JP3741570B2 - 同期追跡回路及び通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDMA(Code Division Multiple Access)通信における受信信号の追従制御(DLL:Delay Locked Loop )技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDMA通信装置には、一度捕捉に成功した受信信号に対して受信側の拡散符号系列が時間ずれを起こさないようにするため、同期捕捉後も同期位置を絶えず追跡する手段が設けられている。このための手段が同期追跡回路である。同期追跡回路は、同期位置の検出結果に応じて調整した追従クロックに基づいて拡散符号の位相を変化させ又は入力データのラッチ位相を変化させことにより同期状態が維持されるように動作する。この動作が追従制御(DLL)である。
【0003】
以下、図2及び図3を用いることにより、従来装置に用いられている追従制御(DLL)動作の原理を説明する。なお、従来装置の場合には、1回の追従制御によって移相可能な変化量が1種類(固定量)に限られている。例えば、入力データがチップ(Chip)レートの8倍でオーバーサンプリングされたオーバサンプリングデータである場合、同期追跡回路は、現追従位相の1/2Chip進み位相における相関パワーと1/2Chip遅れ位相における相関パワーとの差分値である相関パワー差分とDLL閾値との比較結果により、追従クロックに対する位相変化量の決定を行っている(図2)。
【0004】
▲1▼(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)>DLL閾値
:位相変化量=+1/8Chip(図3(A))
▲2▼|(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)|≦DLL閾値
:位相変化量=0(図3(B))
▲3▼−{(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)}>DLL閾値
:位相変化量=−1/8Chip(図3(C))
【0005】
【発明が解決しようする課題】
ところが、従来の同期追跡回路の場合には、必要とされる位相の変化量が1/8Chip以上である場合にも、1回の制御動作で移相可能な位相変化量が1/8Chipに限られるため、1回の制御動作では必要とされる変更量を確保することができず、制御動作を何回も繰返す必要があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(A)かかる課題を解決するため、第1の発明の同期追跡回路は、(1) 同期位相を含む前後複数位相について相関パワーを算出し、その最大値を与える位相と同期位相との差分を追従クロックに対する位相変化量に決定する位相変化量決定手段と、(2) 上記位相変化量に応じ、発生する追従クロックの周期を部分的に伸縮する追従クロック発生手段とを備え、 (2) 上記追従クロック発生手段は、 (2-1) 初段の出力を上記追従クロックとして出力するシフトレジスタ部と、 (2-2) 当該シフトレジスタ部を構成する各段から与えられる複数の出力又はその演算出力のいずれかを上記位相変化量決定手段から与えられる上記位相変化量に応じて選択し、これをシフトレジスタ部の初段への帰還入力とし、追従クロックの周期を部分的に伸縮させる帰還入力切換部とを備え、 (2-2) 上記シフトレジスタ部は、当該シフトレジスタ部を構成する隣り合う2段の間にそれぞれ設けられた複数のマスク部からなるマスク手段を有し、上記マスク手段によって、追従クロックの周期を短周期から長周期へ切り換えた際に生じる残存クロックの当該シフトレジスタ部内部での伝搬を禁止してマスクすることを特徴とする。
【0007】
かかる構成により、追従クロックと受信信号との位相のずれに相当する位相変化量を1回の追従動作によって調整することができる。
【0008】
(B)また、第2の発明の同期追跡回路は、(1) 同期位相の前後2位相について相関パワーを算出し、それらの差分と複数の閾値との比較により追従クロックに対する位相変化量を決定する位相変化量決定手段と、(2) 上記位相変化量に応じ、発生する追従クロックの周期を部分的に伸縮する追従クロック発生手段とを備え、 (2) 上記追従クロック発生手段は、 (2-1) 初段の出力を上記追従クロックとして出力するシフトレジスタ部と、 (2-2) 当該シフトレジスタ部を構成する各段から与えられる複数の出力又はその演算出力のいずれかを上記位相変化量決定手段から与えられる上記位相変化量に応じて選択し、これをシフトレジスタ部の初段への帰還入力とし、追従クロックの周期を部分的に伸縮させる帰還入力切換部とを備え、 (2-2) 上記シフトレジスタ部は、当該シフトレジスタ部を構成する隣り合う2段の間にそれぞれ設けられた複数のマスク部からなるマスク手段を有し、上記マスク手段によって、追従クロックの周期を短周期から長周期へ切り換えた際に生じる残存クロックの当該シフトレジスタ部内部での伝搬を禁止してマスクすることを特徴とする。
