JP3733262B2 - 網体の静的載荷試験方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路や鉄道あるいは住宅に隣接する斜面等に設置されて、この斜面において発生する落石や土石流、あるいは、雪崩等を、その途中において捕捉して、道路や鉄道あるいは住宅上に落下することを防止する際に用いられる網体のエネルギ吸収特性を把握するための網体の静的載荷試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の網体としては、図7および図8に示すように、線径が2.6mm〜4.0mmの軟鋼からなる素線1aを鋸刃状に折曲し、この素線1aの複数を、各ピッチ毎にその頂点同士を内接させることによって編み込んで形成した網体1が知られている。
そして、この防護ネット1は、たとえば、斜面に構築された土留壁上に、図7に示すように、I型鋼あるいはH型鋼からなる支柱2を立設するとともに、各素線1a間に複数のワイヤーロープ3を挿通し、これらのワイヤーロープ3の各端部、ならびに、各素線1aの各端部を、前記支柱2に固定することにより、各支柱2間の所定領域を覆うように設置して防護柵として用いられるようになっている。
また、図9に示すように、素線4aを螺旋状に形成し、この素線4aの複数を、各ピッチ毎に内接するように編み込んでなる網体4も知られており、前述した網体1と同様に、支柱2間にワイヤロープ3を介して固定されることにより防護柵として用いられるようになっている。
【0003】
そして、このような網体1(4)における吸収エネルギは、落石が防護柵に衝突した時の変状形態分類、また、それに伴う形態に評価値を与え、落石の運動エネルギとの相関図から網体が破れる運動エネルギを推定して定めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した方法による網体1(4)の吸収エネルギの算定にあっては、落石の運動エネルギとの相関図に基づき推定するものであるから、網体の吸収エネルギを定量的に把握するには至っていない。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、防護ネットに用いられる網体の吸収エネルギを極力定量的に把握することの可能な網体の静的載荷試験方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の網体の静的載荷試験方法は、前述した目的を達成するために、防護ネットとして用いられる網体を矩形状に組まれた架台上に水平に設置するとともに、この網体を前記架台の一方向の両側部上に固定し、それに直交する方向の前記架台の両側部上に固定しない状態で、前記網体の面方向中心部の下部に、前記網体に荷重を加える載荷体を当接させておき、この載荷体をジャッキによって上昇させて網体を変形させることにより、前記網体に加えられる荷重と、網体の鉛直変位とを測定し、これによって前記網体の荷重−変位特性を求めることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の網体の静的載荷試験方法は、請求項1に記載の前記載荷体が、前記網体に向かって突出するように、球殻状に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の網体の静的載荷試験方法は、請求項1または請求項2に記載の前記ジャッキが許容ストローク近傍まで作動させられた際に、前記載荷体を上昇位置に保持した後に、前記ジャッキを縮めるとともに、このジャッキの支持位置を上昇させることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の網体の静的載荷試験装置は、防護ネットとして用いられる網体が載置され、矩形状に組まれた架台と、この架台の一方向の両側部上面にのみ設けられ、その前記架台の一方向の両側部上に前記網体を固定する固定機構と、前記網体の中央部下面に当接させられる載荷体と、前記架台の略中央部に設けられ、前記載荷体を上昇させて前記網体に荷重を加えるジャッキとによって構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の請求項5に記載の網体の静的載荷試験装置は、請求項4に記載の前記載荷体に、この載荷体への前記ジャッキによる荷重の付加が取り除かれた際に、前記載荷体を上昇位置に保持する吊り下げ機構が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項1ないし請求項3の何れかに記載の網体の静的載荷試験方法によれば、ジャッキによって載荷体を徐々に上昇させることにより、網体に静的荷重を加えるとともにこの静的荷重を徐々に増加させ、そのときの荷重と、前記網体の変位量を測定し、これらの相関関係を見ることにより、静的載荷ではあるが、網体の吸収エネルギを定量的に把握することができる。
