JP3741938B2 - 銅配線の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信頼性が高くかつ製造しやすい銅あるいは銅合金を用いた配線に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅または銅に錫等を添加した銅合金は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金より低抵抗でありかつマイグレーション(エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション)に対して高い耐性を有するので、高性能でかつ高信頼度のLSI用配線としてアルミニウムに換えて集積回路の配線として使用されつつある。
【0003】
アルミニウム系配線においては、配線の信頼性を向上させるため大粒径な膜や<111>配向の強い膜を作る努力がなされてきた。大粒径でかつ<111>配向の強い膜を用いるということは、本質的には、原子のマイグレーション速度の大きい粒界を減らすということである。
【0004】
一般に、粒界を形成する隣接結晶粒間の方位の違い(ミスオリエンテーション)が大きくかつ両結晶粒間に特定の方位関係がないランダム粒界や方位関係の弱い粒界(いわゆる対応粒界での対応格子点密度の逆数として定義されるΣ値の大きい粒界)を通じた原子のマイグレーション速度は、格子、あるいは、Σ値の低い対応粒界を通じた場合に比してきわめて大きい。
【0005】
したがって、粒界を通じたマイグレーションが支配的となる電源線用配線等の幅の広い配線(一般的には、平均粒径より広い配線、あるいは、石垣状粒界構造配線という表現が用いられるている)において、そのような原子のマイグレーション速度の大きな粒界を減少させることがマイグレーション耐性を高める基本指針の一つと考えられる。
【0006】
配線幅が平均粒径よりも小さくなると、配線の粒界構造は石垣状粒界部とバンブー粒界部とが混在した擬バンブー粒界構造となり、さらに微細な配線では、石垣状粒界部をほとんど含まないバンブー粒界構造となる。擬バンブー粒界構造配線でのマイグレーション耐性は、基本的には石垣状粒界部での粒界を通じたマイグレーション速度によって支配される。
【0007】
しかし、バンブー粒界配線では配線長方向につながった粒界は存在しないので、原子の長距離マイグレーションは、基本的には配線金属と絶縁膜との界面や多層に積層された配線金属間の界面を通じたマイグレーションによって支配される。
【0008】
また、配線内部から界面への短距離マイグレーションではバンブー粒界を経由する成分が大きいと考えられるので、石垣状配線におけるほどではないが、この場合にもΣ値の低い対応粒界を増やすこと、すなわち、<111>配向性を高めることがマイグレーション耐性の向上に有効と考えられる。
【0009】
マイグレーション耐性は、上述のマイグレーション速度だけでなく、ボイドの発生しやすさや発生箇所に依存する。ボイドは、粒界と配線表面(側面や底面を含む)との交点において発生しやすい。特に、ランダム粒界やΣ値の高い対応粒界が表面と交わる箇所ではボイドが発生しやすいので、<111>配向性を高めてそのような粒界を減少させることもマイグレーション耐性の改善に有効と考えられる。
【0010】
銅配線においても、マイグレーション耐性を高めるために、大粒径膜を用いることや(特開平5−315327号公報)、大粒径でかつ<111>配向の強い膜を形成する方法(特開平1−125954号公報)が報告されている。さらに、<111>配向率が90%以上の銅膜を用いるとCu配線の耐酸化性が向上し(特開平6−275617号公報)、あるいは、マイグレーション耐性が向上する(特開昭61−27656号公報)との報告がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、銅配線の場合には、一方向に強い配向を有し、かつ大粒径の膜を形成することは、アルミニウム配線の場合のように容易ではなく、そのため特殊な製造工程を導入したり、製造工程の条件を狭い範囲に限定しなければならないという問題があることを発明者らは見いだした。
【0012】