【0009】
かかる構成では、位相変化量を細かく設定する場合でも位相変化量決定手段に必要とされる相関パワー算出手段は2個で済み、第1の発明に比してそのハードウェア構成が少なくて済む。
【0010】
(C)また、第3の発明においては、上述の第1又は第2の発明の同期追跡回路と、当該同期追跡回路の追従クロックより算出される相関出力を検波後復調する復調手段とを通信装置に搭載するようにする。これにより、受信信号に対する追従クロックの追従性を高めることができ、通信品質が高くかつ回線の切れ難い通信装置を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(A)第1の実施形態
以下、本発明に係る同期追跡回路の第1の実施形態例を、図面を用いて説明する。
【0012】
(A−1)クロック周期決定方法
まず、本実施形態に係る同期追跡回路で使用するクロック周期の決定方法について説明する。このクロック周期決定方法は、同期位相を中心に定めた複数位相について相関パワーを算出し、その最大値を与える位相と同期位相との差分をクロック位相の追従に最適な位相変化量に決定する方法である。なお、当該位相変化量を、多段階にクロック周期を制御可能な追従クロック発生回路に与えれば、1回の追従制御によって追従クロックの位相の修正を実現できることになる。
【0013】
なお以下の説明では、図4に示すように、同期位相(現追従位相)を中心にその1/2Chip遅れ位相から1/2Chip進み位相の範囲を1/8Chip刻みして与えられる9通りの各位相について相関パワーを算出し、その最大値を与える位相と同期位相との差分をクロック位相の追従に最適な位相変化量に決定する方法について説明する。
【0014】
因みに、図4中に表しているC(p)の記号は、それぞれ位相pにおける相関パワーの値を表しており、図4の場合、同期位相に対し1/4Chip遅れの位相について算出された相関パワーの値が最大値となっている。従って、図4の場合、同期追跡回路は、追従クロックの位相を現追従位相に対して1/4Chip分を遅らせるように制御を行う。
【0015】
参考までに、図4に示す各位相で相関パワーの最大値が得られた場合の制御動作により、追従クロックの位相変化がどのように変化するかを図5に示す。なお、図中太線で示した部分が位相の調整が行われた部分である。
【0016】
(A−2)同期追跡回路の構成
図1に、CDMA通信装置に搭載される同期追跡回路であって、そのクロック周期の決定に(A−1)項で説明した方法を用いるものの機能ブロック構成を示す。なお、当該同期追跡回路が搭載されるCDMA通信装置においては、当該追従クロックによって位相の調整された相関出力(逆拡散出力)を検波後、さらに誤り訂正等することで、もとのビットストリームを復調する処理が行われる。
【0017】
図1の同期追跡回路の説明に戻る。この同期追跡回路は、前述した9通りの位相に対応する9つの相関パワー算出部1(1A〜1I)と、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2と、追従クロック発生回路3と、CPU4とを主要な構成要素とする。
【0018】
(a)相関パワー算出部
相関パワー算出部1A〜1Iのそれぞれには、追従クロック発生回路3から与えられる追従クロックを基に各部が対応する位相のクロックを生成する機能と、生成されたクロックを用いて入力データをラッチし、拡散符号との相関パワーを算出する機能とが備えられている。
【0019】
ここで、相関パワー算出部1Aは、追従クロックから1/2chip位相の進んだクロックを生成し、これを用いて入力データのラッチを行う。同様に、相関パワー算出部1B、1C及び1Dは、追従クロックから3/8chip、1/4chip及び1/8chip位相の進んだクロックをそれぞれ生成し、これを用いて入力データのラッチを行う。また、相関パワー算出部1F、1G、1H及び1Iは、追従クロックから1/8chip、1/4chip、3/8chip及び1/2chip位相の遅れたクロックをそれぞれ生成し、これを用いて入力データのラッチを行う。ただし、相関パワー算出部1Eについては、追従クロックをそのまま用いて入力データのラッチを行う。
【0020】
