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JP3832525B2 - 種結晶の保持具 - Google Patents
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JP3832525B2 - 種結晶の保持具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン化ガリウム等の単結晶を液体封止引き上げ法により育成する際に使用される種結晶の保持具に係り、特に、単結晶の育成中において保持された上記種結晶が保持具から抜け落ちたりあるいは種結晶が折れたりすることのない保持具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記液体封止引き上げ法(LEC法)は、例えば、図7に示すような育成装置を用いて行われる。すなわち、この育成装置aは、圧力容器bと、この圧力容器b内に配置された略円筒形状のカーボン製断熱材cと、この断熱材cの内側に配置された加熱用カーボンヒータdと、このヒータdの内側に配置されかつ矢印方向へ回転するルツボeと、このルツボeの上方側に昇降可能に設けられかつ矢印方向へ回転する引き上げ軸(上部シャフト)fと、この引き上げ軸fに連結されかつ直方体形状の種結晶gを保持する保持具hとでその主要部が構成されるものである。また、上記ルツボe内には原料iである、例えばリン化ガリウム多結晶が投入され、かつ、この原料i表面は液体封止材jとしてのB23により覆われている。尚、一例として挙げた上記リン化ガリウムの融点は1465℃であり、このときのリンの分解圧は約35気圧と非常に高い。このため、液体封止引き上げ法では原料融液(リン化ガリウムの融液)表面を液体封止材jで覆うと共に、圧力容器b内に、例えば20kg/cm2 のN2 ガスを充填して容器内を50気圧に設定しリン化ガリウム融液の分解を防止している。
【0003】
そして、この育成装置aを用いリン化ガリウムの単結晶が以下のようにして育成される。すなわち、上記加熱用カーボンヒータdに通電してルツボe内のリン化ガリウム多結晶を融点まで昇温させ、かつ、リン化ガリウム多結晶が溶融した後、リン化ガリウムの融液温度を結晶育成が可能な最適な温度まで降温させる。次に、上記引き上げ軸(上部シャフト)fを回転させながら降下させ、その先端に保持具hを介し取り付けられた種結晶gを上記リン化ガリウムの融液に接触させると共に、ルツボe内の温度を徐々に下げてリン化ガリウムの単結晶qを育成させる。尚、結晶育成中の上記加熱用カーボンヒータdの制御については自動直径制御装置(ADC)によって行われている。すなわち、上記引き上げ軸(上部シャフト)fに付設された重量センサ(図示せず)によって育成された単結晶の重量がモニターされ、この測定値により育成された単結晶の直径が計算されて加熱用カーボンヒータdの出力値をコントロールしている。
【0004】
ところで、直方体形状の種結晶gを保持する保持具hとしては、従来、モリブデン等耐熱性を有する材料から成り、図8に示すような保持具本体mとクランプnとでその主要部を構成するものが広く利用されている。
【0005】
すなわち、この保持具hは、一端側に引き上げ軸(上部シャフト)fとの連結部m1を有し、かつ、他端側に直方体形状の種結晶gにおける一組の側面に整合する断面略V字形状のV溝m2を有する保持具本体mと、この保持具本体mにおけるV溝m2の形成部位に取り付けられ、保持具本体mのV溝m2に載置された種結晶gの上記V溝m2より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面n1とこれら傾斜内壁面n1の互いに接近する方向側の先端に連設された平面部n2とで形成される溝部n3が上記保持具本体mのV溝m2と対向する部位に設けられたクランプnとでその主要部が構成されるものであった(図9A〜C参照)。
【0006】
また、この保持具hに保持される種結晶gは、内周刃で例えば4mm□に切断され、かつ、図10(A)(B)に示すように種結晶gの一組の側面g1、g2の相隣接する角部g3の上記クランプnの平面部n2で押さえられる部位g4がダイヤモンドヤスリ等で平面に削られると共に、王水エッチング並びに水洗処理が施された後、乾燥される。
【0007】
