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JP3799648B2 - ガラス繊維用集束剤 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂に分散混合して、その樹脂を補強するガラス繊維に施される集束剤及びそれを付与した補強用ガラスチョップドストランドと、これを用いて得られた繊維強化熱可塑性樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形体の物性改良を目的として、補強ガラス繊維と、熱可塑性樹脂との界面を改質するような、各種ガラス繊維用集束剤が提案されている。例えば、様々なイソシアネートとポリオールから合成されるポリウレタン樹脂を含有するガラス繊維用処理剤が、一般的に知られている。
また、特開昭55−52340号公報のように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のような多官能性エポキシ化合物を含有した、主に熱可塑性ポリエステル樹脂補強用のガラス繊維用処理剤が開示されており、また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いた例も公知の手法として報告されている。
更に、成形品特性値の改良を主目的として、アクリル系共重合樹脂を用いたガラス繊維用処理剤も検討されており、特開平7−223846号公報のように、アクリル系共重合体とエポキシ樹脂の縮合反応物を用いた例などが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の集束剤には次のような問題点が存在した.
まず、ポリウレタン樹脂を用いた集束剤は造膜性に優れる為、この集束剤で処理したガラス繊維は集束性に優れ、コンパウンディング等工程中での毛羽の発生量が少ない反面、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂の補強材として用いた場合に、充分な耐水強度を有する繊維補強樹脂体が得られないという問題を有している。
また、エポキシ系樹脂を用いた集束剤は、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂の補強材として用いた場合に、ポリウレタン樹脂に比べ良好な耐水強度を有する繊維補強樹脂体が得られるが、ガラス繊維は集束性に劣るという問題を有している。
次に、アクリル系樹脂を用いた集束剤も、エポキシと同様の長所、短所を有しており、実用面での問題を有している。
【0004】
そこで、上記のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂のガラス繊維の集束性の問題を改良する為に、ポリウレタン樹脂を混合して使用する方法が提案されているが、この方法では、エポキシ、アクリルを用いた物に比べ、繊維補強樹脂体の耐水強度が低下するということが確認されている。
したがって、本発明の目的は、これらの課題を解決し、集束性に優れ、かつ熱可塑性樹脂、特にナイロン系樹脂の補強材として用いた場合、機械的特性、特に耐水強度が高い繊維補強樹脂成形体を与えることができるガラス繊維集束剤及びそれを付与した補強用ガラス繊維を提供する事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、集束剤中に式1に示すポリカルボジイミド樹脂を配合し、従来の集束剤の成分と組み合わせ混合して使用することによりこれらの課題を解決した。
【0006】
【式1】
Figure 0003799648
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス繊維用集束剤は、ポリカルボジイミド樹脂1〜5重量%、ポリウレタン樹脂1〜5重量%、シランカップリング剤0.1〜1重量%、潤滑剤0.01〜0.5重量%、そして必要に応じて水酸基及び/ 又はカルボキシル基を有するアクリル系共重合体またはメタクリル系共重合体、もしくはマレイン系共重合体1〜10重量%を水に希釈して全重量を100重量%とした組成を特徴とする。
【0008】
また、本発明の補強用ガラス繊維は、熱可塑性樹脂に含浸させる補強用ガラス繊維において、上記集束剤が固形分として0.2〜3重量%付与されている事を特徴とする。
以下、本発明について、具体例をあげて説明する。
本発明に使用されるポリカルボジイミド樹脂は、式1に示すカルボジイミド基を持ち、部分的にポリオールセグメントを持つ事で水溶化された樹脂である。Rの部分は、ウレタン骨格を持ち、カルボジイミドの当量は250〜600程度のものが好ましく、分子量は3000〜10000程度が好ましい。
【0009】
次に、本発明に有効なポリウレタン樹脂は、ガラス繊維の集束剤として一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えばXDI、HMDI、IPDI等のイソシアネートとポリエステル系、ポリエーテル系のジオールから合成されるものが良く使用される。
本発明に用いられるアクリル酸ホモポリマーは、式2の構造を有する。
【0010】
【式2】
Figure 0003799648
式中のXは、水素原子またはメチルもしくは炭素原子1−10個を有するアルキル基であるが、水素原子のものが好ましい。分子量は1,000−90,000で、好ましくは1,000−25,000である。
