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JP3834875B2 - リニアモータ - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータの改良に関する。特に、高精度な位置決め機構が必要とされる半導体製造装置やFA分野の駆動機構として好適に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
可動側に永久磁石を配置した可動磁石型リニアモータは、可動側での発熱がなく、また固定側に配したコアレス型コイル(以下、コアレスコイルまたは単にコイルと記述する)との間に吸引力が作用しないため、高精度の位置決め機構用の駆動装置として好適に使用されている。
【0003】
従来のこの種のリニアモータとしては、例えば特開平8−107665号公報に開示されたものがある。このものは、図25に示すように、リニアモータの進行方向に集中巻きした多相(ここではU,V,W3相)のコアレスコイル1を平らに並べて固定配置し、そのコイル列を挟んで両側に、複数組みの永久磁石2が可動部として配設されている。相対する組みをなす永久磁石2,2は異なる極性をもって一対に対向し、その磁束はコアレスコイル1を貫通している。また、相隣る永久磁石2同士は極性が相互に異なるようにしてコイル配列方向に複数組(図では4組)配設してあり、それらの隣接磁石同士が片側ずつ強磁性材からなる磁石プレート3に接着保持されている。上記コアレスコイル1は永久磁石2の位置に応じて励磁相を切り替えられるように、磁石2の配列ピッチに対して位相をずらして配置されている(図25(2)参照)。
【0004】
図26は、この可動部である永久磁石2を一体的に図の右方向に移動させる際の電流分布の変化を示している。対向して一対をなす各組の永久磁石2,2の磁束は当該磁石2,2の進行方向に対しその中央部で最も高い(点線で示す)。この磁束密度の最も高い位置にある相のコイル1の電流を最も大きくした方が大きな推力が発生する。そこで、UVWの各相の電流を、刻々移動する永久磁石2の位置に応じて上記条件に合致させるように制御する。図26(1)はコイル1と永久磁石2との位置関係とV相ピークの電流分布を、同図(2)は同じくW相ピークの場合、同図(3)はU相ピークの場合をそれぞれ示したもので、永久磁石2の右方移動に同期して電流分布のピークも右方に移動している。
【0005】
いま、磁石プレート3の内側での永久磁石2が発生する磁束密度分布B(y)〔ここに、yは進行方向の磁石内での位置〕、同じくギャップ間のコイル1の電流分布をI(y)とし、コイル1の進行方向に対し横方向の一辺の長さをD、磁極ピッチL、磁石磁束数4とすると、このモータの推力Fは磁束密度分布と電流密度分布との積をギャップ方向に積分した式で表され、
Figure 0003834875
となる。
【0006】
この式から、磁束密度が最も大きい位置で電流密度を大きくしないと効率的に推力として発生しないことがわかる。この状態で磁束密度の分布は永久磁石2で決定されるが、I(y)は可動部の位置に応じて多相コイル1に流す電流を選択して生成しなくてはならない。しかるに、コイル1に流す最大電流は、コイル線径,断面積,放熱などにより制限されるから、可動部の決められた磁束密度の制約下で最も効率的に推力を発生するためには、磁束密度がピークとなる位置下で電流分布が制限されたピーク値となるような結線及びコイル配置にする必要がある。また、一般的な磁束密度分布を近似的に正弦波分布とした場合、電流分布も正弦波分布として
Figure 0003834875
とすることが同一面積下の制約の中で最も効率的に推力を発生できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、特定位置の磁石のギャップの中にある相の電流はピーク電流値にできるが、他の位置の磁石のギャップの中にある相の位置はずらしてあるため電流を大きくできず、同一磁石面積下の推力が大きくできないという問題点がある。
【0008】
しかも、そればかりでなく、1個の永久磁石下のコイル数が少ないために可動部の位置に応じて電流分布を連続して滑らかに変化させることができないという問題点がある。
【0009】