そして、この様な処理が施された上記種結晶gを保持具hに取り付けるには、まず、保持具本体mのV溝m2へ種結晶gをそのエッチング処理が施された部位を上に向けて載置し、かつ、載置された種結晶gの上側から上記クランプnをその溝部n3を下側にして保持具本体mに重ね合わせると共に、保持具本体mのネジ孔m3、m3とクランプnのネジ孔n4、n4の位置を整合させた後、これ等ネジ孔m3、n4に図示外の止めネジを入れて締め付け種結晶gを保持具hに固定する。
【0008】
すなわち、図11(A)(B)に示すように上記種結晶gは、その二組の側面がそれぞれ保持具本体mのV溝m2とクランプnの傾斜内壁面n1に位置整合されると共に種結晶gの平面に削られた部位g4がクランプnの平面部n2に位置整合された状態で保持具本体mとクランプnにより挟持される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8に示された従来の保持具hを用いて種結晶gを保持する場合、上述したように種結晶gにおける角部g3の上記クランプnの平面部n2で押さえる部位g4をダイヤモンドヤスリ等で平面に削る処理が必要となるため、その作業が繁雑で時間がかかると共に削るための費用も要する問題があった。
【0010】
また、種結晶gにおける角部g3の上記部位g4を平面に削る際、その削り面が均一な平坦になっていないと、育成される単結晶が大きくなるに伴い上記削られた部位で種結晶gが折れ易くなる問題があった。すなわち、育成される単結晶の直径が大きくなると原料融液や液体封止材jとしてのB23の粘性による影響を受け易くなるため、ルツボeと引き上げ軸(上部シャフト)fの回転に伴い種結晶gに負荷が加わり、種結晶gの削り面が不均一であるとその一部に負荷が集中して種結晶が折れてしまう場合があった。
【0011】
更に、上記削り面が不均一であるとクランプnにおける平面部n2での押さえも十分でなくなるため、種結晶gに対する保持具本体mとクランプnの締め具合も不安定になり易い。このため、育成した結晶の重量が500g以上になると、温度変化の影響を受けて締めたはずの止めネジによる締め具合が不十分となり、自然に緩んで保持具hから種結晶gが抜け落ちる問題を有していた。
【0012】
そして、単結晶の育成中に上記種結晶gが折れたり保持具hから種結晶gが抜け落ちると、育成中の単結晶qもルツボe内に落下して原料iの融液や液体封止材jとしてのB23を破ると共に、融液中に落下した単結晶qは再融解が無視できたとしても、融液の固化により融液と一体化するため製品として利用できなくなる問題点を有していた。
【0013】
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、単結晶の育成中において保持された上記種結晶が保持具から抜け落ちたりあるいは種結晶が折れたりすることのない保持具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に係る発明は、
単結晶を液体封止引き上げ法により育成する際に使用される直方体形状の種結晶を保持する保持具を前提とし、
一端側に引き上げ軸との連結部を有し、かつ、他端側に上記種結晶の隣接する一組の側面に整合する断面略V字形状のV溝を有する保持具本体と、
上記保持具本体におけるV溝の形成部位に取り付けられ、保持具本体のV溝に載置された種結晶の上記V溝より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成される溝部が上記保持具本体のV溝と対向する部位に設けられたクランプとでその主要部が構成され、
かつ、上記種結晶はその二組の側面が上記V溝と溝部の傾斜内壁面に位置整合された状態で保持具本体とクランプにより挟持されると共に、上記クランプの凹條には、クランプの傾斜内壁面に位置整合された種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
そして、請求項1記載の発明に係る種結晶の保持具によれば、
上記クランプの溝部が一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成されていることから、種結晶の二組の側面を保持具本体のV溝とクランプの傾斜内壁面にそれぞれ整合させた状態で上記保持具本体とクランプにより種結晶を挟持させる際、クランプの傾斜内壁面に位置整合される種結晶側面の相隣接する角部先端をクランプの上記凹條内に入り込ませることが可能となる。
