JP3745815B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用自動変速機の変速切り替え装置のクラッチを切り替え作動させるピストン部等に用いられる密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の密封装置としては、例えば図2(a)に示すように自動変速機の変速切り替え装置のクラッチを切り替え作動させるピストン部に用いたものがある。
【0003】
図において、100は図示しない軸に装着するスリーブであり、スリーブ100の外周面に環状穴101と環状穴101に連通する通路102を有するハウジング103を取付けてある。
【0004】
また、スリーブ101の外周側にハウジング103と軸方向所定間隔を有してスリーブ100の外周面に取付けられた保持部材104を介して多板クラッチ105を設けてあると共に、この多板クラッチ105と環状穴101との間には、金属環106を軸方向に移動自在に配置してある。
【0005】
金属環106は、環状穴101内を軸方向に移動自在なピストン部107と多板クラッチ105を押す押圧部108とを有している。
【0006】
ピストン部107の内外周には環状穴101の内外周面に摺動自在に密封接触するシール部材としてのゴム状弾性体製のシールリップ109,110を設けてある。これにより、環状穴101とピストン部107にて圧力室Dを形成している。
【0007】
また、ピストン部107の軸方向多板クラッチ105側端部には、半径方向内方に延びる内向きフランジ部111を有しており、その内向きフランジ部111の内径端に多板クラッチ105側に向って延びる押圧部108を設けてある。
【0008】
そして、ハウジング103の通路102から圧力室Gに作用した油圧Pの上昇によって金属環106のピストン部107を介して押圧部108の端部Hが多板クラッチ105を押し、動力を伝達するようになっている。
【0009】
また、この動力の伝達を解除するために、押圧部108を多板クラッチ105から離すべくピストン部107を油圧Pの作用側に向って付勢する付勢手段としてのリターンスプリング112をガイドを介して同一円周上に複数個設けてある。
【0010】
ハウジング103の多板クラッチ105近傍の内周側には、リターンスプリング112の下部をガイドするための下部スプリングシート113を設けてあり、その軸方向の移動をストッパ114により規制してある。
【0011】
この下部スプリングシート113に対向して、図2(b)に示すようなワッシャ状のリターンスプリング112のガイドとしての上部スプリングシート115をピストン部107の内向きフランジ部111端面に設けてある。
【0012】
即ち、リターンスプリング112は上部スプリングシート115と下部スプリングシート113との間に設けてあり、リターンスプリング112の付勢力により、押圧部108を多板クラッチ105から離し、動力の伝達を解除し、金属環106を元の位置へ復帰する。
【0013】
また、リターンスプリング112のガイドとしては、図4に示すようにピストン部107の内外周に設けられるシールリップ109,110と同時一体成形したゴム状弾性体製のゴム突起116がある。このゴム突起116は、リターンスプリング112の内周部にてガイドしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したリターンスプリング112のガイドをゴム突起116とした場合には、リターンスプリング112が左右にずれ又は上下作動により、むしれ、亀裂の発生により耐久性が劣るという欠点があった。
【0015】
また、リターンスプリング112のガイドが上記したようにスプリングシート(上部スプリングシート115)の場合には、上部スプリング115に例えば図2(b),図3に示すように円ボス加工を行い、その円ボス117の外径Bをリターンスプリング112の内径Aより若干大きく加工して締めしろを持たせてリターンスプリング112を一本一本の嵌合となるため、組付性が悪くなるという欠点があった。
【0016】
尚、バネ性を有するリターンスプリング112であるため、機械的押し込みでは不可、ほとんど手組みである。
【0017】
また、耐久中に上部スプリングシート115とピストン部107の内向きフランジ部111との嵌合部が摩耗、変形等により上部スプリングシート115のずれを生じることから、リターンスプリング112のずれ、はずれが生じやすく、機能の安定を維持しにくくかった。
【0018】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、耐久性及び組付性の向上を図ると共に、機能の安定化を図り得る密封装置を提供することにある。