なお、ここでの相関パワー算出部1A〜1Iに与えられる入力データは、伝搬路を介して受信された受信信号(CDMA拡散符号で変調されている)をフィルタによってぺースバンド帯域に落としたものを、Chipレートの8倍でオーバーサンプリングしたものである。
【0021】
また、これら相関パワー算出部1A〜1Iでは、通常、複数チップ区間(例えば、64Chip区間や128Chip区間等)に亘って相関パワーの加算が行われており、当該区間の満了のたび、加算結果を出力するようになっている。すなわち、相関パワーを64Chip区間に亘って加算するのであれば、64Chipごとにその加算値を相関パワーとして出力するようになっている。
【0022】
(b)クロック周期選定及び位相変化累積値算出部
クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2には、相関パワー算出部1A〜1Iのそれぞれから与えられる9つの入力のうち相関パワーが最大となるものを検出し、これを与える位相と同期位相との位相差を検出する機能と、同期位相の相関パワーが最大となるように当該位相差(位相変化量)を補正値として追従クロック発生回路3に与える機能とが備えられている。
【0023】
なお、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2は、後者の機能を位相差に対応するスイッチ番号を通知することにより実現している。これは、本実施形態における追従クロック発生回路3が、追従クロックの位相制御をスイッチの切り替え制御により実現する回路構成を採るためである。そこで、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2には、補正値(位相変化量)に対応するスイッチ番号との関係を記憶した対応関係テーブルが備えられており、当該対応関係テーブルを参照することにより該当するスイッチ番号が選定されるようになっている。
【0024】
図6に、対応関係テーブルの一例を示す。図6では、スイッチ番号と位相変化量との関係の他、スイッチ番号と周期、デューティー比、マスクコードとの関係についても表している。このうち、周期はスイッチの切り替えにより周期長がどのように切り替わるかを表しており、デューティー比は当該切り替えにより周期の前半周期と後半周期がどのような長さ及び比率となるか(基準とするチップ周期のデューティー比を4:4とする。)を表している。なお、マスクコードについては、追従クロック発生回路3の説明時に改めて説明する。
【0025】
この他、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2には、変化させた位相の累積値を算出し、その値を位相変化累積値としてCPU4等に報告する機能も備えられている。これは一般に、CDMA通信装置には複数の復調部(フィンガ)が設けられており、CPU4はそれぞれのフィンガの追従状況を監視し制御する必要があるためである。なお、当該機能は加減算器によって実現される。因みに、加減算器に保持される累積値はステムリセット時に一旦リセットされた後、位相変化量(実際にはスイッチ番号)の指示が行われるたびその値が更新される。
【0026】
(c)追従クロック発生回路
追従クロック発生回路3には、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2から通知される位相変化量に基づいて発生する追従クロックの位相(周期)を制御する機能が備えられている。追従クロック発生回路3は、この機能を巡回クロックの帰還周期をスイッチにより適応的に切り替えることにより実現する。図7にその回路例を示す。なお、図7は、追従クロックの位相を、1/8Chip刻みで同期位相に対して1/2Chip遅れ位相から1/2Chip進み位相まで調整可能とするための構成例であり、切り換え速度さえ許せば任意の範囲について任意の刻みで位相の調整が可能な回路の実現は可能である。
【0027】
追従クロック発生回路3は、シフトレジスタ部31と帰還入力切換部32とで構成されている。このうち、シフトレジスタ部31は、6個のDフリップフロップFF0〜FF5が縦列接続されて構成されている。これらDフリップフロップFF0〜FF5は、1/8Chipクロックをシフトクロックとして動作する。これは、追従クロックの位相を1/8Chip刻みで制御するためである。なお、各DフリップフロップFF0〜FF5の出力は、マスクゲートを介して次段に与えられるようになっている。
【0028】