本発明の目的は、従来の技術において求められてきたような製造が難しい極めて強く1方向に配向した膜を用いなくても、信頼性が高くかつ製造が容易な銅あるいは銅合金を含む配線を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、過半数の結晶粒が双晶である銅あるいは銅合金からなる配線を形成する方法であって、基板上に少なくとも銅あるいは銅を主体とする銅合金を成膜する第1工程と;基板温度を80〜120℃に昇温した後、昇温速度を1℃/分以上50℃/分以下に制御しながら、該基板温度を180℃以上500℃以下の目標温度まで上昇させる第2工程と;前記第2工程を終了後、前記基板を前記目標温度で5分以上10時間以下保持する第3工程と;前記第3工程を終了後、降温速度を1℃/分以上50℃/分以下に制御しながら前記基板温度を降温させる第4工程;とを含むことを特徴とする銅配線の形成方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
銅の双晶においては、通常{111}面の1つが整合した双晶境界を形成する(ここでは、整合した双晶境界をも結晶粒界とみなして、結晶粒を定義する)。このような整合した双晶境界を通じた原子のエレクトロマイグレーション速度は、本質的に結晶格子を通じた場合と同程度に小さく、従って、信頼性の観点からは、この双晶境界は実質的に存在を無視することができ、双晶を形成する2つの結晶粒は、実質的に1つの大きな結晶粒とみなすことができる。
【0015】
すなわち、実効的に大粒径化が実現される。結晶粒が大きくなると、配線幅が平均粒径よりも大きい石垣状粒界構造配線において配線長方向に連なる粒界数が減少し、マイグレーション速度が低下するので、より顕著なエレクトロマイグレーション耐性の向上をもたらす。
【0016】
また、配線幅が平均粒径以下の擬バンブーあるいはバンブー粒界配線においても、近距離のマイグレーションが低減するので、石垣状粒界配線におけるほどではないがマイグレーション耐性が向上する。
【0017】
さらに、双晶の形成は、膜全体の粒界エネルギーの減少をもたらす。すなわち、エネルギーの高い粒界が消滅し、エネルギーの低い粒界と双晶粒界が形成される。従って、双晶境界以外の粒界のエネルギーが減少する。
【0018】
粒界エネルギーの低い粒界は、基本的にΣ値の低い粒界であり、そのような粒界を通じた原子のエレクトロマイグレーション速度は、粒界エネルギーの高い粒界を通じた原子のエレクトロマイグレーション速度より小さいと考えられる。すなわち、双晶が形成されることによって、実質的に大粒径化されランダム粒界が減少するだけでなく、双晶境界以外の粒界においても粒界のエレクトロマイグレーション速度の減少が期待される。
【0019】
また、しばしばボイドの発生点となる粒界と表面との交点においても、粒界エネルギーが低い場合にはボイドは発生し難くなり、マイグレーション耐性の向上が期待される。この効果は、石垣状粒界配線だけでなく、配線幅が平均粒径よりも小さい擬バンブー粒界あるいはバンブー粒界配線においても有効と考えられる。
【0020】
さらに、発明者らは、2つの方位(A及びBとする)からなる双晶A/Bが、A/B/A・・・のように繰り返した構造もしばしば発生することを見いだした(図1における結晶粒1と2に相当。この場合には、結晶粒1と2の方位は、それぞれ<111>及び<511>配向であったが、他の方位の組み合わせの場合も観察された)。このような場合には、実質的に極めて大きな結晶粒と見なすことができる。また、銅の場合には、双晶形成エネルーが低いため、このような2つの方向に優先配向しかつそれらの大部分が双晶関係にある膜は、容易に形成することができ、膜の製作が従来のように強い<111>配向膜を形成する場合に比べて著しく容易になる。
【0021】
以下に、本発明の銅あるいは銅合金層を含む配線の製造方法を説明する。
【0022】
先ず、メッキ法、気相堆積(CVD)法、スパッタ法等により、銅あるいは銅合金膜(銅系膜とも記載する)を成膜する。得られた銅系膜は、過半数の銅あるいは銅合金結晶粒が双晶となるよう、熱処理に供される。
【0023】
熱処理は、例えば、以下の手順により行われる。先ず、銅系膜が形成された基板を加熱炉に配置し、加熱炉内を窒素、ヘリウム、アルゴン等の銅系膜と反応しないガス(不活性ガス)により充満する。その後、加熱炉を昇温し、基板温度を80〜120℃の範囲とする。なお、以降の工程は、全て不活性ガス環境下で行われる。
【0024】
次に、昇温速度を制御しながら、基板温度を上昇する。昇温速度は、得られる結晶粒の構造に影響を与えるため、過半数の銅あるいは銅合金結晶粒を双晶とするために、1℃/分以上が好ましく、5℃/分以上がより好ましい。また、50℃/分以下が好ましく、30℃/分以下がより好ましい。
【0025】