また、コイルに電流を流した際の発熱を効率良く冷却して除去することが難しいという問題点もある。
そこで本発明は、このような従来の可動磁石型リニアモータの問題点に着目してなされたものであり、同一磁石面積下の推力を大きくでき、且つ電流分布を連続して滑らかに変化させて推力リップルを低減でき、さらにコイルの発熱を効率よく冷却できる可動磁石型のリニアモータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する請求項1に係る発明は、固定側にコアレスコイル、可動側に永久磁石を配置した多相リニアモータであって、固定側は中空を有する多相のコアレスコイルを重ね巻きにしてモータ進行方向に順に配列すると共に、非磁性材からなり、端部が冷却装置に連結される冷却管の中途部分を当該中空に通しコイルに密着固定してなり、可動側は異なる極性の磁石を磁気ギャップを介して対向させた永久磁石で前記コアレスコイルを挟み、且つその対をなす磁石の複数組を相隣る磁極の極性が相互に異なるようにしてコイル配列方向にコイル配列ピッチに合わせて複数組配設すると共に、それらの複数組の永久磁石を前記磁気ギャップを保持する支持部材を介して一体に連結してなることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記可動側の永久磁石は、その磁束密度が進行方向に正弦波状分布となる形状及び/又は取付け角度を有するものとすることができる。
また、二本の前記冷却管を前記中空穴の両サイドに配設することもでき、その場合、前記コアレスコイルの中央部を前記中空穴を潰して密着させることもできる。
図1は、本発明に係るリニアモータの基本構成を示す断面図である。固定側(固定部10)にコアレスコイル1、可動側(可動部15)に永久磁石2を配置した多相リニアモータであり、したがって可動体側での発熱はない。このリニアモータの固定側のコアレスコイル1は、例えばU,V,Wの3相の場合であれば、これら各相のコイルをモータ進行方向Xに順に並べ、同相のコイル同士が一定の間隔L(ピッチL)を保つように配置して重ね巻きで配列されている。すなわち、隣接する同相のコイルの対応する各辺は進行方向にピッチLだけ隔てて組み立てられると共に、その対応各辺に逆方向の電流を流すように接続され、各コイルのモータ進行方向にほぼ直交するコイルの2辺のうちの1辺は、ピッチLで隣接する同相コイルの他の1辺に重ねて配置されている。
【0012】
図2に、このコイル巻線と電流方向とのモデル図を示す。図2(1)は、分かりやすいように各コイル1の巻数を1巻として表しているが、実際は複数巻である。また、3相交流のU,V,W相の結線を上,中,下段にそれぞれずらすと共に、隣接するコイルの重ねられたコイル辺もずらして記載しているが、実際はこれらU,V,W相の各結線はモータ進行方向Xに重ねられて、例えばスター結線される。これを図のU相の結線について具体的に説明すると、矢符号Xで示すモータ進行方向に複数個が配列されているコイル1において、モータ進行方向Xに直交する二つの辺1a ,1b のうちの一辺1b は、距離Lを隔てて隣接している他のコイル1の一辺1a に重ねられている。いま各コイル1の二辺1a ,1b を流れる電流の方向と大きさをそれぞれ矢符号ia ,ib で表すと、隣接するコイル1の対応する各辺1a ,1a (1b ,1b )には大きさが等しい逆方向の電流を流すように結線されているため、同相の重ねられたコイル辺1b ,1a を流れる電流ib ,ia は同一方向である。
【0013】
図2(1)には、このスター結線されたU,V,Wの三相を、図示しない各相毎の駆動用アンプで三相対称電流駆動する際、ある瞬間の電流値がU:V:W=2:−1:−1(流入方向を+とする)の比率で流れているときの各コイルの電流方向と大きさとを、各コイル上に矢符号iで示している。このように電流を流しているときの各位置での電流密度分布を、図2(2)に示す。本発明の重ね巻きされた多相のコアレスコイルをこのように結線して電流を流すことにより合成された電流分布は、ピッチ2Lの正弦波状の分布になる。
【0014】
本発明の上記各コイル1は中空を有しており、その中空に通してコイルに密着させた非磁性材からなる冷却管でコイルの固定と冷却が行われる。かくして、本発明はコイルの発熱を直接冷却管で吸収して効率よく冷却することができる。