ここで、マスクゲートを介して伝搬させるのは、周期の切り換え時に(特に、短周期から長周期への切り換え時に)、予期しないタイミングで残存パルスが追従クロックに出現するのを禁止するためである。本実施形態では、当該マスクゲートを論理和ゲートで構成する。因みに、後段へのクロックの伝搬の許されるマスクゲートに対しては値「0」のマスクコードが与えられる。これに対し、後段へのクロックの伝搬が禁止されるマスクゲートに対しては値「1」のマスクコードが与えられる。
【0029】
これは値「1」のマスクコードが与えることで、次段のフリップフロップに入力される値を強制的に「1」にでき、当該フリップフロップより帰還入力切換部32に帰還される反転出力NQの値を強制的に「L」レベルにできるからである。仮に、当該機能を設けないと、短周期から長周期に切り替え後、周期の切り替え以前から伝搬されていた残存パルスが追従フロップ中に現れるのを避け得ない。因みに、本実施形態においては、マスクゲートの機能を論理和ゲートにより実現することにしたが、フリップフロップのS端子(セット端子)を直接制御することでも実現可能である。
【0030】
一方、帰還入力切換部32は、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2からのスイッチ番号の入力に従い、追従クロックの立ち下がりタイミングに同期して(すなわち、初段のDフリップフロップFF0の反転出力NQ(0)の立ち上がりをトリガーとして)、9通りの帰還入力のうち1つを選択的に出力するための手段である。
【0031】
この帰還入力切換部32における帰還入力の選択により、シフトレジスタ部31を構成する初段のDフリップフロップFF0から出力される追従クロック(すなわち、Q出力)の周期とデューティー比の切り換えが可能となる。
【0032】
例えば、スイッチ番号1(SW1)の入力を選択すれば、シフトレジスタ部31の6段目を構成するDフリップフロップFF5の反転出力NQ(5)を、追従クロックとして出力することができる。この追従クロックの周期は3/2Chip(1/8Chipクロックの12分周分)であり、そのデューティー比は6:6である。
【0033】
なおこの場合、各マスクゲートには、いずれも「0」の値がマスクコードMask(0)〜(4)として与えられる(図6参照)。これは、追従クロックの後段への伝搬を許可するためである。すなわち、各Dフリップフロップの出力Q及び反転出力NQには、追従クロック又はこれを反転したものを、Dフリップフロップの段数に相当する時間だけ遅延したものが順次現れることになる。
【0034】
また、スイッチ番号2(SW2)の入力を選択すれば、シフトレジスタ部31の5段目を構成するフリップフロップFF5の反転出力NQ(4)と6段目を構成するフリップフロップFF5の反転出力NQ(5)の論理和でなる出力を、追従クロックとして出力することができる。
【0035】
ここで、異なる2つの出力段から出力される反転出力NQの論理和を帰還入力として用いるのは、シフトパルスを奇数倍に分周した追従クロックを生成するためである。なおこの際、追従クロックの周期は11/8Chipとなり、そのデューティー比は5:6となる。この場合も、マスクコードMask(0)〜(4)の値はいずれも「0」である。
【0036】
同様に、スイッチ番号3(SW3)〜スイッチ番号9(SW9)の各入力を選択する場合には、それぞれ対応するDフリップフロップの反転出力NQ又はそれらの論理和でなる出力を追従クロックとして出力することができ、所望の周期とデューティー比を有する追従クロックを得ることができる。
【0037】
なお、これら各スイッチ番号に帰還する反転出力NQ又はそれらの論理和でなる出力との関係は、前述のスイッチ番号1(SW1)やスイッチ番号2(SW2)の場合と同様、図7に示してあるので説明は省略する。また、これら各スイッチ番号が選択された場合に与えるべきマスクコードMask(0)〜(4)の値についても図6に示してある。
【0038】
(A−3)同期追跡回路の動作
続いて、本実施形態に係る同期追跡回路の動作、すなわち、追従クロックの生成動作について説明する。ここでは、図8及び図9を用いて説明する。
【0039】
まず、図8を用いて、追従クロックの位相を1回の追従制御によって、1/4Chip遅らせる場合について説明する。なおこの動作は、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2において、1/4Chip遅れ位相に相当する相関パワー算出部1Gで算出された相関パワーの値が最大値を採るものと検出された場合に実行される動作である。
【0040】
クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2は、このように位相のずれが+1/4Chipであることを検出すると、これに対応するスイッチ番号SW3を対応関係テーブルから読み出し、追従クロック発生回路3に出力する。このとき、マスクコード「00001」も読み出され出力される。
