JP3759101B2 - 型枠の支持構造及びコンクリートの施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば現に供用されている橋梁における橋桁など、振動を受ける鋼桁をコンクリートで被覆する場合に用いられる型枠の支持構造及びコンクリートの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の型枠の支持構造としては、例えば橋梁の主桁たる鋼部材をコンクリートで被覆するための型枠を支持する支保工であって、地面等によって支持されるものが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
そして、この型枠の支持構造は、近年における建設工事の複雑化及び高度化や、周辺環境への影響に対する配慮の必要性の増大などに伴い、現に供用されている橋梁の橋桁たる主桁をコンクリートで被覆する場合にも用いられている。
【0003】
【非特許文献1】
土木学会編,「土木工学ハンドブックI」,第四版,技報堂出版,1993年11月20日,p.1246
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の型枠の支持構造では、コンクリートで被覆すべき主桁が交通振動等を受けることとなっているのに対して、その振動を受ける鋼部材をコンクリートで被覆するための型枠は地面等の不動点によって支持されていることから、鋼部材と型枠との振動差が大きくなってしまい、振動を受ける鋼部材とコンクリートとを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られないという問題がある。
すなわち、従来の型枠の支持構造では、型枠は殆ど振動しておらず鋼部材のみが振動している状況となっており、かかる状況の下において型枠内にコンクリートを打ち込んでも、鋼部材の周辺に空隙が生じてしまい、振動を受ける鋼部材とコンクリートとの間で必要な付着強度が確保できないこととなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、振動を受ける鋼桁とコンクリートとを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られるように、鋼桁と型枠との振動差を小さくできる型枠の支持構造及びコンクリートの施工方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る型枠の支持構造は、現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するための型枠を支持する型枠の支持構造であって、型枠は、振動する鋼桁に剛接合によって固定され、該鋼桁によってのみ支持されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る他の型枠の支持構造は、現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するための型枠を支持する型枠の支持構造であって、型枠は、前記車両の走行方向に所定間隔で切り離され、切り離された位置の近傍で前記鋼桁によってのみ支持される各型枠片からなり、隣り合う前記型枠片どうしが伸縮継手で連結されていることを特徴としている。
【0008】
これらの型枠の支持構造によれば、振動を受ける鋼桁をコンクリートで被覆するための型枠をその振動を受ける鋼桁に剛接合によって固定し、この鋼桁からのみ支持しているので、型枠についても、鋼桁と同様、振動を受けることとなり、鋼桁と型枠との振動差を小さくできる。
【0009】
したがって、これによれば、型枠内にコンクリートを打ち込むと、凝結の進行に伴い鋼桁からコンクリートへの振動の伝達が確実に行われることとなり、その結果、振動を受ける鋼桁とコンクリートとが十分に付着することとなり、振動を受ける鋼桁とコンクリートとを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られる。
【0010】
一方、本発明に係るコンクリートの施工方法は、現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するため振動する鋼桁に剛接合によって固定し、この鋼桁によってのみ支持した型枠内にコンクリートを打ち込むことを特徴としている。
【0011】