基板温度が目標温度に到達後は、基板温度が目標温度の±5℃の範囲内となるよう温調する。目標温度は、得られる結晶粒の構造に影響を与えるため、過半数の銅あるいは銅合金結晶粒を双晶とするために、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。また、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましい。また、目標温度での保持時間は、銅系膜の面積に依存して設定され、通常、5分以上10時間以下とされる。
【0026】
目標温度での処理終了後は、降温速度を制御しながら、基板温度を降温する。降温速度の絶対値は、得られる結晶粒の構造に影響を与えるため、過半数の銅あるいは銅合金結晶粒を双晶とするために、1℃/分以上が好ましく、5℃/分以上がより好ましい。また、50℃/分以下が好ましく、30℃/分以下がより好ましい。
【0027】
以上の様にして得られた銅系膜は、化学機械研磨法(CMP)、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等の配線化加工法により、配線とされる。
【0028】
なお、以上では、熱処理後に配線化加工を行う例を示したが、配線化加工により配線を形成後に熱処理を行うこともできる。後者の方法を採用する際には、熱処理における目標温度の保持時間は、配線幅に依存してして至適化され、配線幅が広い場合は、保持時間を長くする。
【0029】
以上に説明した様な製造方法によれば、銅配線の場合には、一方向に強い配向を有し、かつ大粒径の膜を形成することは、アルミニウムの場合のように容易ではないにも関わらず、特殊な製造工程を導入したり、製造工程の条件を狭い範囲に限定する必要はない。
【0030】
そして、以上の様な製造方法により、銅系膜の双晶は、整合した双晶境界を形成する。このような整合した双晶境界を通じた原子のエレクトロマイグレーション速度は、本質的に結晶格子を通じた場合と同程度に小さく、信頼性の観点からは、この双晶境界は実質的に存在を無視することができ、双晶を形成する2つの結晶粒は、実質的に1つの大きな結晶粒とみなすことができ、実効的に大粒径化が実現される。結晶粒径の拡大は、粒界数の減少によるマイグレーション速度を低下させる。また、双晶形成によって粒界エネルギーが減少する。粒界エネルギーの減少は、粒界部でのボイド発生確率を減少させる。これらの効果により、エレクトロマイグレーション耐性の向上がもたらされる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0032】
(実施例1)
第1の実施例として、バリヤ膜タンタルとコリメーションスパッタで形成した銅シード層を用いた銅シード層/タンタル/酸化シリコン/シリコン基板上に電解メッキされた<511>配向銅膜(膜1)に対する結果を述べる。
【0033】
図1には、銅膜のメッキ後、210℃の目標温度により窒素ガス中で30分間熱処理を施した膜について、電子線後方散乱回折(以下では、英語名Electron back−scatter diffractionの略称であるEBSDという表現も用いる)法によって測定した結晶粒マップの一部を示した。
【0034】
なお、基板温度を100℃まで昇温後は、10℃/分の昇温速度で210℃とした。また、210℃で30分保持後は、15℃/分の降温速度で冷却した。
【0035】
EBSD測定では、個々の結晶粒の方位を測定することができ、かつ、その測定結果を用いて各結晶粒間のミスオリエンテーションを算出することができる。この技術の詳細に関しては、V.Randle著のMicrotexture Determination and Its Applications(The Institute of Materials、London、1992)を参照されたい。
【0036】
図1のすべての結晶粒間の双晶関係を調べた結果、図1に示した2測定点以上(この測定例では0.04μm2)の大きさの結晶粒では50個中46個(92%)の結晶粒が双晶関係にあることがわかった。
【0037】
図1では、隣接する結晶粒界が互いに双晶関係にある粒界を白い線で、双晶関係にない結晶粒間の粒界を黒い線で示してある。大部分の結晶粒が白い線で示された双晶境界であることがわかる。
【0038】
このような結晶粒マップから、<100>、<110>、<111>及び<511>方位の結晶粒の表面積を比較すると、この膜では、<100>配向粒0%、<110>配向粒2%、<111>配向粒20%、<511>配向粒56%、その他22%以下(この中には測定不能領域を含む。)と、<511>配向粒が支配的であった。
【0039】
(実施例2)
第2の実施例として、ロングスロースパッタシード上にメッキした<111>配向膜(膜2)に関する結果を述べる。この結果は、常温で2000時間放置後に測定したものであるが、この試料においても、図2に示された双晶境界からわかるように、ほとんどすべての大きな結晶粒は双晶を伴っている。