【0041】
追従クロック発生回路3は、通知されたスイッチ番号SW3を帰還入力切換部32に与えると共に、マスクコード「00001」をシフトレジスタ部31のマスクゲートに与える。
【0042】
帰還入力切換部32は、図8(C)及び(D)に示すように、追従クロックの立ち下がりのタイミングで帰還入力の切り換えを実行し、シフトレジスタ部31の5段目を構成するDフリップフロップFF4の反転出力NQ(4)を初段のDフリップフロップFF0に出力する。このとき、反転出力NQ(4)の論理レベルは「L」であるため、追従クロックの波形も「L」レベルに立ち下がる。
【0043】
この後、「L」レベルの反転出力NQ(4)は順次後段のDフリップフロップへと転送され、5/8chipクロック後、シフトレジスタ部31の5段目を構成するDフリップフロップFF4の反転出力NQ(4)が論理「H」レベルに立ち上がる。これが初段のDフリップフロップFF0に帰還されることになるため、先の帰還入力の切り換えから5/8Chipクロック後、初段のDフリップフロップFF0に入力される帰還入力の論理レベルは「H」レベルに変化し、追従クロックの波形が立ち上がる。
【0044】
この後は、波形の立ち上がったクロックが順次転送されることになる。そして、前半周期の場合と同様、「H」レベルの反転出力NQ(4)は順次後段のDフリップフロップへと転送され、5/8chipクロック後再びシフトレジスタ部31の5段目を構成するDフリップフロップFF4に到達し、その反転出力NQ(4)を論理「L」レベルに立ち下げる。これが初段のDフリップフロップFF0に帰還されることで、追従クロックが論理「L」レベルに立ち下がることになる。
【0045】
なおこのとき、初段のDフリップフロップFF0の反転出力NQ(1)は「H」レベルに切り替わるので、帰還入力切換部32は、当該反転出力NQ(1)の入力をトリガーとして、初段のDフリップフロップFF0に出力する帰還入力の切換を実行し、その後は、同期位相に対応するスイッチ番号SW5の帰還入力を選択的に出力する処理に戻る。
【0046】
なお以上の動作は、5/4Chip周期のクロックを1周期挿入したのと同じであるので、1回の追従制御で必要とされる位相の補正が実現されている。
【0047】
続いて、図9を用いて、追従クロックの位相を1回の追従制御によって、3/8Chip進ませる場合について説明する。なおこの動作は、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2において、3/8Chip進み位相に相当する相関パワー算出部1Bで算出された相関パワーの値が最大値を採るものと検出された場合に実行される動作である。
【0048】
クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2は、このように位相のずれが−3/8Chipであることを検出すると、これに対応するスイッチ番号SW8を対応関係テーブルから読み出し、追従クロック発生回路3に出力する。このとき、マスクコード「00111」も読み出され出力される。
【0049】
追従クロック発生回路3は、通知されたスイッチ番号SW8を帰還入力切換部32に与えると共に、マスクコード「00111」をシフトレジスタ部31のマスクゲートに与える。
【0050】
帰還入力切換部32は、図9(C)及び(D)に示すように、追従クロックの立ち下がりのタイミングで帰還入力の切り換えを実行し、シフトレジスタ部31の2段目を構成するDフリップフロップFF1の反転出力NQ(1)と同3段目を構成するDフリップフロップFF2の反転出力NQ(2)の論理和でなる出力を初段のDフリップフロップFF0に出力する。この際、いずれの反転出力もその論理レベルは「L」であるため、その論理和も「L」レベルとなる。勿論、この時点で、追従クロックの波形も「L」レベルに立ち下がる。
【0051】
この後、「L」レベルの論理和出力は順次後段のDフリップフロップへと転送され、2/8chipクロック後、シフトレジスタ部31の2段目を構成するDフリップフロップFF1の反転出力NQ(1)が論理「H」レベルに立ち上がる。因みに、この時点では、3段目を構成するDフリップフロップFF2の反転出力NQ(2)は未だ論理「L」レベルのままであるが、両反転出力の論理和は、この時点で「H」レベルに切り替わる。このため、先の帰還入力の切り換えから2/8Chipクロック後、初段のDフリップフロップFF0に入力される帰還入力の論理レベルは「H」レベルに変化し、追従クロックの波形が立ち上がる。
【0052】