このコンクリートの施工方法によれば、振動を受ける鋼桁に剛接合によって固定し、この鋼桁からのみ支持した型枠内にコンクリートを打ち込み、これを硬化させることとしたので、凝結の進行に伴い鋼桁からコンクリートへの振動の伝達が確実に行われることとなり、その結果、振動を受ける鋼桁とコンクリートとが十分に付着することとなり、振動を受ける鋼桁とコンクリートとを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
なお、ここでは、鉄道4の仮設橋梁における振動する部材である鋼桁がコンクリートで被覆されることにより本設橋梁におけるコンクリート桁として使用される場合について説明するが、適用箇所は鉄道の構造物に限られるものではなく,振動する部材をコンクリートで被覆する場合にはすべて、本発明が効果をもたらす。例えば,道路の本設橋梁における振動する部材である鋼桁がコンクリートで被覆されることにより本設橋梁におけるコンクリート桁として使用される場合などでも、以下の説明が妥当する。
【0014】
[型枠の支持構造]
図1は本発明の一実施の形態に係る型枠の支持構造の全体構成を示す断面図、図2は同型枠の支持構造の概略構成を示す斜視図である。
【0015】
本実施の形態において、型枠の支持構造は、図1に示すように、現に供用されている鉄道4の仮設橋梁における振動する部材である主桁1a及び枕木受桁1bからなる鋼部材1をコンクリート3(図3(c)参照、以下同じ)で被覆するための型枠2を支持する目的に用いられる。
【0016】
以下、主桁1a、枕木受桁1b、型枠2、型枠の支持構造についてさらに詳細に説明する。
【0017】
(1)主桁1a
仮設橋梁においては、図1に示すように、鉄道車両(図示外)がレール41上を走行することにより生じた振動エネルギーが、レール41から枕木42、枕木受桁1b及び桁受用ブラケット51を通じて主桁1aへと伝達される。
【0018】
すなわち、主桁1aは、振動する部材として構成されている。
【0019】
加えて、主桁1aのうち後記する補強桁12は、本設橋梁においては、コンクリート桁において圧縮力には強いが引張力には弱いコンクリート3の弱点を補う役割を果たすものとして構成されている。
【0020】
すなわち、主桁1aがコンクリート3で被覆されることにより、両者間の付着力により一体化した複合構造である本設橋梁におけるコンクリート桁が構築されることとなっている。
【0021】
具体的には、この主桁1aは、同図に示すように、ほぼI形鋼からなる工事桁11と、下側フランジの幅の方が上側フランジの幅よりも大きいI形鋼からなり、工事桁11の下側にボルト接合される補強桁12とからなるものとして構成されている。
【0022】
(2)枕木受桁1b
仮設橋梁においては、図1に示すように、鉄道4車両がレール41上を走行することにより生じた振動エネルギーが、レール41から枕木42を通じて枕木受桁1bへと伝達される。
【0023】
すなわち、枕木受桁1bは、振動する部材として構成されている。
【0024】
加えて、枕木受桁1bは、本設橋梁においては、コンクリートスラブにおいて圧縮力には強いが引張力には弱いコンクリート3の弱点を補う役割を果たすものとして構成されている。
【0025】
すなわち、枕木受桁1bがコンクリート3で被覆されることにより、両者間の付着力により一体化した複合構造である本設橋梁におけるコンクリートスラブが構築されることとなっている。
【0026】
(3)型枠2
型枠2は、図1に示すように、主桁1a及び枕木受桁1bからなる鋼部材1をコンクリート3で被覆するために用いられるものであり、本設橋梁におけるコンクリート桁及びコンクリートスラブからなるコンクリート構造物の位置、形状及び寸法が正確に確保し得るよう配置されるものとして構成されている。
【0027】
すなわち、このような型枠2によれば、コンクリート3を打ち込むことにより、主桁1a及び枕木受桁1bからなる鋼部材1がコンクリート3で被覆されることとなり、これにより、所定の形状・寸法をもつ本設橋梁におけるコンクリート構造物がつくられることとなっている。
【0028】
具体的には、型枠2は、同図に示すように、桁用型枠21と、スラブ用型枠22と、勾配型枠23とからなっている。そして、桁用型枠21は、主桁1aの上部に対応して配置される上段型枠21aと、主桁1aの下部に対応して配置される下段型枠21bとからなっている。
ここで、桁用型枠21は、図2に示すように、異なる振動をする主桁1aの各部分別に切り離され、各部分によってのみ支持される各型枠片2aと、各型枠片2aどうしを連結するための伸縮継手24とからなることを特徴とする型枠の支持構造。
【0029】
一方、スラブ用型枠22は、枕木受桁1bによって支持されるものとして構成されている。
【0030】
(4)型枠の支持構造
