JP3742142B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はIPS(イン・プレイン・スイッチング)方式の液晶表示素子(LCD)に関し、特にアクティブマトリクス型LCDの表示特性の改善(白輝度の向上と残像の軽減)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LCDは軽量・薄型・低消費電力などの特性を生かし、各種情報機器端末やビデオ機器などに使用されている。これらのLCDはTN(ツイスト・ネマチック)やSTN(スーパー・ツイスト・ネマチック)形に代表されるLCDが大部分であった。しかしこの従来のLCDは実用化されているが、視野角が比較的狭いという問題があった。
【0003】
このような点から、イン・プレイン・スイッチング(IPS:In-Plane-Switching) 方式のLCDの提案がなされている(例えば文献 JAPAN DISPLAY '92-547〜550 R.Kiefer他、“P2-30 In-Plane Switching of Nematic Liquid Crystals" )。このIPS方式のLCDは櫛歯状の電極が対向して形成された基板と、電極が形成されていない基板との間に液晶が封入された構造をしている。
【0004】
例えば図3に示すように、ガラスのような透明基板11,12の周囲がシール材13で封止固定され、これら基板11,12,シール材13によって形成された空間内にn形液晶(誘電率異方性が負の液晶)14が封入される。一方の基板12の内面に、図4Aに示すような一対の櫛歯状の電極15と16とが互いに噛み合った状態で形成され、他方の基板11には電極は形成されていない。基板11,12の各内面に配向膜17,18がそれぞれ形成され、これら配向膜17,18はそれぞれ、電極15,16の各歯の長手方向と直交する方向に配向処理がなされている。その配向方向をそれぞれ矢印19,20で示す。従って液晶14の液晶分子14aの長軸は電極15,16の各歯の長手方向と直角な方向で、かつ基板11,12とそれぞれ平行に配向されている。基板11,12の外面にそれぞれ偏光板21,22が形成され、一方の偏光板21の偏光方向23は配向方向19と同一とされているが、他方の偏光板22の偏光方向24は配向方向20,偏光方向23と直交する方向とされている。また電極15,16の各歯の長手方向と平行な方向で、かつ基板11,12とそれぞれ平行に配向されたp形液晶(誘電率異方性が正の液晶)でもよい。
【0005】
図3に示した電極15,16間に電圧を印加しない状態では、このLCDに入射された光はその入射側の偏光板例えば21により直線偏光とされ、その偏光方向と液晶分子14aの長軸方向とが一致しているから、偏光方向を変えられることなく液晶14を透過するため、出射側の偏光板22に達した光の偏光方向はその偏光板22の偏光方向と直交し、遮断される。
【0006】
しかし電極15,16間に電圧を印加すると、これら電極15,16の櫛歯間の電界により液晶分子14aの長軸方向が、図4Bに示すように電極の歯の長手方向と平行する方向に曲げられる。よって基板11側から入射され、偏光板21により直線偏向とされた光は液晶14を透過中に液晶14の複屈折により楕円偏光に変化し、偏光板22を透過する。
【0007】
このようなLCDにより画像を表示するには、例えば図4Aに示した一対の電極15,16を、各画素対応に設け、その一方の電極を走査電極とし、他方を信号電極として、従来の単純マトリクス(XYマトリクス)LCDと同様に表示する方法がある。他の方法として、従来のTFT(薄膜トランジスタ)アクティブマトリクスLCD(AM−LCDと言う)と同様に、図5に示すように、透明基板12の内面に各画素ごとに電極15,16と共にスイッチング素子としてTFT33を形成し、列状に形成されたソースバス35を信号電極とし、行状に形成されたゲートバス36を走査電極として、各画素を選択表示する方法がある。後者の場合電極15が画素電極、電極16が共通電極とされる。いずれの方法でも、電極15と16の各歯の間の領域が表示領域となる。なおAM−LCDではTFTのような三端子スイッチング素子以外にダイオードやバリスタ等の二端子スイッチング素子を設ける場合もある。
【0008】