この後は、波形の立ち上がったクロックが順次転送されることになる。ただし、今度は、両反転出力の論理和の波形が反転するのに3/8Chipクロックの期間を必要とする。これは2/8Chipクロックの時点では、シフトレジスタ部31の2段目を構成するDフリップフロップFF1の反転出力NQ(1)の論理値が論理「L」レベルに立ち下がるものの、3段目を構成するDフリップフロップFF2の反転出力NQ(2)の論理値は未だ「H」レベルを維持するためである。そして、3/8Chipクロック後に初めて両反転出力の論理和が「L」レベルに切り替わり、初段のDフリップフロップFF0に入力される帰還入力の論理レベルも「L」レベルに変化する。これにより、追従クロックの波形が立ち下がる。
【0053】
またこの時点で、初段のDフリップフロップFF0の反転出力NQ(1)は「H」レベルに切り替わるので、帰還入力切換部32は、当該反転出力NQ(1)の入力をトリガーとして、初段のDフリップフロップFF0に出力する帰還入力の切換を実行し、その後は、同期位相に対応するスイッチ番号SW5の帰還入力を選択的に出力する処理に戻る
なお以上の動作は、3/8Chip周期のクロックを1周期挿入したのと同じであるので、1回の追従制御で必要とされる位相の補正が実現されている。
【0054】
(A−4)第1の実施形態の効果
以上のように、本実施形態に係る同期追跡回路によれば、追従クロックの周期を多段階に制御可能な追従クロック発生回路3が設けられていることにより、受信信号と追従クロックとの間に位相差が検出された場合でも、当該位相差を1回のクロック周期の変更により修正できるため、追従に要する時間の短縮を実現できる。
【0055】
また、当該同期追跡回路をCDMA通信装置に搭載すれば、受信信号に対する追従クロックの追従性を高めることができ、通信品質が高くかつ回線の切れ難い通信装置を実現できる。
【0056】
(B)第2の実施形態
続いて、本発明に係る同期追跡回路の第2の実施形態例を、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。すなわち、クロック周期決定方法とこれに伴う同期追跡回路の構成上の違いについてのみ説明する。
【0057】
(B−1)クロック周期決定方法
本実施形態に係るクロック周期決定方法の特徴は、相関パワーの算出を2つの位相についてしか行わない点であり、クロック位相の追従に最適な位相変化量を、算出された相関パワーの差分を複数の閾値と比較することにより決定する点にある。すなわち、本実施形態においては図10に示すように、1/2Chip遅れ位相と1/2Chip進み位相についてのみ相関パワーを算出し、その差分を次の4つの閾値と比較することにより、クロック位相の追従に最適な位相変化量の決定を行う。
【0058】
ここで用いる閾値は、DLL閾値、閾値A、閾値B及び閾値Cの4つである。このうち、DLL閾値は、従来技術の説明で用いたものと同じもの、すなわち、ほぼ同期位相の状態を判定するのに用いる閾値である。これに対し、閾値Aは、位相の調整が1/8Chip以内となるか否かの判定用閾値である。閾値Bは、位相の調整が1/4Chip以内となるか否かの判定用閾値である。閾値Cは、位相の調整が3/8Chip以内となるか否かの判定用閾値である。
【0059】
なお、これら閾値に最適な値は、相関パワーの算出を行うChip区間や入力信号のレベル等に応じて定まるものであるので、適用するシステムに応じた値を設定しておく必要がある。
【0060】
次に、かかる4つの閾値を用いて、どのように位相の調整量を決定するかを説明する。ただし、以下に示す判定方法は、図10に示すように、相関パワーの特性曲線が、本来の同期位相で最大値をとり、その位相から離れるに従って対称的に減少する特性を有することを前提としている。
【0061】
▲1▼閾値C<(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)
:位相変化量=+1/2Chip(図5(A))
▲2▼閾値B<(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)≦閾値C
:位相変化量=+3/8Chip(図5(B))
▲3▼閾値A<(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)≦閾値B
:位相変化量=+1/4Chip(図5(C))
▲4▼DLL閾値<(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)≦閾値A
:位相変化量=+1/8Chip(図5(D))
▲5▼|(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)|≦DLL閾値
:位相変化量=0(図5(E))