【0019】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にあっては、自動変速機用の変速切り替え装置のクラッチ切り替えを行うピストン部が作動する環状穴と該環状穴に連通する通路を有するハウジングと、
該ハウジングの環状穴内に軸方向に移動自在に挿入される前記ピストン部を構成する金属環を有し、
該金属環は、前記環状穴の径方向面に当接可能な圧力端壁を有する断面L字状部を備え、該L字状部から径方向外方へ形成された断面U字状部が延設され、前記L字状部の前記圧力端壁の内径端に一体的に焼き付け固定された内周シールリップ及び前記U字状部の環状穴の開口端面側の角部に一体的に焼き付け固定された外周シールリップとを一体的に設け、前記U字状部の多板クラッチ側の径方向内方に延びた内向きフランジ部の内径端部に前記ハウジングの通路からの流体圧が作用する側に向って前記金属環を付勢する付勢手段をガイドするガイドを設けるとともに、前記多板クラッチを押す押圧部を周方向複数等配に形成し、前記ガイド及び押圧部は前記金属環と一体的に設けられ略同径に位置させたことを特徴とする。
【0020】
上記構成の密封装置にあっては、ハウジングの通路からの流体圧の作用側に向って金属環を付勢する付勢手段のガイドを金属環にて一体的に構成していることから、ガイドも金属製となって強固となるため、付勢手段が左右にずれたり、上下作動によりむしれ、亀裂が発生することがない。これらから、耐久性が向上する。
【0021】
また、従来のように別体のスプリングシートに付勢手段としてのスプリングを嵌合固定した後に金属環に組付けるということがなく、付勢手段を金属環にて一体的に構成されたガイドに装着するだけで良いため、付勢手段の組付性が向上する。
【0022】
さらに、付勢手段のガイドは金属環にて一体的に構成しているため、ガイドと金属環とで嵌合部を有することがない。そのため、従来のように耐久中にガイドと金属環との嵌合部が摩耗、変形等によりガイドのずれが生じるということがない。
【0023】
従って、耐久中において付勢手段のずれ,はずれを防止することができ、機能の安定化を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施の形態に係る密封装置を従来と同様自動車等の自動変速機のピストン部に用いた要部断面図である。
【0026】
図において、1はスリーブであり、スリーブ1は図示しない回転軸に装着される。スリーブ1の上方の外周面にはハウジング2を取付けてある。
【0027】
ハウジング2は、スリーブ1の外周面から半径方向所定間隔を有して環状穴3を有しており、その環状穴3に連通する通路21を設けてある。また、環状穴3の外径側壁面31は所定長さだけ下方に延びており、その外径側壁面31とスリーブ1の外周面とで第2環状穴4を形成している。さらに、内径側壁面32は上方に延びており、通路21より内周側に環状凹部5を有している。
【0028】
第2環状穴4より下方のスリーブ1の外周側に第2環状穴4に臨むようにスリーブ1の外周面に取付けられた保持部材6を介して多板クラッチ7を設けてある。
【0029】
保持部材6は、多板クラッチ7の軸方向端部を保持する平ら状の平ら状部材61と、この平ら状部材61上面に組み付けられる多板クラッチ7の内周部を保持する断面L字状のL字状部材62とから成っており、そのL字状部材62の外周側であって、平ら状部材61の上面に多板クラッチ7を設けてある。
【0030】
そして、環状穴3内に金属環8を軸方向に移動自在に挿入してあり、この金属環8内外周と環状穴3の内外周面間をシールするシール部材としてのゴム状弾性体製のシールリップ9,10を設けてある。
【0031】
金属環8は、環状穴3の内径側に位置する断面L字状部81と外径側に位置する断面略U字状部82とから成るピストン部83と、断面略U字状部82の内径端から多板クラッチ7側に所定長さだけ延びて多板クラッチ7を押圧する押圧部84とを有している。
【0032】
断面L字状部81は、ハウジング2の通路21の開口端面22に面するワッシャ状の圧力端壁81Aと、圧力端壁81Aの外径端部から軸方向に多板クラッチ7側に向って延びる円筒部81Bとから構成している。この円筒部81Bの外径端部に半径方向内方に開口するように断面略U字状部82を設けてある。
【0033】
そして、内周シールリップ9は、断面L字状部81の圧力端壁81Aの内径端に一体的に焼付固定してある。
【0034】
この内周シールリップ9は、軸方向ハウジング2の環状凹部5側に延びて半径方向内方に向って開くように傾斜しており、リップ先端が環状穴3の内径側壁面32に摺動自在に密封接触している。
【0035】
また、外周シールリップ10は、断面略U字状部82の環状穴3の開口端面22側の角部に一体的に焼き付け固定してある。
