JP3797147B2 - メタクリル酸製造用触媒の保存方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン、イソ酪酸などのメタクリル酸原料を気相接触酸化反応させてメタクリル酸を製造する際に用いる、メタクリル酸製造用触媒の保存方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、メタクロレイン等の気相接触酸化によるメタクリル酸の製造に用いる触媒としては、ヘテロポリ酸やその塩からなるものが有効であることが知られており、これまでに、その組成、構造、物性等や、製造方法に関し、多くの報告がなされている(例えば、触媒の表面積については、特開昭50−37710号公報等触媒の細孔については、特開昭55−73347号公報、特開昭60−239439号公報、特開平4−367737号公報等、触媒製造における成形法については、特開昭63−315148号公報、特開平8−10621号公報、特開平10−258233号公報等、触媒製造における焼成法については、特開昭57−165040号公報、特開昭59−66349号公報、特開昭59−69148号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の触媒では、活性や選択性等の触媒性能の再現性が十分でなく、メタクリル酸製造の際、満足できる転化率や選択率が得られないことがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、上記活性や選択率等の振れが、触媒を製造して使用するまでの保存時の吸湿に起因することを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、メタクリル酸製造用触媒を25℃における透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器内で保存することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒を保存する方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明が保存の対象とするメタクリル酸製造用触媒は、リンおよびモリブデンを含むものであり、好ましくは、一般式(I)
PaMobVcXdYeOf (I)
(式中、P、Mo、VおよびOはそれぞれリン、モリブデン、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタンおよびセリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を表す。a、b、c、d、eおよびfはそれぞれP、Mo、V、X、YおよびOの原子比を表し、b=12としたとき、a、c、dおよびeはそれぞれ独立して0を越える3以下の値であり、fは酸素以外の各元素の酸化状態および原子比によって定まる値である。)
で示される組成を有するケギン型ヘテロポリ酸塩からなるものである。中でも、X元素としてセシウムを必須とするものが好ましく、また、Y元素として銅とアンチモンを必須とするものが好ましい。
【0007】
本発明では、上記触媒の保存を、25℃における透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器を用いて行う。該透湿度が1.0g/m2・24hを越えると、保存時に触媒が吸湿しやすく、保存後の触媒が活性や選択性の点で十分でない。該透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器としては、例えば、金属缶、アルミラミネートフィルム製の袋、LCP(液晶ポリマー)フィルム製の袋等が挙げられる。該透湿度は、JIS Z0208に従って測定することができる。
【0008】
なお、該透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器の内袋として、さらに該透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器を用いたり、該透湿度が1.0g/m2・24hを越える容器を用いたりすることもできる。また、該透湿度が1.0g/m2・24hを越える容器の内袋として、該透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器を用いることもできる。これら内袋は、必要に応じて複数用いてもよい。
【0009】
保存後の触媒の含水率は、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。また、保存後の触媒の含水率と保存前の触媒の含水率との差(前者−後者)は、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0010】
上記保存方法は、長期間、例えば1年以上の保存にも適用することができるし、温度や湿度が比較的高い場所での保存にも適用することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、触媒の含水率は、触媒を300℃にて1時間熱処理し、熱処理前後の触媒の重量を測定し、以下の式により算出した。
含水率(重量%)=(1−熱処理後の触媒重量/熱処理前の触媒重量)×100
【0012】