本実施の形態において、型枠の支持構造は、主桁1a及び枕木受桁1bからなる鋼部材1をコンクリート3で被覆するための型枠2を支持する役割を果たすものとして構成されている。
【0031】
そして、この型枠の支持構造においては、型枠2は、鋼部材1によってのみ固定状態に支持されるものとして構成されている。換言すれば、この型枠の支持構造においては、型枠2は鋼部材1以外の部材によっては固定状態に支持されていないものとして構成されている。
【0032】
すなわち、一方では、桁用型枠21が、主桁1aによってのみ支持されている。
【0033】
また、他方では、スラブ用型枠22が、枕木受桁1bによってのみ支持されている。
【0034】
ここで、桁用型枠21の各型枠片2aは、異なる振動をする主桁1aの各部分によってのみ固定状態に支持されている。換言すれば、この型枠の支持構造においては、各型枠片2aは、異なる振動をする主桁1aの各部分以外の部分によっては固定状態に支持されていない。
【0035】
すなわち、型枠2は、鋼部材1に対して移動及び回転において拘束があることとなり、これにより、鉄道4車両の走行時に鋼部材1に伝達される振動エネルギーが型枠2にも伝達されることとなっている。
【0036】
具体的には、この型枠の支持構造は、上段型枠21aを工事桁11桁によってのみ支持するための工事桁用支持手段と、スラブ用型枠22を枕木受桁1bによってのみ支持するためのスラブ用支持手段と、下段型枠21bを補強桁12によってのみ支持するための補強桁用支持手段とを備えるものとして構成されている。
【0037】
工事桁用支持手段は、工事桁11の上側フランジに設けられ、上段型枠21aを支持するための工事桁用支持アーム61と、上段型枠21aから工事桁11側に張り出され、工事桁11によって支持されるための工事桁用被支持アーム71と、工事桁11から上段型枠21a側に張り出され、上段型枠21aを支持するための補強桁用支持アーム62と、上段型枠21aから工事桁11側に張り出され、工事桁11によって支持されるための補強桁用被支持アーム72とからなっている。
【0038】
また、このスラブ用支持手段は、枕木受桁1bの下側フランジに設けられ、スラブ用型枠22を支持するためのスラブ用支持アーム81と、スラブ用型枠22から枕木受桁1b側に張り出され、枕木受桁1bによって支持されるためのスラブ用被支持アーム91とからなっている。
【0039】
さらに、補強桁用支持手段は、補強桁12から下段型枠21b側に張り出され、下段型枠21bを支持するための補強桁用支持アーム62と、下段型枠21bから補強桁12側に張り出され、補強桁12によって支持されるための補強桁用被支持アーム72とからなっている。
【0040】
つまり、補強桁用支持手段によれば、上段型枠21a及び下段型枠21bを補強桁12に載置することが可能となっており、これにより、上段型枠21a及び下段型枠21bを補強桁12のみに支持させる施工の困難さが相当に解消されることとなり、その結果、迅速かつ安価な施工が担保されることとなっている。
【0041】
上記したように、このような型枠の支持構造によれば、振動を受ける鋼部材1をコンクリート3で被覆するための型枠2をその振動を受ける鋼部材1からのみ支持することとしているので、型枠2についても、鋼部材1と同様、振動を受けることとなり、その結果、鋼部材1と型枠2との振動差をかなり小さくできることとなっている。
【0042】
したがって、これによれば、型枠2内にコンクリート3を打ち込むと、凝結の進行に伴い鋼部材1からコンクリート3への振動の伝達が確実に行われることとなり、その結果、鋼部材1とコンクリート3とが十分に付着することとなり、振動を受ける鋼部材1とコンクリート3とを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られる。
【0043】
[コンクリートの施工方法]
図3は本発明の一実施の形態に係るコンクリートの施工方法を説明する施工手順図である。
【0044】
本実施の形態において、コンクリートの施工方法は、上記したような型枠の支持構造を用いて行うものであり、現に供用されている鉄道4の仮設橋梁における主桁1aをコンクリート3で被覆する方法として構成されている。
【0045】
そして、このコンクリートの施工方法は、図3(a)に示す補強桁接合工程と、図3(b)に示す型枠2組立工程と、図3(c)に示すコンクリート打込工程との各工程により構成されている。以下、図3を用いて、各工程について説明する。
【0046】
(1)補強桁接合工程
これは、工事桁11の下側に対して補強桁12をボルト接合により取り付ける工程である。
【0047】
(2)型枠組立工程
これは、振動する鋼部材1をコンクリート3で被覆するための型枠2を組み立てる工程である。