【0011】
ポリアクリル酸の塩は、第一級、第二級または、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、グリシン等があげられ、中和度は約20〜90%の範囲とすることが出来る。20%以下では、ポリアクリル酸と他の併用薬剤(特にシランカップリング剤)との混合溶液安定性が不安定となる。また、アミン臭を考えると、40%〜60%が好ましい。
ポリアクリル酸の分子量は、約3000〜50000くらいの範囲であれば特に限定されるものではない。分子量が3000以下ではガラス集束性の低下、50000以上では成形品特性値の低下が始まる。
また、本発明に用いられる水酸基及び/ 又はカルボキシル基を有するアクリル系共重合体またはメタクリル系共重合体は、式3の構造式を有する。
【0012】
【式3】
Figure 0003799648
式中のXは、水素原子またはメチルであるが、水素原子のものが好ましい。また、Rは通常、水素原子、もしくは、中和剤である第一級〜第三級アミンのいずれかであるが、約50%程度までならば、メチル基等で置換されたいわゆる部分エステル変性であっても構わない。n:mは2:8−10.0:であり、好ましくは、n:mは5:5−10:0である。
【0013】
この様なアクリル系共重合体またはメタクリル系共重合体としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の水酸基、カルボキシル基を有するモノマーのうち1種類又は2種類を含有し、更にこれらのエステル系モノマーを1種類以上含有するものが使用できる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ- アミノプロピルトリエトキシシラン、N- β- (アミノエチル)- γ- アミノプロピルトリメトキシン、 N- β- (アミノエチル)- N′- β- (アミノエチル)- γ- アミノプトリメトキシシランのようなアミノシラン類を中心として、エポキシシラン類、ビニルシラン類、メルカプトシラン類等から選ばれた1つ以上が好ましく用いられる。
【0014】
また、潤滑剤としては目的に適した通常液体又は固体の任意の滑剤材料を使用する事が出来る。例えば、カルナウバワックス、ラノリンといった植物、鉱物系ワックス、また、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルまたはエーテル、芳香族系エステルまたはエーテルといった界面活性剤が用いられる。
本発明の集束剤は、それぞれ固形分として、ポリカルボジイミド樹脂1〜5重量%、ポリウレタン樹脂1〜5重量%、また、必要に応じてアクリル酸モノマーのホモポリマー、もしくは水酸基及び/ 又はカルボキシル基を有するアクリル系共重合体またはメタクリル系共重合体1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%と活性アミノ基を主鎖骨格にもつ反応型ポリウレタン樹脂1〜5重量%、好ましくは2〜4重量%、シランカップリング剤0.1〜1重量%、潤滑剤0.01〜0.5重量%を水に希釈して全重量を100重量%としてガラス繊維用集束剤を調製する。
【0015】
上記において、ポリカルボジイミド樹脂の配合量が1重量%未満では、繊維補強樹脂成形体の機械的強度の低下が問題となり、また、5重量%を超えても、ガラス繊維の集束性や繊維補強樹脂成形体の機械的強度の更なる向上は確認できない。また、ポリウレタン樹脂の配合量が1重量%未満ではガラス繊維の集束性低下が生じ、5重量%を超えても更なる集束性向上効果はみられず、かえって繊維補強樹脂成形体の機械的強度の低下が問題となる。
次に、アクリル系共重合体またはメタクリル系共重合体の配合量が1重量%未満では、耐水強度を必要とする分野においては、吸水時の繊維補強樹脂成形体の機械的強度が低下するという問題があり、10重量%を超えると、ガラス繊維の集束性低下、繊維補強樹脂成形体の色調、外観、表面平滑性が低下するという問題を生ずる。
【0016】
次に、集束剤中におけるシランカップリング剤の配合量が0.1 重量%未満では、ガラス繊維の集束性及び繊維補強樹脂成形体の機械的強度の低下が問題となり、1重量%を超えても、ガラス繊維の集束性や繊維補強樹脂成形体の機械的強度の更なる向上は確認できない。
更に、本発明の集束剤中における潤滑剤の配合量が、0.01重量%未満では、充分な潤滑性が得られないという問題があり、1重量%を超えると、ガラス繊維とマトリクス樹脂との接着を妨げ、繊維補強樹脂成形体の機械的強度が低下するという問題がある。
【0017】
本発明の集束剤は、例えば、水溶液やコロイダルディスパージョンの形態で、あるいは乳化剤を用いたエマルジョンの形態で使用する事が出来る。
次に、本発明の集束剤を付与した補強用ガラス繊維は、上記集束剤を公知のガラス繊維製造工程において、ロ−ラ−型アプリケ−タ−などの公知の方法によりガラス繊維に付与して製造したガラス繊維ストランドを乾燥、切断してチョップドストランドとする事により得る事ができる。
この集束剤の添加量は、ガラス繊維に対し固形分で0.2〜3重量%付与させ、好ましくは0.3 〜2.0 重量%とする。集束剤の添加量が0.2 重量%未満では、ガス繊維の集束が維持できないという問題があり、3重量%を超えても、ガラス繊維の集束性や繊維補強樹脂成形体の強度が更に向上することはない。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、或はストランドを乾燥した後、切断を行ってもよい。