【0015】
本発明のリニアモータの可動部15は、以上のように配列して結線されているコイル列を磁気ギャップを介して挟むようにして、モータ進行方向Xの両側に配置された複数個の永久磁石2を備えている。それらの永久磁石2は、コイル列を挟んで磁性の異なる磁極同士を対向させたものを一対とし、その対向する磁極間の磁束がコイル1を貫通するように配置されている。また、その対をなす複数組(図1では二組)の磁石を、相隣る磁極の極性が相互に異なるようにしてコイル配列方向に配設している。図1では、コイル列の両側に4個の永久磁石2を配し、相隣る異なる磁性の2個の永久磁石2,2同士を、コイル配列ピッチLと同じ間隔Lで配列して共通の磁性体板(磁石プレート)3に接着等の手段で一体に固着しているが、この4個の磁石配置を例えば8個の永久磁石を用いて連続して繰り返すことにより、固定部10の磁束ピッチは2Lとなる。
【0016】
コイル列を挟んで対向させた上記複数組の永久磁石2は、磁気ギャップを確保するべく上下の磁性体板3の間に組み込まれた支持部材(16)を介して一体に保持されて可動部15を構成している。
【0017】
本発明にあっては、後述するように、磁石プレート3に固着する永久磁石2の形状をギャップ面からみて(磁束の流れる方向からみて)菱形にしたり、台形形状にしたり、平行四辺形にしたり、或いは永久磁石2を貼り付ける角度を傾けたりすることにより、可動部の磁束密度分布を正弦波状にすることができる。
【0018】
かくして本発明のリニアモータによれば、可動部の磁束密度分布が正弦波であり、前述したコイルの電流分布が正弦波であることと相まって、可動部の位置に応じて電流分布を連続して滑らかに変化させることができ、リニアモータの推力リップルを低減することができる。
【0019】
また、一個の永久磁石の面積下のコイル数を多くできるから、同一磁石面積下の推力を大きくできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3ないし図9は本発明の第1の実施形態を示したものである。なお、従来と同一又は相当部分には同一の符号を付してある。
【0021】
先ず構成を説明すると、三相のリニアモータの固定部10には、中空穴を有するコアレスコイル1がモータ進行方向Xに複数個配列されている。各コイル1はその中空穴に二本の例えば銅パイプ製の冷却管12の中途部を通して、おのおの接着剤で固定されている。コイル1は、三相の電流を流すU,V,Wの各相のコイルがあり、X方向に順に並べて、先に述べたように重ね巻きで配置されている。なお、コイル1における同相コイルの重なりは完全に一致していなくてもよい。むしろ、電流分布を滑らかにするために多少ずれていても良い。
【0022】
各コイル1の中央部は、磁気ギャップが最小となるようにプレス成形され、中空穴を潰して接着剤で接着されている。冷却管12は、図示しない冷却装置に連結され、循環する冷媒によってコイル1の発熱を吸収除去するようになっている。この固定部10は、図外のモータ基台上に固定して設置される。
【0023】
可動部15は、上記コイル1のプレスされた中央部を挟んで上下両側に配した複数の永久磁石2と、その永久磁石2を接着固定した磁性体からなる磁石プレート3と、上下の磁石プレート3の間に介装され、コイル1を挟んで対向する各永久磁石2の磁極間の磁気ギャップを確保している支持部材16とを備えている。永久磁石2の配列は、先に図1を用いて述べたものと同じである。
【0024】
この可動部15は、例えば直動案内軸受装置(リニアガイド装置)や、静圧気体軸受装置(エアスライド)、またはボールスプライン装置等の直動案内手段で支持されX方向に滑らかに移動可能である。
【0025】
このリニアモータは、さらに、可動部15の永久磁石と固定部10のコイル位置との位相関係を検出するために例えばACサーボモータで通常使用されるUVW極検出センサ、可動部15の位置を検出するリニアスケール位置検出器、駆動指令と位置検出器からのフィードバック信号に基づき推力指令を生成する制御回路、UVW極検出センサの信号とリニアスケール位置検出器の信号とに基づき三相正弦波電流波形を出力する三相正弦波発生器、この三相正弦波発生器から出力された三相正弦波電流波形と前記推力指令とを積算してUVWの三相コイルの電流を制御する三相アンプ回路とを備えて、位置決めあるいは駆動を行うように構成されている。