【0036】
この外周シールリップ10は、軸方向開口端面22側に延びて半径方向外方に向って開くように傾斜しており、リップ先端が環状穴3の外径側壁面31に摺動自在に密封接触している。
【0037】
このようにして、内周シールリップ9及び外周シールリップ10を介して金属環8のピストン部83とハウジング2の環状穴3との間に圧力室Fを形成している。
【0038】
さらに、断面L字状部81の圧力端壁81Aの端面及び円筒部81Bの外周面を、ゴム状弾性材による端面及び外周被覆部11,12とによって全面を被覆しており、また断面略U字状部82の開口端面22側端面及び外周面をゴム状弾性材による端面及び外周被覆部13,14とによって全面を被覆している。
【0039】
これらから、上記内周シールリップ9と外周シールリップ10を、断面L字状部81と断面略U字状部82の端面及び内周被覆部11,13、12,14と一体成形している。
【0040】
そして、上記断面L字状部81の端面被覆部11が環状穴3の開口端面22に当接することで金属環8の軸方向の位置決めを成す。
【0041】
一方、ピストン部83の断面略U字状部82の多板クラッチ7側の半径方向内方に延びた内向きフランジ部82Aの内径端に多板クラッチ7を押す押圧部84を有している。
【0042】
この押圧部84は、ピストン部83(金属環8)移動時、その端部にて多板クラッチ7を押すように所定長さだけ多板クラッチ7側に延びており、断面略U字状部82の内向きフランジ部82Aの内径端に周方向複数等配に一体的に設けてある(図1(b)参照)。
【0043】
この押圧部84の外周側に、ハウジング2の通路21からの流体圧としての油圧Pの作用側に向ってピストン部83(金属環8)を付勢する付勢手段としてのリターンスプリング15をガイドを介して同一円周上に複数個4等配(数,位置として図2(b)参照)に設けてある。
【0044】
ハウジング2の第2環状穴4の開口端部の外径側壁面31に、リターンスプリング15の下部をガイドするためワッシャ状の下部スプリングシート16を設けてあり、その軸方向の移動をストッパ17により規制してある。
【0045】
そして、断面略U字状部82の内向きフランジ部82Aの内径端から軸方向に突出する凸状のリターンスプリング15のガイドとしてのリターンスプリングガイド18を形成している。つまり、リターンスプリングガイド18を金属環8にて一体的に構成してある。
【0046】
即ち、リターンスプリングガイド18がリターンスプリング15の上部内周部に挿入されて、その上部端面が内向きフランジ部82A端面に当接し、下部端面が下部スプリングシート16端面に当接してリターンスプリング15を設けてあり、金属環8を油圧Pの作用側に向って付勢している。
【0047】
そして、リターンスプリング15の径方向の移動においては上部は凸状のリターンスプリングガイド18で、下部は下部スプリングシート16の内径端から上方に突出する突出部16Aにて規制している。
【0048】
上記構成において、圧力室Fが低圧となっている際は、リターンスプリング15の付勢力が金属環8のピストン部83に加わっており、その端面被覆部11がハウジング2の通路21が開口する開口端面22に接触して静止している。
【0049】
また、圧力室Fに通路21を介して油圧Pが作用し、圧力が上昇すると、金属環8のピストン部83がリターンスプリング15の付勢力に抗して図1(a)中矢印C方向へ移動し、金属環8の押圧部84の端部Eにて多板クラッチ7を押し、動力を伝達させる。
【0050】
そして、動力の伝達を解除する時は、リターンスプリング18の付勢力によりピストン部83を図1(a)中矢印D方向に移動させる。これにより、元の位置へと復帰することになる。
【0051】
上記構成の密封装置にあっては、ハウジング2の通路21からの油圧Pの作用側に向って金属環8を付勢するリターンスプリング15のリターンスプリングガイド8を金属環8にて一体的に構成しているので、リターンスプリングガイド18も金属製となって強固となり、リターンスプリング15が左右にずれたり、上下作動によりむしれ、亀裂が発生することがない。これらから、耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
また、従来のように別体のスプリングシートに付勢手段としてのリターンスプリング15を嵌合固定した後に金属環8に組付けるということがなく、リターンスプリング15の内部を金属環8にて一体的に構成された凸状のリターンスプリングガイド18に挿入するだけで良いため、リターンスプリング15の組付性の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、リターンスプリングガイド18は金属環8にて一体的に構成しているので、金属環8との嵌合部を有することがない。そのため、従来のように耐久中にガイドと金属環との嵌合部が摩耗、変形等によりガイドのずれが生じるということがない。