【0016】
従って、種結晶の二組の側面を保持具本体のV溝とクランプの傾斜内壁面に対し精度よく位置整合させることが可能となり、これにより保持具本体に対し止めネジによりクランプを強固に締め付けられるため保持具に対する種結晶の緩みをより完全に防止することが可能となる。
【0017】
更に、上記クランプの傾斜内壁面に位置整合される種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部がクランプの上記凹條に設けられているため、保持具本体に対しクランプを強固に締め付けられる上記作用と相俟って保持具からの種結晶の抜け落ちを確実に防止することが可能となる。
【0018】
また、この保持具を適用した場合、種結晶の上記角部を従来のように平面に削る必要がなく、単に切欠部を形成するだけで十分なため種結晶に対する処理作業の簡便化が図れると共に、内周刃で切断した状態の平坦度が種結晶に保持されるためその機械的強度も改善させることが可能となる。
【0019】
次に、請求項1に係る種結晶の保持具においては保持具本体にV溝が形成されているが、このV溝の先端にクランプにおける凹條と同様の機能を有する凹條を設けてもよい。この様な構成にした場合、種結晶の二組の側面がそれぞれ形成する2つの角部についてその先端を保持具本体とクランプの凹條内に入り込ませることが可能となり、保持する種結晶の断面寸法に若干ばらつきがあっても上記保持具本体に対しクランプを強固に締め付けることが可能となる。請求項2に係る発明はこの様な技術的理由によりなされている。
【0020】
すなわち、請求項2に係る発明は、
単結晶を液体封止引き上げ法により育成する際に使用される直方体形状の種結晶を保持する保持具を前提とし、
一端側に引き上げ軸との連結部を有し、かつ、他端側に上記種結晶の隣接する一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成される本体側溝部を有する保持具本体と、
上記保持具本体における本体側溝部の形成部位に取り付けられ、保持具本体の本体側溝部に載置された種結晶の上記本体側溝部より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成されるクランプ側溝部が上記保持具本体の本体側溝部と対向する部位に設けられたクランプとでその主要部が構成され、
かつ、上記種結晶はその二組の側面が上記本体側溝部とクランプ側溝部の各傾斜内壁面に位置整合された状態で保持具本体とクランプにより挟持されると共に、上記保持具本体若しくはクランプの凹條には、保持具本体若しくはクランプの傾斜内壁面に位置整合された種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
尚、請求項1又は請求項2に係る保持具をリン化ガリウム単結晶等の育成に適用する際、結晶育成時の温度が高温のため、例えばモリブデン等耐熱性材料にて作成された新品の保持具を育成装置内に組み込んだ場合、焼き付きを起こして引き上げ軸(上部シャフト)と接着してしまうことがある。この様な場合、新品の保持具を育成装置内に組み込む前に、例えば、1350℃で6時間程度の焼き入れを施すことが望ましい。この様な焼き入れを施した場合、上記接着現象の防止に効果があることを確認している。
【0022】
また、請求項1又は請求項2に係る種結晶の保持具は、液体封止引上げ法により、例えば、GaP、GaAs、InP等の化合物半導体単結晶を工業的に製造する場合に好適に適用される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
この実施の形態に係る保持具1は、図1に示すようにV溝20を有する保持具本体2と、溝部30を有するクランプ3とでその主要部が構成されている。
【0025】
まず、上記保持具本体2はモリブデン等の耐熱性材料にて形成され、図1に示すように育成装置の引き上げ軸と連結される丸棒状の連結部21を一端側に有していると共に、他端側には種結晶の隣接する一組の側面に整合する断面略V字形状のV溝20を有し、かつ、このV溝20を中央にしてその両側の平面部には一対のネジ孔22、22が形成されている。
【0026】