【0026】
図6にこの実施形態のリニアモータの駆動制御ブロック図を示す。
図の点線1内がリニアモータの負荷ブロックで、Mは可動部15の質量、sはラプラス変換子である。点線2内は三相アンプ回路20である。また、Kpは位置比例器の位置ループゲイン、Kvは速度比例器の速度ループゲイン、Ktはリニアモータのトルク定数である。この制御回路により、可動部15の位置を検出する位置検出器(リニアスケール)21からの位置情報をもとに、可動部15の速度及び位置を算出して、リニアモータのUVW三相のコイル電流のフィードバック制御を行う。ここでは定電流制御を行っているので、逆起電力定数は省略した。すなわちフィードバック情報に基づいて制御回路から発信された推力指令は三相アンプ回路20に入力され、三相アンプ回路20はその推力指令により三相のコイル1と永久磁石2との位置関係に応じた三相電流制御を行う。
【0027】
図7は上記三相アンプ回路20のブロック図である。このアンプ回路は、UVW極検出センサ22からの信号とリニアスケール21からの位置信号(A/B相)とを入力するピッチ2Lの周期のリングカウンタ23と三相波形を記憶した三個のROM24とその波形信号をデジタル/アナログ変換するIC25とでなる三相正弦波発生器26を備えている。
【0028】
次に作用を説明する。
まず、可動部15の永久磁石2と固定部10のコイル位置との位相関係を検出したUVW極検出センサ22からの信号、及びリニアスケール21からのAB相信号を、位置に応じた三相正弦波電流波形を生成するために、三相正弦波発生器26のリングカウンタ23に入力し、そのリングカウンタ23からの位置情報を三個のROM24に入力する。このROM24からの波形信号をデジタル/アナログ変換IC25でアナログ信号に変換する。その変換した三波形を、制御回路からの推力指令と乗算し、必要な推力に比例した三相電流波形として三組の定電流アンプ28に入力する。各定電流アンプ28はUVWの三相の各コイル1に、制御されたコイル電流を流す。こうして、位置指令,制御指令に応じて三相電流波形が制御でき、電流分布の正弦波化及び磁束密度分布の正弦波化を行うことにより、推力指令に比例すると共に位置による推力リップルの少ない安定したリニアモータ駆動が達成される。
【0029】
上記のモータ駆動時に、推力指令を一定にしたときの変位に対するUVW三相の電流波形を図8に示す。また、変位に対する推力の測定データを図9に示す。これから、本発明のリニアモータにより推力リップルの少ないという特性が得られることが明らかである。
【0030】
上記実施形態では、コアレスコイルの冷却構造として、非磁性材である銅製の丸パイプからなる二本の冷却管12を使用したものを示している。このように二本の冷却管12をコアレスコイル1の中空穴の両サイドに配設すると、コイル中央を貫通する対向永久磁石2,2の磁束は、冷却管12を貫通しない。それ故に、冷却管12が非磁性材であっても、永久磁石2,2の移動に伴って渦電流が発生することがなく、従って可動部への粘性抵抗が生じない。
【0031】
もっとも、本発明のリニアモータにおけるコイル冷却構造をこれに限定するものではない。図10〜図13に、コアレスコイルの冷却構造の他の例を示す。
図10のものは、冷却管12が一個で、コイル1の内面全面に接触させて発熱を吸収する構造である。コイルとの接触面積が最大になり、且つ冷却管12を非磁性金属製にした場合には、コイル1の内側の磁束に対しショートコイルとして機能するため、駆動アンプ側からみた各相コイルのインダクタンスが小さくなり、電流指令に対する電流の追従性が良くなるという利点がある。
【0032】
図11のものは、二本の冷却管12を使用しているが、その配管断面を角形にした構造である。断面円形のものよりコイル1を偏平にする(中空穴11の短径を小さくする)ことができてコイル1を挟む永久磁石の磁気ギャップをより小さくすることが可能で、且つコイルとの接触面積が大きくできる利点がある。二本の冷却管12をコアレスコイル1の両サイドに配設した利点は、上述した断面円形の場合と同様である。
【0033】