そして、請求項2に記載の発明のように、載荷体を球殻状に形成することにより、理想化した落石モデルに近い状態での載荷を行うことができる。
さらに、請求項3に記載の発明のように、ジャッキが許容ストローク近傍まで作動させられた際に、載荷体を上昇位置に保持した状態でジャッキを縮め、さらに、ジャッキの支持位置を上昇させることにより、ジャッキの許容ストローク以上の変位が網体に生じた場合にあってもその測定が可能となる。
そして、請求項4または請求項5に記載の発明によると、前述した請求項1ないし請求項3に記載の静的載荷試験方法を良好に実施することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態において好適に用いられる網体の静的載荷試験装置の一構造例について図1ないし図5に基づき説明する。
【0009】
これらの図において符号10で示す本実施形態に係わる静的載荷試験装置は、網体1(4)が載置される架台11と、この架台11の両側部上面に設けられ、前記網体1(4)の両側部の固定をなす固定機構12と、前記網体1(4)の中央部下面に当接させられる載荷体13と、前記架台11の略中央部に設けられ、前記載荷体13を上昇させて前記網体1(4)に荷重を加えるジャッキ14とによって概略構成されている。
【0010】
ついで、これらの詳細について説明すれば、前記架台11は、H型鋼11aの複数を、矩形状に組み上げ、かつ、鉛直方向に積み上げて構成されており、その下部には、前記ジャッキ14のシリンダを固定するためのH型鋼からなるビーム11bが取り付けられている。
ここで、本実施形態においては、ジャッキ14の反力を架台11に支持させるために、軸方向の引張力を受けることから、各H型鋼11aを連結するボルトに剪断力が作用することを防止するために、前述したように、各H型鋼11aを鉛直方向に積み上げ、各H型鋼11aをボルトにて緊締することにより、ボルトに引張力のみが作用するように構成されている。
【0011】
前記載荷体13は、図3に詳述するように、直径Lの球状体を、その頂点から高さL/4を残した球殻となるように形成したものである。
そして、開口部内周には、リング状の底板15が溶接によって一体に固定されているとともに、この底板15の中心を通るようにして底板15に取り付けられた補強板16と、前記載荷体13の開口部近傍から球殻の頂点へ向けて配置され、かつ、前記載荷体13の内面に全長にわたって当接させられた複数の補強リブ17と、前記各補強板16の接合部分と前記載荷体13の頂点内部との間に一体に改装された芯棒18と、前記載荷体13の頂点を貫通して前記芯棒18に一体に固定されたクレビス19とによって構成されている。
さらに、前記各補強板16が相互に連結される部分で、前記載荷体13の外部側に位置する部位には、前記ジャッキ14のピストンが嵌合位置決めされる凹部20が形成されている。
【0012】
前記ジャッキ14は、そのシリンダ部の下端が前記ビーム11bに、図1に示す補助ピース21を介してボルト等によって固定されており、また、そのピストンの先端部が、その上方に位置させられる前記載荷体13に形成されている凹部20に嵌合させられるようになっている。
また、本実施形態においては、図1に示すように、前記補助ピース21に、変位計22が取り付けられており、前記ジャッキ14のピストン先端近傍に固定されたワイヤWが連結されて、前記ピストンの前記ビーム11bに対する変位量、すなわちジャッキ14の伸び量を測定するようになっている。
【0013】
さらに、前記ジャッキ14には、図4に示すように、油圧回路を介して作動油の供給形態を切り替える油圧バルブ23と、この油圧バルブ23を介して前記ジャッキ14に作動油を供給する油圧ポンプ24と、この油圧ポンプ24から供給される作動油の圧力を検出する圧力計25が連設されている。
【0014】
そして、前記変位計22および圧力計25には、変位計22から出力されるピストンの変位量、すなわち、網体1(4)の変位量の情報、および、圧力計25から出力される作動油の圧力情報、すなわち、荷重情報が入力されることにより、荷重−変位曲線を生成するデータロガー26が接続されている。
【0015】