【0040】
しかし、この膜の場合には、<111>配向粒30%、<511>配向粒23%、<110>配向粒8%、<100>配向粒7%、その他の方位の粒32%と上述のメッキ銅膜1の場合とは異なった配向性であった。
【0041】
また、銅、タンタル、ガリウム等のイオンを注入した銅膜では、<100>配向粒が増加したが、それらの膜においても過半数の結晶粒が双晶を形成していることを確認できた。
【0042】
(実施例3)
第3の実施例として、標準的な埋め込み配線形成法を用いて製作した埋め込み配線に対する結果を図3に示す。この実施例は、幅5μmの配線に対する結果であるが、ベタ膜の場合と同様に測定された結晶粒の過半数が双晶関係にあることが確認できた。なお、埋め込み配線の場合には、ベタ膜での測定結果に比して測定できない領域(図3における最小寸法の点状の領域)が多いが、これは、化学機械研磨(CMP)法によって配線パターンを形成する際に生じた研磨傷等によると考えられる。
【0043】
(実施例4)
第4の実施例として、配線幅が平均粒径より小さい配線(幅0.56μm)の配線長方向に平行な断面での測定結果を図4に示す。この例においても、90%以上の結晶粒が双晶関係にある。配線構造は、この断面の粒界図からは擬バンブー粒界構造であるが、配線表面からの測定結果でもやはり擬バンブー粒界構造となっている。また、EBSD測定データの解析により、図1に示したような多重双晶構造が存在するとともにバンブー粒界部の多くの双晶境界は整合境界であると結論された。
【0044】
この結果は、本実施例での配線では配線途中でのボイドの発生率が減少することを示唆している。なお、図4での配線断面が一様でなくうねっているのは、EBSD測定時に配線の周囲の絶縁膜への帯電によって電子線にドリフトが生じたことによるものである。
【0045】
実施例1及び2の膜と同条件で形成した2種類のメッキ銅膜を用い、集積回路の標準的な埋め込み配線形成方法を用いて、配線幅が平均粒径よりも大きい配線(配線幅8μm)と小さい配線(配線幅0.4μm)の埋め込み配線を製作した。製作した配線を温度275℃、電流密度2MA/cm2でエレクトロマイグレーション試験を行った。その結果、表1に示したように、比較に用いたアルミ配線に比べて、太い配線では約10倍、細い配線では約2.5倍の寿命となり、いずれの膜においても高い信頼性が得られた。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例の配線を構成する結晶粒の過半数は、双晶を構成している。この結果マイグレーションに悪影響を及ぼす結晶粒界の減少をもたらし、マイグレーション耐性を向上させたものと考えられる。
【0048】
発明者らは、今回メッキ条件は一定として実施例を説明したが、メッキ条件・シードの材質及びその製造条件により膜の配向性や双晶の配向が変化することを見いだしているが、双晶の形成には大きな影響は与えないことも見いだしている。
【0049】
本実施例は、メッキ埋め込み配線を用いて説明したが、本発明は銅配線であればメッキ埋め込み配線に限るものではなく、気相堆積(CVD)法やスパッタ法等の銅膜堆積方法や、ドライエッチング等によって形成される従来型の配線に対しても適用できることは明らかである。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、信頼性の高くかつ製造コストが低い銅及び銅合金配線を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例の膜での双晶状態を示す図
【図2】 第2の実施例の膜での双晶状態を示す図
【図3】 第3の実施例の配線での双晶状態を示す図
【図4】 第4の実施例の配線での双晶状態を示す図
Claims (1)
- 過半数の結晶粒が双晶である銅あるいは銅合金からなる配線を形成する方法であって、
基板上に少なくとも銅あるいは銅を主体とする銅合金を成膜する第1工程と;
基板温度を80〜120℃に昇温した後、昇温速度を1℃/分以上50℃/分以下に制御しながら、該基板温度を180℃以上500℃以下の目標温度まで上昇させる第2工程と;
前記第2工程を終了後、前記基板を前記目標温度で5分以上10時間以下保持する第3工程と;
前記第3工程を終了後、降温速度を1℃/分以上50℃/分以下に制御しながら前記基板温度を降温させる第4工程;
とを含むことを特徴とする銅配線の形成方法。
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