図12のものは、図10に示すもののコイル中央部をプレス成形して密着させた構造である。コイル1を挟む永久磁石の磁気ギャップを小さくすることができるので同じ永久磁石2を用いても磁束密度がより高められ、ひいては推力が増大するという利点がある(推力が必要のない場合には、磁石の厚さを薄くできる)。また、コイルとの接触面積がプレス成形しないものより大きくできるので冷却性能が高められる利点もある。
【0034】
図13のものは、図10に示す一個の冷却管12を分割したもので、複数本(8本)の冷却管12を互いに電気的に絶縁してコイル1の中空穴11の長径一杯に密着固定した構造である。図10のもので永久磁石2の移動に伴い発生する渦電流を減少できて、可動部へ働く粘性抵抗をすくなくできるという利点がある。
【0035】
続いて、図14〜図16に本発明のリニアモータの第2の実施形態を示す。
この実施形態では、上記図10に示すコイル冷却構造を採用している。また、可動部15には合計8個の永久磁石2を使用し、そのうちの4個の永久磁石2を隣接する極性が交互で且つ同極性の磁極間のピッチが2Lとなるように配列して磁石プレート3に固着している。
【0036】
一個の冷却管12をコイル列の内面全面に接触させて発熱を吸収するので高い冷却効率が得られる。その冷却管12を非磁性金属例えば銅製にするとショートコイルとしても機能するため、電流指令に対する電流の追従性が良くなる等の効果を奏する。
【0037】
その他の作用効果は、第1の実施形態のものとほぼ同様である。
なお、本発明のリニアモータにおけるコイル冷却管は、その外周部に、コイル位置決め用の突起又はピン等を設けてもよい。
【0038】
また、コイル冷却管は、コイルとの電気的絶縁のため各種の合成樹脂,シリコン等の絶縁塗装を施したり,絶縁紙を巻いたり、あるいは管をアルミにした場合には電気的絶縁と冷却機能を両立させるべくアルマイト処理することができる。
【0039】
また、コイルの冷却管として、ヒートパイプを使用してもよい。
また、固定部のコイルと冷却管とを一体に樹脂モールド成形して強度を向上させることもできる。
【0040】
ここで、本発明のリニアモータにおける可動部15の永久磁石2の形状・取付け角度が磁束密度分布に及ぼす影響について詳説する。
上記第1,第2の各実施形態にあっては、可動部15の永久磁石2の形状等については特に触れなかったが、その形状や配列パターンが可動部15の磁束密度分布に影響を与える。図17〜図20は、可動部15の磁束密度分布が正弦波となるような磁石形状の例を示したもので、いずれも、永久磁石2の磁気ギャップ面から見た形状である。
【0041】
図17,図18のものは台形の永久磁石2の四個の配列、図19のものは菱形の永久磁石2の二個の配列、図20のものは平行四辺形の永久磁石2の二個の配列である。このような磁石形状・配置を採用することにより、可動部15の磁束密度分布を正弦波状にすることができる。
【0042】
図21のものは、磁気ギャップ面が標準的な長方形形状の二個の永久磁石2,2を、リニアモータ進行方向に対し傾けて(スキューさせて)配列した場合である。図22に示すように、標準的な長方形形状の二個の永久磁石2,2を、傾けずに長辺がリニアモータ進行方向に対し直交するように配置した場合には、そのA−A’断面の磁束密度分布は、図23のように正弦波に高調波が含まれたパターンになる。
【0043】
これに対して、永久磁石2を図21のようにリニアモータ進行方向に傾けると、AA’断面では上記図23のような磁束密度分布をしているが、磁石全体の進行方向への合計磁束密度分布は上記図23の磁束密度分布を磁石断面方向に磁石の傾きだけずらしたものの合計で表されることになる。そのため、高調波成分が減少して図24のような基本波磁束密度分布に近くなり正弦波磁束密度分布となる。その結果、推力リップルが低減される。
【0044】
また、磁石の断面形状に関しても、台形や蒲鉾形の磁石を使用したり、正弦波状の着磁を行うことも有効である。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係るリニアモータによれば、固定側に多相のコアレスコイルを重ね巻でモータ進行方向に順に配置したため、可動側の永久磁石の面積下の各相コイルの電流をピーク値にすることができて大きな推力が得られると共に、多相正弦波駆動方式により推力リップルが少なく従って制御性の優れたリニアモータが実現できて、高精度の位置決め精度が得られるという効果を奏する。