また、上記クランプ3は、図1及び図2(A)〜(C)に示すようにその一面側に溝部30を有する四角柱状の耐熱性材料にて構成されると共に、上記溝部30は、保持具本体2のV溝20に載置された種結晶の上記V溝20より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面31、31とこれら傾斜内壁面31、31の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條32とで形成されており、かつ、上記溝部30を中央にしてその両側の平面部に一対のネジ孔33、33が設けられている。また、上記凹條32の一端側には、図2(A)〜(C)に示すようにクランプ3の傾斜内壁面31、31に位置整合される種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部(図3参照)に係合する板状の係合部34が設けられている。
【0027】
次に、この保持具1に保持される種結晶4は、内周刃で例えば4mm□に切断され、かつ、図3(A)(B)に示すように種結晶4の一組の側面40、40の相隣接する角部41の上記クランプ3の係合部34に対応する部位42をダイヤモンドヤスリで軽く削った後、王水エッチングを施し、かつ、水洗並びに乾燥処理して切欠部43が形成されている。
【0028】
そして、この様な処理が施された上記種結晶4を実施の形態に係る保持具1に取り付けるには、まず、保持具本体2のV溝20へ種結晶4をその切欠部43が形成された部位を上に向けて載置し、載置された種結晶4の上側から上記クランプ3をその溝部30を下側にしかつ種結晶4の切欠部43にクランプ3の係合部34を係合させた状態で保持具本体2に重ね合わせると共に、保持具本体2のネジ孔22、22とクランプ3のネジ孔33、33の位置を整合させた後、これ等ネジ孔22、33に図示外の止めネジを入れて締め付け種結晶4を保持具1に固定する。すなわち、図4(A)(B)に示すように上記種結晶4は、その二組の側面がそれぞれ保持具本体2のV溝20とクランプ3の傾斜内壁面31、31に位置整合されると共に、種結晶4の切欠部43にクランプ3の係合部34が係合された状態で保持具本体2とクランプ3により挟持される。
【0029】
このとき、上記クランプ3の溝部30が一対の傾斜内壁面31、31とこれら傾斜内壁面31、31の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條32とで形成されていることから、種結晶4の二組の側面を保持具本体2のV溝20とクランプ3の傾斜内壁面31、31にそれぞれ整合させた状態で上記保持具本体2とクランプ3により種結晶4を挟持させる際、クランプ3の傾斜内壁面31、31に位置整合される種結晶4の側面40、40の相隣接する角部41先端をクランプ3の上記凹條32内に入り込ませることが可能となる(図4B参照)。
【0030】
従って、種結晶4の二組の側面を保持具本体2のV溝20とクランプ3の傾斜内壁面31、31に対し精度よく位置整合させることが可能となり、これにより保持具本体2に対し止めネジ(図示せず)によりクランプ3を強固に締め付けられるため、保持具1に対する種結晶4の緩みをより完全に防止することが可能となる。
【0031】
また、上記クランプ3の傾斜内壁面31、31に位置整合される種結晶4の一組の側面40、40の相隣接する角部41に形成された切欠部43に係合する係合部34がクランプ3の上記凹條32に設けられているため、保持具本体2に対しクランプ3を強固に締め付けられる上記作用と相俟って保持具1からの種結晶4の抜け落ちを確実に防止することが可能となる。
【0032】
更に、この保持具1を適用した場合、種結晶4の上記角部41を従来のように平面に削る必要がなく、単に切欠部43を形成するだけで十分なため種結晶4に対する処理作業の簡便化が図れると共に、内周刃で切断した状態の平坦度が種結晶4に保持されるためその機械的強度も改善されて単結晶育成中における種結晶4の折れ現象も防止することが可能となる。
【0033】
尚、図5は本発明の他の実施の形態に係る保持具1を示す斜視図である。
【0034】
すなわち、この実施の形態に係る保持具1は、保持具本体2のV溝20先端にこの先端と連設された断面略コ字状の凹條25が形成されている点を除き図1に示した保持具と略同一である。
【0035】