【0018】
本発明の補強用ガラス繊維はポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸やマレイン酸等で変性されたポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等のいわゆる熱可塑性樹脂の補強材として用いることができるが、特に、ポリアミド樹脂(ナイロン)を強化するのに有効である。
【0019】
補強用ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを使用して、繊維強化樹脂成形体を製造する方法に特に限定はなく、公知の方法を使用できる。例えば、補強用ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを、エクストルーダーで混練してペレットとし、このペレットを原料としてインジェクションモールディング法により繊維強化樹脂成形体を得るなどの方法を用いる事が出来る。なお、繊維強化樹脂成形体中に含有させる補強用ガラス繊維の量は、10〜60重量%程度が好ましく、20〜40重量%にするのがより好ましい。
【0020】
【実施例】
実施例1
ポリカルボジイミド樹脂(分子量5000、カルボジイミド当量600)を4重量%と、ポリウレタン樹脂ボンディック1205(大日本インキ社製)を2重量%、γ- アミノプロピルトリエトキシシラン0.6重量%、カルナウバワックス0.1重量%、及び残余水とからなる集束剤を、直径11μmのガラス繊維に、固形分として1.0重量%付与し、800本のガラス繊維を集束してストランドとし、このストランドを通常のチョップカット法により切断後、乾燥して、長さ3mmのチョップドストランドを得た。
【0021】
実施例2
ポリカルボジイミド樹脂(分子量5000、カルボジイミド当量600)を4重量%と、ポリウレタン樹脂ボンディック1205(大日本インキ社製)を2重量%、ポリアクリル酸分子量5000を4重量%、γ- アミノプロピルトリエトキシシラン0.6重量%、カルナウバワックス0.1重量%、及び残余水とからなる集束剤を、直径11μmのガラス繊維に、固形分として1.0重量%付与し、800本のガラス繊維を集束してストランドとし、このストランドを通常のチョップカット法により切断後、乾燥して、長さ3mmのチョップドストランドを得た。
【0022】
比較例1
実施例1において、ポリカルボジイミド樹脂を使用しない他は、実施例1と同様にしてチョップドストランドを得た。
【0023】
比較例2
実施例2において、ポリカルボジイミド樹脂を使用しない他は、実施例2と同様にしてチョップドストランドを得た。
【0024】
試験方法。
実施例1、2及び比較例1、2で得られたそれぞれのチョップドストランド33重量%とポリアミド66(ナイロン66)樹脂(東レ製アミランCM3001N )67重量%とを270℃で混練してペレットとし、インジェクションモールディング法によって、JIS K-7054に規定された試験用の繊維強化樹脂成形体を得た。
これらの試験片について、JIS K-7054の方法により引張り強度を測定した結果を、表1に示す。なお、吸水後引張強度はプレッシャークッカー120℃1気圧下にダンベル型試験片を放置した後引張り試験を行った結果である。
【0025】
【表2】
Figure 0003799648
【0026】
表1の結果より、ナイロン66樹脂をマトリクス樹脂とした場合において、実施例1、2の補強用ガラス繊維を用いた試験片は、比較例12の補強用ガラス繊維を用いた試験片のいずれと比較しても常態及び吸水強度において優れていることがわかった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラス繊維集束剤は、ポリカルボジイミド樹脂とウレタン樹脂、シランカップリング剤、潤滑剤、必要に応じて、アクリル樹脂とを含有する為、集束性の良好な補強用ガラス繊維を得る事ができ、且つこの補強用ガラス繊維を熱可塑性樹脂の補強材とすれば、引張り強度、特に耐水強度が高い繊維強化樹脂成形体を得る事が出来る。

Claims (4)

  1. ポリカルボジイミド樹脂1〜5重量%、ポリウレタン樹脂1〜5重量%、シランカップリング剤0.1〜1重量%、潤滑剤0.01〜0.5重量%を含有する事を特徴としたガラス繊維用集束剤。
  2. アクリル酸のホモポリマーまたはアクリル酸とその他共重合成分とのコポリマ−あるいはこれらの第1級、第2級、第3級アミンとの塩より選んだ1種、もしくは2種以上のポリマ−1〜10重量%、ポリカルボジイミド樹脂1〜5重量%、ポリウレタン樹脂1〜5重量%、シランカップリング剤0.1〜1重量%、潤滑剤0.01〜0.5重量%を含有する事を特徴としたガラス繊維用集束剤。
  3. 上記請求項1または2に示した集束剤を施した熱可塑性樹脂補強用ガラスチョップドストランド。
  4. 上記請求項3に示したチョップドストランドと熱可塑性樹脂を重量比で1:9〜6:4の混合比で混練、射出成形して得られる繊維強化熱可塑性樹脂成形体
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