌道が同じ構成の粒子蓄積リングにも同様の構成が適用できる。
【0023】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係る円形粒子加速器は、粒子ビームのベータトロン振動振幅を増幅するベータトロン振動振幅増幅手段を、粒子ビーム周回軌道に直列に配置された空洞に電磁波を導入して、粒子ビームに垂直な磁場成分を持つTM110モードを励振した高周波空洞で形成したので、円形粒子加速器を軽量に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のベータトロン振動振幅増幅手段の構成を模式的に示した構成図である。
【図2】 図1のHOM空洞のビームと磁場の関係を示す断面図である。
【図3】 従来の粒子加速器の構成図である。
【図4】 従来の粒子ビームのベータトロン振動振幅を増幅する増幅手段の構成を模式的に示した構成図である。
【符号の説明】
11 粒子ビーム周回軌道、14 出射セプタム、15 デフレクター、
31 HOM空洞、33 高周波電源、35 導波管、36 ループカプラー。
Claims (1)
- 粒子ビーム周回軌道、粒子ビーム周回軌道に配置され、粒子ビームを粒子ビーム周回軌道に沿って周回させる四極電磁石、偏向電磁石および粒子ビームを加速させる加速空洞、粒子ビームのベータトロン振動振幅を増幅するベータトロン振動振幅増幅手段および粒子ビームを粒子ビーム周回軌道から取り出す出射セプタムを備えた円形粒子加速器において、ベータトロン振動振幅増幅手段が、粒子ビーム周回軌道に直列に配置された空洞に電磁波を導入して、粒子ビーム中心軸に対して垂直な磁場成分を持つTM110モードを励振した高周波空洞で構成されていることを特徴とする円形粒子加速器。
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Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
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1998
- 1998-07-02 JP JP18756098A patent/JP3729645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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