そして、この実施の形態に係る保持具においては、図6(A)(B)に示すように種結晶4の二組の側面がそれぞれ形成する2つの角部41、45についてその先端を保持具本体2とクランプ3の凹條25、32内に入り込ませることが可能になるため、図1に示した保持具と比較して保持する種結晶4の断面寸法に若干ばらつきがあっても上記保持具本体2に対しクランプ3を強固に締め付けることが可能となる利点を有している。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0037】
図1に示したモリブデン製の保持具本体2とクランプ3から成る保持具1に対し、内周刃で4mm□に切断しかつ図3(A)に示すような切欠部43が形成されたリン化ガリウム種結晶4をセットし、かつ、止めネジ(図示せず)で締め付けて図4(A)に示すように保持具1に種結晶4を保持させた。
【0038】
次に、図7に示した育成装置内に種結晶が保持された上記保持具をセットした後、圧力容器内に不活性ガス(N2 ガス)を充填し、かつ、加熱用カーボンヒータに通電してルツボ内のリン化ガリウム多結晶をその融点(1465℃)まで昇温させた。次に、ルツボ内のリン化ガリウム融液温度を種結晶が成長される最適温度に設定し、かつ、引き上げ軸(上部シャフト)に保持具を介して取り付けた上記種結晶4をリン化ガリウム融液につけてなじませ、更に融液温度を少しずつ下げながら種結晶を成長させた。
【0039】
こうして育成されたリン化ガリウムの単結晶は重量1050g、長さ100mmのものが順調に得られた。単結晶の育成後、圧力容器内の不活性ガス(N2 ガス)を開放してから、引き上げ軸(上部シャフト)に保持具を介して取り付けた上記種結晶4と育成したリン化ガリウムの単結晶を観察すると、緩みやクラックの発生は皆無で上記保持具1にしっかり固定されていた。
【0040】
尚、比較例として図8に示した従来の保持具を用いた同様の単結晶の育成を行い、この実施例と比較例について『▲1▼結晶育成中の結晶の落下』、『▲2▼結晶育成中の種結晶の緩み』及び『▲3▼保持具に対する種結晶の取り付け作業時間』を調べたところ、以下の表1に示すような結果が得られた。
【0041】
Figure 0003832525
この表1の結果が示すように、実施例においては結晶育成中の結晶の落下や種結晶の緩みがなくなり、かつ、作業時間の大幅な短縮が図られている。
【0042】
そして、作業時間の短縮は、リン化ガリウム単結晶の育成操業回数が多くなるほど顕著な効果が出て来るものであった。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係る種結晶の保持具によれば、
クランプの溝部が一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成されていることから、種結晶の二組の側面を保持具本体のV溝とクランプの傾斜内壁面にそれぞれ整合させた状態で上記保持具本体とクランプにより種結晶を挟持させる際、クランプの傾斜内壁面に位置整合される種結晶側面の相隣接する角部先端をクランプの上記凹條内に入り込ませることが可能となる。
【0044】
従って、種結晶の二組の側面を保持具本体のV溝とクランプの傾斜内壁面に対し精度よく位置整合させることが可能となり、これにより保持具本体に対し止めネジによりクランプを強固に締め付けられるため保持具に対する種結晶の緩みをより完全に防止できる効果を有する。
【0045】
また、上記クランプの傾斜内壁面に位置整合される種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部がクランプの上記凹條に設けられているため、保持具本体に対しクランプを強固に締め付けられる上記効果と相俟って保持具からの種結晶の抜け落ちを確実に防止できる効果を有する。
【0046】
更に、この保持具を適用した場合、種結晶の上記角部を従来のように平面に削る必要がなく、単に切欠部を形成するだけで十分なため種結晶に対する処理作業の簡便化が図れると共に、内周刃で切断した状態の平坦度が種結晶に保持されるためその機械的強度も改善させることが可能となる。
【0047】
従って、単結晶育成中における種結晶の折れ現象も未然に回避できる効果を有する。
【0048】
次に、請求項2記載の発明に係る種結晶の保持具によれば、
