JP3821169B2 - ガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス繊維ヤーンまたは織布(以下、両者を併せて「ガラス繊維織物」ともいう)のほつれ防止固着剤に関し、特に樹脂ワニスを含浸させた形態でプリント基板として用いられるガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−341065号公報、特公平2−23626号公報等に記載されているように、ガラス繊維織物は、以前は有杼(シャットル)織機により製織されることが殆どであったが、最近は能率性、品質の良好性からエアジェット織機等の無杼織機で織られるものの割合が増大している。このような無杼織機では、緯糸が織物端部で折り返して隣接の緯糸を形成する有杼織機による織物とは異なり、緯糸が一回の緯入れ毎に切断されるため、織物の両耳部に緯糸の切断端部が房状に存在することとなる。ガラス繊維織物の多くはプリント基板に用いられるが、その際、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂ワニスに含浸した後乾燥してプリプレグとされる。前記のようなエアジェット織機により織られ、前記のような端部を有するガラス繊維織物を樹脂ワニス含浸すると、この端部が多量のワニスを含浸する上、緯糸が折り返されていないため、経糸が容易にほつれ、これが含浸工程のロールに巻き付くなどのトラブルが発生する。端部はカットするので、経済的見地から耳部の長さを短くすると、前記ほつれが一層発生しやすくなる。また有杼織機で織られた織物であっても、二分割や三分割して使用されることがあるが、この場合も、単に機械的切断を施したときには、その切断部から経糸が容易にほつれ出す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなほつれを防止するため、織物の端部あるいは地部をレーザー光線でガラス糸を熔融接着しながら切断することが検討されたが、熔融接着力は弱く、強いしごきに対しては容易に接着部分が剥離したり、熔融したガラスが微小な球形物を形成し、樹脂ワニス含浸工程中にワニスバスに落下するなどの欠点を有し、完全な対策とはならない。
また、ホットメルト接着剤を端部や切断部に施してほつれを防止する試みがなされたが、樹脂ワニスに使用される多種の有機溶剤に接着剤が溶出すると、そのワニスの性能に影響を与える恐れがある。特にプリント回路基板などの高度な品質保証が要求される分野に使用されるワニス含浸用ガラス繊維織物では、接着剤が溶出しないことが必須である。しかし、従来使用されてきたエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいは重合脂肪酸と脂肪族アミンから得られるポリアミドを主成分とする共重合体等は耐溶剤性が充分ではなく、接着剤として使用不可能である。
また接着剤にエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることも試みられているが、熱硬化性樹脂は耐薬品性が良好であるが、ガラス繊維織物に塗布後硬化するまでに時間を要し、設備面や生産性の面で満足ではない。
さらに熱可塑性樹脂が接着剤として試みられたが、溶融粘度が高く含浸が不十分となり、切断部からガラス糸の毛羽が発生する恐れがあり、塗布部分の織物厚みが他の部分より厚くなり、ガラス繊維織物をロールに巻き取る際に、いわゆる「耳高」などの支障を生じる。
【0004】
さらにまた、前記特公平2−23626号公報にも記載されているように、従来常用されてきたエチレン−酢酸ビニル共重合体等の接着剤は、有機溶剤溶液の形態で適用するとき、オープンタイムが長いという難点がある。すなわち、ガラス繊維織物にエチレン−酢酸ビニル共重合体等の常用される接着剤の溶液を適用した際、この溶液は容易に固化せず、接着剤が長時間粘着性を保持するため、ロール形態に巻き取った際、隣接ガラス繊維織物層が互いに接着するという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このようなガラス繊維織物のほつれに関する技術の現状に鑑み、鋭意検討した結果、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を適用することが非常に効果的であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、第1の発明によれば、芳香族、脂肪族および脂環族から選ばれるジイソシアネートとラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤が提供される。
第2の発明によれば、ウレタン(メタ)アクリレートがトリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとε−カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである前記第1の発明のガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤が提供される。
また、第3の発明によれば、芳香族、脂肪族および脂環族から選ばれるジイソシアネートとラクトン系ポリエステルポリオール及び1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤が提供される。
第4の発明によれば、ウレタン(メタ)アクリレートがトリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとポリカプロラクトン及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである前記第3の発明のガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤が提供される。
以下、本発明を詳しく説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるガラス繊維織物としては、織り方、厚み、単位面積当たりのガラス繊維重量、集束剤の有無などには特に限定されない。
【0008】
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、活性エネルギー線で硬化するものであれば特に限定されないが以下に述べるものが、例示される。
【0009】
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例)
本発明に使用できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例としては、(1)ウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマー類(A)、あるいはこれらと、任意成分であるスチレン、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー類(後記希釈モノマー)(B)との混合物が挙げられる。
【0010】
(1)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、
(1−a)有機イソシアネート、および
(1−b)1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、を公知の方法によって反応させることにより得られる反応生成物、または(1−a)、(1−b)成分に加え、(1−c)1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール、を公知の方法によって反応させることにより得られる反応生成物である。
【0011】
ここで、有機イソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の芳香族、脂肪族および脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0012】
また、前記の1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0013】
さらに、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオールとしては、ポリカプロラクトン、ポリブチロラクトンなどのラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0014】
ここでいう公知の方法としてその一例を示すと、常圧において反応温度は60〜90℃が好ましく、一般に、反応促進のために触媒の使用が望ましい。触媒の代表例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエート、ジブチル錫サルフアイド、ジブチル錫ジブトキサイドなどである。このような水酸基とイソシアネート基の反応に有効な触媒を、好ましくは50〜5000ppm、特に好ましくは250〜1000ppm使用することができる。反応は、通常、残存イソシアネートの濃度が所定濃度以下になるまで行う。