前記固定機構12は、図2に示すように、前記網体1(4)の両側部の素線1a(4a)の内側に挿入される固定プレート27と、図5に示すように、この固定プレート27を前記架台11を構成するH型鋼11aのフランジに固定するボルト28とによって構成されている。
このボルト28は、前記H型鋼11aの長さ方向に所定間隔をおいて、多数設けられており、各ボルト28は、前記H型鋼11aのフランジを上下に貫通して設けられ、このボルト28に前記フランジの上方から螺着されるナット29によって前記フランジに固定され、さらに、各ボルト28に螺着される一対のナット30によって前記固定プレート27を挟持固定するようになっている。
【0016】
さらに、本実施形態においては、前記載荷体13に、この載荷体13への前記ジャッキ14による荷重の付加が取り除かれた際に、前記載荷体13を上昇位置に保持する吊り下げ機構31が設けられている。
この吊り下げ機構31は、図示しないクレーンと、このクレーンに取り付けられ、かつ、前記載荷体13のクレビス19に連結されるロードセル等の張力計32とによって構成されている。
【0017】
ついで、このように構成された本実施形態の静的載荷試験装置10の作用とともに、本発明の静的載荷試験方法の一実施形態について説明する。
まず、網体1(4)の両側部を固定機構12を介して架台11に固定し、載荷体13を吊り下げ機構31に装着するとともに、この載荷体13を吊り下げ機構31によって上昇させるとともに、網体1(4)の中心部下部に接触させる。
ついで、ジャッキ14を作動させてそのピストンの先端部を、前記載荷体13に形成されている凹部20に嵌合させて停止させる。
【0018】
この状態において、前記ジャッキ14に供給されている作動油の圧力を圧力計25によって検出するとともに、変位計22からの出力に基づきピストン位置を検出する。
この状態が、前記網体1(4)に対して無負荷状態であるとこから、前記圧力計25および変位計22をリセットすることにより、初期状態にセットする。
これより、ジャッキ14に作動油を供給して網体1(4)の中心部に荷重を加えてこの網体1(4)を変形させる。
そして、この変形は、前記ジャッキ14の伸び量が所定値となった時点で停止させ、この停止時間が所定時間経過後に、再度前記ジャッキ14を伸び方向に作動させるといった間欠駆動によって行う。
たとえば、ジャッキ14の伸び量が50mmとなった時点でジャッキ14への作動油の供給を停止し、その後、ジャッキ14の作動を3分間停止した後に、ジャッキ14の作動を開始する。
このように、ジャッキ14の作動を間欠的に行うのは、ジャッキ14の作動停止後に、網体1(4)の変形が継続して行われ、これに伴い、網体1(4)に加わる荷重が徐々に減少するが、この減少荷重を収束させるための静止状態を形成するためである。
【0019】
そして、前記ジャッキ14の停止から、つぎの作動時までの間に、所定の変位量毎に網体1(4)の変位量を測定し、また、所定時間の間隔でジャッキ14の作動油の圧力、すなわち、荷重を複数段階で測定する。
【0020】
ここで、前記網体1(4)の最大変形量が、前記ジャッキ14の最大ストロークを越える場合には、つぎのようにして、試験を継続させる。
すなわち、ジャッキ14が所定ストロークまで伸張させられた時点で、吊り下げ機構31によって載荷体13を固定した後に、前記ジャッキ14を縮め、このジャッキ14と補助ピース21との間に所定厚さの他の補助ピースを介装固定した後に、再度ジャッキ14のピストンを載荷体13の凹部20に嵌合させ、これによって、前記載荷体13の動きを拘束した後に再度ジャッキ14を作動させることによって継続した試験が可能となる。
そして、前記介装される補助ピースの厚みを、前述したジャッキ14の所定ストロークに一致させておくことにより、以降の変位の検出が容易に行われる。
ここで、ジャッキ14を取り外す際に、前記吊り下げ機構31に、網体1(4)に作用していた荷重がそのまま作用することとなるが、この荷重を張力計31によって検出することによって、前記吊り下げ機構31への過荷重を防止することが可能となる。
【0021】
このようにして計測された網体1(4)に対する荷重と変位との関係を、前記データロガー26によって算出し、荷重−変位特性を得ることができる。
ここで、このような静的載荷試験を図7および図8に示す網体1と、図9に示す網体4とに対して行った結果を図6に示す。
この図において曲線Aが網体1に対する荷重−変位曲線であり、曲線Bが網体4に対する荷重−変位曲線である。この結果から、変位量が初期の段階では、荷重が直線的に増加するが、終盤において荷重が急激に立ち上がり、網体1(4)が破壊に至ることを明らかに把握することができる。
したがって、本実施形態によれば、静的載荷ではあるが、網体1(4)の破壊に至るまでの変形特性が定量的に求められる。