▲6▼DLL閾値<−{(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)}≦閾値A
:位相変化量=−1/8Chip(図5(F))
▲7▼閾値A<−{(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)}≦閾値B
:位相変化量=−1/4Chip(図5(G))
▲8▼閾値B<−{(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)}≦閾値C
:位相変化量=−3/8Chip(図5(H))
▲9▼閾値C<−{(1/2Chip遅れ相関パワー)−(1/2Chip進み相関パワー)}
:位相変化量=−1/2Chip(図5(I))
従って、図10の場合は、その相関パワー差分が閾値Aより大きいが閾値B以下である(閾値A<相関パワー差分≦閾値B)ので、追従クロックの位相を1/4Chip遅らせれば良い。
【0062】
(B−2)同期追跡回路の構成及び動作
図11に、CDMA通信装置に搭載される同期追跡回路であって、そのクロック周期の決定に(B−1)項で説明した方法を用いるものの機能ブロック構成を示す。なお、図11には、第1の実施形態における同期追跡回路の機能ブロック構成を表した図1との対応部分に対応符号を付し、同一部分には同一符号を付して示している。
【0063】
図11に示す同期追跡回路と図1に示す同期追跡回路の違いは、相関パワー算出部1'が1/2Chip進み位相での相関パワーを算出する相関パワー算出部1Aと、1/2Chip遅れ位相での相関パワーを算出する相関パワー算出部1Iの2つで構成されている点と、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2'が2入力の差分と4つの閾値との比較によって調整の必要な位相量を決定する点の2点だけである。
【0064】
従って、クロック周期選定及び位相変化累積値算出部2'における位相変化量の決定後以降における動作(図6に示す対応関係テーブルに基づくスイッチ番号SW No.の読み出し等)や、追従クロック発生回路3が通知されたスイッチ番号SW No.に従ってクロック周期を変更する動作については、第1の実施形態と全く同じになる。
【0065】
(B−3)第2の実施形態の効果
このように、本実施形態に係る同期追跡回路によれば、設けなければならない相関パワー算出部の数が2つだけで済むため、第1の実施形態の場合に比して、そのハードウェア構成を小さくすることができる。
【0066】
また、当該同期追跡回路をCDMA通信装置に搭載すれば、第1の実施形態同様、受信信号に対する追従クロックの追従性を高めることができ、通信品質が高くかつ回線の切れ難い通信装置を実現できる。
【0067】
(C)他の実施形態
上述の実施形態においては、追従クロックの位相を、同期位相(現追従位相)を中心にその1/2Chip遅れ位相から1/2Chip進み位相の範囲で調整する場合について述べたが、調整範囲はこれに限るものではない。例えば、これよりも、広い範囲で調整可としても良く、また狭い範囲で調整可としても良い。
【0068】
同様に、上述の実施形態においては、追従クロックに与える位相変化量の最小単位を1/8Chipとする場合について述べたが、調整単位はこれに限られるものでなく、より小さい単位で位相変化量を指定可能としても良い。
【0069】
上述の実施形態におけるスイッチ番号と位相変化量との対応関係(図6及び図7)は一例であり、接続関係に応じて設定可能である。
【0070】
上述の実施形態においては、相関パワーはある区間(例えば、64Chip区間や128Chip区間等)に亘って算出する場合について述べたが、1Chip区間ごとに算出するのを妨げるものでない。
【0071】
上述の実施形態においては、CDMA通信装置で使用する同期追従回路について述べたが、スペクトル拡散技術を用いて通信を行う通信装置に広く適用できる。
【0072】
上述の第2の実施形態においては、同期位相の1/2Chip遅れ位相と1/2Chip進み位相の2位相について算出された相関パワーに基づいて位相変化量を演算する場合について述べたが、当該値の演算に使用する2位相はかかる位相の組合せに限らない。
【0073】
また、上述の第2の実施形態においては、DLL閾値及び閾値A、B、Cの4つを用いて位相変化量を決定する場合について述べたが、用いる閾値の数を増減することにより位相変化量の精度を自由に変更できる。
【0074】
【発明の効果】
上述の第1の発明によれば、同期位相を含む前後複数位相について相関パワーを算出し、その最大値を与える位相と同期位相との差分を追従クロックに対する位相変化量として直接与えることができることにより、追従クロックと受信信号との位相のずれに相当する位相変化量を1回の追従動作によって調整でき、追従に要する時間の短縮を実現できる。