【0054】
従って、耐久中においてリターンスプリング15のずれ,はずれを防止することができ、機能の安定化を図ることができる。
【0055】
加えて、リターンスプリングガイド18は別部材でないことから、従来に比べて部品点数を少なくでき、製造コストのダウンを図ることができる。
【0056】
尚、上記実施の形態では付勢手段としてのリターンスプリング15のガイドとして、凸状のものを例にとって説明したが、凸状に限らず、図1(c)に示すように、従来で示したリターンスプリング15の上部が嵌合される環状凹部を有する上部スプリングシート18Aを内向きフランジ部82Aの内径端に一体的に型成形等にて設けても良い。この場合、組付性は若干劣るが、ガイド性は向上する。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にあっては、ハウジングの通路からの流体圧の作用側に向って金属環を付勢する付勢手段のガイドを金属環にて一体的に構成しているので、ガイドも金属製となって強固となり、付勢手段が左右にずれたり、上下作動によりむしれ、亀裂が発生することがない。これらから、耐久性の向上を図ることができる。
【0058】
また、従来のように別体のスプリングシートに付勢手段としてのスプリングを嵌合固定した後に金属環に組付けるということがなく、付勢手段を金属環にて一体的に構成されたガイドに装着するだけで良いので、付勢手段の組付性の向上を図ることができる。その結果、装置の組付性の向上を図ることができる。
【0059】
さらに、付勢手段のガイドは金属環にて一体的に構成しているので、ガイドと金属環とで嵌合部を有することがない。そのため、従来のように耐久中にガイドと金属環との嵌合部が摩耗、変形等によりガイドのずれが生じるということがない。
【0060】
従って、耐久中において付勢手段のずれ,はずれを防止することができ、機能の安定化を図ることができる。
【0061】
加えて、ガイドは別部材でないことから、従来に比べて部品点数を少なくでき、製造コストのダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の一実施の形態に係る密封装置の半断面図であり、同図(b)は同図(a)の金属環部の破断斜視図であり、同図(c)はリターンガイドの他の態様のリターンガイドを示す要部断面図である。
【図2】図2(a)は従来の密封装置の半断面図であり、同図(b)は上部スプリングシートの平面図である。
【図3】図3は円ボス加工を示す上部スプリングシートの平面図である。
【図4】図4は他の従来の密封装置の金属環部の破断斜視図である。
【符号の説明】
1 スリーブ
2 ハウジング
21 通路
22 開口端面
3 環状穴
31 外径側壁面
32 内径側壁面
4 第2環状穴
5 環状凹部
6 保持部材
61 平ら状部材
62 L字状部材
7 多板クラッチ
8 金属環
81 断面L状部
81A 圧力端壁
81B 円筒部
82 断面略U字状部
82A 内向きフランジ部
83 ピストン部
84 押圧部
9 内周シールリップ(シール部材)
10 外周シールリップ(シール部材)
11,13 端面被覆部
12,14 外周被覆部
15 リターンスプリング(付勢手段)
16 下部スプリングシート
17 ストッパ
18 リターンスプリングガイド(ガイド)
18A 上部スプリングシート(ガイド)
Claims (1)
- 自動変速機用の変速切り替え装置のクラッチ切り替えを行うピストン部が作動する環状穴と該環状穴に連通する通路を有するハウジングと、
該ハウジングの環状穴内に軸方向に移動自在に挿入される前記ピストン部を構成する金属環を有し、
該金属環は、前記環状穴の径方向面に当接可能な圧力端壁を有する断面L字状部を備え、該L字状部から径方向外方へ形成された断面U字状部が延設され、前記L字状部の前記圧力端壁の内径端に一体的に焼き付け固定された内周シールリップ及び前記U字状部の環状穴の開口端面側の角部に一体的に焼き付け固定された外周シールリップとを一体的に設け、前記U字状部の多板クラッチ側の径方向内方に延びた内向きフランジ部の内径端部に前記ハウジングの通路からの流体圧が作用する側に向って前記金属環を付勢する付勢手段をガイドするガイドを設けるとともに、前記多板クラッチを押す押圧部を周方向複数等配に形成し、前記ガイド及び押圧部は前記金属環と一体的に設けられ略同径に位置させたことを特徴とする密封装置。
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