【0048】
具体的には、補強桁用被支持アーム72のフックをあらかじめ補強桁用支持アーム62に固着したボルトに掛けることにより、加えて、工事桁用被支持アーム71を工事桁11の上側フランジに載置することにより、桁用型枠21が主桁1aに載置されることとなり、これにより、主桁1aに対して桁用型枠21が位置決めされることとなる。
【0049】
続いて、工事桁用被支持アーム71を工事桁用支持アーム61にボルトにより剛接合することにより、位置決めされている桁用型枠21が主桁1aによって固定状態に支持されることとなる。
【0050】
このとき、桁用型枠21が主桁1aに対して位置決めされている状態において、桁用型枠21を主桁1aに剛接合によって固定することが可能となっており、これにより、桁用型枠21を振動する主桁1aのみに支持させる施工の困難さが相当に解消される。
【0051】
一方、スラブ用被支持アーム91をスラブ用支持アーム81にボルトにより剛接合することにより、スラブ用型枠22が枕木受桁1bによって吊り下げられ固定状態に支持されることとなる。
【0052】
(3)コンクリート打込工程
これは、振動する鋼部材1によってのみ支持した型枠2内にコンクリート3を打ち込む工程である。
【0053】
具体的には、コンクリート3を型枠2の隅々まで充填しながら打ち込むことにより、コンクリート3の材料分離が防止されることとなり、これにより、耐久性及び水密性の高いコンクリート3が得られる。
本実施の形態においては、入念な締め固め作業が困難という施工上の制約条件があることから、コンクリート3としては、締め固めのほとんど必要ない高流動コンクリート又は締め固めの全く必要ない自己充填コンクリートを用いている。
【0054】
ここで、コンクリート打込工程は、打ち込んだコンクリート3を硬化させる工程を含むものとして構成されている。
【0055】
具体的には、打ち込んだコンクリート3は、凝結の進行に伴い鋼部材1からコンクリート3への振動の伝達が確実に行われることとなり、その結果、振動を受ける鋼部材1とコンクリート3とが十分に付着する。
【0056】
このようなコンクリートの施工方法により、振動を受ける鋼部材1とコンクリート3とを一体化した複合構造が得られることとなる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、振動を受ける鋼桁とコンクリートとが十分に付着することとなり、振動を受ける鋼桁とコンクリートとを一体化した複合構造が確実かつ十分に得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る型枠の支持構造の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る型枠の支持構造の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るコンクリートの施工方法を説明する施工手順図である。
【符号の説明】
1 鋼部材
1a 主桁
1b 枕木受桁
2 型枠
2a 型枠片
3 コンクリート
4 鉄道
11 工事桁
12 補強桁
21 桁用型枠
21a 上段型枠
21b 下段型枠
22 スラブ用型枠
23 勾配型枠
24 伸縮継手
41 レール
42 枕木
51 桁受用ブラケット
61 工事桁用支持アーム
62 補強桁用支持アーム
71 工事桁用被支持アーム
72 補強桁用被支持アーム
81 スラブ用支持アーム
91 スラブ用被支持アーム
Claims (3)
- 現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するための型枠を支持する型枠の支持構造であって、
前記型枠は、前記鋼桁に剛接合によって固定され、該鋼桁によってのみ支持されていることを特徴とする型枠の支持構造。 - 現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するための型枠を支持する型枠の支持構造であって、
前記型枠は、前記車両の走行方向に所定間隔で切り離され、切り離された位置の近傍で前記鋼桁によってのみ支持される各型枠片からなり、
隣り合う前記型枠片どうしが伸縮継手で連結されていることを特徴とする型枠の支持構造。 - 現に供用されている橋梁において車両が走行することにより振動する鋼桁をコンクリートで被覆するため該鋼桁に剛接合によって固定し、該鋼桁によってのみ支持した型枠内にコンクリートを打ち込むことを特徴とするコンクリートの施工方法。
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