【0022】
なお、実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1ないし請求項3の何れかに記載の網体の静的載荷試験方法によれば、ジャッキによって載荷体を徐々に上昇させることにより、網体に静的荷重を加えるとともにこの静的荷重を徐々に増加させ、そのときの荷重と、前記網体の変位量を測定し、これらの相関関係を見ることにより、静的載荷ではあるが、網体の吸収エネルギを定量的に把握することができる。そして、請求項2に記載の発明のように、載荷体を球殻状に形成することにより、理想化した落石モデルに近い状態での載荷を行うことができる。
また、請求項3に記載の発明のように、ジャッキが許容ストローク近傍まで作動させられた際に、載荷体を上昇位置に保持した状態でジャッキを縮め、さらに、ジャッキの支持位置を上昇させることにより、ジャッキの許容ストローク以上の変位が網体に生じた場合にあってもその測定が可能となる。
そして、請求項4または請求項5に記載の発明によると、前述した請求項1ないし請求項3に記載の静的載荷試験方法を良好に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すもので、載荷体の側面図および底面図である。
【図4】本発明の一実施形態の示すもので、ジャッキとその駆動部材を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すもので、網体を固定する固定機構を示す要部の縦断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によって得られた網体の荷重−変位曲線図である。
【図7】網体の一構造例を示す正面図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【図9】網体の他の構造例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 網体
1a 素線
2 支柱
3 ワイヤロープ
4 網体
4a 素線
10 静的載荷試験装置
11 架台
11a H型鋼
11b ビーム
12 固定機構
13 載荷体
14 ジャッキ
15 底板
16 補強板
17 補強リブ
18 芯棒
19 クレビス
20 凹部
21 補助ピース
22 変位計
23 油圧バルブ
24 油圧ポンプ
25 圧力計
26 データロガー
27 固定プレート(固定機構)
28 ボルト(固定機構)
29 ナット(固定機構)
30 ナット(固定機構)
31 吊り下げ機構
32 張力計
W ワイヤ
Claims (5)
- 防護ネットとして用いられる網体を矩形状に組まれた架台上に水平に設置するとともに、この網体を前記架台の一方向の両側部上に固定し、それに直交する方向の前記架台の両側部上に固定しない状態で、前記網体の面方向中心部の下部に、前記網体に荷重を加える載荷体を当接させておき、この載荷体をジャッキによって上昇させて網体を変形させることにより、前記網体に加えられる荷重と、網体の鉛直変位とを測定し、これによって前記網体の荷重−変位特性を求めることを特徴とする網体の静的載荷試験方法。
- 前記載荷体が、前記網体に向かって突出するように、球殻状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の網体の静的載荷試験方法。
- 前記ジャッキが許容ストローク近傍まで作動させられた際に、前記載荷体を上昇位置に保持した後に、前記ジャッキを縮めるとともに、このジャッキの支持位置を上昇させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の網体の静的載荷試験方法。
- 防護ネットとして用いられる網体が載置され、矩形状に組まれた架台と、この架台の一方向の両側部上面にのみ設けられ、その前記架台の一方向の両側部上に前記網体を固定する固定機構と、前記網体の中央部下面に当接させられる載荷体と、前記架台の略中央部に設けられ、前記載荷体を上昇させて前記網体に荷重を加えるジャッキとによって構成されていることを特徴とする網体の静的載荷試験装置。
- 前記載荷体に、この載荷体への前記ジャッキによる荷重の付加が取り除かれた際に、前記載荷体を上昇位置に保持する吊り下げ機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の網体の静的載荷試験装置。
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