このIPS方式LCDは図3に示すように、基板11,12間の真中における基板11,12と平行な面に対し、対称構造になっているため、視野角が広いと言われ、前記英文の文献において、電子計算機によるシミュレーションの結果は従来のTNやSTN形のLCDよりも視角依存性が小さいことが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のIPS方式AM−LCDでは、透明基板12の内面には各画素ごとに櫛歯状の画素電極15及び共通電極16が近接対向して形成され、これら両電極の間の表示領域の全表示画面に占める割合、つまり開口率が従来のIPS方式を用いないAM−LCDより小さいため、白輝度が低下する問題があった。
【0010】
また、従来のIPS方式AM−LCDでは、残像が非常に発生しやすいと言う問題があった。
この発明の目的は、従来のIPS方式AM−LCDの前記白輝度の低下や残像の発生を軽減させようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明は、第1,第2基板が液晶層を挟んで近接対向して配され、その第1基板の内面にブラックマトリクスが配され、第2基板の内面にスイッチング素子、画素電極及び共通電極を含む画素領域部がマトリクス状に形成されているIPS(イン・プレイン・スイッチング)方式アクティブマトリクス型の液晶表示素子に関する。請求項1では特に、ブラックマトリクスが導電材料より成り、そのブラックマトリクスと共通電極とが電気的に短絡されているものである。
【0012】
(2)請求項2の発明では、ブラックマトリクスが導電材料より成り、その内面または外面に導電膜が形成され、その導電膜と共通電極とが電気的に短絡されているものである。
(3)請求項3の発明は、前記(1)または(2)において、第1または第2基板に貼り付ける偏光板の粘着剤に導電性を付与したものである。
【0013】
(4)請求項4の発明は、前記(1)または(2)において、第1または第2基板に貼り付ける偏光板の外面または内面に導電膜が形成されているものである。
(5)請求項5の発明は、前記(1)または(2)において、第1または第2基板の外面に導電膜が形成されているものである。
【0014】
(6)請求項6の発明は、第1または第2基板に貼り付ける偏光板の構成要素が導電性を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1,図2の実施例を参照して発明の実施の形態を説明する。ただし、これらの図には図3〜図5と対応する部分に同じ符号を付け、重複説明を省略する。
この発明のAM−LCDには、透明基板11の内面の各画素間にブラックマトリクス41が形成され、カラー表示の場合は、ブラックマトリクスの網目内にR,G,Bのカラーフィルタ42が各画素と対応して形成されている。ブラックマトリクス41やカラーフィルタ42は従来から一般に使用されているものである。ブラックマトリクス41はコントラストや色純度を向上させる機能をもつ。
【0016】
ところで、IPS方式AM−LCDの前述の白輝度の低下や残像の発生しやすい問題を解決するため、種々の実験的検討を重ねた結果、ブラックマトリクス41を導電材料で形成し、そのブラックマトリクス41と共通電極16とを更に導電ペースト(一般的には導電材料)43で短絡するのが有効であることが分かった。この場合、白輝度が約5%高くなることが実験的に確かめられている。
【0017】
このようにすると、ブラックマトリクス41が共通電極16と同電位(コモン電位)になるため、従来の画素電極15の歯から共通電極16の歯に向かう方向、つまり偏光板22の配向方向24と直角の方向の横電界の他に、従来のIPS方式でない普通のAM−LCD(透明基板11の内面にほぼ一面に共通電極が形成されている)と同様に、画素電極15からその真上の透明基板11に向かう方向、つまり透明基板11,12に直角な方向の縦電界が発生するので、白輝度が高くなるものと考えられる。
【0018】
また、長時間表示したとき、配向膜17に電荷が蓄積され、残像が発生するが、この電荷は一定電圧(コモン電圧)を有するブラックマトリクス41にリークするので、残像が軽減されるものと考えられる。
ブラックマトリクス41を非導電材料で形成した場合には、図1Cに示すようにその内面(液晶側)に導電膜41aを形成し、その導電膜41aと共通電極16とを導電材料43で短絡させても同じ効果が得られる。
【0019】
図1の例では、ブラックマトリクス41と共通電極16とはシール材13の外部、つまり液晶セルの外部で短絡されているが、場合によってはセル内で短絡させることもできる。