参考例
40℃に加熱したイオン交換水224gに、硝酸セシウム38.2g、硝酸銅(II)3水和物10.2g、85重量%リン酸24.2gおよび70重量%硝酸25.2gを溶解した(これをA液と称する)。40℃に加熱したイオン交換水330gに、モリブデン酸アンモニウム4水和物297gを溶解した後、メタバナジン酸アンモニウム8.19gを懸濁させた(これをB液と称する)。このB液の中に、撹拌下、A液を滴下した後、三酸化アンチモン10.2gを加え、密封容器中で120℃にて17時間撹拌した。
【0013】
このスラリーを、ステンレス製バットにとり、電気炉中で120℃にて、乾燥した。得られた乾燥物はドーソン型のヘテロポリ酸塩の構造を有していた。この乾燥物を粒径1000μm以下に粉砕し、成形助剤および水を加えて混練し、直径5mm、高さ5mmの円柱状に押出成形した。この成形体を、90℃にて乾燥後、空気気流中で320℃にて3時間、窒素気流中で435℃にて3時間、次いで空気気流中で390℃にて3時間焼成し、触媒を得た。この触媒は、P1.5Mo12V0.5Cs1.4Cu0.3Sb0.5の組成を有するものであり、この組成に対応して酸素(O)が存在する。
【0014】
ただちに、この触媒9mlを、内径15mmのガラス製反応管に充填し、メタクロレイン4容量%、酸素12容量%、水蒸気16容量%、残りが窒素からなる組成の原料ガスを、空間速度(標準状態基準)670h-1で反応管に通し、温度290℃にてメタクロレインの酸化反応を行った。その結果、メタクロレイン転化率およびメタクリル酸選択率は、表1に示すとおりであった。
【0015】
実施例1
参考例により得られた触媒を、25℃における透湿度が0.1g/m2・24hである厚さ0.1mmのアルミラミネートフィルム製の袋[(株)生産日本社製、ラミジップ]に入れて密閉した後、相対湿度80%の雰囲気下に、温度40℃にて100時間保存した。保存後、袋から触媒を取り出し、含水率を測定し、また参考例と同様の方法でメタクロレインの酸化反応を行った。結果を表1に示す。
【0016】
実施例2
参考例により得られた触媒を、25℃における透湿度が0.7g/m2・24hである厚さ25μmのLCP(液晶ポリエステル)フィルム製の袋に入れて密閉した後、相対湿度80%の雰囲気下に、温度40℃にて100時間保存した。保存後、袋から触媒を取り出し、含水率を測定し、また参考例と同様の方法でメタクロレインの酸化反応を行った。結果を表1に示す。
【0017】
実施例3
参考例により得られた触媒を、25℃における透湿度が1.3g/m2・24hである厚さ0.1mmのポリエチレンフィルム製の袋に入れて密閉したものを、透湿度が測定下限以下である金属缶[日本鉄缶(株)製、18L被蓋缶]に入れて密閉した後、常温、常圧にて1年間保存した。保存後、袋から触媒を取り出し、含水率を測定し、また参考例と同様の方法でメタクロレインの酸化反応を行った。結果を表1に示す。
【0018】
比較例1
参考例により得られた触媒を、25℃における透湿度が1.3g/m2・24hである厚さ0.1mmのポリエチレンフィルム製の袋に入れて密閉した後、常温、常圧にて1年間保存した。保存後、袋から触媒を取り出し、含水率を測定し、また参考例と同様の方法でメタクロレインの酸化反応を行った。結果を表1に示す。
【0019】
比較例2
参考例により得られた触媒を、25℃における透湿度が1.3g/m2・24hである厚さ0.1mmのポリエチレンフィルム製の袋に入れて密閉したものを、ファイバードラムに入れて密閉した後、常温、常圧にて1年間保存した。保存後、袋から触媒を取り出し、含水率を測定し、また参考例と同様の方法でメタクロレインの酸化反応を行った。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、メタクリル酸製造用触媒を、その活性および選択性の低下が抑制された状態で保存することができる。
Claims (4)
- リンおよびモリブデンを含むメタクリル酸製造用触媒を、25℃における透湿度が1.0g/m2・24h以下である容器内で保存することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の保存方法。
- メタクリル酸製造用触媒が、一般式(I)
PaMobVcXdYeOf (I)
(式中、P、Mo、VおよびOはそれぞれリン、モリブデン、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタンおよびセリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を表す。a、b、c、d、eおよびfはそれぞれP、Mo、V、X、YおよびOの原子比を表し、b=12としたとき、a、c、dおよびeはそれぞれ独立して0を越える3以下の値であり、fは酸素以外の各元素の酸化状態および原子比によって定まる値である。)
で示される組成を有するヘテロポリ酸塩からなるものである請求項1記載の保存方法。 - 保存後の触媒の含水率が3重量%以下である請求項1または2に記載の保存方法。
- 保存後の触媒の含水率と保存前の触媒の含水率との差が3重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の保存方法。
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