保持具本体の本体側溝部とクランプのクランプ側溝部にそれぞれ断面略コ字状の凹條が設けられているため、種結晶の二組の側面がそれぞれ形成する2つの角部についてその先端を本体側溝部とクランプ側溝部の凹條内にそれぞれ入り込ませることが可能となる。
【0049】
従って、請求項1記載の発明に係る効果に加えて保持する種結晶の断面寸法に若干ばらつきがあっても上記保持具本体に対しクランプを強固に締め付けることが可能となる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る保持具の構成を示す概略斜視図。
【図2】図2(A)は上記保持具の構成部材の1つであるクランプの概略斜視図、図2(B)はその正面図、図2(C)はその下面図。
【図3】図3(A)は上記保持具に保持される種結晶の概略斜視図、図3(B)は図3(A)のB−B面断面図。
【図4】図4(A)は種結晶が保持された上記保持具の概略斜視図、図4(B)はその正面図。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る保持具の構成を示す概略斜視図。
【図6】図6(A)は種結晶が保持された図5の保持具の概略斜視図、図6(B)はその正面図。
【図7】液体封止引き上げ法に適用される育成装置の構成を示す説明図。
【図8】従来例に係る保持具の構成を示す概略斜視図。
【図9】図9(A)は従来例に係る保持具の構成部材の1つであるクランプの概略斜視図、図9(B)はその正面図、図9(C)はその下面図。
【図10】図10(A)は従来例に係る保持具に保持される種結晶の概略斜視図、図10(B)は図10(A)のB−B面断面図。
【図11】図11(A)は種結晶が保持された従来例に係る保持具の概略斜視図、図11(B)はその正面図。
【符号の説明】
1 保持具
2 保持具本体
3 クランプ
4 種結晶
20 V溝
21 連結部
30 溝部
31 傾斜内壁面
32 凹條
40 側面
41 角部

Claims (2)

  1. 単結晶を液体封止引き上げ法により育成する際に使用される直方体形状の種結晶を保持する保持具において、
    一端側に引き上げ軸との連結部を有し、かつ、他端側に上記種結晶の隣接する一組の側面に整合する断面略V字形状のV溝を有する保持具本体と、
    上記保持具本体におけるV溝の形成部位に取り付けられ、保持具本体のV溝に載置された種結晶の上記V溝より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成される溝部が上記保持具本体のV溝と対向する部位に設けられたクランプとでその主要部が構成され、
    かつ、上記種結晶はその二組の側面が上記V溝と溝部の傾斜内壁面に位置整合された状態で保持具本体とクランプにより挟持されると共に、上記クランプの凹條には、クランプの傾斜内壁面に位置整合された種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする種結晶の保持具。
  2. 単結晶を液体封止引き上げ法により育成する際に使用される直方体形状の種結晶を保持する保持具において、
    一端側に引き上げ軸との連結部を有し、かつ、他端側に上記種結晶の隣接する一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成される本体側溝部を有する保持具本体と、
    上記保持具本体における本体側溝部の形成部位に取り付けられ、保持具本体の本体側溝部に載置された種結晶の上記本体側溝部より外方へ突出する他の一組の側面に整合する一対の傾斜内壁面とこれら傾斜内壁面の互いに接近する方向側の先端に連設された断面略コ字状の凹條とで形成されるクランプ側溝部が上記保持具本体の本体側溝部と対向する部位に設けられたクランプとでその主要部が構成され、
    かつ、上記種結晶はその二組の側面が上記本体側溝部とクランプ側溝部の各傾斜内壁面に位置整合された状態で保持具本体とクランプにより挟持されると共に、上記保持具本体若しくはクランプの凹條には、保持具本体若しくはクランプの傾斜内壁面に位置整合された種結晶の一組の側面の相隣接する角部に形成された切欠部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする種結晶の保持具。
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