【0046】
同時に、重ね巻きしたコアレスコイルの中空穴に非磁性材からなる冷却管を通してコイルに密着固定したため、コイルの発熱を効率良く冷却できて、温度上昇による高精度の位置決め機能の低下が防止されるという効果を奏する。
【0047】
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、可動側の永久磁石が発生する磁束密度が進行方向に正弦波状分布となるように磁石形状または取付け角度を調整したため、推力リップルがさらに低減できて、より高精度の位置決めが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリニアモータの基本構造を示す進行方向の断面図である。
【図2】本発明に係るリニアモータのコイル巻線と電流方向のモデル図で、(1)は三相コイル巻線図、(2)はコイル巻線の各位置での電流密度分布を示す図である。
【図3】本発明に係るリニアモータの第1の実施形態の斜視図である。
【図4】図3に示すものの固定部の斜視図である。
【図5】図3のV − V線断面図である。
【図6】図3に示すものの制御ブロック図である。
【図7】同ブロック図中の三相アンプ回路である。
【図8】上記制御における一定推力指令時の変位に対する電流指令波形図である。
【図9】図8の電流指令時の変位に対する推力データである。
【図10】コイル冷却管の変形例を示した断面図である。
【図11】コイル冷却管の変形例を示した断面図である。
【図12】コイル冷却管の変形例を示した断面図である。
【図13】コイル冷却管の変形例を示した断面図である。
【図14】本発明に係るリニアモータの第2の実施形態の図5に対応する断面図である。
【図15】図14の固定部の平面図である。
【図16】図14のXVI −XVI 線断面図である。
【図17】本発明の永久磁石のギャップ面形状と配置パターン例を示す図である。
【図18】本発明の永久磁石のギャップ面形状と配置パターン例を示す図である。
【図19】本発明の永久磁石のギャップ面形状と配置パターン例を示す図である。
【図20】本発明の永久磁石のギャップ面形状と配置パターン例を示す図である。
【図21】本発明の永久磁石のスキュー配列を示す図である。
【図22】標準的な長方形形状の永久磁石の配置パターンを示す図である。
【図23】図22に示すものの断面磁束密度分布図である。
【図24】永久磁石をスキュー配列したものの合計磁束密度分布図である。
【図25】従来のリニアモータのコイルと磁石の配置関係を示すもので、(1)は進行方向の断面図、(2)はコイルの配置平面図である。
【図26】従来の磁石の移動時の電流分布図である。
【符号の説明】
1 コアレスコイル
2 永久磁石
10 固定部
11 中空穴(コイルの)
12 冷却管
15 可動部
16 支持部材

Claims (4)

  1. 固定側にコアレスコイル、可動側に永久磁石を配置した多相リニアモータであって、固定側は中空を有する多相のコアレスコイルを重ね巻きにしてモータ進行方向に順に配列すると共に、非磁性材からなり、端部が冷却装置に連結される冷却管の中途部分を当該中空に通しコイルに密着固定してなり、可動側は異なる極性の磁石を磁気ギャップを介して対向させた永久磁石で前記コアレスコイルを挟み、且つその対をなす磁石の複数組を相隣る磁極の極性が相互に異なるようにしてコイル配列方向にコイル配列ピッチに合わせて複数組配設すると共に、それらの複数組の永久磁石を前記磁気ギャップを保持する支持部材を介して一体に連結してなることを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記可動側の永久磁石は、その磁束密度が進行方向に正弦波状分布となる形状及び/又は取付け角度を有することを特徴とする請求項1記載のリニアモータ。
  3. 二本の前記冷却管を前記中空穴の両サイドに配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアモータ。
  4. 前記コアレスコイルの中央部を前記中空穴を潰して密着させたことを特徴とする請求項3記載のリニアモータ。
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