従来のIPS方式AM−LCDでは、外部または内部からの何等かの影響を受けて、液晶セルの内外に局部的に静電気が帯電し、黒表示したとき光抜けが生ずるなど表示品位の低下する場合があったが、この発明のLCDでは、ブラックマトリクス41は一定のコモン電圧に保持されているため、外部からの電磁的な或いは静電的な影響を受けにくくなると共に、帯電した電荷がブラックマトリクスにリークするので、静電気或いはEMIによる表示品位の低下を抑える効果もある。
【0020】
上記の静電気及びEMIによる影響を防止する効果をいっそう高めるために、図2Aに示すように、偏光板21または22の粘着剤21aまたは22aにカーボン、金、銀等の導電粒子を混入させて偏光板自体に導電性を付与して、シールド板の機能をもたせることもできる。このようにすると外部からのEMIを防ぐことができると共に、外部または内部の静電気によってたとえ偏光板や透明基板が局部的に帯電したとしても、その電荷はそれらの全面に拡散され、帯電の影響が弱められる。
【0021】
図2Bは図2Aと同様の効果を得るために、偏光板21または22の外面にITOなどの透明導電膜21bまたは22bを設けることもできる。これらの透明導電膜21bまたは22bは偏光板21または22の内面に設けてもよい。
また、図2Cに示すように、透明基板11または12の外面にITOなどの透明導電膜11aまたは12aを設けても図2A,Bと同じ効果が得られる。
【0022】
また、偏光板が2枚の支持体の間に偏光素子が配されている構造では、それら一方または両方の支持体、つまり偏光板の構成要素に導電性を付与しても同じ効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明ではブラックマトリクス41が共通電極16と短絡され、一定のコモン電圧に保持されているので、IPS方式特有の横電界の他に、IPS方式でない従来のAM−LCDのように縦電界が発生することによって、それだけ白輝度を向上させることができる。
【0024】
また長時間表示したとき、配向膜17に帯電した電荷(残像となる)は一定電位のブラックマトリクスにリークするので残像を軽減させることができる。
更にブラックマトリクス41が一定電位に保持されているので、そのシールド効果によって外部からのEMIや外部または内部の静電気の影響による表示品位の低下を抑える効果もある。偏光板の外面または偏光板と透明基板との間に透明導電膜(粘着剤の場合を含む)を設けたり、偏光板の構成要素に導電性を付与した場合には、上記効果はいっそう顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の実施例を示す図で、Aは断面図、BはAのブラックマトリクス41の平面図、Cは請求項2の実施例の説明に供する要部の断面図。
【図2】A,B及びCはそれぞれ請求項3,4及び5の実施例を示す断面図。
【図3】従来のIPS方式LCDの説明に供する図で、Aは要部の分解斜視図、Bは断面図。
【図4】Aは図3の透明基板12上の電極15,16の例を示す平面図、Bは図3Bの電極15,16間に電界を印加した状態を示す断面図。
【図5】Aは図3のLCDがTFTアクティブマトリクスLCDである場合に、透明基板12の内面に形成された電極15,16を含むTFTアレイの要部の平面図、BはAのa−a′断面図。
Claims (5)
- 第1,第2基板が液晶層を挟んで近接対向して配され、その第1基板の内面にブラックマトリクスが配され、第2基板の内面にスイッチング素子、画素電極及び共通電極を含む画素領域部がマトリクス状に形成されているIPS(イン・プレイン・スイッチング)方式アクティブマトリクス型の液晶表示素子において、前記ブラックマトリクスが非導電材料より成り、その内面または外面に導電膜が形成され、その導電膜と前記共通電極とが電気的に短絡されていることを特徴とする液晶表示素子。
- 前記第1または第2基板に貼り付ける偏光板の粘着剤が導電性を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記第1または第2基板に貼り付ける偏光板の外面または内面に導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記第1または第2基板の外面に導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記第1または第2基板に貼り付ける偏光板の構成要素が導電性を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
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