【0075】
また、上述の第2の発明によれば、位相変化量をどのように細かく設定する場合でも、相関パワーの算出に必要な相関パワー算出手段は2個で済むため、第1の発明と同様の効果を少ないハードウェア構成で実現できる。
【0076】
さらに、上述の第3の発明によれば、通信装置に上述の第1又は第2の発明の同期追跡回路を搭載することにより、受信信号に対する追従クロックの追従性を高めることができ、通信品質が高くかつ回線の切れ難い通信装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る同期追跡回路の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】従来装置で使用する位相変化量の決定原理を示す図である。
【図3】従来装置で可能なクロック周期の変化態様を示す図である。
【図4】第1の実施形態で使用する位相変化量の決定原理を示す図である。
【図5】実施形態装置で可能なクロック周期の変化態様を示す図である。
【図6】対応関係テーブルを示す図である。
【図7】追従クロック発生回路の機能ブロック構成を示す図である。
【図8】クロック周期を1箇所伸張することにより追従クロックの位相を遅らせる場合の各信号の位相関係を示す図である。
【図9】クロック周期を1箇所短縮することにより追従クロックの位相を進ませる場合の各信号の位相関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態で使用する位相変化量の決定原理を示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る同期追跡回路の機能ブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
1A〜1I…相関パワー算出部、2、2'…クロック周期選定及び位相変化累積値算出部、3…追従クロック発生回路、4…CPU、31…シフトレジスタ部、32…帰還入力切換部。
Claims (3)
- 同期位相を含む前後複数位相について相関パワーを算出し、その最大値を与える位相と同期位相との差分を追従クロックに対する位相変化量に決定する位相変化量決定手段と、
上記位相変化量に応じ、発生する追従クロックの周期を部分的に伸縮する追従クロック発生手段とを備え、
上記追従クロック発生手段は、
初段の出力を上記追従クロックとして出力するシフトレジスタ部と、
当該シフトレジスタ部を構成する各段から与えられる複数の出力又はその演算出力のいずれかを上記位相変化量決定手段から与えられる上記位相変化量に応じて選択し、これをシフトレジスタ部の初段への帰還入力とし、追従クロックの周期を部分的に伸縮させる帰還入力切換部とを備え、
上記シフトレジスタ部は、当該シフトレジスタ部を構成する隣り合う2段の間にそれぞれ設けられた複数のマスク部からなるマスク手段を有し、上記マスク手段によって、追従クロックの周期を短周期から長周期へ切り換えた際に生じる残存クロックの当該シフトレジスタ部内部での伝搬を禁止してマスクする
ことを特徴とする同期追跡回路。 - 同期位相の前後2位相について相関パワーを算出し、それらの差分と複数の閾値との比較により追従クロックに対する位相変化量を決定する位相変化量決定手段と、
上記位相変化量に応じ、発生する追従クロックの周期を部分的に伸縮する追従クロック発生手段とを備え、
上記追従クロック発生手段は、
初段の出力を上記追従クロックとして出力するシフトレジスタ部と、
当該シフトレジスタ部を構成する各段から与えられる複数の出力又はその演算出力のいずれかを上記位相変化量決定手段から与えられる上記位相変化量に応じて選択し、これをシフトレジスタ部の初段への帰還入力とし、追従クロックの周期を部分的に伸縮させる帰還入力切換部とを備え、
上記シフトレジスタ部は、当該シフトレジスタ部を構成する隣り合う2段の間にそれぞれ設けられた複数のマスク部からなるマスク手段を有し、上記マスク手段によって、追従クロックの周期を短周期から長周期へ切り換えた際に生じる残存クロックの当該シフトレジスタ部内部での伝搬を禁止してマスクする
ことを特徴とする同期追跡回路。 - 請求項1又は2に記載の同期追跡回路と、当該同期追跡回路の追従クロックより算出される相関出力を検波後復調する復調手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
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