【0015】
なお、本発明においては、組成物の粘度調整、ほつれ防止固着剤としての物性を改良するために任意のエチレン性不飽和単量体(以下、希釈モノマーという)を使用することができる。
希釈モノマーの具体例としては、スチレン、(メタ)アクリルニトリル、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−クロロスチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらの希釈モノマーは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
さらに本発明で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線で硬化することが可能であるが、紫外線によって硬化する場合には、光重合開始剤を使用することができ、また必要に応じて光重合開始助剤も併用することが可能である。
【0017】
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、メチルベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトンなどが挙げられる。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、このような光重合開始剤は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミンのような公知慣用な光重合開始助剤を単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。光重合開始剤の含有量は前記組成物100重量部に対して、1〜10重量部、特には3〜6重量部の範囲であることが好ましい。
【0018】
以上例示したような活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
使用できる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が例示される。
紫外線を使用した場合の照射条件は、水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用い、硬化エネルギーは20〜500mJ/cm2であることが好ましい。また必要に応じて基材であるガラス繊維織物の両面に紫外線を照射することも可能である。また、電子線を使用した場合の照射条件は、加速電圧150〜250keVで1〜5Mradの照射量であることが好ましい。電子線の照射は、窒素雰囲気下で行う。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
〔合成例1〕
油浴中に浸漬され、攪拌機、温度計、添加ロート及び乾燥空気供給口を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)348g(2モル)、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.5gを仕込み、昇温した。反応容器内が70℃に達した時点で、添加ロートより、ε−カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート(Placcel FA−2,分子量344、ダイセル化学工業(株)製)688g(2モル)を添加した。添加終了後、残存ジイソシアネート濃度が0.1重量%以下になるまで熟成しウレタンアクリレート(合成例1)を得た。
【0021】
〔合成例2〕
合成例1中のTDIに代えて、イソホロンジイソシアネート(IPDI)444g(2モル)とした他は、合成例1と同様にして、ウレタンアクリレート(合成例2)を得た。
【0022】
〔合成例3〕
油浴中に浸漬され、攪拌機、温度計、添加ロート及び乾燥空気供給口を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)348g(2モル)、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.5gを仕込み、昇温した。反応容器内が70℃に達した時点で、添加ロートより、ポリカプロラクトン(Placcel 205,分子量530のポリカプロラクトンジオール,ダイセル化学工業(株)製)530g(1モル)を添加した。添加終了後、残存ジイソシアネート濃度が理論値になるまで反応容器内温度を70℃に保ち、ポリカプロラクトンウレタンプレポリマーを製造した。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)232g(2モル)の添加後、反応生成物の抜き取りサンプル中のイソシアネート濃度が0.1重量%以下となったことを確認するまで反応容器内を70℃に保ち熟成を行った。これによりウレタンアクリレートオリゴマー(合成例3)を得た。
【0023】
〔合成例4〕
合成例3中のTDIをイソホロンジイソシアネート(IPDI)444g(2モル)とした他は合成例3と同様にしてウレタンアクリレートオリゴマー(合成例4)を得た。
【0024】
(実施例1〜4)
表−1に示すような組成(数値は重量部を示す。)からなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるガラス繊維織物のほつれ防止固着剤を調製した。得られたほつれ防止固着剤をローラコーターによりガラス繊維織物(平織り、厚さ200μm)に幅10mmで経糸方向に沿って塗布し、その後、高圧水銀ランプ(照射条件120W/cm×50m/分×1パス)により硬化した。なお、塗布量は100g/m2であった。
【0025】
【表1】
【0026】
上で得られたガラス繊維織物のほつれ防止固着剤の塗布された部分の中央部を経糸に沿って切断し、最端部にある経糸の一本で引張接着強度を測定し、耳ほつれ強度(g)とした。また上で得られたほつれ防止固着剤塗布ガラス繊維織物を各種溶剤に72時間(25℃)浸漬し、ほつれ防止固着剤塗布部分の状態観察を行って、耐溶剤性を評価(○:変化せず,△:膨潤する,×:経糸がほつれる)した。さらにガラス繊維織物を屈曲させ、ほつれ防止固着剤の塗布部分の柔軟性を評価(○:柔軟性良好,×:柔軟性不良)した。これらの結果を表−2に示す。
なお、得られたほつれ防止固着剤塗布ガラス繊維織物について、プリプレグを作製し、一定寸法(30cm)に切断し、積み重ねた結果、端の部分と中央部分との高さの差は殆ど見られなかった。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明のほつれ防止固着剤は、常温でのポットライフが長く、活性エネルギー線により硬化する時間が短いため、ガラス繊維織物に適用する場合、取扱い性や生産性に優れている。また本発明のほつれ防止固着剤が塗布されたガラス繊維織物は、ほつれ防止固着剤が塗布された部分のほつれ強度が大きく、各種溶剤に対する耐溶剤性にも優れている。また塗布された部分は塗膜が柔軟性を有しているため、取扱い時に割れたり折れたりすることもない。このガラス繊維織物をプリプレグとして多数枚積み重ねても、高さの差は塗布していないものと殆どなく、切断端部も直線状を保っている。
Claims (4)
- 芳香族、脂肪族および脂環族から選ばれるジイソシアネートとラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤。
- ウレタン(メタ)アクリレートがトリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとε−カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである請求項1記載のガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤。
- 芳香族、脂肪族および脂環族から選ばれるジイソシアネートとラクトン系ポリエステルポリオール及び1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤。
- ウレタン(メタ)アクリレートがトリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとポリカプロラクトン及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである請求項3記載のガラス繊維ヤーンまたは織布のほつれ防止固着剤。
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